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私には縁遠い音楽界の事情がわかり、興味深く読めました。
ミステリーの中核は、ある超越数をモチーフにした曲にあります。いろいろアレンジした曲が、YouTubeにもあげられていて聴けますが、同じメロディーが出てくることはなく、無限に演奏できる曲というミステリアさが、どんなミステリーをも越えてしまいます。まさに超越する音楽です。
「超越数」は、「有理数を係数とする、どんな代数方程式の解にもならない数」です。有理数は必ず分数の形で書けるので、3x=7のような一次方程式の解になります。(x=7/3)
無理数の中でも、x²=2の解になる√2などは、超越数ではありません。複素数の中でも、iはx²=-1の解なので、超越数ではありません。無理数の一部と複素数の大部分が超越数だといわれます。
でも、実際にある数が超越数なのか、そうでないのかを証明するのは難しく、かなり限られた超越数しかみつかっていません。超越数であると証明されている数で最も有名なものは、円周率πでしょう。ネイピア数e、チャンパーノウン定数(0.1234567891011121314…と、正の整数を小数点以下に並べていった数)なども超越数です。
「トッカータ」は即興曲。主人公がリカコの楽譜の曲を即興で弾いたことで、新展開がありました。
超越数と、その数が創り出す音楽にミステリーを感じました。題材の取り方と題名の付け方が秀逸だと思います。
読後に、自分が共鳴できる音楽を聴いたような高揚感がありました。
参照元:日本推理作家協会・編 ミステリー傑作選『ジャンクション 運命の分岐点』
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