2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
全11件 (11件中 1-11件目)
1
![]()
1978~90年にかけて、ソ連で52人もが犠牲になった実際にあった連続殺人事件に構想を得、時間を50年代に遡って設定して書かれたフィクションです。1950年前後の世界はといえば。。1945年、第二次世界大戦終戦、そして冷戦の始まり。1948年、ベルリン封鎖。大韓民国及び朝鮮民主主義人民共和国成立。第一次中東戦争。アイルランド独立。インド及びパキスタン分離独立。1949年、中華人民共和国が成立し毛沢東が国家主席となり、蒋介石の国民党は台湾へ。NATOが結成。ドイツ連邦共和国及びドイツ民主共和国成立。1950年、朝鮮戦争のはじまり。中華人民共和国によるチベット侵攻。1953年、スターリンの死。1954年、自衛隊発足。そんな時代です。そして1991年末、ソビエト社会主義共和国連邦は解体..崩壊します。皮肉なことに「犯罪が存在しない理想の国」というソ連の建前が、10年以上にも渡り多くの人を殺めた実在の殺人犯チカチーロを野放しにした要因のひとつになってしまったそうなのです。物語は、スターリン独裁体制のもと、国家保安省捜査官の地位にあるレオが主人公。彼は発見された同僚の息子の惨殺体を事故死として処理させられます。その後、部下の企みで左遷された地で同じような子供の惨殺体に遭遇し、気付くのです、同一犯による連続殺人であることを。怒りと悲しみと苦痛に彩られながら崩壊していくものだけでなく、いくつもの再生と可能性もが描かれています。自分はなんて恵まれた幸せな環境に生きているのかと思い知らされます。ただ、自身だけでなく自分に関わる全てを犠牲にしてでも続く悲劇を止めなければならない、という強い思いは、私が今生きている恵まれた環境の中ではもしかしたら生まれない意思なのかもしれないと、少し不安で複雑な気持ちにもなりました。フィクションでは在りますが、実際の事件の重要な部分は大きく変えられてはいないように感じます。それでも何度も物語の展開の意外性に「お!?」と驚かされました。衝撃的な真犯人の真実や言い分に身勝手さや怒りを覚えますが、ある意味歴史の被害者でもあったのかもしれません。あくまでもこの物語の中でです。もちろんどんな環境であれ、許されない罪ですが。面白かった、という表現では、実際犠牲になった沢山の被害者達に対して罪悪感を抱かずにはいられません。瞳に怒りを宿していたナージャはその後どうなったのか、気になります。
2009年01月31日
コメント(2)
![]()
信長から秀吉・家康の時代へと動く戦続きの世に生きて、自らの未来が予想できない時代、どちらかといえば破滅に向かっているような切羽詰った状態ながら、勝手なものに振り回される人たち。哀しさの内に人間臭さもみえてきて、なにやら可笑しみさえただよう7短編です。「地いくさの星」「善住坊の迷い」「花洛尽をあの人に」「母の覚悟」「松山城を守れ」「人を呪わば穴ひとつ」「修理亮の本懐」時間的にバラバラなのが気になりますが・・ 一日一話ずつ読むにはちょうどいいです。
2009年01月28日
コメント(0)
![]()
不条理な死への怨念が、自らを死に向かわせる者の瞳へと注がれるとしたら、注がれた方はそれは尋常ではいられないでしょうね。自分の事でなくても想像しただけでぞっとします。交通事故は被害者も加害者も、そして被害者と加害者の家族も不幸にしてしまいますね。心しなくてはいけません。記憶喪失という状況は随分お手軽な設定だなぁとは思うのですが、まあいいでしょう。加害者として執行猶予期間であること、関わった事故に関することのみ忘れてしまったなんてねぇ、とも思いますが、まあいいでしょう。とにかく、被害者の家族に殴られて、自分に都合の悪いことを思い出せなくなってしまった慎介は、その記憶を取り戻そうと事故について調べ始めるのです。忘れたなら忘れたで良いでしょうに、その方が楽に生きられるのに。しかも被害者の家族に殴られたのなら、自業自得と言えばそれまでなんですから。しかもその相手がもういないのですから。でもそれもまあいいでしょう。それなりに理由は理解できますし。納得いかないのは、催眠術たらなんたら言う部分。良いじゃないですか、単に目力ってことで。彼女がもう一人の加害者でなく慎介を狙った理由はわかりますが、その先は、きっとあえて、だと思うのですが語ることなく終わります。読んでいて、予測できてしまうところが本当の怖さでしょうか。そして、読み終えて表紙を閉じ、そこにある女性の視線の先を思うと、またさらにぞっとするのです。このところの東野作品に物足りなさを感じていたのですが、何年も前の作品だと言うこの「ダイイング・アイ」を読んで、東野作品に出会ったころの気持ちが蘇りました。
2009年01月26日
コメント(0)
![]()
「田口・白鳥シリーズ」の最新刊!今回の舞台は厚生労働省!とは言っても、新たな事件が起きて解決に導くと言うのとは随分違うみたいなんですけど・・この作品を読む前に『螺鈿迷宮』『チーム・バチスタの栄光』『ジェネラルルージュの凱旋』『ナイチンゲールの沈黙』をあらかじめ読んで、事件や人物関係、そしてAi(オートプシー・イメージング)について、把握してからの方が良いと思います。小説と言うよりは、登場人物たちの口を借りて、作者自身の医療に対する思いに、議論と言う形で読者を導こうとしたに過ぎないかと思います。新たに出版されるであろう小説にまつわる事件は既に起きているようではありますが、それが何度かほのめかされているようなのはあまり嬉しくはありませんでした。
2009年01月25日
コメント(0)
![]()
タイトルから私が勝手にイメージした彼、とは随分違っていました。このお話に出てくる彼は、祖母と母の3人暮らし、離婚歴のある43歳のさえてるとはいえない独身男性。職業はプロパンガスの配送。家族を含めた周りの人たちは‘動’な印象を受けるのに、この彼はひたすら受身で日々を平穏にしのぐことが全ての‘静’といった印象を受けます。まるで愚痴ともいえない、日々出会う人たちのことやらをエッセイのようにだらだらと綴ったかのような内容に若干失望しながらもその彼の秘密はいつ明かされるのかと期待もし読み続けても、なかなか確信には触れてくれません。だんだんと分かってくるんです、この彼の温かみと秘密に。それぞれに理由のある生き方をしているさまざまな人たちがいて、ひとり、あるいはひと家族を、時間をかけていろんな方向から眺めたら見えてくるかたちがあるんだなと再確認できます。「無言の時間にさえも意味がある」。でもある意味怖い気もします。知らないところで知られているという怖さ。私もある意味似た仕事をいくつか経験してますから。いや、このお話は怖いお話ではないですよ。安心して読める、ほっとした気持ちになれるお話です。
2009年01月23日
コメント(0)
![]()
朝鮮半島と倭の国が友好で結ばれていた神話の時代。小説ではあるようなのですが、どちらかと言えば解説書といった感じです。でも今まで読んだ神話とは違うものに触れた新鮮さとか、夢のようなものは感じられます。その昔、海の向こうから渡った人(神?)たちの足跡が、この地にいくつも残っているらしいです。卵で生まれる登場人物が多いのですが、日本の神話にもそういうのがあるのかしら?
2009年01月18日
コメント(0)
![]()
本を受け取ったとき、ギョッとしました。気持ち悪くて。「熱帯夜」の登場人物は、誰もが被害者であり加害者でもあり、犯罪の輪の中にいる恐怖感は「罪と罰」を思い出させ、映画「キューブ」の閉塞感もおぼえます。「あげくの果て」は筒井康隆の「銀齢の果て」に匹敵する老人差別を描いているし、「最後の言い訳 」にいたってはBSE問題やらゾンビやカニバリズム。三つの短編それぞれがどれも恐ろしくおぞましく、なのにそのおぞましさが癖にもなりそうで自分が怖くなります。でも、せつない想いや愛情、そして美しき友情が共存してもいます。本当の世界でどちらが勝利するかは謎ですが。
2009年01月17日
コメント(0)
![]()
これね、読むと良いよ。読み始めてしばらくしたら、あ、これもしかして児童虐待ものか?と気が重くなりそうだったんだけど、そうばかりでもなくて。心が辛くてとまってしまい先に進めなくなった足が、読んでいるうちに、また前に向かって動きだす力を得る気がしてくるよ。東北の大きな市から少し離れた空き家になった母の実家に、父親が東京に単身赴任中なため、高校生のサチは母とふたりで引っ越してきたの。そこでサチはお寺の長男坊・広海くんと出会うんだけど、実は彼は不思議な能力を持っているのです。といって、SFというわけではありません。この広海くんは高感度がかなり高い。そして同じ能力を持つ彼のおじいさんである大和尚さんがまた仏様の化身のようなたまらなく素敵な人。「アポトーシス」「インピーダンス」「マグデブルグの半球」「シュレジンガーの猫」と難しそうなタイトルがついた短編集ながら、同じ場所、同じ時制の中で、気付かないうちに繋がりあっている孤独な人たちを描いていて、それぞれの痛みを丁寧に救い上げてくれます。タイトルの解説もちゃんとお話の中で親切に分かりやすく語ってくれています。表題の「かなりや」というのはあの有名な西條八十の歌詩です。厭な人物も結構出てくるんだけど、誰もがそれぞれに理由をもっていて、目線を変えれば理解し認め合えるのかもしれないと思えてきます。その持続時間がどれほどのものかは分かりませんが、結構な時間、優しい寛容な気持ちで居られる気がします。
2009年01月16日
コメント(0)
![]()
謎解き専門の探偵事務所を開いた資産家の三男坊と高校時代からの親友である調査員、ふたりが挑む怪事件(?)の数々の記録です。「卵消失事件」「三本の矢」「兎の暗号」「別荘写真事件」「怪文書事件」「三つの時計」とありますが、最初の「卵消失事件」で思わず読むのをやめようかと思ったのだけど、そのうちワクワクしてくるかも、と期待をこめて結局最後まで読めたのはそれなりに意表をついた設定だからなんだろうけど、まず答えを決めてむりやり辻褄合わせの問題を作り上げたような、謎を解かせることを目的にしたとは全然思えないような、最後の最後の‘えっ?!そうだったの?’と思わせる部分だけが目的のような気がしないでもない。まぁ、その‘えっ?!そうだったの?’と思わせる部分は、ただの謎解きものだとしか思っていなくてそういう展開になるとは予想もしてなくて相当驚いたわけですが。後で思えば途中‘あれっ?’と違和感感じた部分は結構あったんですけどね、それをそのままにするか突き詰めるか、そこが謎を解く素質があるかどうかを表しているのでしょうね。(1)と言うからにはシリーズ化して(2)も出るものとして読んでたんだけど、最後を読むと違う方向かもしれないとも思うし、かといって、(2)が出ないとも言い切れず、出たら出たでやっぱり読んでしまうのかもしれません。自分なりに受けたのは「別荘写真事件」における‘高速増殖炉’でしょう。ただ、まともに早口で三回読めないことに気付いたというそれだけのことでですが。
2009年01月15日
コメント(0)
![]()
各地で起きる、相次ぐ地震と石油施設の事故。モンゴルと中国の確執。元寇。チンギス・ハーンの秘宝。清の時代の発掘調査。場所も時代もバラバラの、まるでどう繋がるのか予想できないような事柄が、上手く絡まっていく感じはいつもは心地良かったのだけど、なんだか今作品はすっきりしないと言うか、ただ作者の違う短編を途中まで読んだだけのような吹っ切れなさを感じました。翻訳はいつもおなじみの方なのですが、直訳した原稿を手直しする前にうっかり印刷しちゃったのかと思ってしまうほど、文章に違和感感じました。意味の分からない所も多々。ダーク・ピットの健在ぶりは嬉しいし、ジョルディーもついに未来の伴侶に出会ったかと思わせる部分には気持ちがほんわかしてくるし、危険に出会うとハラハラドキドキ。なんだけど、危機が訪れることに、その危機を必ず脱することに慣れてしまったのかな?もちろん二人がヒーローであり続けることを望んでいることには違いないのだけど。クライブ・カッスラー氏が登場する部分では、いつも醒めた気分になってしまいます。ピットとジョルディーノが居る世界では、一体何人居るんでしょう、この方。もしかして世界のいろんな場所で二人の窮地を手助けするこの人物は実は一人なんでしょうか。とか何とか言って、次回作が出ればまたきっと手にするには違いないし、今回はいろいろ調べながら読んだので、とても良い勉強にはなりました。
2009年01月10日
コメント(0)
![]()
1986年7月4日から1987年7月4日、先の見えない恋愛を東京に置いて、ファッションジャーナリストとして単身ニューヨークへ渡ったユーコ(夕子)のいくつもの出会いと別れの一年間。海外に行った事はないに等しい私でも、映画やニュースや音楽でなんとなくイメージしているオシャレで洗練されたあこがれの街ニューヨーク。私にとっての1986年はと言えば、6月9日に長男が生まれ、夏の終わりとともに正職員としての夜勤も休日出勤もある仕事に復帰し、周りを見回すゆとりもなくめまぐるしく時が流れた時期。正直言ってこのストーリの時代のファッションや流行を説明されてもぴんと来ない時期なのです。しかも、不倫の恋愛を引きずりながら、別の不可能そうな恋愛を思うユーコの気持ちに共感することも出来なくて。。でも、無理やり心を強くしてひとりで進んでいかなくてはいけない彼女のことは、見守るように応援しつつ、時にときめき、胸を痛め、寂しさに涙し、一気にたどる一年でした。携帯電話の普及していない時期、留守電に残された「コール ミー」という言葉は、力ないほど大きく求める叫びなのだと身に沁みました。気になっているけどそのままにしてしまっている誰かに連絡したくなります。少しだけ照明を落として読むほうが雰囲気に浸れるように思いました。ページの白が明るくて、照明を落として読む目にもちょうど良いくらいです。
2009年01月06日
コメント(0)
全11件 (11件中 1-11件目)
1


![]()