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トヨタ自動車が一般投資家向けに種類株を発行するとのこと。
特徴を一口で言えば、転換社債的な性格を持つ非上場の優先株。だけど、今ひとつ魅力に欠けているような気がするので、今回はそのあたりのことを。
1.トヨタ自動車のAA型種類株
トヨタ自動車は、中長期保有の一般株主の確保を目指して、”AA型種類株式”なるものを発行するとのこと。
〇第1回AA型種類株式の発行、AA型種類株式の新設に係る定款の一部変更および第1回AA型種類株式発行に応じた自己株式取得に関するお知らせ
〇AA型種類株式に関するご説明資料
〇AA型種類株式に関するQ&A
ちなみに、”AA型”の名称は、1936年に豊田自動織機製作所自動車部が開発・製作したトヨタ初の生産型乗用車の車名に由来するとのことで、かなりの力が入っているのだけど、
はたして、商品性のほうは。。。。
2.転換社債のような優先株
肝心の、”AA型種類株式”の商品性を見てみたい。
トヨタ自動車の開示資料の中で、”AA型種類株式”の商品性が分かりやすく説明されている。
主な特徴は、
〇5年後以降は、投資家側から1:1で普通株への転換請求、または発行価格での取得請求が可能。
(転換社債と類似した商品性。”AA型種類株”のほぼ唯一の利点。)
〇5年後以降は、会社側から発行価格での株式取得が可能。
〇初年度の配当利回りは0.5%、徐々に上昇し5年度目以降は2.5%。
(普通株の現在の配当利回りが2.3%強なので、見劣りがする水準。)
〇議決権が有る。
(会社にとっては重要でも、一般投資家にはどうでもよいことで、魅力とは言えないのでは。あえて言えば、総会に出席してお土産をもらえることが実利か。)
〇倒産等の際には、債権よりは劣後するけれども普通株よりは優先する優先株。
(だけど、財務優良なトヨタ自動車が数年以内に行き詰る可能性は実態的には極めて小さいと思われるので利点とは言えないのでは。)
〇発行後5年間は資金が拘束される。
(非上場でなおかつ原則譲渡不可、”AA型種類株”の最大のデメリットか。)
〇発行価格は、普通株式の120%以上に設定。
(上記内容に対して、高いと感じるか安いと感じるか、果たして。。。)
ようは、会社が潰れない限り元本は保証されるし、5年後に株価が2割を大きく上回って上昇していれば普通株式に転換することによって利益が大きくなる可能性がある”ローリスク・ミドルリーターン”の商品。
一方で、5年間は完全に資金が拘束されるという大きなデメリットがあるし、
そもそも株価が上がる蓋然性が高いのなら普通株に投資したほうが見返りも大きい。
普通株式の120%以上の発行価格ということも加味すると、少なくとも私にとっては全く魅力が感じられないなーと思ったのだけど、
3.同時期に発行される社債よりは1000倍魅力的
今回の”AA型種類株”には、あまり魅力を感じないなーと思っていたのだけど、
同時期に発行される無担保社債よりははるかにマシであることに気づいた。
子会社のトヨタファイナンスが発行する”第63回・第64回無担保社債”。
こちらは機関投資家向けのようなのだけど、なんと、5年債で利回りが0.171%しかない。
こういう条件で買い手がいることに目眩がする。5年間の流動性を犠牲にして5年トータルでも1%未満のリターンしかない。この社債を買うぐらいなら、現金で持っていたほうが流動性がある分だけはるかに良いような。。。
、”AA型種類株”とこの社債を比較すると、倒産しなければ5年後に元本が保証されているのは同等で、”AA型種類株”の方が利回りもはるかに高く株価大幅上昇時の楽しみも有る。2者の比較では、”AA型種類株”の一択。
実は、”AA型種類株”のターゲットは株式投資家ではなく債券投資家なのかもしれない。
4.感想など
・”AA型種類株”は、一般投資家目線ではなく自社の都合を優先して商品設計(中長期の一般株主を確保するため、議決権あり・5年間譲渡不可の設計)がなされた感じがする。せめて、上場して流動性を確保して欲しかった。
・中長期の一般株主が欲しければ、株主優待を創設すれば良いだけでは(実際に、総会の土産には力を入れているようだし)。
・それにつけても、社債はなぜこんなクソ条件で取引が成立しているのだろう? 私の理解の範囲をはるかに超越し眩暈がするほど。
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