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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. そうは言っても、ブラウンはラディン殺害が弱気要因になると確信していた。ブラウンは急いで、自分と自社の原油先物取引におけるポジションを洗い出し、整理するよう指示した。仮にバレル当り五〇ドルも下落したら、さしものシルバーマンサックにとっても大打撃だ。最低単位の一枚一〇〇〇バレルで五万ドルの損失が出る計算になる。たったの一〇〇枚で五〇〇万ドル、一〇〇〇枚で五〇〇〇万ドル、ブラウンの頭の中は、殆どパニック状態だった。取り敢えず、直近の限月について対応を考えなければならないが、当然のことながら、月初だから直近の限月がもっとも数が多い。幸い、来年の四月渡しまでは、先高だったが、五月以降は先安だった。一気に、これ以降に振り替えるか。ブラウンはいろいろと思いを巡らすが、なかなか良いアイデアは浮かんでは来ない。リヤドのイブラヒムを叩き起こして、直ぐに行動を起こすよう促す余裕など無かった。イブラヒムは、月曜日の大儲けを夢見て、ぐっすりと寝込んでいるところだ。起きて、いや、開けてびっくり玉手箱。何人かの社内トレーダーが心配してブラウンに電話を入れて来た。まだ、暗殺情報が広まっていない今の内に、売り抜いた方が良いのではないかと言う者が殆どだった。ブラウンは直ぐに、そうするよう指示した。しかし、そう判断したのはブラウン達だけではなかった。情報入手の早い投機筋は皆一斉に売りに出た。ものの数分で、原油価格は一五〇ドルを割り込んだ。そうなると、下落の勢いは加速されるばかりだ。特にアジアは既に午前の取引が始まっていて、絶好の時間帯だ。取引枚数は少なく、本格的動きはヨーロッパ、アメリカの参加者が主になってからにしても、動き易い。アジア市場では、ラディン殺害のニュースが流れ、原油価格は低下を続けた。一四〇ドル、一三〇ドルは、見る見る内だった。こんな時に、報復テロの噂さを流したところで、焼け石に水だ。 原油価格高騰を懸念していたオサマ・アメリカ大統領は、一転、原油価格が大幅に低下を始めたことで胸を撫で下ろしていた。もう直ぐ、演説の時間だ。演説をすれば、更に原油価格が低下するに違いない。オサマはそう思っていた。 -こんばんは。今夜、私は、アメリカ国民と世界に対し・・・ 午後一一時三五分、オサマの演説は始まった。日本では午前一二時三五分、この演説を受け、原油価格は更に大幅に下げた。中国、シンガポールなどの投機筋も一斉に原油を売りに出したからだ。誰も損失を最小限にしたいと必死なのだ。 スルタンとアブドルアジズは断崖の城にいた。 今日も、城の周囲は霧に包まれていた。霧の間を縫うように大鷹が飛んでいる。リヤドとタイフが中心のアブドルアジズには、薄気味悪い光景だった。アルバハのシェイク家のスルタンは、こんな光景の中にいると、リヤドの時とは異なり、より迫力を増していた。悠久の時代に、この地で生活を始めた先祖は、霊的能力をもって部族を纏めた。時代は変わったが、その力がスルタンに漲っているように見えてくる。
2011年07月31日
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2011年07月31日
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先週は、26日にはWTI価格がバレル当り99.50ドルまで上がったが、その後、主に株安を受け、週末には95.70ドルまで下がった。先々週と同じような変動幅だった。その意味では高止まりもいいところだ。 投機のブレントは116.74ドル~118.28ドルの変動幅だった。先々週に比べ変動幅は狭まったが、こちらはより異様な高止まりだ。よりリビア問題の影響を受けているとも言えそうだ。 金先物は、ずっと1600ドル台に止まっただけではなく、史上最高値を塗り替えた。高値警戒感も出たが、それ以上に経済に対する先行き不安感の方が強かった。リスクヘッジの本領発揮だ。 株にしてもそうだが、現状を超えた浮かれ振り、異様さに、警戒感が出ていた。価格崩壊と言うものまで出た。そうなれば、一大事だ。大震災の影響を受けた日本経済を尻目に円が高いことにも異様さが表れている。 それはさておき、市場が閉まっている時間を利用して、商品先物価格の異様な高騰振りを探る表を作成してみた。23日にも約束した移動平均の表だ。三時点ではなく、欲張って五時点の表にして三日間を追ってみた。 終わってみると、なかなか面白い。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月31日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. 今回も、もともとはアメリカの金融緩和で湧き出た資金が投機に流れ込んだと言うのがもっぱらの見方だ。少しでも多くの儲けが出そうなところに、資金は移動する。それは消極的なこともあれば、積極的なこともある。ひどい時には、仕掛けもある。投機とはそんなものだと開き直るものもいるに違いない。多量の資金は常に諸刃の刃だ。 アメリカの午後一〇時には、ツイッターやファイスブックと言った新たなネットツールが賑やかだった。沙漠のサソリの犯行声明もあり、直に、午後一〇時三〇分の大統領の演説が、ビン・ラディン殺害に関するものであることが、明らかになってしまった。政府の関係者もファイスブックで公然と、ビン・ラディン殺害に触れ始めた。もう、こうなると止めようがない。 官邸は、急遽、大統領演説の一時間ほどの延期を発表した。その一つの理由は、沙漠のサソリの犯行声明だった。「予想されたことだが、とうとう、沙漠のサソリが犯行声明を出したか。ラディンの遺体を遺族に渡せだと。我々を追い詰めるだと」 オサマは、演説草稿に、この犯行声明を強く意識した部分を急遽挿入した。-しかしビン・ラディンの死が、私たちの努力が終わったことを意味しはしません。アルカイダが我々を執拗に攻撃し続けることには疑いがありません。私たちは国内でも海外でも、警戒を怠ってはならないし、警戒を怠りません 沙漠のサソリに言われるまでもない。我々は常にアルカイダ全体を意識している。そして、勿論、世界にいる全てのアメリカ人の安全も常に意識している。-従って、アメリカ人は、戦争の犠牲も理解しています。しかし、私達は国として絶対に、我々の安全保障が脅かされることに耐えられないし、我が国民が殺されるのを徒に傍観したりはしません。我が市民と我々の友人、そして同盟国を必ず防衛します。我々は、我々をして誰であるかを知らしめるような、価値に忠実に従います オサマは、満足気に、そこで腕時計を見た。時間を変更した演説まで、あと、小一時間、思いの丈を綴って行こうと、淡々と筆を進めていた。 ニューヨークのブラウンは、沙漠のサソリの犯行声明をネットで発見して愕然としていた。ビン・ラディンが殺害されたとすれば、一大事だ。 放っておけば、原油価格が大暴落だ。日曜日の夜も更けていたが、急いでアナリスト達と連絡をとって、対策を考えていた。社内はパニック状態だった。 ブラウンは、ついさっき史上最高値を更新したばかりだったと言うのに、これでは、一〇〇ドル以下も視野に入れなければいけないと、地団太を踏んでいた。 社内のアナリスト達には、リヤドのファイサリア・コンプレックス爆破事件のような報復テロが相次いで起きる恐れがあるなどと書いたり、喋ったりするよう指示を出した。
2011年07月31日
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2011年07月31日
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29日のWTI価格(終値)は、結局、昨晩の持ち直しが続かず、1.74ドル安のバレル当り95.70ドルまで低下した。95ドル台は7月11日以来のことだ。その失速振りは思ったより以上だ。 投機のブレントは、62セント安の116.74ドルと下げ幅はより少なかった。逆値差は昨晩より更に拡大して21.04ドルになった。7月14日に記録した22.63ドルを超えるのか?投機が生んだ異様な状況はいつまで続くのか? 投機資金は、金に流れ込んだようだ。金は、中心限月が12月に変わったが、そのまま8月渡しと比較すれば17ドルも上げオンス当り1631.2ドルへと上げた。勿論、終値ベースでの史上最高値だ。 取引中最高値も何と1637.5ドルと史上最高値を更新した。一部投機筋の予測する2000ドルも夢想ではないかもしれないと言った水準だ。あまりにも不安が高まってリスクヘッジとしての金買いが続くのは当然かもしれない。 株は、全世界で沈没だが、ドルも対ユーロで結局弱くなった。二大金融要因は、その意味では中立だった。それにしては、原油価格が大幅に下げた。今や、投機筋にさえ、WTI価格80ドル台を噂さする者が出た。 80ドル台となれば、いくら北半球では、10月以降、石油需要期に入るとは言え、下落の勢いを止めることは出来ない。先物では、ハリケーン・シーズンも過ぎ、リビアも完全アウトで織り込み済みだ。 大暴落の予兆か?そうなればOPECが大幅減産を打ち出すかもしれない。そんなことに投機筋が期待しなければ行けなくなるとすれば、情けない話だが、2009年がそうだったから、またそうなるかも知れない。 大変に困った不当、不公正な構図だ。最も自由で透明性が高い筈の先物市場の参加者が、生産カルテルに期待する?妙におかしな、困った構図だ。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月30日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. オサマは午後一〇時三〇分を目標に推敲を重ねていたが、それが完成する前に、沙漠のサソリの犯行声明がネットにアップされた。 午後九時四五分、大統領官邸の報道部長ダン・ピルナーが、午後一〇時三〇分から大統領が演説を行うと、官邸記者クラブのメンバーに知らせた直後のことだった。 サウジは既に午前三時近かった。敬虔なモスレムであるサードはいつもお祈りに備え午前四時頃には起きていたから、徹夜の仕事になった。サードは、アメリカの東部標準時と、恐らく出されるであろうオサマ・アメリカ大統領の演説を意識していたから、徹夜は止むを得ないことだった。 アメリカ大統領官邸の報道部長は、記者クラブのメンバーに演説を行うとだけ知らせたが、同時にツィッターにも同様の内容を書いた。官邸記者クラブの記者達は、何の発表かは明らかにされていなかったので、様々な憶測が飛び交ったが、サードは直ぐに、シェイク・ビン・ラディン殺害についての演説に違いないと思っていた。 サードは機先を制して、スレイマンの犯行声明をアップすることにしたのだ。世界中の人々が、この犯行声明にアクセスして、ビン・ラディンの殺害を知ることになる。そう確信してサードは犯行声明をアップした。 リヤドのイブラヒムは、原油価格高騰を目の辺りにして大満足で、もう既に眠りについていたが、ニューヨークのブラウン・シルバーマン・サックス会長は、先物市場の動向を引き続き見詰めていた。今日は日曜日だったから、取引参加者はそれほど多い分けではない。それでも、既に一五〇ドルを超え、更に、上昇しようとしている。 明日、立会いが始まったら、どうなることやら。きっと、一六〇ドル、一七〇ドル、いや事に寄ったら、二〇〇ドルに届くかもしれないと、笑いがこみ上げて来るのを堪え切れずにいた。 ブラウンは、とにかく、リヤドで大爆発が起きて、サウジの原油生産量に影響を及ぼすということだから、それは当然のことだと思い込むようにしていた。本当に、サウジの原油生産量に影響を及ぼすかどうかなどはどうでも良かった。不安が高まることが肝心だった。日曜日に係わらず、シルバーマンサックスのアナリスト達には、不安を高めるよう指示していた。彼等は、それらしく説明をする。現在は、北半球の石油不需要期で需給は緩んでいるなどとは決して言わない。 もっとも、需給のファンダメンタルズが利いていれば、ファイサリア・コンプレックスの爆発以前の、あんな高い水準になることなどなかっただろう。昨年、一昨年と、株と為替でここまで引っ張って来た。合わせて、アナリスト達には先行き不安を煽らせた。OPECには、十分な生産余力はあったが、OPEC以外の産油量に限界があることを訴えさせて来た。他方、中国、インドなど新興国の需要は鰻上りだと繰り返し指摘させた。現下の需給よりも、先行きがタイトになると、主張させたのだ。リビア情勢についても、サウジがその分を賄うなどとは言わない。減少分のみを強調した。イラクの増産見通しなどは、確かにそのような面が無い訳ではないが、眉唾ものとして相手にしない。随分と勝手なものだ。 しかし、考えてみれば、二〇〇四年以降、ずっとそうだった。石油需給ではなく資金の需給が価格を決める。
2011年07月29日
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2011年07月29日
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29日、午後9時半頃に価格情報を覗いたら、原油価格は低下していた。それでも、本日最安値からはリカバリー中だ。WTI価格は一時96.61ドルまで低下していたが、今は59セント安のバレル当り96.85ドルだ。 投機のブレントは、43セント安の116.93ドルに止まっている。折角縮小していた逆値差はまた拡大して20.08ドルになった。いつまでこんな異様な状況が続くのか?ドバイはブレントの影響を受けるからアジアにとっては最悪だ。 株は、アジアが前面沈没、ヨーロッパも下げた。おまけに、ドルが対ユーロで強くなった。二大金融要因は、超弱気だ。それにしては、原油価格は良く持ち堪えている。アメリカのハリケーンが利いているのか? 金は、僅か1.2ドルながら上げオンス当り1615.4ドルとなっている。最高値は1618.7ドルだ。リスクヘッジとしての金買いが続いているのだろう。アメリカ、ヨーロッパの経済があれではね。メタメタだ。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月29日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. ブラック・マンデー 沙漠のサソリの統領、月の欠片・スレイマンの心にはポッカリと大きな穴が開いていた。やはり、ラディン殺害の打撃は大きかった。スレイマンは、ファイサリア・コンプレックスの爆破声明を、サードに準備させた部屋で収録していたのだが、力が入りきらなかった。世界に向けて、沙漠のサソリがラディン殺害に対する報復テロを実行したことを明らかにして、アメリカのラディン邸急襲、ラディンの殺害を徹底的に糾弾しなければならない。全て分かってはいたが、思った通りには行かない。サードから見れば、いつものスレイマンだったが、自分では、いつもと違うと気付いていた。自分を偽ることなど出来ない。とっくに時計は、二日の月曜日になってはいたが、寝ずに、犯行声明を収録している。スレイマンは焦っていた。-ファイサリア・コンプレックス爆破事件は、アルカイダ・サウジ支部、我が「沙漠のサソリ」の犯行である。これは、我が聖なる戦士・シェイク・ビン・ラディンに対する圧制者・悪魔の蛮行に報いるための最初の行動であって、これからも未来永劫続くことになる。シェイクの血は、我々だけではなく、全モスレムにとって、より高貴なものであって、全能の神アラーのご加護の下、アメリカ人及びその協力者を、その国内外において、追い掛けて、処刑することを誓う。我々は、アメリカ人に対し、シェイクの家族を傷付けることなく、また、シェイクの遺体を傷付けず、そのまま、家族に渡すよう警告する スレイマンは一気に喋った。スレイマン自身には言い足りないことが山ほどあったが、サードは、満足気だった。サードは笑顔でスレイマンにキューを出していた。 オサマ・アメリカ大統領は、オーバルオフィスで、午後一〇時三〇分用の原稿を書いていた。何度も何度も推敲を繰り返していた。九・一一以来、溜まっていた国民の鬱憤を晴らすような内容でなければならない。-こんばんは。今夜、私は、アメリカ国民と世界に対し、アメリカが、数千人もの罪なき男性、女性、そして子供達の殺害を指示したアルカイダの指導者、オサマ・ビンラディンを殺害した作戦を実施した報告ができます オサマ大統領は冒頭の部分には何の迷いも無かった。-晴れ渡った九月の一日が、アメリカ国民に対する、我が国の歴史上最悪の攻撃によって、暗闇と化したのは、一〇年ほど前のことでした。九・一一の映像は私達、国民の記憶に焼き付けられています。ハイジャックされた航空機が雲ひとつない九月の空を切り裂いた映像。ツインタワーが地上に崩れ落ちる映像。ペンタゴンから黒煙が立ち上る映像。ペンシルベニア州シャンクスビルに墜落した九三便の残骸の映像。その九三便では英雄的な市民の行動が、更に大きい心痛と破壊から我々を救ったのです
2011年07月29日
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2011年07月29日
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28日の原油価格は前日比ほぼ横ばいで終わった。その中での特色はヨーロッパとアメリカで価格動向が異なっていたことだ。WTI価格は一時96ドル台まで落ち込んだが、結局、4セント高のバレル当り97.44ドルで終わった。 これに対し、ヨーロッパの、投機のブレントは僅か7セントだが、下げて117.36ドルになった。結果として、逆値差は僅か縮小したが、未だ20ドル程度と異様に大きいままだ。 株は、ヨーロッパが上げ、アメリカが沈んだ。ドルは対ユーロで戻し加減だ。二大金融要因は、決定打に欠ける動きだ。アメリカ、ヨーロッパともに、債務問題で苦しんでいる。 金は、一昨日、取引中最高値を更新したが、終値は僅かながら下げていた。昨日も僅か1.4ドルながら下げオンス当り1614.2ドルまで下げた。それでも1600ドル台をキープしている。 リスクヘッジとしての金買いと、高くなり過ぎたとの警戒感が錯綜しているのと、投機筋の中には、利益確定の売りに走るものも出て来ているようだ。ドルの動向次第というのも原油と同じだ。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月29日
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28日の原油価格は、昨日の終値より低下して始まったが、その後、上昇して、今また低下している。WTI価格は、18セント安のバレル当り97.22ドルになっている。投機のブレントは117.65ドルだ。 株はアジア、ヨーロッパと安く、ドルは対ユーロで戻し加減だ。二大金融要因では間違い無く弱気だ。逆値差は更に拡大している。20.43ドルと異様だ。 金は、一時、オンス当り1620.6ドルまで上がったが、その後、ジリジリと下げている。今は0.8セント高の1615.9だ。それでも、相変わらず高い。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月28日
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27日のWTI価格(終値)は、2.19ドル安のバレル当り97.40ドルまで低下した。昨日寝際の退勢が更に嵩じた。株安、ドル高の流れだったから、そうなのだろう。 投機のブレントは、昨晩寝際の117.36ドルから僅か2セントながら上げて終わった。従って、逆値差は再び20ドル台へと拡大した。 金はと言えば、一時、オンス当り1628.8ドルの史上最高値を記録したが、ジリジリと下げ、結局、終値は1.7ドル安の1615.10となった。昨晩寝際の1619ドルから更に下げた。大変な乱高下だった。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月28日
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今日は、昼頃からずっとPCに向かうことが出来なかった。今頃、ようやく価格情報を覗いている。原油価格は急落だった。一体何が起きたのかと、関連情報を探ってみたが、まずは、株価が急落していることだ。 それに、少しはファンダメンタルズが効いたということであれば、アメリカ政府の石油週報が弱気要因だらけだったことだ。民間以上だった。原油、ガソリン、溜出油在庫は皆増加、それに需要が落ち込んでいる。 WTI価格が2.04ドル安のバレル当り97.55ドルになったことも止むを得ない。投機のブレントも、117.36ドルまで下げた。逆値差が拡大しそうな雰囲気だ。 そんな中、金はジリジリと上げていた。2.2ドル高のオンス当り1619ドルだ。株が下がり、ドルが対ユーロで値を戻しつつある中での上げだ。いくらなんでもひど過ぎると思うが、金の高騰は世界経済に影響を与えるものではない。 さあ、今日はここら辺りで寝よう。さて、明日の朝はどうなっていることやら。楽しみだ。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月27日
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26日の原油価格(終値)は、結局、ドル安傾向が決め手となり、39セント高のバレル当り99.59ドルとなった。25日の67セント安の半分以上を取り返した格好だ。何ともしつこい。 投機のブレントも、結局、34セント高の118.28ドルまで戻した。何とか118ドル台に戻した。27日朝は、ブレントが更に上げたが、WTIは下げている。ということは、またまた逆値差が拡大したということだ。 まさに、投機のブレントの本領発揮というところだ。因みに、金も昨日終値のオンス当り1616.8ドルから2.8ドル上げ、1619.6ドルとなっている。投機の影響がありありだ。金は連日、史上最高値を更新中だ。 ヨーロッパ、アメリカの株式市場が丁重だったが、既述の通りドルが対ユーロで弱いことが、投機を後押ししている。これからは、アメリカの債務問題が好転することに賭けていることだろう。困ったことだ。 WTIは、相変わらず100ドル死守と言ったところなのだろう。そうでなければ、大損する投機筋も多いことだろう。何しろ、昨年から150ドルを目指しているのだから。好い加減にしてくれと言いたいところだ。 さて、昨日発表となったアメリカ民間の石油週報によれば、アメリカの石油需要は低調のようだ。原油在庫は400万バレル近く増加し、溜出油在庫も290万バレル積み上がった。ガソリン在庫が僅か60万バレル程度減少しただけだ。 製油所稼働率を下げているのに、これだから、シャブシャブ状態と言って良いだろう。どうみても弱気材料だ。もっとも今日発表となるアメリカ政府の週報がどうなるかが重要で、投機筋はそちらに望みを掛けているところだろう。 それにしても、ガソリン需要シーズンにこれだから、小売業者はお先真っ暗と言うところだろう。これも困ったことだ。原油価格上昇分を末端価格に転嫁出来れば良いのだが、これではそれも困難かもしれない。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月27日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. 一三三・八九ドルも直ぐだった。また、取引が停止になるが、直ぐにまた再開した。そんな調子でどんどんと原油価格が上昇して行った。このまま行けば、二〇〇八年七月三日に記録した一四五・二九ドルも簡単に超えるのではないかと思われたが、そう一本調子には行かなかった。 高くなれば、高くなったで、投機筋は、いろいろと不安になる。利食い売りを考えるものもいる。しかし、イブラヒムはそんなことは考えない。まだまだ上がると確信していた。 ブラウン・シルバーマンサックス会長もそうだった。 世界中いたるところで、原油が不足することになる。もう、完全にサウジの原油生産量が影響を受けると考えていた。少なくとも、増産する力は無くなるだろうとふんでいた。 何しろ、リヤドで大爆発が二回も起きた。これは大変なことだ。明日、月曜日に立会いが始まれば、原油価格は更に上がるに違いない。一五〇ドルもあっと言う間だろう。 ブラウンは、原油価格が一三〇ドルを割っても、全く気にしていなかった。また、直ぐに上昇を始めると思っていた。 確かに、原油価格は、また上昇を始め、一三〇ドル台に復帰して、更に上昇を続けた。 ブラウンはそんなものだと高を括っていた。 オサマ大統領は、ビンラディン殺害を、まだ明らかにしてはいなかった。午後三時五〇分には、DNAテストも終わり、ラディン本人であることは確認していた。 五月一日は日曜日だったから、オサマは、作戦の実行を隠すために、朝からゴルフウェアに身を包んで、庭を散歩したりしていた。そんな努力もあって、官邸詰めの記者達にも作戦を悟られることは無かった。 報道官など官邸の関係スタッフ達とは、午後一〇時三〇分に記者会見をして殺害の詳細を発表する予定を固めた。 そんな中、思いも寄らないニュースが舞い込んで来た。サウジアラビアのリヤドで、大きな爆発が二度あったと言うのだ。逸早く情報を伝えて来たのは、ファイサリア・レジデンスに滞在するシュルツだった。 沙漠のサソリの仕業ではないかと思うとのコメントもあった。オサマは直ぐに原油価格への影響を懸念した。それが沙漠のサソリの仕業であろうが、無かろうが、きっと先物市場に多大の影響を与える筈だとふんでいた。オサマは、二〇〇八年の大統領選の際に、高原油価格を糾弾するキャンペーンを張っていたくらいだ。そのメカニズムは良く判っている。 午後六時に先物市場が開き、案の定、原油価格が急上昇を始めると、オサマは深い溜息をついた。 -悪夢再来 オサマは、このままでは、二〇〇八年の繰り返しになってしまうと危惧していた。
2011年07月26日
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2011年07月26日
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25日の原油価格(終値)は、67セント安のバレル当り99.20ドルとなった。昨日は、ジリジリと戻したが、結局、先週末の終値までは戻せなかった。26日も低下で始まったが、今はジリジリと戻して昨日の終値を超えた。 投機のブレントは117.94ドルで終わった。僅か戻したが、118ドルとなることはなかった。今も、117.82ドルへと低下した。それでも、まだまだ随分と高い。 ヨーロッパ、アメリカの株式市場は高値で、ドルが対ユーロで弱いのだから、良くここでおさまっているということだろう。しかし、二大金融要因の影響は相変わらず大きいから、その動きに注視する必要がある。 現在、ジリジリと上げているのは、相変わらず100ドル死守と言ったところなのだろう。金先物は、相変わらず上げている。昨日の終値は、10.7ドル高のオンス当り1612.2ドルとなり、史上最高値を更新した。 取引中最高値も1624.3ドルと史上最高値を更新した。やはり、頼りになるのは金と言ったところか?今も、終値よりは高い。1614.7ドルだ。アメリカ政府もしっかりしないと大変なことになる。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月26日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. しかし、スレイマンは、CNNを見ている内に自分達のしたことの反響に驚かされていた。世界中のメディアが、まるで蜂の巣を突いたように、爆破現場の状況を報じ続けていた。 ファイサリア・タワーの爆破には失敗したが、エントランスとチェックポイントの爆破には成功した。次第にそう考えるようになって来た。 ラディンには、ファイサリア・タワーの登頂にあるグローブ・レストランがファイサリアの中庭に転げ落ちるのを、テレビでご覧下さいと言っていたが、そうでなくとも、人々には十分な衝撃を与えることが出来た。 世界中の人々がサウジで何が起きたのかと一斉に注目している。世界最大の原油輸出国を揺るがす大事件と捉えているようだ。 これは失敗などと考えずに、爆破の成果をアピールした方が良さそうだ。ラディン殺害に対する報復テロとして、犯行声明を出すべきではないかと、考えるようになって来た。「サード。わしは今の今まで今回の失敗でラディン様に申し訳ないという気持ちで一杯だったが、世界中のテレビの報道振りを見ている内に、今回の爆破について犯行声明を出して、積極的にアピールするべきではないかと思い付いた。それも、ラディン様への手向けになるのかもしれない」「そうでございますね。統領が犯行声明をお出しになれば、きっと、ラディン様もお喜びになられることでしょう。自爆した者達、共に死んだ者達も喜ぶことでしょう」 さっきまで、塞ぎこんでいたサードの顔は、スレイマンの決断を聞いて生き生きとして来た。「それでは、早速、犯行声明をネットにアップする手配をさせて頂きます」 サードは、そそくさとその場を出て行った。 イブラヒムは固唾を呑んで、ノートブック・パソコンの画面を覗き込んでいた。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、開場と同時に上昇を始めた。一一三・九七ドルで始まると、直ぐに一一四ドルを超えた。 ドル安地合のところに、リビアに対するNATO軍の空爆が加わった分けだから、当然の動きだった。 イブラヒムは、そこで大量の買いを入れた。 リヤドのファイサリア・コンプレックス爆破事件については、当初、その影響を見極めようと慎重な投機筋もいたが、シルバーマンサックスのアナリストがサウジの原油生産に及ぼす影響に言及するや否や、こぞって買いに出た。 もともと、日量一六五万バレルあったリビアの原油生産量が二〇万バレルへと減少していた。加えて、その減少分を補う最有力候補のサウジの原油生産に影響を及ぼすというのだから、投機筋が、この機に乗じない手はない。 イブラヒムは、やったと手を叩いて喜んでいた。 原油価格は、ぐんぐんと値を伸ばして行った。NYMEXでは一〇ドル価格が上昇すれば、ストップ高となり取引が停止となるが、そんな取引制限はあってないようなものだ。 ほんの僅か時間を置いただけで再度取引が始まってしまうのだ。瞬く間に一二三・八九ドルになって取引が停止になったが、また取引が開始となり価格は更に鰻上りだった。
2011年07月25日
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2011年07月25日
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午後7時に価格情報を覗いたら、原油価格は、ジリジリと上げていた。非常にしつこい。アジアの株式市場は軒並み低調、ヨーロッパも弱含みの中での上げだから、ドル安気味とは言え、不気味だ。 WTI価格が54セント安のバレル当り99.33ドルまで上がった。朝方は98.97ドルだった。投機のブレントは117.94ドルと朝方からは僅か4セントの上げだ。しかし、高い。 やはり、100ドル死守なのか?2008年の原油価格暴騰の際にはいくらくらいで先物買いをしていたのか分からないが、これではとても決済するわけには行かないなどと思っているのだろうか? 金先物は、相変わらずジリジリと上げている。現在は、18.5ドル高のオンス当り1620ドルだ。史上最高値を大幅に更新しそうな勢いだ。一体どうなっているのか?不安な時代に頼りになるのは、金ということか? アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月25日
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週明けの原油価格は、低下で始まった。今は若干戻して、WTI価格が90セント安のバレル当り98.97ドル、投機のブレントが、117.90ドルとなっている。逆値差は相変わらず19ドル程度と大きい。 先週末、ヨーロッパ、アメリカの株式市場は高値で、これを引き継いで強気になるかと思ったら、アジア市場は軒並み低調だ。ドルは対ユーロで弱いが、二大金融要因合せて強気となるほどではない。 それでも、ジリジリと上げ始めているのは、必死で100ドル死守と言ったところなのだろう。東京市場株式市場の午後が開くが、いつものことだが、本格的な動きはロンドン、ニューヨーク待ちということになる。 ロンドンは現在、午前4時過ぎ、ニューヨークは昨日の午後11時過ぎだ。あと、半日は待たなければならない。 金先物は、相変わらずジリジリと上げている。現在は、11.1ドル高のオンス当り1612.6ドルだ。退潮ムードから巻き返すことになるのか?これもロンドン、ニューヨーク待ちだ。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月25日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. 「イブラヒム。これは絶好のチャンスだ。事と次第に寄っては、原油価格が直ぐに一五〇ドルになるぞ。いや、二〇〇ドルかな」 ブラウンは興奮していた。イブラヒムが、午後のハーフは、力が入り過ぎてスコアが纏まらないのではないかと心配したほどだ。「そうかも知れませんね。絶好のチャンスでしょうね。ところが、会長、残念ながら、こんな時だと言うのにアブドルアジズ殿下と連絡が取れないのですよ」「え、え~。一体どうしたんだ。よりによってこんな時に」 ブラウンの声が急に小さくなった。しかし、直ぐに気を取り直していた。とにかく、ブラウンは昼休みだったから、あまり時間はない。「イブラヒム。でもな、こんな時には、皆、原油を買いに出るから、万が一、殿下と連絡が取れなくとも、それほど影響は出ないだろう。ただ、お前が後で殿下に好機を逸したと怒られるんじゃないかな」 それはイブラヒムも危惧していたところだ。「今から連絡を取る分けには行きませんから、市場が開いたら殿下からお預かりしている資金を全部投入するしかありませんね。勿論、大したことはありませんが、私も有金はたいて一五〇ドルに賭けますよ」 アメリカ東海岸標準時で、日曜日の午後六時から取引が始まるから、ブラウンはラウンドを終えて、家に帰る車の中からでも、大量に買いの指示を入れるつもりだった。 イブラヒムは、ますます眠れなくなっていた。もう、このままニューヨーク先物市場の開く午前二時まで起きているしかないと思っていた。そして、開いたら直ぐに買いを入れる。目はますます冴え、気がワクワクして来た。 もっとも、イブラヒムは、もともと、大爆発が気になって眠れなかった。その後、CNNも詳しくは報じていないから、不安は高まるばかりだ。しかし、二度の爆発があってからは、銃撃戦があったわけではない。 パトカー、救急車も今は走ってはいない。 不気味と言えば不気味だった。 このインターコンチネンタル・ホテルは、内務省の間近だったから、より安全な筈だが、二〇〇四年一二月には、車両による自爆テロ事件が発生したこともあった。考えれば切りが無い。 イブラヒムは、この間アブドルアジズがくれた金を売却した資金の総額を確認していた。それに、それまでに貯めてあった資金もある。それを一気に投入する。 そんなことをしていると、ますますワクワクドキドキして来る。眠気などどっかに完全に吹き飛んでしまった。早く二時になれと、気ばかりせいていた。 スレイマンはほうぼうの体でファイサリア・コンプレックスから逃げ、ようやくアジトへと辿り着いた。 ファイサリア・タワー爆破計画が失敗したことは間違いないと思ってはいたが、それを確認したのはアジトのテレビを見た時だった。ファイサリア・タワーは、相変わらず、夜空にその姿を悠然と聳え立たせていた。
2011年07月24日
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2011年07月24日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. イブラヒムは肝を冷やしながらも、こんな絶好の機会は無いと思っていた。もともとNATO軍がリビアを空爆したことからますます石油供給に不安が広がり、原油価格は大幅に上昇するだろう。そこに、何だか分からないが、世界最大の原油輸出国・サウジアラビアで供給不安を呼ぶような事件が発生した。これは原油価格急上昇、暴騰に繋がるかもしれない。アブドルアジズと連絡が取れないが、自分だけでも買いを入れた方が良いかもしれないと思っていた。週明けの明日にでも、アブドルアジズの件でブラウン・シルバーマン・サックス会長から電話が入るだろう。アブドルアジズと連絡が取れないと言えば、ブラウンはがっかりするだろうが、自分とアブドルアジズから任されている範囲の資金で、協力すると言えば、少しは相場の足しになることは間違いが無い。イブラヒムは、どうにかしてアブドルアジズと連絡を取りたいが、全く宛ては無かった。こうなって見ると、自分の非力さ、アブドルアジズとの繋がりの薄さが、嘆かれる。ますます悶々として来た。寝ることも出来ずに、テレビのスイッチを入れた。すると、画面には、黒煙を上げる、ファイサリア・タワーのエントランスが写し出されていた。エントランスは殆ど壊滅状態で中央に大きな穴が開き、ファイサリア・レジデンス、ホテル・ファイサリアのファイサリア・タワーに近い客室の窓は、粉々に壊れて、中が見える状態になっていた。辺り一面に黒煙が漂い、ところどころが燃えているのが見える。イブラヒムは、インターコンチネンタル・ホテルに移動していて良かったとつくづく思っていた。自分のいた部屋の窓は完全に破壊されていた。イブラヒムの背中に冷や汗が流れた。 すると、イブラヒムの部屋の電話が鳴った。「どうした。イブラヒム。リヤドで大きな爆発があったようだな」 ブラウンの声だった。「これはこれは会長。今日は日曜日だと言うのに」「こんなことがあれば、いつでも電話するさ。実は今ゴルフ場だ。丁度、昼食を取っているところだった。ふと、テレビを見たら、CNNがリヤドの大爆発を報じていたんだ」 まさか、日曜日に電話とは予想をしていなかったが、ブラウンらしいと言えばブラウンらしい。ブラウンは時にラウンド中でもラジオを離さないと聞いていた。競馬、株、ギャンブルは何でも好きだったし、関心のある事柄はずっとその動きを追っているのだ。ニュースを追わないのは、ショットを打つ時と、グリーン上くらいだ。グリーン上だって場合によっては自分の番以外には、イヤホーンを耳に入れて聞き耳を立てていることがあるという。食事中にテレビから目を離さないのは当たり前かもしれない。「そうなんですよ。あれは、リヤドの中心部、ファイサリア・コンプレックスの一部です。私のいるインターコンチネンタル・ホテルからも、大音響、大きな揺れを感じたくらいですから、相当なものです。パトカーや救急車が次から次へと大通りを走って行きましたからね」 イブラヒムは完全に目が冴えてしまった。
2011年07月23日
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2011年07月23日
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今週は、株高、ドル安を受け、原油価格が急上昇した。週明けの18日にはWTI価格がバレル当り95.93ドルだったが、週末の22日にはさっき書いたように99.87ドルまで上昇したのだ。 投機のブレントは118.32ドルで始まり、118.67ドルで終わった。こちらは、とっくに異様に高い水準だったから、こんなもので止まったのだろう。しかし、投機筋がそれぞれ100ドル、120ドルを目指したていることは明らかだ。 需給はと言えば、リビア情勢もあり余剰とは言えないが、問題無い範囲で推移している。それはIEAが追加の備蓄取り崩しをしないと決めたことにも表れている。先物は既に9月渡しに変わっている。 その頃にはガソリン及びハリケーン・シーズンも終わる頃だし、何か大きなことでも起きなければ、需給タイトにはならない。むしろ、リビア情勢も一定の方向が出るだろうし、サウジだけではなくイラクも増産することだろう。 金先物も1600ドル台に復帰したものの、またぞろ、高値警戒感が出るに違いない。それに、ここのところの一般的な商品先物の高騰振りには、警戒感が出ているところか、価格崩壊などというシナリオが囁かれ始めている。 価格崩壊となれば、金融界を揺るがす大問題が生じる可能性があるだろうが、大口消費者、一般消費者にとっては、歓迎すべきことだ。虚業に代わって実業の復活が見られるかもしれない。 それは石油需要を増やすことに繋がるかもしれない。エネルギー補助金の増加に苦しんでいる途上国政府にも恩恵になることだろう。それはさておき、昨日に続き、商品先物価格の推移を表にしてみた。 来週も一日だけ続けて、三時点の平均まで、作ってみようかなと思っている。それにしても、異様に高くなったものだ。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月23日
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22日のWTI価格は、昨晩寝際のバレル当り99.51ドルから、僅かだが更に上昇して99.87ドルで終了した。投機のブレントも118.67ドルまで上げた。株高、ドル安の流れだから、そんなものかと言ったところだ。 金先物は昨晩寝際のオンス当り1605.2ドルから下げたものの、1600ドル台を維持して、1601.5ドルに止まった。ノルウェーでのテロ事件がリスク回避の動きを促したとのことだ。 ノルウェーのテロは今のところ、極右分子の犯行で国際テロ組織との関係は無さそうなのだが、投機筋は、そんなことはお構い無しだ。不安が高まれば、それで良いということだろう。困ったことだ。アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月23日
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寝際に価格情報を覗いたら、上昇ムードだった。ヨーロッパ、アメリカと株価が上昇し、ドルが対ユーロで弱いのだから、当然ということかもしれない。一時は、低迷していたのだが、流れが途中で変わった。 WTI価格は、38セント高のバレル当り99.51ドルまで上昇した。投機のブレントは118.54ドルと118ドル台へと復帰した。金先物も15.2ドル高のオンス当り1605.2ドルへと上昇した。 おかしな状況は続く。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月22日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. 隼人が少しずつ頭を上げ、向かいのホテル・ファイサリアの様子を窺った。ファイサリア・タワーに近い客室の窓は、ガラスは全て砕け散り、窓枠は中に折れ曲がったり、途中で折れて残りはどこかに飛び散ったりしていた。部屋の中には、黒煙が充満していて、ところどころに燃えている火が見えた。宿泊客の姿は見えない。 慎太郎の客室を見当を付けて探してみたが、余りの変貌振りに探し切れなかった。ホテル側からこのレジデンスを見ても同じような状況だったことだろう。 ファハド大通りには、パトカー、救急車のサイレンが鳴り響いていた。 スレイマン、サード、そして女性の自爆テロリストは、モスクの前の石段にいた。「統領、私はあのチェックポイントに行って自爆します。あの程度のところなら、壊滅状態になる筈ですから、統領は悠々と通過出来ることでしょう。それでは、ご無事の脱出をお祈りしています」 スレイマンが制止する間も無く、その女性はチェックポイントに向かって走り去っていた。「統領、それでは彼女に任せてモスクの陰に隠れましょう」 サードがスレイマンを促した。二人は走って陰に隠れた。隠れたと同時に大きな爆発音が聞こえた。スレイマンの目には一筋の涙が流れた。「すまん」 スレイマンはファイサリア・タワー爆破という大仕事で爆死するのではなく、自分の逃げ場を作るために爆死させてしまったことに詫びていた。石段の上に立つと、チェックポイントの周辺は跡形も無かった。道路には大きな穴がぽっかりと開き、今なら難なく表に出られそうだった。 スレイマンはサードを促すと、黒煙の残っているその道を一心不乱に走って行った。チェックポイントを抜ければ、直ぐにオレイヤ通りだった。オレイヤ通りは午後一一時近いというのに、沢山の野次馬で一杯だった。ごった返す通りをスレイマンとサードは、ファイサリア・モールと反対側に必死で逃げた。後を追って来る者は誰もいない。沢山のパトカーや救急車が大きなサイレンを鳴らしながら反対車線をファイサリア・モールの方に走って行った。やがて、人影が途絶えると、一台のサバーバンがス~と、二人の脇に停まった。運転席には、スレイマンの運転手が座っている。スレイマンが助手席に、サードが後部座席に座ると、サバーバンは勢い良く走り出した。あっと言う間に、キングダム・タワーの脇を通り過ぎ、北環状通りの方向に走り去った。 イブラヒムは、インターコンチネンタル・ホテルで悶々としていた。一体全体、何が起こったのかと不安だった。いきなり大音響がしてホテルの客室が大きく揺れた。慌てて窓から外を見ると、ファイサリア・モールの方向で黒煙が上がり、ファハド大通りを沢山のパトカー、救急車がサイレンを上げて走って行った。アブドルアジズはアルバハに行ったということだから関連したことではないだろう。
2011年07月22日
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2011年07月22日
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21日のWTI価格(終値)は、結局、73セント高のバレル当り99.13ドルまで上昇した。ヨーロッパの信用不安の緩和、IEAによる追加協調備蓄取り崩しに対する否定的見解が上昇の主因だという。 いつもながら???の付く理屈だが、昨年、一昨年と市場を支配して来た株高、ドル安の二大金融要因があったことは確かなことだ。一時は100ドルを超えたということだから、良くぞ、ここで収まったということだろう。 投機のブレントは、息切れで117ドル台へと低下した。金先物も下げた。まあ、ここのところ高すぎたというのが本当のところだろう。9.9ドル安のオンス当り1587ドル丁度だった。退潮ムードにある。 ちょっと、単一時点の比較で恐縮だが、主要商品先物の価格を一年前と比較してみた。ここでは、原油価格高騰を、二大金融要因にあると書き続けて来たが、その観点から見ても興味深い結果になっている。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月22日
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午後9時頃、価格情報を覗いたら、僅かながら原油価格が下げていた。今日から限月変わりとなったWTI価格は、34セント低下してのバレル当り98.06ドルだ。98ドルを挟んでの攻防になっている。 アメリカの原油、石油需給については、特に強気要因が見当たらない中での乱高下だから何をかいわんやだが、株、為替の二大金融要因は、アジア株はまちまち、ヨーロッパ株が下げた。ドルは対ユーロで相変わらず弱い。 投機のブレントは117ドル台へと低下した。他方、金先物は上げている。4.5ドル高のオンス当り1601.4ドルと1600ドル台に戻した。まあ、しかし、退潮ムードだ。 さて、アメリカ市場がどう動くか?あと、一時間ほどで市場が動き始める。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月21日
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20日のWTI価格(終値)は、64セント高のバレル当り98.14ドルとなった。それでも、一時は99.02ドルまで上昇した後に下げた。特にこれと言ったファンダメンタルズの変化が無い中でのお馴染みの乱高下だ。 触れるのも馬鹿らしくなるほどだ。しかし、なんだかんだと乱高下を繰り返しつつ、ジリジリと上げている。困ったことだ。アメリカ政府の石油統計で原油在庫が予想を超えた減少幅だったことも強気の一因のようだ。 これも再三、ここで書いて来たことだが、到底強気要因と看做せるものではない。アメリカの原油在庫は未だに過去の平均からしても多い状況だし、製品在庫が増えた点に石油製品需要の低迷振りが窺われるからだ。 アメリカの石油製品需要は、昨年より減少している。特にガソリンが減少している点がネックだろう。溜出油(軽油)だって不振だ。ジェット燃料が僅か増えているが、これもどうなることやら。 そんなところだ。加えて、先般IEAが発表した協調取り崩し分がもう少しで市場に出回る状況だ。いくら、これからハリケーンシーズンだと心配しても、強気と解釈するのには勇気がいることだろう。 投機のブレントも118ドル台に復帰した。ヨーロッパの株が急伸したのだから、そうなんだろう。こちらは最高値が118.86ドルと終値とそれほど変わらない。シティは、ゆけゆけどんどんなのだろう。 他方、金先物はやはり下げた。終値は、4.2ドル安のオンス当り1596.9ドルと1600ドル割れだ。投機筋の逃げムードが色濃くなって来た。最高値も1600.8ドルと、1600ドル台に止まったものの記録更新はならずだった。 昨日は、ヨーロッパの株価は上げたが、アメリカは結局、沈んだ。ただ、ドルが対ユーロで軟化したから、原油価格を上げることになったのだろう。ドル安はそのままだが、アジア株は上昇ムードになった。さて、どうなるか? アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月21日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. すると、いきなりマスードが隠し持っていた自動小銃を取り出し、兵士達に向かって引き金を引いた。自動小銃が火を噴き、あっと言う間に、そこにいた兵士達は、次から次へと胸から血を噴き出して倒れた。あっけなかった。 そこまでは計画通りだった。 しかし、その後はシナリオ通りには行かなかった。まず、エレベーターホールの向こうに隠れていた兵士達が銃を撃って来た。これはマスードの誤算だった。そんなに多くの兵士が隠れていたとは思いも寄らなかった。マスード達は、受付の石に身を潜めながら応戦した。兵士達とは、銃撃戦になり、ほぼ膠着状態になったが、徐々にマスード達が優勢になって来た。マスード達は、実戦には滅法強い。しかし、電光石火でエントランスを駆け抜けるという当初の作戦は崩れた。 そこに、ファイサリア・レジデンスの前にいた兵士達が駆け付けて来るのが見えた。 スレイマンとサードは、マスード達の応援をしようとエントランスに入ろうとしたが、そこにさっきの自爆テロリストの女性が駆け付けて来て、二人を制止した。「統領、どうかお逃げ下さいませ。マスード様達はエントランスで最後まで戦われるおつもりです。脚元を爆破することはお諦めになりました。いちかばちか、エントランスで仲間に自爆してもらい、ファイサリア・タワーに少しでも大きな損傷を与えたいとのことでございます」 スレイマンがエントランスを覗くと、マスードが遠くからスレイマンにVサインを送っていた。笑顔だった。スレイマンも笑顔で応えたかったが、顔が強張っているのが分かった。それでも、無理やり笑顔を作り、スレイマンが頷くのを見届けると、連絡通路をモスク側へと走り始めた。目に無念の涙が流れるのを止めることは出来なかった。 スレイマン、サード、そして女性の自爆テロリストの三人が連絡通路の端に着くと同時に、大音響がして、爆風が勢い良く、エントランスから通路へと吹き上げるのが見えた。凄まじい爆発だった。 レジデンスの前から駆け付けた兵士達は、その爆発に巻き込まれて誰一人として生き残るものはいなかったに違いない。エントランスは黒煙に包まれた。 隼人達は、シュルツの部屋でその大音響を聞き、爆風を目撃した。皆、床に臥したが、その背中に爆風で粉々になった窓ガラスが降り掛かった。レジデンスは大きく揺れた。「しまった。沙漠のサソリがファイサリア・タワー爆破を図ったようだ。ファイサリア・タワーが大きく揺れている」 シュルツの部屋からはファイサリア・タワーが丸見えだ。エントランスも直ぐ目の前だった。「エントランス・ホールは壊滅状態だ。大きな穴が開いているのも見える。ファハド大通りからはパトカーのサイレンが聞こえる。ただ、兵士達は、皆、爆発で即死状態だったようだ。ファイサリアのガードマンが生き残っているが、彼等は銃器を持ってはいないし、ただ、右往左往しているだけだ」 隼人達は、レジデンスのエントランス近くに、主人を無くした装甲車が空しく置かれているのを眺めていた。「慎太郎は無事だろうか。彼の部屋はエントランスが近い」
2011年07月20日
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2011年07月20日
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19日のWTI価格(終値)は、1.57ドル高のバレル当り97.50ドルになった。昨日寝際の98.05ドルからは55セント下げた。「ひどいもんだ」と書いたが、ほんの僅か合理的になったと言えそうだ。 投機のブレントも昨晩の117.92ドルから117.06ドルまで下げた。118ドル台復帰はならなかった。ヨーロッパ、アメリカと株が急伸した中では、良くぞ、ここで止まったということかも知れない。 他方、金先物は下げた。終値は、昨晩寝際のオンス当り1600.9ドルから、ほんの僅か上げ、前日比1.3ドル安の1601.1ドルとなった。高値は1610.7ドルのままだった。こちらは記録更新だ。 また、原油と金の動きが連動しなかった。投機資金は、金には高値警戒感を持ち、利益確定の売りに出たようだ。アメリカの民間石油統計では原油在庫が大幅に減少したが、ガソリン、溜出油の在庫は増えた。 先週は、民間と政府では、増減が逆だった。今週はどうなるか?しかし、いずれにしても、原油在庫の水準は高く、需給タイトとはとても言えない状況だ。投機筋はそんなことにはおかまいなしにタイト感を煽る。困ったことだ。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月20日
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寝際に価格情報を覗いたら、原油価格が大幅に上昇していた。昨日の低下分を取り戻して余りある。何と、WTI価格が、2.12ドル高のバレル当り98.05ドルになったのだ。ひどいもんだ。 投機のブレントは117.92ドルまで上げた。118ドル台復帰も目前だ。いや、もう直ぐ120ドルと言ったところだ。ヨーロッパ、アメリカと株が急伸した。それにドルが対ユーロで軟化した。株と為替の二大金融要因の復活だ。 他方、金先物は下げた。上げ過ぎとの判断か?下げ幅は僅かだが・・・1.5ドル安のオンス当り1600.9ドルとなった。高値は1610.7ドルまで伸ばした。記録更新だ。 また、原油と金の動きが連動しなかった。投機資金は、原油に流れ込んだようだ。これから、アメリカでは民間の石油統計が出る。これが予想通り原油在庫減になるようなら、投機筋の思う壷だ。困ったものだ。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月19日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. ファイサリア・タワーのエントランス・ホールの兵士達は、ついさっきまで冗談を言い合っていたが、今は、それがまるで嘘のようだ。タワーを訪れる客には、いちいち兵士達の鋭い目が注がれている。 スレイマンは、その急変振りに驚かされていた。だらだらとお茶を飲んでは、軽口を叩く姿が全く消えた。一体、どちらが本物なんだと、問い掛けてみたかったくらいだ。 サードも同感だった。沙漠のサソリは、今から襲撃のための要員を倍増することは出来ない。自爆テロの仲間は、既にファイサリア・モールに到着している。セキュリティ体制が一変した現在、自爆計画を取り止めて、表に逃げようとしても無事脱出出来るかどうかは分からない。謂わば、袋のネズミ状態になったと言えるかもしれない。 スレイマン達は、エントランスの見える場所から連絡通路をモールと反対側、即ち、モスク側へと移動した。モスクの前の石段を下りると、アル・コザマ・ホテルの裏側へと出る。そこは広い通りになっていて、アル・コザマ・センターのホールと反対側に行けば、そのまま表に出ることが出来る。勿論、チェックポイントがあるが、ホテル側に比べれば警備は手薄のように見える。最後の手段として、皆で一斉にそこを突破するという選択がありそうだった。 スレイマン達は、それを確認すると、また、モスクへの石段を上った。 石段の上でスレイマンはサードや若い戦士達の顔をまじまじと見た。誰の顔にも迷いが無いようだった。サードだけは、スレイマンの心の動きが分かっていた。「統領、今回の爆破計画はラディン様の弔い合戦になりましたね。爆破計画の成功がアメリカ、そしてサウジ政府に対する報復に繋がりますし」 サードは、スレイマンの迷いを払拭するのに懸命だった。「うむ。そうだな。天国のラディン様もきっと喜んでくれることだろう」 スレイマンの心は定まった。例え、警備が強化されたにしても、予定通り、ファイサリア・タワー爆破計画を実行する。行くも帰るも容易ではない。もともと、そんなものだったが、警備体制の強化により、ますます厳しくなった。「それでは、予定通り、我等が爆弾を抱えた仲間を誘導して、エントランスの兵士達を一掃致します。警備の兵隊は増えましたが、何と言うことはありません。後は、仲間がタワーを支える脚元に行って自爆してくれればおしまいです」 若い戦士のリーダー格・マスードが力強くそう言って、ニヤリと笑った。他の戦士もそれを聞いて頷いている。「マスード。頼むぞ」 スレイマンは動き出した戦士達とともに、タワーのエントランスへと向かった。時間も遅かったので、連絡通路には人影が殆ど無かった。 向かいのファイサリア・モールの出入口から、一組の男女が歩いて来る。先頭のマスードが、その男女に合図を送ると、その男女が合図を返した。この男女が自爆テロリストだった。徐々に、男女と戦士達の距離が狭まって行く。 やがて、両者は、ファイサリア・タワーのエントランスへの入口で会うと、一緒にエントランスへと入った。スレイマン達が入口から覗くと、マスード達が兵士達の尋問を受けているところだった。
2011年07月19日
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2011年07月19日
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18日のWTI価格(終値)は、昨晩ジリジリと下げていたが、結局、1.31ドル安のバレル当り95.93ドルとなった。昨日の株式市場は、ほぼ日経平均を除き、世界的な下げで、ドルも対ユーロでそこそこ強かったからだろう。相変わらず、金融要因が動向を左右している。 投機のブレントも116.05ドルまで下げた。他方、金先物は上げた。12.3ドル高のオンス当り1602.4ドルとなった。相変わらず、ジリジリと上げている。やはり、昨晩の予想通り史上最高値を更新した。取引中最高値も1607.9ドルと記録を更新した。 原油と金の動きは連動しなかった。現在、アジアの株式市場は、昨日のヨーロッパ、アメリカの動きを受けて低調だ。ドルもそれほど弱くなってはいない。投機筋も気を揉んでいることだろう。彼等も大分原油に頭を突っ込んでいるから特にそうだ。 WTI価格は、頭を擡げ、若干だが、上昇した。20セント高だ。しかし、ブレントは相変わらず安い。116.18ドルだ。さて、夕方に向けてどうなるか?注目だ。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月19日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. スレイマンは、ビンラディンの従者から連絡を受けたところだった。ラディンとは、つい、さっき話をしたばかりではなかったか。ヘリの墜落事故はアメリカの襲撃作戦の一部だったのだ。スレイマンは冷静さを失っていた。それは当然のことだった。サードはスレイマンの従者との会話の様子で全てを察していた。最後の一言はそれを裏付けた。スレイマンの体はわなわなと震えていた。それは、これからの作戦遂行に影響が出なければ良いがとサードが心配するほどのものだった。「統領。ラディン様が殺害されたのですか」 確認するまでも無かったが、サードはスレイマンに聞いた。スレイマンは、ふっと、吾に返り、サードの顔をまじまじと見た。目はまだ虚ろだった。「・・・たった今のことだ。アメリカの特殊部隊が突如襲って来て、ラディン様を殺害し、遺体を持ち去ったとのことだ」 スレイマンはがっくりと膝を落としていた。そのまま、そこに崩れ落ちたかったが、ファイサリア・タワー爆破作戦を遂行するまでは、気を抜く分けには行かない。「えっ、ご遺体を・・・」 サードは信じられなかった。アメリカ軍は一体何故そんなことまでしなければならないのか、と自分に問いかけていた。それはスレイマンも一緒だった。しかし、今は、作戦遂行が急務だ。「サード。今は何を考えても仕方が無いことだ。爆破作戦を成功させることに全神経を集中しなければならない。それがラディン様のためでもある。いいか、この爆破作戦は、例えそれがサウジ内のことではあっても、我々のアメリカに対する報復となる。是非とも成功させなければならない」 スレイマンは気を引き締めていた。 シュルツは、ファハド大通りを沢山のパトカーが走り抜けるのを見ていた。その内の数台はファイサリアのチェックポイントを抜け、レジデンスとホテルの中庭に入って来た。軍に比べれば、警察の動きは早い。それに軍の一部はアルバハへと向かっていた。トルキ皇太子は、アブドルアジズの救出が最優先事項だった。ナイフ内相から連絡があった時も、当面は治安部隊、警察がセキュリティを高めれば十分ではないかとの判断を示していた。ファイサリア・タワーが狙われていると言う情報をそれほど真剣には考えてはいなかった。それに、治安部隊、警察が十分でなければ、国家警備隊を派遣すれば良いし、それが順序だと思っていた。 スレイマン達は警備の異変に気付いていた。急に、ファイサリア・タワー周辺の警備体制が強化されたのだ。エントランスの兵士の数もあっと言う間に増えた。ファイサリア・レジデンスの脇に置かれた装甲車の脇にはパトカーが付いた。治安部隊と警官が何やら話しあっている。「統領、困りましたね。続々と警官が集まって来ました。あれでは、兵士達を一掃して、仲間にファイサリア・タワーの脚元まで行って貰うのが困難です」 スレイマンも同感だった。「ここで、我々が捕まる分けには行かない。様子を見て作戦を変更する必要があるかもしれない」 スレイマンはエントランスの兵士達をじっと見詰めた。
2011年07月18日
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2011年07月18日
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午後10時過ぎに価格情報を覗いたら、原油価格はジリジリと下げていた。アジアの株式市場は、日経平均のみが上げ、中国、オーストラリアと下げた。ヨーロッパも低迷していたから、投機筋も元気が無かったのだろう。 それに、ドルも対ユーロで結構強い。そんなところかな。さて、WTI価格は、1.17ドル安のバレル当り96.45ドルと97ドルを割った。投機のブレントも116.37ドルまで下げた。 他方、金先物は上げている。8.6ドル高のオンス当り1598.7ドルとなっている。ジリジリと上げている。目下、史上最高値を更新中だ。これで取引中最高値は記録更新したし、後は終値だが、これも更新がほぼ確実だ。 おっと、ヨーロッパの株式市場が上がり始めた。ニューヨーク次第で、流れが変わるかもしれない。何しろ、金融要因の影響が大きかったのが、この二三年だから、要注意だろう。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月18日
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週明けの原油価格は、勢いが無い。先週末のおかしな上昇からの修正と言うことか?それでも、未だ97ドル台を維持している。WTI価格は、4セント安のバレル当り97ドルだ。 投機のブレントは、47セント安の116.79ドルになった。週明けとは言っても未だにアジア中心で、しかも東京はお休み。中国市場の影響が大きいと言える。投機筋は懸命に抵抗しているところだが、限界がありそうだ。 それでも、WTIなどは一時96ドル台に沈んだのを、97ドル台に戻すことに成功し、上昇ムードに乗せているところだ。今は2セント高の97.26ドルとした。まあ、本格的動きは夕方のロンドン待ちだろう。 金先物は上げた。4.5ドル高のオンス当り1594.6ドルになった。ジリジリと上げている。今週も更なる史上最高値更新を目指すのか?夕方以降の動きが気になるところだ。 アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2011年07月18日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. 「隼人。これでオサマ大統領の株は確実に上がる。我がCIAに対する評価も見直されることになる」 シュミットはご機嫌だった。これまで、オサマは、プッシュに比べ弱腰のように見られていた。それは民主党と共和党との元々の差以上のものだった。これで一気にそのイメージが覆される。政権幹部に近い、シュルツはそんなことに特に敏感だった。シュルツは隼人が応える前に口を挟んだ。「シュミット。私もそう思う。これで我々の苦労も実るというものだ」 シュルツは隼人の顔を見ながら続けた。「ところで、シュミット、ビン・ラディンの殺害成功で、皆、テロの脅威が減ると考えるかもしれないが、我々は、報復テロが活発化すると考えなければならない。我々は勿論だが、サウジ政府にも気を引き締めるようアドバイスしよう」 隼人も同感だった。差し詰め沙漠のサソリが狙っていると言われている、このファイサリア・タワーの警備などを強化する必要がある。「社長、是非、サウジ政府にそのようにアドバイスして上げて下さい。私は、常々、このファイサリア・コンプレックスのセキュリティを数段高める必要があると思っていました」 アル・コザマ・ホテルに泊まっているシュミットは、隼人以上にこのファイサリアのセキュリティを高めるべきだと考えていたようだ。「分かった」 シュミットの反応は早かった。直ぐに受話器を取り上げると電話を掛け始めた。 「そうです。ビン・ラディンは殺害されました」 電話の相手は、ビン・ラディンが殺害されたことに驚いていた様子だった。「ですから、報復テロなどに備えてセキュリティを高める必要があります。とりわけ、爆破計画があるとされている、このファイサリア・タワーについて急ぐ必要があります」 隼人達は、シュルツが喋るのを、耳をそばだてて聞いていた。「ナイフ内相は、盛んにビン・ラディン殺害をいち早く教えてくれたことに感謝していた。内相も、ファイサリア・タワー、及びそのコンプレックスに対するセキュリティが甘かったことを認めていたよ。ファイサル元国王の子息達への配慮もあったんだろうね。それで、今回の殺害を機に一気に対応を変えるつもりになった。即刻、指示するとのことだ」 シュルツ達は、中庭側の窓から、ファイサリア・タワーのエントランス、それにチェックポイントを通過した後の丘の上などを見た。 俄かに事態が動き始めた。 治安部隊の兵士達の間に緊張感が漲った。眠気眼だった兵士達の顔がきりっとしまった。内務省から何等かの指示が来たのだろう。全てにトップダウンのサウジだから情報伝達は恐ろしく早い。ファハド大通りには、パトカーのサイレンが鳴り響いた。 「なに~。ラディン様が殺されただと」
2011年07月17日
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2011年07月17日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2011 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. スレイマンは、その時、単に近くでパキスタン軍などのヘリの墜落事故が起きたのだろうくらいにしか思わなかった。特別の隠れ家に住んでいるラディンが殺されるなど全く頭の中にない。スレイマンは、墜落現場は相当に近くかも知れないが、現にラディンがこうして無事で話をしているのだから特に問題は無いに違いないと思っていた。「スレイマン。連絡有難う。ファイアリア・タワー爆破計画の成功を祈っているぞ。それでは、またな。タワーが崩れ落ちるのをCNNで観るのがを楽しみだ」「はあ、畏まりました。それでは、朗報をお待ち願います」 スレイマンはそれでラディンとの通話を切った。 これがラディンとの最後の会話になった。 ファイサリア・レジデンスのシュルツの部屋では、シュルツ、使用人のサイード、元FBIで今はCIAに属しているシュミット、それに、警察庁から派遣されている隼人達が、固唾を呑んで、ビン・ラディン襲撃作戦の推移を見守っていた。オサマ大統領も、ホワイトハウス内で、関係閣僚達と、作戦の推移を見守っている筈だ。 シュルツの机の上に置かれたノートパソコンの画面には、パキスタンから送られて来る映像が写されていた。その映像は特殊部隊の隊員のヘルメットに取り付けられたカメラから送られて来ている。 赤外線暗視カメラで捉えた画像は多少見難かったが、夜にしてはかなりクリアだったと言える。シュルツ達は、緑色がかったその画面に見入っていた。 あっと言う間に隊員達は、隠れ家に侵入した。銃を持って向かってくる者もいたが、瞬時に掃討されてしまった。十分に訓練を積んだ隊員達の相手にはならない。隊員達はどんどんと上の階へと進んで行く。 上の階に上がって行くうちに、三人ほど射殺した。隊員達の前に敵はない。やがて、寝室と思われる部屋に到達した隊員は、ドアを靴で蹴って開ける。 ドアは勢い良く中へと消える。そこは間違いなく寝室だった。ベッドの前に立っているビン・ラディン、他には妻と女の子がいた。 隊員は女の子を素早く脇に押しのけるが、妻はラディンを庇って前に立ち塞がった。間髪を入れずに、隊員は妻の足を撃ち抜いた。堪らず妻は床に崩れ落ちる。後は簡単だった。 隊員はラディンの左目を撃ち抜くと、ラディンはベッドの脇にどうと倒れた。その隊員は倒れたラディンの胸に止めの一発を撃ち込んだ。辺りは一瞬にして血の海だった。 シュルツ、シュミット、そして使用人のサイードは、小躍りして喜んでいた。「やった。やったぞ。終にやったぞ」 シュルツとシュミットは抱き合って喜んでいる。サイードはどこからともなく、アメリカ国旗を取り出して、振っている。隼人達は、目の前の惨状を見ていると、とても、そんな気にはなれなかった。不憫な気さえしていた。 隼人は、目には目を、決して黙ってはいない、ヤンキー魂、九・一一以来ずっと溜まっていた怨念の爆発を見たような気がした。
2011年07月16日
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2011年07月16日
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