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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は7月30日、アメリカとその西側同盟国が抱いているロシアに対する敵対的な軍事的計画に気づいていると公の席で口にした。アメリカはロシアの玄関先(ウクライナやポーランド)、バルト諸国、そして日本を含む包囲網を築いていると指摘している。こうした戦略は以前から指摘されていたが、それをロシアの閣僚が認めたことは興味深い。 この包囲戦略を最初に公表したのは「地政学の父」とも言われるハルフォード・マッキンダー。1904年のことだ。 マッキンダーは世界を3つに分けて考える。第1にヨーロッパ、アジア、アフリカの世界島、第2にイギリスや日本のような沖合諸島、そして第3に南北アメリカやオーストラリアのような遠方諸島。世界島の中心がハートランドで、具体的にはロシアを指す。 沿岸地域を支配し、内陸部を締め上げていくのだが、そのために西ヨーロッパ、パレスチナ、アラビア半島、インド、東南アジア諸国、朝鮮半島をつなぐ内部三日月帯と、その外側の外部三日月地帯をマッキンダーは想定した。 日本は外部三日月地帯の一部に位置づけられているが、内部三角地帯の東端とみることもできる。イギリスの植民地があった東南アジアやインドもその三日月上の地帯にあり、アラビア半島では1932年にサウジアラビアが、48年にはパレスチナにイスラエルが作られた。 インドでイギリス(東インド会社)は占領軍としてセポイと呼ばれた傭兵を使っていた。この傭兵を中心にして1857年から58年にかけてイギリスに対する反乱があったことはよく知られている話だ。そうした傭兵をイギリスが使った理由は、戦力不足。 その前、1840年から42年にかけてイギリスは清(中国)に対して侵略戦争を仕掛けている。アヘン戦争だ。経済で清に敗北したイギリスは軍事力を使って麻薬を売りつけたわけである。1856年のアロー戦争も同じ構図だ。 この戦争でイギリス艦隊は清の艦隊を粉砕、主要な港を制圧したが、内陸部を支配することはできなかった。それだけの戦力がなかったからだ。その中国へ地上軍を送り込んだのはイギリスが軍事同盟を結んでいた日本にほかならない。 言うまでもなく、中国大陸を侵略した当時の日本は薩摩や長州を中心とする体制。1872年に琉球国を併合、74年に台湾へ派兵、75年には李氏朝鮮の首都を守る要衝、江華島へ軍艦が派遣して挑発、日朝修好条規を結ばせることに成功した。清国の宗主権を否定させ、無関税特権を認めさせ、釜山、仁川、元山を開港させたのだ。 1894年に朝鮮半島で甲午農民戦争(東学党の乱)が起こって体制が揺らぐと、日本政府は「邦人保護」を名目にして軍隊を派遣、日清戦争につながった。この戦争に勝利した日本は1895年4月、下関条約に調印して大陸侵略の第一歩を記すことになる。 清の後ろ盾を失った王妃の閔妃がロシアへ接近することを明治政府は懸念、1895年10月に三浦梧楼公使たちが閔妃を含む女性3名を惨殺している。日本で三浦たちは「証拠不十分」で無罪になっているが、この判決は政府が実行した暗殺だということを対外的に宣伝しただけだった。その後、三浦は枢密院顧問や宮中顧問官という要職につく。 惨殺事件から4年後、中国では義和団を中心とする反帝国主義運動が広がり、この運動を口実にして帝政ロシアは1900年に中国東北部へ15万の兵を派遣する。こうした動きを見てイギリスは危機感を抱くが、自らが乗り出す余力がない。そこで1902年に日本と同盟協約を締結した。 その日本は1904年2月8日に仁川沖と旅順港を奇襲攻撃、10日に宣戦布告して日露戦争が始まる。日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シフ。日本に対して約2億ドルを融資、その際に日銀副総裁だった高橋是清はシフと親しくなっている。 明治体制のアジア侵略にイギリスの外交官だったアーネスト・サトー、麻薬業者のジャーディン・マジソンが送り込んだトーマス・グラバーやウィリアム・ケズウィックが深く関与しているが、それ以外にも興味深い人物がいる。厦門のアメリカ領事だったチャールズ・リ・ジェンダーだ。外務卿だった副島種臣に台湾への派兵を勧めたのはこの人物である。廃藩置県を実施したあとに琉球藩を設置するという不自然なことが起こったのは、こうした外国人の働きかけが影響した可能性がある。 日本は今でも米英の手先として動いているが、大陸では状況が大きく変化している。2014年にアメリカがウクライナでクーデターを実行してから中国とロシアが戦略的な同盟関係に入り、韓国も手を組んでいる。 中露が東アジアの経済発展を目論んでいるのに対し、アメリカはロシアや中国を制圧するため、朝鮮半島での戦争も辞さない姿勢。戦争になれば韓国も朝鮮も破壊と殺戮で国が消滅することも考えられる。アメリカ離れしようとするのは合理的な判断だ。 アメリカは包囲作戦の一環としてミサイルを配備している。勿論、防衛を目的としているという口実はできの悪い戯言。アメリカは韓国にTHAAD(終末高高度地域防衛)を強引に導入、日本は自らがイージス・アショアの導入を決めた。経済的にみると日本は中国やロシアなしに存続することは難しいが、「エリート」たちはアメリカの支配層に従属することで自分の地位と収入を保証してもらっている。
2018.07.31
アメリカ軍がイギリスとオーストラリアを引き連れ、8月にイランを攻撃するとアメリカで報道されているが、ジェームズ・マティス国防長官はイランの体制転覆は考えていないと発言している。 ドナルド・トランプ政権はイランの石油輸出を止め、経済的に破綻させて体制を転覆させようとしていている。1953年にクーデターでイランのムハマド・モサデク政権を倒したときと同じ戦術だが、今のイランには中国やロシアがいて孤立していない。 イランの石油輸出をアメリカが力尽くで止めようとすれば、対抗してホルムズ海峡を封鎖すると警告しているが、これは十分に可能。日本やEUなどアメリカの「同盟国」にとって深刻な事態になるが、シェール・ガスやシェール・オイルを売りたいアメリカにとっては悪くない。 ホルムズ海峡が戦争に巻き込まれれば、当然のことながら、石油相場は暴騰する。アメリカのシェール・ガス/オイルの採算ラインは1バーレルあたり60ドルから80ドルだと言われているが、1バーレルあたり数百ドルになっても不思議ではない。何しろ、世界の石油供給量のうち約2割はこの海峡を通過すると言われているからだ。しかも、シェール・ガス/オイルは4年から5年しか生産量を維持できず、その後は大幅に減少すると言われている。 1992年にネオコンをはじめとするアメリカの好戦派は世界制覇プロジェクトを始動させたが、結果として自らの首を絞めることになっている。1990年代にこの勢力はロシアを支配、略奪で巨万の富を手にしたが、その反動でロシア国民は反西側で団結した。2012年にアメリカはロシアを再び属国にすべくカラー革命を目論んだが、全く機能しなかった。 中東では2003年にイラクを先制攻撃したものの傀儡政権を樹立できず、11年に始めたジハード傭兵を使った侵略もロシア軍の介入で失敗、クルドとの連携も思惑通りには進んでいない。その間、「同盟国」だったはずのトルコやカタールが離反している。 2014年2月にウクライナの合法政権をネオ・ナチを使って倒したが、その結果、中国とロシアを接近させ、両国は戦略的同盟国になっている。その両国は現在、アメリカの支配システムを支えているドル体制を揺るがす存在だ。 ドナルド・トランプの背後にいるヘンリー・キッシンジャーはロシアに接近、中国との関係にひびを入れようとしているように見える。 1970年から72年にかけてキッシンジャーは中国との関係改善を実現、ソ連を孤立化させることに成功した。今は中国を孤立化させようとしているが、ロシアを離反させることは不可能だろう。今は韓国もロシアと中国に接近、朝鮮を巻き込んだ。 ネオコンが描いた机上の空論に基づく世界制覇プロジェクトはアメリカの支配体制崩壊を早めているように見える。
2018.07.30
韓国大統領だった朴槿恵が失脚したのは昨年(2017年)3月のことだった。その直前、国軍機務司令部が戒厳令を計画したと伝えられている。合同参謀本部議長の命令ではなく、陸軍参謀総長の指示で陸軍を動かそうとしていたという。権限を持っていない国軍機務司令部が戒厳令を計画したとする話が事実なら、これはクーデター計画だ。アメリカ軍の少なくとも一部が関与していた可能性がある。 この計画について、全斗煥を連想させるものだと言う人がいるようだが、同じだとは思えない。全斗煥の場合、始まりは1979年10月26日の朴正熙大統領暗殺。中央情報部長だった金載圭が大統領と車智澈警護室長を射殺したのだ。 この暗殺には謎が多い。そのひとつは金が持っていた銃に装填できる弾丸の数より発射された弾丸の数が多いと言われていること。個人的な行動ではなく、大規模なクーデターだった可能性があるのだ。そのクーデターを潰したのが全斗煥というわけだ。全斗煥が実行したのはクーデターでなく、カウンタークーデターだ。 当時、韓国では軍事政権に反対し、民主化を求める運動があった。アメリカが仕掛けている「似非民主化」とこれを混同してはならない。ラテン・アメリカでもアメリカの手先になっていた軍事政権と戦う民主化勢力がいたが、こうした外見をアメリカの支配層は盗み、侵略の戦術として使っているだ。プロジェクト・デモクラシーだ。 アメリカでは1963年にソ連との平和共存を訴えたジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されて親イスラエルのリンドン・ジョンソン政権が誕生、デタントを打ち出したリチャード・ニクソンがウォーターゲート事件で失脚してジェラルド・フォードが大統領に就任、デタント派が粛清されてネオコンが台頭した。ジョージ・H・W・ブッシュ、ドナルド・ラムズフェルド、リチャード・チェイニー、ポール・ウォルフォウィッツが表舞台に登場してくるのはフォード政権(1974年~77年)だ。 日本では文藝春秋誌の1974年11月号に立花隆の「田中角栄研究」と児玉隆也の「淋しき越山会の女王」が掲載され、そ1976年2月にアメリカ上院の多国籍企業小委員会でロッキード社による国際的な買収事件で田中の名前が浮上する。その年の7月には受託収賄などの疑いで田中は逮捕された。事件が発覚する切っ掛けは小委員会へ送られてきた資料。つまり、資料を送った人物、あるいは組織が仕掛け人だ。 朴槿恵が罷免された直後、2017年4月にアメリカ軍はTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムのレーダー、ランチャー、通信機器を含む機器を6台のトレーラーでゴルフ場のロッテスカイヒル星州カントリークラブへ強引に運び込んだ。このシステムの配備には朴政権も難色を示していた。アメリカはTHAADの配備だけでなく、済州島の基地を中国に対する軍事的な拠点にしようとしてきた。アメリカの軍事戦略を作成している勢力は朝鮮半島の平和を望んでいない。 本ブログでは繰り返し書いているが、アメリカ支配層にとって、「朝鮮半島の平和」とは、リビアのように軍事侵略で破壊して金正恩を殺すか、ドイツのように朝鮮半島全域を制圧して中国やロシアとの国境地帯にミサイルを配備、軍隊も入れるということだろう。勿論、それを中国やロシアは認めない。それが実現しないならアメリカは「平和」に反対する。 そうしたアメリカの反応をわかっている韓国、ロシア、中国は朝鮮に対する「制裁」の口実を消し去り、鉄道やパイプラインを朝鮮半島の南端まで伸ばし、東アジアを一大経済圏にするという自分たちの計画を進めようとするだろう。こうした計画を潰すためにアメリカがクーデターを計画したとしても驚かない。
2018.07.29
エクアドルのレニン・モレノ大統領は7月27日、同国のロンドンにある大使館に避難しているWikiLeaksのジュリアン・アサンジに対し、大使館から出るべきだと語った。昨年(2017年)5月にエクアドルの大統領はラファエル・コレアからモレノへ交代、そのモレノがアメリカの意向を受けて追い出しにかかっている。IMFからの圧力に屈したとも言われている。 モレノはアッサンジをハッカー扱いしているようだが、WikiLeaksはハッカーでも内部告発者でもない。本ブログで繰り返し書いているように、内部告発を支援しているだけだ。情報は外部から持ち込まれ、それを取捨選択し、編集して公表しているのである。つまり、やっていることはメディア。 現在は支配層のプロパガンダに徹している西側の有力メディアだが、かつては支配層にとって都合の悪い内部情報を伝えることがあった。それでも記者や編集者が刑務所へ入れられ、拷問を受けていない。脅すにしても搦め手からだ。暴漢を使ったり事故を装ったりして危害を加えることもあるようだが、メディアの収入源である広告主からの圧力は支配層にとってリスクは小さく効果的。 支配層にとって痛くない「スクープ情報」を提供する代償として支配層にとって不都合な情報は伝えないという取り引きもある。それをシステム化したのが記者クラブだと言えるだろう。 アメリカの情報機関は第2次世界大戦後、モッキンバードと呼ばれる報道操作プロジェクトを実行してきた。情報を提供するという飴と鞭でコントロースするだけでなく、メディアの内部へCIAのエージェントを潜り込ませたり、記者や編集者をエージェント化することもあるようだ。 しかし、内部告発者を処罰しても、それを伝えたメディアを処罰することを支配層は避けていた。民主主義の看板を掲げている以上、言論の自由を否定するようなことはしたくなかったのだろう。が、その一線をアメリカは越えようとしている。メディアや内部告発者への攻撃はバラク・オバマ政権が強化したが、その流れが続いている。アメリカの支配層は民主主義という衣を脱ぎ捨てようとしている。脱ぎ捨てればファシズムという正体が現れる。
2018.07.28
イスラエルを「ユダヤ人の国」だと定めた法律が7月19日にクネセト(イスラエルの国会)で成立した。エルサレムはその首都になる。言うまでもなく、イスラエルは先住のアラブ系住民を追い出して作り上げた国。追い出すために武力が使わ、虐殺事件を引き起こしてアラブ系住民が逃げ出すように仕向けた。ユダヤ人だけに主権を認めるということであり、民主主義は否定されている。 アラブ系住民の居住地域はガザやヨルダン川西岸だけに狭められたが、イスラエル政府はそこも植民という形で浸食、巨大な分離壁(堀、有刺鉄線、電気フェンス、幅60~100メートルの警備道路、コンクリート壁で構成)を建設、その内部にパレスチナ人を押し込めた。パレスチナ人の居住地域は巨大な強制収容所と化している。イスラエルをアパルトヘイト国家だという人は少なくない。政策がナチスに似ているという人もいる。ウクライナでイスラエルはネオ・ナチのグループを支援してきた。こうしたイスラエルの政策が今回、法制化されたと言える。 シオニストの中でネオコンを含む勢力はロシアや中国を制圧して世界制覇を実現しようとしているが、ベンヤミン・ネタニヤフのようなウラジミール・ジャボチンスキー系の人々は大イスラエルを建設しようとしている。本ブログでも何度か指摘したが、ネタニヤフ首相の父親はアメリカでジャボチンスキーの秘書だった。 南はナイル川から北はユーフラテス川まで、西は地中海から東はヨルダン川までがイスラエルだとする大イスラエルの信奉者は考え、中東全域を親イスラエル体制にしようとしている。これは中東の石油利権と密接に関係しているはずだ。最近、イスラエルの雑誌にジョージ・オーウェルの小説『動物農場』に登場する豚の漫画が掲載されたのだが、それを描いた漫画家が解雇された。この漫画はイスラエルをユダヤ人の国と定める法律の成立と関係しているように見えるとイスラエル政府や雑誌の幹部も考えたのだろう。
2018.07.27
物資の輸送は長い間、海運が中心だった。そこで海を縄張りとする海洋国家が大きな力を持つことになる。それに対し、内陸国が高速鉄道を計画するのは必然。東アジアを侵略していた当時の日本でも東京からベルリンまでユーラシア大陸を横断する鉄道を建設しようという計画があった。 ソ連/ロシアもシベリア横断鉄道を建設、それを延長して朝鮮半島を南下させようという計画がある。これは天然ガスや石油を輸送するパイプラインの建設と結びついている。これが実現すれば、アメリカの侵略戦争で不安定化している中東への依存度を低下させることができるが、勿論、アメリカは認めないだろう。韓国や日本がロシアとの関係を強めるだけでなく、ドルを軸にするアメリカの支配体制を支えているペトロダラーの仕組みが揺らぐからだ。 それだけでなく、アメリカはシェール・ガスやシェール・オイルを売り込もうともしている。ライバルであるロシアやイランなどは潰したいところだ。 アメリカの生産方法はコストが高く、石油価格を1バーレルあたり60ドルから80ドルにしないと利益が出ないと言われている。一時期、アメリカはロシアに対する経済戦争の一環として石油相場を暴落させたが、ロシアへのダメージよりアメリカやサウジアラビアが受けたダメージの方が大きかった。 シェール・ガスやシェール・オイルの問題はこれにとどまらない。生産量を維持できるのはせいぜい4年から5年にすぎず、7年から8年たつと8割程度まで下落すると言われている。しかもその生産方法は地下水を汚染する。すでに地下水の枯渇が問題になっているが、汚染が加われば、地下水に頼っているアメリカの農業が壊滅する可能性もある。穀倉地帯、例えばウクライナやロシアを支配しようと目論んでいる可能性もある。 ロシア政府は2011年夏、朝鮮の金正日に対し、110億ドル近くあったソ連時代の負債の90%を棒引きにし、鉱物資源の開発などに10億ドルを投資すると提案した。その代わりに鉄道とパイプラインを建設させてほしいということだ。金正日は受け入れた。が、その年の12月に急死してしまう。 その頃から朝鮮はミサイル発射や核兵器の爆破実験を盛んに行うようになり、アメリカは制裁を科すことに成功。朝鮮の行動はアメリカの支配層にとって願ってもないことだった。1980年代から朝鮮はイスラエルと兵器の取り引きをしている(イラン・コントラ事件の一部)と言われ、アメリカ軍の情報機関DIAによると、ソ連が消滅した後の1990年代には統一教会の資金が流れ込んでいた。 こうしたアメリカと朝鮮との関係が変化している。2015年9月30日にロシア軍がシリア政府の要請でジハード傭兵に対する攻撃を開始、2017年4月6日にアメリカ海軍の2駆逐艦が発射した59機の巡航ミサイル(トマホーク)の約6割が撃墜され、その1年後にはアメリカ、イギリス、フランスが艦船や航空機から100機以上のミサイルを発射して7割が墜とされ、ロシアの防空システムが有効だと言うことを朝鮮も理解したはず。そして朝鮮の態度が変わったように見える。 中国や韓国もロシアの計画に賛成している。朝鮮がミサイルを発射したり核兵器の実験を行っていたころから韓国はロシアと経済的な結びつきを強めていた。そこへ朝鮮も加わったということだ。 アメリカ支配層にとっての「平和」とは、リビアのように軍事侵略で破壊して金正恩を殺すか、ドイツのように朝鮮半島全域を制圧して中国やロシアとの国境地帯にミサイルを配備、軍隊も入れるということだろう。勿論、それを中国やロシアは認めない。逆に、それが実現しないならアメリカは「平和」に反対する。 アメリカでは支配層や有力メディアがドナルド・トランプ米大統領と金正恩との会談に反発していたが、トランプもリビア・モデルやドイツ・モデルが実現できないなら前に進むことは困難だろう。トランプ大統領は制裁の継続を口にしている。もし本当にトランプが平和を望んだとしても、それを周囲は許さないはずだ。 しかし、こうした展開は韓国、ロシア、中国は予想していたはずで、このまま鉄道やパイプラインの建設を進め、経済的なつながりを強めようとする可能性がある。各国の「エリート」はアメリカ支配層の命令に従うことで自分たちの地位と収入を維持しているようだが、国は疲弊していく。どこかの時点でアメリカ離れが進む可能性もある。例えばトルコのように。
2018.07.26
イスラエル軍は7月24日にゴラン高原上空でシリア軍のSu22戦闘機を2機のパトリオット・ミサイルで撃墜したと伝えられている。イスラルはシリア軍機が領空を侵犯したとしているが、ゴラン高原はイスラエル軍が不法占拠しているのであり、領空侵犯ということはありえない。シリア側は、撃墜された戦闘機はイスラエルが占領している地域へ入っていないと主張している。シリア軍は航空機からの攻撃だけでなく、弾道ミサイルでジハード傭兵を攻撃している。このミサイルを破壊することにイスラエル軍は失敗した。 Su22はゴラン高原で活動してきたサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を攻撃していた。この地域をジハード傭兵をイスラエル軍が支援してきたことは本ブログでも書いてきたこと。軍事的な支援をするだけでなく、負傷兵を救出し、治療してきた。 シリア南部をジハード傭兵の手から奪還したシリア軍はゴラン高原での作戦を開始した。ここにきてイスラル軍は戦闘機にレバノン上空からシリアの軍事施設を攻撃するなど挑発的とみられる行動に出ているが、シリア軍の動きを察知してのことかもしれない。 こうしたイスラエル軍の挑発的な攻撃を受け、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相とワレリー・ゲラシモフ参謀総長が7月23日にイスラエルを突如訪問した。シリアに対する攻撃を止めるように警告することが目的だとも言われているが、イスラエルは譲歩を引き出すために「狂犬」のように行動し続けようとする可能性がある。
2018.07.25
ロバート・マラー特別検察官を中心とするチームの法廷代理人を務めていたリサ・ペイジはアメリカ下院の司法委員会が非公開の席でおこなった宣誓供述で「ロシアゲート」は中身が伴っていないこと認めたという。つまり羊頭狗肉。 マラーが特別検察官に任命されたのは2017年5月17日。ペイジの恋人だったピーター・ストラクはマラーのチームに所属する。そのストラクが5月19日にペイジへ送った電子メールの中で勝てる見込みはないと書いている。ロシアゲートには問題になるような大きなものはないというのだ。これがロシアゲートに関するストライクの意見だということをペイジは委員会で認めた。 このケースに限らないが、西側では「右翼」、「左翼」、「保守」、「リベラル」、「中道」、「民主派」、「ナショナリスト」といったタグで操られ、その実態を見ようとしない人が少なくない。こうしたタグは呪文や呪符のように機能している。 西側の有力メディアが貼り付けたタグによると、ヒラリー・クリントンやバラク・オバマは「リベラル」で、ドナルド・トランプは「孤立主義」や「差別主義」の「ファシスト」で「ロシアの手先」。 しかし、クリントンやオバマはジョージ・W・ブッシュと同じように偽情報を有力メディアに流布させ、リビアやシリアではサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主力とするジハード傭兵を使って侵略戦争を始め、ウクライナではネオナチを使って合法政権を暴力的に倒している。自国であろうと他国であろうと憲法を無視、傭兵を使って殺戮と破壊を繰り返してきた。 オバマ政権の特徴として、UAV(無人機)を使った他国での暗殺、殺戮、そして、本ブログでも書いたことだが、ジャーナリストや内部告発者の弾圧があげられている。オバマ政権ではジャーナリストや内部告発者への攻撃が激化、秘密指定される文書の件数が激増している。この間、有力メディアの支配層に対する従属度は高まり、単なる偽情報の発信源に成り下がった。 イラクを先制攻撃してからCIAは世界規模で拷問を繰り返してきたが、それを2007年に内部告発したCIAのオフィサー、ジョン・キリアクは2013年1月、懲役30カ月の判決を受け、刑期を全うした。懲罰はオバマ政権のときに実行されたのだ。オバマ政権が作り出した流れをトランプは止められないでいる。
2018.07.24
イスラルの戦闘機がレバノン上空からシリアのハマにあるマスヤーフの軍事施設を攻撃したという。その一方、ロシア軍の使用しているフメイミム空軍基地へ向かって飛行していたUAV(無人機)が撃墜された。 シリアの南部、レバノン、イスラエル、ヨルダンと接している地域をシリア政府軍が制圧しつつある中、侵略勢力、つまりアメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランスなどの支援を受けたジハード傭兵は武装解除された上、家族とともにバスでイドリブへ移動している。この南部地域での作戦が終了した後、シリア政府軍はイドリブで奪還作戦を始めると見られている。 侵略部隊の司令官4名はイスラエルへ逃れ、アル・カイダ系武装集団の医療部隊として機能してきた「シリア市民防衛(白いヘルメット)」のメンバー800名がヨルダンへ逃げたと伝えられている。「白いヘルメット」のメンバー救出はアメリカ、カナダ、イギリスを含むヨーロッパ諸国の要請でイスラエルが実施したという。アメリカのネットワーク局CBSによると、カナダへの移住が考えられている。 北部ではトルコ軍の軍事侵攻が続き、クルドと戦闘になっているが、アメリカ軍はトルコ軍との直接的な衝突は避けた。トルコはNATOの一員であり、戦略的に重要な国であることから修復不能な対立へ入ることを嫌ったのだろう。必然的にこうした行為はクルドに不信感を抱かせる。 そのクルドは現在、バシャール・アル・アサド政権と接触、話し合いでの解決を目論んでいると伝えられている。石油施設を政府側へ明け渡したともいう。アメリカ、イギリス、フランスはすでに軍事基地を20カ所以上に建設していると言われているが、その大きな目的は油田の支配だと推測されている。クルドがアメリカ支配層の利権のために血を流すかどうかは不明。この石油利権を西側は手放したくないだろうが、クルドを傭兵として使えないとなると苦しい。 ヘルシンキで行われたドナルド・トランプ米大統領とウラジミル・プーチン米大統領の会談でもシリア情勢について話し合われたと言われているが、詳細はわからない。アメリカ支配層も内容を把握できていないようで、通訳を召喚するという話がある。
2018.07.23
アメリカの巨大資本にとって好ましくない体制を転覆させるプロジェクトで重要な役割を果たしてきた投機家のジョージ・ソロスがバラク・オバマへの失望を口にした。多額の献金をしたにもかかわらず、ソロスが望む結果が得られなかったということのようだ。 オバマは2009年1月から17年1月まで大統領を務めた。その間、2010年8月にムスリム同胞団を使った侵略戦争を承認、11年2月にはリビア、同年3月にはシリアへの侵略戦争を始めた。その手先になったのがムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするジハード傭兵。 西側で「アラブの春」と命名された反政府運動の一環とされていたが、その運動で政権が倒されたチュニジアやエジプトの政権はリビアのムアンマル・アル・カダフィが進めていたアフリカ自立プロジェクトに賛成していた。両国の体制転覆にアメリカ政府が関与していた可能性は高い。 ジャーナリストや内部告発者への攻撃が激化、秘密指定される文書の件数が激増したこともオバマ政権の特徴だった。2011年だけで秘密指定された文書は9200万件以上だと言われている。この間、有力メディアの支配層に対する従属度は高まり、単なる偽情報の発信源に成り下がった。 嘘で始められたイラクへの侵略戦争でアメリカがCIAなどが拘束された人々を拷問していた(いる)が、その事実を明らかにしたひとりにCIAのオフィサーだったジョン・キリアクがいる。2007年12月にネットワーク局のABCニュースのインタビューでウォーターボーディングと呼ばれる拷問が行われているという話をCIAの同僚から聞いたと発言したのだ。それを理由として、キリアクは2013年1月、懲役30カ月の判決を受け、刑期を全うした。 アメリカ政府は2014年2月22日にウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することに成功した。この人物は西側の傀儡ではなく、ウクライナの東部や南部で支持され、2010年2月の大統領選挙で勝利していた。 その政権を倒すためにアメリカ政府はNGOを使って抗議活動を演出、2013年11月にはキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)へ約2000名の反ヤヌコビッチ派が集めることに成功した。 規模が大きくなったところでアメリカ政府はネオ・ナチのグループを投入してクーデター劇の幕が開く。このグループは棍棒、ナイフ、チェーンなどを手にしながら石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルで銃撃を始め、2月中旬には2500丁以上の銃を持ち込み、狙撃も始めた。その背後にはアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補やジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使がいた。ジョン・マケイン上院議員もクーデターを扇動するためにウクライナ入りしている。 狙撃に関し、西側の政府や有力メディアはヤヌコビッチ政権に責任をなすりつけていたが、2月25日にキエフ入りしたエストニアのウルマス・パエト外相は事実が逆だということを知り、その結果を26日にEUの外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)だったキャサリン・アシュトンへ電話で報告した。 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合(クーデター派)の誰かだというきわめて強い理解がある。」 この情報をEUは封印した。 このクーデターを資金面から支援していたソロスは2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンを支援している。ちなみに、ネオコンのヌランドはヒラリーの友人として知られている。この選挙でソロスは民主党(事実上、ヒラリー陣営)へ2500万ドル以上を寄付した。勿論、これは表に出た資金だけの話だ。 民主党の幹部は2015年の段階でヒラリーを候補者にすることにしていたのだが、この事実がウィキリークスが2016年3月16日に公表した彼女の電子メールで発覚してしまう。2015年5月26日の時点でヒラリー・クリントンを候補者にすると決めていたことを示唆する電子メールもあったのだ。この事実はサンダースの支持者を怒らせることになった。民主党の幹部がクリントンを候補者に選ぶ方向で動いていたことはDNC(民主党全国委員会)の委員長だったドンナ・ブラジルも認めている。 この電子メール発覚の前、2月10日にヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問してプーチン大統領と会談、22日にシリアで停戦の合意が成立している。これを見て大統領選挙の「風が変わった」と噂されていた。 この電子メールを明らかにしたウィキリークスをアメリカ支配層は潰そうとしている。ロンドンのエクアドル大使館で軟禁状態になっているウィキリークスのジュリアン・アッサンジは今年(2018年)3月から外部との接触を断たれているが、本ブログでも書いたように、ここにきてイギリスの当局へ数日から数週間の間に引き渡されるのではないかという話が流れている。エクアドルの大統領が昨年5月に対米自立派のラファエル・コレアから従属派のレニン・モレノへ交代したことが大きい。
2018.07.22
IR(統合型リゾート)実施法が参議院の本会議で可決された。いうまでもなく、この法律は日本へカジノを導入することが目的だ。博打は政治家がよだれを垂らす利権だが、その欲ぼけ政治家を煽った人物がいる。ラスベガス・サンズなどを経営するドナルド・トランプのスポンサー、シェルドン・アデルソンだ。ウクライナ系ユダヤ人で、2013年にイランを核攻撃で脅すべきだと主張している。カジノの世界へ入ったのは遅く、1988年、55歳の時である。現在、ラスベガスのほか、ペンシルベニア、東南アジアのマカオとシンガボールでカジノを経営している。 このアデルソンは2013年11月に来日、自民党幹事長代行だった細田博之に対して東京の台場エリアで複合リゾート施設、つまりカジノを作るという構想を模型やスライドを使って説明、議員たちは動き出す。そして「自民党などは、カジノ解禁を含めた特定複合観光施設(IR)を整備するための法案を国会に提出した。日本維新の会、生活の党の議員などとの共同提出で、公明党は加わらなかった。」(「カジノ法案:自民党など国会提出-1兆円市場実現に向け前進」、Bloomberg、2013年12月6日) アデルソンは2014年2月、日本へ100億ドルを投資したいと語ったと伝えられている。そして「自民党などは昨年(2013年=引用者注)末、カジノ解禁を含めた特定複合観光施設(IR)の整備を推進するための法案を国会に提出、今年5月の大型連休明けに審議入りする見通し。同法案が予定通り国会を通過すれば、「IR実施法」の法制化に向けた作業が始まる。順調に手続きが進めば、カジノ第1号は2020年の東京オリンピックに間に合うタイミングで実現する可能性がある。」(「焦点:日本カジノに米サンズが100億ドルの賭け、巨大市場にらみ先陣争い」、ロイター、2014年2月28日) 2014年5月に来日したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は日本政府の高官に対し、アデルソンへカジノのライセンスを速やかに出すよう求めたとイスラエルのハーレツ紙が2015年2月5日付け紙面で伝えた。(この記事をハーレツ紙はすぐに削除している。) 本ブログでは前にも書いたことだが、著名なカジノの所在地はオフショア市場(課税を回避したり資産を隠すための場所)と重なる。カジノに「紳士淑女」が集う理由のひとつはそこにある。カジノでは巨額資金が動くのでマネーロンダリングに利用しやすい。しかも博打にはイカサマがつきもの。 富豪たちが課税から逃れるために使ってきた場所としてはスイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコなどが有名だが、1970年代になるとロンドンの金融街(シティ)を中心とするネットワークが整備され、カネの流れは変わった。そのネットワークはかつての大英帝国をつなぐもので、ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドなどが含まれている。 しかし、現在、最大のオフショア市場/タックスヘイブンはアメリカ。ロスチャイルド家の金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーが2015年9月、サンフランシスコ湾を望むある法律事務所で税金を避ける手段について講演した際、税金を払いたくないなら財産をアメリカへ移すように顧客へアドバイスするべきだと語ったという。アメリカこそが最善のタックス・ヘイブンだというわけである。ペニーはアメリカのネバダ、ワイオミング、サウスダコタなどへ銀行口座を移動させるべきだと主張、ロスチャイルドはネバダのレノへ移しているという。 「ギャンブル依存症」も深刻な問題だが、富豪や巨大企業の課税回避や資産隠しもカジノ建設の重要な目的だろう。カジノは地下世界と地上世界の出入り口になる。出入り口の番人として犯罪組織が雇われたとしても驚かない。
2018.07.21
ロンドンのエクアドル大使館に閉じ込めらているWikiLeaksのジュリアン・アッサンジをエクアドル政府は数週間以内にイギリス当局へ引き渡すと噂されている。引き渡されたなら、そのままアメリカへ送られ、そこで一生を刑務所の中で過ごすことになると推測されている。 アッサンジがエクアドル大使館へ逃げ込んだ理由はスウェーデン検察が2010年11月に逮捕令状を出し、滞在先のイギリスで裁判所がアサンジの身柄をスウェーデン当局へ引き渡すことを認めたためだ。この当時からアッサンジの身柄拘束を求めていたのはアメリカ政府だとみられていた。 アッサンジにかけられた容疑は「性犯罪」。もう少し具体的に言うならば、合意の上で始めた行為におけるコンドームをめぐるトラブルだ。アッサンジ側は女性の訴えを事実無根だとしている。このふたりの女性も当局が主張する容疑を否定している。 このトラブルに関係したふたりの女性は2010年8月20日にスウェーデンの警察に出向いて「被害」を訴え、「臨時検事」が逮捕令状を出した。その話を警察がスウェーデンのタブロイド紙へリーク、「レイプ事件」として報道することになる。が、主任検事のエバ・フィンはその翌日、容疑が曖昧だということで令状を取り消してしまう。 アッサンジは8月30日に警察から事情を聞かれているが、容疑を否認している。その翌日、9月1日に検事局長だったマリアンヌ・ナイが介入、主任検事の決定を翻し、捜査再開を決めたのである。しかも、捜査資料がメディアにリークされた。アメリカ政府の意向を受けた政治的な決定だとみられている。その捜査をスウェーデン当局は昨年(2017年)5月に打ち切ると決めた。 本来ならこの決定でイギリス当局はエクアドル大使館の包囲を解くべきなのだが、そうした兆候はない。それどころかスナイパーの配備は続き、今年3月からアッサンジは外部との接触を断たれている。 エクアドル政府の姿勢が大きく変化した最大の理由は2017年5月に大統領がラファエル・コレアからレニン・モレノへ交代したことだと考えられている。IMFからエクアドルへ圧力がかかったとも言われているが、モレノがアメリカの飴と鞭に屈したということだろう。 WikiLeaksが2010年11月に公表したアメリカの外交文書が原因でアラブの春が引き起こされた。政権が倒されたチュニジアやエジプトがリビアのアフリカ自立計画に賛成していたことから、CIAやモサドとの関係を疑う人もいる。 その外交文書の中でエジプトの反政府グループがアメリカ政府と事前に打ち合わせをしていることも発覚、バラク・オバマ米大統領が2010年8月にムスリム同胞団を使った侵略戦争を承認したことも今ではわかっている。 忘れてならないのは、WikiLeaksは内部告発者ではないということ。内部告発を支援する活動をしているのだ。送られてきた情報を取捨選択しているはずだが、元の情報は外部からきたもの。一種のメディアなのである。WikiLeaksのような団体を情報機関が利用することはありえるが、自分たちで創設するのは得策でない。 ところで、アッサンジが指名手配される4カ月前、WikiLeaksは衝撃的な映像を公表している。それはアメリカ軍のアパッチ・ヘリコプターが非武装の十数名を殺害する場面を撮影したもので、犠牲者の中にはロイターのスタッフ2名も含まれていた。自動車に乗っていた子どもふたりも重傷を負っている。この映像を伝えないメディアが存在するとするならば、そのメディアは当局の回し者だと言われても仕方がない。
2018.07.21
シリアで政府の代表とクルド勢力の代表が話し合いを進めていると伝えられている。クルド側は自治権を放棄、石油施設を政府側へ返還する意向を示しているようだ。2015年9月30日にロシアがシリア政府の要請で軍事介入を開始、サラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とするジハード傭兵の支配地域は急速に縮小した。 そこで、アメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランスといった侵略勢力は新たな手先としてクルドを使い始めた。侵略勢力はバシャール・アル・アサド政権を打倒を目指していたが、その「新政権」はクルドに自治権を与えるか、独立させると約束していたのだろう。アメリカ、イギリス、フランスの目的は油田の支配、イスラエルは大イスラエルの実現が目的だったのだろう。 しかし、アサド政権の打倒は困難になり、シリアの南部は政府軍がほぼ制圧した。イスラエルはあがいているが、体制に変化はないだろう。政府軍は次にイドリブ攻略に取りかかると見られている。このまま進むとクルドは侵略勢力の手先として戦わされることになる可能性があるの。 北部では反クルドのトルコ政府軍がシリア領内へ侵入しているが、アメリカ軍はクルドへの攻撃を放置、クルドがアメリカへの信頼をなくしても不思議ではない情勢だ。ここにきて住民が侵略勢力に対する抵抗を強めているとも伝えられていることも無視できない。 もしクルドとシリア政府が話し合いで問題を解決した場合、シリア領内に軍事基地を勝手に建設してきたアメリカ、イギリス、フランスは孤立することになる。トルコが米空軍インシルリク基地の使用を禁止、あるいは制限した場合、補給もままなくなる。 クルドの引き留めに失敗した場合、アメリカはシリア制圧を放棄しなければならないだろうが、それをネオコンはあくまでも軍事制圧を求めている。イランに対する経済戦争も成功する可能性は大きくない。イランは孤立していないからだ。 アメリカ、イスラエル、NATOはバルト海から黒海にかけての地域で軍事力を増強、ロシアを威圧しているが、これでロシアが屈することはない。
2018.07.20
アル・カイダ系武装集団の医療部隊として機能してきた「シリア市民防衛(白いヘルメット)」を西側諸国は救出しようとしている。アメリカのネットワーク局CBSによると、カナダへの移住が考えられているという。シリア南部を支配していたアル・カイダ系武装集団が壊滅状態で、西側は白いヘルメットを救出することにしたようだ。 言うまでもなくCBSはアメリカの世界侵略を支援してきたプロパガンダ機関。白いヘルメットを「正義の味方」として描いてきた。その「正義の味方」を助ける必要があるという話になっている。 白いヘルメットのメンバーと武装集団の戦闘員が重なっていることを示す映像は明らかになっていたが、それだけはない。アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物から白いヘルメットと武装集団が隣り合わせで活動していたことを示す証拠が発見され、解放された住民は白いヘルメットが武装集団と連携していた事実を明らかにしている。 その白いヘルメットの「情報」を口実にしてアメリカをはじめとする国々はターゲット国を侵略してきた。白いヘルメットは2013年の終わりから14年の初めにかけての次期にイギリスの情報将校だったジェームズ・ル・ムズリエが創設した。この人物は2000年に退役し、オリーブ・グループという傭兵組織の特別プロジェクトの幹部になっている。この組織の後にアカデミ(ブラックウォーターとして創設、Xeに改名、現在に至る)に吸収されている。 シリア侵略はリビア侵略より1カ月遅れて2011年3月から始まった。2010年8月にバラク・オバマ米大統領がムスリム同胞団を使った侵略戦争を承認した結果だ。リビアでの戦闘の過程でアル・カイダ系武装集団とNATOの連携が明白になり、ムアンマル・アル・カダフィ体制を倒した後、戦闘員がリビアからシリアへ移動してシリアでの戦闘は激化する。 アメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、トルコ、カタールなど侵略を目論んだグループはその侵略を正当化するために偽情報を流してきた。有力メディアや「人権擁護」団体が宣伝するのだが、そこへ偽情報を伝える仕組みが必要。当初、有力メディアが盛んに使っていた情報源がシリア系イギリス人のダニー・デイエムなる人物だったが、デイエムが撮影スタッフと演出の打ち合わせをしている場面が2012年3月にインターネット上へ流出、中継はフィクションだということが明らかになった。 その頃からオバマ政権は「穏健派」と『過激派」という話を作り上げるが、アメリカ軍の情報機関DIAは2012年8月にこの主張を否定する報告書をホワイトハウスへ提出している。反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだと指摘されていた)であり、オバマ政権が主張するところの「穏健派」は事実上、存在しないというわけだ。 その報告書が提出された頃、オバマ大統領はシリアに対する直接的な直接的な軍事介入のレッド・ラインは生物化学兵器の使用だと発言、その年の12月にはヒラリー・クリントン国務長官がシリアのバシャール・アル・アサド大統領は化学兵器を使う可能性があると語った。2013年1月29日付けのデイリー・メール紙にはイギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールに、オバマ政権がシリアで化学兵器を使い、その責任をアサド政権に押しつける作戦をオバマ大統領が許可したという記事が載った。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された) そして2013年春から繰り返しシリア政府が化学兵器を使ったという話が流れ始めるのだが、いずれも嘘だったことが判明している。最近の例は2018年4月7日のケース。白いヘルメットとジャイシュ・アル・イスラムという武装勢力はドゥーマで政府軍が化学兵器を使ったと宣伝、シリア政府やロシア政府は化学兵器が使われた痕跡はないと主張、OPCW(化学兵器禁止機関)に調査を要請した。 その調査チームが現地へ入る直前、4月14日にアメリカ、イギリス、フランスの3カ国はその地域をミサイルで攻撃する。ロシア国防省によると、発射されたミサイルの約7割はシリア側の防空システムで墜とされた。アメリカ軍は全て目標に命中したとしているが、説明が不合理で、説得力はない。 ロシア系のRTは西側の有力メディアが化学兵器の被害者だとして報道した子どもとその父親を取材、やはり化学兵器が使用されたという話を否定したが、このケースでは一部の西側のメディアもドゥーマで化学兵器は使われていないと伝えている。例えば、イギリスのインディペンデント紙が派遣したロバート・フィスク特派員は攻撃があったとされる地域へ入り、治療に当たった医師らに取材しているが、そこで患者は毒ガスではなく粉塵による呼吸困難が原因で担ぎ込まれたという説明を受けている。毒ガス攻撃があったことを示す痕跡はないという。アメリカのケーブル・テレビ局、OANの記者も同じ内容の報告をしている。OPCW(化学兵器禁止機関)も7月6日に発表された中間報告で、神経物質や化学兵器の分解物質は発見されなかったとしている。 白いヘルメットは戦争を始めるために偽情報を流したということだ。こうしたことを繰り返し、住民の虐殺にも加担してきた。その白いヘルメットを西側の政府や有力メディアは褒め称えている。
2018.07.19
ドナルド・トランプ米大統領とウラジミル・プーチン露大統領がフィンランドのヘルシンキで7月16日に会談したが、その後の記者会見でプーチン大統領から刺激的な話が飛び出した。2016年のアメリカ大統領選挙でヒラリー・クリントン陣営へロシアで指名手配になっている人物から4億ドルの献金があったと明言したのである。 その献金をした人物とされているのはヘルミテージ・キャピトルの共同創設者、ウィリアム・ブラウダー。シカゴ生まれだが、ボリス・エリツィンが大統領だった1990年代のロシアで巨万の富を築いた。外国人ではあるが、一種のオリガルヒ。2005年にロシアへの入国が禁止になった。 ブラウダーは欠席裁判で2013年7月に脱税で懲役9年の判決を受けているが、その年にロシア当局が求めた逮捕令状をインターポールは拒否している。2017年10月にロシア当局はブラウダーを国際手配、アメリカ議会は反発し、インターポールはロシアの手配を拒否した。 エリツィン時代のクレムリンが腐敗していたことは有名な話。オリガルヒの象徴的な存在だったボリス・ベレゾフスキーの暗部をフォーブス誌の編集者だったポール・クレブニコフが記事や著作で暴いた。マーガレット・サッチャー政権のときに名誉毀損の要件が緩和されたイギリスではベレゾフスキーに対する名誉毀損が認められたが、クレイブニコフの情報は信頼できると考えられ、問題になった彼の著作は今でも販売されている。 ロシアの検察当局はアメリカの当局に対し、何人かの事情聴取を正式に申し入れた。話を聞きたい相手には2012年1月から14年2月までロシア駐在大使を務め、12年のロシア大統領選挙に対する工作を指揮したマイケル・マクフォール、NSAの職員でブラウダーと親しいトッド・ハイマン、アメリカにおけるブラウダーのハンドラーだとされているアレキサンダー・シュバーツマンが含まれている。そのほか、MI6の元オフィサーで「ロシアゲート」の発信源であるクリストファー・スティールからもロシア側は話を聞きたいとしている。 スティールはMI6時代、ベレゾフスキーに雇われていたアレキサンダー・リトビネンコのケースオフィサーを務め、リトビネンコの死とロシアとの関係を主張していた。その後、2009年にオービス・ビジネス・インテリジェンスなる会社をMI6仲間と設立、17年にはチョートン・ホルディングスを共同創設した。このオービス・ビジネス・インテリジェンスをフュージョンなる会社が雇う。 フュージョンを創設したひとりであるグレン・シンプソンによると、同社は2016年秋にネリー・オーなる人物にドナルド・トランプの調査と分析を依頼している。その夫であるブルース・オーは司法省の幹部。この夫とシンプソンは2016年11月に会っている。その直後にブルースが司法省のポストを失うと、フュージョンはスティールと結びついたのである。 このフュージョンへトランプに関する調査を依頼して102万ドルを支払ったのが民主党の法律事務所であるパーキンス・コイ。この法律事務所はヒラリー・クリントンと民主党のために働いている。 ブラウダーのスタッフにセルゲイ・マグニツキーなる人物がいた。2009年にロシアで取り調べられている最中に死亡している。西側ではロシアにおける2億3000万ドルの横領事件を告発した人物だとして英雄視されている人物だ。死亡した当時、すでにボスのブラウダーはロシアへ入ることが禁じられていた。 スティールの報告書に基づいてアメリカ下院情報委員会でアダム・シッフ議員が2017年3月にロシアゲート事件の開幕を宣言する。この報告書が公表される前、その前のバージョンをジェームズ・コミーFBI長官(当時)へ渡したのがネオコンのジョン・マケイン上院議員だ。このスティールの報告書は根拠薄弱で説得力がなかった。シッフ議員たちロシア嫌いの人々はそれでもかまわなかったのだろう。 ブラウダーはマグニツキーの死を利用して反ロシアの法律をアメリカで制定することに成功、宣伝映画を作ろうと決める。そこで監督として雇われた人物がプーチンに批判的なことで知られていたアンドレー・ネクラソフ。 ところが、調査を進めたネクラソフはブラウダーの話が事実に反していることに気づいてしまう。不正を内部告発したのはブロウダーの会社で働いていた女性で、脱税はブロウダーが行っていたという事実を知ったのだ。しかも、その不正にマグニツキーは金庫番として関わっていたことも判明した。ネクラソフはその事実をドキュメンタリーの中に盛り込んだためにブロウダーと対立、作品を公開することが困難になっている。 ヘルミテージ・キャピトルのもうひとりの創設者はエドモンド・サフラ。1991年にソ連が消滅する直前、ゴスバンク(旧ソ連の国立中央銀行)に保管されている金塊2000トンから3000トンが400トンに減っていることが判明、ジョージ・H・W・ブッシュをはじめとするCIA人脈とKGBの頭脳と言われたフィリップ・ボブコフたちが盗んだと見られている。その金塊横領でサフラの名前も出てくる。 なお、この金塊の行方を追った金融調査会社のジュールズ・クロール・アソシエイツは不明だとしているが、この調査会社とCIAとの緊密な関係は有名だ。
2018.07.18
トランプとプーチンの会談が迫る中、イギリスでは新たなノビチョク騒動が引き起こされ、アメリカではロバート・マラー特別検察官が民主党の関連施設などをハッキングした容疑で12名を起訴している。いずれもロシア政府に対する攻撃に使われている。 ノビチョクとは「初心者」という意味で、1971年から93年にかけてソ連/ロシアで開発されていた神経物質の総称で、ロシアでこの名称が使われることはないと指摘する人もいる。使われた化学物質はA-234ともいう。旧ソ連では2017年までにこうした物質や製造設備は処分された。 この神経物質の毒性はVXガスの10倍だと言われている。VXガスの致死量は体重70キログラムの男性で10ミリグラムだとされているので、ノビチョクは1ミリグラムになる。 その一方、かつてソ連に含まれ、1991年に独立したウズベキスタンはノビチョクの関連施設を解体する際、アメリカの協力を受けているが、その際にアメリカはノビチョクに関して詳しい情報を入手したと言われている。 また、ノビチョクに関する情報をドイツの情報機関は1991年から持っていたとドイツでは5月17日に報道されている。その情報はスウェーデン、フランス、イギリス、アメリカなどNATO加盟国にも伝えられていたという。チェコの大統領も自国が同じ化学兵器を製造していたと語っている。ノビチョクを作れるのはロシアの機関だけだとイギリスのテレサ・メイ政権は主張するが、全く説得力はない。 イギリスのエイムズベリーに住むチャーリー・ローリーとドーン・スタージェスのカップルが6月30日に倒れ、スタージェスは病院で死亡したと報道されている。メイ首相によると、ノビチョクが入った香水の瓶が見つかったという。ふたりの友人であるサム・ホブソンによると、ローリーが麻薬常習者だったことから警察は当初、麻薬が原因だと考えたという。 ノビチョクは今年3月にも話題になった。元GRU(ロシア軍の情報機関)大佐、セルゲイ・スクリパリとその娘のユリアがイギリスのソールズベリーで倒れているところを発見されたのだが、その原因がノビチョクだとイギリス政府は主張しているのだ。後にふたりは回復して退院したとされている。ユリアは4月9日に退院した後の映像が流されたが、信じられないほど健康に見える。 セルゲイは1990年代にイギリスの情報機関MI6に雇われた二重スパイ。この事実が発覚してい2004年12月にロシアで逮捕され、06年に懲役13年が言い渡されているのだが、2010年7月にスパイ交換で釈放された。それ以来、ソールズベリーで本名を使って生活していた。 スクリパリ親子のケースで、化学兵器について研究しているイギリスの機関、DSTL(国防科学技術研究所)のチーフ・イグゼクティブであるゲイリー・エイケンヘッドは使われた神経ガスがロシアで製造されたものだと特定できなかったスカイ・ニューズの取材で語っている。元ウズベキスタン駐在イギリス大使のクレイグ・マリーも同じ話をDSTLの情報源から聞いたという。 ノビチョクはサリンやVXガスよりはるかに毒性が高いとされる。それにもかかわらずふたりが即死しなかった理由とされているのが雨。この化学物質は水に弱く、ドアノブのつけられた物質の毒性が急速に低下したということになっている。メディアに登場した学者はノビチョクがいかに水に弱いかを説明、空気中の水蒸気でも分解されてしまうとしていた。 その不安定なノビチョクが残っていたことを説明するため、香水の瓶をイギリス政府は持ち出した。筆者の情報源だったCIAの元エージェントによると、1970年代にCIAはサリンを香水の瓶に仕込んで使っていたという。香水の瓶に入ったノビチョクがスクリパリ親子に対する工作と関係があるということになると、ドアノブに付着させた方法が問題になる。単純に噴霧した場合、周辺に被害が及ぶ可能性が高いからだ。 いずれにしろ、イギリスの政府や捜査当局の主張は証拠が皆無。つまり「おとぎ話」にすぎない。ちなみに、おとぎ話の舞台になったソールズベリーとエイムズベリーの中間の地点にDSTLはある。 マラー特別検察官がロシア人12名を民主党の関連施設などをハッキングしたとして起訴したのは米ロ首脳会談の数日前。ここでも証拠は示されていない。つまり「おとぎ話」だ。
2018.07.17
ドナルド・トランプ米大統領とウラジミル・プーチン露大統領が7月16日にフィンランドで会談した。事前に言われていたテーマはウクライナの軍事的な緊張、シリアでの戦闘、朝鮮半島の和平交渉。 ウクライナでは2014年2月にネオコンがネオ・ナチを使ってクーデターを実行、民主的に選ばれたビクトル・ヤヌコビッチ大統領を追い出した。拘束のうえ殺すつもりだった野ではないかとも言われている。クリミアの住民はネオ・ナチの危険性を早い段階で察知してロシアとの統合へ進んだが、南部のオデッサでは反クーデター派の住民がネオ・ナチのグループに惨殺され、東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)では今も戦闘状態は解消されていない。 クーデターの目的はいくつか指摘されている。例えば、ロシアからEUへの天然ガス供給を断ち、工業地帯や資源地帯を支配し、あらゆる資産を略奪するとったことなど。アメリカでは農業を支えてきた地下水が枯渇しつつあり、汚染が問題になっているが、その水が使えなくなるとアメリカの農業は壊滅する。穀倉地帯を支配することも考えている可能性がある。 ネオ・ナチの戦闘集団の代表格とも言えるアゾフの元へは昨年(2017年)11月にアメリカの視察団が訪れ、兵站や関係強化について話し合ったと伝えられているが、イスラエルから武器が供給されていることもアゾフ側は隠していない。イスラエルはトランプが強い影響を受けている国だ。 シリアでの戦闘はイスラエルやヨルダンに近い地域もシリア政府軍が制圧しつつあり、イスラエルは動揺しているだろう。次はイドリブに取りかかると見られている。イドリブでは2017年9月、パトロール中だったロシア軍憲兵隊29名がアメリカの特殊部隊に率いられた武装集団に襲撃されるという出来事があった。戦車などを使い、ハマの北にある戦闘漸減ゾーンで攻撃を開始、数時間にわたって戦闘は続いた。作戦の目的はロシア兵の拘束だったと見られている。 それに対し、ロシア軍の特殊部隊スペツナズの部隊が救援に駆けつけて空爆も開始、襲撃した戦闘員のうち少なくとも850名が死亡、空爆では戦闘を指揮していた米特殊部隊も全滅したと言われている。イドリブでロシアやシリアの部隊がどこにいるかという機密情報がアメリカ主導軍からアル・ヌスラ(アル・カイダ系武装集団)へ伝えられていた可能性が高い。ロシア軍がその気になれば、シリア政府軍はイドリブをすぐに制圧できることを示している。 イドリブが終わるとユーフラテス川の北になるが、そこにはアメリカ軍、イギリス軍、フランス軍がクルドと連携、基地を20カ所以上で建設、そこで戦闘員を訓練しているとも言われている。アメリカ軍はデリゾールなど油田地帯を死守する姿勢を見せている。 現地で流れている情報によると、シリア政府軍が優勢だということを受け、住民が侵略軍に対する抵抗を始めたという。こうした動きが広がるとアメリカによる占領も難しくなりそうだ。当初の計画通りに動いていないため、イラクのようにクルドが離反する可能性もある。 朝鮮半島は韓国、ロシア、中国が主導権を握っている。そこへ朝鮮も加わり、アメリカは難しい状況に陥った。アメリカ海軍は2隻の駆逐艦、マスティンとベンフォードに台湾海峡を航行させて中国を挑発、インド・太平洋軍を創設して中国が計画している海のシルクロードを妨害しようとしている。朝鮮半島を制圧できないとなると、和平交渉を壊す可能性もある。少なくともそうした勢力がアメリカ支配層の内部にはいる。今回の米ロ首脳会談でプーチンはトランプに対し、米朝対話の継続を求めたと見られている。
2018.07.17
イスラエルのアビグドル・リーベルマン国防相はアルランドのイスラエル大使館を閉鎖するように求めている。アイルランドの上院がイスラエルに不法占領されている地域からの輸入を禁止する法案を通過させたことに反発してのことだ。 占領地に巨大な分離壁(堀、有刺鉄線、電気フェンス、幅60~100メートルの警備道路、コンクリート壁で構成)をイスラエル政府は建設、その内部にパレスチナ人を押し込める一方、ユダヤ人の違法移民を推進してきた。パレスチナ人の居住地域は巨大な強制収容所と化している。 こうした状況を作り出した原因は1948年5月14日の「イスラエル建国」にある。アラブ系住民(パレスチナ人)をシオニストが武力で追い出して作り上げたのだ。元々住んでいた人々を追い出すため、シオニストは住民を虐殺している。 住民虐殺は1948年4月4日に始まった「ダーレット作戦」の中で実行された。広く知られているデイル・ヤシン村での虐殺は9日の午前4時半に始まった。寝込みを襲ったのである。 その時間帯、デイル・ヤシン村では仕事の関係で男はほとんどいなかった。襲われたのは女性と子ども。シオニストの武装集団はそうした人びとを惨殺、女性は殺される前にレイプされている。襲撃の直後に村へ入った国際赤十字の人間によると、殺されたのは254名で、そのうち女性は145名で35名は妊娠していた。 パレスチナに「ユダヤ人の国」を作ろうという動きは19世紀の後半から始まっている。活動資金を出していた中心的な存在はフランスを拠点としていたエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルド。この人物の孫、エドモンド・アドルフ・ド・ロスチャイルドはイスラエルの核兵器開発に対する最大の資金提供者だ。 「ユダヤ人の国」を作る話にはイギリス政府も重要な役割を果たしている。中でもイギリスのアーサー・バルフォア外相が1919年にウォルター・ロスチャイルドへ宛てた書簡(実際に書いたのはアルフレッド・ミルナー)が有名。「イギリス政府はパレスチナにユダヤ人の民族的郷土を設立することに賛成する」とそこには書かれていた。 アメリカでイスラエルの核兵器開発に資金を出していた富豪としてエイブラハム・フェインバーグが知られている。この人物はハリー・トルーマンやリンドン・ジョンソンのスポンサーでもあった。ジョン・F・ケネディはイスラエルに厳しい姿勢で臨んだが、現在のアメリカ政界はイスラエルべったりである。 国連大使のニッキー・ヘイリーは狂信的な親イスラエル派で、ドナルド・トランプ大統領は昨年(2017年)12月6日の演説でエルサレムをイスラエルの首都だと認め、今年5月14日にエルサレムの大使館をオープンさせたが、6月4日のトランプ大統領は大使館の移転を延期する指令にサインしている。大使館の移転はネオコンから攻撃されていたトランプ大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の求めに応じて決めた可能性が高い。 ただ、大使館をエルサレムへ移転させることはアメリカ政界の「総意」。「1995年エルサレム大使館法」という法律がアメリカにはあり、エルサレムをイスラエルの首都だと承認し、1999年5月31日までにエルサレムへアメリカ大使館を移転すべきだとしていた。昨年6月5日にアメリカの上院はその法律を再確認する決議を賛成90、棄権10で採択している。形の上ではトランプが議会の決定を尊重しただけのことだ。 しかし、国際的に見るとこの決定はイスラエルを批判する声を高めることになった。そうした中、イスラエルがガザで行っている海上封鎖を突破するとう行動が始まっている。ガザから公海へ向かうという試みはイスラエルによって阻止されたが、ヨーロッパから「自由の船団」がガザへ向かっている。その中には1967年にイスラエル軍に攻撃され、多くの死傷者を出したアメリカの情報収集船リバティの生存者も乗り込んでいる。 本ブログでは何度か触れているが、リバティは第3次中東戦争の最中、1967年6月8日にイスラエル沖で攻撃を受けた。アメリカの艦船だと認識しての攻撃で、リンドン・ジョンソン政権は事前に攻撃を知っていた可能性もある。攻撃に関するデータをアメリカ政府は全て廃棄、この出来事を封印しようとしたが、少しずつ外部へ漏れている。
2018.07.15
ロバート・マラー特別検察官はロシア人12名を民主党の関連施設などをハッキングしたとして起訴した。起訴されたロシア人はいずれもGRU(ロシア軍の情報機関)のメンバーだとされているが、ロシア政府はいずれもGRUとは無関係だとしている。これまでと同じように、証拠は示されていないが、起訴された12名がアメリカの法廷に立つ可能性は限りなくゼロに近く、特別検察官側は証拠を提出する必要はない。 7月16日に予定されているドナルド・トランプ米大統領とウラジミル・プーチン露大統領との会談に合わせての起訴で、ロシアとの関係修復を嫌う、つまりヒラリー・クリントンを担いでいた勢力の意向が反映されている可能性は高い。 一連の「ロシア疑惑」で忘れてならないことが少なくともふたつある。ひとつは疑惑を示す証拠が存在していないこと。電子メールはハッキングではなく内部からのリークだった可能性が高く、民主党やFBIのストーリーに説得力はない。もうひとつはアメリカ支配層が世界規模で選挙に介入、自分たちの意向に反する人物が当選すると暗殺やクーデターを仕掛けてきたということだ。最近の例では、2014年2月にウクライナで合法政権をクーデターで転覆させ、ネオ・ナチが跋扈する破綻国家にしてしまった。 NSAの不正を内部告発したウィリアム・ビニーも指摘しているように、ロシア政府がハッキングしたという主張が事実ならその証拠をNSAは握っている。それを出せないと言うことは、証拠がない、つまりハッキング話が嘘だと言うことを示している。2016年初頭の段階ではその年の大統領選挙でヒラリー・クリントンが勝利すると言われていた。クリントンが次期大統領に内定したと言われるようになったのは2015年6月。この月の11日から14日かけてオーストリアで開かれたビルダーバーグ・グループの会合にジム・メッシナというヒラリー・クリントンの旧友が出席していたからだ。 ところが、2月10日にヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問してプーチン大統領と会談、22日にシリアで停戦の合意が成立したことから「風が変わった」と噂されるようになる。そして3月16日にウィキリークスがヒラリー・クリントンの電子メールを公表、その中にはバーニー・サンダースが同党の大統領候補になることを妨害するよう民主党の幹部に求めるものがあり、サンダースの支持者を怒らせることになる。民主党幹部たちが2015年5月26日の時点でヒラリー・クリントンを候補者にすると決めていたことを示唆する電子メールもあった。 民主党の幹部がクリントンを候補者に選ぶ方向で動いていたことはDNC(民主党全国委員会)の委員長だったドンナ・ブラジルも認めている。彼女はウィキリークスが公表した電子メールの内容を確認するために文書類を調査、DNC、ヒラリー勝利基金、アメリカのためのヒラリーという3者の間で結ばれた資金募集に関する合意を示す書類を発見したという。その書類にはヒラリーが民主党のファイナンス、戦略、そして全ての調達資金を管理することが定められていた。その合意は彼女が指名を受ける1年程前の2015年8月になされた。 この問題ではクリントンによる電子メールの扱い方や削除が問題になった。彼女は公務の通信に個人用の電子メールを使い、3万2000件近い電子メールを削除していたのだ。ジェームズ・コミーFBI長官(当時)は彼女が機密情報の取り扱いに関する法規に違反した可能性を指摘、情報を「きわめて軽率(Extremely Careless)」に扱っていたとしていた。 この「きわめて軽率」は元々「非常に怠慢(Grossly Negligent)」だと表現されていたのだが、それをFBIのピーター・ストルゾクが書き換えていた。後者の表現は罰金、あるいは10年以下の懲役が科せられる行為について使われるという。クリントンが刑務所行きになることを防ぐために書き換えた疑いがもたれている。 技術的な分析からクリントンの電子メールはハッキングではなく内部からのリークだった可能性が高いのだが、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、電子メールをウィキリークスへ渡したのはDNCのコンピュータ担当スタッフだったセス・リッチであり、その漏洩した電子メールをロシア政府がハッキングしたとする偽情報を流たのは2013年3月から17年1月までCIA長官を務めたジョン・ブレナンだという。 同じ趣旨のことはリッチの両親が雇った元殺人課刑事の私立探偵リッチ・ウィーラーも主張していた。この探偵はセスがウィキリークスと連絡を取り合い、DNC幹部の間で2015年1月から16年5月までの期間に遣り取りされた4万4053通の電子メールと1万7761通の添付ファイルがセスからウィキリークスへ渡されているとしていた。 ダナ・ローラバッカー下院議員によると、2016年8月に同議員はロンドンのエクアドル大使館でウィキリークスのジュリアン・アッサンジと会談、リークされた電子メールの情報源がロシアでないことを示す決定的な情報を提供する容易があると聞かされたという。アッサンジ逮捕を諦めることが条件だったようだ。 この情報をローラバッカー議員はジョン・ケリー大統領首席補佐官に伝えたのだが、この情報はトランプ大統領へは知らされなかった。現在、アッサンジは外部との接触が禁止されている。 ロシアゲート事件の始まりにはクリストファー・スティールなるMI6(イギリスの対外情報機関)の元オフィサーが出てくる。その情報に基づいて下院情報委員会でアダム・シッフ議員は大統領選挙にロシアが介入したとする声明を2017年3月に出して疑惑劇場の幕が上がったのだが、この話はFBIのスキャンダルに発展してしまった。
2018.07.14
NATO(北大西洋機構)は7月11日から12日にかけて首脳会議を開いた。国防費の負担を巡ってアメリカと他の国とで対立があったと伝えられているが、アメリカが1992年2月に作成した世界制覇プランを妨害しているロシアに対する敵対的な姿勢では一致したようである。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、この世界制覇プランはDPG(国防計画指針)として作成されたのだが、そのときの国防長官はリチャード・チェイニー。作成の中心は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツで、I・ルイス・リビーやザルメイ・ハリルザドも参加している。いずれもネオコンだ。 このドクトリンは国防総省内部のシンクタンク、ONA(ネット評価室)で室長を務めていたアンドリュー・マーシャルの戦略に基づいているのだが、そのマーシャルはイギリス出身のバーナード・ルイスから世界観を学んでいる。ルイスはイスラエルやサウジアラビアの支持者で、ウォルフォウィッツを含むネオコンを育成したヘンリー・ジャクソン上院議員(1953年~83年)からも信奉されていた。マーシャルは偽情報に基づくソ連脅威論や中国脅威論を広めた人物でもある。 ソ連消滅はジョージ・H・W・ブッシュ大統領(1989年~93年)を中心とするアメリカのCIA人脈やローレンス・サマーズ、ポール・ウォルフォウィッツらがKGBの頭脳とも呼ばれたフィリップ・ボブコフを含むKGBの将軍たちと手を組んで実行した工作の結果。 東西ドイツが1990年に統一される際、ブッシュ政権の国務長官、ジェームズ・ベイカーはソ連のエドゥアルド・シェワルナゼ外務大臣に対し、統一後もドイツはNATOにとどまるが、東へNATOが拡大されることはないと約束している。この約束を信じたゴルバチョフはドイツ統一で譲歩したのだが、約束は守られなかった。 NATOは1949年、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベルギー、オランダ、そしてルクセンブルクによって創設された。ソ連に対抗することが目的だとされたが、その当時のソ連には西ヨーロッパに攻め込む能力はない。何しろ、ドイツとの戦闘でソ連の国民は2000万人以上が殺され、工業地帯の3分の2を含む全国土の3分の1が破壊され、惨憺たる状態だったのである。 第2次世界大戦の終盤、アメリカとイギリスはゲリラ戦を目的としてジェドバラという組織を作った。その人脈は戦後も生き続け、1948年頃にはCCWU(西側連合秘密委員会)という組織が統括していた。その人脈はNATOに吸収され、CPC(秘密計画委員会)が指揮することになる。その下部組織としてACC(連合軍秘密委員会)が1957年に設置され、NATOの秘密ネットワークを動かすことになる。 その秘密ネットワークはソ連軍が侵攻してきた際にレジスタンスを行うとされていたが、実際はソ連圏への工作や西ヨーロッパの支配が目的。NATOへ加盟するためには秘密の反共議定書にも署名する必要があると言われている。(Philip Willan, “Puppetmaster”, Constable, 1991)コミュニストと戦うために彼らは役に立つという理由からだという。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) こうしたネットワークの中で最も知られているのはイタリアのグラディオ。1960年代から80年代にかけて「極左」を装って爆弾テロを繰り返していた。活動はイタリアの情報機関がコントロール、その上には米英の情報機関が存在していた。 フランスで1961年に創設された反ド・ゴール派の秘密組織OAS(秘密軍事機構)もその人脈に属していた。OASへ資金を流していたパイプのひとつ、パーミンデックスはジョン・F・ケネディ大統領暗殺でも名前が出てくる。 こうした人脈が存在することは1947年6月にフランスの内務大臣だったエドアル・ドプが指摘している。政府を不安定化するため、右翼の秘密部隊が創設されたというのだ。しかも、その年の7月末か8月6日には米英両国の情報機関、つまりCIAとMI6と手を組んで秘密部隊はクーデターを実行する予定で、シャルル・ド・ゴールを暗殺する手はずになっていたと言われていた。 OASは1961年4月にスペインのマドリッドで秘密会議を開き、アルジェリアでのクーデターについて話し合っている。アルジェリアの主要都市を制圧した後でパリを制圧するという計画で、4月22日にクーデターは実行に移される。 CIAはクーデターを支援していたのだが、ケネディ大統領はジェームズ・ガビン駐仏大使に対し、必要なあらゆる支援をする用意があるとド・ゴールへ伝えるように命じた。アルジェリアにいるクーデター軍がパリへ侵攻してきたならアメリカ軍を投入するということだ。CIAは驚愕、クーデターは4日間で崩壊した。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) その後、ド・ゴール大統領はフランスの情報機関SDECEの長官を解任、第11ショック・パラシュート大隊を解散させる。OASは1962年に休戦を宣言するが、ジャン=マリー・バスチャン=チリー大佐に率いられた一派は同年8月22日にパリで大統領の暗殺を試みて失敗。暗殺計画に加わった人間は9月にパリで逮捕された。全員に死刑判決が言い渡されたが、実際に処刑されたのはバスチャン=チリー大佐だけだ。 暗殺未遂から4年後の1966年にフランス軍はNATOの軍事機構から離脱、翌年にはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリを追い出す。フランスがNATOの軍事機構へ一部復帰すると宣言したのは1995年のこと。NATOへの完全復帰は2009年にニコラ・サルコジ政権が決めている。
2018.07.13
シリア政府軍はダマスカスの南、イスラエルやヨルダンとの国境に近い地域を着実に制圧しつつある。こうした流れを変えられないとアメリカ軍は判断したようで、FSAに対して軍事介入しないと通告していた。 それに対し、イスラエル軍はホムスのT4空軍基地を7月8日に、また12日には別の軍事施設3カ所をミサイルで攻撃、その一部はシリア軍の迎撃で破壊されたようだ。大きな被害は報告されていない。T4は4月9日に次ぐ攻撃で、7月12日の攻撃はシリア軍がUAV(無人機)を飛ばしたことに対する報復だとされている。 T4への攻撃から5日後、アメリカ軍はイギリス軍とフランス軍を率いてシリアをシリアをミサイル攻撃した。アメリカ国防総省の発表によると、攻撃のターゲットはバルザー化学兵器研究開発センター(76機)、ヒム・シンシャー化学兵器貯蔵施設(22機)、ヒム・シンシャー化学兵器(7機)で、すべてが命中したとしているが、さして大きくもない施設にこれだけのミサイルを撃ち込むのは不自然。 これに対し、ロシア国防省は攻撃された場所として、ダマスカス国際空港(4機。全て撃墜)、アル・ドゥマイル軍用空港(12機。全て撃墜)、バリー軍用空港(18機。全て撃墜)、サヤラト軍用空港(12機。全て撃墜)、メゼー軍用空港(9機。うち5機を撃墜)、ホムス軍用空港(16機。うち13機を撃墜)、バザーやジャラマニの地域(30機。うち7機を撃墜)を挙げている。シリア政府軍の航空兵力に打撃を加え、ジハード傭兵にダマスカスを攻撃させようとした可能性が高いが、発射されたミサイルの7割は墜とされてしまったとみられている。 米英仏による4月14日の攻撃はOPCW(化学兵器禁止機関)の調査チームが現地を訪れる直前に行われたものだが、この攻撃についてジャイシュ・アル・イスラムの幹部、モハマド・アルーシュは米英仏の攻撃に失望したと表明している。思惑通りにならなかったということだろう。 このジャイシュ・アル・イスラムはCIAの影響下にある武装集団で、アル・カイダ系のアル・ヌスラと連携(タグの違い)してきた。またイギリスの特殊部隊SASやフランスの情報機関DGSEのメンバーが指揮しているとも報告されている。 4月14日の攻撃を正当化するために米英仏はシリア政府軍による化学兵器の使用を主張していたが、状況から見てそうした兵器を使ったとは思えない。ロシア政府は当初から化学兵器が使われた痕跡はないとしていたが、現地のドゥーマへ入ったインディペンデント紙のロバート・フィスク特派員は治療に当たった医師らを取材、そこで患者は毒ガスではなく粉塵による呼吸困難が原因で担ぎ込まれたという説明を受けている。毒ガス攻撃があったことを示す痕跡はないという。またアメリカのケーブル・テレビ局、OANの記者も同じ内容の報告、ロシア系のRTは西側の有力メディアが化学兵器の被害者だとして報道した子どもとその父親を取材、やはり化学兵器が使用されたという話を否定した。ここにきてOPCWが発表した報告でも化学兵器が使用された痕跡はないという。 攻撃の日、ドナルド・トランプ米大統領は中国の習近平国家主席と食事をしていた。そのタイミングで中国を脅すというシナリオができていたのだが、それを実現するためにはどうしてもその日に攻撃する必要があったのだろう。が、結果は裏目に出た。アメリカのミサイル攻撃の威力を見せつけるはずがロシアの防空システムの高い能力を見せつけることになったのだ。「脅して屈服させる」ことしかできないアメリカやイスラエルは核戦争へ近づくしかない。
2018.07.12
韓国と朝鮮との関係が好転する中、韓国の情報機関NIS(国家情報院)が朝鮮人ウェイトレス12名を拉致して韓国へ連れてきたという話が話題になっている。女性は行き先を知らされずに連れ出されたという。国連特別報告者のトマス・オヘア・キンタナはそのうち何人かからソウルで話を聞いたという。 伝えられるところによると、2014年に中国の寧波にある朝鮮レストランの支配人がNISに雇われたところから話は始まる。その支配人はNISの活動に協力することになるわけだが、2016年になるとそうした行為が発覚することが恐ろしくなり、亡命を求めたという。それに対し、NISは彼のスタッフも一緒に連れて行くと伝える。そこで支配人はウェイトレスを騙して韓国へ連れ去ったということのようだ。 韓国の文在寅大統領はアメリカから自立する政策を進めているが、韓国軍やNISはアメリカの強い影響下に置かれている。拉致事件が事実だった場合、南北の友好促進に利用できるかもしれないが、NISの責任問題に発展した場合、韓国は不安定化する可能性がある。
2018.07.11
ウクライナでは2014年2月のクーデタ以来、ネオ・ナチの影響力は減少するどころか強まっている。中でも名の知られているアゾフの元へは昨年(2017年)11月にアメリカの視察団が訪れ、兵站や関係強化について話し合ったと伝えられている。このネオ・ナチ集団はシオニストの富豪で、ウクライナ、イスラエル、キプロスの三重国籍のイゴール・コロモイスキーがパトロンだったことで知られている。イスラエルから武器が供給されていることをアゾフ側も隠していない。 クルミアの制圧に失敗したクーデター政権は東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)と南部のオデッサを押さえようとする。そうした中、CIA長官だったジョン・ブレナンが2014年4月12日にキエフを秘密訪問、22日にはジョー・バイデン副大統領もキエフを訪れた。それにタイミングを合わせるようにしてクーデター政権の閣僚はオデッサの工作について話し合っている。その会議にコロモイスキーも参加していた。参加者のひとり、アンドレイ・パルビーは数日後に数十着の防弾チョッキをオデッサのネオ・ナチの下へ運んだ。そして5月2日、オデッサで反クーデター派の住民がネオ・ナチのグループに虐殺されている。 その翌年、2015年5月30日にオデッサの知事に就任したミハイル・サーカシビリは2008年1月から13年11月までジョージアの大統領を務めている。大統領に就任して7カ月後の8月7日にサーカシビリは南オセチアを奇襲攻撃する。南オセチアを支配していた分離独立派に対して対話を訴えてから約8時間後のことだ。 奇襲したジョージア軍はロシア軍の反撃で惨敗する。その結果を見て無謀だったという人もいたが、ジョージア側からすると、十分に準備して行った攻撃だった。2001年からイスラエルから武器/兵器の供給を受け、軍事訓練も受けていた。 ジョージア軍を訓練していたのはイスラエル軍のガル・ヒルシュ准将(予備役)が経営する「防衛の盾」で、予備役の将校2名の指揮下、数百名の元兵士が教官としてグルジアに入っていた。しかも、イスラエル軍の機密文書が使われていたとする証言もある。軍事訓練の責任者はヒルシュのほか、やはりイスラエルの退役将軍であるイースラエル・ジブで、両者とも2006年のレバノン侵攻に参加している。イスラエルから供給された装備には無人飛行機、暗視装置、防空システム、砲弾、ロケット、電子システムなどが含まれていた。 当時、ジョージア政府にはヘブライ語を流暢に話す閣僚がふたりいた。ひとりは奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣のダビト・ケゼラシビリであり、もうひとりは南オセチア問題で交渉を担当しているテムル・ヤコバシビリだ。 ジョージアのパンキシ渓谷はチェチェンの反ロシア勢力が拠点として使っている場所。CIAは戦闘員を育成、ロシアに揺さぶりをかける重要な国だった。チェチェンでの活動だけでなく、そこからシリアへ戦闘員が派遣されていたとも言われている。ジョージア軍による奇襲攻撃は対ロシア戦争の予行演習で、その演習が大失敗に終わったという見方もできる。
2018.07.10
朝鮮での交渉を終えてベトナムへ移動したアメリカのマイク・ポンペオ国務長官は朝鮮もハノイが歩んだ道を進むべきだと語ったという。「リビア・モデル」、「ドイツ・モデル」に続く「ベトナム・モデル」だ。 リビアの場合、アメリカがイラクを先制攻撃した2003年にムアンマル・アル・カダフィ政権が核兵器や化学兵器の廃棄を決定したところから始まる。アメリカは「制裁」を解除するはずだったが、勿論、アメリカは約束を守らない。「制裁」は続いた。2010年にはバラク・オバマ大統領がムスリム同胞団を使った侵略計画(PSD11)を作成、「アラブの春」という形で実行に移され、リビアは侵略される。破壊、殺戮、略奪で現在は暴力が支配する破綻国家だ。 ドイツの場合、アメリカ政府とソ連政府が東西ドイツの統一で合意したところから始まる。交渉でアメリカの国務長官だったジェームズ・ベイカーはソ連のエドゥアルド・シェワルナゼ外務大臣に対し、統一後もドイツはNATOにとどまるものの、東へNATOを拡大することはないと約束したことが記録に残っている。それをミハイル・ゴルバチョフは無邪気にも信じて統一を認めた。勿論、アメリカは約束を守らない。アメリカの世界制覇を願う人にとってドイツ・モデルは成功例なのかもしれないが、自国の主権を守りたいと考える人にとっては反省すべきケースだ。すでにNATO軍はロシアの玄関先まで到達、軍隊を配備し、ミサイルを設置してロシアを恫喝、軍事的な緊張は高まっている。 ベトナム戦争でアメリカ軍は負けた。アメリカは疲弊したが、それ以上にベトナムの国土は惨憺たる状態。アメリカ軍による「秘密爆撃」ではカンボジアやラオスでも国土が破壊され、多くの人々が殺された。戦闘では通常兵器だけでなく、化学兵器の一種である枯れ葉剤(エージェント・オレンジ)やナパーム弾が使われ、CIAのフェニックス・プログラムでは人々を殺すだけでなく、共同体を破壊した。 ソ連が消滅してから3年後の1994年にアメリカはベトナムに対する「制裁」を解除するが、その代償として新自由主義を受け入れ、IMFなどの「毒饅頭」を食べることになる。しかもベトナム戦争中にアメリカ側が行った犯罪的な行為は不問に付され、ベトナムの庶民は低賃金労働者として西側巨大資本の金儲けに奉仕させられている。アメリカの対中国戦争の手駒でもある。 朝鮮もソ連消滅後、核兵器やミサイル発射の実験など、アメリカの支配層にとって都合の良い言動を続けてきたが、それが今年に入って変化した。朝鮮半島を含む東アジアにおける軍事的緊張の緩和はアメリカにとって好ましいことではない。ありえるのはリビア、ドイツ、ベトナムのような展開だ。
2018.07.09
アメリカのマイク・ポンペオ国務長官が7月5日から7日にかけて朝鮮を訪問、非核化について話し合ったようだ。ポンペオ長官は「建設的だった」と評価したが、朝鮮側はアメリカの姿勢を遺憾だと批判している。 4月27日に板門店で韓国の文在寅大統領と朝鮮の金正恩労働党委員長は「朝鮮半島の非核化」で合意、6月12日にシンガポールでドナルド・トランプ米大統領と金労働党委員長で会談した際にもこの合意を再確認していたのだが、今回、ポンペオ長官は朝鮮の一方的な核の放棄、つまりアメリカへの降伏を主張したようだ。アメリカ政界の主流の意見に沿った発言をしたと言える。 朝鮮の一方的な核の放棄を朝鮮側が受け入れないだろうということをアメリカ側も理解しているはずで、ポンペオ長官が今回、そうした主張をしたとするならば、6月12日の米朝首脳会談で進み始めたかに見えた和平の動きにブレーキをかけ、場合によっては潰そうとしていると思われても仕方がない。 トランプ米大統領の朝鮮に対する表現が6月22日には変化している。朝鮮を「尋常でない脅威」だとし、制裁を続けるとしたのである。その日、韓国の文大統領はロシアでウラジミル・プーチン大統領と会談、平和的な朝鮮半島の非核化を目指すことで一致、国境を越えたエネルギー・プロジェクトを推進し、FTA(自由貿易協定)に関する話し合いを始めることで合意したという。 朝鮮が核兵器の爆破実験やミサイルの発射実験を繰り返し、東アジアの軍事的な緊張を高めていた当時から文政権はロシアとの経済交流を発展させようとしていた。朝鮮の行動はアメリカ支配層にとって好ましいもので、韓国政府の動きは逆だったと言える。 現在、アメリカは関税の引き上げで各国を脅している。トランプ大統領は国内製造業が落ち込んだ原因を外国にあると主張しているが、真の原因がアメリカの新自由主義的な政策による製造業の国外への移転にあることは本人も理解しているだろう。アメリカの金融マジックを柱とする支配システムを立て直そうとしているようにも見える。 アメリカが世界を支配する道具はいくつかある。例えばドル、石油、軍事力。麻薬の重要なファクターだ。ドル体制から離脱する意思を示していたイラクやリビアは軍事力で破壊したが、現在は中国やロシアがドル離れの中心的な存在。この両国に対し、必死に圧力を加えているが、思惑通りに進んでいるとは思えない。 ドル体制を守る重要な仕組みのひとつがペトロダラーだということは本ブログでも書いてきた。その中心的な国がサウジアラビア。そのアメリカに対してアメリカ政府は石油の増産を強要、その一方でイランからの石油輸入をゼロにするよう各国を脅している。 イランはロシアと同盟関係にあり、イスラエルやサウジアラビアが敵視している。アメリカは韓国や日本に対してもイランからの石油輸入を止めるように要求しているが、そう簡単にはいかない。韓国はイランからの輸入を止めると報道されたが、これは韓国政府が否定した。 アメリカはEUへの圧力を強めるため、ロシアからの天然ガス輸送を断ち切ろうとしてきた。2014年にウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターが実行されたひとつの理由はそこにある。現在、ノード・ストリーム2プロジェクトを止めようとしている。 クーデターの結果、そのウクライナではネオ・ナチが跋扈する破綻国家だ。そのウクライナでふたつのネオ・ナチ政党、「ウクライナ社会ナショナル党(後にスボボダへ改名)」や「ウクライナ愛国者党」を創設、クーデター時には狙撃を指揮していたと言われるアンドレイ・パルビーが国会議長としてアメリカを訪問、議員たちに歓迎された。 もし、朝鮮半島の和平が実現したなら、天然ガスや石油のパイプラインやシベリア横断鉄道が朝鮮半島を南下してくる。そうなると中国の海上輸送ルートを押さえてもロシアの影響力が増すだけ。軍隊や情報機関をアメリカ支配層が押さえているとはいうものの、韓国は自立へ向かうだろう。アメリカの政策で経済が落ち込んでいる日本もどうなるかわからない。
2018.07.08
東京地検特捜部は7月4日、文部科学省の科学技術・学術政策局長だった佐野太を受託収賄の容疑で逮捕した。私立大学支援事業の対象校に選定されることの見返りに、自分の子を大学入試で合格させた疑いが持たれている。同日、佐野局長は解任され、大臣官房付になった。 日本医科大学から同大学を対象校に選定するよう佐野が依頼を受けたのは文科省官房長だった2017年5月。その見返りと知りながら、自分の子が今年2月に同大を受験した際、点数の加算を受けて合格させてもらった疑いがあるとされている。 言うまでもなく、検察、特に特捜部は信頼に値しない集団。裁判も行われていない段階であり、今回の出来事について語れる段階ではない。ただ、日本の受験が公正でなくなっているとは言える。学費の高騰で経済的に余裕のない家庭の子どもは圧倒的に不利な状況だが、それだけでなく試験の仕組みも不公正になっている。 今でも以前と同じような「一般入試」は残っているが、出身校から推薦された学生を選抜する「推薦入試」や出願者の個性や適性に対して多面的な評価を行って選抜するという「AO入試」など学校側の主観で合格者が左右される方法が多用されている。出身校でランク付けされることから受験の山場は小学校とも指摘されているが、勝負所が早くなればなるほど親の経済力の差が出る。 安倍晋三内閣の私的諮問機関だという「教育再生実行会議」が提出した「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について」には次のような記述がある:「各大学は、学力水準の達成度の判定を行うとともに、面接(意見発表、集団討論等)、論文、高等学校の推薦書、生徒が能動的・主体的に取り組んだ多様な活動(生徒会活動、部活動、インターンシップ、ボランティア、海外留学、文化・芸術活動やスポーツ活動、大学や地域と連携した活動等)、大学入学後の学修計画案を評価するなど、アドミッションポリシーに基づき、多様な方法による入学者選抜を実施し、これらの丁寧な選抜による入学者割合の大幅な増加を図る。その際、企業人など学外の人材による面接を加えることなども検討する。」 大学側が主観的に能力とは関係なく合格者を選べるわけで、「裏口入学のシステム化」のように見える。 かつて教育課程審議会の会長を務めたことのある三浦朱門は「ゆとり教育」について次のように語っている:「平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどうにもならんということです。できん者はできんままで結構。戦後五十年、落ちこぼれの底辺を上げることにばかり注いできた労力を、できる者を限りなく伸ばすことに振り向ける。百人に一人でいい、やがて彼らが国を引っ張っていきます。限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです。」(斎藤貴男著『機会不平等』文藝春秋、2004年) こうした方針で教育した結果、大学や大学院の学生の能力は大幅に低下しているという声が企業サイドから聞こえてくる。三浦が言うところの「学力」は能力と別物で、「できる者」は優秀でなかった。 日本の「エリート」はアメリカを追いかけ、新自由主義を導入してきた。そのアメリカでは公教育が崩壊状態にある。これはかなり前から進んでいたことで、アメリカの上院議員で元ハーバード大学教授のエリザベス・ウォーレンによると、アメリカでは医療とならび、教育が生活破綻の原因になっているという。 アメリカの場合、低所得者の通う学校では暴力が蔓延して非常に危険な状態で、学習どころではない。少しでもまともな公立の学校へ通わせようと望むなら、不動産価格の高い住宅地に引っ越す必要がある。 私立の進学校へ通わせるためには多額の授業料を払わなければならない。トルーマン・カポーティは『叶えられた祈り』(川本三郎訳、新潮文庫)の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物に次のようなことを言わせている。 「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」 エクセター校とは「一流大学」を狙う子どもが通う有名な進学校で、授業料も高い。そうしたカネを捻出するため、「ペニスを売り歩く」ようなことをしなければならないとカポーティは書く。アメリカの中では高い給料を得ているはずのウォール街で働く人でも教育の負担は重いのだ。結局、経済的に豊かな愚か者が高学歴になり、優秀でも貧しい子どもは落ちこぼれていくことになる。 イギリスも似たような状況で、例えば、2012年にイギリスのインディペンデント紙が行った覆面取材の結果、学費を稼ぐための「思慮深い交際」、日本流に表現するなら「援助交際」を仲介するビジネスの存在が明らかにされた。ギリシャでは食費を稼ぐために女子学生が売春を強いられ、売春料金が大きく値下がりしていると伝えられているが、こうした傾向は各国に広がりつつある。
2018.07.06
アメリカのドナルド・トランプ大統領はイランの石油輸出を阻止し、同国の経済を破綻させ、社会を不安定化、体制転覆へ導こうとしている。昨年(2017年)、ジョン・ボルトンは2019年にイランはMEK(ムジャヒディン・ハルク)が支配するようになると語っている。言うまでもなく、このボルトンは今年4月から国家安全保障補佐官だ。 MEKはかつてマルクス主義に影響を受けたイスラム勢力だったが、1979年にイランでイスラム革命が成功するとイラクへ逃れ、それまでのイデオロギーを放棄、カルト化して禁欲や睡眠制限などが強制され、既婚者は離婚させられるようになった。1970年代までのMEKとは別組織だと考えた方が良い。 イスラエルは2007年からイランで科学者を暗殺しているが、その手先として活動していたのもMEK。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、アメリカのJSOC(統合特殊作戦コマンド)は2005年からアメリカのネバダでMEKを訓練、アメリカの特殊部隊も07年にはイラク南部からイランへ侵入し、秘密工作をはじめているという。イランにはMEKのほか、スンニ派の武装組織、ジュンダラー(アラーの兵士)やクルドの分離独立派がアメリカやイスラエルの手先になっている。 これは1953年にクーデターでイランのムハマド・モサデク政権を倒したときと同じ手口だ。その当時、イランの石油利権はイギリス支配層が握っていた。略奪のために作られた会社がAIOCだ。 イギリスに限らないが、「北」の富は「南」からの略奪で成り立っている。「南」が真に自立したなら、「北」のシステムは維持できない。イラン人から見ると、自分たちはイギリスに略奪されているわけで、そうした状況をモサデク政権は変えようとする。そして石油関連の施設を国有化することにする。 それに対し、イギリス/AIOCは石油の生産と輸送を止めることで対抗した。イランの1日当たり石油生産量は1950年の66万6000バーレルから52年には2万バーレルへ急減した。イラン政府はオープン・マーケットで売却しようとしたが失敗、イタリア石油公団(AGIP)のエンリコ・マッティ総裁に売ることでまとまりかけたが、AIOCの圧力で成立しなかった。そこでモサデク政権はソ連に接触する。 現在、トランプ政権はイラン産原油の顧客国に対し、輸入を止めるように脅している。それだけだと相場が高騰、アメリカ国内が不安定化する可能性が高いため、サウジアラビアに増産を強要しているという。サウジアラビア支配層の基盤は脆弱で、現在はペトロダラーの仕組みを維持する代償として支配層の地位と収入が保証されている。増産に応じないとサウジアラビア支配層に対する保護を止めるとトランプ大統領は脅しているという。 現在のイランはすでにロシアと緊密な関係にある。中国がトランプの脅しに屈するとも思えない。トランプ米大統領は7月16日にウラジミル・プーチン露大統領とヘルシンキで会談するという。会談のテーマはシリアやウクライナの情勢、そして米ロ関係だと伝えられているが、イラン問題も議題に上る可能性が高い。
2018.07.06
イギリス軍のタイフーン戦闘機がシリア東部、ヨルダンとイラクとの国境近くで親シリア政府の武装勢力を爆撃したとサンデー・タイムズ紙が7月1日に伝えている。この爆撃でシリア政府軍の兵士ひとりが死亡、7名が負傷したという。ここにきてシリアやリビアでイギリス軍やフランス軍の動きが目立つようになってきたが、この攻撃もそうした流れでのことだと言える。 ロラン・デュマ元フランス外相によると、シリア侵略が始める2年前の2009年、彼はイギリスでシリア政府の転覆工作に加わらないかと声をかけられたという。声を掛けてきたふたりが誰かは語られていないが、ニコラ・サルコジ政権やフランソワ・オランド政権がシリアでの平和を望んでいないとデュマに判断させるような相手だったという。 また、シリア駐在のフランス大使だったエリック・シュバリエによると、西側のメディアやカタールのアル・ジャジーラがシリア政府が暴力的に参加者を弾圧していると伝えていた当時、実際は限られた抗議活動があったものの、すぐに平穏な状況になったことが調査で判明していたという。リビアでも西側メディアが宣伝したような弾圧はなかった。 勿論、アメリカもシリア侵略を狙っていた。本ブログでは繰り返し書いてきたが、遅くとも1991年に国防次官だったネオコンのポール・ウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていたいう。これはウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官の話だ。(2007年3月、10月) 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュがニューヨーカー誌の2007年3月5日号に書いた記事によると、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟はシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を開始したとしている。 2007年当時のアメリカ大統領はジョージ・W・ブッシュだが、次のバラク・オバマが2010年8月に出したPSD11はムスリム同胞団を使った体制転覆計画。これは「アラブの春」という形で現実になる。「民主化」というイメージを強調するため、1968年の「プラハの春」をもじったのだろうが、実際は傭兵を使ったクーデターにすぎなかった。目的は石油をはじめとする利権の維持と拡大。「南」からの略奪なしに「北」の支配体制は維持できない。
2018.07.05
2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制が倒され、破綻国家と化しているリビアで戦闘が激しくなりそうだ。この体制転覆に最も積極的だったのはイギリスとフランスだが、アメリカのバラク・オバマ大統領が2010年8月に出したPSD11、つまりムスリム同胞団を使った体制転覆計画の一環でもあった。体制転覆はNATOが空から攻撃、地上ではアル・カイダ系のLIFGが主力だった。LIFGは1996年にMI6の命令でカダフィ暗殺を試みた組織だ。NATO側は特殊部隊も投入していた。 その後、侵略を主導した米英仏などを後ろ盾とする政府が作られ、その正規軍とされているのがハリファ・ハフトラ率いる軍隊。ハフトラは元々リビア軍の将校だったが、1980年代からアメリカと手を組んでいる。この軍隊が東の油田地帯を押さえているイブラヒム・アル・ジドランの武装勢力を一掃すると宣言したのだ。 アル・ジドランはカダフィ体制が倒された後、「新政権」の石油防衛軍を指揮することになるが、その「新政権」が腐敗し、ムスリム同胞団に支配されているとして離反したという。 現在、リビアではフランスが介入をエスカレートさせているが、その背景にアフリカの自立阻止があることは本ブログでも指摘してきた。フランスやイギリスはアフリカの利権で維持されている国。カダフィが目論んだように金貨ディナールが全アフリカ通貨として導入され、アフリカが自立したなら英仏が破綻国家になりかねなかった。 経済システムが破綻しているという点ではアメリカも同様で、1970年代から金融マジックで維持してきた。そのマジックでサウジアラビアが重要な役割を演じている。いわゆるペトロダラーだ。 そのアメリカは現在、特殊部隊をアフリカへ投入、内部への侵食を図っている。特殊部隊の工作を統括しているのは2008年に創設されたAFRICOM(アフリカ軍)。アフリカ支配が目的だということが見え見えだったこともあり、アフリカ諸国は反発、その司令部をドイツに置かざるをえなくなった。 こうした欧米の強欲さが形になって現れた一例がスーダンでの戦闘。2003年からスーダン西部にあるダルフールで資源をめぐる戦闘が激化した。このダンフールへ積極的に介入したのがネオコン。その地域の資源に目をつけた隣国チャドの政府が反スーダン政府のJEM(正義と平等運動)へ武器を供給したことも戦闘を激化させた一因だが、カダフィによると、チャドの背後にはイスラエルが存在している。南スーダンの石油利権も欧米諸国が狙い、戦乱が深刻化した。その利権争いに日本も参加したわけだ。
2018.07.04
アメリカのNSC(国家安全保障会議)にアンソニー・ルッジエッロが加わったことが話題になっている。この人物はネオコンに属す朝鮮の専門家で、朝鮮半島の和平進展を望んでいないと見られているからだ。現在、NSCを仕切っているのは国家安全保障補佐官のジョン・ボルトン。平和的な人物とは言えない。 6月12日にアメリカのドナルド・トランプ大統領と朝鮮の金正恩労働党委員長はシンガポールで会談したが、その段取りをつけたのは韓国の文在寅大統領。その文大統領はロシアのウラジミル・プーチン大統領と連携、ロシアと戦略的な同盟関係にある中国は朝鮮と接触していた。 米朝首脳会談が実現された後、6月22日に韓国大統領はロシアでプーチン大統領と会い、平和的な朝鮮半島の非核化を目指すことで合意、さらに国境を越えたエネルギー・プロジェクトを推進し、FTA(自由貿易協定)に関する話し合いを始めことを決めたと伝えられている。その韓ロ会談が行われた日にトランプ大統領は朝鮮を「尋常でない脅威」だと表現している。 朝鮮半島の緊張緩和は韓国、ロシア、中国が連携して実現した。アメリカは朝鮮を東アジアの軍事緊張を高める仕掛け、中国侵略を実現するために火種として使ってきた。その朝鮮を韓国、ロシア、中国の3カ国は押さえ込むことに成功、朝鮮半島問題で主導権を握った。こうした展開はアメリカの支配層にとって好ましくない。 すでにアメリカ軍は太平洋軍をインド・太平洋軍に変更、中国が進める「海のシルクロード」を押さえる体制を整えた。そのルートの東端にあたる南シナ海では中国を軍事的に威圧しようとしている。台湾海峡の軍事的な緊張も高まっている。 朝鮮半島の問題もアメリカ主導で進められないと判断したなら、つまり朝鮮の属国化が難しいと考えたなら、和平の進展を潰そうとする可能性が高い。そうした意味で、アンソニー・ルッジエッロが注目されているわけだ。
2018.07.03
言うまでもないことだが、アメリカ軍は防衛を目的として日本に駐留しているわけではない。最大の目的は中国やロシアに軍事的な圧力を加え、あわよくば侵略することにある。1991年12月にソ連が消滅した後、アメリカは東アジアを重視するようになるが、これはロシアを属国化した次は中国ということ。朝鮮半島の問題も本質は米中問題だ。 ジャーナリストのF・ウィリアム・イングダールによると、ジョージ・H・W・ブッシュと同じようにエール大学でCIAにリクルートされ、韓国や中国で駐在大使を務めたジェームズ・リリーは彼に対し、もし「北朝鮮」が存在しなかったなら、(東アジアに)第7艦隊を展開させる言い訳を作る必要があったと語ったという。アメリカは朝鮮を軍隊配備の口実として利用してきたということだ。朝鮮半島の緊張が緩和されたなら、新たな火種をアメリカは作るということでもある。 それに対し、ロシアは東アジアの経済交流を盛んにし、安定化させようとしてきた。そのため、天然ガスや石油のパイプライン、そしてシベリア横断鉄道を中国や朝鮮半島へ延ばし、そのまま半島を南下させたいと計画している。 この計画に賛成してもらうため、ロシアは朝鮮の金正日に対し、110億ドル近くあったソ連時代の負債の90%を棒引きにし、鉱物資源の開発などに10億ドルを投資すると2011年夏に提案した。金正日は受け入れたのだが、その年の12月に急死してしまう。それでも計画は生きているようだが、アメリカ主導で行われている「制裁」が現在の障害。その「制裁」を解除するためには、朝鮮に核兵器やミサイルの開発を断念させる必要があった。 ロシアの計画には中国や韓国も賛成、この3カ国は朝鮮を引き込むことに成功、アメリカと朝鮮の首脳会談にこぎ着けたが、アメリカ支配層の内部にはこうした流れを断ち切ろうとする人たちがいる。ドナルド・トランプ大統領も制裁の継続を口にしている。 アメリカが相手にしているのは朝鮮でなく中国だということは安倍晋三首相も理解しているようだ。2015年6月1日には赤坂の「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道されている。南シナ海は中国が計画している一帯一路のうち、海のシルクロードの東端。この海域を支配しようとしているアメリカは現在、台湾海峡の軍事的緊張を高めている。アメリカ軍や自衛隊にとって先島諸島の重要度は高まりそうだ。 今年(2018年)5月30日、アメリカの太平洋軍はインド・太平洋軍へ名称が変更された。担当海域を太平洋とインド洋に拡大するということ。太平洋の拠点は日本、インド洋の拠点はインド、ふたつをつなぐ役割をインドネシアが担うという。ディエゴ・ガルシア島も重要な役割を果たすことになる。1992年にネオコンが作成した世界制覇プランに基づいてアメリカの戦争マシーンに組み込まれてきた日本も影響を受ける。
2018.07.02
ドナルド・トランプ米大統領の義理の息子で大統領上級顧問を務めるジャレッド・クシュナーと国際交渉に関する特別代表のジェーソン・グリーンブラットはサウジアラビア、エジプト、ヨルダン、カタールを訪問したが、このふたりの主導でヨルダン、エジプト、サウジアラビア、イスラエル、そしてパレスチナの情報機関のトップが秘密裏に会談したとフランスのニュースレター、インテリジェンス・オンラインが伝えている。パレスチナ側はこうした会談へ代表を派遣していないと主張しているので、報道が事実なら個人的に参加したことになるだろう。 トランプ大統領は昨年(2017年)12月6日の演説でエルサレムをイスラエルの首都だと認め、アメリカ大使館をそのエルサレムに建設する方針を示したが、それをきっかけにしてサウジアラビアの操り人形と見られているパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス大統領も反発、アメリカ政府は大統領をパレスチナで情報機関のトップであるマジェド・ファラジュへすげ替えようと考えているとも主張されている。
2018.07.01
ドナルド・トランプ米大統領とウラジミル・プーチン露大統領は7月16日にフィンランドのヘルシンキで会談すると伝えられている。アメリカの大統領である以上、トランプも圧力団体の意向には逆らえず、会うことは時間の無駄だと考える人もいるが、軍事的な緊張のエスカレートにブレーキがかかると期待する人もいる。 ソ連を消滅させたのはジョージ・H・W・ブッシュを中心とするCIA人脈とフィリップ・ボブコフなどKGBの中枢だと言われているが、その後、アメリカが唯一の超大国になったと認識して世界制覇計画を作成、侵略戦争へと突き進んだのはネオコン。その計画を実現しようと1990年代は有力メディアは必死に宣伝、ユーゴスラビアをアメリカ/NATO軍が先制攻撃したのは1999年だった。2000年の大統領選挙でネオコンは強引に大統領の座を獲得、01年9月11日の出来事をきっかけにしてアメリカは世界侵略を本格化させる。 しかし、2008年にはジョージア軍を使って南オセチアを奇襲攻撃したが、ロシア軍の反撃で粉砕されてしまう。正規軍による侵略に失敗したこともあり、バラク・オバマ大統領は2010年8月にPSD11を出し、ムスリム同胞団を使った体制転覆計画を作り上げる。そして「アラブの春」が引き起こされた。この軍事作戦にはサウジアラビアの支配下にあるサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)も使われた。 ウクライナでは2014年2月にネオコンがクーデターで合法政権を転覆させる。ウォール街やシティによる略奪に抵抗したからだが、このクーデターの実行部隊になったのがネオ・ナチ。この勢力は今でもウクライナで猛威を振るっている。このクーデターの黒幕もネオコンだった。ただ、このクーデターではクリミアを制圧してロシア海軍に決定的な打撃を与えるという目的は達成できなかった。 こうしたネオコンの計画は予定通りに進んでいない。ソ連を消滅させ、ロシアを属国化して食い物にしたが、21世紀に入るとウラジミル・プーチンがロシアの再独立に成功、アラブの春でターゲット国のひとつになったシリアでは戦乱が長引き、アメリカなどが手先にしていたサラフィ主義者やムスリム同胞団を主力とする武装集団は壊滅状態。そこでクルドを新たな手先にし、ジハード傭兵の残党を合流させているのだが、それに対するシリア政府軍の反撃が始まった。シリア国民も侵略軍に対して立ち上がり始めたと伝えられている。 アメリカは経済的にも厳しい状況にあるが、それでも時間稼ぎする必要があると考える勢力が支配層の内部にいるようだ。ネオコンは反発しているだろうが、かつてのような勢いは感じられない。
2018.07.01
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