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2019.05.20
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​テンギズ・アブラゼ  「懺悔」元町映画館二階 黒の小部屋

「3月20日午後5時30分、元町映画館二階・黒い小部屋。カナラズコラレタシ。」 という謎のメールを受け取った、徘徊老人シマクマ君。そのままどこかに連れ去られて・・・てなことは、もちろん起こらない。

 ロシア映画を定期的の集まってごらんになっているグループの定期上映会に、お誘いいただいて、昨年見損ねた、 テンギズ・アブラゼ「懺悔」 を見ることができた。
 下調べしたところによれば、ソビエト連邦崩壊直前に、グルジアで作られた反スタ映画として評判になった作品らしいのだが、そういう関心、反スタ映画だからみようかというような、は、今まで、ぼくにはあまりなかった。

  少し小さめのスクリーンで映画は始まった。
 中年の女性が、クリームでバラの花を作って、ケーキを飾っている。大きなケーキには、教会と思しき建物の飾り付けがのっかっていて、隣のテーブルで髭の男がケーキにかぶりついて「うまいうまい」といっていたと思うと、新聞に載っている写真を見て、大げさに「立派な人を亡くした。」とか何とか、わざとらしい誉め言葉を大声でがなり立てはじめている。ケーキを作っていた女性が、なぜか冷ややかな表情で、その男を見ている。

市長が死んだらしい。
 葬儀があって、埋葬がある。葬儀を済ませた息子夫婦がベッドに入る。幼児と母親のようなみだらな場面がと、期待し始めたところに、庭から犬の奇妙な鳴き声が聞こえてくる。裸の妻が庭を見下ろし悲鳴を上げる。
 埋葬したはずの市長の遺骸が庭に帰ってきている。
 誰かが墓を掘り起こしている
 ケーキを作っていた女性の仕業だったことが明らかになり裁判が始まる。冷笑を捨て、戦うことを決意した意志の化身のような表情で女性が宣言する。

​「眠らせない。」​

 ここから、映像は、たえず「滑稽」な印象をまといながら、過去の物語を語り始める。シャボン玉で遊んでいた少女と窓を閉めた父親。そこからすべてが始まっていた。
 流刑地から流れつく大木に刻印された無実の父の名前。独裁者の前にひれ伏す美しい母。少女が広場に向かって飛ばしたシャボン玉の未来がはじけてゆく。

 風船のように膨らんでゆく全体主義の中で、民衆はやがて「歓喜の歌」の大合唱へと昇華してゆく。ベートーヴェンが「悪」のサタイヤとして響き渡る不気味。独裁者を称える「歓喜」が美しく響き渡る空虚。
​ 回想と現在、現実と幻想、二種類の映像が重ね合わされ、「父と子」の葛藤が映像の主題として描かれ始める。独裁者とその息子は同じ顔をしている。独裁者は戯画化され、歴史は愚かしく繰り返されていく。
 「眠らせない!」
「美しく偽られた父と子の醜悪な神話」を暴く叫びは少女の記憶からほとばしり、怯むことを拒否した女性の眼差しこそが美しい。​

 甘い砂糖菓子の教会が飾られたケーキを作っている女性の窓の下を老婆が通りかかる。
​「教会への道は?」​
 教会への道は、失われた教会とともに失われている。しかし、道はある。ゆるく登ってゆく坂道を老婆が歩いてゆく。

​「老婆はどこへ行くのだろう。」​
 告発者の女性を英雄視しなかったこと。独裁者自身の懺悔とともに民衆の懺悔の不可能性を神の不在という視点で描いたこと。歩み去る老婆を描いたこと。
​  「いったい誰が、何を、誰に『懺悔』することができるのか。」
 映画が終わって、部屋が明るくなった。集まった人たちの感想を聞いて街へ出た。​

 印象に残るシーンは多いけれど、裁判所で自分に撃ち込まれた銃弾の行く方を尋ねたシーンは何だったんだろう。 亀山郁夫の「大審問官スターリン」(小学館) で、なんか読んだ気がする。 レーニン暗殺未遂の銃弾 。関係ないか?
「鉄の男」スターリン 最初の虐殺の地。それ故にだったか?偶像として聳え立つ 権力の偽りを、最初に暴く場所でもあった。
「やったんちゃったかなあ?」
記憶の中に、さ迷い歩くように浮遊する、あやふやな記憶といい加減な知識。​

「それにしても、グルジアか?」
​「うーん、あやふややなあ。もう一回読んでみようかな?もういいかなあ?」​
神戸駅まで、いつもより遅い道を歩きながら、ふと、そんなことを考えていた。

 監督 ​ テンギズ・アブラゼ Tengiz Abuladze
 脚本 ナナ・ジャネリゼ  テンギズ・アブラゼ
    レバズ・クベセラワ
 撮影 ミヘイル・アグラノビチ
 美術 ギオルギ・ミケラゼ
 音楽 ナナ・ジャネリゼ
 キャスト
  アフタンディル・マハラゼ:(一人二役)
   (ヴェルラム・アラヴィゼ・独裁者)
   (アベル・アラヴィゼ・その息子 )
  イア・ニニゼ(グリコ・アベルの妻?)
  メラーブ・ニニッゼ(トルニケ・独裁者の孫)
  ゼイナブ・ボツバゼ(ケテヴァン・バラテリ)
  ケテバン・アブラゼ(ニノ・バラテリ)
  エディシェル・ギオルゴビアニ(サンドロ・バラテリ)
  ナノ・オチガバ(ケテヴァンの子供時代 )
  ダト・ケムハゼ(アベル・アラヴィゼの子供時代)
  ベリコ・アンジャパリゼ(老女)
 原題 「Monanieba」 1984年 ソ連 153分 ​​​​​​​​​​​​​​  
​ 2019・03・20・元町映画館no7​



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最終更新日  2023.12.17 22:24:00
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