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小説「上と外」(恩田陸)を読みました。
6分冊で、一冊が薄いから持ち運びやすくて助かりました。
まあ、読み終えてしまいそうだからと2冊持ったりもしたけどね。
それにしても、息もつかせず一気に読みたくなる小説です。
離婚してバラバラになった家族が1年ぶりに会い、父親がいるG国に旅行中、クーデターに巻き込まれてしまう。
ヘリコプターからジャングルに投げ出された練と千華子の兄妹。
とても中学生と小学生とは思えない冷静さと賢さ、体力で、苦難を乗り越えていく。
父母の賢と千鶴子も魅力的で、子ども達を捜すために協力する。
千鶴子のなりふり構わずに千華子を助ける姿には感動。
それまで、母というより女であることを優先していたからね。そんな正直なところも素敵なのだけど。
ニコも冷静沈着だけど、人懐こいところもあって憎めない。従兄弟の邦夫や、祖父に似た感じでもある。
登場人物が凄すぎて、出来過ぎのような気もするが、落ち込んだり、情けないところもあるから許せるかな。
ともかく面白くて一気に読めてしまう小説で、読後感もいいですね。
店員に威張るような人は、目上の人にぺこぺこ卑屈になるというのも、その通りだと思った。
民族と国家についても、多様性なくして人類の文化の発展はないからこそ、民族は必要という。G国は多民族国家の理想なのかな。
楽観的かもしれないけど、希望を持ちたいですよね。
あらすじ。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Shikibu/1476/onda/up-out/abst.html
1 素晴らしき休日
両親の離婚で別れて暮らしている元家族、年に一度夏休みに集うのが恒例となっている。中学生の楢崎練は久しぶりに会う妹(千華子)、母(千鶴子)とともに考古学者の父(賢)が居る中央アメリカG国へとやってきた。密林と遺跡と軍事政権の国。しかし四人の間に久しぶりに会うというだけでないぎこちなさがある。
日本への帰国も間近となった夕食の場で千鶴子は再婚の考えがある事を告白する。それだけではなく、「もう会わないで欲しい」と言う千鶴子に対して賢は「千華子には会う権利がある」と反発する。それに対して千鶴子は「千華子は賢の子供ではないかもしれない」と答えるのだった。
その翌日、神殿を持つ大きな遺跡「ティカル」に向かう一行を乗せたヘリコプターは突然方向を変えた。G国でクーデターが起きたのである。その直後ヘリコプターが傾いた弾みで練と千華子は外に放り出されてしまった。
2 緑の底
G国で軍事クーデター勃発の知らせをうけ練の帰りを待つ祖父ら楢崎家の人々はそれぞれのルートで情報収集を試みる。一方、賢と千鶴子は決起グループによって他の外国人と共にシティーの街はずれにある礼拝堂で隔離監視されていた。
ヘリコプターから密林に落下した連と千華子は樹木のおかげで怪我もなく地上に降り、とりあえず行く予定であった神殿を目指す事にする。森の中で聞いた轟音に導かれてついたのは奇妙な「屋根のある祭壇」(千華子命名)であった。しかも同じ物が密林の中に数多く存在しているらしい。夜その場所で眠るたびに訪れる奇妙な夢。頭の中に響く謎の言葉。二人は神殿が見える所までたどり着く。
3 神々と死者の迷宮(上)
練と千華子は神殿にたどり着いた。この遺跡どうもティカルではないようなのだが、目立つ建造物ではあるので二人はこの神殿の近くで救助を待つ事にした。しかし、練は誰のものとも知れない視線を感じていた。千華子は熱を出してしまい、練が途方に暮れていたところに少年が姿をあらわし、二人を地下へと導く。そしてこれから行われる儀式に練も参加するように迫るのだった。
一方、賢、千鶴子、ミゲルの三人は礼拝堂を脱出し、練と千華子を助ける為にヘリコプターをもつ民間輸送会社へと向かう。しかし、ヘリコプターはクーデター勃発時に出払っており、ティカルの近くの街、フロルで足止めを食っているという。夜を待って自動車でフロルに向かう3人であったが途中対向車と接触しそうになる。
4 神々と死者の迷宮(下)
千華子は体は回復したものの、事情を知らされぬままニコに閉じ込められてしまう。地下道に出る抜け道を発見するが、地下道の中で道に迷ってしまう。
千華子を人質に取られ、練は「成人式」に参加することになる。成人式のルールは午後6時から朝6時まで、3日間「王」から逃れつつ、地下都市の部屋々々におかれた壷に石を入れていくというものだった。そして、1日10個の石を入れられなければ千華子が王の息に触れるとニコは脅す。成人式初日、練はなんとか5個の石を入れることが出来たが、ジャガーに出会って恐怖で部屋を出られなくなってしまう。そして部屋で眠ってしまい、残り5個の石を入れる時間がないことを確信する。朝の点呼が始まっても練は現れなかった。
賢たち一行が出会ったのは、日本の楢崎家の働きで楢崎一家を探していた人々だった。引き続きフロルを目指す賢たち一行。日本の楢崎家でも、練たちの状況が把握される。
5 楔が抜ける時
練は石を隠し持って朝の点呼を切り抜ける。そして千華子のことを知らないまま、儀式は2日目に突入する。練はニコを付けて行くことで順調に石を入れていくが、それはニコが承知の上でのことだった。予想外に荒れるジャガーの様子を見てニコと練は一緒に行動する。少年達に襲い掛かるジャガーに怪我人も出るが、練の機転でジャガーが死に、成人式は終了する。
クーデターの一派は声明を発表する。それは全国民が参加することを目指す、開放された電子政府の樹立という今までに前例のないものだった。
賢と千鶴子は無事にフロルに到着し練たちの捜索を始めるが、ヘリコプターの燃料が限られており、また上空からの捜索は困難である。そこで、千鶴子のアイディアで練たちがヘリコプターの場所まで来れるように密林に目印の風船を上げることにする。
千華子は、壁に沿って歩くことで地下道を出ようと試みる。成人式を終え、千華子がいなくなったことを知らされた練は、ニコと一緒に千華子を捜しに地下に入り千華子の足跡を発見する。
そこに、地震が発生する。
6 みんなの国
仲間の元に戻るというニコに怒った練は、分かれて一人で千華子を捜すことに。千華子とは無事に会うことが出来たが、地図もなく道がわからない。見つけた穴から千華子が外に出るが、練は出る前に増水した鉄砲水で押し流されてしまい、再び二人は別れ別れになってしまう。
練は、ニコが残した目印のおかげで、元の神殿に戻ることが出来た。ニコたちと一緒にヘリコプターを待つことにする。
賢たちが使うヘリコプターは地震での怪我人を運ぶのに使われてしまう。子供達を捜す手段はなくなったと思われたが、燃料を積んでヘリコプターが戻って来た。捜索の結果、風船のポイントへ来ていた千華子を救助することに成功する。
練やニコたちは迎えのヘリコプターが着くピラミッドへ向かった。途中で地下通路が崩れたり、ピラミッドの石段が壊れたりしていたが、ニコの機転や練のクライミングでピラミッドの頂上に到着、ヘリコプターに飛び移りジャングルを脱出した。
シティーで、練も家族と再会。みんなで日本に帰ることが出来た。そして1年後、ニコは新生G国特使として日本を訪れる。
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