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龍の玉升さんと呼ぶ虚子のこゑ 飯田龍太 新年あけましておめでとうございます。 2024年 最初の 「読書案内」 は 長谷川櫂 の 「四季のうた」(中公新書) です。 長谷川櫂 が 2004年4月 から 読売新聞 紙上に連載した 「四季」 というコラムを一年分まとめた新書です。
正岡子規 は幼名 升(のぼる) 。少年時代からの友人たちは 「のぼさん」 と呼んだ。今、 子規 は臨終の薄れていく意識の中で、自分を呼ぶ弟分 高浜虚子 の声を聞いている。 龍の玉 は龍の髯という庭草の青い実。この句の 「龍の玉升さん」 は、龍の玉を天に昇らせようとも聞こえる。(P134)後のことでしょう、 子規 の臨終のシーンを思い浮かべた、 大正生まれ の俳人 飯田龍太 の創作ですが、 子規 が亡くなったのは 明治三十五年九月十九日 です。
「さあ、もういっぺん痛いと言うておみ」 ちなみに、その場に同席していた 高浜虚子 の残した句がこちらです。
透きとおるような声で響き渡った。
八重の目には、それまで客たちが一度として見たことのない涙があふれ、娘の律でさえ母を見ることができなかった。
子規逝くや十七日の月明に 虚子 虚子 の句は 十七夜 の月の明るい夜の別れを読んでいますが、まあ、要するに、 「四季のうた」 を覗きこんでいた某所で、まず、知らなかった 飯田龍太の句 に偶然出会い、 虚子の声 が浮かび、それに促されて 母八重の声 が浮かび、虚子の句が浮かび、その上、あれ、これ、ワラ、ワラ、と湧いてくる個人的な体験のシーンまでも、思い浮かべさせていただいたというわけです。
おっと!
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