全4件 (4件中 1-4件目)
1
決闘・箱根山三枚橋(著者:笹沢左保|出版社:徳間書店) 完結編。 2になると、題の付け方が変わる。サブタイトルにあるように、漢字二文字の熟語+中黒+地名となる。 最終話で、ああ、こういう虚無的な感じで終わるのか、と思っていたら、さらにその後があった。 最後まで読むと、最初から結末がちゃんと考えてあり、伏線も張ってあったのがわかる。 ただ、最終話で鬼火党の名をかたったのは二人だったはずなのに、結局三人だったことになっているのがよくわからない。 また、45ページに「若旦那じゃあ、役不足とでも言いてえんで……?」という台詞がある。 すでに三十年前から、プロ作家でも誤った用い方をするようになっていたのだ。
2002.01.11
コメント(0)
大利根の闇に消えた(著者:笹沢左保|出版社:徳間書店) 潮来の伊太郎と言えば、橋幸夫の歌。しかし、どういう話なのか全く知らなかったので、読んでみた。 しかし、おそらく浪曲などに登場する人物なのだろうが、完全な、笹沢佐保のオリジナル・キャラクターのようだ。 連作短編集になっていて、「木枯らし紋次郎」と同じ書き方。 各話の題のつけかたも似ている。 性格は、紋次郎よりは他人と関わりをもつ、という程度。 天保十二年の各月ごとに一話という体裁で書いている。 最初に出版されたのが1973年なので、今から30年前に書かれたものである。それでも古びていないのはさすがだ。
2002.01.10
コメント(0)
![]()
伊豆の踊子(著者:川端康成|出版社:新潮文庫) 正月にテレビ・ドラマ化したものを見たので、読み直してみた。 前に読んだのは二十年以上も前のことで、すっかり忘れていた。今回読み直して、一座の人間関係も理解できたし、「私」の立場も飲み込めた。 学生なのに、回りから「旦那様」と呼ばれるが、社会的地位が全く違うのだ。 主人公の宿に遊びに来た男と一緒に食事をすれば、当然主人公が支払うのである。 もちろん、下心があって一座が主人公と一緒に行動するのではない。しかし、そうすることが当然なのだ。 主人公は二十歳、踊子は十四歳だがいずれも数え年。川端康成が実際に体験したことを元にしているらしい。 題は「伊豆の踊子」だが、主人公はあくまでも「私」であり、「私」の知り得ないことは書いてない。その点は映画やテレビとは違う。 映画は、今回読んだ本に収録されていた「温泉宿」を元にして新たな登場人物を作りだしていたことを知った。 吉永小百合の出演した映画で、たしか十朱幸代が演じたのは原作にない役だったが、「温泉宿」のお清なのである。 「伊豆の踊子」という題がいい。題名がいいために何度も映像化されているのではないだろうか。 ほかに、「抒情詩」「禽獣」の二編が収録されているが、正直なところ、読んでもよく理解できない。奥深い情念が渦巻いていて、何かをかいま見ることができそうな気はするのだが、そこに何があるのかは分からなかった。 「伊豆の踊子」は何度も映像化されている。映画は吉永小百合のと山口百恵のを見たが、山口百恵版の方が原作に近い。 テレビでは、最近では2002年にモーニング娘。でドラマ化された。ちょっとだけしか出番がなかった保田圭が一番光っていた。
2002.01.08
コメント(0)

百姓の江戸時代(著者:田中圭一|出版社:ちくま新書) 江戸時代は暗黒の時代ではなかった。 身分の格差はそれほどではなく、庶民はこんなに豊かだった。百姓はこんなに自分たちの権利を主張することができた。 というのが根底にある。 最近多い、江戸時代を見直し、評価し直そうとする立場から書かれた本である。 引かれている例はいずれも説得力があり、「なんだ、そうだったのか」と思わせるのだが、そう思いながらも、ちょっと待てよ、という気になる。 そんなにみんな豊かだったのなら、明治に入ってからや戦後の農地改革など必要なかったはずだが、なぜ行われたのだろう。 そんなに身分の上下関係が緩やかだったのなら、なぜ今でも被差別部落が残っているのだろう。 と、次々に疑問がわいてくる。 今までの歴史論が、最初に結論を用意し、その結論に都合のいいところだけ取り上げたものだったものだったとは思う。しかし、だからといって、それらがすべて誤っていたということはないだろう。 いい面も悪い面もあったはずなのだ。 たとえば、p182に「一気は暴動ではなく合目的的な手段であった」という見出しがあり、一揆の実例が挙げられている。読めば、百姓側に理があることはわかる。しかし、その一揆では、訴状の作成者ということでとらえられた人物が斬罪となっている。 自分たちの権利を主張した結果、要求は通ったとしても人一人の命を犠牲にしなくてはならなかったのだから、やはり、いい時代ではない。 もちろん、著者は、江戸時代が理想社会だったなどとは言っていないし、今まで言われていたほどひどくはなかったと言っているだけではあるのだが。 著者は主に佐渡島の例を挙げている。いずれも事実であり、この本に書いてあるとおりだったのだろう。 しかし、だからといってそれを江戸時代全体、徳川幕府の権威が及んだ地域全体に当てはめるのは無理がある。 もちろん、佐渡島の歴史、実態を調査し述べたものとしては優れている。
2002.01.05
コメント(0)
全4件 (4件中 1-4件目)
1

![]()
![]()