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海を渡り、異国の地で教師として働くルーシーの生涯を描いた作品。一人の女性が独立して生きて行くのが難しい時代に、ルーシーが逞しくしたたかにいきる姿に胸が熱くなりました。
2019年09月29日
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素材はNEO HIMEISM 様からお借りしております。「天上の愛地上の恋」の二次創作です。作者様・出版社様とは関係ありません。二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。 ルドルフは息苦しさで目を覚めると、自分の手を舐める愛犬の姿が見えた。「アレクサンダー、どうしたんだ?」ルドルフの言葉に応えるかのように、アレクサンダーはクゥンと鳴いた。「また熱を出されたとか・・」「今月でもう何回目かしら?」「本当に、ルドルフ様は皇帝陛下の・・」 ドアの隙間から、女官達の口さがない噂話が聞こえてくる。「アレクサンダー、僕は大丈夫だから、お休み。」 息苦しさに耐えながら、ルドルフは再び目を閉じた。「う・・」 ルドルフが低く呻いて目を開けると、そこはホーフブルク宮にある自分の寝室ではなかった。 今自分が寝ているのは、農場の母屋に与えられた部屋だった。ベッドから少し起き上がって見渡すと、白いヴェネツィアンレースのカーテンや壁に掛けられた鏡があった。(なんだ、夢か・・) 愛に飢えていた頃の、懐かしい夢を見てしまった。あの頃のルドルフには、抱き締めてくれる温かい手も、太陽のような優しい笑みを浮かべてくれる人は誰も居なかった。 けれども、今は違う。 ルドルフは、自分の隣で眠っているアルフレートを見た。彼はうつ伏せになって、ルドルフの手を握ったまま眠っている。アルフレートの寝顔をずっと見ていたくて、ルドルフは一晩中起きていた。「アルフレート、起きろ。そんなところで寝ていたら風邪をひくぞ。」「ん・・ルドルフ様、おはようございます。」 翌朝、アルフレートが見たものは、ルドルフが自分に向けた優しい笑顔だった。「お怪我の具合はいかがですか?」「お前が居てくれたお蔭で少し良くなった。」「そうですか・・」ルドルフはアルフレートの腰を掴み、自分の方へと引き寄せた。「ルドルフ様?」「ここ暫くご無沙汰だっただろう?」「何をおっしゃっているのですか!」ルドルフの言葉を聞いた瞬間、アルフレートの顔が耳まで赤く染まった。「別にいいだろう、こんな退屈な生活にはたまには刺激が必要だ。」「ルド・・」自分に抗議をしようとするアルフレートの唇を塞ぐと、彼のエメラルドの瞳が熱を帯びた。「どうした、嫌なのか?」「いいえ・・」「そうか。」眩い朝日に照らされながら、恋人達は夢のような時間を過ごした。「おはようございます、大公様。」 朝食を取る為に食堂へとやって来たアルフレートの顔は、少し赤くなっていて様子がおかしかった。 ヨハンは、彼の白い首筋に紅い痕がついているのを目敏く見つけ、内心溜息を吐いた。(朝からイチャつきやがって・・)「どうした、大公?」「ルドルフ、その様子だと元気になったようだな。」「ああ、お蔭様で。」(本当に食えない奴だよ、お前は。)にほんブログ村
2019年09月29日
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素材はNEO HIMEISM 様からお借りしております。「天上の愛地上の恋」の二次創作です。作者様・出版社様とは関係ありません。二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。「ルドルフ様、お待ちください!」 母屋から出て行ったルドルフをアルフレートが慌てて追いかけると、彼は厩(うまや)で白馬に鞍をつけているところだった。「何処へ行かれるおつもりですか?」「少し頭を冷やしてくるだけだ。」そう言ったルドルフの蒼い瞳が、怒りの光を宿していることにアルフレートは気づいた。「では、わたしも一緒に参ります。」「放っておいてくれ。」「嫌です。」頑として遠乗りについてゆくというアルフレートに折れたルドルフは、そう言うと溜息を吐いた。「現実を見ろとさっき大公から言われた時、わたしはオーストリア=ハンガリー帝国皇太子という地位に今まで固執していたことに気づいたんだ。」「ルドルフ様・・」「愚かだな、わたしは。今は守るべき国も民も、皇太子という地位すらもないというのに・・」ルドルフは乾いた笑みをアルフレートに浮かべると、白馬の尻に鞭を入れた。「ルドルフ様、お待ちください!」ルドルフの異変に気づいたアルフレートが慌てて彼を追おうとしたが、彼は白馬と共に瞬く間にアルフレートの前から遠ざかっていった。“もうお前は皇太子じゃない。現実を見ろ、ルドルフ。” 全てが終わったら、もう自分は世界を冠する帝国の皇太子という地位を失うだろうということを、解っていた。 解っていた筈なのに。それなのに、失って初めて、あれほど苦痛だった皇太子という地位に固執している。もう、自分には何もないというのに。白馬を無我夢中で走らせていたルドルフは、目の前に野良犬が横切ろうとしたことに気づくのに遅れてしまった。 激しく混乱した白馬は暴れ、乗っていたルドルフを勢いよく地面へと振り落すと、何処かへ行ってしまった。「ルドルフ様、大丈夫ですか!?」「ああ、大丈夫だ・・」ルドルフはそう言って立ち上がろうとしたが、その時右足に激痛が走り、思わず顔を顰(しか)めた。「ルドルフ様、あれ程無茶をなさってはいけませんとおっしゃったのに・・」「うるさい、黙れ。」ルドルフは心配そうに自分へと手を伸ばす恋人の手を邪険に払いのけた。「戻りましょう。」 アルフレートとルドルフが母屋に戻ると、ルドルフの異変に気づいたヨハンがすぐさま医者を呼びに行った。「足が折れていますね。暫く養生なさった方がいいでしょう。」「大公様、ルドルフ様と二人きりにしてくださいませんか?」「わかった。」 ヨハンが部屋から出て行き、アルフレートはベッドに寝ているルドルフの方を見た。「ざまぁみろと思っているのだろう? 自棄をおこした挙句、落馬して怪我をするなんてな。」「そんな事は思っておりません。」アルフレートはベッドの傍に置いてある椅子に腰を下ろすと、ルドルフの手をそっと握った。「わたしはもう何処へも行きませんから、ゆっくりとお休みになってください。」「わかった・・」 ルドルフはアルフレートの手を握り締め、やがて深い眠りへと落ちていった。にほんブログ村
2019年09月29日
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素材はNEO HIMEISM 様からお借りしております。「天上の愛地上の恋」の二次創作です。作者様・出版社様とは関係ありません。二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。 オーストリアからこの南米の地・コロンビアに来た頃、ルドルフは依然として正気を失ったままで、彼の着替えや食事は全てアルフレートが世話していた。 ルドルフは一日の大半の殆どをベッドで過ごしていた。時折寝室から出てヨハン達と食事を取ることがあったが、それすらアルフレートの介助がなければできなかった。 そんな彼が正気を取り戻したのは、ヨハン達がコロンビアに移住して一年目の春を迎えようとしている頃だった。「それでは、行って参ります。」「本当に一人で大丈夫なのか?」「はい。大公様、わたしが留守の間どうかルドルフ様の事を宜しくお願いいたします。」「ルドルフの事は任せておけ。」 その日、アルフレートは所用でブエノスアイレスへと向かうことになった。アルフレートは、自分が留守の間ルドルフの世話をヨハンに頼んで、農場から馬車で最寄り駅まで向かった。だが、彼が乗ろうとしていた汽車は既に出てしまっていた。次の汽車が来るのは二時間後だと駅員に言われ、アルフレートは溜息を吐きながらプラットホームに置かれている長椅子に腰を下ろし、汽車が来るのを待った。 その時、誰かが自分の名を呼ぶ声が聞こえた。(気の所為か?)そう思いながら線路の方を見たアルフレートは、その中に農場に居るはずのルドルフが立っていることに気づき、思わず椅子から立ち上がった。「ルドルフ様、そこに居たら危険です、離れてください!」「アルフレート、何処へ行く!」鋭い光を放った蒼い瞳で射るようにアルフレートを見つめるルドルフの声を聞いたアルフレートは、驚愕の表情を浮かべた。「ルドルフ様、あなたは・・」「またわたしを置いていくのか、アルフレート!」そう言ったルドルフの瞳には、微かに恐怖の色が滲んでいた。(ああ、この方は・・)また自分が捨てられることを、ルドルフは恐れているのだ―かつて、アルフレートがウィーンでルドルフに背を向けた時の事を、ルドルフは憶えていた。 ルドルフは線路からプラットホームへと上がると、アルフレートの前に立った。「お前はわたしのものだ。」「ルドルフ様、わたしはあなたを置いていきません。必ずあなたの元へ戻ります。」「もう二度と、わたしを置いていくな・・」「はい・・」 アルフレートは翠の瞳を涙で潤ませながら、ルドルフを抱き締めた。正気を取り戻したルドルフは、その日から順調に快復していった。ルドルフの快復ぶりにヨハンやミリは驚いたが、ルドルフが正気を取り戻した事を知って一番喜んだのはこの二人だった。 だが、ルドルフが快復したことにより、困った問題が出て来た。それは、ルドルフがアルフレートに対して過保護になってしまったことだ。アルフレートと農場へ仕事に行く時も、街へ買い物に行く時も、ルドルフは必ず彼と手を繋ぐ。もう二度と彼と離れたくないという気持ちからくるものなのだろうが、周囲にとっては迷惑以外の何物でもない。その上、ルドルフは農作業を嫌がり、母屋で読書などしてアルフレートの帰りを待っている事が多い。ただでさえ家計が逼迫(ひっぱく)していて苦しいのに、ルドルフの我が儘(まま)にこれ以上振り回されていては堪(たま)らない。意を決したヨハンは、昼食の時間にルドルフに本音をぶつけた。「ルドルフ、話がある。」「何だ、大公?」「単刀直入に言うが、うちは穀潰しを置いておく余裕はない。自分の食い扶持は、自分で稼ぐんだな。」「わたしに働けというのか?」「もうお前は皇太子じゃない。現実を見ろ、ルドルフ。」 ヨハンの言葉を聞いたルドルフは、食事の最中だというのに席を立って何処かへ行ってしまった。にほんブログ村
2019年09月27日
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素材はNEO HIMEISM 様からお借りしております。「天上の愛地上の恋」の二次創作です。作者様・出版社様とは関係ありません。二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。 南国の灼熱の太陽が、容赦なく自分の肌を突き刺すのを感じながら、アルフレートは農作業に勤しんでいた。 両親が流行病で亡くなる前、故郷の農村で農作業を手伝っていたからか、こういう肉体労働は苦にはならなかった。「こんな所にいたの、アルフレート。」「ミリさん。」額の汗をハンカチでアルフレートが拭っていると、日傘を差したミリがバスケットを抱えながら彼の元へとやって来た。「毎日こんな調子じゃぁ、身体を壊すわよ? ほどほどにしておかないと。」「すいません。でも、農作業をしていると子供の頃の事を思い出すのですよ。」「そうなの。」ミリがそう言ってアルフレートの方を見た時、蹄の音が聞こえた。「何だミリ、そんなところにいたのか。」「大公・・」 ミリとアルフレートが背後を振り向くと、そこには黒馬に跨ったヨハン=サルヴァトールが馬上から二人を見下ろしていた。「あらジャンナ、アルフレートに嫉妬してわたしのことを探しに来てくれたの?」「違ぇよ、馬鹿。昼飯の時間になっても母屋に来ないから、ルドルフが心配したから農場に連れて来たんだ。」ヨハンはミリの言葉を聞いて仏頂面を浮かべながらそう言うと、自分の背後に座っているルドルフを指した。「アルフレート、わたしを放っておいて何をしている?」「申し訳ありません、ルドルフ様。」 アルフレートはさっと砂で汚れた手を払うと、ルドルフの元へと駆け寄った。「お前を探しに行くと言ったら、大公が御親切にも馬に乗せてくれてな。乗り心地は悪かったが。」「お前なぁ、礼のひとつくらい言ったらどうだ?」「自分で乗った方が早く着いたな。」ヨハンの眉間に皺が寄るのを見て、くすりと笑ったルドルフは、優雅に馬から降りた。「ルドルフ様、もうおかげんはよろしいのですか?」「ああ。お前がかいがいしく看病してくれたお蔭で、すっかり元気になった。」ルドルフの言葉を聞いて頬を赤く染めるアルフレートは、ルドルフにそっぽを向いた。「何だ、今わたしは変な事を言ったか?」「い、いいえ・・」「お~いそこのお二人さん、そろそろ昼飯にしようぜ!」ルドルフとアルフレートのいちゃつきそうな気配を察知したヨハンは、そう言うとわざとらしく二人の間に割って入った。「邪魔をするな大公、さっきの腹いせか?」「違う、こんなクソ暑い所に居たくねぇからさっさと移動したいだけだ。」「だったら大公はそちらの麗しいご婦人と先に母屋へ行けばいいだろう? わたし達はゆっくりと積もる話をしながら・・」「駄目だ、またそうやって農作業をサボろうとしていやがるな?」「バレたか・・」「お前はもう皇太子でも何でもないんだ、ルドルフ。いい加減こっちの生活に慣れてくれないとな。」「わたしに農民たちに混じって働けと?」「ルドルフ様、そろそろ母屋へ参りましょう。こんな暑い所に居たら、またお体を壊してしまいます。」 一触即発状態となっていたルドルフとヨハンの様子を見たアルフレートは、そう言うと慌ててルドルフの手を取った。「そうだな。アルフレート、行こう。」「はい。」「ったく、暇さえあればイチャつきやがって・・」「まぁまぁ、許してあげなさいよ。それに、ルドルフ様があんなに元気になったのも、ひとえにアルフレートのお蔭じゃないの。」「まぁ、そうだな・・」 母屋へと歩いてゆくルドルフとアルフレートの姿を見ながら、ヨハンはこの国に来た頃の事を思い出していた。にほんブログ村
2019年09月27日
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作者がイタリア語で書いた初の長編小説。長編というよりも、主人公の女性が過ごすローマの日常を描いたもので、読みやすかったです。
2019年09月27日
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魔女に身体を乗っ取られたカーリーとメレディス、二人は魔女から身体を取り戻すことができるのか?老人や家族の問題という複雑なテーマをわかりやすく描いた作品でしたが、家族愛に溢れた結末に感動しました。
2019年09月27日
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記憶を失った侍と旅をするジェニファー。百舌シリーズとはまた一味違ったハードボイルド作品。シリーズ物だそうで、機会があったら続編を読みたいと思います。
2019年09月27日
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蝦夷地が、外国人によって買収されそうになるのを何とか阻止しようとする金十郎達の奔走ぶりを読み進めながら、終盤の土方さんの活躍と、感慨深いラストまで一気読みしました。
2019年09月27日
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南フランスの山中を散策中、廃屋めいた家に暮らす老兄弟達に監禁され、彼らの奴隷にされたテオ。彼が監禁され、奴隷になってしまった後と、彼が救出された後の、彼の姿に驚きを隠せませんでした。テオの精神が戻ることはあるのでしょうか・・妻の存在だけが彼の心の支えなので、まだ希望はあると信じたいです。
2019年09月27日
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亡くなった妻の遺体に残された痣と同じような遺体が発見された。真壁が、過去に起きた事件と現在の事件の真相へと辿り着くまでの過程、そして衝撃的な結末まで一気に読みました。「代償」よりも、読み終わった後スカッとしましたね。
2019年09月27日
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最初から最後まで、読んでいて怖かったです。
2019年09月27日
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豪商一家惨殺事件の下手人として追われる新之助。彼がたどり着いた事件の真相が明らかになり、絶句するとともに、ぼろ鳶組の絆の固さが描かれていて面白かったです。
2019年09月27日
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元NY市警のマーシャルは、犯罪組織への潜入捜査後、証人保護を受けて暮らすが…二転三転する展開にページをめくるてが止まりませんでした。 マーシャル・シリーズ、これからが楽しみです。
2019年09月27日
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まるでスティーヴン・キングの「スタンドバイミー」のオマージュかなと思わせるかのようなストーリーでしたが、ラストの結末には戦慄が走りました。「えぇ~!」と思いながら本を閉じました。
2019年09月27日
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犯罪歴のあるかんじゃを収容するビーチウェイ重警備精神科医療施設で起こる不可解な出来事ーラスト30ページの展開と結末を読んだ後唖然としました。
2019年09月26日
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1919年、ニューオーリンズ。イタリア系白人夫婦が斧で惨殺される事件が発生。「斧男」の正体と、被害者達の共通点がわかった時、戦慄が走りました。
2019年09月21日
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ラスト30ページの衝撃に暫く震えましたね。あぁ、そういうことだったのかと。
2019年09月21日
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北朝鮮が舞台のミステリー。生まれついた時から身分が決まっているのは、どこかインドのカースト制度ににていますね。ラストがモヤモヤとしました。
2019年09月21日
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原因不明の病で、背びれの大半を失ったフジ。人工背びれをつくるための沖縄美ら海水族館のスタッフ達の健闘ぶりと、彼らとフジとの絆が描かれ、心が温まる作品でした。2014年になくなったふじですが、彼女が遺したものは生き続けることでしょう。
2019年09月21日
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幼稚園存続運動をめぐる闘いを描いた作品。 ラストが希望に満ちたもので良かったです。
2019年09月21日
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素材はNEO HIMEISM 様からお借りしております。「奥様、ただ今戻りました。」「お帰りなさい、二人共。」 玄関ホールで二人を出迎えたリリスは、彼らのマントが血で汚れている事に気づいた。「その血は・・」「ここへ戻る途中、刺客に襲われましたが、返り討ちにしました。」「そう・・例のものは手に入ったのね?」「はい、奥様。」 アウグストは、そう言うとアンジェリーナの指紋がついたグラスをリリスに見せた。「これをあの封筒についている指紋と照合させれば・・娘の事実が証明されるのね?」「はい、奥様。」「神よ、娘をお守りください。」 朝食を済ませたアウグストとフィリスは、早速事件の証拠品を王立研究所へと持っていった。「やぁ、良く来たね。それが例の物かい?」 王立研究所所長・ユリウスは、白衣の裾を翻すと、そう言って二人から事件の証拠品を受け取った。「鑑定はいつまでかかる?」「そうだなぁ、最短で二日はかかるかな。」「よろしく頼むよ。」「わかった、わたしに任せてくれ。」 ユリウスはそう言って二人に微笑むと、彼らを研究所の中へと案内した。 ◆そこには、不思議な白い箱を使って仕事をしている白衣姿の研究員の姿があった。「ユリウス、あの箱は?」「あぁ、あれは東のエリウス帝国が開発した物でね、仕事にとても役立っているよ。」「そうか。」「機械大国であるエリウス帝国がこんな物をいつの間にか開発していたとはね、驚いたよ。」「そうだな。やがて我が国の脅威になるかもしれないな、エリウス帝国は。」「フィリス、早速鑑定作業に入るよ。」「わかった、良い結果が出るのを待ってるよ。」 王立研究所から出たフィリスとアウグストは、途中で王宮へと立ち寄った。「アウグスト様、フィリス様、こんにちは。」「エリス、こんにちは。」「あの証拠品はどうなりましたか?」「最も信頼している人間に預けて来たよ。」「そうですか・・」 エリスがそう言った時、突然廊下の方から女の悲鳴が聞こえてきた。「一体、何が・・」「誰か、お助けを・・」 背後から声が聞こえ、エリス達が振り向くと、そこには胸から血を流している女官の姿があった。「どうした、何があった?」「助けて・・」 女官は口から血を流し、そのまま絶命した。「これは・・」「呪いよ、魔女がこの子に呪いをかけたんだわ!」 別の女官がそう叫ぶと、エリスを指した。「違う、わたしは魔女じゃない!」「その者を捕えろ!」「フィリス様、アウグスト様、わたしは・・」「大丈夫だ、必ず助けてやる!」 地下牢へと連行されたエリスは、そこでクリスティーネと初めて会った。「クリスティーネ様ですね?わたくしは・・」「エリスね?フィリスとアウグストから話は聞いているわ。大丈夫、きっとここからすぐに出られるわ。だから、希望を捨てないで。」「はい・・」にほんブログ村
2019年09月20日
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犯罪者一家の御曹司・アルテミスと、現代のテクノロジーを駆使する妖精たちとの戦いを描いたファンタジー。妖精のイメージが、読み終わったらガラリと変わりましたね。全6巻ということで、これからの展開が楽しみです。
2019年09月15日
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賭場で借金を作った娘を探したマーロウは、次々と事件に巻き込まれる。事件の真相は何だかほろ苦いものとなりましたね。
2019年09月15日
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平凡な一家を襲った死。 先住民への偏見と、家族の再生を描いたいい作品でした。
2019年09月15日
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ロシア革命とスターリンによるソ連の政治体制を描いた風刺作品。読みやすく、ラストが皮肉に満ちてました。
2019年09月13日
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聡明な少女マチルダ。彼女の両親はテレビと金儲けしか頭にない。ロアルド・ダールの作品はブラックユーモアに溢れていて、マチルダの両親みたいなおろかな人間がいるなと思いながら読みましたが、最後まで面白かったです。
2019年09月13日
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ある男女の出会いと別れの物語。 胸がしんみりとした作品でした。
2019年09月13日
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女探偵・葉村晶が主人公の短編集。どの話も読みごたえがあって面白かったです。
2019年09月11日
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重度の脳性マヒを持つジェマは、ある日殺人犯の告白を聞くー脳性マヒでも、ちゃんと知性を持っているジェマ。彼女が医療の進歩によってコミュニケーションが取れ、好きなバンドのコンサート会場へいくラストシーンまで、ページをめくる手が止まらないほど、面白かったです。
2019年09月11日
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ジュリア・レストレンジ殺害事件の真相が徐々に明らかになるにつれ、衝撃的な結末を迎えるまで、ページをめくる手が止まりませんでした。パズルのピースが徐々にはめられていくような作品でした。
2019年09月11日
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海岸に遺棄された赤ん坊の父親探しを始めたエアハート。衝撃的な結末を迎えるまで、ページをめくるてが止まりませんでした。
2019年09月11日
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テキサス州の田舎町で、都会から来た黒人弁護士と、地元の白人女性が遺体で発見された。田舎町を舞台に、人種間のひずみや差別、そして軋轢を描き出した作品でした。まさに、人種間で分断された世界だなと思いながら、モヤモヤした結末を読み終えて、本を閉じました。
2019年09月11日
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何だかモヤモヤしたまま、意味不明なラストを迎えましたが・・続編はあるのでしょうか?
2019年09月11日
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最後の新選組局長・相馬主計が自決するまでの話ですが、明治の世で新選組として生きるのは相馬にとっては辛すぎたのですね。
2019年09月11日
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ビルボ達が繰り広げる冒険に、最後まで目が離せませんでした。
2019年09月11日
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短編集ですが、殺人のトリックを湯川が科学で謎ときする姿が面白かったです。
2019年09月11日
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湖底で発見された女の遺体から始まる事件と、その結末に驚き、ページを閉じてもその余韻は消えませんでした。
2019年09月11日
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ある家族と犬の物語。 心温まる作品でした。
2019年09月11日
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カンボジアで平和維持に携わっていたある日本人警察官の死ー事件の日の生々しい描写が、戦争の愚かさについて考えさせられました。
2019年09月11日
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実在する東京會舘をめぐる、様々な人のお話。上下巻ともに、時代の流れが変わっても、人との交流は変わらない・・そんな事を思いながら本を閉じました。温かい人と、建物との物語でした。
2019年09月11日
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何だか、摩訶不思議な世界を垣間見たような気がします。
2019年09月11日
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素材はNEO HIMEISM 様からお借りしております。「それは本当なの、フィリス?」「はい。王宮の侍女が、アンジェリーナの指紋がついていたグラスを保存しているそうです。」「そのグラスを王立研究所へ持っていけば、あの日クリスティーネ宛に送られた封筒についた指紋と一致するかもしれませんね!」「アンジェリーナに気づかれる前に、すぐにその侍女に会いに行かなくては!」「夜の雪道は暗くて危険よ、二人共気を付けてね。」 リリスに見送られ、フィリスとアウグストは王宮へと急いだ。 朝から降り始めた雪は、夜になると一層強く降ってきた。」「すごいな・・アウグスト、ランプの灯を絶やすなよ!」「わかっております!」 吹雪の中、二人は山道を抜け王宮へと辿り着いた。「フィリス様とアウグスト様ですね?お話は陛下から聞いております。」 王宮で二人を出迎えたのは、今回の事件の証拠を持っている侍女・エリスだった。「これが、このグラスです。」「ありがとう、エリス。恩に着るよ。」「いいえ、わたくしはクリスティーネ様の無実を信じております。どうか、クリスティーネ様の疑いを晴らして下さいませ。」「あぁ、必ずクリスティーネ様の疑いを晴らして、彼女を取り戻してみせる!」 エリスからアンジェリーナの指紋がついたグラスを受け取ったフィリスとアウグストは、王宮近くの宿屋に泊まる事にした。 宿屋の一階は酒場となっており、そこにはクリスマスの夜とあってか、真夜中も近いというのに、ワインを片手に男達が飲んだり騒いだりしていた。「アウグスト、まだ起きているか?」「はい。」「お前は俺よりもアンジェリーナの事に詳しいだろう?あいつは一体何者なんだ?」「詳しくは知りませんが・・アンジェリーナは名門貴族の出でありながら、ある事を理由に捨てられ、修道院に預けられたとか・・」「その理由が気になるな。まぁ、今夜は遅いし、休むことにしよう。」「はい・・」 夜の帳が下り、誰もが寝静まった宿屋の裏口から、一人の男が入って来た。 その男は二階へと上がると、迷うことなくアウグストとフィリスが居る部屋へと向かった。男は、フィリスの鞄の中を漁り始めた。「お前が探している物は、これか?」 アウグストがそう言って男にグラスを見せると、男はそれを奪おうとしたが、アウグストは男の手を邪険に振り払った。「これがどんな物なのか、お前は知っているのだろう?」「クソッ!」男はそう叫ぶと、隠し持っていた短剣でアウグストに襲い掛かった。だが、男の短剣がアウグストの喉元に届く前に、彼はフィリスの剣によって斃(たお)れた。「危なかったな、アウグスト。」「えぇ。彼はアンジェリーナの手の者でしょうか?」「さぁな。だが、このグラスを奪おうとした。油断できないな。」「もうすぐ夜が明けますね。すぐにこの宿屋を出ましょう。」「あぁ。」 朝焼けに照らされた街の中を、アウグストとフィリスは宿屋を出てファウジア邸へと急いだ。にほんブログ村
2019年09月11日
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短編集ですが、どれも面白かったです。
2019年09月09日
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素材はNEO HIMEISM 様からお借りしております。「アンジェリーナ様、本日はお招き頂きましてありがとうございます。」「大使、お忙しい中お越しくださいまして、ありがとうございます。」 真羅国大使・チェ=ボクナムは、アンジェリーナの美しさに見惚れていた。「大使、隣にいらっしゃる美しい娘さんはどなたです?」「こちらは娘のスヨンです。スヨン、アンジェリーナ様にご挨拶を。」「初めまして、スヨンと申します。」美しいチマ=チョゴリ姿の娘は、そう言うとアンジェリーナに向かって頭を下げた。「美しい娘さんですね。」「来年、英国に留学するんです。」「聡明な娘さんがいらっしゃって、大使の家は安泰ですわね。」「えぇ。」 父親の隣で微笑む娘-アンジェリーナが心から渇望しながらも、手に入らなかったものが、そこにはあった。「アンジェリーナ様、王宮から使いの者が・・」「わかった。」客が居る大広間を出たアンジェリーナは、王宮の使者が待つ玄関ホールへと向かった。「お待たせ致しました。」「アンジェリーナ様、陛下の侍医がお呼びです。」「えぇ、例の件で・・」「そうですか。では、すぐに行くと伝えてください。」 王宮の使者が去った後、アンジェリーナはジュリアにパーティーを任せ、雪が降りしきる中王宮へと急いだ。「パーティーの途中にわたしを呼び出して何の用?」「例のもの用意した。」 フェリペの侍医は、そう言うと小瓶をアンジェリーナに見せた。「この瓶の中にある物を、毎日一滴ずつ陛下の食事に入れます。」「誰にも見られないようにね。」「わかりました。」「あの娘の様子は?」「自分は無実だと、未だに訴えているようです。」「そう。」 フェリペの侍医と別れたアンジェリーナは、地下牢へと向かった。「クリスティーネの様子はどう?」「食事は残しておりませんし、健康状態も問題ありません。」「そう。」「アンジェリーナ様、あの娘はいかが致しましょうか?」「まだ生かしておけ。」「わかりました。」 まだあの娘には利用価値がある。利用した後で、彼女を斬首台へと送るのだ。「今年のクリスマスは、とても静かね。毎年、パーティーの準備で忙しかった時が嘘みたいだわ。」「奥様、余り気を落とさないでくださいませ。」アウグストがそう言ってリリスを慰めていると、誰かが激しくドアを叩く音がした。「誰かしら、こんな時間に?」「わたしが見て参ります。」アウグストが玄関ホールへと向かうと、ドアの向こうからフィリスの声が聞こえた。「ここを開けてくれ!」「フィリス様、こんな時間にどうなさったのですか?」「奥様にお会いしたいのです!クリスティーネが今回の事件で濡れ衣を着せられた証拠が見つかったのです!」にほんブログ村
2019年09月09日
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ラストまであと少しとなりましたね。何だか寂しいような、続きが気になるような気がします。
2019年09月05日
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少年の目線から描いた、家族や友人との絆の物語。 クオーレとは、イタリア語で「心」の意味。 少年の「心」をありのままに描いていて、とても新鮮でした。
2019年09月05日
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エーランド島四部作の最終作みたいですが、初めてこの作品を読みました。復讐を誓う男の存在と、忌まわしい事件。二転三転する展開と、怒濤のラストまで一気読みしてしまいました。他の作品も機会があったら読んでみようと思います。
2019年09月02日
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恋人パトリックとの暮らしに耐えかね、娘二人を連れて湖畔の町へと引っ越したジャスティーン。彼女はそこで、大叔母の妹・エミリーの失踪と父親の自殺についての真実を知る・・怒涛のラスト30ページまで、目が離せない展開が続いてあっという間に一気読みしました。
2019年09月02日
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素材はNEO HIMEISM 様からお借りしております。 笑いさざめく人々。 豪華な料理が広がるダイニングテーブル。 そして、宝石で美しく飾られたクリスマスツリー。 かつて、自分が望んでいたもの。そして、手に入れられなかったもの。 だが今夜、遂にアンジェリーナは手に入れたのだ。「盛大なパーティーですなぁ。」「ありがとうございます、伯爵。」「それにしても、今回の事件には驚きましたなぁ。陛下の信頼厚いクリスティーネ様が、王妃様の指輪を盗むとは・・」「陛下は、彼女に恩を仇で返されたと、大層お怒りのようです。」「当然でしょう。彼女に厳罰を望みます!」「そうですわね。」 アンジェリーナは、クリスティーネへの厳罰を望む周囲の声を聞きながら、密かにほくそ笑んでいた。 まだ、彼らは自分の嘘に気づいていない。このまま、彼らを騙しながら例の計画を進めなければ―アンジェリーナはそんな事を思った後、ワインを飲み干した。「アンジェリーナ様。」「何だい、後にしてくれないか?見ての通り、わたしは客をもてなすのに忙しいんだ。」「それが・・」侍女から何かを耳打ちされたアンジェリーナは、彼女と共に地下室のワインセラーへと向かった。「久しいな、アンジェリーナ。あの頃と全く見違えたんじゃないか?」「何故、お前がここに居る?」アンジェリーナは、自分の前に立っている男の顔を睨んだ。男の名は、レイノルス。 アンジェリーナに一生消えない傷と悪夢を与えた彼は、アンジェリーナの胸元を飾っている首飾りを見た。「それは、王妃様の首飾りだな?盗みの腕は昔から一流だったな・・」「一体わたしに何の用?」「お前に会いに来たのは、修道院で過ごしたあの輝かしい日々を再現する為だ。」「ふざけるな!」 アンジェリーナがレイノルスを突き飛ばすと、彼はアンジェリーナの身体をワインセラーに押し付けた。「お前の秘密を知った時、感動で胸が震えたよ。」アンジェリーナの身体をまさぐりながら、レイノルスはドレスの中に隠された彼の秘密を暴こうとしていた。「アンジェリーナ様!」 アンジェリーナの秘書・ジュリアは、主が中々地下室のワインセラーから戻って来ない事を不審に思い、侍女と共に地下室のワインセラーの中に入ると、そこには頭を殴られて気絶している男の横で震えている主の姿があった。「これは・・何が起きたのですか?」「この男を外へ捨てて来い。」「アンジェリーナ様・・」「早くしろ!」 アンジェリーナの様子がおかしい事に気づいたジュリアだったが、彼は床に伸びている男を侍女と共に地下室から二人がかりで男を運び出し、近くの森の中へと捨てた。「アンジェリーナ様、男を森に捨ててきました。」「ご苦労様。お前達もパーティーを楽しむといい。」「あと、例の物を牢番に渡しました。」「そう。お前は仕事が早くて助かるよ、ジュリア。」にほんブログ村
2019年09月02日
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