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米国サウンドへの傾倒の成果は、忘れ去られがちな好盤 若くして功を成した人はある意味では不幸でもある。エリック・クラプトン(Eric Clapton)はヤードバーズに始まり、ジョン・メイオールのグループでの活動(『ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン』)で早くも神格化されたアーティストになってしまった。その後はクリームでの数年間の活動とその解散、そしてブラインド・フェイスの結成(しかしアルバム1枚で解散)、さらにはデレク・アンド・ザ・ドミノス(これまたアルバム1枚で解散)へと進んでいくわけだが、常に注目を浴び、それと同時に批判も浴びせられることになる。言い換えれば、若くして有名になってしまったがために、新たな音楽や分野に挑戦する自由がなかったわけではないが、そういう行為が常に公衆の目に晒され、しばしば批判のもとになったのは不幸とも言える。 ブラインド・フェイスの解散からデレク・アンド・ドミノスに至る間、クラプトンはデラニー&ボラニーのツアーに帯同したりして南部サウンドへと傾倒していく。そして、1970年、デレク・アンド・ザ・ドミノス活動を始める前に発表したのが、キャリアとしては最初のソロ作にあたるこの『エリック・クラプトン・ソロ(Eric Clapton)』である。メンバーには、プロデュースにもあたったデラニー・ブラムレットのほか、ボニー・ブラムレット、レオン・ラッセル、リタ・クーリッジらが名を連ね、まもなくデレク・アンド・ザ・ドミノスを結成することになる面子も揃っている。さらには、スティーヴン・スティルスにジョン・サイモンがゲスト出演もしている。 当時のウケが決して良くなかったであろうことは、上で述べた経緯から察せられる(当時の多くのファンにとって“神がリラックスしたアルバムを作ってはいけない!”のだった)。また、その後のクラプトンの長いキャリアからも忘れ去られがちなアルバムである(本格ソロ始動はこれよりもさらに数年後に始まるため)。けれども、40年以上経った今から見れば、何ともよくできたアメリカン・ロック・アルバムで、もっと評価されていいものだと個人的には思う。全体としてはR&B色、リラックス感、ホーンセクションの導入といった点が目を引くが、本質的には、イギリス出身のギタリスト(かつ本作からは本格的にボーカリストともなった)のクラプトンが、アメリカ音楽の深みへ入っていくといった方向のアルバムである。 個人的好みでベスト3は次の3曲。1.「スランキー」はジャム・セッション的なインストルメンタル曲。4.「アフター・ミッドナイト」は、J・J・ケイルの作で本作からのシングルカットともなった曲。リラックスしていながらもスリリングさを失っていないこの曲は、アルバムを締めくくる名曲11.「レット・イット・レイン」と並んで、本盤全体の雰囲気をよく反映している。[収録曲]1. Slunky2. Bad Boy3. Told You The Last Time4. After Midnight5. Easy Now6. Blues Power7. Bottle Of Red Wine8. Lovin’ You Lovin’ Me9. Lonesome And A Long Way From Home10. Don’t Know Why11. Let It Rain1970年リリース。 【送料無料】エリック・クラプトン・ソロ/エリック・クラプトン[SHM-CD]【返品種別A】 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年06月29日
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勇壮なテーマにのせてマイルスの復帰&ハードバップの興隆 マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の作品には、“現在進行形(英語の時間に習った~ing形)”のものが多くあって、初めてそれらのタイトルを耳にする人には少々ややこしい。『ワーキン(Workin’)』『スティーミン(Steamin’)』『リラクシン(Relaxin’)』『クッキン(Cookin’)』というのがあるが、これら4枚はいわゆる“マラソン・セッション”(2日でアルバム4枚分を録音したというセッション)のもの。このマラソン・セッションは1956年(5月と10月に計2日間)のものだが、本作『ウォーキン(Walkin’)』は、それよりも2年以上さかのぼり、1954年4月に録音されたもの。ちなみに他のマイルス盤では、『バグズ・グルーヴ』や『マイルス・デイヴィス&ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ』が同年の吹き込みに当たる。 この時期のマイルスは、ちょうどクスリから抜けだし、まさに上り調子の頃だった。1950年代前半はウェスト・コースト(西海岸)ジャズが隆盛を極め、東海岸の黒人ミュージシャンには活躍の場が十分与えられたわけではなかった。そんな中、マイルスはヤク中で演奏活動の機会を減らし、低迷していた(同時期に録音されたものとしては、ブルーノートの『マイルス・デイヴィス・オール・スターズ』――Vol. 1とVol.2があり過去記事はVol. 2のみ――がよく知られている)。その後、ドラッグから抜け出し、高らかな復帰宣言となったのが、この『ウォーキン』であり、それは同時にハードバップ台頭の大きなきっかけともなった。 実際、アルバム表題曲の1.「ウォーキン」は勇壮なテーマ曲といった趣で、メロディラインの力強さが印象的である。ライナーを書いたアイラ・ギトラーの言葉を借りれば、“ファンキー”・モダンの典型で、マイルスのトランペット演奏が見事なのはもちろんだが、この演奏の影の立役者は、ドラムのケニー・クラーク、そしてトロンボーンのJ・J・ジョンソンとピアノのホレス・シルヴァーでもある。この13分はまさしくハード・バップの名演。 以下、1.の表題曲に比べるとやや控えめの曲調が続くせいか、この表題曲ばかりに注目が行きがちだが、1.だけ聴いて満足するにはもったいないアルバムでもある。2.「ブルーン・ブギー」は何よりもスリリングな演奏が注目を引くもので、勢いで聴かせるタイプ。うって変わって3.「ソーラー」と4.「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ」は、何ともおとなしい、ある意味特徴のない印象すら与えかねないが、マイルスのトランペットが醸し出すこのまったりした感覚を引き締めかつ盛り上げているのは、明らかにケニー・クラークのドラム演奏である(この人の演奏を“どたばたしている”と評す方もいらっしゃるようだが、本作に関して言えば、これがおとなしいドラミングだったならば、アルバム全体としては締まりのない演奏になっただろうと筆者は思う)。5.「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」は少しテンポを上げての演奏だが、やはり地味めの演奏。しかし、マイルスのトランペットは高らかに吹いたかと思えばミュートで聴かせ、アップテンポでメロディを刻むかと思えば、ゆったりな曲ではしっとりとも聴かせる。50年代のジャズの真髄、ハードバップの原動力という評価はまさしくその通りなのだと聴くたびに実感する。[収録曲]1. Walkin'2. Blue'n' Boogie3. Solar4. You Don't Know What Love Is5. Love Me Or Leave Me [パーソネル・録音]Miles Davis (tp)J.J.Johnson (tb)Lucky Thompson (ts) Davey Schildkraut (as)Horace Silver (p)Percy Heath (b)Kenny Clarke (ds) 1954年4月29日(1.と2.)、1954年4月3日(3.~5.)録音Prestige 7076 【Aポイント付+メール便送料無料】マイルス・デイヴィス / ウォーキン[CD][初回出荷限定盤(初回プレス完全限定)] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年06月26日
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音楽ネタではないですがご容赦を。今回の東日本大震災の報道を見ていると、正直、復興には元手(資金)がなければどうにもならないというのを実感します。先日も現地の方が、行政の方針によってがれき撤去が進んでいるところもあれば、3か月以上経った今でもほとんどそのままというところもあると話しておられるというのを聞きました。つまりは継続的に支援が必要で、消費税アップなども議論はされていますが、やはり理想的には協力できる人が協力できる範囲で募金や支援活動をしていくという方向ではないかと感じます。本ブログでは、トップページにいくつかの募金情報を掲載させていただいています。さらに興味のある方が増えればと思い、義援金・募金関係のまとめサイトへのリンクを貼っておきます(ご使用はご自分の責任でお願いいたします)。平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)・募金情報まとめYahooカテゴリ(東日本大震災、募金・義援金)義援金・募金・寄付できるサイトまとめ東北地方太平洋沖地震(東北関東大震災)被災地への援助総合@wiki 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011年06月24日
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曲の好みはあれど、トランペットの音の美しさはピカイチ アート・ファーマー(Art Farmer)は、1928年生まれのトランペット、フリューゲルホルン奏者で、1999年に71歳で亡くなっている。そんな彼の代表作としてよく知られるのが、この『モダン・アート(Modern Art)』である。録音がなされたのは1958年。演奏者には、ビル・エヴァンス(ピアノ)やベニー・ゴルソン(テナーサックス)といった有名どころが並ぶ。とはいえ、録音時の段階では、アート・ファーマー自身も含め、彼らは50年以上経ったいまの聴き手が想像するような名声を得ていたわけではなかった。当時はダウンビートの新人賞を受けるような、まだまだこれから伸びていくという程度の知名度だった。 こういうメンバー構成をみると、何かとっても正統で、ジャズの王道を行く音楽をやっているような盤かと思われるかもしれないが、良くも悪くもそうではない。正直、聴き手によって曲の好き嫌いが分かれそうという点は否めない。1.「モックス・ニックス」からして、何とも軽快な(ということは好みでない人には“軽薄な”という評価になり得る)旋律で、スタンダードなことをやっているというよりは個性的な曲を取り上げている。 そんな事情を考えると、究極的には、万人受けするアルバムではないと思う。ついでに言ってしまえば、イカツイ顔のオジサン(もちろんアート・ファーマー本人)がアップで映り込んだジャケットも決して趣味のいいものとは言い難い。少なくともジャケットに関して言えば、何となく手にとって試しに聴いてみようとはなりにくい盤でもある。 こんな書き方をすると、本盤のことを悪く言ってるのかと思われたかもしれないがそうではない。やはり、トランペットの音の美しさ、二管のアンサンブルの美しさを考えれば、ぜひ試してみる価値のある名盤だと思う。その上で、上記のように個々人の趣味は二分されるかもしれなけれど。 筆者のおすすめをいくつか挙げておきたい。2.「フェア・ウェザー」はベニー・ゴルソンの作で、ゴルソン独特の(ゴルソン節とでも言えばいいのだろうか)美しいメロディにアンサンブルが心地よい。それから7.「アイ・ラヴ・ユー」。コール・ポーターの曲だが、イントロなしでいきなり曲が始まり、次々とソロ・パートが入れ替わっていき、最後はトランペットにサックスが絡んでいって美しくアンサンブルでまとまっている。[収録曲]1. Mox Nix2. Fair Weather3. Darn That Dream4. The Touch Of Your Lips5. Jubilation6. Like Someone In Love7. I Love You8. Cool Breeze[パーソネル・録音]Art Farmer (tp)Benny Golson (ts)Bill Evans (p)Addison Farmer (b)Dave Bailey (ds)1958年9月10日、11日、14日録音。 【送料無料】モダン・アート [ アート・ファーマー ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011年06月24日
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まったりさわやかなホレス節 ホレス・シルヴァー(Horace Silver)の父は、アフリカ大陸の西、大西洋に浮かぶカーボ・ヴェルデ諸島で生まれた。その父の姿は別の盤(『ソング・フォー・マイ・ファーザー』)のジャケット写真で見ることができる。同諸島は15世紀以来、長らくポルトガルの植民地で、この父もまたポルトガル系の血をひいていたとのこと(なお、カーボ・ヴェルデは1975年に独立し、現在ではカーボ・ヴェルデ共和国となっている)。 1965年に吹き込まれた本盤『ザ・ケープ・ヴァーディーン・ブルース(The Cape Verdean Blues)』の、このわかりにくいタイトルは、“カーボ・ヴェルデのブルース”という意味である(英語読みなのでケープ・ヴァーディーンという読み方になっているが、この部分が“カーボ・ヴェルデの”を意味する)。 さて、ホレス・シルヴァーと言えば、“ホレス節”とすら言われる独特のファンキーで並はずれたピアノ演奏が有名である。聴いてすぐに他の誰でもなく彼だとわかる独特のプレイ。好き嫌いが分かれるとは思うが、いったんハマるとホレスの演奏を聴ける盤はたくさんあって楽しみ甲斐がある。それをワンパターンの(この表現が悪印象なら“確立された”といってもいい)プレイとして楽しむのも一つだけれど、本盤のように少し趣向の違うものとして、ホレス盤の相違を楽しむというのもいいように思う。 60年代も半ばが近付くと、ファンキー・ジャズ確立の流れも一段落し、ホレス自身も次の展開を思案していたのだろう。その結果、出てきたのが63~64年に吹き込まれた『ソング・フォー・マイ・ファーザー』のブラジルの影響であったり、本盤『ザ・ケープ・ヴァーディーン・ブルース』のミックスされたルーツ音楽の影響であったりした。本盤については、ホレス自身がライナーで述べているところでは、3つの源があると言う。1つめはカーボ・ヴェルデの民俗音楽、2つめはブラジルのサンバ、そしてもう一つは、米国のファンキー・ブルースである。 “すっきりさわやか”というとコカコーラだが、本盤はどこかしら“まったり”かつ“さわやか”というのが個人的な印象である。“まったり”な部分はカーボ・ヴェルデへの郷愁ゆえの、ある意味では『ソング・フォー・マイ・ファーザー』とも通底するどこかセンティメンタルな部分。“さわやか”な部分は、相変わらずのファンキーなホレス節なわけだけれども、その微妙な混合具合というかバランスがこの盤の特徴ということになる。 アルバム前半は表題曲の1.(「ザ・ケープ・ヴァーディーン・ブルース」こそファンキーな部分をいくらか含むが、続く2.「ジ・アフリカン・クイーン」と3.「プリティ・アイズ」は哀愁漂う“まったり”部分が表面に出た演奏。後半に入ると、4.「ナットヴィル」では再びファンキーな部分が顔を出すが、ここからの後半3曲にはトロンボーンのJ・J・ジョンソンが加わっている。おそらくはその影響だと思うのだが、微妙な緊張感とスリリングさが生まれている。5.「ボニータ」はそれが静かな調子、6.「モー・ジョー」はその同じ特徴がアップテンポの中で表現されている。全体の演奏の引き締まり具合には、レギュラーメンバーとして参加の二管の影響が大きい。トランペットのウッディ・ショウとテナーサックスのジョー・ヘンダーソンの二人だが、この二人がフロントとなっているホレス盤はこれが唯一のようだが、どちらも当時の気鋭の奏者といった位置づけで、それに相応しい思い切りのある気持ちいい演奏を披露している。[収録曲]1. The Cape Verdean Blues2. The African Queen3. Pretty Eyes4. Nutville5. Bonita6. Mo’Joe[パーソネル、録音]Woody Shaw (tp)J.J.Johnson (tb, 4.~6.)Joe Henderson (ts)Horace Silver (p)Bob Cranshaw (b)Roger Humphries (ds)1965年10月1日・22日録音。Blue Note 4220 【CD】ザ・ケープ・ヴァーディーン・ブルース/ホレス・シルヴァー [TOCJ-7169] ホレス・シルバー【fsp2124-2m】 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年06月22日
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2011年06月20日
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ソングライターとして、シンガーとしてのトッドの才能 トッド・ラングレン(Todd Rundgren)がマルチレコーディングをこなす“マニア”であることは、以前の記事(『ミンク・ホロウの世捨て人』を参照)にも書いた通りである。その『ミンク・ホロウ~』(1978年)や、2枚組の『サムシング/エニシング?(ハロー・イッツ・ミー)』(1972年)といった作品が、“綜合的アーティスト”トッド・ラングレンの代表作であるとするならば、本盤『“ラント” ザ・バラッド・オブ・トッド・ラングレン("Runt” The Ballad of Todd Rundgren)』の方は、一人の歌手として、およびソングライターとして、彼の魅力が存分に発揮された1枚であると言えるだろう。 タイトルがやや紛らわしいので念のために述べておくが、デビュー作は『ラント』(1970年リリース)という。本盤『“ラント” ザ・バラッド・オブ・トッド・ラングレン』は、それとは別物で、1971年に発売された第2作。ちなみにこの盤の次作は上記の『サムシング/エニシング?』という2枚組の大作である。 タイトルだけを見ると、本盤は全編バラード系のような印象を与えるが、実際に出てくる音はスロウでメロウなラブソングだけというわけではない。なので、甘いバラード調のオンパレードを期待して本盤を手に取ると(確かにそういう曲は多いものの)、いくぶん期待外れという結果に終わる。どちらかと言えば内省的なラブソング系を中心に構成されたアルバムであるが、1.「ロング・フローイング・ロープ」や3.「ブリーディング」、あるいは11.「パロウル」のような、そのイメージだけでは当てはまらないタイプの楽曲も収められている。 そんなわけで、本盤は、バラードを中心にしながらもポップ音楽の粋とでも形容した方がぴったりな1枚のような気がする。わかりやすいあたりで喩えると、中後期のビートルズやB・ウィルソン中心の頃のビーチ・ボーイズあたりのようなイメージだろうか。無論、音楽的方向性がまったく一緒とかいう意味ではないが、そのポップ性はこういったいわば古典的なアーティストの遺産をいい意味で受け継いでいる。 演奏はベースとドラム以外はトッド自身の演奏による。けれども、“演奏のための演奏”というよりは、あくまで“歌を聴かせるための(つまりバッキングとしての)演奏”という色彩が強い。言い換えれば、“歌もの”であることを強く意識して、トッド自身のボーカル部分をしっかり聴かせようという意図のもとに作られた作品である。 上で書いたように甘くてスロウなメロディのオンパレードでは必ずしもないわけだが、確かに秀逸なバラードが多く収録されている。その手の向きを期待する方は、その題名もずばりの2.「ザ・バラッド」、トッドの名バラードとして有名な4.「ウェイリング・ウォール」、王道的バラードの7.「ア・ロング・タイム・ア・ロング・ウェイ・トゥ・ゴー」あたりをお勧めしたい。 それにしてもまあ、これだけ美しい旋律がずらりと並んだものである。稀代のメロディ・メイカー、トッド・ラングレンの本領発揮である。“歌から入る”というイメージでもって、初めてトッドを聴いてみるという人にも適した盤と言えるかもしれない。[収録曲]1. Long Flowing Robe2. The Ballad3. Bleeding4. Wailing Wall5. The Range War6. Chain Letter7. A Long Time, A Long Way to Go8. Boat on the Charles9. Be Nice to Me10. Hope I'm Around11. Parole12. Remember Me1971年リリース。 【送料無料】ラント:ザ・バラッド・オブ・トッド・ラン [ トッド・ラングレン ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011年06月19日
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TOTOのシングル曲追想 ~その4~ この「アイル・ビー・オーヴァー・ユー(I’ll Be Over You)」は、1986年発表のTOTOのアルバム『ファーレンハイト(Fahrenheit)』に収められた曲。同年にシングルカットされた。特大ヒットというわけではなかったものの、全米チャートでは 11位(アダルト・コンテンポラリーのチャートでは1位獲得)という結果を残した。同アルバムの前作にあたる『アイソレーション』では途中でボーカリストが交代するという変化がバンドにはあった。新ボーカリストはファーギー(本名:デニス・ハーディ)・フレデリクセンに代わるが、この人物の在籍もこの1作だけに終わり、結局、バンドはジョセフ・ウィリアムスという、さらに新たなボーカリストを迎え入れて上記『ファーレンハイト』の制作に臨むこととなっていた。 ところが、この曲のリード・ボーカルはスティーヴ・ルカサーなのである。バンドとしては、ちょうど上述のボーカリスト交代(ボビー・キムボールからファーギー・フレデリクセンを経てジョセフ・ウィリアムスへのメンバー変更)の後だったにもかかわらず、ボーカルはギタリストのルカサーという、シングルにして売り出す曲としては、ふつうに考えたらよくわからない人選である。 けれども、こういうところで、平気でボーカルが入れ替わるのは、前項でも述べたとおり、TOTOの貴重な特色であった。ビートルズみたいに稀有な例はあるものの、以降の一般的なバンドでこのようなことを違和感なく行えたバンドは決して数多くない。つまり、新たなボーカリストを迎えて心機一転となれば、ふつうはこういうことはしないのだが、TOTOはボーカリストが従来の他のメンバーの間でも簡単に入れ替われた。 この「アイル・ビー・オーヴァー・ユー」は、スティーヴ・ルカサーが外部ライターのランディ・グッドラム(同時期のバラード系では、シカゴの「フェイスフルIf She Would Have Been Faithful」の作者としても知られる)と共作。ルカサーの言によると、どうやら“2~3分で”あっという間に書き上げたらしい。だからといって、即興のお手軽バラードかというと、まったくそんな感じがしない。それどころか、「アフリカ」で成功した、ある種淡々としたトーン、そして、「ロザーナ」で見られた、ギターを絡めた曲展開の妙がここでも発揮されている。少しきれいでコンパクトにまとまり過ぎている気もしないではないが、ここまでの3回の記事で取り上げた各曲(「99」、「ロザーナ」、「アフリカ」)に比することのできるTOTOのバラード代表曲の一つと言っていいように思う。 先に書いたように、TOTOはバンドとしては2008年にその活動を終えた。しかし、その後、メンバーの病気(マイク・ポーカロの筋萎縮性側索硬化症)の救済のために、昨年(2010年7月)にヨーロッパで限定復活しており、今年(2011年5月の予定だったが、震災の影響で9月に延期)は同様の企画が日本でも予定されている。[収録アルバム]TOTO / Fahrenheit (1986年)その他、ベスト盤類(例えば下記)にも収録。TOTO / Past To Present 1977-1990 (1990年)TOTO / Best Ballads (1995年)[関連記事リンク] TOTOのシングル曲追想(その1)「99」 TOTOのシングル曲追想(その2)「ロザーナ」 TOTOのシングル曲追想(その3)「アフリカ」 【送料無料】ファーレンハイト/TOTO[Blu-specCD2]【返品種別A】 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年06月18日
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TOTOのシングル曲追想 ~その3~ この「アフリカ」は、「ロザーナ」と同じく、4thアルバム『聖なる剣(TOTO IV)』からのヒット曲。1982年秋にシングル発売され、翌83年の2月にバンドとしては初の全米シングル・チャートでの1位を獲得した(ちなみに英チャートでは同月に3位)。 この曲はデヴィッド・ペイチがドラム担当のジェフ・ポーカロと共作したもので、80年代初頭にアフリカに関するドキュメンタリー番組を見て、それがこの曲を作るきっかけになったという。無論、彼らは実際にアフリカに行ってその惨状を見たわけではない。なので、ペイチ自身も証言しているように、その戦慄の映像の場面にもし自分がいたとすれば何を感じるだろうか、という想像に基づいて曲を作ったという。 この曲でリード・ボーカルを担当するのは、この曲を作ったデヴィッド・ペイチその人である。TOTOは専属ボーカリストを持ちながらも、ボーカリストが入れ替われるという貴重なバンドであった。つまり、直前のヒット曲「ロザーナ」と同じアルバムに収録の、しかしボーカリストは別の曲が同じようにヒットを記録し得たところにTOTOの大きな特色の一つがあると思う。ファンの間では、“TOTOのボーカルは誰が一番か?”という議論が起こったりするけれど、もしかするとこの手の議論は不毛なのかもしれないと思ったりもする。なぜなら、同時にバンド内にいる複数のボーカリストが次々に交代し得たところにこのバンドの特色の一つがあったからと言えるからだ。 もう一つ、この曲を聴いて強く印象に残るのは、そのテーマである。前回や前々回の曲(「99」、「ロザーナ」)、あるいはそれ以外の主要ヒット曲からすると、TOTOは甘いラブソングを得意とするイメージがするかもしれない。けれども、“ラブソングしか歌えない(あるいは作れない)”もしくは“男女の愛を歌うことでしか聴衆のハートをつかめない”のではなく、“敢えてラブソングに徹していた”ことが、この曲のような毛色の違う曲からは窺い知れる。 この曲のリリースとヒットから数年を経た1985年、全米では“USA・フォー・アフリカ”なるチャリティー・プロジェクトが一世を風靡することとなった。ボブ・ゲルドフの呼びかけで、ライオネル・リッチー、マイケル・ジャクソン、スティーヴィー・ワンダー、ブルース・スプリングスティーンらの大物が集った、かの大型企画である。しかし、アフリカへの眼差しは、その数年前にTOTOがとっくに先取りしていた言えば、勘ぐりすぎであろうか。[収録アルバム]TOTO / TOTO IV(聖なる剣) (1982年)その他、ベスト盤類(例えば下記)にも収録。TOTO / Past To Present 1977-1990 (1990年)TOTO / Best Ballads (1995年)[関連記事リンク] TOTOのシングル曲追想(その1)「99」 TOTOのシングル曲追想(その2)「ロザーナ」 TOTOのシングル曲追想(その4)「アイル・ビー・オーヴァー・ユー」 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年06月16日
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TOTOのシングル曲追想 ~その2~ TOTOのアルバム作品としては第4作目の『聖なる剣(TOTO IV)』(1982年)のオープニング・ナンバーで、シングル曲としては全米2位(ついでにオランダでもチャート3位)を記録するヒットナンバーとなった。この曲によって、TOTOは翌年のグラミー賞を受賞するに至っている。 曲自体はデヴィッド・ペイチの作だが、リード・ボーカルをとるのは、スティーヴ・ルカサーとボビー・キムボールである。ルカサーはバンドの中ではギター兼ボーカル、キムボールはこのしばらく後に脱退することになるボーカル専属というメンバーである。 何といってもこの「ロザーナ」は、これら二人のボーカル、そしてルカサーのギター演奏が実にスリリング、の一言に尽きる。5分間というシングル曲としてはやや長めの演奏時間を通して、曲としてのドラマ性に富んだ展開が見事である。TOTOの代表曲を1つだけ選べと言われれば、個人的にはこれが圧倒的に第一候補の筆頭である。 あと、この曲の特徴的なシャッフルの仕方は有名で、ミュージシャンの間では、“ハーフタイム・シャッフル”またの名を“ロザーナ・シャッフル”と呼ばれている。このシャッフルもそうなのだが、上で挙げた歌と演奏のスリリングさは、こういうプレイを難なくこなすTOTOメンバーのテクニックに裏づけられているということなのだろう。 “売れ筋バラード”と揶揄する向きもあるけれど、これだけの1曲を通してのドラマ性(曲の展開)を支えているのは、結局はセッション・ミュージシャンとして鳴らした彼らの腕前、それが本領発揮されているといったところか。無論、単に腕利きミュージシャンが集まったからと言ってこういう作品ができあがるというわけではなかろう。デヴィッド・ペイチが言ってるように、「飛びつきたくなるような申し出には、決して事欠かなかった」にもかかわらず、そこに飛びついていかずに地道にグループとしての活動を心がけたからこそ、こういう大ヒットに最終的にありついたのだろう。その意味では、TOTOは“軽薄な売れ筋狙い”どころか、真摯に自己研鑽を重ねていった、そういうバンドだったとも言えるのかもしれない。 ちなみに歌詞の内容は“君と一緒にいたい”系のラブ・ソング。詞の内容で聴かせるというよりは、繰り返しになるが、演奏の構成と精度で盛り上げるタイプの曲なので、部分的にしか聴いたことがない方には、ぜひ5分間通して一度聴いてほしい1曲。[収録アルバム]TOTO / TOTO IV(聖なる剣) (1982年)その他、ベスト盤類(例えば下記)にも収録。TOTO / Past To Present 1977-1990 (1990年)TOTO / Best Ballads (1995年)[関連記事リンク] TOTOのシングル曲追想(その1)「99」 TOTOのシングル曲追想(その3)「アフリカ」 TOTOのシングル曲追想(その4)「アイル・ビー・オーヴァー・ユー」 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011年06月15日
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TOTOのシングル曲追想 ~その1~ TOTO(トト)は1978年から2008年まで活動したアメリカのロック・バンド。もともとはセッション・ミュージシャンたちが集まって形成され、デイヴィッド・ペイチ(キーボード、ヴォーカル)とジェフ・ポーカロ(ドラム)が活動の初期にはバンドの中核を担っていた。80年代に一世を風靡し、やがて時の経過とともにスティーヴ・ルカサー(ギター、ヴォーカル)が中心のバンドへと変貌していった。 時代が時代だけに“産業ロック”あるいは“商業的ロック・バンド”、元がセッション・ミュージシャンだけに無節操に何でもやる、などと揶揄されることもあるが、メンバーの腕が何より優れていて聴いていて気持ちいいというのが、ささやかなTOTOファンでもある筆者の印象である。そして、そんな彼らの“売れ筋”と言えば、やはりバラード、スロウ系のシングル曲である。この記事から数回は、TOTOのスロウな名曲を振り返ってみたい。第1回目の今回は、セカンド・アルバム所収の「99(ナインティ・ナイン)」である。 この曲は、1980年、前年リリースの『ハイドラ』からのシングルとしてカットされ(ちなみにシングルB面はアルバム表題曲の「ハイドラ」)、ビルボードで26位にチャートインした。アルバムでは5分超の長めの曲だが、シングルカット時には3分半ほどの短縮バージョンになっていたようだ(筆者の手元には元のアルバムやベスト盤しかなく、いずれも5分強の元バージョンしか確認できず)。 淡々としたバラード調で、“I Love You”の決めゼリフが印象的。この曲でのリード・ボーカルはスティーヴ・ルカサーだが、曲を作ったのはデヴィッド・ペイチで、ペイチによれば「みんなが白い服を着て、番号をつけられていて、名前などなく、そこで僕が“99”なる女の子に恋をする」というストーリーとのこと。 要するに未来を描いたSF的な情景なわけだが、これには元ネタがある。ジョージ・ルーカスの処女作『THX 1138』(1971年、日本では劇場未公開)である。舞台は25世紀、名前はなく番号で管理される世の中で主人公が女性と恋に落ちるという設定で、まさにこの「99」のテーマそのものである。 ということは「99」は単なる映画ネタのパクリなのかということになってしまうが、ペイチ自身も述べているように“とても若い頃に書いた曲”なのだからご愛嬌といったところか。はたまた、アルバムの流れの中でちゃんと位置を占めている曲だけに、ここだけパクリ呼ばわりは失礼といったところだろうか。 いずれにせよ、この曲そのものは大ヒットというわけにはならなかったが、後々のバラード路線の伏線としては重要になったと思う。そして、何より、後の大ヒット曲「ロザーナ」や「アフリカ」に負けず劣らずの名バラード曲と思うのだけれど、いかがであろうか。[収録アルバム]TOTO / Hydra (1979年)その他、ベスト盤類(例えば下記)にも収録。TOTO / Past To Present 1977-1990 (1990年)TOTO / Best Ballads (1995年)[関連記事リンク] TOTOのシングル曲追想(その2)「ロザーナ」 TOTOのシングル曲追想(その3)「アフリカ」 TOTOのシングル曲追想(その4)「アイル・ビー・オーヴァー・ユー」 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011年06月14日
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不定期更新ってことで、何回かに分けて60年代のストーンズ盤をピックアップしましたが、思いのほか時間がかかってしまいました(第1回目が2月初め、最終回が昨日だったので、まるっきり4カ月以上かかってしまいました)。 そんなわけで、過去記事リンクでまとめておきます。『ベガーズ・バンケット(Beggars Banquet)』(1968年)『アフターマス(余波)(Aftermath)』(USヴァージョン、1966年)『12×5(12×5)』(1964年)『イングランズ・ニューエスト・ヒット・メーカーズ(England’s Newest Hit Makers)』(1964年) ちなみに、他のお気に入りストーンズ盤も少しずつこれからも記事にしていきたいと思うので、ストーンズ・ファンの方、あるいは最近ストーンズに興味を持った方は、気長にさらなる記事をお待ちください(笑)。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011年06月12日
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60年代ストーンズをさかのぼってみる ~気まぐれ連載・PART 4(ひとまず最終回)~ アメリカでのザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のデビュー作がこの『イングランズ・ニューエスト・ヒット・メーカーズ(England’s Newest Hit Makers)』。1964年4月にイギリスで『ザ・ローリング・ストーンズ』というセルフ・タイトル・アルバムでストーンズはデビューした。本盤はそのデビュー作と若干曲の異同があるが、おおむね同じ内容で、約1か月遅れで米国向けにリリースされたもの。英国では『ウィズ・ザ・ビートルズ』を抑えてチャート1位を記録したが、米チャートでは11位にとどまった。余談ながら、日本盤は『これがリヴァプール・サウンドの決定盤!! ザ・ローリング・ストーンズ』なる、笑えないタイトルで当初リリースされたらしい。 まだ何をやりたいのかがしっかり定まっていなかった頃のアルバムという悪い見方をしてしまえばそれまでなのかもしれないが、個人的にはデビュー当初数枚のストーンズも案外気に入っている。それは、頂点を極めた作品だからという意味ではなく、いわば成長期の子供、その成長過程を傍らで眺めているかのような気にさせてくれるという意味において興味深いからである。 雑にかき鳴らされるギターひとつとっても、本質的にただ雑いのではなく、なんだか意図的に雑くしているように聞こえる。かと思うと、コーラスをする部分では頑張って声をあわせ、意外に慎重に歌おうとしているように見受けられる部分がある。こうしたばらつきが意味するところは、自身のサウンドをどうやって確立していくかという、彼らの努力と苦悩の反映に他ならないような気がする。不良な印象で自分たちを売り込むことになったストーンズだが、自身のバンドとしての音をどう確立しようかと腐心する真面目な若者たち(?)であった様子が垣間見られる。ジャケット写真もちゃんとした服装だし(笑)。 そうした努力やチャレンジは全編にわたって垣間見られるのだが、いくつかの曲で顕著に見られる。3.「恋をしようよ(アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー)」は、ウィリー・ディクソンの曲を“シカゴ・ブルースの父”マディ・ウォーターズが1954年に録音したもので、既に知られた曲であった。よくストーンズに影響を与えたアーティストの中にマディ・ウォーターズの名も挙げられるが(そもそもバンド名がこの人物の曲にちなんでいる)、いかにストーンズが努力して憧れるアーティストたちに接近しようとしていたかが、この手の演奏からは感じ取られる。あと、個人的な好みから言えば、8.「キャロル」も外せない1曲。 ストーンズの過去を遡るという4回の連載はこれでひとまず終了。不定期更新と言っていたとはいえ、4ヶ月以上もかかってしまったが、他のストーンズ盤もそのうち徐々に取り上げたいと考えているので、興味のある方は気長にお待ちください(笑)。[収録曲]1. Not Fade Away2. Route 663. I Just Want To Make Love To You4. Honest I Do5. Now I've Got A Witness6. Little By Little7. I'm A King Bee8. Carol9. Tell Me10. Can I Get A Witness11. You Can Make It If You Try12. Walking The Dog1964年リリース。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011年06月11日
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INDEXページを更新しました。ここ2週間ほどの記事を追加しています。今回更新したのは、「ジャズ」と「ロック・ポップス(洋楽)」の二ジャンルです。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。アーティスト別INDEX~ジャズ編へアーティスト別INDEX~ロック・ポップス編へアーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へアーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキング(3サイト)に参加しています。応援くださる方は、 各バナー(1つでも2つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング: 音楽広場:
2011年06月10日
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トータル・アーティストとしてのマンザネラの実力発揮作 フィル・マンザネラ(Phil Manzanera)は、イギリス人の父とコロンビア人の母の間に生まれた。生まれたのはロンドンだが、ベネズエラやキューバなどでも暮らした経験を持つ(芸名のManzaneraはスペイン語の名字で、スペイン語読みだと“マンサネーラ”になる)。とはいえ、その後の経歴(ロキシー・ミュージックのギタリストとして活躍)を考えると、単にラテンで済まされるミュージシャンではない。かといって、通常の英国出身者と同じようなバックグラウンドを持つというわけでもない。おまけに、ミュージシャンとしての認知度はあまり高くなく、位置づけのよくわからないアーティストのまま放置されがちという、ある種、悲しい運命のアーティストだと言ってもいいのかもしれない。 1970年代にロキシー・ミュージックのギタリストとして活躍し、1975年には最初のソロ・アルバムを発表。その後もコンスタントな活動を続けている。本盤『サザンクロス』は、1990年に自身のレーベル(Expression)を立ち上げ、そこからリリースした自己作である。本人ソロ名義のアルバムとしては8年ぶりで、しかも自分が作ったレーベルからの発表となると、ふつうは目立った行為のはずであるが、この人の場合、どうもそういう印象がしない。曲によってヴォーカリストを変え、派手なギタープレイもしないせいで、こういう印象が付きまとうのかもしれない。 結局のところ、マンザネラらしさとは、トータルな音楽制作にあるような気がする。つまり、誰がヴォーカルであるとか、個々のギターのプレイがどうこうとかいうものではなく、トータル・アーティスト(綜合的アーティスト)とでも呼びうる存在なのだろう。 サッカーに例えるとわかりやすいかもしれない。彼は名ボランチであり、“ゲームを作る”プレーヤーなのである。得点王になって目立つことはない。しかし、得点を挙げたストライカーだけを見ていても、華麗なドリブル突破を見せた選手のみを見ていても、好セーブを連発したゴールキーパーだけに目を向けていても、試合全体の流れや意義は見えてない。しばしばそこにゲームをコントロールする名ボランチがいたりする。マンザネラとは、こういう名ボランチみたいな存在であり、派手な見せ場を作ることがなくても密かに、しかもコンスタントに実力発揮しているタイプのミュージシャンと言えるのではないだろうか。 他のアーティストと興味深い組み合わせの共演をしたりもしているので、まだマンザネラのアルバムはそう多く聴いたわけではないのだが、少しずつ遡って聴いていきたいと思っている。 ついでながら、本盤はジャケ違いや収録曲違いのものがある模様。筆者が所有しているのはリリース当時の日本盤CDで、下記の曲目はこの盤に基づいています。[収録曲]1. Million Reasons Why2. Tambor 3. The Great Leveller4. Astrud5. Southern Cross6. Blood Brother7. Guantanamera8. The Rich and Poor 9. Dance (Break This Trance)10. Verde11. Dr. Fidel12. Venceremos1990年リリース。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011年06月09日
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集中したセッションの中で一気に録音されたブルース群 ジョン・コルトレーンは1960年10月に3日間の集中的なレコーディングを行った。この年、彼はマイルスのバンドを離れ、マッコイ・タイナー(ピアノ)とエルヴィン・ジョーンズ(ドラム)を含む自身のカルテットを形成し、活動を進めていった。『夜は千の眼を持つ(コルトレーンズ・サウンド)』のところでも書いたように、この時の録音の成果は、『マイ・フェイヴァリット・シングス』、『コルトレーン・プレイズ・ザ・ブルース』(本盤)、『夜は千の眼を持つ』の3作に振り分けられたほか、これらの前にリリースされた『コルトレーン・ジャズ』にも一部が収められた。 これらのうち、本盤『コルトレーン・プレイズ・ザ・ブルース』は、そのタイトルの通りブルース曲ばかりを集めたもので、6曲すべて(CDでは7.「無題オリジナル曲」が追加され7曲になっている)がいずれもコルトレーンのオリジナル。オリジナルと言うと聞こえはよいが、早い話、キーやテンポなど最低限の決めごとをしておいて(と言っても、ソプラノサックスを演奏している5.のように例外的進行のものも含まれてはいるが)、“よーい、どん”と演奏しているわけで、その意味では、曲そのものに卓越した何かが見えるわけではない。実際、ほとんどの曲は周到に準備されたというよりも、その場で用意された曲なのだろう。曲名のつけ方がなんだかテキトーな感じで済まされているところからして、以上のようなことが想像できる(アルバム前半は「○○へのブルース」、後半は「ミスター・××」、おまけにCDボーナス曲は「無題」)。 では、この盤のどこがすごいのか。少なくとも筆者の中では答えははっきりしている。インプロヴィゼーションの卓越さである。即興演奏と言えば、ジャズの真骨頂ということになる。とはいえ、少し落ち着いて考えてみると、一定の枠組みだけを決めておいてその中で自由に演奏するという行為は、油断をすると安易なワンパターンに陥ってしまう。けれども、この盤のコルトレーンの演奏を通して聴くと、ジャズが確立してきた定式を意図的に崩し、その上で、自身のアドリブ表現をブルース形式の中にどう配置していくかをずっと考えながら演奏しているような印象を受ける。つまり、枠は決まっているが、その枠にはまっていくべきものは型破りでなければいけないという考えであったことが演奏に透けて見える。もちろん、“型破り”を“決まった枠”に無理やり押し込めるのではなく、どう無理なく当てはめていくのかをコルトレーンは念頭に置いていた。そこがこの演奏の魅力的なところだと思う。 コルトレーンの話だけになってしまったが、その枠の部分を作っているカルテットのメンバーも忘れてはならないので最後に一言。本作やその前後作でとりわけ忘れてはならないのは、エルヴィン・ジョーンズの存在だと思う(エルヴィン・ジョーンズについてはこちらの過去記事も参照)。この人のドラム演奏のキレがなかったら、この時期のコルトレーンの演奏の輝きは格段に落ちていただろうし、もしかするとこれらの名作は名作にすらならなかったかもしれない。[収録曲]1. Blues To Elvin2. Blues To Bechet3. Blues To You4. Mr. Day5. Mr. Syms6. Mr. Knight7. Untitled Original(CD追加トラック)[パーソネル、録音]John Coltrane (ts, ss)McCoy Tyner (p)Steve Davis (b)Elvin Jones ‘ds)1960年10月21日、24日録音。 [枚数限定][限定盤]コルトレーン・プレイズ・ブルース/ジョン・コルトレーン[CD]【返品種別A】 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011年06月06日
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名脇役による“幻の名盤”の真価とは トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)は、有名なアーティストというよりは影の脇役的な存在としていろんなアーティストと共演してきた。そんな脇役が名義上のリーダーとなり、しかもその盤が名盤として定着してしまった例がこの『オーヴァーシーズ(Overseas)』である。メンバーはJ・J・ジョンソンのツアーに参加していた3人。すなわち、ピアノのトミー・フラナガン、ベースのウィルパー・リトル、ドラムのエルヴィン・ジョーンズである。要するに、ヨーロッパをツアー中のメンバーの中からピアノ・トリオ部分だけを抜き出し、いわば“アルバイト的”に録音を行ったという経緯である。当初、スウェーデンのメトロノームというレーベルから発売されたことから、この音源は“幻の”(要は入手が難しい)と形容された(無論、今は普通にCDが入手できる)。 さてこの“幻の名盤”の真価はどこにあるのだろうか。もちろん“幻”だから素晴らしいという方程式は成り立たない。“ジャズの10指に入る名盤”、“ジャズを聴くならこれは基本”などという声も巷からは聞こえてくる。なるほど名盤と言える出来だし、個人的にも好きだけれど、名義上のリーダーであるトミー・フラナガンだけで聴くアルバムではないというのが筆者の感触である。 話を分かりやすくするため、初めてジャズを聴く人を想定してみたい。ピアノだったら馴染みのある楽器だろうからと言ってこの盤を手にすると、面食らうことになる。別にトミー・フラナガンのピアノ演奏自体がよくないと言っているわけではない。部分的に彼のピアノが前面に躍り出る場面もあるにせよ、全体として見た時に、本盤でのピアノは“主役”というよりも、トリオの一部として、つまりは3人組の“ピース”として機能している。要するに、それゆえに、ピアノだけに期待を寄せるジャズ初体験者が聴いても“??”という感じのアルバムに聴こえる可能性が大である。 では、本盤の核心はどこにあるのか、と言えば、それは、間違いなくエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)にあるのだと思う。このエルヴィン・ジョーンズという人の才能は、1960年代に入ってジョン・コルトレーンのグループで大いに開花したと言われるが、本盤はその前の段階。けれども、自由奔放に動きまわる彼のドラム演奏、さらには堪能なブラシ(ワイヤーを束ねたドラム演奏の道具)の使い方が、明らかに本盤の核になっている。少々大げさな言い方をしてしまえば、このドラムがなければ、凡庸な演奏と言われるものになっただろうとすら言っていいのかもしれない。 このように、ドラムに焦点をあててのお勧めをいくつか挙げると、3.「エクリプソ」、6.「リトル・ロック」、8.「ダラーナ」、9.「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー(柳よ泣いておくれ)」。三者が一体となったドライブ感の強い演奏もいいが、時にはエルヴィンのドラムの存在意義に注目して聴いてみるのもいいのではないだろうか。 ちなみに、緑色を基調にした一見不可解なジャケットは、よく見るとアルファベットのCの文字がひたすら多数並んでいる。ぱっと見ると何のことかわかりづらいが、“Cがたくさん”というのは、アルバムのタイトルにちなんだもので、Overseas=Over“C”sという意味である。つまり、“海”のシー(sea)とアルファベットのシー(C)を引っかけている。[収録曲]1. Relaxin' at Camarillo2. Chelsea Bridge3. Eclypso4. Beat's Up5. Skal Brothers6. Little Rock7. Verdandi8. Delarna9. Willow Weep for Me10. Delarna (take 2)*11. Verdandi (take 2)*12. Willow Weep for Me (take 1)**10.~12.はCDでの追加トラック。[パーソネル、録音]Tommy Flanagan (p)Wilbur Little (b)Elvin Jones (ds)1957年8月15日、ストックホルムで録音。 輸入盤 スペシャルプライスTommy Flanagan トミーフラナガン / Overseas 輸入盤 【CD】 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年06月03日
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突然聴きたくなる一枚 音楽好きの方なら、突発的に無性に聴きたくなる一曲というのがおありではないだろうか。突如聴きたくなるのは曲にかぎらず、“突然聴きたくなる一枚”、“ある時急に思い出したように聴きたくなるアーティスト”なんていうのもあることだろう。筆者もご多分にもれずそうしたものがたくさんある(そしてその一覧のリストが頭の片隅にあって、ふだんは意識しないのだけれど何かの拍子に無性に聴きたくなるとそのリストをふと思い出す)。平常は、別に毎日や毎週のように聴くわけではない。でも、一度聴きたいという気持ちが芽生えたらもう止まらない。まるでいくら頑張っても届かないニンジンを目の前に吊るされた馬のように、はたまた禁煙地帯に放り込まれてタバコが吸えなくて苦しんでいるサラリーマンのように、禁断症状が起こり、その音楽にようやくありついたらほっとするという、そんな感覚とでも言えばよいだろうか。 ジョン・コルトレーン(John Coltrane)が1960年10月に録音を行った一連の作品群は、筆者にとってそんな禁断症状を誘う音楽である。この時の録音は、コルトレーンがその頃結成していたレギュラーカルテットを従えての初録音であった。レコーディングは3日間にわたって行われ、その中からまずは翌61年に『マイ・フェイヴァリット・シングス』をリリース。続いて62年には同じ音源から別の楽曲を集めた『コルトレーン・プレイズ・ザ・ブルース』が発売された。さらに同様にして64年に出たのが本作『夜は千の眼を持つ(Coltrane’s Sound)』であった。 そのようなわけで、制作経緯だけを見ると前二作の“出がらし”かと思われがちだが、まったくそんな気配は感じさせない。むしろ三部作として、それぞれに趣向は異なるが、ある種のまとまった作品群を成している。 この『夜は千の眼を持つ』(原題は『コルトレーンズ・サウンド』で、この題名は1.から来ている)というタイトルは何とも怖い印象だが、もとは映画の曲から採られたもの。しかも、“夜の千の眼”というのは星々のことで、別にお化けがでるわけではない(笑)。このタイトル曲をはじめ、スタンダードからやや実験的なものまでバリエーションに富んでいる。いわゆる“シーツ・オブ・サウンド”という音の絨毯も控えめで、モーダルな演奏からバラードな演奏もあるので、意外とコルトレーンを最初に聴くのにも適しているかもしれない(でもやっぱり奇怪なジャケットにこのタイトルとくれば、ふつうは手を出さないか…)。 ちなみに、全然ジャンルは異なるところで、同じく筆者に禁断症状を(それも何の前触れもなく突然に)促す音楽としては、ブルース・スプリングスティーン(『ザ・リバー』他)、レッド・ツェッペリン(『プレセンス』(→収録曲過去記事)他)、ボストン(『サード・ステージ』他)などがある。ジャズ界では、エリック・ドルフィー(過去記事)、ブッカー・アーヴィン(過去記事(1)・(2)・(3))など個性的な奏者が筆者のリストにはある。無論、これらは一例で、“あるい突然無性に聴きたくなるリスト”みたいなものがあるのだけれど、ジャンルや傾向にどうやら一貫性はないらしい。これをご覧の皆さんの禁断症状誘発アーティスト(もしくはアルバムや楽曲)はどのようなものだろうか。[収録曲]1. The Night Has a Thousand Eyes2. Central Park West3. Liberia4. Body and Soul5. Equinox6. Satellite7. 26-28. Body and Soul (alternate take)*7.と8.はCDでの追加トラック。[パーソネル、録音]John Coltrane (ts, ss)McCoy Tyner (p)Steve Davis (b)Elvin Jones (ds)録音:1960年10月26日 【楽天ブックスならいつでも送料無料】JAZZ BEST COLLECTION 1000::コルトレーン・サウンド(夜は千の眼を持つ) [ ジョン・コルトレーン ] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年06月01日
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