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2021.11.09
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​​​​​ ​​ ​週刊 読書案内 石原吉郎「石原吉郎詩文集」(講談社文芸文庫)

 映画が早く終わって、さあ、帰ろうと思いながら、さしたる目的もなく、ただ歩いているだけの日があって、そういえば 「歩きながら考える」 詩人が、貧血で倒れて、そのまま入院したとかいう話を、ずーっと昔に読んだことがあったことを思い出しました。
​ 詩人の名前は 石原吉郎 です。 1915年 大正4年 生まれで、東京外語のドイツ語学科を出て 1939 年に出征し、 1945年 の敗戦を満州のハルビンで迎えるのですが、その年の暮れにソビエト軍に逮捕され、捕虜となります。​
1949年 、25年の重労働の刑を言い渡されます。反ソ・スパイ行為の罪だったそうですが、1945年以前の、彼の職掌に基づいた行為が断罪されたらしいです。結果、シベリアのラーゲリに収容され、 1953年、 スターリンの死によってようやく解放され、翌 1954年 に帰国するという 「体験(?)」 を経て、詩を発表し、 戦後詩を代表する詩人の一人と評価された人でした。
 戦争体験を背景にした詩人としての作品が60年代から70年代の若いひとの心をつかみました。 かく言うぼくもその一人ですが、詩人がアルコール依存症に苦しみ 1977年 62歳 で世を去ったとき、「自ら命を絶ったのでは」と、一人で、ぼんやり考え込んだことを覚えています。
「さびしいと いま」

さびしいと いま
いったろう ひげだらけの
その土塀にぴったり
おしつけたその背の
その すぐうしろで
さびしいと いま
いったろう
そこだけが けものの
腹のようにあたたかく
手ばなしの影ばかりが
せつなくおりかさなって
いるあたりで
背なかあわせの 奇妙な
にくしみのあいだで
たしかに さびしいと
いったやつがいて
たしかに それを
聞いたやつがいるのだ
いった口と
聞いた耳のあいだで
おもいもかけぬ
蓋がもちあがり
冗談のように あつい湯が
ふきこぼれる
あわててとびのくのは
土塀や おれの勝手だが
たしかに さびしいと
いったやつがいて
たしかにそれを
聞いたやつがいる以上
あのしいの木も
とちの木も
日ぐれもみずうみも
そっくりおれのものだ
(詩集「サンチョ・パンサの帰郷」より)
​  こんな詩を繰り返し読んでいたぼくは 1974年 に二十歳になった青年でした。で、そのころのぼくは、たとえば 「石原吉郎の詩」 のことなんかを誰かと語り合うことが、最初から禁じられているような思いこみで、文字通り 「無為」 な学生生活を送っていました。詩がわかっていたわけではありません。しかし何かが刻み込まれていくような印象だけは残りました。​
​ あれから半世紀の時が経ちました。先日、思い出したついでに手にとった 「石原吉郎詩文集」(講談社文芸文庫) をパラパラしていて、ワラワラと湧いてくる得体のしれないものに往生しましたが、中にこんな詩を見つけて、少し笑いました。​
「世界がほろびる日に」

世界がほろびる日に
かぜをひくな
ビールスに気をつけろ
ベランダに
ふとんを干しておけ
ガスの元栓を忘れるな
電気釜は
八時に掛けておけ
 (詩集「禮節」より)
​​​ ​50年たったからといって、詩人の作品がよくわかるようになったわけではありません。詩人の死の年齢をとうに過ぎて、二十歳の青年が 「歩く」 よりほかに行動する意欲を失った老人になっただけです。この50年のあいだ、その半ばには、住んでいた神戸では大きな地震があり、その後、世紀末だというひと騒ぎもありました。それから10年たって、想像を絶する津波と原子力発電所の崩壊までも目にしました。にもかからわず、世界は陽気に存続しつづけています。​​
「ああ、これがほろびの始まりかも」
​ このところの 「コロナ騒動」 を、半ば当事者として、半ばは傍観者として眺めながら、そう思ったのですが、なかなかどうして、しぶとく 「ほろび」 をまぬがれそうです。本当は、もう 「ほろんでいる」 のを知らず、毎日、電気釜をセットしているのかもしれませんが、世はこともなげに選挙で騒いでいたりして、イソジンが効くとかいった人が人気者だったりします。
「あるく」 しか能のない老人は、うるさく騒いで人を集めている宣伝カーをなんとか避けながら、裏通りにまわり、ブツブツつぶやきます。​

 ​「かぜをひくな ビールスに気をつけろ」​​


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最終更新日  2021.11.09 00:29:53
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