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こちらに帰ってから、父の関係で、第一線の経営者の方々からお話をお伺いする機会を多く得ることが出来ました。 3月 崎野さん ((株)サキノ) ダスキン洗浄工場見学も 4月 仲上さん ((株)不動産流通センター) 不動産業 5月 松田さん ((株)モンブラン) 製菓業 5月 吉岡さん (吉岡興業(株)) 機械工具商社 6月 籠谷さん (カゴタニ) 卵加工工場見学も 6月 納さん (保険) 契約高世界トップ 6月 日創研(檜山さん) 『社長力・管理力・現場力の三位一体の強化』 8月 田村さん (田村一美公認会計士事務所) 公認会計士 9月 桑田さん (但陽信用金庫理事長) 銀行 10月 近津さん ((株)ダイキン) 唐木輸入販売 木材加工場見学も 10月 辻さん (大峰堂薬品工業(株)) 医薬品製造 =====9月には「盛和塾」の全国大会があり、稲盛さん(京セラ会長)はじめ、たくさんの経営者の方々の実体験を踏まえた経営ビジョンの話をお伺いしました。どの方のお話も、単なる金儲けとしてのビジネスではなく、自分たちのビジネスに誇りをもって、それをいかに社会に還元していくか、という視点、志が含まれていて、聞いていて非常に元気付けられました。-----また、「講演会」としてお話をお伺いしただけでなく、ピアサービスの岸本社長、モリスの森本社長、キング醸造(日の出みりん)の大西社長、阪神工業の衣笠社長、昭和住宅の湖中社長はじめ、たくさんの方々から、直接に、経験談、経営哲学のお話をお伺いさせて頂いたのも貴重な体験。-----池田銀行神戸店の支店長をはじめとする皆様や、(但陽信用金庫の方々からのお話、税理士の井上先生、弁護士の安平先生や深川先生とのお話は、雑談一つとっても、今の時代の最先端を切り取った内容で、非常に示唆に富むものでした。=====もちろん、これらのお話は、単なるビジネスのお話だけにはとどまらず、神戸YMCAの今井先生のお話や、自由学園の渡辺和子先生のお話、播磨町国際交流協会の先生のお話に代表されるように、これからの時代をどう生きるかを深く考えさせられもしました。=====2007年の漢字は「偽」に決まり、老舗企業の偽装問題が次々に明らかにされた一年でしたが、私は、それでも「企業の良心」を信じたい、信じる、という立場です。企業組織は、人が運営するものであるが故に、間違いをおかすこともあるかもしれませんが、人が運営するものであるが故に、基本的には信じられるものである、と。情報社会の進展によって、これまで以上に、「信用」に重きをおかれる流れになっているからこそ、「良心に恥じない」経営が求められていくことになります。-----「消費者>メーカー>下請」の構造の中で、下請の立場からは、メーカーの意向には逆らえず、そのメーカー、大企業が、コンプライアンス重視の姿勢を打ち出している以上、産業界全体が、コンプライアンス重視の流れになっているわけです。そして、その大企業を動かすのが「消費者の声」であるからこそ、例えば、フェアトレードの進展や、環境配慮型の経営、児童労働の排除には、「消費者」としての意見表明が価値を持つ。「有権者」として、環境などの問題についてセンスのない政治家を排除し、「消費者」として、値段だけではない商品選択を行っていくことが、地道ではあるけど確実な社会変革への一歩なのです。=====なーんて、評論家めいたお話は、閑話休題(さておき)。私個人の問題としては、これらのお話をお伺いした「私」が、自分にどう生かしていくか、なのですけど。とにかく、まず、自分の手許にある仕事を整理・統合し、効率化して、時間を作ること。言うのは簡単ですが、なかなか…。いくつかシステム化・効率化出来た仕事もありますけど、まだまだ本丸は遠いです。うん。でも、一歩ずつでも前へ。
December 31, 2007
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環境に関連しては、下半期に、意識してシンポジウムなどに参加。エコツアーで得た知見とあわせて、いつかどこかで展開したいものです。===== 「環境シンポジウム ~いちばん身近な環境サミット~」 @東京大学130周年式典 「国際開発協力へのまなざし:実践とフィールドワーク」 @大阪IMPホール 「近畿バイオマスセミナー in 兵庫」 @ミント神戸 「テーマのある旅報告会」 @大学生協会館 環境サークル総会 @東京大学駒場キャンパス=====環境問題に関して、様々なフィールドからアプローチが始まっています。私が所属していた環境サークルは、その「様々なフィールドからのアプローチ」を実践するサークルで、物理から法律、経済から生物学まで様々な分野の最先端を、各専門分野の第一線の方々から語って頂く、そんな夢のような授業を、学生の身でコーディネートする、という活動をしていました。当時、その授業は「未来への布石」と名づけられていましたが、いよいよ、その布石が、形を成してきた感があります。-----問題は、これらの環境情報が、バラバラになってしまっていること。こういう話を拾い集めるのも大変です。それでも東京にいた時は、それなりにアンテナにかけることが出来たのですが…。こちらでの人脈構築も含めて、上手く情報を扱えるようになりたいとは思っています。うーん。発信者の側に回るのが、一番早いんだけどな。と言いつつ、まだそれぞれの報告が書けてないあたり…。エコツアーの2回目の分もまとめきれてないままだし。いかんですねぇ(嘆息)
December 31, 2007
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夏に、姫路文学館主催の夏季大学に参加。文学の実作者の方々からのお話を聞けたのは、とても幸せな体験でした。美術館で、運良くタイミングのあったものもあり、大変充実していました。=====[姫路文学館夏季大学] 「小説を書く時間」 林 真理子 先生 「三遊亭円朝と江戸、明治のことば」 森 まゆみ 先生 「”古池や蛙飛込む水の音”とは何か」 嵐山 光三郎 先生 「私にとっての古典文学」 林 望 先生 ※ 井波律子先生「中国古典小説の世界」は欠席 [美術・博物館] 「考古博への序章」 石野 博信 先生 (兵庫県立考古博物館館長) 「本地垂迹の美術」 谷口 耕生 先生 (@『神仏習合』展) 「中世白山信仰をとりまく世界」 小西 洋子 先生 (@『白山』展) 「夕暮れおしゃべりツアー」 (@金沢21世紀美術館)[その他] 河瀬 直美 監督 (@『殯の森』上映会) 藤本 義一 先生 江崎玲於奈先生・大江健三郎先生・小柴昌俊先生 (@東京大学130周年記念式典)=====憧れの、林望先生にお会いし、言葉を交わすことが出来たのが、2007年最大のトピックでした。もちろん、他の実作者の方々にも、間近でお会いでき、サインを頂いたり、いや、姫路万歳。-----そして、河瀬 直美監督がカンヌで受賞され、奈良での上映会・講演会に参加できたのも素晴らしい体験で、この映画の(たった2000円ではありますが)出資者として、パンフに名前を載せてもらったのも、良い思い出。-----ノーベル賞受賞者3名による鼎談は、こんな企画が実現すること自体、とんでもないことで、いや、本当、東京まで足を伸ばした甲斐がありました。=====※今年行った講演会はこれだけではなく、環境編、ビジネス編と続きます。 なんて言うか…活かしきれてないなぁ。
December 31, 2007
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北欧各都市で、それぞれ魅力的な美術館に足を踏み入れてはいるのですが、それについては割愛して、日本で行った美術展を列挙しましょう。=====美術展として 『ダリ展』 @天保山サントリー美術館 『我が文明:グレイソン・ペリ-展』 @金沢21世紀美術館 『エコール・ド・パリの画家たち』 @金沢21世紀美術館 『スキン+ボーンズ』展 @国立新美術館 『ル・コルビュジエ』展 @森美術館 『巨匠と出会う名画展』 @兵庫県立美術館 (10/07) 「神戸ビエンナーレ」 『佐藤 卓ディレクション「water」』 @21_21デザインサイト-----海外文明に関する展覧会として、 『ペルシャ文明展』 @大阪歴史博物館 『ナスカ展』 @京都文化博物館 『インカ・マヤ・アステカ展』 @神戸市立博物館 『オセアニア大航海展』 @国立民族学博物館-----日本の深層に関する展覧会として 『神仏習合』展 @奈良国立博物館 『山の神と山の仏』展 @ 橿原考古学研究所 『白山』展 @石川県立歴史博物館 兵庫県立考古博物館-----日本文化に関する展覧会として 『文豪・夏目漱石 』展 @江戸東京博物館 『岡倉天心』展 @東京藝術大学大学美術館 『木喰展』 @明石市立文化博物館 『いきいきプロジェクトin金沢』 @金沢21世紀美術館 『ガーリッシュ・カルチャー』展 @金沢21世紀美術館 『水と生きる』展 @サントリー美術館=====どれも非常にスピリットの高い展覧会で、一律に比べるのには無理があるのですが、美しかった展覧会として、 『水と生きる』展 @サントリー美術館 『佐藤 卓ディレクション「water」』 @21_21デザインサイト 「神戸ビエンナーレ」の3つを挙げましょう。どれも、見せ方の上手い、美しい展覧会でした。-----最も感動したのは 『木喰展』 @明石市立文化博物館写真では分からなかった、「微笑仏」の奥深さを感じさせてくれました。----- 『ナスカ展』 @京都文化博物館は、昨年の出発前、東京で観損ねた展覧会で、それが巡り巡って京都で観れた、というのはちょっと感動。----- 『ペルシャ文明展』 @大阪歴史博物館で観た、「黄金のリュトン」の美しさに象徴される、ペルシャ文明の文化的豊かさ、その先に思いを馳せれば、奈良へと繋がるシルクロードのロマン。その奈良で観た『神仏習合』展 / 『山の神と山の仏』展。あわせて、『白山』展で触れることの出来た、日本の源流。=====2007年に訪れることの出来た展覧会は、例年に比べると少なかったですけれど、それなりに充実していた気がします。ただ、関西に来ると、現代美術系の面白い展覧会からは遠ざかってしまいますね。インパクトのある知的刺激によるインプットを減らしてしまうのはね…。避けないと。
December 31, 2007
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今までに比べると、圧倒的に少ないんですよね…。やっぱり、東京は、文化が集中していて、ミニシアター系の劇場も、情報も充実してます。何より、単館上映でも人が集まるというのが大きい。観たかった映画はいっぱいあるのですが、例えば、わざわざ大阪まで、片道1時間ちょっと&1000円以上かけて、1作品を観に行けるか、というと…。『めがね』とか『ミス・ポター』は、近くでやってましたけど、上映期間が非常に短い。そもそも、ミニシアター系の情報が入りにくい。なんだかなぁ…。-----うーん、余裕が出来たら、そういう文化需要の掘り起こしにも手を出したいのですけど。ポテンシャリティは低くないですから、私がしなくても大丈夫という期待はしますが。=====さて、映画は、邦画が6作品。『しゃべれどもしゃべれども』『殯の森』『西遊記』『ALWAYS2』『てれすこ』『椿三十郎』 -----ドイツでは『シャーロットのおくりもの』『我が総統』を鑑賞。ベルリン国際映画祭は、カーペットを歩く有名人を観ただけ(残念)。 -----帰国して観た洋画は、3作品。『パイレーツ・オブ・カリビアン3』『ハリー・ポッター』『ラッシュ・アワー3』ベタなのばかりだ。=====2007年のマイ・ベストは…って、こんなに少ない中から選んでも、なんですけど、日本映画 『しゃべれどもしゃべれども』外国映画 『我が総統』特別枠 『殯の森』ということで。=====お芝居も、『コンフィダント~絆』と、あ、『妻への詫び状』もありましたが、後者は完全に私が客層から外れているお芝居なので、実質1作品のみですね。『コンフィダント~絆』は、文句なしの傑作でした。=====お芝居も、結局大阪に出ざるを得ないのが痛い。とは言え、2008年は、文化的なものに触れられる、自由な時間と余裕を手に入れたいものです。
December 31, 2007
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2007年を漢字一文字で表すと、「会」だった気がします。=====01月、新年をベルリンで迎え、新しいクラスで、新しいメンバーと、ドイツ語の勉強。ライプチヒやデッサウ、ポツダムにも足を伸ばしました。02月、クラスの皆と別れ、冬の北欧旅行。コペンハーゲン(デンマーク)、ストックホルム(スウェーデン)、ヘルシンキ&タンペレ(フィンランド)、オスロ(ノルウェー)と回り、この旅の中でも、様々な出会いがありました。03月、再びエコツアーへ。コペンハーゲンから出発し、カールスルーエ(ドイツ)、ストラスブール(フランス)、フライブルク(ドイツ)へと、回ったことのある都市ばかりながら、いや、だからこそ、新たな視点で街を見ることができ、また、様々な方々からのお話をお伺いできて、大変勉強になりました。そして、皆と別れた後、バーゼル&チューリッヒ(スイス)を経由してミラノ&ローマ(イタリア)へ。ローマでは、ナオノブさんにご案内して頂きました。感謝。そして、ベルリンに戻り、皆さんに最後のお別れをして、日本へ帰国。東京では、帰国報告会として、たくさんの皆様に再会。-----04月、GWに奈良探訪。『神仏習合』展で、ぱくぱくさんに偶然お会いしたのには、本当に驚きました。橿原考古学研究所で『山の神と山の仏』展を観て、今井町へ。ここでも、色々な話を聞くことが出来、非常にためになりました。05月。仕事の関係で、色々な経営者の方々のお話を聞く機会に恵まれました。06月。かめい先生と、熊野旅行。『殯の森』を観に奈良へ。合わせて法隆寺周辺を観光。-----07月。憧れの街、金沢へ。21世紀美術館はじめ、美術三昧。富山では、コペンで知り合った、ゆうや君のイベントに参加。あぴさんともちょこっと再会。新潟地震の影響で、急遽、長野に宿泊。善光寺参り。奥多摩にある、原島さんの民宿「山鳩」で、マス君達と再会。皆と別れて、国立新美術館&ミッドタウン(サントリー美術館)&『ル・コルビュジエ』展へ。08月。7月から始まった、姫路文学館の夏季大学で、憧れの林望先生のお話をお伺い出来、お話も出来たのは、本当に素晴らしい体験でした。かめい先生と愉快な仲間たちで、岡山鴻島宿泊。塾の夏期講習に、環境サークルの後輩にも来てもらって、岡山鴻島宿泊。09月。野口さん&まりもさん達の神戸休暇にお供して、神戸を散策。経営者の体験発表会で京都に2泊。こちらも、思わず感動の涙を流してしまうようなお話をたくさん聞けました。-----10月。岡山鴻島にて同世代交流会。神戸にて「神戸ビエンナーレ」開幕。わが町に兵庫県立考古博物館オープン。海外研修生2名を我が家に受け入れ。11月。東京大学130周年記念式典に参加。劇団時代の友人達に再会。『夏目漱石展』『岡倉天心展』鑑賞。かめい先生と愉快な仲間たちで、ドバイ旅行。フェアトレード講演会拝聴@大阪12月。祖父他界。バイオマスエネルギー講演会拝聴 @神戸テーマのある旅報告会拝聴 @東京環境サークル報告会&懇親会参加 @東京さかなそらさんと六本木ヒルズ&ミッドタウン散策。年末、尾道のM鳰君の実家にて、朝2時から10時まで餅搗バイト2日間。=====年初に掲げていたテーマは「I can fly !」昨年のblogから引用すると、-----とにかく、今年は、今まで出来なかった親孝行、祖父母孝行。で、地道に地元での顔つなぎと、仕事の引継ぎをして…それで手一杯だろうなぁ。「遥か未来目指すための羽」(笑)は畳んで、でも、自分が飛べることを信じて。=====…思ってた以上に、的確な未来予想だ(苦笑)様々な人にお会いし、お話をお伺いし、仕事の引継ぎをし、親孝行に、祖父母孝行。-----夏くらいに祖父が入院し、年末に永眠するまで、祖母を車に乗せて、あるいは仕事の途中で、病院に寄るのが日課になっていました。何と言うか、間に合って良かったと思っています。東京にいたままでは、何も出来なかったでしょうし、ましてや、ドイツにいては、身動きも取れませんでしたし。お祖父ちゃん子でしたから、悲しくない、というわけではないのですが、やるだけのこと、出来るだけのことは やった、という満足感はあります。それが、自己満足に過ぎないのだとしても。てか、まぁ、90歳ですからね。大往生でしょう。=====2007年は、本当、いろいろな出会いがありました。というより、いろいろな人に引き合わされ過ぎて、よく分からない感じですけど。全てを糧に。花を咲かせるその日のために。
December 31, 2007
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ミッドタウンにある21_21デザインサイト。今回は、さかなそらさんと一緒に訪れました。=====入ってすぐの所に、「さかさかさ」の展示があります。この「water」展のポスターにも使われている逆さに釣られた傘。この先を握って写真が撮れるようになっています。ポスターは、白地に青のイメージが、とてもスッキリして爽やか。しかし、この「さかさかさ」、単なる奇を衒っただけの作品ではありません。「傘を逆さにすれば、雨を集める道具になる」として、「雨水利用」をテーマにしています。-----水がどれほど大切な資源か、というのは、この展覧会に流れる通奏低音でした。それに対する、一つのアイデアとしての雨水利用。-----会場内には、村瀬誠さんの「Sky Water Harvesters」という、「さかさかさ」を握った、世界中の人々の写真も展示されていました。=====メッセージ性の高い作品としては、ディレクターの佐藤卓さんと文化人類学者の竹村真一さんが関わられた、「見えない水の券売機(Virtual Water Serve)」も挙げておきましょう。-----食べ物のサンプルがずらりと並び、その先に、食券販売機のような機械が置かれています。例えば…と今、自分が手にした券が見当たらないので、カタログからですが、「牛丼」は「2000l」となっています。牛丼一杯で2000l?そう。食糧の生産には、大量の水が必要になるのです。例えば、牛の飲む水、牛の食べる牧草に与える水、お米を、玉ねぎを、育てるのに必要な水…。牛丼一杯が私たちに届くまでには、2000lの水がどこかで使われている。-----この考え方を「ヴァーチャル・ウォーター」と言い、ロンドン大学のアンソニー・アラン教授が提唱しました。今回の展示に当たってのデータ提供は、東京大学生産技術研究所 沖・鼎研究室。カタログのデータから引用すると、私たちが一日に摂取する水の量は 3l。シャワーやトイレなど生活用水は、日本人一人当たり 300l/日。しかし、この食糧生産に使われている水まで考えると、日本人一人当たり 3000l/日。-----こうやってデータだけ並べると堅い話になってしまいますが、券売機の形になっていることで、驚きと発見の提示になっています。うーん。うまい。-----携帯で見られるサイトもあります。こちら→http://v-water.jp詳しい説明や、他の食糧生産についてのお話も載っていて、勉強になります。環境系必見。=====「水球儀」は、地球上の水にまつわるデータを目に見える形にした地球儀。雲や海流、自分でデータを選んで、しかも、手で回したりもできて楽しい。それにしても、雲の表情なんて、とてもダイナミック。地球って、やっぱりすごい。(これは普通の地球儀です)2006年、神奈川県立地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ)で、インゴ・ギュンター氏による『地球108の顔』展という展覧会がありました。(web版はこちら)地球の様々なデータを載せた地球儀を展示する、という非常にメッセージ性の高い展覧会で…私はドイツにいたので行けなかったのですが、地球惑星環境学科にいる後輩がお手伝いで参加していました。この手伝いに行った後輩が、この展覧会にも行くと言っていたので、その感想を聞くのが楽しみだったりします。=====トイレにも仕掛けが。私には、どこにあるか、見つけられなかったのですが、さかなそらさんに教えてもらいました。-----「飲水思源」は、「蛇口」の「尻尾」を考える作品。手洗いの所で、受けるように手を差し出すと、その手に映像が映し出されます。それは、流れてきた「水の記憶」。 (これは私がドイツで撮った写真)日本には、有名な「玉川上水」をはじめ、たくさんの「上水」があります。水を、多くの人に届けるために、汗を流し、時には命を懸けた、立派な先人達。そんな記憶も呼び起こされる、ちょっと不思議なインスタレーション。=====広い展示室には、カップの形をした器を覗き込むようにして見る12の映像作品。中には実際に水が湛えられていて、水ごしに作品を見ます。単に映像作品として並べられているだけでは、スルーしてしまうかもしれません。しかし、こういう展示のされ方をすると、全部覗いてしまいたくなるから不思議。-----どれも面白い作品でしたが、個人的には、その中に、中谷宇吉郎先生の「雪の結晶」が上映されていたのが、嬉しいサプライズでした。=====体験型で面白かったのは、超撥水素材を利用したtakram(田川欣哉・畑中元秀・渡邉康太郎)さんの「Furumai」、原研哉さんの「Shishiodoshi」。超撥水素材は、本気で超撥水で、その上では、水が、コロコロと珠になって転がるのです。いや、これは。面白い。可愛らしい。楽しい。-----「Furumai」は、12の色々な「お皿」を軽く回すと、その上で水が小さな珠になって転げまわる、という作品。水の珠が、くっついたり、細かく分かれたり、見てて飽きない。最後の羽毛作品は、ちょっと幻想的。-----「鹿威し」も水の振る舞いが面白い作品。えっと、さかなそらさん、水が溜まる前に、鹿威しを傾けちゃうのは、ルール違反じゃないかしら(笑)?=====私好みの作品は、何と言っても、「猫の傘」「ねずみの水滴」。これは、猫のための傘でも、ねずみの大きさの水滴でもなく、私たちが、猫、ねずみの大きさになって、という、えっと、いや、でも、大きすぎるだろう、この青い傘。ちょっと、御伽噺の、あるいは童話の世界に紛れこんだような、幸せ気分を楽しめる作品でした。=====最初にもらった展示作品表の中に「かぱ」という作品が載っていて、「どこに展示してあるか秘密です。」となっているのですが…?うーん。二人がかりで見つけられませんでした。残念。ちょっと気になる…。=====最後に、「さかさかさ」の所で、さかなそらさんに傘を持った写真を撮って頂きました。いやぁ。「飲水思源」の場所を教えてもらったりとか、「鹿威し」の楽しみ方とか(笑)、「Furumai」で遊んだりとか、お陰様で、独りで行くより、楽しく回れました。本当に、ありがとうございました♪また、どこかで遊んでくださいね。=====さて、ディレクターをされている佐藤卓さんは「おいしい牛乳」やロッテの「ミントガム」「キシリトール」などの商品デザイン、NHKの「にほんごであそぼ」のアートディレクターなどをされているデザイナー。 Wiki解説: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E8%97%A4%E5%8D%93 公式HP: http://www.tsdo.jp/-----また、文化人類学者の竹村真一さんがスーパーバイザーとして、単なる「デザイン」に終わらせない、深い視点を加えて下さっています。-----何と言っても、見せ方がうまい展覧会で、とっても楽しめました。それに、カタログがすごい!小さな女の子が、この展覧会を観て回っている写真で構成されていて、こんなカタログ見たことありません。すごくお洒落で素敵なカタログ。うーん。素敵だ。21_21デザインサイト。=====佐藤 卓ディレクション「water」展 @21_21デザインサイト (六本木)[会期]2007.10/05(金)~2008.01/14(月) [開館]11:00-20:00(入場は19:30まで) [休館] 火曜日、12/31~01/03[料金] 一般 1,000円 / 大学生 800円 / 中高校生 500円 / 小学生以下無料★★★★★
December 23, 2007
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【総合討論】「フェアとは何か」=====大変難しい質問が、岸上さんから投げかけられました。すなわち、「フェアとは何か」?=====トップバッターは、国立民族学博物館の鈴木さんです。先生は逆に問いかけます。「フェアじゃない何かとは?」「通常貿易はアンフェアか?」と。-----通常貿易は、アンフェアとは言えない。しかし、アンフェアではないにせよ、生産者に価格決定権がない、というシステムは、生産者が買い叩かれる構造になっている。この構造を打破することがフェアではないか、と。=====国際協力銀行の新井さんは、理論的に問題を分析して見せてくれました。すなわち、 ・先進国の農業補助などに見られる、貿易の仕組における公平性の欠如 ・生産者同士の条件格差 ・市場アクセスを含めた、情報格差の問題これらが「フェア」を阻害している要因である、と。-----例えば、農産物の輸入自由化の話に際して、よく議論にのぼる関税障壁は、せっかくテイクオフしようとしている途上国経済に対する障壁になりえます。しかし、それは、単なる撤廃すべき障壁なのか、というと、疑問はあります。-----本当は、世界トータルで見ての、経済の落ち着き先というか、理想的な将来像が描ければ、食糧安全保障の問題も含めて、世界経済発展の夢を描ければ良いのですが…。残念ながら、というよりも、当然ながら、夢物語に過ぎません。-----だからこそ、国際会議の場で、お互いのエゴをむき出しにしながらでも、とことん議論を進めるほかはないのでしょう。その中で、「フェアな競争」を阻害している、これらの要因を緩和していく、そういう国際協力体制が構築されるなら、少しでも、「フェア」に近づいていくことになるのだろうと思います。=====世界銀行の石原さんは、対等に価格を設定する自由市場は「フェア」と言わざるを得ない、と言います。しかし、自由市場は分配システムとしては優れているが、公平性を保障するものではない、と。-----この発言は、おそらく、他の分配システムを念頭に置いてのものでしょう。「売り手」と「買い手」が、「神の見えざる手」を借り、価格を決定する自由市場システム。-----残念ながら、見えざる手を持つ「神」は、決して公平ではありません。試練だか何だか知りませんが、この世は不公平に満ちています。だからこそ、私達が、私達自身で、公平を目指さなければならないのでしょう。それはとても難しいことなのだけれども。=====写真家の大石さんからは、厳しい指摘がありました。現代の、大量流通の時代にあって、フェアトレードそのものが、そもそも、「公平」を達成する手段になっているのか?という問いかけです。つまり、フェアトレードが、フェアであることから離れて、「おめぐみ」になってないか? と。-----言い換えれば、自立を「助長」してないか、すなわち、自立を助けようとして、自己満足に陥り、逆に自立の妨げになっていないか、そういう意味でしょう。-----それに対し、大橋さんは、考えなければならないのは、「買う側のフェア」ではなく「作る側のフェア」だと指摘します。貧富の格差は、南北間にだけでなく、内部にもある。それは、どこかに構造の欠陥があることを意味している、と。だからこそ、誰の視点からのフェアか、ということを考え、それぞれに「フェアネス」を提供する必要があるのだ、と。-----国立民族学博物館の鈴木さんが挙げたのは、フェアトレードの効果が、消費者に見えていない、その結果、消費者は、与えられた「フェア」を信じるしかないという点が問題だ、という点でした。-----今、一般的に「フェアトレード商品」と呼ばれているものは、FLOやIFATが提示する基準を満たした商品なり、組織の産品なりなわけですが、「消費者」としては、その基準、基準の認定がフェアであることを信じて、商品を購入する、ということになります。-----ここに潜む問題点については、この後、「テーマのある旅交流会」である先生から、「フェアのアンフェア性」について指摘を受けたのですが…そのお話は後日。=====世界銀行の石原さんは、経済学の視点から、需要と供給による価格決定システム上に、生産者の生活を保障するものはない、と言い切ります。問われているのは、「公平さ」なのか「公正さ」なのか、ということであり、ここに関われる主体は、政治である、と。しかし、フェアトレードは、消費者がその「公平さ」に一票を投じられるシステムなのだ、と。=====国際協力銀行の新井さんからは、「ブランドとしてのフェアトレード」という視点が必要だ、というお話がありました。-----これまでの話の中でもありましたが、フェアトレード産品は、値段が高い分、安心・安全・高品質が保障されている、とも言えます。-----ドイツ・フライブルクの朝市で驚いたのは、「産地直送」である朝市の商品の方が、スーパーなどの商品よりも高かったこと。顔が見える安心、顔が見えるからこその品質の保証。そして、楽しげな顔見知りとの会話。(そして恐らくは、顔見知りへのおまけ)それらが高い付加価値となって、お客がつくのです。-----単に値段が高いものを、「ブランド」とは呼びません。「ブランド」というと、少し取り澄ました感じがしますが、高品質の裏付け、顔が見えるという価値、これらが合わさった先に「フェアトレードというブランド」があるのだと思います。=====人間文化研究機構 第7回公開講演会・シンポジウム 国立民族学博物館開館30周年記念「国際開発協力へのまなざし:実践とフィールドワーク」【主催】人間文化研究機構【日時】2007.11/30(金) 18:00-21:00 【場所】IMPホール【講演1】「世界の国際開発協力の潮流と日本の貢献」 佐藤 寛 氏 (アジア経済研究所・研究支援部長)【講演2】「フェアトレード:チョコレートを食べて友達を増やそう」 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授)【総合討論】「国際開発協力のあり方とフェアトレード」 岸上 伸啓 氏 (国立民族学博物館・教授) 新井 泉 氏 (国際協力銀行・理事) 石原 聡 氏 (世界銀行・社会開発専門官) 大石 芳野 氏 (写真家) 大橋 正明 氏 (恵泉女学園大学・教授) 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授) ←前へ 次へ→
December 1, 2007
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【総合討論】「フェア・トレードの情況と問題点」=====討論の間を挟んで、日本でのフェアトレードについての取組を紹介するビデオ上映がありました。-----最初に登場したのは、珈琲工房 まめ福さん。素人の主婦の方々が立ち上げたお店です。(こちらの一番下に、メンバーからの紹介があります。)-----また、生協の取組として、安心安全なバナナの供給を目指して、タイからの産地直結型のバナナ輸入を行っていることの紹介がありました。バナナとしては割高なのですが、「安全」が付加価値となって、安定した需要と供給を確保しているそうです。=====さて、「フェア・トレードの情況と問題点」として、世界銀行の石原さんからは、貧困の原因は構造問題にあり、ボランティアのような短期スパンでは解決は遠いという指摘がありました。-----だからこそ、長期スパンで、産業構造の変革に楔を打ち込むフェアトレードは、貧困問題解決のブレークスルーたりうる、と。=====国際協力銀行の新井さんが、現状の問題点として指摘されたのは、市場へのアクセス阻害要因でした。即ち、 ・生産、流通のためのインフラが整備されていないこと ・ソフト面(通関面・ビジネス面)でのインフラも未整備であること ・金融面で中小企業が阻害されていること-----どんなに、付加価値の高い産品を生産しても、それが市場に届かなければ、交易の舞台に上がってきません。-----通関時に、条件がクリア出来ていなければ、あるいは市場交渉力がなければ、せっかくの高付加価値商品も、買い叩かれてしまって、生産そのものが持続可能でなくなってしまいます。-----そして、高付加価値産品の製造に乗り出そうにも、金融面での援助を受けられなければ、スタートさえ切れないかもしれない。-----だからこそ、ODAは、ビジネス環境の整備を出来るのかも知れない、と。-----例えば、流通のためのインフラの整備は、単なるボランティアで出来るものではありません。ODAとNGOの、得意分野そしてノウハウが止揚するところに、新しい援助の形が生まれる、そう感じさせてもらえるお話でした。=====写真家の大石さんが指摘された問題点は、フェアトレードは、消費者から見えない、見えにくい、ということでした。-----「世界の国際開発協力の潮流と日本の貢献」 の紹介の冒頭で私もお話させて頂きましたが、フェア・トレードって、日本では意外と浸透していないのかも、と思うことがあります。私自身、関わっている人たちが、そういうことに関心の高い人が多いので、何となく、みんな知っているんじゃないか、と思って話をしているのですが、例えば、会社時代の同僚や先輩、地元でお世話になっている方々を考えると、確かに、一般的な認知度は、そう高くはないのかもなぁ、と。-----だから、フェアトレードに関わっている人たちに、説明をもっとしてもらいたいし、もっと、生産者の顔が見えるように工夫を凝らしてもらいたい、という「消費者」の立場からの発言でした。-----「チームマイナス6%」や「ホワイトバンド」、「エコバッグ」みたいに、そういう大々的な知名度アップキャンペーンがあれば良いのかも知れません。仕掛けがあるなら、乗ってみるかな…。=====人間文化研究機構 第7回公開講演会・シンポジウム 国立民族学博物館開館30周年記念「国際開発協力へのまなざし:実践とフィールドワーク」【主催】人間文化研究機構【日時】2007.11/30(金) 18:00-21:00 【場所】IMPホール【講演1】「世界の国際開発協力の潮流と日本の貢献」 佐藤 寛 氏 (アジア経済研究所・研究支援部長)【講演2】「フェアトレード:チョコレートを食べて友達を増やそう」 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授)【総合討論】「国際開発協力のあり方とフェアトレード」 岸上 伸啓 氏 (国立民族学博物館・教授) 新井 泉 氏 (国際協力銀行・理事) 石原 聡 氏 (世界銀行・社会開発専門官) 大石 芳野 氏 (写真家) 大橋 正明 氏 (恵泉女学園大学・教授) 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授) ←前へ 次へ→
December 1, 2007
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【総合討論】「フェア・トレードが出来ること」=====フェアトレードの考え方は、1960年代からありました。生産者との継続的な取引を通じて、生産者に利益を還元していく、国際開発協力の新しい形として、注目を集めました。=====NGOの立場から長年活躍された大橋さんからは、このフェアトレードという考え方は、NGOが先鞭をつけた、という指摘がありました。そして、援助は薬にも毒にもなるのだ、と。-----つまり、「世界の国際開発協力の潮流と日本の貢献」 の中で話があったように、一方的な援助が、本当にその国のためになるかは、分からない。「助長」という言葉があります。これは、植物を早く成長させようと、植物を引っ張って枯らしてしまった故事に由来するもの。援助が「助長」になっていないかを考える必要があるのです。-----また、フェアトレードは、交易という形を取っているので、相手国の自尊心を傷つけない、そして、継続的であるという点が利点として挙げられる、とのことでした。=====写真家の大石さんからは、経済的に自立することの重要性について、指摘がありました。バングラディシュの水害については、TVで目にしたことのある方も多いかと思います。バングラディシュ・ダッカのスラムに行かれた大石さんは、自然災害が、貧しい人達を直撃する現実を目の当たりにした、と言います。貧しいから、水害の被害にあってしまうような所に住む、そこにしか住む所がない。そして、水害にあって、再び全財産を失う、その悪循環。=====国際協力銀行の新井さんは、フェアトレードは、途上国の現場に対するエンパワーメントの手法として、市民の側から提示されたものであり、国際協力銀行の意織とも近いものがある、と評価します。現在、日本は、「人間の安全保障」の観点からODAを行っており、1995年には、グラミン銀行へ円借款を行い、その他マイクロファイナンスにも援助を行っているそうです。マイクロファイナンスの方向は、途上国の貧しい人たちを、経済的な自立に導くこと。その意味では、フェアトレードと非常に親和性のあるODAです。=====再び、大橋さんから、バングラディシュという国の歴史を絡めて、活躍されていたNGO「シャプラニール」の活動についての解説がありました。当時、フェアトレードという言葉を意識していたわけではないのだが、現地の手工芸品を買うことは、必然だった、と大橋さんは言います。まず、女性の生活自立、収入確保が目的としてあって、それを考えたときに、麻布加工、カンタ手工業という手工業品の生産-販売が一番行いやすいものであった、と。それが、結果としてフェアトレードと呼ばれるものとなっている。今は国内市場も整備され、国内での売買も盛んになっているそうです。そして、それは、非常に良いことだ、と。=====国立民族学博物館の鈴木さんからは、先ほどの話(「フェアトレード:チョコレートを食べて友達を増やそう」 )を踏まえて中南米のカカオを例に、技術指導を受けることで、付加価値を高め、市場価値を高める、フェアトレードの手法の紹介がありました。=====市場化、グローバリゼーションは、決してマイナスの側面だけではありません。国際市場を通じて、お互いハッピーな「一方的ではない援助」を行える、というのも、グローバリゼーションの一面ではあるのです。=====人間文化研究機構 第7回公開講演会・シンポジウム 国立民族学博物館開館30周年記念「国際開発協力へのまなざし:実践とフィールドワーク」【主催】人間文化研究機構【日時】2007.11/30(金) 18:00-21:00 【場所】IMPホール【講演1】「世界の国際開発協力の潮流と日本の貢献」 佐藤 寛 氏 (アジア経済研究所・研究支援部長)【講演2】「フェアトレード:チョコレートを食べて友達を増やそう」 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授)【総合討論】「国際開発協力のあり方とフェアトレード」 岸上 伸啓 氏 (国立民族学博物館・教授) 新井 泉 氏 (国際協力銀行・理事) 石原 聡 氏 (世界銀行・社会開発専門官) 大石 芳野 氏 (写真家) 大橋 正明 氏 (恵泉女学園大学・教授) 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授) ←前へ 次へ→
December 1, 2007
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【総合討論】「フェア・トレードの今」=====総合討論に参加されたのは、下記の先生方でした。【司会】 岸上 伸啓 氏 (国立民族学博物館・教授) 【パネリスト】 新井 泉 氏 (国際協力銀行・理事) 石原 聡 氏 (世界銀行・社会開発専門官) 大石 芳野 氏 (写真家) 大橋 正明 氏 (恵泉女学園大学・教授) 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授) -----先ほどお話いただいた鈴木先生、連続での登板です。何が面白いって、国際協力銀行の新井先生、世界銀行の石原先生が参加されていたこと。-----また、大橋先生は、肩書きこそ「教授」ですが、バングラディッシュの女性自立支援のNGOをやってきた立場からの参加。-----大石先生は紅一点。「一般市民」として、と仰られていましたが、「現場」を多く歩かれて、目にされてきた体験からの発言をされていました。-----「国際協力」の、それぞれ異なった「第一線」で活躍する方々。それぞれの発言には、重みがありました。=====最初にそれぞれから一言。=====世界銀行の石原先生からは、グローバリゼーションについての話でした。産業革命以前は、国家間格差は少なかった、と先生は仰います。産業革命が引き起こした、「先進国」の「経済成長」が、国家間の格差を生み、グローバライゼーションが、その格差に悪影響を与えている部分がある。グローバライゼーションの負の側面を見据えることが、今の時代を考えることになる、とのお話でした。=====国際協力銀行の新井先生からは、これからの「国際援助」はどうあるべきか、について話を頂きました。何よりも「自立」に向かう道を支援することが大切で、「経済成長」が貧困をなくす道になるのだ、ということ。そして、その「経済成長」の中で格差が作られないように努力する必要がある、と。-----開発経済学では「開発独裁(経済成長を優先するために、意思決定スピードの早い「独裁体制」をとる政策)は是か否か」という議論があります。しかし、この議論に含まれている「嘘」は、ある一つの政策について是非を問う、という、二者択一論になってしまっていること。今の時代での「正論」を吐くならば、「迅速的確な援助を行って、独裁体制を取らせず、格差固定の助長はしない」でしょう。-----国際援助の枠組の中で、欧州各国が、2000年以来、貧困削減の努力を行ってきたため、相対的に日本の存在感は低下している、と先生は指摘します。今まで、ODAの「質」を高める努力をしてきたが、これから先は「量」も達成していきたい、とのお話でした。=====大石先生からは、今の時代は、「弱者」がさらに弱くなっていっているのではないか、との指摘がありました。-----「格差」は今、国内問題でよく使われていますが、私が学生の頃、問題とされていたのは「南北間格差」で、しかも、この問題は解決されたわけではなく、グローバリゼーションによって、形を変えて、「弱者」を襲っています。また、地球環境問題は、一地域の問題にとどまらないが故、「弱者」により厳しい結果をもたらします。-----例えば。議論は別にして、ハリケーン・カトリーナがアメリカを襲ったとき、避難勧告を受けて、お金持ちはペットと共に高級ホテルに避難、一方で、移動手段をもたない低所得者が取り残されてしまいました。避難命令を受けた老人ホームの職員が真っ先に逃げ出してしまい、自力で避難できなかった高齢者達が死亡するという事件もありました。(wiki参照)温暖化の影響で海に沈みゆくと言われるツバル諸島をはじめとする太平洋の島々。同じく温暖化による氷河湖崩壊で、命の危機にさらされるヒマラヤ山系の村々。-----先生は言います。世界は、もっと「相身互い」を考えなければいけない、と。そして、援助がハードからソフトヘシフトしていく流れの中で、援助が本当に「弱者」に届いているかを、改めてきちんと考えなければいけない。そして、「粉争」や「独裁」が援助を壊す現実を、直視しなければいけない。=====鈴木先生からは、協力・開発においては、文化・価値感の問題が大きい、とのお話。つまり、協力・開発の成果は、外からのアイデアが、現地でどう受容されるかによって決まる。だからこそ、相手の文化を理解し、価値観を知ることから始めなければいけない、と。=====長年、NGOとして「現場」に関わってこられた大橋先生からは、グローバル化がクローズアップされる以前も格差はあった、との指摘がありました。-----確かに。先ほど少し引いたように、「南北間格差」というのは、「グローバリゼーション」という単語がクローズアップされる前からありました。しかし、それは、解決に向かっているようには見えない。-----先生は、NGOの支援に携わってきた身として、市民の力を信じている、と言います。国家や国際機関だけではなく、市民が担える重要な役割がある、と。=====人間文化研究機構 第7回公開講演会・シンポジウム 国立民族学博物館開館30周年記念「国際開発協力へのまなざし:実践とフィールドワーク」【主催】人間文化研究機構【日時】2007.11/30(金) 18:00-21:00 【場所】IMPホール【講演1】「世界の国際開発協力の潮流と日本の貢献」 佐藤 寛 氏 (アジア経済研究所・研究支援部長)【講演2】「フェアトレード:チョコレートを食べて友達を増やそう」 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授)【総合討論】「国際開発協力のあり方とフェアトレード」 岸上 伸啓 氏 (国立民族学博物館・教授) 新井 泉 氏 (国際協力銀行・理事) 石原 聡 氏 (世界銀行・社会開発専門官) 大石 芳野 氏 (写真家) 大橋 正明 氏 (恵泉女学園大学・教授) 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授) ←前へ 次へ→
December 1, 2007
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「フェア・トレードの付加価値」=====鈴木紀先生からは、現在の国際協力の現状について、ざっくりとお話がありました。現在のODAの規模は、7293億円(2007)であり、ピーク時(1997)の62%。技術専門・青年海外協力では、10082人が派遣されています。-----しかし、皆が皆、国際協力のために海外に出る、というわけにはいかない。自分たち自身が、今、ここにいて、身近に出来る国際協力として、フェアトレードを考えましょう、ということでした。=====「フェア・トレード」は直訳すれば「公正な交易」です。では、公正な交易とは、どういうことか?それは、「搾取」しない交易です。そして、「ワーキング・プア」を作らない交易です。つまり、事業の生産コスト、生産者の再生産コストが回収できる交易のことです。モノを作っても、それが生産コストより安く買い叩かれてしまうと、生産者の生活は楽にならない。多少、利益が出たところで、翌年の生産のための初期費用(肥料代とか)が準備出来なければ、あるいは、想定外のコスト(不作だった場合とか)に耐えられる内部保留を持てるようにならなければ、生活は自転車操業のままで、いつまでも「貧しさ」から抜け出すことが出来ない。-----京セラの稲盛和夫会長は、本の中で「値決めは経営」と言っています。値段を決めること、生産者として、コストと市場判断から、「儲かる」ラインを見極めること、これこそが「経営」そのものなのだ、と。「値段」を適正に判断するためには、「情報」が必要です。多種の「情報」を整理し、捨象し、的確に判断することで、コストを正しく見積もり、価格を決定することができる。しかし、です。フェア・トレードで考慮される層は、「生産者」であっても、価格の決定力を持たない。さらに言えば、価格を決定するための情報から阻害されている。あるいは、輸出のためのインフラ基盤が整ってなければ、そもそも「市場」から阻害され、市場で決まった価格から、運搬コストを差し引く形で、「価格」が決定されてしまう。-----先生は言います。フェア・トレードの効果を活かしていくためには、援助として、港の整備などと組みあわせることが効果的だ、と。また、「市場」は、(「環境」や「人権」を「外部不経済」として切り捨てても)「品質」「法遵守」といったことにシビアです。これらの適正な市場参入のための諸条件をクリアするためには、知識や教育だけでなく、生産方法や保管方法などの改変といった条件整備も必要です。フェア・トレードの枠組に乗るためには、さらに厳しい条件を満たすことが必要になります。しかし、これらの条件を満たし、市場に持っていくということは、貿易の初心者である生産者にとって、「市場参入」トレーニングにもなるのだ、と。=====さて、例えばグリーンマークや、エコ・マークのように、「フェア・トレード・ラベル」というのがあります。NGO/NPOによる自主規格、独自基準は別にして、大きくはFLOとIFATの2種類のラベル認定があります。 FLO:Fairtrade Labelling Organizations International IFAT:International Fair Trade Association違いはありますが、それぞれ基準を設け、それを遵守させることで、生産現場に改変を促し、消費者に情報を提供しているわけです。-----「フェア・トレード商品」は割高、というイメージがあります。これも不思議なことで、輸入業者による中間搾取を排除して、生産者と消費者を近い形で結んでいるはずなのに、価格が上がる、というのは、それだけ、「市場価格」と「適正価格」がかけ離れている、ということであり、「安全」「安心」-「消費者の」かもしれない、「生産者の」かもしれない-が脅かされている、無視されている、ということなのだと、私は思ってしまうのですが…。-----さて、次の「フェア・トレード商品」には3つのメリットがある、と先生は言います。 ・消費者が嬉しい ・生産者が嬉しい ・出会いがある-----消費者の嬉しさ、とは、チョコレートを例に取れば、「美味しさ」だ、と。フェア・トレードの対象となっているカカオ豆は、厳しい生産条件をクリアしているため、原料の質が高く、安全性が担保されているし、また、多くスイスで最終加工されていて、商品の品質も高い。-----生産者からしても、技術的な支援を受けられることで、高付加価値生産に転換でき、安定した買い付けを行ってもらえるので、メリットがある。-----フェアトレード商品は割高に感じられるかもしれないが、商品の購入、顔が見える交易を通じて、友情を育くむという付加価値があり、それは、金銭に換算できる以上の価値ではないか、と。=====先生が出会った、フェアトレードの仲間たちとして、エクアドル、メキシコ、ドミニカの生産者の方々のスライドを見せて頂きました。日本に入っているフェアトレード・チョコレートのほとんどはスイス産です。これは、スイスのカカオ輸入業者の意識が高いからだと、先生は言います。カカオは、その性質上、中南米-メキシコ・ドミニカ・エクアドルといった国々で栽培されます。栽培地の多くは、栽培・保管・輸送までにかかわっていますが、エクアドルでは、チョコまで製造し、輸出につなげています。-----メキシコの例として紹介されたのは、カカオ価格が下落した時、神父の助言で、有機栽培をはじめ、高付加価値栽培に転換することができた村のお話でした。そこでは、NGOビオプラネタを通じて、メキシコ国内向けにココアを販売しているそうです。-----ドミニカで活躍しているのは、ボリビア系ドイツ人。国際協力ボランティアとしてドミニカに関わる中で、ドミニカでのカカオ有機栽培を考え、移住。発酵プロセスのコントロールにより、質を高める技術を武器に、有機栽培マニュアルを作成し、現地での有機栽培普及に力を注いでいます。=====最後に、フェアトレード発展のために、として、先生が3点挙げられました。一つ目は、もっとフェアトレード商品を、という消費者の声を高めること。二つ目は、推進団体から、もっとフェアトレードの情報を、消費者へ届けること。三つ目は、開発問題、環境問題へのまなざしを持って、フェアな生き方を模索すること。-----ドイツには、エコ系のスーパーもありますが、一般のスーパーでも、「BIO」のコーナーがあって、そこには、有機栽培の食品、フェアトレード商品が集められていました。また、ホームステイ先でも、ホストファミリーから、「これは教会で扱っている、フェアトレード商品のシナモン・シュガーなんだよ。」とのお話を頂いたこともあります。-----日本では、まだまだ一般化していないように見えるフェアトレード。でも、たくさんの人達が、普及のために力を尽くしているのです。総合討論では、そういった方々の紹介も含めて見て行きましょう。=====人間文化研究機構 第7回公開講演会・シンポジウム 国立民族学博物館開館30周年記念「国際開発協力へのまなざし:実践とフィールドワーク」【主催】人間文化研究機構【日時】2007.11/30(金) 18:00-21:00 【場所】IMPホール【講演1】「世界の国際開発協力の潮流と日本の貢献」 佐藤 寛 氏 (アジア経済研究所・研究支援部長)【講演2】「フェアトレード:チョコレートを食べて友達を増やそう」 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授)【総合討論】「国際開発協力のあり方とフェアトレード」 岸上 伸啓 氏 (国立民族学博物館・教授) 新井 泉 氏 (国際協力銀行・理事) 石原 聡 氏 (世界銀行・社会開発専門官) 大石 芳野 氏 (写真家) 大橋 正明 氏 (恵泉女学園大学・教授) 鈴木 紀 氏 (国立民族学博物館・准教授)
December 1, 2007
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