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ドン・バーンズの才能を改めて確認できる復帰盤 1977年にデビューした38スペシャル(サーティエイト・スペシャル)は、80年代の前半~半ばに人気を博した。当初のサザン・ロック臭の強さを、うまくポップでハードなロックに転換させながら成功した。しかし、1987年にベスト盤(『フラッシュバック』)を出した後、中心メンバーの片翼であるドン・バーンズがバンドを脱退する(同じくオリジナルメンバーでドラムのスティーヴ・ブルッキンスも脱退する)。 バンドは新しいメンバーを入れて存続し、新たなアルバムも発表した(88年作の『ロックン・ロール・ストラテジー』、91年作の『ボーン・アゲンスト・スティール』)。だが、時代はすっかりグランジ・オルタナへと移り行き、38スペシャルが往年の勢いを取り戻すことはなかった。ところが、およそ10年を経た1997年、突然ニューアルバムが届いた。それもドン・バーンズが復帰しての新作であった。 実はこの新作の準備は早くから周到になされていたようだ。ドン脱退後、残った中心人物のドニー・ヴァン・ザントは、貴重なシンガーかつソングライターであるばかりか人生の友であったドン・バーンズを失ったことを重く受け止め、91年のアルバム発表後には早くもドンの復帰に向けて動き始めていたという。結局、92年にドンをふたたび迎え入れ、メンバーを入れ替えて数年間、アメリカをツアーして回っていた。この時は7人編成だったそうだが、やがてオリジナルメンバーのギタリスト、ジェフ・カーリシもバンドを抜けてしまう。 それでも新作へ向けての動きは止まってしまわなかった。ようやく出来上がった新作のクレジットでは、38スペシャルの正式メンバーは4名。うち3名はオリジナルメンバー(デビュー時に加わった元レーナード・スキナードのラリー・ジャンストロームを含む)。ドラムはサポートメンバーの扱いだが、ツアーメンバーは6人編成での復活となった。 アルバムの音は相変わらずポップさを残しながらもややハードに仕上がっている。何よりも、ヴォーカルのドン・バーンズが伸び伸びとしているのがよい。“水を得た魚”という喩えはこういうことを言うのだろう。収録曲の大半のソングライティングに彼が関わり、それらを演じることに楽しみを感じている様子がダイレクトに伝わってくる。他の演奏面で耳につくのは、ギター、そして一部の曲でのハーモニカ。ギターに関しては、88年に加入したダニー・チャウンシーが中心で、かつてのサザン・ロック的イメージから少し離れている感じがするが、短いソロフレーズにはシンプルにカッコいいものが多い。また、いくつかの曲でドンのハーモニカが大幅にフィーチャーされているが、これまたサザン・ロック的イメージからは幾分外れているようにも思える。 結果、演奏全体として、“サザン・ロックなの?”という疑問が出てくるのは確かだと思う。けれども、少なくともドン・バーンズがそもそもそういう路線を意識していたのかというと必ずしもそうではない。かつて彼は“サザン・ロックというカテゴリーに入れられたくない”とすら発言していた。そのことを考え合わせると、一部の愛好者の願望とは裏腹に、38スペシャルには“南部魂の継承”みたいな変に気負った意識は毛頭なかったのかもしれない。ルーツや出発点としてのサザン・ロックの要素は持ちながらも、究極的には、演って楽しい音楽を創り出し演奏していくこと。彼らの信念はただ一つ、これに尽きるとも思えてくる。その後、数枚のアルバムを出した後は、ここ7年ほど新作が届けられないものの、バンドとしての活動は続いている。60歳前後となった今、もう一発ぐらい花火を上げてくれることを密かに期待しているのは筆者だけではないだろう。[収録曲]1. Fade to Blue2. Just Can't Leave You Alone3. D?j? Voodoo4. Find My Way Back5. Changed by Love6. After the Fire Is Gone7. Miracle Man8. Shelter Me9. Homeless Guitar10. Saving Grace11. She Loves to Talk12. Trouble13. Shatter the Silence1997年リリース。関連過去記事: 38スペシャル 『ストレングス・イン・ナンバーズ』(1986年) 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011.09.29
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過去の遺産と現代の創造力 ザ・ヴァイナルトーンズ(The Vinyltones)は、米国オハイオ州を拠点として活動する4人組バンド。“ヴァイナル”というのは、合成樹脂(ビニール)の意味だが、レコード盤のことを指すのにも用いられる単語である。つまり、このバンド名は“レコードの音”という意味で、それは彼らが愛してやまないレコードたち(ビートルズ、ザ・フー、レッド・ツェッペリン、ローリング・ストーンズ、ザ・バンドなどの作品群)を意識しての命名だとのこと。 メンバー4人中の3人が高校時代からのバンド仲間で、一度はバラバラに生活し始めたものの、やがてバンドを再結成し、2005年にデビュー。ここで紹介するのはそのデビュー盤をリメイクし直し、2006年に日本向けの盤としてあらためてリリースされたものである。 大きくまとめれば、パワー・ポップ、オルタナといったとこらへんでジャンル分けされて埋没しそうなバンドなのだが、実は彼らはすごいのではないか、という感想を初めて聴いてからというもの、聴くたびに繰り返し抱いている。バンド名の通り、上で挙げた過去のバンドをはじめとするロック史の遺産をちゃんと継承している。念のために言うと、彼らの音楽はビートルズ的ではないし、ツェッペリンっぽくもない。ザ・フーのような雰囲気を持っているわけでもなければ、ストーンズらしい音楽でもない。要は、“真似ごと”ではない形で、過去の遺産を自分たちなりに十分に消化し、受け継いでいる。 その音は基本的にアナログな感じがする。おそらくは意図的にそういう音の作りを狙ったのだろう。でも懐古趣味に走っているわけでは全くない。そうかといって、決定的に“いま風”な訳でもないのが不思議である。3.なんかは、ビートルズが拡げたポップ/ロックの世界の続きのようなもの展開されている(繰り返すが、ビートルズの真似ごとではなく、現代的アプローチでそれがなされている)。かと思えば、7.や11.では、カントリーロックのポストロック的消化の仕方と言えそうな曲調と演奏を披露する。いくつかの曲(例えば、1.や10.)では、“ザ・クラッシュが辿り着きたかったのはここではないか?”(つまりは、パンク・ロックが行き着けなかったその先の境地に辿り着いている)と思わせられたりもする。バラードの13.などはただのギター・ポップの曲として聴き逃してはもったいない。このバックの演奏(特にギタープレイ)は、明らかにザ・バンドの開拓した世界の上に成り立っているように筆者には思われる。 とどのつまり、2005年の段階でこの音楽が出来上がる必然性はなかった。無論、これが70年代に出てくるということはあり得なかったが、60年代~70年代のロックが一巡りも二巡りもした段階なら、いつ出てきても不思議ではなかったように思う。その意味では、ヴァイナルトーンズは全く時流に乗っておらず、1995年に登場してもよかったし、今年(2011年)に登場してもよかったのだろう。 結局のところ、時流に乗った音楽ばかりがもてはやされ、ロックやその周辺の音楽が細分化されて聴き手にすらよくわからなくなっていってしまう中、こういうバンドもちゃんと存在しているのである。リスナー(消費者)が悪いのか、業界(売り手)が悪いのか、難しいことはよくわからないけれど、こうしたバンドがちゃんと生き残って行くようであれば、まだまだロックは死んでいないし、ロックに未来はあると思うのだけれど。[収録曲]1. Numb (On A Monday)2. So Far Away 3. She4. Nashville5. See What I'm Getting At 6. Hey Solomon7. Motorcycle8. If It's Gonna Rain 9. Hope To Remember 10. Burst Your Bubble11. Unsimple 12. Don't Spend It All Tonight 13. Leaving Northport~以下、ボーナス・トラック~14. Nobody's Man 15. Rockin' The Day 2006年リリース。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011.09.27
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これぞモダン・ジャズ的サックスの愉しさを堪能 デクスター・ゴードン(Dexter Gordon)は1923年ロサンゼルス生まれで、役者としても活躍したテナー・サクソフォン奏者。1990年に67歳で没している。ビバップ~ハードバップのジャズ・サックスを代表する演奏家であるが、実のところ、モダン・ジャズが華やかに開花していった1950年代には、苦難の時期を経験した人物でもある。 デクスター・ゴードンは、早くから頭角を現し、1940年代前半のライオネル・ハンプトン楽団を皮切りに、40年代後半にはバド・パウエルやアート・ブレイキーなどとの録音をはじめとして、ジャズ奏者として目立った成果を残していた。けれども、麻薬の影響から、50年代の大半をゴードンは棒に振ることになる。つまり、彼のやろうとしていた音楽が花盛りの頃に、プレイするチャンスをごっそり逃してしまったという不運な人物だったわけである(ヤクをやってたんだから自業自得だろうと言われれば、確かにそうでもあるのだが)。 そのようなわけで、実質的に、1952年から1960年までの8年間、彼の活動はほとんどなかった。けれども、途中、1955年に一時期復帰したことがあった。その時に残された数少ない作品が、本盤『ダディ・プレイズ・ザ・ホーン(Daddy Plays The Horn)』ということになる。ベツレヘムという、マイナーだがジャズの密かな名盤を多く残したレーベルに吹き込まれたものである。 上のような経歴からして、本盤におけるデクスターの演奏自体は、彼のベスト・プレイと言えるかどうか賛否両論がある。けれども、筆者は本盤が彼の作品の中では1、2を争う最高作だと思う(ちなみに、筆者の中でベストを争うもう一枚はブルーノートに吹き込んだ『ゴー!(Go!)』である)。 本盤の良さは、一言にすれば、“大らかさ”にある。表題曲の1.「ダディ・プレイズ・ザ・ホーン」は、ゆったり大らかに吹くという彼の特徴がとてもよく生かされた自作のブルース曲。ケニー・ドリューの長いソロも心地よい。2.「コンファメーション」は、チャーリー・パーカーの有名曲。本質的にはアップテンポで慌ただしい感じだが、デクスターが吹くとどこか大らかさが出るのが不思議だ。有名曲の5.「ニューヨークの秋」は、後に映画『ラウンド・ミッドナイト』(1986年)でこれを吹くシーンが知られるようになるが、ここでもゆったりとした大らかなよさがよく表現された演奏となっている。 参加メンバーの中でもとりわけ目を引くのは、上でも触れたケニー・ドリューである。独特の硬質でありながら美しいピアノの音はデクスターのサックスとの相性も良かったのだろう。そのせいか、この二人は後年に他の盤でも共演している。[収録曲]1. Daddy Plays The Horn2. Confirmation3. Darn That Dream4. Number Four5. Autumn In New York6. You Can't Depend On Me[パーソネル]Dexter Gordon (ts)Kenny Drew (p)LeRoy Vinnegar (b)Larry Marable (ds)1955年5月録音 【送料無料】ダディー・プレイズ・ザ・ホーン [ デクスター・ゴードン ] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011.09.24
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ジャンル別、アーティストのアルファベット順に過去記事へのリンクを整理したINDEXページを更新しました。ここしばらくの間の記事を追加しています(今回はロック・ポップス編のみの追加です)。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編へ アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキング(3サイト)に参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでも2つでもぽちっとしていただけるとありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング: 音楽広場:
2011.09.22
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80年代大ヒット映画からの大ヒット曲 1986年制作で、トム・クルーズ主演の『トップ・ガン』は、米海軍の全面協力のもとで実現した海軍パイロットの青春を描いた映画。同年の米国内では興行成績No.1を記録し、日本でも翌年(1987年)度の洋画配給収入で1位のヒット作となった。 大ヒットは映画ばかりかサウンドトラックでも同様だった。『フラッシュダンス』、『フットルース』などと同様、当時は映画のサントラにロック・ポップ系を多用し、それらの曲がMTVの潮流とともにヒットするという流れがあった。『トップ・ガン』のサウンドトラックにも人気アーティストが顔を揃え、ケニー・ロギンス、チープ・トリック、マイアミ・サウンド・マシーン(グロリア・エステファン)といった面々が参加している。その中から最大のヒットとなったのがベルリン(Berlin)による挿入歌「愛は吐息のように~トップ・ガンLOVEテーマ~」であった。 ベルリンというバンド名だが、別にヨーロッパ出身とかドイツ出身とかいうわけではない。れっきとした米カリフォルニア出身のグループで、1981年から活動していた(メンバーが異なる前身バンドは79年結成とのこと)。女性ヴォーカリストテリー・ナンをフロントに据えてシンセを多用した音楽をやっていた。エレクトリックな方向性は欧州向きと言えなくもないので、バンド名はそのあたりに由来するのかもしれない。2枚ほどアルバムを出した後、この「愛は吐息のように~トップ・ガンLOVEテーマ~」が全米1位の大ヒットとなり、アカデミー賞とゴールデングローブ賞でも主題歌賞を受賞した(さらにこのヒット後にもう1枚アルバムを出している)。 日本では、この時のヒットだけでなく、90年代前半(だったと思う)にも車(確かホンダだったような…)のCMに使用された。映画の内容と関係なくても実によくできたラヴ・バラードで、テリー・ナンの妖艶な歌声もなかなかのもの。聴いたら個人的には懐かしさを感じるのも事実だけど、それをさっぴいても、曲調・歌唱ともに実によくできたバラードだと思う。 ↓ サントラのジャケット・イメージはこちら ↓ 【送料無料選択可!】トップガン [輸入盤] / サントラ ↓“嗚呼、青春”な雰囲気の映像とともに動画もお楽しみください。↓ [収録アルバム]Berlin / Count Three & Pray (愛は吐息のように) (1986年)Various / Top Gun [soundtrack] (1986年) トップガン オリジナル・サウンドトラック [ (オリジナル・サウンドトラック) ] 【中古】 愛は吐息のように/ベルリン 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011.09.20
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いつもご覧いただきありがとうございます。通算アクセス数が190000を超えました。次は区切りの20万アクセスに向けて、ぼちぼちではありますが、更新していきたいと思います。今後ともご愛顧のほどお願いします。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011.09.18
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創作意欲溢れ過ぎの本作を聴き手はどう受け止めればよいのか ~後編~ 前編では、“芸術作品”とは何たるかという小難しい話に発展してしまったけれど、“難解である”、“よくわからない”などと評されるこのイエスのアルバム『海洋地形学の物語』に話を戻そう。 前回述べたような観点からこのアルバムの“よくわからない”という一般的評価を考えてみると、要するに、各々の聴き手が自分なりの受け止め方をしにくい作品ということになるのだろう。1曲1曲は長いし、全収録時間も長い。結果的に、聴き手が受け止め不能もしくは評価不能という、いわば“機能不全”の状態に陥る。そんな時、ある種、言い訳的に“難しい”とか“わからない”との評価というか感想が発せられるのではなかろうか。したがって、というか、日々のこのブログのどの記事もそうなのだけれど、一つ一つの作品の評価や受け止め方は、あくまで一人の受け手(音楽の場合は聴き手)の受け止め方に過ぎない。それを読んで、同じアルバムや曲を聴いた別の聴き手がどう感じるかは、無論、未知数である。とはいえ、本盤を聴いたあることがある方で“わからない”と感じた方は、ぜひ“自分なりの受け止め方”を考えながら聴いて頂きたい。 筆者は実はそんな風に考えながらこの盤を聴くことが多い。“正しい理解”をしなくてよいと割り切ることができれば、その時点から、案外と本盤は聴きやすくなるのではないだろうか。いや、それどころか、意外に面白いのではないかという気がすることさえある。何よりも、この仰々しさは、本盤の大事な個性というふうに思う。限られた時間で緊張感を持続するというのが前作(『危機(Close to the Edge)』)の雰囲気だとすれば、それとは異なり、マラソンかトライアスロンをやっているようにすら思えるところがよい。持続合戦のような本盤の収録曲は、『危機』や『こわれもの』という代表盤二作のようにひたすら完璧さを期す方向に向かうのではなく、不思議な世界、幻想的な世界をいかに演出するかの方により力点が置かれているように感じられる。 ちなみに1.「神の啓示」は2003年の再発売時には元は収められていなかったイントロが含まれており、収録時間が2分ほど長くなっている。また、この再発時には2つのアウトテイク(スタジオ・ランスルー)が追加収録された。ただでさえ長いものにより追加して長くしてどうする?という気もしなくはない(ファンには嬉しいのだろうが、一般リスナーにとってはより近づきがたくなるかも…)。2枚目の1曲目までがオリジナル盤に入っていた曲というのが何とも紛らわしいが、現行盤をこれから聴く方はお間違いなきよう。[収録曲]~Disc 1~1. The Revealing Science of God (Dance of the Dawn)2. The Remembering (High the Memory)3. The Ancient (Giants under the Sun)~Disc 2~1. Ritual (Nous sommes du soleil)~以下、2003年再発時のボーナス・トラック~2. Dance of the Dawn [studio run-through]3. Giants under the Sun [studio run-through]1973年リリース。 関連過去記事リンク: イエス『海洋地形学の物語』(前編)へ イエス『危機(Close to the Edge)』へ イエス『こわれもの(Fragile)』へ 【送料無料】Forever YOUNG::海洋地形学の物語 EXPANDED & REMASTERED [ イエス ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011.09.17
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創作意欲溢れ過ぎの本作を聴き手はどう受け止めればよいのか ~前編~ イエス(Yes)というグループの名を聞いて、多くの人がはじめに思い浮かべるのは、『こわれもの(Fragile)』(1971年)や『危機(Close To The Edge)』(1972年)といった盤ではないだろうか。もちろん、これらの作品は超名盤であり、彼らの頂点を示す代表作と言ってよいと思う(特に筆者は『危機』が好きである)。そして、というか、それゆえに、その陰であまり注目されないのが、これらよりも少し後にリリースされた『海洋地形学の物語(Tales From Topographic Oceans)』という2枚組の大作である。 イエスは、ジョン・アンダーソンを中心に結成され、1969年に最初のアルバムをリリースした。当初はサイケでジャズ的という、幾分わかりにくい音楽性だったが、上述の『こわれもの』と『危機』という、見事な緊迫感とアンサンブル、完成された演奏技術で頂点を極めることになる。そうして成功を収めた彼ら(というか主にメンバーのアンダーソン)が、大作志向を押し進めて1973年末に発表したのがこの『海洋地形学の物語』だったという流れである。 このアルバムには、“何度聴いてもよくわからない”、“難しすぎる”といった定評(?)がある。そもそも2枚組なのにたったの4曲入り(つまりLPではA面~D面の各盤面に20分前後の曲が1曲ずつ収録)という構成からして実に大仰である。創作意欲溢れる、というか、これはさすがに溢れ過ぎで、曲名も(英語も翻訳の邦題もどちらとも)何とも仰々しいものが並ぶ。いやはや、筆者自身も、この難解とされるアルバムを本当に理解しているのかと訊かれれば、我ながら定かではない。 でも、ちょっと立ち止まって考えてみたい。“音楽を理解する” (ジャズ・ファンに多い物言いだが、プログレなどでもわりとよく耳にする)という狭い了見に囚われる必要はないんじゃないだろうか。通常、音楽作品は“正しく理解される”ためにそこにあるわけではない。言い換えると、聴き手は聴き手なりの解釈や理解をするのであって、その受け止め方は人それぞれでいいように思う。 しからば、“名盤”とは何なのか。おそらく、そうした人それぞれの独自の観点での評価が積み重なって、素晴らしいと思う人が多ければ“名盤”や“名作”と呼ばれるようになるのだろう。その一方で、世間では“駄盤”と言われつつも、その盤が誰か別の人の心を打つ(その聴き手にとっては“名盤”と化す)ことだってあり得るように思う。たぶんこのことは、音楽に限らず、文学作品や絵画等の芸術的創作に共通して言えるような気がする。ある意味で、創作物(芸術的作品)は、それを作製した人の手を離れ、鑑賞者や読者、あるいは聴き手の手に渡ったとたん(言い換えれば、展覧会で人目に触れたり、レコードやCDなどとして発売されたとたん)、作者の意図のみに捉われず、様々な解釈や理解がなされていく運命にある。つまりは、人目に触れたとたん、それぞれの受け止め方をされ始めることになる。 1回での掲載にするには、少々長くなりそうなので、続きは後編に(収録曲の情報等は次回記事更新の際に掲載します)。 関連記事リンク: イエス 『海洋地形学の物語』(後編)へ 【送料無料】海洋地形学の物語/イエス[CD]【返品種別A】 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011.09.17
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天賦の才を与えられた、お騒がせ少女(?)によるヒット曲 エイス・ワンダー(Eighth Wonder)というのは、80年代の洋楽シーンを知る人以外には“何それ?”という程度の知名度かもしれない。女優として活躍するパッツィ・ケンジットをヴォーカルとする英国のバンドで、世界的には1枚のアルバム(ただし日本限定ではファーストの前にミニアルバム『ブリリアント・ドリームス』も出ている)を残しただけで実質的に活動停止となってしまった。 ミニスカートで歌うパッツィのアイドル的人気もあって、日本やイタリアでは先行ヒットを飛ばしていたが、ようやくエイス・ワンダーが世界的にブレイクしたのは、このシングル曲「モンマルトルの森(I’m Not Scared)」(英チャートで最高位は7位)であった。曲の提供は、当時伸び盛りだったペット・ショップ・ボーイズで、この80年代ディスコちっくなサウンドは当時の彼らの得意とするところが存分に含まれている。さらに、ペットショップ・ボーイズは、この曲のプロデュースも担当している。 個人的な思い入れも勝手に含めてしまうと、「浮気なテディ・ボーイ」といい、この曲といい、パッツィのヴォーカルは本当に魅力的であった。本人の行動が特異で時にお騒がせなのとは対照的なほどに、その小悪魔的魅力が強烈であった。子役から女優のキャリアをスタートさせ、兄のバンド結成にせっついては16歳でそのヴォーカリストとなったかと思えば、女優業の優先を理由にバンド活動を停止に追い込み、本人は現在のところ4回の結婚を経験している。この経歴だけ見ると、知らない方は“とんでも女”かと想像されるかもしれないが、当時のパッツィの可愛さ(容姿だけでなくヴォーカルの声の魅力)はずば抜けていた。 いつしか、いろんなバンドの“再結成ブーム”みたいなものが進んできた。70年代~80年代のバンドの再結成や復活ライブのような企画は、来日企画としても盛んである。けれども、エイス・ワンダーは、復活して欲しくない筆頭である。このエイス・ワンダーだけは10代後半から20歳頃のパッツィ・ケンジットの“甘い思い出”みたいなもののままでいてもらいたい気がする。ともあれ、若々しい色っぽさを披露していたパッツィに乾杯! [収録アルバム]Eighth Wonder / Fearless(クロス・マイ・ハート) (1988年) 【Aポイント+メール便送料無料】エイス・ワンダー エイス・ワンダー / クロス・マイ・ハート[CD] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011.09.14
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ライヴ盤の醍醐味と本質的な意義とは? エアロスミス(Aerosmith)初のライヴ盤で、1970年代黄金期のベスト盤的選曲のアルバムが、この『ライヴ・ブートレグ(Live Bootleg)』。1978年にリリースされたもので、元々のLP(レコード)盤は2枚組だった。音源は主に1977年~1978年のライブのものだけれども、一部(収録曲14.と15.の前半)に1973年というやや早い時期の音源も使用されている。このアルバムは既に30年以上も前のものなわけだけれども、筆者にとっては、ライヴ盤とは何たるかを考えさせてくれる盤でもあり、今回はそのことを話題としたい。 “ブートレグ”つまりは、いわゆる“海賊盤”というのがアルバム・タイトルになっている。これは、当時、彼らの海賊盤が次々と流通していたことから、これをシャレにしてつけられたものとされる。実際、ジャケットもそれらしい雰囲気(汚らしくちゃちい感じ)に意図的にデザインされている。CD時代になってからのブートレグは、ディスクそのものがちゃちなのはともかくとして、カラー写真を使うとか、それなりにデザインを考えた風のジャケット・イメージが増えてきたように思う。けれども、レコード時代のブートレグというのは、本当にどれもこれもちゃちなものだった。本盤もそんな雰囲気を反映したジャケットである。 それはさておき、本作が“ブートレグ”を謳っているのには、上記の理由以外にも、もう一つ別の意味があるんじゃないかと個人的には思っている。それは、音が“海賊盤”的なのである。本人たちがネーミングの際に明確に意識していたのかどうかはわからないのだけれども、本盤はとにかく音が荒くて雑い。かつてのブートレッグの多くは本当に音質も悪いものが多く、まともには聴けたものではない録音も多かった。最近では海賊盤も音質が上がってそうではなくなってしまったものの、基本的には生の音を垂れ流す形が一般的である。それに対し、近頃の正式リリースという形でリスナーに届けられるライブ盤は、音質が飛躍的に向上し、技術面でも昔とは劇的に異なっていて、ミキシングのほか様々な操作で“きれいな演奏”のアルバムが作られるようになった。それはそれでいいことなのかもしれない。けれども、裏を返せば、演奏のミスなども修正できてしまうということだ。つまるところ、“生ライブ感”が半減することにもつながる。 話を元に戻そう。本作が“海賊盤”的と言ったのは、演奏のまずい部分(リズムが安定していない箇所、ヴォーカルやギターの外れた音、など)をほぼそのままに再現してくれている点にある。黄金期のエアロスミスの勢い、良くも悪くも当時の彼らのヤバさがそのまんまアルバムに収録されている。そんなわけで、演奏の質だけを重視する向きは、スタジオ盤を聴いた方が絶対にいい。けれども、当時のエアロスミスの生の勢いを追体験するという観点に立てば、本盤の方が格段に優れているというわけである。 ベスト的選曲だけあって、1.「バック・イン・ザ・サドル」、4.「闇夜のヘヴィ・ロック」、7.「ウォーク・ディス・ウェイ」、9.「ドリーム・オン」、12.「ママ・キン」といった70年代の彼らの代表曲が一通り収録されている。個人的な特にお勧めとしては、ビートルズのカバーである6.「カム・トゥゲザー」。これが実にカッコいい。あと、15.「マザー・ポップコーン」には、クレジットには記されていないが、別の曲も収められていて、このトラックの後半は「ドロー・ザ・ライン」(音源は前半が73年に対し、この後半は78年)が収録されている。[収録曲]1. Back in the Saddle2. Sweet Emotion3. Lord of the Thighs4. Toys in the Attic5. Last Child6. Come Together7. Walk This Way8. Sick as a Dog9. Dream On10. Chip Away the Stone11. Sight for Sore Eyes12. Mama Kin13. S.O.S. (Too Bad)14. I Ain't Got You15. Mother Popcorn16. Train Kept A-Rollin'/Strangers in the Night1978年リリース。 【送料無料】ライヴ・ブートレッグ [ エアロスミス ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011.09.13
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ヒット連発、絶頂期のリチャード・マークス 1989年、プリンスの『バットマン』を押しのけてチャート1位を獲得したのが、リチャード・マークス(Richard Marx)のセカンド・アルバム『リピート・オフェンダー(Repeat Offender)』だった。ファースト・アルバムからは4曲のヒット・シングルが生まれ、その勢いをそのまま受けて、本盤からもヒット・シングルが続くのは必定であったと言える。 まずは、ファースト・シングルの2.「サティスファイド」が全米1位のヒットを記録した。続くセカンド・シングルの5.「ライト・ヒア・ウェイティング」は全米1位のみならず世界中で大ヒットし、イギリスでもシングル・チャートの2位まで駆け上がった(特にこのバラードは日本でもよく知られている上、後世のカバーも多い)。3枚目のシングル3.「アンジェリア」も全米2位となった。おまけに、その後にカットされた2枚のシングル(4.「トゥー・レイト・トゥ・セイ・グッバイ」と12.「チルドレン・オブ・ザ・ナイト」)もそれぞれ12位と13位にチャートインした。 ファースト・アルバムの出来もなかなかのものだったが、筆者の感想としては、本セカンド作の方がさらに上を行っている。全体として大雑把に言ってしまえば、楽曲のクオリティはほぼ互角だが、音の作りで本盤はさらなる進化があった。特にロック色の強いナンバーでの音の“立ち方”がよくなり、いわゆる“エッジの利いたサウンド”度が高まっている。バラード系にも似たようなところがあり、より美しさを追求した音づくりが成功しているように思う。アルバム全体を通しても、リスナー受けしそうなロック・チューンと、バラード系に傾いた曲が絶妙に配置されている。 ファースト・アルバムの記事(『リチャード・マークス』)と同じく、このセカンドに関しても幸せなエピソードを付け加えておきたい。リチャード・マークスが女優・シンガーのシンシア・ローズと結婚したことは以前の記事に書いた通りだが、それは1989年1月のことだった。その翌月にリチャードは上記ヒット曲5.「ライト・ヒア・ウェイティング」をレコーディングしているが、実はシンシア宛てのラヴ・レターにメロディをつけたものだとか。しかもそのラヴ・レターは、全世界的ヒットになったというわけで、何とも幸せなエピソードといったところではないだろうか。[収録曲]1. Nothin' You Can Do About It2. Satisfied3. Angelia4. Too Late to Say Goodbye5. Right Here Waiting6. Heart on the Line7. Real World8. If You Don't Want My Love9. That Was Lulu(CDのみ=LPは未収録)10. Wild Life(日本盤ボーナス・トラック)11. Wait for the Sunrise12. Children of the Night1989年リリース。 Richard Marx リチャードマークス / Repeat Offender 【CD】 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011.09.11
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2011.09.09
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ブラウン=ローチのまさしく完璧なる最高作 クリフォード・ブラウン(Clifford Brown、通称ブラウニー)は、マイルス・デイヴィスと並ぶ、モダン・ジャズ界最高のトランペッターである。いろんな面で、この二人は対照的である。前者がほんの4年ほどしか実質的に活動しなかった(25歳で交通事故のため死去)に対し、マイルスは長いキャリアと多くの作品を残した。ブラウニーがトランペッターに徹した一方、マイルスは音楽的創造者としてのイメージも強い。また、全般的(かつ大雑把な)トランペット演奏の印象を言えば、マイルス・デイヴィスが下を向いて内に向かって音を美しく奏でるイメージがあるのに対し、クリフォード・ブラウンは上を向いて音を高らかに発散しているイメージがする(あくまでイメージなので全作品に当てはまるわけではないけれども)。そうは言っても、これら二人には重要な共通項もある。ジャズという音楽が歩む道を大きく変え得るトランペット演奏を披露し、実際にその道筋を変えたという点である。 そんなクリフォード・ブラウンの代表作はいろいろあるが、マックス・ローチと組んだ演奏がとくにバンドとしても質が高く、定評がある。とりわけ巷でよく取り上げられるのが、『スタディ・イン・ブラウン』、そして本盤『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』の二枚である。これら二作は甲乙つけがたい名作とされ、個人的にも『スタディ・イン・ブラウン』は大好きな盤なのだが、さらに上を行くように思えるほど完璧な出来なのがこの『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』である。 夜に聴けば、徹夜できてしまいそうなエネルギー、朝に聴けば一日中元気に過ごせそうな爽快な音の抜け具合、というのが、筆者の印象というか、これまで本盤を聴いていての体験である。無論、トランペット演奏だけをとやかく言うのなら、他にもブラウニーの推奨盤はあり得る。何よりも見事な(というか、こういう評すような言葉を書くのも躊躇するほど完璧な)チームワーク、演奏の息の合い方が本盤のもう一つの核心である。つまり、ブラウニーのラッパも最高なら、彼を生かすメンバーも最高なのである。この一体感とそこから溢れ出るエネルギーの強烈さは、そんじょそこらのアルバムにそう簡単に見出せるものではない。 マックス・ローチ(ドラム)は、ブラウニーと並んで本盤の名義そして表題になっているだけあって、演奏の中心を担っている。単純化してしまえば、ローチが演奏全体のペースを決め、その枠組みの中で各メンバーの熱演が展開されていく。全体の演奏がこれだけ有無を言わさぬ圧倒的迫力に仕上がったのには、サイドメンの活躍も見逃せない。とくにジョージ・モロウは、ローチの豪快なドラムと素晴らしくかみ合ったベースを全編にわたって披露している。リッチー・パウエル(バド・パウエルの実弟)のピアノ演奏もここぞというところで見事にはまっている。ハロルド・ランドのテナーも、目立ちにくいが、いい味を出している。 捨て曲なしの好盤なので、どの曲・どの演奏がというのすら、おこがましい気もするが、絶対に外せないと思う曲を個人的好みでいくつか挙げておく。1.「デライラ」、4.「ジョイ・スプリング」(11.に別テイク)、5.「ジョードゥ」は、落ち着いて目を閉じて聴きたい。3.「ダフード」と6.「ザ・ブルース・ウォーク」(それぞれ10.と9.に別テイク)は圧倒されてしまわずに、そのエネルギーを体で受け止めたい。 ちなみに、CDを手にすると、別テイクとかが混じっていてややこしいが、本盤はもともとは10インチ盤で、LP時代、CD時代となるにつれて、徐々に収録曲が増えた。10インチのオリジナル盤の収録曲は1.~5.。それに6.と7.を加えたのが、LP盤に収録されたもの。8.~11.はCDフォーマットになってからのボーナス・トラックである。 [収録曲]1. Delilah 2. Parisian Thoroughfare3. Daahoud 4. Joy Spring 5. Jordu 6. The Blues Walk 7. What Am I Here For? ~以下、CDのボーナス・トラック~8. These Foolish Things 9. The Blues Walk -alternative take-10. Daahoud -alternative take-11. Joy Spring -alternative take- [パーソネル・録音]Clifford Brown (tp, 8.を除く)Max Roach (ds)Harold Land (ts, 8.を除く)Richie Powell (p)George Morrow (b) 録音: 1954年8月2日(1., 2.)、8月3日(5.)、8月6日(3., 4., 8., 10., 11.)1955年2月24日(6., 7., 9.) 【送料無料】JAZZ THE BEST 40::クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ +2 [ クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ(tp/ds) ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011.09.08
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ジャズ史に名が残るに相応しい名盤 ドド・マーマローサ(Dodo Marmarosa, 本名マイケル・マーマローサ)は、1925年生まれの米国の白人ピアニスト。1940年代初頭からプロとしての活動を始め、レスター・ヤングやチャーリー・パーカーとも演奏を経験している。だが、1950年以降、彼の消息は途絶える。麻薬中毒の悪化と精神病で電気ショック療法も受け、どうやら心身ともにボロボロだったようだ。 ところが、彼は10年後にカムバックした。そうして、1961年に吹き込まれたのが、本盤『ドドズ・バック!(Dodo’s Back!)』であった。ジャケットのタイトルの下には、“輝かしきジャズ・ピアニスト、ドド・マーマローサ復帰(The Return Of Dodo Marmarosa, A Brilliant Jazz Pianist)”と書かれているが、これは上記のような経緯を反映している。本作の後、翌62年にも録音を行っているが、その後はまたもシーンから姿を消してしまう。結局、精神的な病は続いたのだろう。地元のレストランや入院していた医療センターなどでピアノを演奏することはあったようだが、そのまま音楽シーンには戻ることなく、2002年に77歳で亡くなっている。 そのようなわけで、そもそも作品の数が少なく、したがって注目されることの少ないピアニストである。けれども、この盤が超一級品の名盤であることに変わりはない。ひとことで言えば、バップ・ピアノの流れを見事なまでに受け継ぐスタイルで、精緻でかつ硬質な音のピアノ演奏が特徴である。 演奏曲は3~4分台の短いものがずらりと並ぶ(いちばん長い曲でも5分半が1曲あるのみ)。いずれも“一球入魂”ならぬ、“一曲入魂”というか、とにかく短時間に欠ける集中力のようなものが凄い。この部分については、有名なピアノ奏者としては、バド・パウエルを思い出していただくとよいかもしれない。瞬間的な閃きというか、冴えの鋭さが際立っている。 もう一つ特徴を挙げると、ドド・マーマローサのピアノ演奏は、“楽しいジャズ・ピアノ”ならぬ“寂しいジャズ・ピアノ”である。音に孤独さというか寂しげな雰囲気が充満している。きっと、これは上の特徴とも関係していて、まとめるとドド・マーマローサは“孤高のピアニスト”ということに落ち着くのだろう。個人的な好みをいくつか挙げると、1.「メロウ・ムード」は、メロウでありながら、寂しげなのが印象的。5.「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」は短いながらも緊張感みなぎるところがいい。9.「トレイシーのブルース」は、ノリのいい演奏になりそうでありながらも、孤独感から抜けきれないところが何とも言えぬいい味を出していて、ある意味、本盤の特徴をよく表していると思う。[収録曲]1. Mellow Mood2. Cottage For Sale3. April Played The Fiddle4. Everything Happens To Me5. On Green Dolphin Street6. Why Do I Love You?7. I Thought About You8. Me And My Shadow9. Tracy's Blues10. You Call It Madness[パーソネル・録音]Dodo Marmarosa (p)Richard Evans (b)Marshall Thompson (ds)1961年5月9日~10日 ドド・マーマローサ/ドドズ・バック![CD] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2011.09.07
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23歳のデビュー作に見る原点 今からちょうど半世紀前に当たる1951年、ブルーノートは10インチLPのリリースを始めた。レコード番号は7000番台と5000番台の二種から成り、前者はトラディショナル系(スイング、ディクシーなど)、後者はバップ以降のモダン・ジャズで、最終的には合わせて計100枚が発売された。この頃の5000番台の中には、後に1500番台に収録されていく作品も含まれていて、セロニアス・モンクの『ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック』や、バド・パウエルの『ジ・アメイジング・バド・パウエル』といった作品はその代表例である。 他方、当時の5000番台の中には、“New Faces ? New Sounds”つまり、“新顔による新たなサウンド”と銘打たれた一連の盤もあった。ホレス・シルヴァー、ギル・メレ、ルー・ドナルドソンなどがその例で、彼らに並んで、ニュー・サウンズを披露したニュー・フェイスの一人として含まれていたのが、このケニー・ドリュー(Kenny Drew)であった。そして、初のリーダー作となったこの5000番台の作品(5023)が、『イントロデューシング・ザ・ケニー・ドリュー・トリオ(Introducing the Kenny Drew Trio)』という盤である。 後々、このケニー・ドリューという人は、大衆売れ筋路線の演奏も晩年には多くなっていったのだが、根本的には、いかにハード・バップなピアニストだったかが本盤からはよくわかる。甘美なピアノみたいな謳い文句がつけられたりもするが、ハードバップに特段馴染みのある人以外にはそうは聴こえないかもしれない。というのも、ハードバッパーとしての枠組みは崩さずに、その中でのトーンの特徴が甘く優しげなピアノの音だからである。あくまで演っているプレイはシリアスでハードコア(?)なのである。 けれども、本盤が単に彼の原点を示しているだけかというと、そうでもない。新顔のこの当時に既に完成の域に達していて、演奏者としての力量が実によく反映された作品である。どの曲もたたみかけるような勢いがいい。無論、上述のように音そのものは優しげであるが、時に雄叫びすらあげたくなるようなこの勢い(雄叫びについては、8.の2分03秒あたりをお試しあれ)は、アート・ブレーキーに煽られている部分もあるとはいえ、聴いていてシンプルに気持ちいい。こういう観点から筆者が好きなのは、あえて3曲だけ挙げると、1.「イエスタデイズ」、5.「恋人よ我に帰れ(ラヴァー・カム・バック・トゥ・ミー)」、8.「ドリューズ・ブルース」といったところ。いやはや、3曲だけ挙げたら他も挙げたくなってしまう。要はほぼ全編にわたってこのエネルギッシュな勢いが楽しめるわけで、しかも1枚通しての合計時間は30分ほどであるため、一気にお楽しみいただきたい。[収録曲]1. Yesterdays2. Stella By Starlight3. Gloria4. Be My Love5. Lover Come Back To Me6. Everything Happens To Me7. It Might As Well Be Spring 8. Drew’s BluesKenny Drew (p)Curly Russell (b)Art Blakey (ds)録音: 1953年4月16日Blue Note 5023 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011.09.06
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スーパーグループによる唯一のスタジオ作 ジェフ・ベック(Jeff Beck)というギタリストはいろんなスタイルを器用にこなすせいか、これが代表作というのが決めづらい。本盤が彼の代表作と呼ばれるならば、おそらくは異論も多いのではないかと想像する。けれども、ジェフ・ベックの特徴がよく表れた盤という意味では、本作ももっと注目されてもいいように思う。 名前の通り、ジェフ・ベック、ティム・ボガート、カーマイン・アピスの3人によるグループで、活動期間は1年半ほど(1972年~74年にかけて)しかなかった。そのため、スタジオ盤も1枚しか残されなかった(他には日本公演のライブ盤もあるが、個人的にはスタジオ盤の方がはるかに出来がよいと感じる)。 ジェフ・ベックは、ヴァニラ・ファッジで強力なリズム隊を組んでいたボガート&アピスとの共演を意図していたようである。だが、その機会はなかなか訪れなかった。1969年にバンド結成の可能性があったが、ヴォーカリスト候補のロッド・スチュワートに逃げられ(フェイセスに加入)、ベックが交通事故で休養する中、一度はバンド結成の機会を失ってしまう。 再び機会が訪れたのは1972年。ボガート&アピスが属するカクタスが解散し、ジェフ・ベックの方のグループ(第二期ジェフ・ベック・グループ)も解散となり、ヴォーカリスト招聘(ポール・ロジャース)は見送られたが、ようやく秋に活動を開始する。同年に吹き込まれたファースト・アルバム(本盤)は翌年2月に発売された。だが、5月の日本公演後にはボガートが交通事故で入院し、早くも解散の噂が囁かれるようになる。結局、1974年に入ってセカンド・アルバムの制作に入るも、ベックとボガートの確執が表面化し、第二作は完成せず、バンドは自然解散となった。 本作の特徴を簡潔に述べるならば、力強いリズム隊(ボガートとアピス)を前にギタリスト(ベック)が奮闘するといったところ。しかし、シーンは1970年代を迎え、時代的にはロックはますます多様化し、リスナーの選択も多様化していった。その状況下では、こういうバトル的発想自体、既に時代遅れだったのかもしれない。 とはいえ、このギターとリズム隊の対峙の仕方はやはり面白い。ぶつかり合うというよりは、実にぴたっと息があって“融合的”なのである。このぴたりとした絶妙のタイミング感は、もしリズム隊が豪快さを躊躇したならば、コンパクトに収まってまったく面白くなくなっていたであろう。ギタリストが我を張り過ぎたならば、ギターが浮いてしまい、一体感は損なわれたであろう。ところが、実際にはその逆のことが本盤を通して起こっている。こじんまり収まらずにベースとドラムが演奏したのもお見事ならば、そこで単なる“対決姿勢”にならずに、どんぴしゃのタイミングで存在感いっぱいにギターを演奏したベックもお見事だったというわけである。 セカンドが陽の目を浴びなかったのは、時間の経過とともにこの辺の折り合いがつかなくなっていったからではないかと想像してみたりもする。要するに、バンドがより一層の高みを目指そうとするのと、実際の演奏の折り合い(そこには演奏者間の緊張感の度合いも影響する)が最も良いバランスで保たれたのが、唯一この盤のタイミングだったということではなかっただろうか。[収録曲]1. Black Cat Moan2. Lady3. Oh To Love You4. Superstition5. Sweet Sweet Surrender6. Why Should I Care7. Lose Myself With You8. Livin' Alone9. I'm So Proud1973年リリース。 【送料無料】【輸入盤】 BECK BOGERT & APPICE [ ベック・ボガート&アピス ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2011.09.04
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サザン・ロックと産業ロックの微妙なバランス 38スペシャル(サーティエイト・スペシャル)は、38口径の拳銃の弾丸の名称に由来するバンド名。1975年にフロリダで結成され、1977年にレコード・デビューした。バンドの中心は、ドニー・ヴァン・ザント(Donnie Van Zant)、そしてドニーとは古くからバンド仲間であったドン・バーンズ(Don Barnes)という二人である。前者は悲劇の死を遂げたレーナード・スキナードのヴォーカリスト、ロニー・ヴァン・ザント(過去記事(1) ・(2) )の弟である。デビュー盤はこの兄の死の半年ほど前だったが、ロニーが飛行機事故で亡くなってレーナード・スキナードが消滅した後、38スペシャルはレーナード・スキナードの後継バンド的として見られるようになった。 80年代に入り、バンドの方向性が変化し、泥臭いブギー・サウンドから聴きやすいハード・ポップへと変わった。これによってセールス面では大成功を収め、『サザン・ボーイズ(Wild-Eyed Southern Boys)』(81年)や『スペシャル・フォーシズ(Special Forces)』(82年)などのヒット盤を残した。本作『ストレングス・イン・ナンバーズ(Strength In Numbers)』は、こうしたセールス面での絶頂期の最後にあたる作品で、1986年にリリースされた。 上のような方向転換によるヒットの経緯から、このバンドは産業ロックの典型として扱われることが多い。確かに、一言でまとめてしまえば、さっぱりしたパワー・ポップ・ロックもしくはハード・ポップ・ロックである。けれども、ツイン・ギター、ツイン・ドラムという南部ロック(サザン・ロック)の特徴をうまくそのポップ性の中に取り込んだからこそ成功したのではないかとも思う。言い換えれば、成功の要因は、南部ロックを捨てたからではなく、南部ロックらしさをうまく残し(ひきずり?)ながら、大筋としては大衆化していったことにあったのだろう。 本盤でもその方向性が貫かれていて、全編を通じて泥臭さが程良く中和されさっぱりした聴きやすい仕上がりとなっている。1.、2.、5.、7.、9.、10.などが個人的お勧めだが、どの曲を取ってもまず第一に聴きやすい。とは言っても、ただ単に耳触りがいいだけでなく、少し注意して聴けば、ツイン・ギターの特性をうまく生かしたり、やや泥臭いフレーズを巧みに混ぜ込んだりという特徴がさりげなく出されている。上で述べたこのバンドの成功の要因がところどころで顔を出すのが面白い。 ちなみに、この盤を取り上げた理由は、内容面もさることながら、筆者の思い入れによる部分も大きい。本盤は最初に筆者がレコードを手にした38スペシャルのアルバムで、そのジャケットは一種の仕掛けジャケットだった。表紙は黒字に“38”の数字を模した色とりどりの半円形が並んでいて、その半円形部分がくり抜かれた形状になっていた。大した仕掛けでも何でもないが、いま聴いているCDでは単なるペラペラの印刷を見るにつけどこか物足りない郷愁を感じるので、ついこの盤を最初に取り上げてしまった次第である。[収録曲]1. Somebody Like You2. Like No Other Night3. Last Time4. Once in a Lifetime5. Just a Little Love6. Has There Ever Been a Good Goodbye7. One in a Million8. Heart's on Fire9. Against the Night10. Never Give an Inch1986年リリース。 【メール便送料無料】38スペシャル38 Special / Strength In Numbers (輸入盤CD) (38スペシャル) 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011.09.02
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デビュー盤での、既に完成された貫禄 1969年にデビューし、サザン・ロック、スワンプ・ロックの元祖とされるオールマン・ブラザーズ・バンド(The Allman Brothers Band)。セルフ・タイトルのデビュー作がこの『オールマン・ブラザーズ・バンド(The Allman Brothers Band)』である。オリジナル・メンバーは、デュアン(または原音に即してデュエイン)・オールマン(ギター)、グレッグ・オールマン(キーボード・ヴォーカル)、ディッキー・ベッツ(ギター・ヴォーカル)、ベリー・オークレー(ベース)、ブッチ・トラックス(ドラム)、ジェイ・ジョニー・ジョンソン(ドラム)。 中心メンバーのデュアン・オールマンは、セッション・ミュージシャンとしても数々の名演を残しており、スライド・ギターの即興的演奏で知られる。デレク・アンド・ザ・ドミノス『いとしのレイラ』への参加の他、別記事で取り上げたボズ・スキャッグスのアルバム(『ボズ・スキャッグス(邦題:ボス・スキャッグス&デュアン・オールマン)』)でも名演奏を披露している。1971年、バイク事故により24歳で死去し、半ば伝説的プレイヤーとして語り継がれている。 このアルバムは、何度聴いても“貫録”があるという印象が強い。デビュー作なら、普通はもっと若々しく(それゆえ未完成や未熟、あるいは荒削りな部分などが見られ)てもいいのかもしれない。けれども、オールマン・ブラザーズ・バンドは、見事に“出来上がって”しまっているのである。しかもそれは既存の枠にはまったありきたりな音楽ではなくて、ツイン・ギターにツイン・ドラムという特異な編成で、ブルースをベースとしながらも、後々“サザン・ロック”と呼ばれて定着していく米国南部の泥臭いロック・スタイルである。 少し広い文脈からこのスタイルの完成度を考えてみると、次のようなことになるのかもしれない。時代は、当初の試行錯誤の中でもがきながら産声を上げたブルース・ロックが消化され、既存のロックンロールが一皮むけて新たな形式をとり、いわゆるサマー・オブ・ラブを経て若者音楽の変革が訪れ、綜合的には現代へとつながるアメリカン・ロック・ミュージックの基礎が出来上がっていく…。そんな時代だった。この前後のミュージシャンたちは、某かの既存のスタイルに乗っかることは難しく、自ら“どんな音楽を演りたいのか”を否が応でも考えさせられた(あるいは、考えられなかった人たちはシーンから消えていった)。その意識が強かったからこそ、こういう完成されたスタイルが最初のアルバムから提示され、結果、私たちはそこに貫録すら見てとることができるのかもしれない。“時代が熱かった”という一言で片づけるのは安直と言われるかもしれないが、オールマン・ブラザーズがその熱い時代の寵児であったのも確かということだろうか。[収録曲]1. Don't Want You No More2. It's Not My Cross to Bear3. Black Hearted Woman4. Trouble No More5. Every Hungry Woman6. Dreams7. Whipping Post1969年リリース。 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011.09.01
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