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今週に入ってから、また暖かくなりました。春も間近といった感じですが、厚い雲に閉ざされた景色は陰鬱。溜息をつきながら歩いていると、ふと、こちらに来たばかりの頃のことが思い浮かびました。右も左も判らない状態で、最初にやらなければならなかったのは、アパート探しです。短期留学や奨学生の場合は外国人学生課が寮に部屋を確保してくれますが、私費の場合、とりあえず寮に申し込むことは出来ますが、半年以上の空き部屋待ちと言われました。しかし、なんとかして出来る限り早く部屋を見つけなければなりません。学生課(Studentenwerk)で部屋を斡旋してくれると聞き、行ってみました。「あの、部屋を探しているのですが…。」「この中から適当なのを探して、自分で連絡をとってみて。」とカードを一束わたされました。「え、僕が電話するんですか。」「きまってるじゃない。」と担当のおばさん。そんな、電話しろって言っても、片言のドイツ語がやっとなのに…。とりあえず、家賃の安い物件を2件選んで、公衆電話を探しに外へ出ました。一体どんな部屋なのか、見てみるまでは判りません。老婆が住む家の屋根裏の、古びて湿った、電話も通じていない部屋が、何故か脳裏に浮かんだりしましたが、それでもいい、とにかく部屋を見つけなければという心境でした。その時泊まっていたのは安宿とはいえ、懐は心細くなる一方です。「ツー・ツー・ツー・ツー…」勇気を奮い起こして電話をかけても、受話器の向こうは誰も出る気配がありません。もう一方の物件も同じ。しばらく待って諦、溜息をつきながら生け垣の側に腰を下ろし、9月末のドイツの、日本の空より広く高く真っ青な秋空を眺めながら、途方に暮れた時の心細い思いは、いまだに鮮明に蘇ってきます。結局、町からほど近い学生向けアパートの管理会社に最初に連絡がとれ、20平米でシャワーと簡易キッチン、ベッド、机、クローゼットにケーブルテレビも通っていて、家賃も月3万円ほどだったので即決。学生寮よりは高いですが、環境は同等です。そんな部屋に住みはじめて、かれこれ8年…本やら友人から貰い受けた本棚などでだいぶ手狭にはなりましたが、一人で住むには充分。もっとも、そろそろ、学生生活にもケリをつけなければと思う今日このごろです。冬の夕暮れ。空の広がりはあの頃と同じ。
2007/01/31
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昨晩は雪がちらついたが積もることなく、翌朝には所々にうっすらと雪化粧を残して消えていた。夕刻、町中へ行ったついでに、大聖堂の地下聖堂に立ち寄る。先日、1981年から2001年までトリアー司教を務めていたヨゼフ=ヘアマン・シュピタル氏が81歳で亡くなり、ここに埋葬された。埋葬式は先週水曜日だったかと記憶している。その時飾られたとみられる花がしおれかけている様子は、棺のなかの亡きがらの様子と重なった。地下聖堂には頭上で執り行われるミサや説教、パイプオルガンの演奏がすっかり聞こえてくる。動かなくてもミサに参列できるのは、魂の救済に御利益があるのだろうか。聖堂のあちこちの祭壇や壁には、高貴な家柄の人々が埋葬されている。また、教会の周囲にある墓地でも、教会に近いほど良い場所なのだそうだ。どんよりと曇った寒い一日。気持ちもまた、しずみがちだった。大聖堂の一角にある燭台。街角の土産物屋にあった聖母子像。
2007/01/27
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トリアー地元紙のサイトによれば、1月25日早朝バーデンで、2006年産初のアイスヴァインの収穫に成功したそうです。フライブルク近郊にあるランドマン醸造所(Freiburg-Waltershofen, http://www.weingut-landmann.de/)では、早朝に氷点下9度に175エクスレ前後のアイスヴァイン果汁をハーフボトル400~500本分といいますから、およそ200リットル収穫。葡萄品種は記載されていませんが、おそらくシュペートブルグンダーのようです。葡萄の状態は、昨年来の温暖な気候にもかかわらず良好で、腐敗もなかったと醸造家は語っています。この他、カイザーシュトゥールのオーバーロットヴァイル醸造協同組合でも400リットルの195エクスレのアイスヴァイン果汁収穫に成功したそうです。ちなみにランドマン醸造所のアイスヴァインは予定価格50Euro前後(ハーフ)。2001年産より弱冠-10Euroばかり-高くなっています(苦笑)。
2007/01/25
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さむいっ。寒いです。今日はこの冬一番の冷え込みで、やっと冬らしくなりました。明日朝のモーゼルの最低気温も氷点下6度との天気予報でしたので、局地的にはアイスヴァインに必要な氷点下8度まで達する可能性があります。1999年産のアイスヴァインも、翌年1月25日に収穫した醸造所もありました。しかし1999年に比べるとこの冬ははるかに暖かかったので、まだ使える葡萄が残っているところがあるかどうかは疑問ですが…。トリアーのアイスヴァインを狙っていた葡萄畑は、とうの昔にあきらめていますが、R&Bクネーベル醸造所もザールブルクのツィリケン醸造所もトライしていると聞いていますので、もしかすると、どこかで成功するかもしれません。ともあれ、この寒さは今週いっぱい続くとのことです。
2007/01/23
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石垣の上の苔。ささやかな世界。ウィークディはずっと曇っていたのですが、今日日曜は晴れ。一日勉強にいそしむつもりが、ついこらえきれずにカメラを持って散歩に出かけてしまいました。外は思いの外寒く、風が身にしみます。葡萄畑への道を歩きはじめてほんの数分で、青空に雲が増えてきました。う~ん。晴れていると鮮やかに輝いて見える景色も、太陽が雲の影に入ると、くすんでしまいます。家に戻ろうかとも考えたのですが、このところ運動不足気味なことも考えて、結局散歩を続けることにしました。陰っては晴れ、晴れては陰り。日差しに輝くモチーフを見つけても、レンズを交換しているうちに、まるでじらすかのように雲が日差しを遮ったり。レンズを向けると、それまでじっとしていた草花が、急に風にそよぎはじめたり。ふ~、やはり今日は家でじっとしているべきだったかな、と思いながら帰ってきたのでした。葡萄畑の畝の間を鹿が散歩していました。レンズを向けたら、気が付いて逃げ出した。ライフルじゃないんだけど…。鹿の他に、ウサギも時々跳ねています。
2007/01/21
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ワインフォーラムの会場となった、ローマ時代の温泉遺跡。高校の頃、定期試験の後には必ず成績優秀者のリストが発表された。各クラスに張り出されるA4の紙に僕の名前が載ることは滅多に無かったが、それでもたまに載った時は、それなりに嬉しいものだった。試験前のしんどさが報われた思いがしたものだ。この週末、トリアーではラインラントファルツ州の品評会で金賞を受賞したワインを集めた試飲会が開催されている。いわゆる公的審査番号AP Nummerを交付する試験場が行う品評会で、香・味・調和をそれぞれ5点満点で採点し、満点を獲得-1項目でも4.5点を下回ると落第-したワインのみに金賞が与えられる。いわば100点満点の優等生ばかりを集めた試飲会である。ワインリスとは、さながら成績優秀者一覧といったところか。試飲に提供されたのは約150種類、ゼクト、エルプリング、リヴァーナー、ブルグンダー系白、赤、辛口・中辛口・甘口リースリングとアウスレーゼ、アイスヴァインと貴腐ワインにセクションが分かれている。その全てが金賞受賞ワインであるからして、いずれも公的審査の観点から、生産年・品種・格付けに相応しい、完璧なワインである。「グラスの中の品質」Qualitaet im Glase 。畑を格付けして等級を行うフランスのシステムに対し、ドイツワインはいかなる畑からも優れた品質のワインを造り得るという建前のシステムをとっている。実際、この試飲会ではあまり知られていない畑のワインが、有名な畑のワインに並んで試飲に供されていた。そして畑毎の品質の差は、少なくとも僕の印象では、ごくわずかであった。畑の差はもとより、カテゴリー内ではどのワインの香味の差もまた、試飲につれて鈍感になった僕の舌では、まるで物差しで測ったかのようにごくわずかであるように思われた。考えてみると、典型性-ティピシティが審査の上で絶対的な重きを占めている以上、個性的なワインは排除されて当然なのかもしれない。試飲審査に際して審査員に明らかにされるのは生産年、品種、格付けのみである。そして大半は現役の醸造家が務める彼らは、それぞれの要素に期待される典型的な個性が出ているかどうかを基準に審査する。その際、畑の個性は考慮されない。Qualitaet im Glase- クリーンで欠陥のない、優等生こそ公的機関の金賞に相応しいのだ。いずれも粒ぞろいの優れたワインであり、その大半は5Euroを中心に3.3~9Euroと手頃な価格である。ハレルヤ!ドイツワインの良心がそこにはある。だが、しかし。ワイン好きには典型性より個性の方が100万倍面白いのである。畑の個性に醸造家の個性、この二点こそ肝心かなめなのだ。一口飲んで脳裏に葡萄畑の斜面とそこに深く根を張った葡萄樹が浮かび、一口飲んでは醸造家の相貌が見え、彼なり彼女なりの哲学が伝わってくる。そうしたワインが、飲みたくなるワインであり、高いお金を払っても買いたくなるワインなのだ。そして公的品評会の審査には、この二点が欠落している。その点、併設されていた国あるいは州の栄誉賞を受賞した9醸造所のスタンドは興味深かった。ゴー・ミヨにもランクインしている醸造所もあるが、これから上を目指して切磋琢磨している醸造所達である。ワインにも野心が滲んでいる。濃厚でアロマティックで飲み応えのあるワインが多い。ピースポートのシュペーター・ファイト醸造所はシュペートブルグンダーNo.1の凝縮感とパワーは、モーゼルでもここまで出来るのかとインパクトがあった。ベルンカステルのザンクト・ニコラウス・ホスピタル醸造所の濃厚でアロマティックなリースリングは極めて魅力的、それに対してミュルハイムのバウアー醸造所のほっそりと引き締まったリースリングは、これぞモーゼル!と言いたくなる。典型的ではあるが、それを超えて醸造家の筆跡が感じられるのだ。畑の個性という点では、ザンクト・ニコラウス・ホスピタル醸造所がベルンカステラー・リング加盟醸造所として、グローセス・ゲヴェクスを出品していた。グローセス・ゲヴェクスは畑の格付け-公的審査の趣旨とは対立する-であり、VDPとラインガウ醸造所連盟が90年代前半から音頭をとって推進してきたシステムだが、VDPとラインガウに続き、昨年からベルンカステラー・リングも独自の畑の格付けをグローセス・ゲヴェクスとして発表した。VDPとの最大の相違は、VDPが辛口のみであるのに対して、ベルンカステラー・リングは中辛口も含めている点である。そして、ザンクト・ニコラウス・ホスピタル醸造所が試飲に供していたのはベルンカステラー・グラーベン2005のリースリング・ハルプトロッケン。濃厚で素晴らしくアロマティック、口いっぱいに広がるフルーツ感と調和、完熟したリンゴ、桃のヒント、繊細なタンニンに綺麗なアフタ。申し分ない中辛口リースリングである。だが、問題はその値段だ。15Euroである。同時に試飲した同じ畑、同じ生産年のリースリング・シュペートレーゼ・ファインハーブは7.60Euroとほぼ半額ながら、グローセス・ゲヴェクスに勝るとも劣らない出来栄えであった。非常にフルーティでアロマティック、みずみずしい完熟した果物いっぱいの、とても魅力的なワイン。醸造所の個性がよく出ている。グローセス・ゲヴェクスとシュペートレーゼの差にあえて値段をつけるとすれば、僕ならせいぜい3Euroだ。もちろん、醸造所にはそれなりの主張があり、セレクションを厳密に行い丁寧に醸造した自信作で、醸造所団体の官能審査にも合格してお墨付きも得ているのだろうが、2倍の価格付けには納得しかねる。もしも正当化する理由があるとすれば、マーケティング戦略以外には考えられない。新たなカテゴリーである「グローセス・ゲヴェクス」をプレミアム商品として位置づけるには、品質もさることながら相応の価格もプレステージとして必要なのであろう。VDPとラインガウのグローセス・ゲヴェクス及びエアステス・ゲヴェクスにも同じことが言える。畑の格付けが価格ゾーンの引き上げに利用されるのは、ありがたい話ではない。それくらいなら、没個性であってもあくまでもQualitaet im Glaseに留まる方がいいのか...?。結局のところ、カテゴリーでもなく格付けでもなく、よい仕事をしている醸造家を知り、彼のワインを基準に自分なりの価値観を築き上げていくより他ないであろう。そういう意味で、試飲会はいつも貴重な機会なのである。
2007/01/20
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ドイツは朝から全国に暴風雨警報が発令されて、なんだか日本の大型台風接近の様なものものしさ。テレビでもブロッケン山頂やシルト島や港など、暴風がとりわけ猛威を見せそうな所をわざわざ選んでレポーターがスタンバイしているのは、どこの国も似たようなものでしょうか。ご苦労様です。現在、予測された暴風のピークは通り過ぎたはずなのですが、トリアーでは風がやや強い程度で、幸い大したことなく済んだようです。先日、スーパーでイタリア産のビオワインを買いました。ウンブリア(だったかな?)の2005サンジョベーゼ、3.99Euroなり。イタリア産なのに、ドイツのビオ認定マークがついている。醸造所も記載がなく、ドイツの瓶詰め輸入商社のみ。認定番号もDE001と、なんだか胡散臭いような気もしなくもなかったのですが、味はしごくまっとう。果実味も充分、素直な飲み口で、酔いの回り方も心なしかゆっくりとしていました。なかなか。味をしめて、今日はドイツのビオ。ラインヘッセンのHeyl zu Herrnsheim醸造所の2005ジルヴァーナー辛口。カールシュタットで6.99Euro。ジルヴァーナーにしてはちょっと高めな価格設定ですが、VDPで長年ビオを実践してきた醸造所という自信もあるのでしょう。濃いめでミネラルも明確、土壌の味もしっかり出ていますが、いかんせん、いまひとつリースリングのような魅力に欠けます。素朴で正直ないいワインなんだけど、何かが足りない...特に酸味。温暖で乾燥したイタリアより冷涼で雨の多いドイツの方が、栽培に手間もコストもかかるという事情もあるのでしょうが...でもやっぱり、ちょっと高い買い物だったかな(苦笑)。おまけ。先週日曜日の葡萄畑。畝に張り渡した針金が日差しに輝いていた。
2007/01/18
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小春日和の日曜の翌日、気温が急に氷点下に下がって一日中霧が立ちこめていましたが、昨日・今日と再び肌寒く雨がちの天候に。相変わらずドイツ語と格闘しながら論文をじりじりと前に進めています(苦笑)。年のせいか、あるいはワインの飲み過ぎか、記憶力の低下を感じることもしばしば…たしかこの辺りに書いてあった筈だけどな、と一度読んだ本をもう一度ざっと読み返して、それでも見つからないのでもう一度丁寧に読んでいるだけで、時間はどんどん過ぎていきます。ふ~。今日のテーマは中世都市の水事情。15世紀に至るまで井戸水に依存していた中世都市。その井戸水の近くには、汚物や排泄物を捨てるための縦穴-時に深さ10mにおよぶこともあった-が掘られていることもしばしばあった。深さ10mといえば、地下水脈とほぼ同レベル。したがって、水を飲むことは病菌を飲むことに等しかったわけです。ところが、人間一日あたり3リットル前後の水分を摂取しなければ生きていけないのは今も昔も変わらない。では、水が飲めなかった当時は何を飲んでいたのか?そこで登場するのがビールとワイン。ワインの産地では日常消費用に絞りかすから醸した安酒が、産地以外ではもっぱらビールが、文字通り水がわりであった。ワインの原料は葡萄果汁。根が吸い上げた水分は当然、井戸水より衛生的。ビールは醸造過程で水は煮沸されるので、これまた衛生的。それより何より、アルコールの殺菌効果が非常に有効であったらしい。身分の低い召使いにしても、生水を飲むときは必ずワインで割っていたという。主人のケチぶりを愚痴る一節から読みとれる習慣である。だったら、何もアルコールに依存しなくても一度湧かしてから飲めばいいじゃん、と思うのだが、どうもそんな習慣や知恵はなかったらしい。紅茶・コーヒーがヨーロッパに持ち込まれるのは近世に入ってからのこと。そんな訳で、「飢えている者には食べさせ、渇いている者には飲ませよ」という聖書の教えにしたがって、貧者への施しを述べた少なからぬ遺言状が、パンとともにビールの配給を指定している。これは北ドイツ都市の例だが、アルザスあたりだとビールがワインになる。救貧院-オスピス・ド・ボーヌもその一つ-で配給されるワインは、一日2リットルもざらじゃなかった。一日2リットル?毎日そんなに飲んだら、アルコール中毒じゃん、と思うのだが、史料によれば2リットルなのである。生きていくのに必要な水分をワインで摂取しようとするからそういう量になるのだろうけれど、だとするとアルコール度も相当低かったのかもしれない。水っぽくて酸っぱいワインを、仕方なしにすすっていたのだろう。ちびちびやっているうちに、なんとなくいい気分になって、神様が近づいてきたような気になることが出来たのかもしれない。アーメン。
2007/01/17
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今日のトリアーの葡萄畑---春爛漫である。陽気に誘われて葡萄畑を散歩する人が多かった。その近くで寒気を待ち続けていたアイスヴァイン用の畑。醸造所もあきらめたのか、保護シートが地面に垂れ下がったまま、放置されていた。今年は無理だろう。
2007/01/14
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ドイツは今日も暖かいです。気温は14度前後でしょうか。あちこちでバラの花を見かけます。ひさびさにファン・フォルクセンを飲みました。2002 ヴィルティンガー・ブラウンフェルス、リースリング。抜栓直後は軽く繊細で、ほのかに熟成香が漂いつつも、若々しさを失っていない張りのある柑橘に完熟したグレープフルーツのヒント。二杯目は室温に馴染んで空気に触れたためか、果実味に力強さを取り戻してきて、一杯目はアフタにかすかに感じられたミネラルのヒントが、中盤からすでに明確に現れ、味わいに複雑さを増しました。甘すぎず辛すぎず、軽すぎず濃すぎず、若すぎず枯れてもいない。調和のとれたその味わいに、100年前、モーゼルの名声を担っていたのはこんなスタイルだったのかな、と思わされます。グラスを重ねても飲み飽きず、アルコールの負担を感じさせません。いいワインでした。先日、ドイツァーホフの2001ドルンフェルダーを飲んだのですが、これも抜栓直後はリリース直後の印象とは似てもにつかない、軽くたよりないものでした。20度前後の室温で4年近く寝かせたので、すっかり劣化したのかと思ったのですが、1時間後にまるで別物に。濃厚な赤紫のフルーツにがっしりしたタンニンが戻ってきて、本当に6年前の収穫なのかと思いたくなるほど若々しい味わいに。デカンタージュしなかったことが悔やまれたのでした。一方、カールスミューレの2004ローレンツホーファー・アルテ・レーベン、リースリング・ファインハーブは、1年室温で寝かせただけで数年は熟成したような濃い金色に。味も美味しい事は美味しいのですが、リリース直後の濃厚でふくよかな、複雑で抗しがたい魅力は失われつつありました。おそらく、ステンレスタンクで発酵、酸化を徹底的に押さえ込んだのでしょう。そうしたワインは、瓶詰め後にコルクからまるで喉が渇いたかのように、猛烈な勢いで酸素を吸収するんだ、とある醸造家から聞いたことがあります。だから彼は木樽を好んで用い、ステンレスで発酵したものも瓶詰め前に必ず木樽に寝かせます。こうして有る程度意図的に酸化熟成させることで、瓶詰め後の熟成も落ち着いた、ゆっくりした速度になるのだといいます。そういえば、ドイツァーホフのドルンフェルダーはバリックですし、ファン・フォルクセンも木樽発酵でした。フリッツ・ハーグもそういえば、どのワインも一度木樽で寝かせて瓶詰めするといいます。しかし、カルトホイザーホフは100%ステンレスですが、その熟成速度はどうなのか---今度試してみようと思います。
2007/01/13
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今日も雨。あたたかく凌ぎやすい一日で、この暖冬はドイツで気象観測が始まって以来のことだそうです。大半の醸造所では、アイスヴァインは諦めているのではないでしょうか。昨年のクリスマス、MP3プレーヤーをもらいました。ここ10年以上音楽を聴きながら歩く習慣もなく、醸造所訪問の際に録音機がほしいな、と思っていたので、そのために購入を考えていたところでした。が、実際使ってみるとこれが意外にいい音で、こちらに来たばかりに語学学習のためと思って買ったテープレコーダー付きの廉価なCDコンポよりずっといい響きをしています。デティールまでくっきり聞こえる。これほど軽くていい音がするとは知りませんでした。さっそく手持ちのCDを録音して、歩きながら聴いています。先日、夜路を歩いていたらどうもすぐ背後で話し声が聞こえる。振り向いてもだれもおらず、イヤホンをはずしたら、聴いていたグレン・グールドの鼻歌だったことに気が付きました(笑)。フィリップスのGoGear。音もデザインも割と気に入っている。難を言えば操作系の反応の鈍さか。
2007/01/09
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ドイツに来たばかりのころ、通りすがりの家々の扉の近くにチョークで書き記されたこの記号を見て、一体なんなのだろうと不思議に思っていました。水道かガスの配管記号か、国勢調査済みの印かな、と思ったのですが、子供達が扮する三聖王のしわざとわかったのは、つい最近のことです。シュテルンジンガー-星歌いとでも訳せば良いのでしょうか、その伝統は古くまで遡るようですが、本格的にはカトリック教会の主導で1959年から始まった募金活動で、1月6日の三聖王の祝日にカスパー、メルキオール、バルタザールに扮した子供たちが家々をまわり、玄関先で歌をうたい、募金に応じてくれた家の扉近くにくだんの印を書き残していきます。「20*C+M+B+07」最初と最後の数字は訪問した年号、星の印に続くC,M,Bには二通りの解釈があり、ラテン語Cristus mansionem benedicat (キリストはこの家を祝福したもう)の頭文字という説と、三聖王の頭文字Casper, Melchior, Balthasarという説があります。そして足し算記号に見えるのは、祝福の十字を切っている意味だそうです。(参考:ウィキペディア・Sternsingerの項)僕のアパートにも来たら写真を撮ろうと思ったのですが、今年も訪れず。上の写真は友人宅のもの。思いがけずの来訪で、写真を撮ることまで思いつかなかったそうです。おまけ。今日のトリアーの葡萄畑。あぜ道に葡萄畑の肥料となる厩舎の敷き藁が積んであった。
2007/01/07
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今日も曇り時々雨….暖かいです(苦笑)。アイスヴァインを狙っていた畑のシートも、半ばあきらめたかのように、ところどころが外れて地面に垂れ下がっていました。出かけ際、先日来買おうかどうか迷っていた本のことを考えながら郵便受けを開けると、公共放送受信料請求書が。あちゃ~、です。ARDとZDF、ならびにその系列のSWR、NDRなど半官半民といった放送局があり、NHK同様、受信料が徴収されます。三ヶ月に一度、51.09ユーロ(約8000円)。月あたりにすればそれほど高くもないのですが、一度に来るとちょっと堪えます。昔は学生寮に住んでいると免除されたようですが、最近はしっかり徴収されるようです。大抵は引っ越して1ヶ月位経った頃、夕食時を狙って集金係員が廻ってくるのです。僕の場合、アパートを見つけてから3,4週間後の月末、テレビを買った翌々日くらいになんともタイミング良く、体格のごつい係員がやってきました。彼は僕の肩越しに部屋をのぞき込むとめざとくテレビを見つけ、「あ、テレビありますね。」と言うなり「じゃ、契約にサインしてください。」と迫りました。「あの、昨日買ったばかりなんで、来月からにしてくれませんか。」と言ったのですか、「はいはい、いいからここにサインして。」と空欄を指ししめします。不承不承にサインすると、「ドイツ語、うまいじゃないですか。」と上機嫌でお世辞を言いながら去っていきました。この受信料、喜んで払う人はいないようで、先日アパートの入り口に貼ってあった、「受信料徴収係員が巡回中!気をつけろ!」という親切な手書きの警告はちょっと微笑ましかったです(^^)。確か数年前、受信料を徴収しすぎたので払い戻したい、希望者はこのメールに返信するように、というまことしやかな偽メールが出回り、受信料徴収センターは打ち消しにやっきになったこともありました。不意の訪問を受けて「ZDFやARDは見てない」というささやかな抵抗むなしくサインをさせられた友人は、「もうテレビなんか見ない!誰かに欲しい人にあげる!」と息巻いていましたが、相変わらずZDFのニュースだけは見ているようです。ともあれ、これで月の予算の一部が公共放送へ持っていかれ、シューベルトの本はしばらくおあずけ。必要な箇所をコピーして、早々に図書館に返却したのでした。
2007/01/06
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先日紹介したシューベルトの中世の食文化に関する本、大学の図書館から借りていたのですが、返却請求が来て来週には返さないといけないので、やはり買おうかとネットの書店で検索したところ、僕の記憶違いでなければ昨年より90セント値上がりしているような….? 今年から付加価値税が16%から19%に上がりましたが、書籍は食品同様、据え置きの7%のはず。やはり記憶違いかなぁ。今回の付加価値税値上げに備えてか、理髪店では従来12ユーロのところが12月から13ユーロに上がっています。駐車場料金も丁度クリスマスマルクトが始まる矢先に値上げされて、便乗値上げだと不満の声が上がりました。ワインバーでも、従来持ち帰り価格に4.50ユーロ上乗せすれば店内で飲めたところが、今月から4.80ユーロになり、実質7%の値上げです。ドイツという国にはお世話になっているので、3%の税の値上げは喜んで受け入れますが、便乗値上げ分まで払うのは、なんだか詐欺にあっているような気分。税金の値上げで諸経費や雑費が上がり、その分を上乗せせざるを得ない、というのが3%以上の値上げの言い分のようですが、その一方で、安売り家電大型店では19%オフセールを新年企画として大々的に展開中。値段は上へ下へと動き回り、全体として安くなったのか高くなったのか判らないです。それにしても、シューベルトの本。必要な部分だけコピーするに留めて節約するか、少し待って中古が出るのを待つか、思い切って今買うか。悩むところです(苦笑)。
2007/01/04
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新年の訪れとともに飲んだワイン。2005 Staatliche Weinbaudomaene Trier, Riesling trocken Sektフレッシュな柑橘、生き生きとした泡、アフタに残るほのかな甘みが飲み口を優しくしている。翌日、飲み残しを飲む。だいぶ炭酸は抜けていたが、原酒のリースリングの質は上々、そこそこ楽しめた。7.80Euroとコストパフォーマンスも良好。カールシュタットで購入。2003 Markus Molitor Riesling QbA feinherbこの生産年にしては、アフタにかけての土壌の滋味を感じさせる柑橘の中に、酸味がおだやかな広がりを見せる。ほんのりと熟成感が出始めているが枯れた様子はなく、今が飲み頃か。7.80Euro、醸造所のハウスワインにしては弱冠高いがコストパフォーマンスには説得力がある。ちなみに、ここの他にQbAでも素直にウマイと思うのはこことSt. Urbanshof とSchloss Lieser。特に食指が動くワインがなかったら、とりあえず選ぶと無難。マルクトハレで購入。2003 Anselmann, Dronfelder trocken5.70Euro、そしてドルンフェルダーという品種にしては、ほどほどの濃度に落ち着いた果実味、チョコレート系の甘み。生産年故、弱冠酸味に欠けて平板な印象は否めないが、充分に楽しめる。デイリーの赤としておすすめ。大学のスーパーに売っている。
2007/01/03
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トリアーの元旦の空。大晦日は生憎の空模様で、寒くはなかったものの時々本降りの雨が降っていました。それでも、午前0時には小やみになり、恒例の花火は町のあちこちで打ち上がり、しばし賑やかな炸裂音が続きました。明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。さて、今年の目標は数年来遅々として進まない論文を仕上げる事なのですが、そうこうしているうちに新しい研究が発表されたりして、それに目を通しているとまた筆が進まないという状況です(苦笑)。もっとも、そうした新鮮な情報は良い刺激であると同時に、研究をすすめる手助けでもあります。年末から読んでいるのはエルンスト・シューベルトの遺作となってしまった、中世の食文化(Ernst Schubert, Essen und Trinken im Mittelalter, Darmstadt 2006)。同じテーマの著作や論文集は何冊も出ているのですが、これは切れ味のいい新鮮な切り口を見せていて、面白いです。例えば、ドイツのビール純粋法。1516年にバイエルンで制定され、1906年にドイツ全国に適用された、「ビールは大麦、ホップと水のみで醸造せねばならない」という法律があります。ドイツのビールメーカーが優れた品質の保証として、時々ラベルにも記されていますが、シューベルトはこれについて二つの指摘をしています。ひとつは、ビール純粋法は1516年に始まったものではなく、それ以前にも各地で制定されていたこと、なぜなら当時種々の薬草や果実、スパイスを味付けに用いる試みが行われており、中には毒性のある危険な薬草もあった。それを禁止するのが純粋法の目的であり、また、バイエルン以前にも、ロンドンで1484年に水、モルツ、酵母のみを用いてビールを醸造すべきことが定められており、ビール純粋法はドイツが元祖ではないこと。二つ目は、1516年のビール純粋法はビールの上限価格設定を目的として制定された法律の一部の文言にすぎないこと。「聖ミヒャエルの日(9月29日)から聖ゲオルグの日(4月23日)までは1マス(Mass、飲料の計量単位、バイエルンでは1.069リットル)…ミュンヘンの貨幣で1ペニヒ、聖ゲオルグの日から聖ミヒャエルの日までは2ペニヒを超えてはならない….モルツ以外で醸造したならば、1マスにつき1ペニヒを超えてはならない….今後我々の都市、市場及び農村ではいかなるビールも、大麦、ホップ、水のみで醸造すべきであることを、特に銘記する。」要は、冬季と夏期の価格上限と、大麦、ホップ、水以外に高価な薬草を用いても、それを理由に高値で売ることを排除した訳です(ビール純粋法原文はhttp://www.weissenseer-reinheitsgebot.de/1516.html及びhttp://de.wikipedia.org/wiki/Reinheitsgebot参照)。この二点は、僕にとって新鮮な指摘でした。ビール純粋法は17世紀以降忘れ去られていたのが、19世紀に再発見され、ドイツビールの「古き良き伝統」として新たな価値を付与され今日に至ります。ビールのみならず、史料と時代背景をふまえて読み直してみると、新たな姿を見せる歴史的事柄は少なくないことに、シューベルトのこの著作はいくつも指摘しています。
2007/01/02
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