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皆さんには一年間、お世話になりました。私は正月も仕事になりますが、皆さんはゆっくりお休みください。来年もよろしく・・・・「結婚しない鉄道員」(仮題70)竹夫は挨拶もしないまま、駅を後にして・・・・レディ・マッスルを車に乗せて、ウッドベル青森営業所に向かった。「ね、なんか変わったことでもあったの?」レディ・マッスルには、竹夫の様子がおかしいことに気が付いたのだろう。竹夫は事細かく、レディ・マッスルがいなかった間にあった出来事を教えた。神様に会ったこと・・・鬼を見たこと・・・桃太郎・金太郎・浦島太郎に会ったこと・・・そしてコロボックルとの意見の食い違いなど・・・「でもね・・・そのどの人たちも、妖怪の中まで・・・だからその妖怪たちを束ねている神様が握ってると思ってるんだよ。」「そうだよね・・・そうかもしれない。」レディ・マッスルは慰めるつもりなのか、すぐに竹夫の意見に賛成してくれた。「君は・・・妖怪に会ったことを信じてくれるのか?」「あ。じつは社長から・・・ちょっと話を聞いてたから。」東京に行っている間、彼女は訓練の他に妖怪の勉強もしていたらしい。「社長がいうには・・・もともとこの半島は、妖怪の管理している地域なんだって。・・・・人間が住む場所じゃないって言ってるのよ。」鈴木社長は・・・・この地が人間の住む場所ではないと言っているらしい。「それを知っていて、なんでこの半島を開発しようとしてるんだ?・・・あの社長は・・・」そんな話をしているうちに・・・・二人は営業所に着いた。「ただいま帰りました。」レディ・マッスルはみんなに挨拶をする。竹夫は・・・キコリの全員がこの営業所にいることを見つけた。キコリの全員・・・・つまり「CFEの特殊レンジャーたち」がこの場にいるという事は・・・・Kも花子もここにいるという事か?「Kさんたちは?」「今日からこっちに来てもらってる。・・・社長の指示だ。・・・・。」危険が大きくなっているから、こっちで守備に集中しようとしているのだろうか?竹夫は・・・緊張していた。そこへKと花子がやってきたのだが・・・Kは竹夫の顔を見ようともしなかった。そこへ電話が鳴って・・・・社長が出ると・・・「南森くん、社長だ。」すぐに受話器を竹夫に渡した。「あ、南森くんか?・・・うん、もうレディがついてると思うけど・・・・さっそく明日・・・神様のところに行ってくれないか?・・・うん・・・レディと二人でだ。・・・Kと長森花子は置いてってくれ。・・・武器は要らない。・・・場所は分かっているんだろ?」「ハイ・・・・わかってます。・・・」Kを連れて行かないというのは、神様相手に仇をとろうとするかもしれないから・・・・竹夫はそう判断した。Kの姉を誘拐したのは鬼なのだが、鬼を管理しているのは神様・・・・という事は、全く知らないふりをしていたが、神様はそれを知っていた可能性が高い。電話はそれで切れた。レディ・マックスは東京で明日出掛けることを言われていたのかもしれない・・・竹夫の顔を見て小さくうなずいたのだ。その後・・・レディ・マッスルの歓迎会を開いたのだが、Kは竹夫とだいぶ離れた席に座った。そんなに嫌われたのかなあ・・・Kが気になる竹夫はかなり落ち込んでしまって、歓迎会は沈んだようになってしまった。
2015.12.31
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12月30日・・・去年と同様、今年も御用納めです。ところがいろいろありましてね・・・一元旦も休めそうにないです。「結婚しない鉄道員」(仮題69)すぐにでも恐山に行って、神様と話し合いをしたい・・・そう思っていた竹夫だが、なかなか「CFE本部」の鈴木社長から了解がもらえなかった。竹夫は悶々として日々の仕事をこなしていたのだが・・・神様に会わねばならぬという焦りを感じほかの駅員に対しても当り散らすことが多くなっていった。だからほかの駅員は徐々に竹夫との会話が減っていった。その日も、夕方まで誰とも会話はしていなかったが、役割として竹夫は改札口に立っていた。そこへ列車が入線してくる。この業務が終われば、竹夫は帰ることができる。早く仕事が終わらないかなあ・・・・そんなことを考えていた。そんな時竹夫に声をかけてきたものがある。「南森さん・・・お久しぶり・・・」レディ・マッスルである。「レディ・マッスル・・・一か月ぶりかな?」「そうだね・・・一か月・・・けっこう長かった。」「東京で何をしてきたの」「それは秘密だよ・・・・」でもレディ・マッスルは何か云いたそうだった。「これから営業所の寮に帰るのかい?」「そうそう・・・・でも今度は食事の世話係じゃないんだ。・・・仕事ができたんだよ。」「俺、今日はこれで仕事が終わりなんだよ・・・・送っていくよ。」こうして竹夫は自分の車にレディ・マッスルを乗せて営業所の寮に向かった。
2015.12.30
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もう今年は書けないと言いながら・・・書いてますね。今日で我が社は御用納め・・・・(商社部門は明日までですけど・・・)一月も全く暇がありません。「結婚しない鉄道員」(仮題68)コロボックルの長老が話ししているのを、ほぼ黙って聞いていた竹夫だったが、ボソッと尋ねた。「この土地がコロボックルのものだっていうのは分かりましたが、なぜ発展しようとするものを邪魔するんですか?」それが竹夫たちの調査目的だった。「じゃから言っておるではないか・・・・ここは聖地・・・これ以上の人間が入ってきてはならぬ。」長老は、体に似合わぬほどの大きな声で怒鳴り返した。「聖域には誰も入ってはならぬのじゃ。」今度は少し声を落とした。「それじゃ、なんでコロボックルはいいんですか?」「コロボックルの任務は、この聖域を守ることじゃからな。」しばしにらみ合いが続いた。「おかしくないですか?・・・・聖地といっても維持費はかかるでしょうに。・・・その維持費はどこからねん出するのですか?」「維持する必要はない・・・・自然のままにしておけばいいのじゃ。」「この前の事件も、そのためなんですか?」事件・・・それは縄文遺跡の世界遺産登録の話しだが・・・・なぜか北海道と青森県の多き場年だけの登録の予定で・・・・重要であると思われるこの半島の「二枚橋遺跡」は外れている。つまり北海道からこの半島を通り越してほかの町へ・・・遺産登録を目指しているのだが、これもどうやらコロボックルが関与しているように思える。「二枚橋遺跡」は縄文遺跡と弥生遺跡が連続して存在していて・・・・それこそこんな遺跡はなかなかないと思われる。「もちろんじゃ・・・・縄文人と弥生人がどうつながっているかなど・・・・問題ではない。」つまり・・・「町おこし」したい現代人と、コロボックルとは・・・・・そもそも考えかたが違うのだ。「とにかく・・・・この半島には、観光客などいらぬのじゃ。」そういうと・・・コロボックルたちの姿が消えてしまった。竹夫は、神様のところに早急に行かねばと考えていた。
2015.12.29
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最近・・・・カラオケを歌う機会が全くない。忘年会のお誘いもめっきり少なくなった。今晩あたり・・・・ひとりカラオケボックスかな?「結婚しない鉄道員」(仮題67)「聖地っていうのはな…本来だれも立ち入ってはいけない場所なんじゃ。」コロボックルの長老はそう言い放った。恐山だけでなく・・・・キリストの墓・・・釈迦の墓・・・日本中央の碑・・・それが聖地だっていうのか?「お前さんの目は・・・そんなのは世界中どこにでもあるじゃないかって言ってるな?・・・でもそうじゃないんじゃ。・・・この半島は特別なんじゃ。」「そうなんですか?」「最初からこの地に住んでいるコロボックル一族が言ってるんじゃから間違いない。」「この半島は神代の昔から・・・聖地とされておる。」「だけど日本の神話には出てきませんよね?」「日本の神話にも出てくるのじゃが・・・それをみんな勝手に解釈して、ここじゃないように変えておる。・・・例えば邪馬台国・・・あの魏志倭人伝のままに旅程を進めば、ここにたどり着くんじゃがな・・・・」「邪馬台国が?」「そうじゃ・・・青森と岩手秋田3県の県境・・・・八幡平と言うじゃろ?・・・あれはヤマタイとも読めるじゃろうが。」たしかに読めないことはない・・・「この地はいろいろな聖域が一緒になっておる場所じゃ。・・・青森・秋田・岩手・・・・この3つの県がこの国の一番大切な場所なんじゃ。」竹夫も何となくそんな気がしてきた。「その聖域の中でも、最も大切なのが奥の院であるこの半島なんじゃよ。」長老のコロボックルが自慢気に言う。「そしてその聖域を守っておたのが、わしたちコロボックルなんじゃが・・・・この聖域を狙ってアイヌ一族がやってきた。」「アイヌ民族は?元々ここにはいなかったと?」「あいつらは、聖域に様々なものがあるからやってきたんじゃが・・・わしらを最初に見たのが秋田の方でのう・・・・じゃからわしらのことを“フキの下の人間”という意味でコロボックルと呼ぶんじゃ。」秋田のフキは大きいので有名だから、小柄の人間ならフキの下で雨が防げる。しかし今、竹夫が見ているコロボックルほど小さくなくてもいいのだが・・・・「そのアイヌも・・・今の日本民族がやってくると北海道に逃げ出した。」「つまりこの地は、いろいろな人種の人間に狙われた場所?」「わしらコロボックルは元々この地におったのじゃがのう。」元々この地はコロボックルのもの・・・・そう言いたいようだ。
2015.12.28
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日曜日ですよ。と言いながら・・・28日・29日と出勤すればあとは正月休みに入ります。1月は6日から出勤ですけど、その前から挨拶回りで休みなんかないようなもんです。雪かきもあるし・・・・今年は雪が多いのかな?「結婚しない鉄道員」(仮題66)「よっ!」片手をあげたコロボックル・・・しかし、午前中に見たコロボックルの他にも5人ぐらいのコロボックルが・・・「あのさ・・・昼に行くって言ってたけど、仲間もアンタに会いたいってさ。・・・あの駅の中じゃ、ほかの人にも見つかって大騒ぎになるだろ?みんなも会いたいなら、住処に尋ねて行こうってことになってさ・・・」「それなら一言あってもいいじゃないか?」「いやいや・・・神様に呼ばれちゃってさ。」「え?神様に?」「そりゃそうさ・・・・俺たちだって妖怪だもの・・・・」あの神様・・・・まだまだ隠し事が多そうだった。「何の用事で俺のところへ?」「神様が・・・アンタが俺たちのことを探してるっていうからさ・・・・」「え?」「違うのか?」どういう事だろう?・・・竹夫は少し考えてみた。あの神様は・・・・最初に「鬼」が竹夫たちの調査するべき対象・・・だと言っていた。つまり・・・この半島の発展を邪魔しているのは鬼だ・・・・と言ってるような感じだった。そのあと・・・・鬼退治なら桃太郎たちだろうと考えた竹夫だったが・・・その時も・・・・竹夫の前に姿を現したのだから、「鬼が相手ではないし・・・・あいつらは遊んでいるだけだ。」と教えてくれればよかった。おかげで意味もなく「桃太郎たち」に会いに行ってしまった。そして今日・・・・今度は「コロボックル」が竹夫たちの調査対象だという。竹夫は混乱してきた。「君たちの考えてることを教えてくれよ!」竹夫は思わず怒鳴っていた。「俺たちの考えって?」「そうだよ・・・・この半島が発展しようとすると、君たちが邪魔をする・・・それがなぜなのか教えてくれって言ってるんだ。」コロボックルたちは・・・・急に寄り集まって相談を始めた。そして・・・今度は長老のコロボックルが前に出てきた。「それは・・・・この半島がわしたちコロボックルだけではなく・・・いろいろな妖怪や人間っ地の聖地だからじゃよ。」「聖地?」「できれば内緒にしておきたかったんじゃが・・・・この青森県には恐山の他に様々な聖域があるのは知っておるのか?」「恐山だけじゃないのか?」「実はな・・・・青森にはキリストや釈迦の墓がある。」すると・・・・ほかのコロボックルが口をはさんだ。「日本中央の碑っていうのもあるぞ。」たしかに、キリストの墓と言われている場所があることも知っていたが・・・・釈迦の墓?・・・・日本中央の碑っていうのも、疑わしいがあることは知っていたが・・・・おっと続きは次の機会に・・・・ところで、正月中はちょっと書けないかも・・・・という事で正月明けからの続きになるな。
2015.12.27
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次男坊が、生まれて初めて美容院に行ってきた。顔が幼すぎるので・・・大学の入学式用にスーツを買ってあげようと思ったのだけれど、似合いそうもないのだ。家族で相談すると、次男坊と同級生が美容院に行ったら大人っぽくしてくれたというので、その同級生と同じ美容院に行かせることにした。それが昨夜のこと・・・・でも、なんかあまり変わらなかったような気がする。それにしても…家族で私一人だけ、いまだに理髪店であり・・・・美容院未経験者である。ま、いまさら理髪店を辞める気はないが・・・・「結婚しない鉄道員」(仮題65)竹夫は昼休みを待っていたが・・・けっきょくコロボックルは現れなかった。「あいつ・・・・俺に話があったんじゃないのか?」竹夫は少しへそを曲げた。しかし、朝は姿を隠して竹夫を見ていた。何か事情があって姿を見せないのだろうと・・・・勝手に判断して・・・その空いた時間をインターネットで調べることにした。「コロボックル・・・・へえ・・・コロポックルっていうこともあるのか・・・アイヌの伝説の小人だから、日本語にすると・・・・ほう・・・フキの下の人間っていう意味なんだな。・・・フキって言っても秋田のフキはかなりデカかったからな・・・・小人っていうイメージじゃないけどな。」竹夫は秋田にいた頃見た「フキ」が、かなり大きかったことを思い出した。「アイヌ語では・・・別名トンチと呼ぶこともある。」この時竹夫の頭の中にピンと来たことがあった。「トンチ・・・たしか東通村に、小人をキャラクターにした“トンツービレッジ”ってとこがあったけど・・・・あれと同じ小人なのかな?」「トンツー」と「トンチ」・・・たしかに似ている。調べると・・・この半島にはアイヌ語の地名の土地がたくさんあった。日本民族がこの半島に入り込む前にはアイヌ民族が先住民として住んでいたという事だが、そのアイヌ民族の前の先住民がコロボックルだったという説もあった。「という事は・・・・この半島にコロボックルの生き残りがいてもおかしくないな。」竹夫はぽつりと独り言を言った。その後・・・・竹夫は通常の仕事をして・・・・ふつうに長丸家に帰った。夕食はまた竹夫の部屋の前に置いてあった。食べた後・・・・食器を部屋の前に置くと、ちょうど花子が取りにやってきたので・・・Kの様子を聞いてみた。「大丈夫よ。・・・・ふてくされてはいるけど・・・かたき討ちに行くことは無理だと思ってるようだから、無茶はしないと思うわ。」「そうですか・・・・それなら・・・」「でも、南森さんも一人で鬼の調査をしようなんて無理なことをしないでくださいね。」少しドキッとした。じつは、鈴木社長の許可さえ出れば、ひとりで行ってみようと思っていたのだ。花子が食器を持って居間に行くのを確認すると、竹夫は部屋に戻った。「よっ!」コロボックルがいつの間にか部屋の中にいた。
2015.12.26
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昨日は、久しぶりに家族全員そろっての夕食でした。この時期になると各団体の会合も多く、年末の忙しさもあって、家族そろうってなかなかないんですよね。特に今年は・・・・大学の決まった次男坊ですけど、入学早々に学力テストがあるんだそうで・・・あまり恥ずかしくない点数を取りたいと・・・・受験の終わった今もまだ、受験勉強なみの勉強をしていますから、まだ塾に毎日通っていますから・・・・ホントに家族がそろわない。でも・・・家族にとってはおそらく・・・「家族全員がそろう最後のクリスマス・イブ」だと思うんです。朝からカミさんの指示がありました。「塾の時間があるから・・・・今日はみんな18時30分前に帰ってくるように・・・・」小さなケーキも買ってあって・・・次男坊にろうそくを吹き消させました。「小学生じゃないんだから、誕生日でもないのに嫌だよ。」次男坊はちょっとふくれっ面をしましたが、子供のころは長男と「ケーキのろうそく吹き消し合戦」をよくやってたじゃないか。もう来年から、こんな姿は見られないんだろうな?ちょっとさびしい・・・・「結婚しない鉄道員」(仮題64)駅長は「大福を踏んづけた。」と言ったが、その足を上げたとき・・・その下には何もなかった。「あれ?おかしいな?・・・たしかに何か踏んづけたんだけどな?」駅長は首をかしげていたが、竹夫には見えた。駅長のズボンの裾に、踏んづけられそうになって飛びついたのであろうその姿は・・・「こびと?」そのこびとは・・・口元に人差し指を当て・・・「シーッ!」という仕草を見せた。サイズなら3センチぐらい・・・つまり昔の寸法で言うなら「一寸」である。「一寸法師?」もうすでに桃太郎や金太郎、浦島太郎に会っている竹夫は、とっさにそう思ってしまった。「違うよ・・・」そのとき・・・ついさっきまで駅長のズボンの裾にしがみついていた小人が・・・竹夫の手のひらの中にいて呟いたのである。もちろん駅長はその存在に気づいてはいない。「俺、一寸法師じゃないよ・・・・コロボックルさ。」「コロボックル?・・・コロボックルと言ったら、北海道の伝説の小人だよね?」竹夫は子供のころになんか本で読んだ記憶があった。「いっぱい人がいるから・・・・昼休みに話をするよ。」コロボックルの感触が手の中から消えた。どうやら彼は瞬間移動ができるようだ。
2015.12.25
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今日はクリスマスイブ・・・・キリスト教徒でもないのに、なぜかワクワクします。でも、サンタさんのプレゼントはないんだよなあ・・・・「結婚しない鉄道員」(仮題63)何かが近くにいる・・・・霊感の強い竹夫にはそう感じられた。こんなに朝早く・・・・しかも駅の事務室に・・・・いったい何なんだろう?気配の感じられる方に振り向いても、何も見えない。気配を感じるのに何も見えない・・・・竹夫はハットした。「鬼?・・・鬼が駅に現れたのか?」恐山に行ったとき、イタコの吉野に言われていたが・・・「鬼の姿はひどい目に遇ったものにしか見えない。」・・・だから竹夫には見えなかったらしいのだが・・・今も、気配は感じて姿が見えない。竹夫は警戒した。「あの・・・駅員さん、青森まで切符一枚・・・・」その声ではっとした。姿の見えないものを警戒するあまり・・・窓口に客の来ているのに気付かなかった。その時は・・・まだ列車が入線する時間にはまだだいぶ時間があったので、窓口には誰も座っていなかった。客は近くのデスクに座っていた竹夫に声をかけたのだから、そのことに関して竹夫の責任ではないが・・・「ハイ・・・・青森までですね?・・・今度の列車は野辺地で青い森鉄道に乗り換えてくださいね。」竹夫は客が老婆だったので、丁寧に教えた。「そぃだばわかってるったって・・・駅員さん・・・さっぎがら、なの足の下あだりさ、なんがチッケェのが動いでらけど・・・なんなのさ?」「え?お客さん・・・・鬼が見えるんですか?」「鬼?・・・なにバガだごとしゃべってるのさ・・・わだきゃ恐山さ何回も行ったったって・・・・鬼だっきゃ一回も見だごとぁねぇ。」下北以外の人には通訳が必要だろうか?「それは分かってるけど・・・駅員さん・・・さっきからアナタの足元になんか小さいものが動いてるんだけど、なんなんですか?」「え?お客さん・・・・鬼が見えるんですか?」「鬼?・・・なにバカなことをおっしゃってるんですか?・・・私は恐山に何回も行ってますけど、鬼は一回も見たことありません。」まあ・・・こんな話しだった。「恐山には鬼がいるんですか?」「賽の河原で、わらはんどが積んだ石を壊しさくるって話だっきゃ。」これくらいは分かっていただけるだろう。ちなみに・・・「わらはんど」とは、「子供たち」という意味である。老婆は「変な駅員だな」とでもいうような目をして・・・待合室のベンチに腰かけ・・・キャラメルの箱を取り出して・・・ひとつ紙をむいて口に入れた。これ以上は聞けなかった。「なにぼんやりしてるんだよ、南森くん・・・・しっかりしてくれよ・・・あ!」駅長が急に小さく叫んだ。「どうしたんですか?」「何か踏んづけちゃったみたいだ・・・ギューッって音がした。」駅長がそっと足を上げた。「あれ?何もないな・・・大福でも踏んづけたような感じだったけど・・・・」やはり何かいるようだ。
2015.12.24
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「天皇誕生日」ですね。明日は「クリスマス・イブ」ですから、なんとなく世の中がおめでたいような気がします。景気も良くなってくれればいいんですけどね・・・・・「結婚しない鉄道員」(仮題62)翌日は通常の出勤日・・・竹夫は下宿先の長丸家の自室に戻り、いろいろと考えていた。「神様はなんでうそを言ったのだろう?」嘘というのは、鬼の管理は自分ではない・・・・閻魔大王だ。・・・・と言ったこと。桃太郎の話しによると・・・・神様が閻魔大王であるという。つまり、鬼もおとぎ話の主人公も・・・・妖怪の仲間なのだから、すべて神様が管理しているという事を隠す理由がわからない。悶々として、いろいろなことを考えていると・・・・疲れて眠いはずなのに、竹夫は全く眠れないままに翌朝を迎えたのだ。トントン・・・ノックの音がして佳代子の声がした。「南森さん・・・朝ご飯、ここに置いておくからね。」気が付くとすっかり夜は明けていた。「あ、ありがとう」声をかけると・・・佳代子が階段を降りて行く音が聞こえた。そういえば・・・すっかり甘えてしまっていたが、女性だけの家族だから、食事つきといっても、自室で食べることになっていたのだ。それを今まで竹夫は、呼ばれるから長丸家の居間でごちそうになっていた。「そうか・・・・Kさんがまだ長丸家に泊まってたんだ。・・・昨日のことで怒ってるから、Kさんが嫌がってて、俺にはここで食べろっていう事か。」竹夫はそう理解した。食事が終わり洗面をし、駅員の服装に着替えると・・・食器をドアの前に出しておいた。そしてそれから駅に向かうのだが・・・・居間にいるはずの花子たちに声だけは掛ける。「じゃ、行ってきます。」すると・・・花子が外へ出てきた。ドアの隙間からKの顔が覗いていた。「南森さん・・・・Kがどうしても恐山に行くって聞かないのよ。」「それだけは辞めさせてください・・・そのことは佐藤所長にも話してありますが、Kさんは鬼にかたき討ちに行きたいと興奮しているのです。・・・危ないから絶対に目を離さないで・・・・」花子には、Kの様子がおかしいことは充分に承知していたから、しっかりと頷いてくれた。「わかった・・・私一人で抑えきれないときは、ウッドベルのレンジャーの穂とたちにも助けてもらうわ。」レンジャーたちの姿は目視できないが・・・・どこかに隠れて監視していることは感じることができた。「じゃ・・・行ってきます。」こうして竹夫は駅に向かった。駅に到着すると早速駅長がやってくる。「おはよう・・・昨日は美人二人と恐山・・・・楽しかったかい?」からかうように竹夫に話しかける。「いや・・・・観光についての調査ですから、楽しいことなんかありませんでしたよ。」実際神様に遇ったり、鬼の気配を感じたり(姿は見ていない)・・・・おとぎ話の主人公を訪ねて行ったり・・・めまぐるしい一日で、何も楽しいことはなかった。掃除を始めて、通常の業務に入った。自分の席に着き、デスクワークを始めようとすると・・・・なにやら不思議な感覚がする。何かが近くにいる・・・・・それが何かは分からないが、霊感が鋭い竹夫には・・・・誰かに見られてる感覚がするのだ。「もういやだ・・・・」竹夫はつぶやいた。
2015.12.23
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昨日は久しぶりに、家族で焼肉屋へ行った。次男坊の「合格祝い」だったが、同じ店である銀行の忘年会をしていた。「あ、社長・・・どうも」ある行員に見つかったが、・・・・きっと「貧乏会社の社長が焼肉屋だなんて生意気だ。」って思われてるかも・・・「結婚しない鉄道員」(仮題61)竹夫とKは、いったん桃太郎たちのお屋敷を退くことになった。Kは不満に思ったらしく、しばらく口をきいてくれなかったが・・・・竹夫たちの任務は、この半島になぜ産業が発達しないのか?・・・・観光客があまり来ないのかの調査であって、鬼退治が目的ではない。そのことを竹夫が思い出したのだ。「Kさん・・・・もう一度、あの神様のところに行ってみませんか?」もちろんKは口を利かない。二人は桃太郎たちの屋敷を出て・・・さらに洞穴の外へ出た。すると洞穴は・・・スウーッとその入り口を閉じたのである。外には少し離れたところに、二人をガードしていた「CFEのレンジャー部隊」・・・・すなわち「ウッドベルのキコリたちが待機していて、二人の姿を見ると自分たちの車に乗り込んだ。どうやらずっと待機していて、洞穴の中には入らなかったようだる。竹夫はいったん、長丸家に帰ることにした。「あら?思ったより早かったわね・・・桃太郎さんたちとの鬼退治の話しは進んだの?」お気楽な感じで花子が聴いてきた。もちろんKは何も話さず、長丸家の居間に向かった。竹夫も・・・「今はちょっと・・・・」と言ったきり・・・自分の部屋に行ったのである。なぜ竹夫は部屋に向かったのか?それはこの部屋に神様が来るのではないかと思ったからだ。しかし、神様はいっこうに現れない。竹夫は「ウッドベル青森営業所」に向かうことにした。佐藤所長に状況を報告して、今後の方策を検討しようと思ったからだ。所長には前もって電話してからいった。「所長・・・・さっき電話で話したような調子なんです。・・・どうすればいいか悩んでるんですけど・・・」「なにを悩むことがあるんだ?・・・すぐにでも神様のところに行くべきじゃないのか?」「そうですよね?・・・でも、出来ればKさんや長丸花子さんは連れて行きたくないんです。」「なぜ?」「なぜって、花子さんはともかく、Kさんのお姉さんを隠したのは鬼というけど、その元締めが神様ですからね。・・・・Kさんは神様を問い詰めようとするじゃないですか。」「だけど彼女以外は誰もそのお姉さんの存在を確認していないんだよ?Kの妄想じゃないのかな?・・・彼女の両親もその存在を認めてないし、幼なじみの花子さんだって知らないという・・・公的な書類・・・出生届も戸籍謄本もないとなると・・・妄想じゃないのか?」「花子は連れてっていいだろ?」「彼女にはKさんをなだめて、監視してもらいます。」竹夫はあの神様のもとへ、ひとりで行こうと考えていた。「Kさんはスパイとしても一流です。花子さん一人では監視の目も行き届かないでしょう。・・・・だからレンジャーの人たちにも監視してもらいます。」「南森くん・・・そりゃ危険じゃないかね?」「相手は神様です。・・・危険なことはありませんよ。」もし危険でも、被害が竹夫ひとりなら・・・・と口に出かかったが・・・それは言わなかった。「武器は?」「武器も持ちません。・・・武器を持っても神様相手では無駄ですから。」竹夫は覚悟を決めていた。「しかし・・・・私の一存では決められないんだ。・・・明日まで・・・明日まで待ってくれ・・・・鈴木社長と話しをしてみる。」佐藤所長は汗をかきながら、竹夫を押しとどめた。まだ春だというのに・・・・かなりの汗をかいていた。
2015.12.22
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じつは・・・今日が次男坊の入試合格発表だったんですけど・・・・なんとか大学生になれるようです。「結婚しない鉄道員」(仮題60)Kが怒ってるんじゃないか・・・・竹夫は気になってKの顔を見たが、彼女は全く気にしている様子はなかった。「ま、それはいいとして・・・・おまえたちは何で鬼退治したいんだ?」金太郎は質問した。「それは・・・・」竹夫は答えようとしたが言葉に詰まった。なんで何だろう?・・・・そういえば、恐山に行って調査しろという指示は受けたが、「鬼退治しろ」・・・・とは言われてなかったような気がする。そうだ・・・この半島は今までも様々な事業をしようとして、何一つうまくいったものはない。産業も観光も・・・・何かが邪魔しているに違いないというのが「CFE」の考え方だった。その邪魔しているものが、これまでの経緯から「恐山に基地のある組織」ではないかという事で、今回竹夫たちが行ったのだ。「でも、私の姉が鬼たちに誘拐されたのです。」Kが勢い込んで話した。「鬼が誘拐?」「そうです・・・・私たちが子供のころに・・・鬼に見つかって・・・それでお姉ちゃんだけがさらわれたんです。」Kの目からは大粒の涙が流れていた。「鬼たちがそんなことをするか?」おとぎ話の主人公たちはお互いの顔を見合った。「そうだよな・・・あいつらとはそんなに仲がいいわけではないが、妖怪仲間だしな?」「妖怪仲間?」竹夫は思わず聞き返した。「ああ・・・俺たちが妖怪じゃないとしたらなんなんだ?」「そうだよ・・・特別な能力があるから、おれたちだって妖怪だし・・・鬼だって人間じゃないんだから妖怪だよ。」でもそれでは、あの神様の言ったこととは違う。あの神様は・・・・「鬼を管理しているのは閻魔大王だ」といった。「あ・・・あの神様、ずるいなあ・・・・自分が閻魔大王なくせに・・・・」桃太郎が、いたずらっぽい顔で笑った。「とにかく・・・・鬼が悪さをしたなら、俺たちがもう退治に行ってるよ。・・・下風呂辺りの猿からもそんな報告が来るはずだし・・・・」「でも、お姉ちゃんが誘拐されたのはだいぶ昔のことなんです。」「それって鬼に間違いないの?」「だって、さっき亡者をいじめていた恐山の鬼に間違いないんだから・・・・」「鬼は、そのお姉ちゃんと遊びたかっただけさ。」「そんな悪さはしないはずだよ?」「もしかしたら・・・あの神様のことだ。・・・・自分の近くに隠してるかもよ?」口々にそんな話をするおとぎ話の主人公たち・・・・もう一度恐山に行かねば・・・・と思う竹夫であった。
2015.12.21
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昨日は午後7時から・・・実家のご町内の神様である「猩々様」と「権現様」のお年取り・・・毎年の行事なんですけどね・・・総代という役割がありますから出席させていただきました。今年もお世話になりました。来年こそいい年になりますように・・・・お願いしてきました。「結婚しない鉄道員」(仮題59)「この女・・・貢物なんだろ?」突然桃太郎が、おとぎ話の主人公らしからぬ発言をした。「貢物?」「だってお前・・・鬼退治をするお願いをしに来たんだろ?・・・土産を持ってくるのが当たり前じゃないか?」もちろん、竹夫にもKにもそのつもりはなく、二人とも絶句してしまった。「ま、とにかく・・・玄関先で話しててもなんだから、入りなよ。」浦島太郎にそう言われ、二人は家の中に入れてもらった。「あのう・・・・皆さん勘違いされてますけど、この女は貢物ではありませんよ?・・・彼女は私の妻です。」竹夫は嘘をついた。Kも驚いたような顔をしたが、こうでも言わなければKを貢物にしなければならないような状況だと感じたのだ。「なんだ・・・貢物じゃないのか。・・・」桃太郎はちょっとがっかりしたような顔をしたが・・・「当たり前じゃないか・・・・見たところお似合いの夫婦じゃないか。・・・みんなあきらめて。」浦島太郎にそう言われてあきらめたようだ。「お似合いの夫婦」と言われて・・・改めて竹夫はKの顔を見る。竹夫はもちろん悪い気はしないが・・・・Kが怒っているんじゃないかと気になった。あ、ごめん・・・・ちょっと用事が出来ました。続きは後で・・・・
2015.12.20
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成長著しい社員が出てきました。この2年・・・ことあるごとに指導を続けましたが、ようやく効果が表れてきたんです。まだまだ営業マンとしての成績は上がってきていませんが、今後に期待です。「結婚しない鉄道員」(仮題58)蠣崎の山中・・・竹夫が見つけた洞穴の前で、佐藤所長から教えられた呪文を唱えると、紫色の煙とともに一軒のかなり大きな屋敷が現れた。「ごめん下さい」と声をかけるべきかそれとも「たのもう」というべきか・・・竹夫が悩んでいると奥から声がした。「オオ・・・わかってるから入って来い。」何が分かっているのだろう・・・竹夫が考えていると、もう一度声がした。「いちいちメンドクサインだよな・・・・」その声がしてしばらくすると、一人の男が出てきた。「あれ?ひとりじゃねえのか?」その男はじろじろとKを見た。真っ赤な腹掛けに「金」の文字・・・・明らかに金太郎である。「こちらは金太郎さんのお宅ですか?」「俺だけじゃねえけどな。」「それでは桃太郎さんも浦島太郎さんも・・・・」「ああ・・・一緒だよ。」「それは良かった・・・・少々お願いがあってまいったのですが・・・」竹夫はいつもより丁寧に話をした。「そりゃいいんだけどよ・・・・おいらたち・・・お前が一人で来るもんだと思って・・・ちょ、ちょっとまっててくれよ・・・な、な・・・」金太郎は慌てたように奥へ戻っていった。「Kさんを連れてきたのがまずかったのかなあ?」竹夫はKに聞いた。「あたし一人増えたって・・・鬼退治をしようって人達が困るわけがないじゃない。」そこへ・・・金太郎が・・・・そのあとへ桃太郎らしき人物と浦島太郎のような人が・・・「あなたが桃太郎さんで・・・・こちらが浦島太郎さんですか?」「ああ・・・そうだよ。おいらが桃太郎だ。」「わしが浦島太郎だ。」二人はいっせいに名乗った。しかし・・・金太郎・桃太郎・浦島太郎と名乗った三人の目は、明らかにKの姿を追っていた。「少々お願いがありまして・・・・」「わかってるよ・・・鬼退治してくれっていうんだろ?・・・・恐山の神様がそう言ってたよ。」桃太郎はKから目を外さずに答えた。「神様・・・・ですか?」「ああ、あの神様は妖怪も管理してるからね・・・・俺たちおとぎ話の主人公も妖怪みたいなもんさ。」金太郎もKから目を外さずに答えた。さすがにKも竹夫の背中に隠れたのだが・・・・それでもまだKの姿を目で追っている。竹夫の体を透かして見るような感じで・・・方向は竹夫の方を向いているが、焦点は明らかにKを見ているのだ。
2015.12.19
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今日も忘年会です。年寄りにはきつい毎日です。「結婚しない鉄道員」(仮題57)宿直を終え竹夫は、下宿に戻って仮眠することにした。昨日の恐山での出来事がまだ竹夫を興奮状態にし・・・宿直の疲れと相まって起きているのがつらかった。下宿先の長丸家では普段通りの生活が始まっていたが、中にはKがいた。「Kさん、昨日は泊まられたんですか?」「ええ、まあ・・・」「昨日佐藤さんが来てさ・・・しばらくここにいろって・・・」花子が口をはさんだ。「その代わり、佳代子がしばらく友達のところに泊まりに行っちゃった。」どうやら、鬼の襲撃を受けた時に、Kと花子が一緒の方が守りやすいと配慮したようだ。佳代子の件も、佐藤所長がそのように手配したのだろう。のんびりしているようだが、あの所長はなかなかできる。そうでなければウッドベルの営業所長、CFEの管理者はできない。「南森さん、朝ご飯は?」「いったん寝ますから、お昼にいただいていいですか?・・・午後から蠣崎に行くんで・・・」その時なにかに感づいたように、Kの目がきらりと光った。「ね、あたしも一緒に行きたい。」「え?蠣崎にですか?」「桃太郎に会いに行くんでしょ?」どうやら、Kも桃太郎たちのことを知っているようだ。竹夫は一瞬悩んだが、蠣崎に鬼がいるわけではなく、Kの気分転換にもいいだろうと了解した。「なに?桃太郎って?」花子は全く知らなかったらしいが、一緒に行くとは言わない。その後、竹夫は自室に戻って仮眠するのだが・・・熟睡してしまって・・・目をつぶって目を開けたら3時間が過ぎていたという感じだった。しかし・・・それでもすっきりしていたように思える。洋服を着替えて長丸家の食堂に戻る。「あ、もう起きたの?・・・ご飯を食べる前にシャワーでもどうぞ。」花子に勧められて、シャワーを浴びるとさらにすっきりした。じつは浴槽に入りたかったのだが、他人の家ではわがままは言えない。部屋に戻ると食事の準備ができていた。朝食用に準備されていたものだろう・・・・納豆に味噌汁、おひたしに焼売があった。それを食べると竹夫はすぐに席を立った。「あら、お茶を煎れたのに・・・・」「あまり遅くなっても・・・みなさんに迷惑がかかりますから・・・」「みなさんって・・・あたしなら大丈夫よ。」花子はそう言ったが・・・・竹夫の言う「みなさん」とは・・・営業所から警護のために来てくれているキコリ・・・いや、レンジャーの人たちのことだった。限られた人数で、竹夫・K・花子の3人を守っているのだが・・・・一か所に固まっていれば全員でそこを守ればいい。しかし、3人がばらばらに活動すれば・・・・彼らもそれぞれの警護につかなければならない。早めに用事を済ませなければ危険なのだ。「じゃ、Kさん・・・・行きますよ。」こうして竹夫とKは出掛けることになった。竹夫の車が出ると。すぐ後ろにもう一台の車がついてきた。竹夫でも勘づくくらいの距離を尾行するのは、おそらくレンジャーの警護係の人たちだろう。竹夫は気にしないで運転することができた。ほどなく「蠣崎」に着いた。「へえ・・・・こんなところにお城があったんですか?」周りを見渡しても何にもない。山の上の方だと聞いていたが・・・・山の上にも何にも見えなかった。「お城といってもね・・・昔のお城は・・・天守閣があって立派なお城っていうわけじゃないのよ。・・・周りに塀をめぐらして敵が侵入してこないくらいが精いっぱい。・・・そうね・・・西部劇の騎兵隊がいる砦のようなものって思って。」聞くと・・・・蠣崎蔵人が治めた時代というのは1400年代初頭・・・応仁の乱の前だという。お城のあった場所に行っても、何も残されているわけではなかった。ちなみに・・・・蠣崎蔵人は南部氏に追い詰められて蝦夷地・・・北海道に逃げたという。その地で「松前氏」と名前を代え・・・・函館近くで松前藩を興した。「なにもありませんね・・・・」竹夫は少しがっかりした。「しょうがないよ・・・・今から600年も前のお城なんだもの・・・・残ってたら奇跡だわ。」Kは竹夫に声をかけ、世話をすることによって少し元気が出たように思えた。「洞穴は見当たりませんね・・・・」近くというだけで・・・・その近くという範囲までは分からないが・・・・これから探していくのもかなりの時間がかかりそうだった。その時、草むらからガサガサッと音がしたかと思うと、一羽の鳥が飛び立った。「Kさん・・・・今のは雉ですよね?」「そう・・・・桃太郎さんのお供をしたという雉よ。」「ということは・・・」竹夫はその記事の飛び立ったあたりを探すことにした。「あった・・・・」その洞穴の前で・・・・佐藤所長から教えられた呪文を唱える。すると・・・・なにやら紫色の煙が湧き立ち・・・一軒の大きな家が現れたのだった。
2015.12.18
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昨日のブログのアクセス数・・・519でした。(フェィスブックは分かりません。)私が不景気の話題をしたから、同情されたのかな?でも・・・・「同情するなら金をくれ。」っていうドラマがあったけど、そんな心境です。「結婚しない鉄道員」(仮題56)最終列車の乗降客は、あまり多くない。竹夫はその中に、営業所長の佐藤を見つけた。始発の便で、レディ・マッスルと一緒に東京出張に行ったはずだが、帰りの便にはレディマッスルはおらず、佐藤所長ひとりの帰還だった。竹夫は佐藤に対し、丁寧にお辞儀をして切符を受け取ったが、佐藤所長は改札口を出てから竹夫の肩をたたき・・・・「南森くん、もう仕事は終わりだろ?・・・一杯だけ付き合ってくれないか?・・・話しがあるんだが。」所長は指でお猪口を持つ仕草をしながら、竹夫を誘った。今は駅員という立場だが、もともとがウッドベル株式会社からの出向駅員である。・・・しかし・・・・「所長すみません。・・・私、今日は宿直なんですよ。」すると同僚の駅員から声がかかった。「南森さん、飲みに行くのはまずいけど、待合室で話だけしたら?・・・こっちの業務は私一人で進めておくから。」待合室は、春とはいえ・・・まだ寒い日もあったので、ストーブが焚かれていたから温かい。「じゃお願いしていいかな?すみません」竹夫は同僚の駅員に軽く会釈をして、待合室の長椅子に佐藤所長を誘った。所長はその間に缶コーヒーを買ってきて、竹夫に一本渡し・・・自らも缶コーヒーを開けて一口飲んだ。「微糖」と書かれてあったが、かなり甘い。「今日は大変だったそうだね・・・・長丸花子から電話があったんだよ。」「あ・・・花子さんから・・・」細かい説明はすでに聞いているようだったから、竹夫はKのことについては何にも云わなかった。「それで俺は急遽帰ってきたんだけどね・・・・急を要すると思って・・・」「急を要するって・・・そんなことはありませんよ。・・・鬼には姿を見られていませんから・・・」「鬼」と呼んだところだけ声を潜めた。他の同僚駅員が・・・・駅事務室にいるから聞こえてはまずい・・・それからは二人とも小声になった。「甘い・・・甘いよ南森くん。」缶コーヒーのことかと思った。「姿を見せていないと言ったが・・・君たちは全員裸で行ったんだろ?」「そうです。」「という事は靴も履いてないんだ。・・・地獄っていうところは岩山だらけというじゃないか・・・・そこに裸足で行ったんなら、怪我をしているかもしれない。」誰も怪我はしてないと思ったが話の続きを聞いた。「花子から聞いたんだが・・・花子自身、擦り傷はできたと言ってる。」そういえば擦り傷ぐらいは、竹夫もできていた。「それでも鬼は人間の匂いをかぎ分けるんだ。」「鬼が攻めてくるとでもいうんですか?」「そりゃ解らないが、その可能性もある。・・・・少なくてもKと花子と君のところには襲ってくるかもしれない。」「なぜですか?」「姿を見られたからだよ。」正確には、竹夫も花子も鬼の姿は見ていないが・・・Kとイタコの吉野は姿を見ていた。そのことを佐藤に話すと・・・「よし、それじゃ今日からレンジャーに特別任務に就かせるか?」佐藤は右の拳で左の手のひらをたたいた。「レンジャーって?」「あ、君には教えていなかったか?・・・あのヤマゴの連中は特殊訓練を受けたレンジャーなんだよ。・・・・元陸上自衛隊の第一空挺師団でレンジャー訓練を受けたもの・・・アメリカ海兵隊のグリーンべレイとか・・・・そういう訓練を受けていた人たちを集めてウッドベルではレンジャー部隊を編成しているんだ。」「ヤマゴ」とは、同じ宿舎に寝泊まりしていたキコリの集団のことだった。そう言えばあれも訓練の一つだったのだろうか?真冬のさなか・・・・彼らは真っ白の防寒着を着て山に入った。遭難した時に真っ白の防寒着というのは、見つけにくくて大変だろうと思ったが・・・・彼らはその防寒着を着て3日間、山に入った。「急にさ・・・木を伐れって指示が着てさ・・・しょうがない、山小屋に寝泊まりして木を伐ってくるよ。」彼らはそう言って山に入ったが、その山小屋の位置は、竹夫は知らされていない。レディ・マッスルに聞いても・・・・3日間の食糧は持たせていないと言った。あれはきっと・・・・レンジャーとしての「冬期間レンジャー訓練」だったのだろうと、竹夫は今納得した。山小屋はなく、彼らは雪を掘ってその中に暮し・・・・食料は自分たちで調達したのだろう。お土産にクマの肉を持ってきたが、冬眠しているクマを見つけ・・・それを殺害して食糧にしたに違いない。なるほど・・・・竹夫は彼らの強靭な肉体を思い出した。「気にしなくていい・・・あいつらは隠れながら君たちを守るから・・・」「でも相手は鬼ですよ?」「大丈夫だ。・・・あいつらは鬼に対する訓練も、桃太郎や金太郎・・・・浦島太郎から学んでいる。」「桃太郎・金太郎・浦島太郎」・・・・急にまたとんでもない名前が飛び出してきた。「おとぎ話から何を学ぶっていうんですか?」竹夫は佐藤所長の言っていることが、冗談に思えて腹が立ってきた。「おとぎ話?・・・いや冗談ではない。・・・・彼らも今はこの半島に住んでいる。」「桃太郎や金太郎はいいとしましょう。浦島太郎は鬼退治に何の役に立つんですか?」竹夫は、腹を立てながらも所長の冗談に付き合った。「浦島太郎は鬼退治はしない。・・・だが海で万が一の場合・・・・彼は乙姫の旦那だから、すぐに竜王に連絡が取れる。」「なるほど・・・・それであの3人がテレビのCMでいつも一緒なんだ。」竹夫は納得した表情を見せたが、所長には通じなかったようだ。「で・・・どこに住んでるんです?」「以前は脇ノ沢の鯛島に住んでいたんだが・・・鯛の形をした島でね・・・・尻尾の部分の岩に穴が開いてて・・・ある呪文を唱えると、その穴をくぐって彼らの住居に行けたのだが、ある地震災害の時に穴が崩れて・・・・今は蠣崎のあたりに住んでいる。」竹夫は蠣崎を知らなかった。「昔、大きなお城があって・・・そこに蠣崎蔵人という武将が住んでおった。・・・そこにある洞穴で鯛島にある穴と同じ呪文で行けるんだ。」「今、そのお城は?」「そのお城があれば観光地にも慣れるんだろうが・・・城跡しかない。」「そりゃ残念ですね。・・・桃太郎と言えば・・・犬・サル・雉は?」「猿は普段脇ノ沢におって鯛島を守っておったが・・・・最近、鬼が騒がしいという事で下風呂辺りまで進出している。・・・雉も常にこの半島の山の中をパトロールしているし、犬はホレ・・・うちの営業所で飼っている秋田犬が子孫だ。」「なるほど・・・サルが下風呂に進出っていうことは・・・・鬼は北の方にいるんですね?」「地獄がある関係から、鬼は恐山に多くいるのだが、普段は尻屋にいる。・・・尻屋っていうのは恐山から見て北北東・・・鬼門の方向だ。・・・それに対して桃太郎たちは反対の南南西の方に住んで対峙している。」竹夫は何となく信じたくなってきていた。「そうだ・・・・このたびの事件・・・・桃太郎さんたちにも手伝ってもらおう。」突然、佐藤所長が言い出した。「南森くん・・・・宿直明けの明日は休みだろ?・・・どうだろう・・・・蠣崎まで行って頼んできてくれんかねえ?」そういうと、佐藤所長は洞穴を通り抜ける呪文を竹夫に教えた。どんな呪文かって?それは教えられません。
2015.12.17
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暗い話題が周囲を取り巻いています。「結婚しない鉄道員」(仮題55)風呂に入って硫黄の臭いを落とした竹夫は、OM駅に顔を出した。この日は宿直の業務が待っていたのだ。業務交代の手続きを終えて、しばらく切符販売の席に着く。この時間になると最終列車だけだから、切符を購入する人はほとんどいない。部活を終えた高校生が帰宅するために乗るから、だいぶぶんが定期券での乗車になる。席に着いたままボンヤリと、Kのことを考えていた。姉が子供のころ、鬼に誘拐された?しかし彼女の両親は、その姉の存在を否定している。両親もそうだが、近所の人も幼馴染も・・・姉のことを誰も知らないと言われたそうだ。鬼や神様の存在を知らないでいたら、竹夫もただの妄想ではないかと考えただろうが、あの連中なら簡単にできることかもしれない。幼馴染である長丸花子にも、それなりに聞いてみたが・・・「k?・・・あの子はヒトリッコだよ。だからお姉ちゃんとか妹がほしかったんだろうね。あたしにもべたべた甘えてくる子だったね。」という答えで、姉のことは知らなかった。公的な書類にも、例えば出生届けにも・・・「Kは長女」と記載されているらしい。でも、鬼に姉を誘拐された時の悲惨な状況があったから、Kは鬼の姿が見えたわけで、一概に妄想とはいえない。今朝からの様々な体験が、竹夫の疲労を増しているようだった。同僚の煎れてくれたお茶を一杯、口に含んだ。「南森君、最終便が到着だよ。」その同僚が声をかけた。この駅ではこの到着した最終列車が、折り返してこの駅からの最終列車になるのだ。竹夫が改札口に出て、降りてくる客の切符を回収する。向かってくる列車の明かりが徐々に大きくなってきた。
2015.12.16
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なんだか疲れました。出張も多いんですけど、それ以上に物事がうまくいかなくて・・・・「結婚しない鉄道員」(仮題54)ドアをノックしているのはKだとわかっていた。「Kさん、どうぞ・・・」しかしKは入ってこない・・・・竹夫が立ち上がってドアを開けると、そこには案の定Kが立っている。恐山での出来事が悪かったと思っているのか、Kはもじもじしていた。「気にしなくていいのに。」「だってあたしのために最初のミッションが上手くいかなかったんだから・・・」やはりそうだった。Kの服装は・・・・おそらく花子のものなのだろう・・・・紺色のジャージを着ていた。「とにかく入りましょうよ。・・・・春とはいえまだまだ寒いから。」竹夫は振り返って座布団を持ち、小さなテーブルの前において、Kに座るように促した。「でも、驚きましたよね・・・・今でも信じられないけど、神様や妖怪や鬼が・・・・ふつうに出てくるんだもの。」「あたしだって初めてよ。・・・・鬼だけは小さな頃見たことがあったけど・・・」おそらくその時にひどい目に遇ったのだろう。「私には鬼の姿は見えなかったんですけど、そんなに恐ろし姿だったんですか?」正直竹夫には、またKが恐ろしさに青ざめ震えるかもしれない・・・・そんな恐怖があったから、気を付けながら話したつもりだったのだが、それでも幾分Kは青ざめていた。「あたしが子供のころ見た姿とは少し違っていたわ。どちらかというと私が子供の頃見た鬼は・・・そう・・・西洋の死神のような姿だったの・・・・でも今日見たのは・・・顔がしわの中に埋もれていて・・・孫悟空に出てくる猪八戒が恐ろしげな顔をした姿だった。」「全く違うんですね・・・・」「でも私にはわかったの・・・・あの鬼が・・・・私の子供のころに出てきて、お姉ちゃんをどこかに連れてってしまった鬼だって。」「お姉ちゃん?」「あたしには子供のころひとりの姉がいたんです。・・・ある時家族でキャンプに行ったんですけど・・・・急に鬼が現れて・・・・その鬼がお姉ちゃんを・・・・」「・・・・・・」「その鬼がお姉ちゃんを連れて行こうとしたんです。・・・・あたしは必死になってお姉ちゃんを助けようとしましたが・・・・鬼の持つ杖のようなものに殴られ蹴られ・・・とうとうさらって行ってしまったんです。」「・・・・・」「その時鬼は・・・・せっかく遊んでるのに邪魔するな。・・・・邪魔するとおまえは連れて行ってやらないぞ。」「それじゃお姉さんだけ連れて行かれたんですね?」「あの時あたしも一緒に誘拐されればよかった・・・・」Kは涙ぐんでいた。「すぐに両親にそのことを話しましたが・・・・父親も母親も笑って取り合ってくれません。」「笑って?」「お前は一人っ子だぞ・・・・お姉ちゃんって誰のことだ・・・・って言って。」子供がいた記憶さえ取り上げられてしまったのだろうか?「鬼は遊んでいる・・・・そう言ったんですね?」「そうです。」さっき神様が言ってた通りだった。いじめているわけではなく・・・遊んでいるだけ。でも遊び飽きた後のその姉は・・・・鬼はどうするのだろうか?嫌なことが頭に浮かんだ。鬼の食糧・・・・Kもきっとそんな風に思ったに違いない。
2015.12.15
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今日も青森まで行かなければなりません。昨日の札幌も・・・帰宅したのは午後11時・・・疲れました。札幌の用事はまだまだ続きますが・・・・12月ですので今年はもうありません。来年は何回行かなければならないのか・・・・仕事で忙しいんならいいんですけどね。金策で忙しいだけですから。
2015.12.14
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「結婚しない鉄道員」は、昨日今日明日と3日間のお休みをします。札幌に来ているからですが、実際は札幌・・・さすがに夜ともなると寒いですね。ススキノも寒かったから、一軒出てはすぐに次のお店・・・だって外へ出ると寒いんだもの・・・え?一軒にじっと留まってれば良いって?そりゃそうなんだけど・・・せっかくススキノまで来たんだから、結構観光しちゃいましたよ。ススキノだけ・・・で、今朝は早くから、札幌の山の方へ・・・さすがに雪はかなりありますね。青森と津軽海峡を渡っただけなのに・・・雪はかなり残ってます。防寒靴にしてよかった。今日は夜の便で青森に帰ります。じゃ、明日は関係ない・・・とお思いでしょうけど、明日は青森市に用事があるんです。貧乏暇なしです。
2015.12.13
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明日から札幌に行って参りますので、もしかしたら「結婚しない鉄道員」はお休みします。ところで、この物語は「Kさん」が以前、鬼によってひどい目に遇わせられたってことになってるんですけど・・・・どのような「ひどい目」なのか報告する必要があるようですから、ご意見を伺ったんですが・・・「木馬責め」っていうご意見がございました。でもあの三角木馬に座らされると・・・・「痔」になりそうな気がして・・・・あの美しいモデルの方が「痔」っていうのもね・・・・ただ足の長い方なので・・・・「木馬責め」で長くなったという事もできるし・・・どうしたらいいんですかね?「結婚しない鉄道員」(仮題53)長丸家ではKの治療であわただしくなった。あの地獄の席を脱してから少しは顔色も赤みを帯びてきてはいたが、Kはまだ一人で立ち上がることもできないでいる。「お風呂の準備はできたの?」花子は娘の佳代子に指示しながら、Kの体をあちこちさすっていた。「お母さん、準備できたよ!」その声を聴いて、花子は竹夫に命じる。「ほら、これからKはお風呂に入るんだから、自分の部屋に戻って・・・・」さっきまでずっと裸を見ていたのだから、いまさら風呂にはいるからといって、洋服を脱がしても気にはならない竹夫ではあったが・・・・花子の言葉にびくっとして・・・部屋に帰ることにした。部屋に戻り・・・・竹夫は寝っころがりながら、天井を見つめて一人、考え事をしていた。なんで今自分はこんなことをしているんだろう?未来からやってきて、ただ「マゲワッパの職人」になりたかっただけなのに・・・・いつの間にかマゲワッパ職人からキコリになって・・・そのうち枕木の営業マンになった。ところがその会社は、ある秘密組織の隠れ蓑であって・・・いつの間にか鉄道員として出向することになったのだが・・・それもこの秘密組織「CFE」の任務であり・・・・その初めての任務のために、今日は恐山に行ったのだが・・・その任務の内容が・・・ふつうの人間のすることではなかった。危険がないと言われていたのに、神様が現れ、妖怪が現れ・・・・最後には鬼まで現れたのだ。そして・・・その鬼によって仲間の一人が恐怖に身を縮め・・・身動きのできないようになってしまったのだ。「俺は未来に帰ろう・・・何も変化のない生活ではあるが、安全で安心な生活はできる。」竹夫はそう決めた。そしていつの間にか眠ってしまったようだった。「南森・・・・南森・・・・」誰かが竹夫を呼ぶような声がした。ふと気が付くと・・・・目の前に誰かがいる。しかも空中を浮遊しながら・・・・・「わしじゃよ。」それは恐山の裏山の洞窟で出会った「神様」であった。「お前とはゆっくりと話しをしなければならなかったんじゃ・・・」竹夫はなぜか正座をして身を正した。「鬼は怖ろしかったかのう・・・・?」「はい・・・それはもう・・・亡者を鞭で打ちたたき・・・・それはホントに恐ろしい光景でした。」「ほほう・・・・お前にはそれが見えたのか?」いや・・・・実際には亡者が鞭で打ちひしがれているように、身をよじらせて苦しんでいる姿だけだったのだが・・・・「だけど現に・・・」Kが以前、鬼によってひどい目に遇わされ・・・・その恐怖から今も苦しんでいることを話そうとした。しかし、相手は神様なのだからそのことは充分に承知しているようで・・・・「そのことは後からKに聞くがよい。しかし・・・・鬼は人間をいじめているわけではない。」「現に鞭で亡者を・・・・」「そうではない・・・あれは閻魔大王から言われて・・・・亡者たちと戯れておるだけじゃ。」「戯れる?・・・・」「そうじゃ・・・・お前たちは子供のころ、チョウやトンボなどの虫を捕まえて遊んだじゃろ?・・・それと同じじゃよ。」「でも亡者たちは苦しんで・・・・」「体の大きさが違うからそのように見えるのじゃよ。」神様の言っている意味が解らなかった。「お前たち人間がチョウやトンボなどの虫を捕まえるとき・・・・いじめようとして捕まえるわけではない。・・・・チョウやトンボにしてみれば、自分たちより数百倍も大きな人間に捕まえられるという事は、生死にかかわる問題じゃが・・・・・お前たち人間はただたわむれに遊んでおるという感覚しかないじゃろ?」「中には殺そうと思って捕まえているものもいると思います。」「じゃからそんな奴は亡者になって・・・・蝶々やトンボと同じように扱われ・・・・その苦しみを味あわせるという、閻魔大王の与える罰じゃが・・・・鬼自体は亡者と遊んでおると考えておるだけじゃ。」まだ意味がよくわからなかった。「ま、そのうちわかるじゃろ・・・・おっとそろそろKがここに来るようじゃな。・・・・わしゃ、また来るからの。」神様はそういうと、竹夫の目の前からふっと消えた。その時・・・・竹夫のドアをノックする音が・・・・神様の話しだと・・・・Kが来ているはずだった。
2015.12.11
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3億円事件が起きた日・・・・それが今日なんですってね。私はその翌年、大学に入って府中に住みました。でも・・・バイクに乗れる学生で府中に住んでた人は、みんな取り調べを受けたんじゃないのかな?私も何度か・・・「事件のあったころは高校生で青森に住んでました。」と説明したにもかかわらず・・・お巡りさんにアパートまで数回押しかけられました。手詰まり状態だったんですかね?「結婚しない鉄道員」(仮題52)Kが身震いをしている・・・いつも強気なKが・・・竹夫には信じられなかった。「Kさんは鬼にひどい目に遇ったから、その姿が見えるようです。」吉野はそう説明したが、Kの発言に不自然なところがあった。「Kさんは、追い立てられている人が鞭で打たれているのは見えるらしいけど、その追い立てる鬼に見覚えがないような話をしてましたけど・・・」「それは・・・以前に見た鬼と姿かたちが違うからだと思います。」吉野は説明を続けた。「先ほども申し上げましたように、鬼の語源は“オヌモノ”・・・姿かたちがないもの・・・なんですが・・・・一度ひどい目に遇うと、その人が一番恐ろしいと感じた姿になって、その人の脳に焼き付けられるのです。つまり見えてないのに見えてしまったと感じるようになるのです。」吉野は一息ついて続ける。「普通はその最初に感じた姿が次の回もおなじに現れるのですが、違う姿で現れるという事は・・・あの鬼の攻撃対象がほかの人・・・・つまり、あの追い立てられている亡者たちで・・・Kさんじゃないからでしょう。」「でも、それなら・・・見えないんじゃないですか?」竹夫が言い返すと・・・・吉野は諭すように言った。「それがわからないから不思議なんです。」ごまかされたように思った。Kの震えは止まらなかったが・・・・やがて亡者と鬼の姿は消えたようで・・・吉野が立ち上がり・・・・やがて竹夫と花子も立ち上がったが・・・Kは動けないようだった。竹夫は吉野に提案した。「吉野さん・・・私たちは今日、あり得ない体験をしてしまいました。・・・・神に遇い・・・妖怪に遇い・・・最後は鬼や亡者にも・・・・あまりにも衝撃が強すぎます。・・・一度帰らせてください。」どちらにしても、Kは戦力にならないと感じたし・・・・強い鬼と戦うにしても武器を持たない不安があった。吉野はしばらく考えていたがやがて・・・・「神様が一度帰ることを了解しました。・・・私はいつでも恐山にいます。この次おいでになるときは声をかけてください。」どうやら・・・・恐山のお寺の裏山にいらっしゃった神様と交信していたようだ。「私が背負っていきます。」竹夫は男として、帰るならKを自分が背負うと考えた。しかし花子が断った。「素っ裸のKをアンタが背負うだなんて・・・大丈夫よ・・・・私が背負っていくわよ。」こうして・・・なんとか車のところまで戻り衣服を身に着けた。「帰りは数珠つなぎにならなくても大丈夫なようです。気を付けてお帰り下さい。」吉野はそう言い残すと、何処ともなくさって行った。「さ、帰ろう・・・」まだ、Kに衣服を着せていた花子にそう言った。それから・・・なんとか花子の家までたどり着くのである。Kの、血の気も失せた身動きできない体をウッドベル観光の中山夫妻とか駅の職員たちに見せないための配慮である。長丸家に着くと・・・ちょうど帰宅した佳代子が近づいてくる。「お母さん、Kオバチャン・・・どうしたの?」Kの姿を見て佳代子も驚いたようである。「いいから・・・大至急お風呂を入れて・・・・」花子は佳代子に指示した。
2015.12.10
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今週末、札幌に行くことになったんだけど、昨日あるメーカーの営業マンに紹介されて、・・・札幌の「ソワレ・ナイト」っていうお店に行くことになった。「中村明」さんという歌手の方がいらして・・・素晴らしい歌声と絶賛していたから、楽しみだなあ。「結婚しない鉄道員」(仮題51)3人の女性と竹夫の4人・・・硫黄の匂いをさせながら素っ裸で森の中を歩く。案内役のイタコ・・・吉野がいうには、これから向かう先は「地獄」だというが、「CFE」エージェントの3人は、何のために地獄に向かわなければならないのか理解していなかった。組織からの指示は「恐山に行って、そこを活動拠点とする秘密結社の調査をしろ」と言われただけで、危険はあまりないという事だったのだが・・・・最初に行ったところが、妖怪の住む・・・・絶滅した動物の住む・・・神様までいらっしゃる場所だった。そしてその神様から、「お前たちの向う場所はここではない」と言われ、今・・・・イタコの吉野に案内されてその目的地に向かうところだ。しかし、裸にされ斎戒沐浴した後に、その目的地が「地獄」だと聞かされ・・・・正直、いったん本部に報告してから改めて指示を仰ぐ方がよかったのではないか?・・・・竹夫はそう思った。「ねえ?だんだん熱くなってきてない?」花子の背中には汗が流れ始めていた。「地獄に近づいておりますから。」吉野が振り返って説明する姿を見ると・・・汗が胸の谷間から滴り落ちていた。そのうち・・・・ピシッ、ピシッという、鞭がしなり・・・何かをたたく音が聞こえてくる。「鬼が地獄の亡者たちを懲らしめている音です。」4人は物陰に身をひそめながら、その音のする方向に向かう。「隠れて!!」Kが声を潜めてみんなに命令した。隠れようにもあまり大きな岩陰などないから・・・・皆一斉にその場に臥せた。「どうしたの?」花子がKに聞いた。「ほら・・・あそこ・・・」Kが指差した方向には・・・自分たちと同じように素っ裸の男女がうごめいていた。「ひとり・・・ふたり・・・3にん・・・」竹夫が数を数えてみたが、およそ20人ほど・・・・ときおり、その中の数人が鞭でたたかれたように身をくねらせる。「あの人たち・・・誰かに鞭でシバかれてる?」Kは吉野に話しかけたのだが・・・・その答えは・・・「見えませんか?・・・鬼が鞭で強制的に歩かせているのですよ。」「ああ・・・あの大きな怖ろしい顔をしたのが鬼?・・・・そうなんだ・・・・」しかし、竹夫にはその鬼の姿が見えなかった。「鬼?・・・・鬼なんて何処にいるんですか?」「そうよ・・・鬼なんて何処にも見えないよ。」どうやら花子にも見えていないらしい。「そうですか・・・あなたたちには見えませんか・・・・」吉野は気の毒そうな顔をしたが・・・「もともと鬼の語源は・・・“オヌモノ”ですから・・・・もともとの鬼は姿を見せていなかったようです。」吉野の言葉には納得できなかった。「それじゃなんであんたとKさんには姿が見えるんだ!」竹夫は攻めるように言葉を発した。「それは・・・私やKさんが以前に鬼からひどい目に遇わせられたから・・・そうですね?Kさん」Kは・・・怖ろしげに身を震わせていた。
2015.12.09
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「結婚しない鉄道員」も、新しいタイトルをつけないまま・・・仮題のまま50話になってしまった。どうするつもりなんだろうね?この作者は・・・・「結婚しない鉄道員」(仮題50)湖で斎戒沐浴し、上がってくると途端に寒さが身に染みた。「このままで歩くのは無理だよ・・・寒すぎる。」竹夫はできるだけ、Kや花子の肢体を見ないようにはしていたが・・・どうしても目がいき・・・寒さに震える二人がかわいそうに思えた。「ご心配なく・・・・これから向かうところは灼熱の地獄ですから。」「地獄?・・・地獄のように熱いの?」「そうではございません・・・ホントの地獄に参ります。」「なんでそんなところに?」「皆様が会わなければならない者たちが・・・・鬼・・・だからでございます。」「鬼って・・・あの虎の模様のパンツを穿いて、角のある・・・鬼?」「そのような鬼はおりません。」「だって、昔から鬼っていうと・・・その姿だよね?」花子はKに問いかけた。「鬼・・・あれは縁起の悪い方向・・・・俗に鬼門というところに住むものっていうから・・・方角的に言うと北北東・・・時計で言うと1時の方向だよね?・・・・つまり十二支で言うと丑寅の方角だから・・・鬼は牛のような角を持ち、虎の皮の褌をつけてることになってるって聞いたけど・・・」なるほど・・・・それで鬼はあんな容姿なんだ。・・・・竹夫は妙に納得した。「実際の鬼は・・・・もっと恐ろしい姿をしております。まイメージから出来上がった創造のものですから・・・・中には皆さんの思うような鬼もおりますが・・・例えば中国ではキョンシーも鬼でございます。」「映画で見たキョンシーは、そんな怖くなかったけど・・・・」「あれは可愛らしく作られていましたね?でも実際のキョンシーはあんなものではございません。」「まいいよ・・・・このままじゃ寒いから、早くその地獄へ行こうよ。」Kが吉野に早くこの場を移動しようと言い出した。Kは地獄が怖くないのか?花子も、Kに従って動き出した。この二人は・・・・今までどんなつらいミッションをこなしてきたのか知らないが、恐怖心はないのだろうか?案内役の吉野は慌てて二人の前へ進んだ。すると・・・竹夫の目の前に3人のお尻が・・・・それも、スレンダーな肢体で、無駄な贅肉が一つもついていないプリッとしたお尻が、少し揺れながら3つ・・・・竹夫は下を向いて歩くことになるのである。
2015.12.08
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来年、任期を終えたら辞めようと思っていた役職・・・辞められなくなった。困った・・・・やっているお金も時間もないのに・・・「結婚しない鉄道員」(仮題49)「お前の弟子じゃと思っておったが・・・まだこのオナゴどもは修業が出来ておらんようじゃの?」神様は少々あきれたような顔で、Kと花子を見た。「これから先の話しは、近いうちにおまえの枕元に立って話そう。・・・今日はもう帰りなさい。」Kと花子が、話の腰を折ってしまうから今日はもうやめようという話しのようだった。「神様・・・・さっき・・・私たちが行くべき場所はここではないとおっしゃいましたが・・・私たちはどこへ行けばよろしいのでしょうか?」「オオ・・・そうじゃった。・・・お前たちの行く場所は・・・・説明するよりわしに仕えておるイタコに案内させよう。」「イタコ?・・・イタコって恐山にいるあのイタコですか?」「もちろんそうじゃ。」「イタコは神に仕えているんですか?お寺に仕えているんではなく?」「イタコは巫女じゃ・・・巫女は神に仕える者・・・仏教に尼はおるが巫女はおかしいじゃろ?」たしかに巫女が寺にいること自体がおかしい。恐山はれっきとした「恐山菩提寺」というお寺で、修行僧がいても巫女はおかしいと、竹夫も思っていた。「それではこれにて失礼仕りました。」竹夫は神様にお辞儀をしてその場を去ることにした。「ねえねえ・・・さっきの話しは何?・・・ここから帰るの?・・・話しはついたの?」Kと花子はしつこく聞いてきたが・・・・まだ神様はそこにいらっしゃったから、竹夫は無視して洞窟の外まで出てきてしまった。「ねえ・・・800万でどの妖怪を買うのよ?・・・さっきイタコって言わなかった?イタコって言ったら妖怪じゃなくて人間だよ?・・・イタコを買ったら人身売買だよ?」しかしそのうるさい女性たちも・・・洞窟の外まで出てくると固まってしまった。さっきは森の中をかなりの距離、歩いたはずなのだが・・・洞窟を一歩出ると「地蔵堂の裏」になっていて、たちまち洞窟の入り口は消えてしまった。その代わり・・・ひとりの白い上着を着た巫女さんが建っている。「イタコの吉野と申します。・・・・神の御言いつけどおり、皆様をご案内っせていただきます。」「イタコ?・・・・あなたが?」恐山にいるイタコとは・・・亡くなられた方の霊魂を呼び出して話をさせる・・・いわば憑代と言われる「霊媒師」のことで、目の悪いお年寄りが多いと聞いていたが・・・・このイタコさんは、まだお年寄りというほどではなく、目も悪くはない。「ご案内いただけるんですか?」「ハイ・・・・ここから湖の反対側まで参りますが、私の袖をチャンと掴んでいてくださいまし・・・・そしてその方の袖を次の方が・・・その次の方も同じように・・・・」つまり竹夫とKと花子は・・・数珠つなぎになって歩けという事らしい。「手を放すと・・・・その瞬間、冥府を迷うことになりますから。」「冥府を迷うって・・・・あの、あの世に行っちゃうんですか?」「その通りでございます。」イタコの吉野は、少し脅すような目になっていた。そこで・・・・駐車場を抜け・・・自分たちの車をその場に残した5人組は・・・・まだ観光客が少ない季節とはいえ、数人に奇妙な目で見られながら湖の反対側まで歩くことになった。受付にいた係員からは・・・「多い・・・テレビ局の人・・・カメラなんかはどうしたんだ?」と声をかけてきたが、追いかけてくる様子もなかった。そういえば・・・測定機器や武器などは、あの洞窟のところにおいてきてしまった。「ご心配なきよう・・・皆様のお車とともに、向こうに移動させてございますから。」吉野はいともあっさりと答えた。・・・誰も声に出して質問していないのに・・・一時間ほど歩くと・・・・ようやく湖の向こう側に着いた。ふつうに一人で歩けば・・・・おそらく40分ほどで着くのであろうが、数珠つなぎで歩いてきたから時間がかかった。「袖をつかんで歩かなきゃいけなかったの?」花子が文句を言った。「何度か危険な個所もございましたが、お気づきになりませんでしたか?」吉野はまたもあっさりと答えた。「さ、ここからはさらに危険でございます。・・・・人間界で使うものはすべて車の中へ置いて行きましょう。」穏やかな口調ではあったが、吉野の声は明らかに命令していた。「武器は持てないの?・・・だって危険なんでしょ?」「きゃつらは、人間の匂いをかぎ分けます。・・・気づかれないようにするためには森の匂いと同化しなければなりません。・・・着ているものもすべておいてまいりましょう。」吉野は率先してすべての衣類を脱ぎ始めた。「え?はだかになるの?」「着物に人間の匂いがついてございます。脱いで頂きます。」「でも、その私たちが人間なのよ?・・・私たちの匂いはすぐわかるんじゃないの?」「これから湖に入って、斎戒沐浴をいたします。・・・・この湖は火山の火口に水がたまったものでございますから、硫黄の匂いがきつく・・・・それで人間の匂いは消えます。」「でも・・・」花子とKは、竹夫を気にしていた。「そんなことでは、敵に気付かれてもよろしいのですか?」吉野に促されて、Kと花子は洋服を脱ぎ捨て、見事な肢体を竹夫の目にさらした。竹夫は考えた。「裸になって沐浴しなくても・・・・この硫黄の匂いなら洋服のままでも、湖に浸かったら洋服に匂いが移っていいのではないだろうか?」しかし、女性だけ裸にするわけにはいかない。急いで竹夫も洋服を脱いだ。季節的には春・・・・まだ湖に入るのは早いような気がしたが・・・何せここは火山湖である。ところどころ温水となっていて・・・寒くはなかった。
2015.12.07
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車の中でタブレット・・・周りから見ると怪しいおじさんですよね。今日は「太宰治のふるさと・金木」でのお葬式でしたが、早く到着したので車の中で小説もどきを書いてたんです。でも、駐車場係の人たちに何度か覗き込まれまして、恥ずかしいから止めちゃいました。「結婚しない鉄道員」(仮題48)とうとう神様まで出てきてしまった。しかもその神様は竹夫にしか見えないし、声も聴けないようだ。花子やKには全く・・・その存在は判らない。「南森さん、どうしたの?おかしな話をしないで!!!」竹夫はその神様の問いに「はい」と答えただけなのだが、Kや花子には、竹夫がおかしくなったように見えるのだ。「そちらの女には、わしの姿が見えないまでもお前のやってる事は理解しておるようじゃな。」神様にそう言われて、竹夫はKの顔を見た。Kは竹夫の目を見るとかるく頷き、花子に説明する。「ハッコ・・・どうやら南森さんには何か見えるよう。ここは南森さんに任せよう?」「K、あんたまで・・・」花子は渋々ながら承知した。「それでは、わしから自己紹介しようか・・・」「神様じゃないんですか?」「神様には違いないが・・・日本には八百万の神がいることを知っておるかのう?」竹夫の生まれた時代には、ほとんど宗教のことを考える人はいなかった。困ったことがあると、神頼みすることはあっても、どの宗教、どの神様にお願いするということはない。キリスト教やイスラム教などは、一神教で同じ神様と言われている。しかしヒンドゥー教や日本の神様は、異常なほど多い。「800万ですか??」「800万ってなあに?・・・お金がかかるの?」Kがいらだちから叫んだのだが、竹夫はすぐに唇に人差し指をあてて、静かにするように合図した。「わしはもともと妖怪を守護する神じゃよ。」「妖怪?」「800万で妖怪を買うの?」今度は花子が質問した。「ちょっと静かにしてくれませんか?」竹夫が今度は怒鳴った。9
2015.12.05
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今日は金木でお葬式です。雪が心配で早めに出てきたんだけど、2時間前についちゃった。車でタブレットを使ってますけど、小説もどきを書けるかな?「結婚しない鉄道員」(仮題47)恐山の奥に洞窟があったことは、地元出身のKも花子も知らなかったようだ。神の領域というくらいだから、日ごろは何ものかによって隠されているのかもしれない。洞窟の入り口にはしめ縄が飾られ、神聖な雰囲気を醸し出している。「お前たちだけ中に入れ。」目玉のおやじのにうながされて、3人は中に入った。どうやら妖怪の一人である目玉のおやじたちは、神聖な洞窟には入れないらしい。入口に立っている妖怪たちに追い立てられるように、3人は奥へ奥へと入っていく。一定間隔にたいまつが焚かれ、十分な明かりはあった。「お前が南森か。」白髭の老人が竹夫に声をかけた。「はい。」竹夫は返事をしたが、その声に花子が驚いたように声を上げた。「何よ?・・・なんで急に声を出すのよ。」竹夫の方が驚いた。「ふふ・・・お前以外にはわしの姿は見えないし、声も聞こえない。」どうやらこの老人が神のようだ。ここで今日はやめておこう。タブレットは使いにくい。続きは明日にします。
2015.12.05
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今日も忘年会です。でも今日は早く帰ってきますよ。明日は「吉幾三さん」の故郷・・・五所川原市金木地区まで・・・・お葬式です。うちの業界の県の会長がお亡くなりになったんで・・・・まだお若いんですけどね・・・・「結婚しない鉄道員」(仮題46)恐山のさらに山奥・・・こんなところにジャングルのような場所があるとは、竹夫もまったく想像すらしていなかった。そこは「神の領域」と言われるような・・・今竹夫たちを先導している目玉のオヤジがそう言っていたのだが・・・神聖な場所であるという事は竹夫たち3人も感じていた。ジャングルなら、けたたましい動物の鳴き声や鳥の羽音・・・何らかの音がするものであるが、ここでは全くの無音である。何もいないわけではない。竹夫たちの周りには、何やらたくさんの動物たちが目をギラギラと輝かせ、竹夫やKや花子たちを見張っているのだ。少しでも変な動きをすればすぐにでも襲い掛かってきそうな・・・せっかく持ってきた武器も、ここでは全く役に立たないのだ。ナイフは突き刺さらない切れない・・・ピストルやサブマシンガンは引金さえ弾けないのだ。見張っているのは野生の動物ばかりではない。形からして明らかに妖怪だとわかるものもいる。数頭・・・・目を真っ赤にぎらつかせた動物には、目玉のオヤジがいなければすぐにでも襲い掛かられるという恐怖心さえ感じた。「Kさん・・・あの目玉の赤い動物・・・もしかしたら狂犬病に掛かった野犬ですかね?」「違うわね・・・あれは日本狼よ。」「日本狼って・・・あの絶滅したと言われる?」「ここでは生きていたという事ね。」そこへ目玉のオヤジが割り込んできた。「日本狼だけではないぞ・・・・・ここでは絶滅したと言われておるたくさんの動物もおるし・・・・ま妖怪の類と言ってもいいだろうな・・・・そういう動物もおる。」・・・・ほらお前たちの右手にいる白いキツネはお稲荷様のお使い姫の白狐だし・・・その中でも9本の尾をもつ白狐は・・・・阿部晴明のの母親と言われる九尾の狐じゃ・・・これから行く場所にはな・・・八岐大蛇の子孫もおってな。」伝説の動物たちがこの聖地を守っている・・・そう聞かされて竹夫はかなわないと思ったのだが・・・・「動物ばかりではないぞ・・・・この地に生きる植物・・・・杉やヒバもな・・・・もう樹齢1000年とか数千年とか・・・・そういう樹木も妖怪の仲間でな・・・・ホレあのツタはいつでもお前たちをロープのように縛り上げることもできるんじゃ。」風もないのにツタが、ゆらりと揺れた。「ホレ着いたぞ。」3人はとてつもなく大きな洞窟の前に連れてこられた。周りを見ると・・・・八岐大蛇は見えない。「オオ・・・今日は空からお前たちを監視しとるわい。」空を見上げると・・・・8つの頭を持った龍が、悠然と空を泳いでいた。
2015.12.04
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あるメーカーの営業マンが来社しました。「社長、来年の2月の中旬ですけど、金沢に行きませんか?」「何があるんだ?」「芸者さんツアーです。」販売店経営者対象の勉強会だそうです。芸者さんから何を学ぶんでしょう。「結婚しない鉄道員」(仮題45)恐山の地蔵堂から左手を眺めると、「地獄めぐり」のコースが見える。もともと活火山の恐山は、あちこちから噴煙が上がり、さながら「地獄」の様相を呈している。それにもまして、その辺に転がっている小石がきれいに積み上げられていて、普通に見られる景色とは思えない。まだ春になったばかりで、冬の間とざされていた恐山なら、小石も乱雑に散らばっているはず・・・それなのにきれいに積み上げられているのは、地元の信者たちが、山が開かれるとともにすぐに上ってきて積み上げているようだった。地獄の積み石は、幼くして亡くなった子供の霊が親を思って積むものと言われている。♫一つ積んでは母のため・・・皆さんも聞いたことがあると思う。こうして積み上げられた石も、翌朝までには地獄の鬼が崩していくから、残された親たちが子供の手伝いをするために石を積むのだ。「これだけきれいに石を積む・・・信者の方々はホントに一生懸命なんですね。」竹夫は心から感動した。「ねえねえ・・・アンテナが岩山の中から、かなり広い洞窟の場所を探り当てたよ。」突然、花子が叫んだ。音波によって、岩山の中から空間を探り当てる装置…かなり広いようだ。「どっちですか?」「こっちだよ・・・・ついてきて?」花子は音波で場所を探りながら先頭を歩いた。完全に「地獄めぐり」のコースからは外れて、かなり奥に入ってきた。「ここまで来ると、もう観光客は来ないから、武器の用意をして?」Kは竹夫に指示した。Kは連射のきくオートライフルを持ち、花子と竹夫はピストルを持った。他の武器やピストルやライフルの予備の弾は、カバンに入れたまま竹夫が担いだ。さらに前に進む。森はだんだんと深く緑になっていって、ジャングルのようだった。その時、森中にかん高い声が響いた。「お前たちの来るところではない。」三人は背中を合わせて、森中を見渡して警戒したが言葉はさらに続いた。「ここは神と妖怪の領域・・・お前たちが目指している場所はここではない。」三人は、目を凝らして辺りを見回す。「あそこだ!」竹夫が指差した方向を一斉に見る。そこにはカモシカの背中に乗った目玉のオヤジの姿が・・・・「ついてこい・・・・」カモシカを振り返らすと、そのまま目玉のオヤジは奥へと進む。「言っておくがここではあらゆる武器は使用できない。ナイフでさえ切れない刺せない・・・銃器は弾が出ない。」Kはためしに引金を引いてみたが、壊れてしまったようにうんともすんとも言わない。「逃げてもいいが、ここにいるすべての神や妖怪の目から逃げおおせるかな?」竹夫が辺りを見渡すと、あちこちに目が光っていた。ついて行くしかないようだ。
2015.12.02
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「結婚しない鉄道員」(43)では、水木茂先生がお亡くなりになるという驚くべきことが起こりましたが、ホントにこの章には「目玉のオヤジ」が登場することになっていたんです。「目玉のオヤジ」の出身地ですが、「ゲゲゲの鬼太郎」の何巻目かに・・・「目玉のオヤジは恐山で生まれた」というようなことが描かれてたんですよね。そこで・・・この物語を書き始めたような部分もあって・・・・ま、続きを読んでください。「結婚しない鉄道員」(仮題44)本堂の玄関わきに、目玉に手足を付けたようなものが動き回っている。・・・・読者の皆さんなら・・・「ははあ・・・目玉のオヤジだな?」って思うかもしれないが、残念ながら竹夫は遠い未来からやってきた未来人だった。これが「目玉のオヤジ」という妖怪だという事も全く知らない。「な、なんなんですかあれは!!!」「なんなんですかって?・・・目玉のオヤジでしょうが。」花子に言われた。このとき・・・竹夫は、この半島に住む人たちが特殊な人たちではないかと思った。妖怪が不思議なものだという感覚がない・・・・そんな気がした。先日のスナックYOUでの歓迎会のとき・・・・駅員の一人が完全に酔っぱらって眠り込んだとき・・・「こんなとこで寝だら風邪ひぐど・・・死んでまうど」皆で起こしにかかったのだが、もうグダグダで起こすのもままならない。その時ママさんがこんな話をした。「いいんだいいんだ・・・死んでもお山さ行ぐだげだして飲みてぇと思ったら帰ってくればいいして。・・・」この半島の住人は、「死ねばお山さ行く」ものだと、真剣に思っている節があった。自分が死ぬことは確かに怖い・・・・しかし、死んでもこの近くの恐山に霊魂は行くだけ・・・そう思っているようだ。したがって、少々の不思議な出来事は受け入れるようなところがあるような気がする。この長丸花子にしたって・・・・目玉が単独で動き回ることを、そんなに不思議には思っていないような・・・・・そう思われていることを感じたのか?・・・花子は言い訳をしだした。「いや、あたしだって目玉のオヤジは初めて見たさ。・・・こんな不思議な生き物がいるなんて信じてないけどね・・・」ここで花子の言葉は途切れたが・・・・竹夫にはその続きが聞こえるようだった。「だけど実際に目の前に出てきたんだし、ここにはいてもおかしくないからね。」確実にそう言っているようだった。「あ、南森さんがごちゃごちゃ言ってる間に消えちゃったじゃない。」竹夫は何も言っていなかったが・・・・目玉のオヤジはいつの間にか消えていた。竹夫たちはその目玉のオヤジを探しながら、本堂の中も探ってみた。本堂といっても、ご本尊様のお地蔵様は「地蔵堂」の方に祭られていて、ここは普通のお寺のような感じだったが、中にはたくさんのガラスケースに入った「花嫁人形」が飾られていた。なんでも太平洋戦争の時に出征した兵士の中で、独身のまま戦死された方に花嫁を・・・・という事でまつられているらしい。「この花嫁人形の中には、時々髪の毛が伸びる人形もあるんだってね?」「そうそう・・・はっこ、ほら、あの人形も・・・・髪の毛が伸びてるとは言わないけど・・・髪型が乱れてない?」「あ、ホントだ。」いつも冷静なKさんや、花子さんたちでも、こんな話が好きなんだなあ・・・竹夫はそう思った。髪の毛が乱れているのは、移動するときにどこかにぶつかって髪型が少し崩れただけ・・・そう考えるのが普通だと思うが・・・・「そういえば・・・ここに昔おいてあった和尚さんが座る朱色の椅子・・・・毎年、足が伸びてガタガタするんだって。・・・毎年直して切るんだけど、翌年にはまたガタガタになってる・・・・脚が伸びてるのかな?」脚が伸びるという事は・・・漆塗りの朱色も一緒に伸びてるってことだぞ?あり得ない話でもこの女性たちは、信じているような節があった。「Kさん、花子さん・・・・さきに進みませんか?」女性たちは何かぶつぶつ言っていたが・・・・さきに進む。境内にはあちこち、風車がお供えしてある。「おさなくして亡くなった子供たちの霊を慰めるためにお供えするんだよ。」今度はKさんがボソッと話した。地蔵堂に着いた。たくさんのお地蔵様がまつられていると聞いたが、外からはご本尊のお地蔵様しか見えないらしい。地蔵堂から左手に回ると・・・・「地獄めぐり」があった。「さあ・・・ここからよ。」どうやら敵の基地らしきものはこの先のどこかにあるらしい。竹夫は改めて緊張してきた。
2015.12.02
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水木茂さんがお亡くなりになりましたねえ・・・じつはこの「結婚しない鉄道員」に、今日から水木茂さんの漫画に登場する妖怪が、登場する予定だったんです。予定・・・いや、今後の展開に必要不可欠な妖怪ですから、登場させますけど・・・・タイミングがいいのか悪いのか・・・・とにかく・・・・水木茂先生のご冥福をお祈りします。「結婚しない鉄道員」(仮題43)恐山に向かって、Kと花子を乗せた竹夫の車は、ゆっくりと進んでいった。スピードが出ないわけではない。竹夫の車は法律順守のカーナビを積んでいるから、時速60キロなら60キロで・・・信号が赤なら停まる・・・そのほか、絶対に交通警察官には捕まらないように走るのだ。もちろん、カーブの多い恐山街道だから・・・それなりに徐行するし・・・前の車がゆっくりならば、その車に合わせてスピードも加減される。ぜったいに違反や事故を起こさない車なのだ。ところが・・・・まだそれほど走ってないうちに・・・・目の前に警官が現れ・・・赤い旗を振られた。「はい・・・お急ぎのところすみませんね。・・・ちょっとお聞きしたいことがって・・・・すみません、免許証と車検証を出していただけませんか?」「あのう・・・なんですか?スピードは出してませんし・・・シートベルトだってちゃんとしてますけど。」竹夫は窓をあけてそう答えた。「いや、法律を順守していただいてることは認めてるんですけど・・・・ちょっと質問・・・・よろしいですか?」竹夫は頷くしかなかった。「スピードを出してないんですけど・・・・女ほかの車も走ってないような道路で・・・なぜスピードを出さないんですかね?」「え?」・・・と竹夫は答えに詰まった。「この見通しのいい道路で・・・ふつうの人ならもう少しスピードを出すでしょ?・・・・それが不思議でね?」「でも、スピードを出したら捕まるでしょ?」「そうなんですけど・・・違反の数が多くって点数がないっていうならわかりますけど・・・調べたところ免許証もきれいだし・・・・」この警官はいつの間に調べたのだろう。「それじゃ気を付けて」これだけで済んだ。もちろん違反をしていないわけだから、すぐに解放されたわけだが・・・「ねえ・・・今の警官・・・おかしくない?」車が走り出してまもなく・・・花子が口を開いた。「あれは敵の警備よ。」Kがあっさりと答えた。「敵の警備?」「違反もしていないのに、停める警官がいる?・・・・何か事件があって、緊急取締りならわかるけど、どこを探しても他のお巡りさんはいなかった。・・・ひとりで取締りをしている警官なんて、いるわけがないじゃないの。・・・あれは敵の警備係よ。」「敵って?誰なのよ。」「それがわからないから、あたしたちは調査に来てるんでしょ?」たしかにおかしなことだと・・・・竹夫も思った。その後車は順調に走り・・・ちょっとゆで卵のような匂いがしはじめる。硫黄の匂い・・・恐山はお寺でありながら、参拝客には温泉としても有名なところで、その匂いであろう。「地元の人にはいろいろな効能のある温泉としても有名なんだよ。・・・近所の子供なんか、この恐山の温泉でアトピーが治ったって・・・」聞きもしないのに、花子が教えてくれた。まもなく湖が見えてくる。・・・「宇曽利湖」である。そして恐山駐車場に到着した。「ああ・・・ちょっと疲れましたね?」「疲れよりも、南森くん・・・・頭は重くない?」「え?ああ・・・あの薬のおかげですかね?・・・これだけ恐山に近づいたのに、全く頭が重くなることはありません。」竹夫はKから、薬を貰って飲んでいた。「ま、少し緊張していることもあるんだろうけど・・・何ともなければいいんだ。」Kはトランクからいろいろな装置を取り出しながらそう言った。「Kさん、あの受付の人たちがこっちを見てますよ?」山門の前に入山料を徴収する受付があって、中にいる数人がこちらを見ている。「大丈夫よ・・・あの人たちが普通の人なら、テレビの撮影機材にしか見えないから。」たしかにいろいろな装置はそのように見えるかもしれない。でも最後に取り出したピストルやライフルは・・・・武器だという事が、全くの素人でも分かる。しかしそれも大きなバッグの中に入れるとわからない。入山料を支払うときに、係員から聞かれる。「その荷物はなんですか?」「撮影機材です。」「寺務所から許可は出てますか?」すると・・・Kがその書類を出した。どうやらお寺の方には撮影という事で許可を貰っているようだ。なんなく境内に入り込み・・・・すぐに寺務所に挨拶に行く。それほどの説明はしなくてよかったという事は、何の調査かもお寺の方ではわかっていたという事だろう。各装置を組み立てる。カメラのように見えるものは・・・GPSでかく測点をコンピューターに取り込み、戻ってから平面図を作成する機械だ。もちろん、高さも自動的に検測するから、出来上がった図面は地図のようなものになる。アンテナのようなものは、敵のアジトを調べる器械だ。山の中に異様な空間などがあると、音波によって教えてくれる。そんな装置がいっぱいあった。「さ、行きましょうか?」見た目はカメラのような装置が一番重そうなのだが、実はそうでもない。重いのは武器の入ったバックだったから、一応竹夫が持った。真正面に中門があって・・・・その奥に立派な建物が見える。「とりあえず真正面の建物から調べるんですかね?」竹夫が質問した。「建物に敵がいるわけがないでしょ?・・・建物なんか撮影している振りするだけでいいのよ。」竹夫はほっとして緊張が緩んだ。「でも・・・ほら本堂の陰から変なものがこっちを見てるわよ。・・・振返らないで!!」Kに言われて真正面を見たが何も見えない。「Kさん・・・なにも見えまえんよ。」竹夫が言うと・・・「シッ!!・・・あなたどこ見てんのよ。・・・・本堂って言ったら中門の横だよ?・・・真正面にあるのは地蔵堂!!」小さな声だが鋭い口調でKが言った。「恐山菩提寺」のご本尊は「お地蔵さま」で・・・たくさんのお地蔵様が善男善女から寄せられていた。それが地蔵堂に祭られている。本堂は中門の左手にあり・・・そのようには思えないのだが・・・・建物の入り口に欄間があり・・・・ここに「恐山7不思議」の一つがあった。仏教のことは詳しくないが、逸話の中に割れた水瓶の話しがあって、その情景が欄間にはあった。ところがこの水瓶だけ・・・・なぜか誰も磨かないのにずっと白く輝いているのだ。今度読者のみなさんが見る機会があったら見てほしいと思う。その本堂の方をちょっと見ると・・・なにも見えない。「誰もいませんよ。」「あの本堂の玄関の柱のずっと下の方・・・まだいるよ。」Kが見ている方向に・・・・竹夫は愕然とした。目玉に手足がついて動いているのである。
2015.12.01
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