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ADHDの子どもたちは、なぜ、多動であったり、忘れ物が多かったり、身のまわりを散らかしてしまったりするのでしょうか。今回はそれについて考えてみたいと思います。 外の環境は、いろいろな形で私たちに刺激を与えてきます。目から、耳から、肌から、その他五感を通してたくさんの刺激が飛び込んできます。そして、それが目や耳から脳に送られて、そこで処理されていきます。しかし、脳には必要な情報とそうでない情報を選り分ける「フィルター」機能が働いていて、必要でない刺激・今ふさわしくない情報はそこでブロックされてしまいます。なにかに熱中していると他のものが目に入らなかったり、おしゃべりに夢中になっていると、まわりの物音に気づかないといった経験がだれでもあることと思います。それはこの脳内のフィルターが働いているからなのです。 もしもこのフィルター機能が働いてくれなかったらどうなるでしょう。次から次へ飛び込んでくる刺激で、私たちの頭の中は、ごちゃごちゃに散らかった部屋のようになって、何がなんだかわからなくなってしまうでしょう。これがADHDの子どもの頭の中の状態なのです。 なにかに集中しようとしても、その頭の中に注意力をそらす刺激が次々と割り込んできます。授業を受けていても、鉛筆が落ちれば鉛筆のことにすべて注意が向いてしまい、ベランダにカラスが来れば、頭の中はカラスのことでいっぱいになってしまいます。ちょうど、刺激を受けると頭の中の注意力をすべて「上書き」されてしまうような感じなのです。そのため、行動は落ち着かず、衝動的な行動が多くなります。 部屋の中を片づけようとしても、床に落ちているマンガを拾い上げればそれに夢中になり、読んでしまいます。それを片づけに行けば、その本棚に目が行き、その中の1冊を手に取り、読んでしまいます。以前、テレビでADHDで悩む女性が家事をやる様子をビデオに収めたものを放映していました。料理をしようと台所に行っては、たまっているゴミを持って部屋に戻り、そこでゴミを置いてすみの掃き掃除を始めてしまいます。こんな具合に、次々と違うことを始めてしまい、結局、部屋の中はどんどん混乱していくばかりでした。 脳の前頭葉、前頭全野と呼ばれる部分での、脳内化学物質のアンバランス(多くの場合は不足)により、このような障害が起こるといわれています。 次々に新しい刺激が入ってくるという状況に弱い、それがADHDといえます。そう考えると、ADHDの子どもをどう援助していったらいいのかもだんだん見えてきます。
2007.03.31
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今、注目されているADHDとはどんな障害なのでしょうか。 ADHD(注意欠陥多動性症候群)は、次のような行動を日常的に繰り返す子どもたちを指しています。○注意欠陥・やたらと忘れ物をする。・なんでもやりっぱなし、なかなか片づけられない。・身のまわりに日用品や脱いだものを散らかす。・なにかをしに行ってもいつの間にか違うことに夢中になってしまい、忘れてしまっている。・すぐに人の足を踏んだりぶつかったり、物を落としたりするようなことなどがよくある。・授業中にすぐに気を散らして手遊びなどしている。○多動・衝動・友だちのちょっとした言動にかっとして、切れて暴力をふるう。・授業中にじっとしていられずに立ち歩いてしまう。・先生の発問に、手をあげずにすぐに答えてしまう。・先生が指名してくれないと怒ってすねる。・順番を待つことができずに割り込んでしまう。・面白そうなことがあるとじっとしていられずに、状況をわきまえずにやってしまう。・友だちのした気に入らないことや、自分が不公平に扱われたと感じることに、しつこく文句を言う。 個人差はありますが、以上のような行動特徴を見せる子どもたちがADHDと呼ばれています。たいていの子は、「注意欠陥」か、「多動・衝動」か、どちらかが強く出ます。(中には両方同じように強く出てしまう子もいます)司馬理英子さんは、前者を「のび太」、後者を「ジャイアン」とたとえて「のび太・ジャイアン症候群」という著書の中で詳しく説明しています。※「のび太・ジャイアン症候群」(主婦の友社)1575円 とにかく内容がわかりやすいです。 なお、ADHDは、ふつう、7歳までに症状が顕著に表れるということで、専門の医師が診断を下します。あまりに症状が激しい場合は、医師の処方した薬を服用することで数時間症状を抑えることができます。 服薬が必要なほど激しい症状を示す子はそれほど多くは見られませんが、「それっぽい」程度の子はけっこう学年に何人かはいるのではないでしょうか。それはもしかしたらしつけがなっていないのかもしれないし、甘えているだけかもしれません。でも、ADHDの傾向を持っているという可能性もあります。その子の行動全般を注意深く観察してみてください。 -------------------古典落語 「粗忽(そこつ)の使者」 今でこそ、電話や Fax、さらには電子メールなんてものもあって、遠く離れた人に用件を伝えることもそれほど難しくなくなりましたが、むかしは、書状を届けるか、さもなくば誰かに先方まで行ってもらって、口伝えでという方法を取っておりました。 ある日、武家屋敷に親類筋にあたります杉平家よりの使者がやってきます。ところが、この使者、屋敷につくなり、腹を切る、切腹すると大騒ぎ。時代劇なんかだと、簡単に切腹されていますが、実際には、幕府への届け出とか、なかなか面倒なことがたくさんありまして、簡単に切腹されてはたまらない。とにかく使者を落ち着かせ、理由を尋ねたところ、使者が言うには、使者の口上を忘れたとのこと。どうにか思い出してもらえないかと皆が思案していると、使者が言うには、子供の時分から、親が尻をつねってくれると思い出したという。 それじゃあ、つねりましょう、と使者の尻をつねるのですが、年季が入っているといいますか、つねられ慣れているお尻でございまして、少々のつねりかたでは、ハエが止まった程度にしか感じない。力自慢がよってたかってつねるのですが、全くこたえた様子がありません。 最後にはくぎ抜きまで持ち出して、ようやく思い出しました!「しまった、屋敷を出る時に、用件を聞くのを忘れた!!」 おそらくこの落語の使者は、今でいう「注意欠陥型のADHD」なのではないかなあという感じがします。古典落語には、粗忽者をおもしろおかしくネタにしたものがけっこうあります。おそらく昔からADHDというのは存在したのでしょう。古典落語の世界からは、「まあ、粗忽者だからしょうがないなあ」とあきれられつつも、それなりに許され、大事にされていた社会であるような、おおらかな雰囲気が伝わってきます。
2007.03.30
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特別支援教育が始まります。 「発達障害」という言葉は、ここ2~3年で、ずいぶん多くの先生に知られるようになったと思います。もうみなさんはいろいろな形で発達障害について知ってこられてきたと思いますが、「なんかよくわかんね」という先生方のために、肩のこらないおさらいをしてみましょう。 ここでは、ADHD、LD、自閉症/アスペルガー症候群と、3つに分けて扱ってみたいと思います。 知恵遅れなど、全般的な発達の遅れではなく、学習、生活のある特定の領域、状態で見られる困難、障害を「発達障害」と呼ぶのが一般的になっています。これらの子どもたちは、大部分が普通学級に入ってきます。従って普通の担任がこの子どもたちに対応していかなければなりません。 発達障害の原因は、一般に脳に「なにか原因があるのでは?」と言われています。遺伝だという説もあり、出産時の脳の軽微な損傷だという説もあります。(MRIなどではそれは発見されていません)要するに原因は今のところ不明なのです。 発達障害すべてを通じて、次の2つのことだけは押さえておきましょう。○親の養育態度や家庭などの「環境」が原因ではない障害だということ○努力や心がけだけではどうにもならない障害だということの2点です。 子どもの問題行動に対応する際に、発達障害についての知識は必要ですよ。 たとえば、いつも忘れ物をする子どもがいたとします。毎日教科書、ノート、筆箱、宿題、集金、何かしら、あるいは全部忘れてきます。この場合どんな指導をするでしょうか。○みんなの前で厳しく注意する。○個人的に呼んで個人指導する。○なんで忘れるのか、原因を聞く。○忘れ物表をつけて、毎日チェックする。○もっと家庭で気をつけてくれるよう保護者に連絡する。 もしもその子が発達障害を持っている場合は、以上の指導がほとんど効果を生まない場合もあるかもしれません。それどころか、その子は忘れ物がなくならないばかりでなく、心に大きな傷を残すことになるかもしれません。 発達障害を持つ子どもに対してどのように接し、指導していったらいいのか、少し考えてみたいと思います。
2007.03.29
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