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ネットでスチュアート・ピゴットの本を探していたら出てきたDVD。1999年リリースで、1998年のモーゼルの葡萄畑と造り手の仕事ぶりを一年を通して取材、約1時間にまとめたドキュメンタリー。スチュアート・ピゴットが監修。春・夏・秋・冬・アイスヴァインの5章構成で、葡萄畑でそれぞれの季節にどのような作業が行われているのか、モーゼルの産地としての個性はどこにあるのかを、ヴィリ・シェーファー、エルンスト・ローゼン、ヘイマン・レーヴェンシュタイン、ハインツ・シュミット、クレメンス・ブッシュといった醸造家達のコメントとともに示している。ヒュー・ジョンソンもゲスト出演。モーゼルに住んでいても、醸造所のケラーでの作業を見せてもらえる機会はまれなので、フーダー樽の発酵温度をコントロールする「コイル」とか「バナナ」とか呼ばれている器具のことは以前から聞いてはいたけれど、このフィルムで初めて目にした。長さ1mくらいの湾曲したステンレス製の棒で、中を冷却水が循環する仕組み。そいつを樽の上にあいた穴からつっこんで、穴と器具の隙間をタオルでふさぐ。また、二酸化硫黄を染みこませた紙片を燃やして樽を殺菌する様子、あるいは澱引きの作業など。Dr.ローゼン醸造所のケラーマイスターが樽をひとりで「えいやっ」と持ち上げて傾け、澱を最後まで流し出すシーン、腰を痛めそうである。また、収穫作業員がコンテナに背負った籠を開けるとき、腰を折り曲げた瞬間に思わず出た苦痛と疲労の滲んだ吐息、これもモーゼルのワイン造りが過酷な肉体労働を伴うことを如実に示していた。アイスヴァインの収穫と圧搾シーンも貴重。モーゼルの美しい光景とともに、モーゼルのワイン造りの全てがこれ一本で「ほぼ」解ります。「ほぼ」というのは、実際に飲まなくては完成しない、という意味ですが(苦笑)。ヒュー・ジョンソンとピゴットの英語の他は、ドイツ語のみ。でも、ワイン好きなら充分楽しめるでしょう。Ein Weinjahr - Vom Werden des Weins im Wandel der Jahreszeiten.監督:Thomas Struck制作:Thomas Struck & Peter Stockhaus Filmproduktionwww.absolutmedien.de価格:約15~20Euro(DVD)おまけ。今日のマキシミン・グリュンハウスの葡萄。先々週に少し雹が降り、弱冠ダメージが出ています。
2007/06/29
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相変わらず肌寒いです。天気予報が言っていた雪は降りませんでしたが(苦笑)。写真は2週間前の週末、トリアー郊外にて。丘の上に風力発電機があるあたりです。今日のワインスタンド。トリアーの南の町外れにザンクト・マティアスというベネディクト派の修道院があり、毎年キリスト昇天の日には各地から巡礼が訪れることで有名な所です。そのすぐ近くにある醸造所だそうで、トリアーに来て8年以上になりますが、そんなところに葡萄畑があるとは初めて知りました。2.5haのその畑を世話してワインを造っているのは、女性醸造家のウルスラさん。恰幅のいいおかみさんです。醸造学校に通ったことはなく、「みんなとうちゃん、かあちゃんから教わったんだよ!」という彼女のリースリングは至極まっとう。トリアラー・ザンクトマッタイザー(2.5ha)はスパイシーで力強いミネラルが、ザールのヴィルティンガー・シャルツベルク(0.5ha)はまったりとした柔らかなミネラルが感じられ、それぞれ土壌の個性がよく表れていましたし、果実味も素直で好印象です。ワインリストを見せて貰うと、なんと1本1Euro!(2000er Trierer St. Mattheiser Riesling QbA halbtrocken)から。売れ残りだからね、とはいうものの、それでも安すぎます。一番高いのはシュペートレーゼの5Euro。ご主人が公務員をしているそうで、生活はかかっていないとはいうものの、欲の無い価格設定と思います。「よかったら、収穫手伝いに来る?だったら助かるわぁ」とのこと。まだ数ヶ月先...たぶん9月中旬から下旬にかけて...ですが、興味のある人は連絡してみてはいかがでしょう。Weinbau Franzen-GrimbachAuf dem Kirchspiel 1554294 TrierEmail: info@weinbau-franzen.de
2007/06/27
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(Deutsche Zusammenfassung s. unten.)日本は猛暑と聞いていますが、ドイツはまるで秋。肌寒いです。水曜には山間部で雪が降るかもしれない、と天気予報は言っていました。カールスミューレ醸造所のオーナー兼ケラーマイスターのペーター・ガイベン氏と醸造家のシルヴィア・ウェルスさん。さて、先週末、ルーヴァーのカールスミューレ醸造所の試飲会に行って来ました。毎年思うのですが、良い出来です...ゴー・ミヨのワインガイドの評価と、一番乖離を感じる醸造所の一つですね。フォン・シューベルトもそうですが。全体的に、ミネラルの味が濃厚な果実味の中に非常に綺麗に出ています。時々、ミネラルと紛らわしい苦みを感じるワインがありますが、2006年産のここのワインにはあてはまりません。輝くような、とでも言いますか、力強さと透明感を備えた柑橘の果実味に、土壌の味わいが素直に出ていると思います。畑ではカーゼラー・ニッシェンが他の畑のワインよりも端麗でエレガント、ローレンツホーファーは濃厚で充実した果実味と感じました。また、辛口はがっしりとして、甘口も明瞭な仕上がりですが、ファインハーブはどこかしら優柔不断な印象...完成度は個人的には辛口か甘口の方が高いような...好みの問題ですけれど。ガイベン氏のお薦めはローレンツホーファー・シュペートレーゼ辛口。自然酵母に最初から最後まで任せきりで発酵、「是非飲んでみてくれ」と仕上がりに満足していました。しなやかで力強く、かつエレガントなリースリングです。個人的なヒットはローレンツホーファー・カビネット辛口。濃厚な果実味にたっぷりとしたミネラルがほのかにクリーミィな印象を与えつつ、素晴らしい調和を見せています。7.20Euroの値段も嬉しい。ここ数年、平均収穫量は35hl/ha前後とのこと...ゴー・ミヨの数値(55hl/ha)と違いますが。2006年産も同様。傷んだ房は摘まずにイノシシなど野生動物に残しておいたそうです。でも動物愛護の精神からではなく、「あとで仕留めてウチのレストランで出すんだよ」とのこと(苦笑)。ガイベンさんとウェルスさんの造る力強いリースリングには、きっとよくあうことでしょう。醸造所HP: www.weingut-karlsmuehle.deJahrgangspräsentation von Weingut Karlsmühle Was dieses Weingut betrifft, stimme ich jedes Jahr der Bewertung von Gault Millau nicht zu. Auch für den Jahrgang 2006 präsentierten Peter Geiben und Sylvia Wels eine hervorragende Kollektion. Mir fällt vor allem sehr saubere mineralische Geschmack auf, darin spürte ich keine Bitternote, die ich für den trockene 2006er manchmal begegnete. Einige Spontangegorene Weine stellen seine Lagencharakter deutlich dar (Lorenzhöfer Riesling Sp. tr. & Lorenzhöfer Aus. tr. Selektion v. alten Reben). Insgesamt dicht, blitz sauber und sehr mineralisch, kräftig, trotzdem elegant. Übrigens meine Favorit war Lorenzhofer Riesling Kabinett trocken (7.20Euro)…habe ich sofort einige Flaschen gesichert.
2007/06/25
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連日のように短時間豪雨が降っては、陽が差す今日このごろ。雨上がりの道ばたにて。今週のワインスタンドは、オレーヴィヒのヴァインハウス・ベッカー醸造所。ここが経営するレストランはミシュランでも星の一歩手前かそこらあたりらしい。8年住んでいてまだ3回しか行ったことはないけれど、また是非行ってみたいところ。肝心のワインの方はいまいちだったが、2004年からファン・フォルクセン醸造所で腕を証明したゲルノート・コルマン氏に醸造を依頼。とたんにワインが様変わりして、クリーンで濃厚かつアロマティックな仕上がりに。シュペートブルグンダーはバーデンのヴァインハウス・ヘーガーを思い出す。この醸造所、数ヶ月前にレストランに加えてワインバーを併設、新規オープンしたので、ワインだけ飲みに行くことも出来る。とはいうものの、一杯150ccで3.50Euro前後からと高めで、つまみはチーズかオリーブのみと寂しい。頼めば、レストランの前菜くらいは出てくるかもしれないが。
2007/06/21
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先週末の散歩にて。先日、友人に『千の風になって』という曲を教えてもらいました。以来よく聴いています。いい曲ですね~。疲れている時に聴くと、泣けてきます(苦笑)。
2007/06/19
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葡萄畑の丘の上にある、シュロス・ザールシュタイン醸造所。空一面を覆っていた暗灰色の雲が途切れ、緑に染まった葡萄畑のなだらかな傾斜に陽光が降り注いだ。丘の上端に聳える1900年に落成した醸造所のテラスに溢れる光が、ザールの渓谷を吹き抜ける風とともに試飲の行われている室内へと流れ込む。窓際のテーブルに並ぶクーラーからボトルを取り出し、グラスに一口だけ注ぐと、淡い金色に輝く2006年産のリースリングから爽やかな柑橘とミネラルが香り立った。「去年は、10月5日にヴァイスブルグンダーの収穫からとりかかったのだけど」と、シュロス・ザールシュタイン醸造所のオーナー、クリスチャン・エバート氏。「他の葡萄も完熟していて、大あわてで収穫しなくちゃならなかったよ」 83エクスレで始まった収穫作業は、11haをわずか2週間半で完了。収穫期間の乾燥した好天と傷んだ房を捨てていったことで、収穫量こそ例年の3割減となったが、ワインの質は非常に高い。最も手頃な価格(4.60Euro)のハウスワインから既に、ミネラルと黄色い柑橘の香る爽快な仕上がりを見せている。醸造所オーナーのアンドレアとクリスチャン・エバート夫妻。先日のVDPモーゼルの新酒試飲会では濃厚に思われた果実味も、醸造所で改めて試飲すると、ミネラルと酸味の充実感に由来していたことがわかる。ザールのワインを「鋼鉄」に例えさせるこの二つの要素は、かつては軽さの中で突出して感じられたものだ。だが、2005, 2006年と温暖化の影響で完熟した葡萄果汁にある酸味は、明確に存在を主張するものの、ミネラルとともに果実味の力強い支柱となり、ワインに生き生きとした躍動感と凛々しさを与えている。中辛口、甘口と甘みが明瞭になるにつれて、味わい全体の調和の厚みを増しつつ、基底にあるミネラルと力強い酸のアクセントが立体感を与えている。ザールの最も奥まった所にあり、最も寒冷であった醸造所の所在するゼーリヒ村は、温暖化の恩恵を現在最も受けているようだ。新酒も既に半分は売り切れたと言った時、人当たりの良いクリスチャンの笑顔がいっそうほころんだ。「ちゃんと冷えているかな?」試飲会のお手伝いをするエバートさんの娘さん。二部屋にまたがる試飲会場の奥に、もう一つテーブルがあった。そこに並ぶのはボックスボイテル。フランケンのハンス・ヴィルシング醸造所のワインだ。クリスチャンの奥さん、アンドレアの実家である。所有する畑面積は72haと、かなり大きい。「従業員も20人くらいいるよ。僕の実家じゃ、1人しか雇っていないけど」と、ヴィルシング醸造所で研修中のマキシミリアン・フォン・クーノゥ氏。11haの葡萄畑を所有するザールのフォン・ヘーフェル醸造所のオーナーの息子である。「規模も違うけど、葡萄品種も違うし、辛口が多いことも違う。だから面白い」とマキシミリアン。栽培品種の38%がジルヴァーナー、20%がリースリング、8%ずつミュラートゥルガウとヴァイスブルグンダー、その他にショイレーベ、ケルナー、シュペートブルグンダーにドルンフェルダーなど。一方、フォン・ヘーフェル醸造所は100%リースリングだ。このフランケンにあるドイツ最大の個人経営醸造所の一つは、規模は大きくても、ワインの品質はシュロス・ザールシュタイン醸造所にひけをとらない。ここでもまた、ハウスワインに相当する「ザンクト・ファイトSt. Veit」(ケルナー、ミュラートゥルガウなどの混醸、5.20Euro)からして既にミネラル感のしっかりした華やかさのある辛口で、とても楽しめる。ジルヴァーナーのカビネット辛口はメロンと青リンゴの香る、フルーティで調和のとれた辛口で、ジルヴァーナーのお手本のようなワインだが、同品種のシュペートレーゼ“S“は一気に果実味が舌の上で広がる奥行きを備え、複雑さ、土壌の味わい、完熟したりんご、プラムなどが渾然一体。見事なものだ。最上の畑イプホーファー・クローンスベルクとユリウス・エヒター・ベルク(それぞれ20haと13haを所有)から、樹齢30~40年前後の古木の完熟した房を手作業で選別しながら収穫(セレクション)したことにちなむ“S“であるが、「『最上の』を意味するシュピッツェSpitze、スーパーSuper、メルセデスのSクラスとか。色々、とりようはあるわね」と、アンドレアのお姉さん。同じ“S“のリースリングもジルヴァーナーに勝るとも劣らない見事なものだったが、その半額近いノーマルのイプホーファー・カルプのシュペートレーゼ・ファインハーブ(8.80Euro)は、力強いミネラルにクリーミィなボディ、完熟したりんごのヒントがとても魅力的でコストパフォーマンスは高い。赤も数種類出ていたが、同じフランケンのルドルフ・フュルスト醸造所の赤を小柄にしたような印象を受けた。キーボードの生演奏が静かに流れる試飲室を出て、麓に広がる葡萄畑の中に入ってみた。例年ならばちょうど今頃満開の葡萄はすでに結実を終え、今年の実となる小さな緑色の粒をつけていた。2003年以来前倒しを続けている収穫は、今年、102年の観測史上最も早い9月中旬開始となる見込みだという。どんなワインになるのか、まだ固い葡萄の粒に期待を込めつつ、ザール最北の葡萄畑を後にした。シュロス・ザールシュタイン醸造所のHP: www.saarstein.deハンス・ヴィルシング醸造所のHP: www.wirsching.de
2007/06/17
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先週末のキャンパスで。飛んでいる蜂を撮ろうとしたのですが、思ったより難しいですね。蜂が動くのでフォーカスが間に合わない、構図もとれない。納得のいく絵を撮るには、運と根気が要りますね。今週のワインスタンド。前半がルーヴァーのフートマッヒャー醸造所。所有面積はわずかに1ha、ご主人はルクセンブルクの銀行に勤めている兼業農家。ワインの質はルーヴァーの中でも上等な部類に入ると思います。透明感と繊細さがあり、フルーティ。ブライリング醸造所、ファン・エルカン醸造所とほぼ同格かな。去年コメンテイターを体験したルーヴァーの比較試飲会、先週末にあったのだけれど、今年はコロキウムで行けなかった。「どうしたの?みんな気にしていたよ」とご主人に言われ、ちょっと嬉しかったです。後半がトリアーのシュライマー醸造所。時々散歩で畑の脇を通り過ぎると、厩舎の家畜の糞まじりの敷き藁が農道に積んである。有機農法に取り組んでいるらしい。2006は従来よりしっかりしたミネラルとフルーツのアロマがあるけれど、味の真ん中がぬけているような気がする。悪くはないんだけど...ふむ。
2007/06/15
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このところ、やや蒸し暑い日が続いています。先月末に修理に出したタムロンのA09。50Euro以下なら見積もり不要、と依頼書にメモをつけてケルンのサービスセンターに郵送したのですが、一向に音沙汰がなかったので、てっきり修理に入っているものと思っていました。が、甘かった(苦笑)。今日ファックスがジーっと音をたてて吐き出したのは、タムロンの修理費用見積書。やっぱり50Euro以上かかるんだ、と思いつつ手にとって金額に目をこらすと....241.57Euro....! ガーン。ズーム軸、ズームチューブバス、(Direct Thrust Barrel, Cam Barrel, Fluted Barrel)の交換部材に86.50Euro、工賃108.50Euro、送料8.00Euroに付加価値税19%が38.57Euro、しめて241.57Euro也...ほぼ4万円です。新品が270Euro台から買えることを考えると、修理にGOをかけるのはほとんど無意味な金額に思えます。日本のタムロンに依頼したら、もうちょっと安く仕上がるかな...どなたか、ご存じでしょうか。それにしても、注意一秒けが一生、覆水盆に返らずというか、なんというか。今後気をつけようと思います...トホホ。おまけ。大聖堂の回廊。
2007/06/12
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(Deutsche Zusammenfassung s. unten.)6月最初の水曜日、毎年恒例のVDPモーゼルの新酒試飲会に行って来た。すっかり夏めいて気温は30度近く、バラの咲き乱れる公園の一角にあるホールを吹き抜ける風が心地よい。昨年まで商工会議所のコンクリートとガラスで囲まれた檻のような環境よりも、気持ちゆったり試飲出来る。盛況な試飲に上機嫌のVDPモーゼル会長でザールのフォン・ヘーフェル醸造所のオーナー、エバハート・フォン=クーノゥ氏。今年はザールのヘレンベルク醸造所を除く28醸造所が参加。昨年は一般に9月の高温多雨で完熟したものの傷みや黴の広がりも早かったと言われるが、モーゼル中流では他地区に比べると果実の傷みは少なかったそうだ。また、ザールのシャルツホーフベルク周辺で収穫直前に雹が降ったり、またブラウネベルクでも夏に雹が降ったりと、収穫の状況には局地的にばらつきがみられる。10月の乾燥した天候で果実の水分はみるみるうちに蒸発、収穫量は2005年より3割前後減ったところも少なくない。また、収穫開始の判断を的確に下して速やかに作業を行った所、人手不足でそうも行かなかったところ、収穫時の選果を丁寧に行った所、傷みの進行が早すぎて選果どころではなかったところ、グリーンハーヴェストや除葉の成果で収穫量を抑えるとともに健全な収穫を確保出来たところ、その逆に傷みが多かったため活性炭でしっかりと黴臭などを除去した結果香味に生彩を欠くところ、醸造上の操作に由来すると思われる苦みが感じられる場合もあり、千差万別である。また、一般に2006年は辛口・中辛口よりも甘口から極甘口の年であるという。試飲に集中するケッセルシュタット醸造所のケラーマイスター、ウォルフガング・メルテス氏。ただし、モーゼルのVDP加盟醸造所に関して言えば、大半の醸造所は2005年に続き素晴らしい仕上がりを見せている。完熟した葡萄の豊かな香味にしばしば出会い、濃厚で複雑で土壌の味わいのする個性的な、非常に楽しめるワインが多かった。だが逆に、従来ならモーゼルやザールらしさと思われていた、生き生きとした酸味と繊細で軽やかな果実味が魅力的なワインは希少になりつつあるように思う。温暖化の恩恵であると同時に、モーゼルのリースリングらしさとは何か、考えさせられた。そんな中でも繊細な軽さと上品さを感じさせたのは、ザールではツィリケン醸造所とDr.ヴァーグナー醸造所、モーゼルではヴィリ・シェーファー醸造所。オレンジ、柑橘、シーファー、完熟してアロマティックでありつつも、軽さと繊細さを失っていない。Dr.ローゼン醸造所も柑橘にフレッシュで上品な酸味があり、畑の土壌の味もよく表現されており、ソリッドな仕上がりでモーゼルらしさが感じられる。フリッツ・ハーグ醸造所も透明感のある甘みとミネラルが、重さを感じさせない。エゴン・ミュラー醸造所はカビネット1本のみだが、我が道を行く、の趣あり。クラシックなスタイルで、生産年の差を良い意味であまり感じさせない。逆に濃厚さを感じたのは、ザールではフォン・ヘーフェル醸造所、フォン・オテグラーフェン醸造所、シュロス・ザールシュタイン醸造所、モーゼルではザンクト・ウルバンスホーフ醸造所、Dr.ターニッシュ醸造所、ヴィリ・ハーグ醸造所など。フォン・ヘーフェルは貴腐のヒントがある完熟した濃厚なワインで複雑、シュロス・ザールシュタインは濃厚な完熟したアロマに南国の果実を思わせる。ターニッシュは2005年の好調ぶりを引き継いで濃厚ながら楽しめる仕上がり、ヴィリ・ハーグは濃厚で複雑ながら、ややアルコール感が重く華やかに感じられる。ザンクト・ウルバンスホーフ醸造所は完成度が高く、濃厚だが醸造所のスタイルとして魅力的。ラインホールト・ハールト醸造所も土壌の味が濃厚で完熟したフルーツに表現されており、美味しい。元VDPモーゼル会長でフリッツ・ハーグ醸造所のご隠居、ヴィルヘルム・ハーグ氏。いずれにしても、完熟して収穫量が少なかったことが、今回試飲した2006年産に関してはポジティブに現れていたように思われる。出来栄えにばらつきがみられることからも、昨年のように『世紀のヴィンテージ』という呼び声は聞かれないが、定評のある醸造所、例えばフリッツ・ハーグ醸造所では、現時点で8割前後が売り切れているという。ザンクト・ウルバンスホーフ醸造所も在庫はあと2, 3ヶ月持つかどうか、という状況だそうだ。気に入った醸造所があるならば、出来るだけ早く注文した方がいいだろう。Wegen der warmen, feuchten Witterung im September war der Jahrgang 2006 für die Winzer eine Herausforderung. VDP Mosel-Saar-Ruwer präsentierten am 6. Juni (Mi.) ihre neue Kollektion, brachten meisten Betriebe doch hervorragende Ergebnisse. Viele Weine zeigten ein dichter, komplexer, aromatischer und recht genussvoller Charakter (St. Urbanshof, Von Hövel, Schloss Saarstein, Rheinhold Haart, usw.), hingegen gehörte meiner Meinung nach schlanke, elegante, feinnervige Weine eher Minderheit (Dr. Wagner, Zilliken, Willi Schäfer usw.). Ich frage mich: Was ist eigentlich typischer Charakter von Mosel? Früher sollte er leichte, elegante Weine mit feiner Säure gewesen sein. Aber jetzt scheinen er mir dichte, komplexe Weine mit harmonischer dezenter Säure mit jeder Menge Bodengeschmack. Diese Tendenz finde ich gut, aber vermisse ich irgendwie die Leichtigkeit des Weins...
2007/06/09
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木曜から土曜まで、博論でお世話になっている先生の70歳記念コロキウムでした。西欧中世史を勉強している人なら、大抵一度は読んでいる人たち-ペーター・ブリックレ、クヌート・シュルツ、ペーター・ヨハネク、フランツ・イルジーグラーなど-も各地から先生の誕生日を祝う為に集合。彼らが入れ替わり立ち替わり研究発表をしてはディスカッションが続きます。先生のお弟子さん達がオーガナイズしたのですが、直前まで先生には内緒にしていたそうです(苦笑)。以前も65歳の誕生日記念論文集を極秘裏に出版、誕生日に「実は!」と贈呈したこともあります。今回はモノではなく思い出を贈ろうというコンセプトで各地に招集をかけたそうで、粋な計らいだと思いました。初日が終わった後は、学食のゲストルームで軽食とワインで懇親会。ビールは無く、がっかりしている先生も。大学の先生方は私見ですが、一般に思われているほどワインに関心のある方は少ないような気がします。ワインが好きな方もいらっしゃいますが、すすんで色々ワインを試してみようという方は少ないようです。さらに一歩進んで、授業の一環で醸造所見学を学生と一緒に行った先生も希にはいますが、大抵は、毎年同じ醸造所から買って終わりか、行きつけの居酒屋のワインで満足して、それ以上視野を広げようという方は、ほとんどいないようです。もっとも、ワインなど余計な事にかまけず、専門分野をしっかり勉強したからこそ、学者として成功している訳でもありますが。そこへ行くと、僕は....う~ん。先が思いやられます(苦笑)。一杯のワインを味わう先生。学問には厳しいですが、心の温かい方です。
2007/06/08
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地元紙によれば、今年の開花は記録のある102年間で最も早いそうな。先週末の時点で、立地条件に恵まれた畑は既に開花を終えており、普通の畑がちょうど満開、条件の良くない畑がぼちぼち開花を始めたといった感じだったようだ。土曜日午後、ザールのヴィルティンゲンの駅にほど近い畑では丁度満開になりかけていた。右中央上よりの花、おしべがとれてめしべにくっついている。自家受粉完了である。例年だと10月上旬から中旬にかけて始まるリースリングの収穫開始も、今年は9月中旬あたりになるかもしれな。2週間くらい前、モーゼル中流の一部で雹の被害があったそうだ。ここ3年くらい毎年局地的に雹の被害がある。温暖になった反面、天候の変化もまた極端になる傾向があるようだ。
2007/06/05
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マキシミン・グリュンホイザーの畑。一角が更地になっているように見える。植え替えだろうか...?フォン・シューベルト醸造所の新酒試飲会に行ってきました。ルーヴァーの、あるいは人によってはドイツ最上の(笑)リースリングの造り手です。2004年に往年の名ケラーマイスター、アルフォンス・ハインリヒが引退し、若手醸造家のシュテファン・クラムルに代わってから、ワインのスタイルも一段とストラクチャがしっかりしたように感じています。ケラーマイスターのシュテファン・クラムル氏。試飲会場にて。2006年産はミネラル感がしっかりして、全般にまだ若いせいか、青リンゴのヒントが目立ったように思います。平均収穫量は約35hl/haと前年の50hl/haよりかなり下回っているのは、9月の高温多湿でボトリティスをはじめとする黴や傷んだ房をセレクションした結果とのこと。低収穫量の成果は辛口はもとより、甘口においても非常に充実して中身の詰まったミネラル感からも伺えます。低収穫量とともに、2006年産のもうひとつの特徴は、ほとんどの樽を自然酵母により発酵させたこと。培養酵母を添加せず、また他の樽で活発に発酵しているモストの一部を移すこともせず、樽の中で自然に発酵が始まり、進んだそうです。畑に生息する自然酵母のみを用いたことで酸味がワインの味全体の中により自然に馴染み、フルーツ感とボディのバランスが良くなった、とケラーマイスターのクラムルさん。個人的な印象でも、ワインは充実していながらも繊細な酸がスマートな印象を与えるとともに、アフタに綺麗な余韻を残します。2005年産で初登場した『スペリオール』は2006年産にも継続され、ヘレンベルクとアプツベルクの2種類がありますが、この2つだけは他の辛口、中辛口とは果実味のニュアンスが青リンゴではなく、黄リンゴ、プラム、蜂蜜など、華やかで複雑で、完熟した収穫を用いたことを伺わせます。また、ヘレンベルクのシュペートレーゼ甘口は2006年産の中でもとりわけ完成度が高く、繊細で凝縮した非常にエレガントなリースリング。ハウスワインに相当する『マキシミン・グリュンホイザー』QbAのファインハーブと甘口も素直に美味しく、良好なコストパフォーマンス。試飲を終えて窓の外を見ると、醸造所の向かいに広がる畑の一角が更地になっているように見えました。樹齢50年を越えて収量の落ちた区画を植え替えたのかな、と思ったら、なんとリースリングを引き抜いてシュペートブルグンダーを植えたそうです。「アールとルーヴァーの違いは何だと思う?」とクラムルさん。「ほとんど違わないんだよ。どちらもシーファー土壌で、最近は温暖化でルーヴァーの気温もアールとほとんど変わらなくなっている。シュペートブルグンダーがアールで成功しているなら、ルーヴァーで出来ない理由はない」とのこと。植えたばかりのクローンは777など低収穫量・高品質を基準に数種類選び、所有する最上の畑アプツベルクの1haを犠牲にしたところにも、ルーヴァーから最高のピノ・ノアールを造ろうというフォン・シューベルト氏の意気込みが伺えます。初リリースは3, 4年後になる見込み。モーゼルの赤ワイン品種の栽培面積はこの20年で約3倍に増え、2006年は9.4%を占めるまでになっていますが、反面説得力のある見事なシュペートブルグンダーをリリースしているのはマルクス・モリトールくらいなものです。フォン・シューベルトがそれに並ぶほどの赤をリリース出来るかどうか楽しみでもある反面、引き抜かれてしまったリースリングの古木が哀れでもあります…。
2007/06/03
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