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第87回アカデミー賞はじめ様々な映画賞を世界中で受賞した作品です。飛行機の中の小さな画面で見たせいもあるかもしれませんが、なんか変な妄想に取り付かれた冴えない男のララバイといった感じでだらだらと面白くないし、途中で寝たんですね。でも世界中がいいと言ってるんだからどこかいいところがあるはずと思ってもう一度見て、確かにラストで評価が変わりましたね。印象に残る映画でした。バードマンとして過去に一斉を風靡した落ちぶれ俳優の再起をかけた舞台。ずっとバックに流れているジャズドラムに不安を掻き立てらます。超能力者なのか分裂症なのか、主人公バードマンのまわりに不可思議なことが起こり始めますます神経を逆なでられる感じ。こんな映画でなんで自分が寝たのか、多分相当疲れてたんだろうと反省しましたよ。エドワード・ノートンとの喧嘩もリアルでしたね。精神状態が不安定な娘や不協和音の夫婦関係、舞台もヒットしそうもないし、主人公も心を病んでいるようでなんだかどんどん暗い方へ行ってしまいそうになるんですが、そこから先は見てのお楽しみ。世界が絶賛するには訳があるんです。でも『是非もう一度見たい映画』ではないな。エドワード・ノートンならファイト・クラブや幻影師アイゼンハイムの方がオススメです。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(原題: Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance)は、2014年のアメリカ映画です。監督はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、主演マイケル・キートン。公式サイトはこちらです。
2015/08/24
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赤い屋根のちょっと周りの家とは違ったモダンな家でした。まるでレゴブロックで組んだおもちゃのお家のよう。お疲れ大将が早く寝てしまったので、今日は一人で映画を見ました。山田洋次監督が、直木賞受賞作を映画化した『小さなおうち』です。これは戦争映画と呼んでいいのか、時期的には開戦から終戦に向けてのまさに第2次世界大戦時代のお話ですが、登場人物は淡々とむしろ生き生きと日常生活を送っていて悲壮感がないんですね。タキさん(倍賞千恵子)の自叙伝に綴られた若い頃の記憶は、山形の田舎から女中としてやってきた彼女の希望に満ちた明るい東京生活でした。当時はお手伝いさんが家にいる家庭は普通で、その職業に誇りを持っていたとタキさんは語ります。おもちゃ会社の重役であるご主人、美人でやさしい奥さん、かわいいぼっちゃん、彼女の目から見た小さなおうちは絵本のように和やかで一生ここにいたいと思わせるような理想の家だったのでしょう。そこへおもちゃ会社の新入社員が登場します。むさ苦しいビジネスマンたちとは別世界から来たような、芸大出身の若い青年。20代前半だったタキさんはときめいたでしょうね。秘めた想いを貫いてましたが、行動や視線の端々に好意をにじませていた若いタキさんはきれいでした。然しトキめいたのはタキさんだけじゃなかったんです。平井家の若奥さん(松たか子)は、主人とはしないような音楽の話、本の話、映画の話で板倉と盛り上がり、次第に惹かれあっていきました。やがて戦況は悪化し、板倉も徴兵され別れの時がやってきます。タキも実家に返されることになり、思い出の詰まった赤い屋根の小さなおうちを離れます。女中が見た戦時下の不倫話、早い話がそういうことなんですけど、なんだかマディソン郡の橋みたいなせつない後味でしたね。自分も恋してるタキさんの、本当に小さな裏切りが彼女をずっと苦しめていたんだろうなあと感じました。若いタキさん役の黒木華が第64回ベルリン国際映画祭の最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞しました。第38回日本アカデミー賞でも最優秀助演女優賞を、また多部門で優秀賞を受賞しています。とてもいい日本映画でした。最後に流れるワルツがいつまでも聞いていたくなるような哀愁を帯びた曲で、いつか競技会でかかりそうだなと思いました。予告編でも聴けます。
2015/08/21
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始まりは飼い猫が野ギツネにやられたことだったんです。『人生、なるようにしかならないよ。』9歳にして天涯孤独になった主人公は、100歳になるまでこの母親の言い残した言葉をモットーに流れに逆らわず波瀾万丈の人生を送って来ました。フォレストガンプみたいな話しでしたね。ただの爆弾好きの少年がスペインの革命にも原爆の開発にも冷戦時の米ソ国家機密にもかかわり、そしていま100歳にして老人ホームから逃走。マフィアに追われても全くのマイペースで危機感がなく、彼の『なるようにしかならない人生』はすっごく予想不可能で100歳にしてますます発展系なんです。国民の10人に一人は買ったという大ベストセラー小説『窓から逃げた100歳老人』を映画化したこの作品は、なんとスウェーデンでは『アナ雪』を越える大ヒット記録だったそうです。一応R15になってるみたいですが、たいしたことありません。むしろ『人生なんとかなる』大らかな感覚を子供たちにも学んで欲しいくらい。スウェーデン映画なんてあんまり見た事なかったですけど、お勧めですよ。予告編はこちらです。
2015/07/17
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大好きな映画俳優レイフ・ファインズがヴォルデモート卿や冥府の王から普通の人間の役にやっと戻ってきました。007にも世代交代したMとして出てましたけどね。素晴らしい役者だと思うんですが、この方いつもいろんな賞にノミネートされながら受賞を逃すんですよ。なんでなのかしら。今日ご紹介するのは2014年のドイツ・イギリス合作映画、『グランド・ブダペスト・ホテル』(原題: The Grand Budapest Hotel)です。ムッシュ・グスタヴ・H (レイフ・フィアンズ)は豪華ホテル『グランド・ブダペスト・ホテル』の有名コンシェルジュ。すごいなと思ったのは、コンシェルジュってお客様のあらゆる要求にお応えする仕事なので人脈もさることながら何か問題が起こったときの連係プレイが国家諜報組織並みなんですよね。殺人事件とか戦争とかいろんな事件がこんがらがってるコメディなんですけど、すごく複雑なからくり時計を見ているようで次の展開が予測不能なんです。脚本や美術が世界中の映画祭で高く評価されています。今年の第87回アカデミー賞も美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞の4部門で受賞しました。ストーリー展開や映像もさることながら、伝説のコンシェルジュ、ムッシュ・グスタヴ・H の高潔でモテモテな大活躍、そして新人ベルボーイのゼロとの絶妙なコンビネーション、そこら辺のスパイ映画やアメコミ映画より面白かったですよ。アクション、サスペンス、恋愛ドラマ全てが詰まったチープで豪華な映像作品です。 監督のウェス・アンダーソンは脚本も務めていて、数多くの脚本賞を受賞。第64回ベルリン国際映画祭の銀熊賞(審査員グランプリ)も受賞しました。予告編はこちらです。これ見てるだけでも面白いですよ。豪華なキャストにもビックリ。とってもお勧めです。
2015/05/20
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さえない携帯屋の店員から一躍世界のオペラ歌手へ。皆さんも名前くらい聞いたことあるんじゃないでしょうか。ポール・ポッツ。イギリスの人気オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』で優勝した人です。風貌はイマイチですが歌声はピカイチなんですよね。彼の歌う『誰も寝てはならぬ』は感動的でした。今日ご紹介するのは彼の自伝に基づく波乱の半生を描いた映画です。イギリス南部ウェールズに生まれたポールは太っていることで子供の頃からいじめられていました。街の鉄鋼所で働く父親は屈強で、息子にも同じ道を歩いて欲しいと願っていましたが、ポールはオペラ好きの優しい男です。ネットで知り合った彼女ジュルズに励まされてヴェネツィアへの留学をコンテストでゲット。練習に励んで世界的オペラ歌手パバロッティの前で歌う権利を勝ち取るんですが、いざ舞台に上がると実力を発揮出来ず酷評されてしまいます。歌を諦めたポールでしたが、恋は諦めきれませんでした。別れ話を言い渡されても彼女に追いすがり、街の中で歌うんですよ。これ,感動的です。歌って、そもそも愛を語るためにあるのかもしれませんね。彼女と結婚して順風満帆、地元のアマチュア劇団で『アイーダ』の主役をまかされたポールは人生の春を迎えた様でした。ところが運命は試練を用意していたんですよ。公演前日になんと盲腸で入院、さらに喉に腫瘍が発見されて声を奪われてしまうんです。もう歌えなくなってしまうんでしょうか。この後もね、いろいろあるんです。声が戻ったと思ったら交通事故とか。ポール・ポッツに対して今まではポット出の運のいい奴くらいにしか思ってませんでしたがこの映画見ると考え方変わりますね。大変だったんだなあって。よく諦めずに頑張った、あっぱれ。応援する気持ちになりましたよ。オーディション番組の辛口ジャッジは本人たちが出演していて、テレビで見たのと同じ反応をしてくれるのでリアル感が違います。歌も吹き替えで本人が歌ってるそうです。『ワン チャンス』(One Chance)は、2013年のイギリス映画。デヴィッド・フランケル監督作品です。凄く面白かったので皆さんもよかったら見てみて下さい。公式サイトはこちらです。
2015/05/11
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なんだか小人の大将の世界を垣間みるような映画でした。出て来るのは小人ではなくてオニと呼ばれていましたが、ホルモーという合戦競技をするんですよ。舞台は京都。二浪の末、はれて京大生になったアベは京都青竜会と言うサークルに勧誘されます。入るつもりはなかったんですが新歓コンパで知り合った早良さんという美人に一目惚れして、彼女が入ると言うので入ることにしてしまいました。これが伝統ある凄いサークルだったんですね。変なかけ声と踊りでオニを操るっていわれてもオニなんて目に見えないし…。ところが吉田神社での儀式というのに参加してから、見えるようになるんです。まわりにうじゃうじゃ歩いてる小人のようなオニたちが。京都産業大学玄武組、龍谷大学フェニックス(朱雀団)、立命館大学白虎隊、そして京都大学青竜会は、このオニたちを使って戦う競技ホルモーの伝統を守るチームだったんです。独特のダンスとオニ語を使って命令すると、身長20センチくらいの2頭身のオニたちがワーっとその通りに動くんですよ。弱った奴は『レーズン食べて復活』って、どんなオニ?『げろんちょりー!!』(攻撃!)『ぴっぴきぴー!!』(オレに続け!)しまいには私達も立ち上がって一緒に踊りだしました。主人公の名前アベだし、陰陽師の世界に通じる話らしいんですが、すんごい面白いコメディ映画でした。まさにアホ満開。しかも伝染する!『鴨川ホルモー』は2009年の日本映画。原作は万城目学、脚本・経塚丸雄、監督・本木克英。アベ役は山田孝之です。第1回沖縄国際映画祭において長編映画部門大賞「ゴールデンシーサー賞」を受賞しています。ハリウッドでもリメいクされるみたい。予告編はこちら。
2015/04/29
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社交ダンスって、なによりの精神安定剤らしいですよ。『世界にひとつのプレイブック』(原題:Silver Linings Playbook)は、マシュー・クイックの小説を原作とした2012年のアメリカ映画です。監督・脚本はデヴィッド・O・ラッセル第85回アカデミー賞では演技8部門全部でノミネートされ、これは31年ぶりの快挙だそうです。妻の浮気現場に間が悪く居合わせてしまったパット。ぶち切れて間男を半殺しにした彼は8ヶ月の病院生活を終えて家に戻ったものの、そのときかかっていた音楽が引き金となって暴力的行為に走る精神的に不安定な日々を送っています。家族ぐるみで付き合いのあった近所の友達ロニーとベロニカが何とか力になりたいと夕食に招いてくれるんですが、そこで出会ってしまうんですね。変な女の子と。ティファニーはベロニカの妹でした。黒服に黒のマニキュア、キュートな顔立ちとは裏腹の過激な発言。彼女も最近夫を交通事故で亡くし精神を病んでいました。二人が盛り上がるのは病院でもらう薬の話し。そんな二人が再起をかけてダンスコンペに出場することになるんです。『君とダンスなんかしないよ。』『最初にワルツを覚えてもらうわ。』彼女は家を改造してダンススタジオ作ってました。キャストがまたいいんですよ。パット役にハングオーバー・シリーズやリミットレスでご紹介したブラッドリー・クーパー、ティファニー役にX-MENシリーズやハンガー・ゲームのジェニファー・ローレンス。ギャンブル好きなお父さんにロバート・デニーロ、心配性のお母さんにジャッキー・ウィーヴァー。全員アカデミー賞にノミネートされてます。受賞したのは一人だけ。ジェニファー・ローレンスがアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。この映画はダンスがメインではないんですが、ダンスコンテストに出て来る主人公たち以外のカップルはプロみたいで踊りは見物です。過激な発言はありますがコメディドラマなので気軽に楽しめるお勧め映画です。公式サイトはこちら。
2015/04/28
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人と区別がつかないくらいのロボットと共存する時代がやがてやってくるんでしょうか。空中に浮かぶガラスのような光り輝くパーツで脳細胞をデザインする様子がとても美しく、ヘルマン・ヘッセの『ガラス玉演戯』を思い出していました。今日ご紹介する映画はスペインのアカデミー賞ともいえるゴヤ賞やガウディ賞の様々なジャンルを受賞した2011年のスペイン映画。スペインというとからっとした暑いイメージでしたけど、舞台は雪深い街でした。ロボットと共存する生活が定着している近未来。天才ロボット学者のアレックスが10年ぶりに故郷に帰ってきました。出迎えてくれたのは同じくロボット学者の兄ダビッドです。かつてアレックスの彼女だったラナはダビッドの妻になっていて、エヴァという10歳になる女の子がいました。大学で子供型ロボットの研究を再開するために呼び戻されたアレックスでしたが、モデルとなる少年候補がどうも気に入りません。そんなとき町で見かけたちょっと変わった女の子がエヴァでした。彼女が自分の姪だとは知らずに興味を持ったアレックス。この出会いは運命的なものだったんでしょうね。物語はこの後、アレックス、ラナ、ダビッドの三角関係に予想通り発展して行ってこのままメロドラマになるのかと思ったらビックリ大展開が用意されていました。『やっぱりSFだったんだ!』と目が覚めましたよ。大将も今回は寝ないで見てました。『この映画は予想外に当たりだったな。』とのこと。キケ・マイーリュ監督はゴヤ賞の新人監督賞を受賞してますから新人なんでしょうね。これからの作品も楽しみです。美しい予告編はこちらからどうぞ。
2015/04/25
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美しい影絵から始まるおとぎ話のような物語でした。『アメリ』のような『ショコラ』のような『八日目』のようなファンタジー。悲しいテーマだけれどコメディっぽい。2011年のフランス・ドイツ・ベルギー合作映画です。昔、テヘランにバイオリンの名手がいました。彼の名はナセル・アリ。師匠から譲り受けた名器を妻によって壊され、それに代わるバイオリンを手に入れようと奔走しますが不可能な事が分かると死を決意します。このお話は、彼が死ぬと決めてから実際に死ぬまでの8日間の回想録です。彼がまだ若く無名だった頃、一人の女性に出会いました。イラーヌ、美しいイラーヌ。彼女の父親に結婚を反対され引き裂かれた恋は、彼の心に大きな変革をもたらします。奏でるバイオリンの音色が劇的に変わり、師匠に『もう教える事はない』と言われて世界に羽ばたいて行ったんですね。叶わぬ愛を音に変えて彼はいつもイラーヌと共にありました。月日が経ち、ナセル・アリは母親の強い勧めで数学教師ファランギースと結婚します。彼は彼女を愛せませんでした。でも彼女の作る鶏のプラム煮は好きでした。多分これが『叶わぬ恋』や『夢』と対極にある『日常生活』の象徴なんでしょうね。ナセル・アリが死を決意して部屋に閉じこもってから、何とか彼を引き止めようと妻は鶏のプラム煮を作るんですね。実は彼女、子供の頃から秘かにナセル・アリに想いを寄せていました。家庭を全く顧みない夫に対して積もり積もった不満がバイオリンに対する八つ当たりとして爆発しただけだったんです。そのせいで夫が死ぬなんて、もう愛は冷めたとしてもやりきれないでしょう。しかし彼は再び『日常』に戻る事を拒否し続けます。叶わぬ恋や絶望と言った暗いテーマがベースにあるにも関わらず、彼の子供たちの天真爛漫さやふざけた古美術商、死の天使アズラエルなんかも出て来て笑えます。『アメリ』に似てると思ったのは、偽物バイオリンを売りつける古美術商や物乞いの役として出て来たジャメル・ドゥブーズがアメリで強烈な印象を持った役者さんだったからかもしれません。『ショコラ』に似てると思ったのは、おとぎ話のような描写の仕方から、『八日目』に似てると思ったのはカウントダウン方式で一日ずつ運命の日に近付いて行く展開からです。でもこの映画の監督はこれらの監督とは無縁の新人、イラン出身の女性マルジャン・サトラピでヴァンサン・パロノーと共同で脚本・監督を務めています。ナセル・アリの母親役の女優さんがイングリット・バーグマンに随分良く似てるなと思ったんですが、実は彼女の娘だったんですね。イザベラ・ロッセリーニ。父親はロベルト・ロッセリーニ監督です。マルチェロ・マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴの娘もとても個性的な役で出演してます。言われてみれば面影がありますね。大将は相変わらず映画半ばで寝てしまい、『どんな話しだった?』と聞くので『すてきなラブストーリーだった』と答えておきました。公式サイトはこちらです。
2015/04/24
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公開当初から気になっていた映画でした。死神のノートを拾った青年が、それを使って直接手を下す事無くこの世の悪を成敗して行く話し。そのノートに名前を書くと、書かれた人は40秒で謎の死をとげるんです。世間は彼を『キラ様』と崇めますが、犯罪者だけでなく彼を追いつめて来るFBI捜査官も同時多発的に殺し始めて、これって実は連続殺人なのかと。主人公は法学を学ぶ大学生で夜神 月(やがみライト)という名前なんですけど、『月』とかいて『ライト』と読むんですか?彼がノートに書いて行く犯罪者たちの名前も変わった名前が多くて、これなら同姓同名で間違って殺される人もいないだろうなとも思いました。デスノートの使用方法が最初の方のページに書いてあるんですが、英語なんですよね。ノートの落とし主の悪魔(リューク)がエキセントリックなだけに、悪魔語が英語?みたいな違和感がありました。そういえば『デスノート(Death Note)』だって英語ですね。『顔を知っている人しか殺せないので同姓同名の人は死なない。』そこのところ疑問に思う人が多いせいか、途中で説明がありました。殺したい人と同姓同名の殺したくない人、両方顔見知りだったら困りますね。まあいろいろ突っ込みどころはあるんですが、見所はそんなことより天才ライト君に相対する謎の天才捜査官L(エル)との頭脳戦なんですね。Lって栄養不良な感じの不気味な青年なんですが、ずっとなんか食べてるんです。ドーナツとかケーキとかポテチとか。見るとこそこじゃないだろと思いつつ、どうしても食べてるものに目が行って、『何食べても太らないなんていいなあ』と心の中で思ってました。私は割と面白かったんですが、大将は始まるや否やヨコで爆睡はじめました。時々起きて見てたみたいなんですけど、あとで『アンコウ釣る夢見た』なんて言ってましたね。悪魔リュークがアンコウみたいな顔してるんですよ。私は弱虫ペダルに出て来た京都伏見高校ミドウスジ君みたいだと思って見てたんですけどね。『デスノート』は、前・後編があるそうで、今回見たのは前編だったようです。漫画『DEATH NOTE』を原作とした2006年公開の日本映画。金子修介監督作品です。是非続きを見たいっていう感じでもないんですが、宇宙からノートが雷のように落ちて来る視点は面白かったですね。悪魔リュークが壁や天井を自在にすり抜ける様子、デスノートに触れたものには見えてしまう彼の姿はちょっとファニーでアンコウでした。夜神月 ( 藤原竜也)とL ( 松山ケンイチ)の美青年対決は少女漫画みたいでステキです。機会があったら後編も見てみようと思います。
2015/04/17
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ビッグバン提唱者で有名なイギリスの物理学者ホーキング博士。脳の命令が筋肉に伝わらない難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を21歳で発症し、余命2年と言われていたそうです。『車椅子の物理学者』の頭脳は健全で、現在でもブラックホールなど現代宇宙論に多大な影響を与え続けている天才。この映画はホーキング博士の若い頃を描いた作品です。ホーキング博士の前に名前を並べているベネディクト・カンバーバッチは『シャーロック』で人気の役者さんです。病気の進行する様子や話し方、凄くリアルに演じていてモンテカルロTV映像祭 男優賞を受賞しています。1963年、ケンブリッジ大学大学院で博士論文のテーマに取り組んでいた理論物理専攻のスティーブン・ホーキング。彼の興味は宇宙でした。当時主流だった『宇宙には始まりも終わりもない』という定常宇宙論を覆すビッグバン宇宙論を展開し、それを証明する宇宙背景放射が偶然にも翌年発見されたんですね。ベル研究所のアーノ・ペンジアスとロバート・W・ウィルソンがこの発見で1987年にノーベル賞を受賞するんですが、そのインタビューと合わせて物語が進行して行きます。彼に思いを寄せるジェーンは病気が発症してからも彼を支え続け結婚して3人のお子さんがいらっしゃるそうです。もう離婚されてますけどね。たまにテレビで拝見する姿から、病気に負けない強い精神力の持ち主と言うイメージを持っていましたが、映画の中で描写される様子から様々な葛藤が想像出来ました。次第に筋肉を動かせなくなって行ってやがて呼吸器を司る筋肉にも影響が及び溺れるような感じで死に至ると医師に告げられたホーキングは、バスタブにもぐって何度も時間を計るんです。一体どのくらい息を止めていられるか調べるために。ビッグバン宇宙をひらめく瞬間とか、友達の数学者とか、興味深いシーンがいろいろありました。『ホーキング、宇宙を語る』、むかし読んだ気がするんですがもう忘れました。チャンスがあったらもう一度読んでみようかなと思いました。予告編はこちらです。
2015/04/13
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ほのぼのコメディで心が和みました。主人公のオリーブはアメリカ中西部に住む7歳の女の子。彼女がカリフォルニアで開催される子供向け美人コンテスト『リトル・ミス・サンシャイン』の予選を通過したことで物語りが始まります。確かにかわいいけど美人て感じじゃないポッチャリ無邪気なオリーブにはユニークな家族がいました。一番まともなのは母親のシェリルでしょうか。兄のドウェーン15歳はパイロットになるという夢を実現させるため沈黙の誓いを立てています。叔父さんのフランクは大学教授でしたがゲイの彼氏にふられて自殺未遂を起こし同居中。モチベーションセミナーの講師を務める父親とヘロイン中毒の祖父エドウィンがいます。それぞれが訳ありで目が離せない状況なのでやむなく全員でカリフォルニアにおんぼろバスで出発しました。このバスがね、すぐ壊れちゃうんですよ。クラッチが故障してみんなで押しがけして飛乗る方式で800キロを大移動。しかもクラクション鳴りっぱなし。道中めちゃくちゃなんですよ。アテにしていた父親の仕事の契約も旅の途中で破談となり、これから生活どうするのと夫婦仲がピンチに。さらにフランクは自殺の原因となった元彼に遭遇。ドウェーンは色弱と分かりパイロットになれないことが判明。さらにエドウィンがヘロインやり過ぎで死亡。こうなったとき、家族って助け合うんですよね。ピンチの時ほど絆は強くなる気がします。最大のピンチは美人コンテスト。子供たちばりばりにトレーニングされてて、見た目も心構えも全く違うんです。ほとんど素のままのポッチャリ娘オリーブははたしてステージに立てるのでしょうか。『おじいちゃんが振り付けしてくれた。』というオリーブのダンスは?『リトル・ミス・サンシャイン』(Little Miss Sunshine)は、2006年のアメリカ映画。ジョナサン・デイトン及びヴァレリー・ファリス夫婦の監督デビュー作品です。世界興行収入は1億ドルを超え批評家にも高く評価されて、第79回アカデミー賞では作品賞を含む4部門でノミネートされて、脚本賞(マイケル・アーント)と助演男優賞(ヘロイン中毒のじいさん役だったアラン・アーキン)を獲得しました。登場人物が個性的で面白い映画でしたよ。ご家族で楽しめます。
2015/03/18
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オーストリアを代表する画家グスタフ・クリムトの伝記映画を見ました。クリムトといえばきらびやかで官能的な絵画『接吻』が有名ですが、その絵は映画に出て来ませんでしたね。脳梗塞で倒れ、死に際の病院のベッドでの回想のようなかたちで彼の生涯が綴られて行きます。1900年に開催されたパリ万博で金賞を授与され一気に名声を高めたあたりがメイン。彼を取り巻くモデルや娼婦,彼を賞賛し自分を描いて欲しいと願う上流階級の女性たちが登場します。裸で登場が多かったですね。みんな素晴らしいスタイルです。R-15指定がついてましたが、芸術としてのエロスなので子供が見ても別にいい気がしました。あんまりいい加減なこと言ってもいけないので、一応16歳以上限定ということで。どのくらい真実に近いのか分かりませんが、クリムトはとっても女好きだったみたいです。結婚してなかったようですがウィーンのあちらこちらに母親の違う子供が10人以上いて、家族としては母親と妹が登場しました。クリムトを演じたジョン・マルコビッチ、本物のクリムトに似てます。パリ万国博覧会では、三部作「学部の絵」の内の「哲学」という絵画がグランプリを受賞したらしんですが、元はウィーン大学の講堂を飾るために依頼された作品でした。どうもそれがイメージ違いすぎて依頼者側のお気に召さなかったようで大学関係者の間で大論争となってしまい、パリ万博で評価されたことで更に議論が過熱して文部大臣が議会で攻撃されるほどの事件に発展したそうです。問題となった絵は戦争で焼失してしまいましたが、この映画ではそれが再現されていました。白黒写真は現存するそうです。『クリムト』(Klimt)は2006年制作のオーストリア・イギリス・フランス・ドイツ合作映画。ラウル・ルイス監督作品です。凄く面白い映画と言う訳ではありませんが、クリムトの作品に興味がある方には面白い作品かも知れません。きれいな裸の女の人がいっぱい見られる映画でもあります。予告編はこちらから。
2015/01/29
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本物の友達というのは、意外な所でみつかるのかもしれませんね。今日ご紹介するのはフランスの週間観客動員数で、初登場から10週連続1位になった作品。怪我で身体が不自由になったパリの大富豪と、その介護人として雇われたスラムに住む若者、この全く正反対に見える二人が素晴らしい友情を育んで行くお話です。これは実話だそうですよ。パラグライダーの事故で頸椎損傷してしまった大富豪フィリップは、首から下を動かすことができません。住み込みの介護人はいつも長続きせず、今日も屋敷で面接が行われていました。待遇はいいでしょうから介護経験のある有望な候補者が集まって来ます。そんな中、スニーカーにジーンズのラフな恰好でやって来た青年がいました。彼の名はドリス。働きたくて来たのではなく、失業保険の継続のために紹介された就職先で不合格になる必要があったんです。ドリスは貧民街でたむろする移民でした。大家族を養うため母親は遅くまで仕事をしています。当然ながら介護経験なんてないし、上流階級の付き合いなど全く無縁の生活でしたから、翌日採用の知らせを聞いて驚きます。フィリップの使用人であるイヴォンヌやマガリーの力を借りながら次第に仕事にも慣れ試用期間が過ぎて正式に採用されることになりました。ドリスのぶっ飛んだ言動はフィリップを陽気にさせ、笑顔にさせます。娘のしつけについて苦言を呈したり、恋の悩みに助言してくれたり、ご主人様としてより気のおけない友達として接してくれるドリスはフィリップにとって無くてはならない存在になって行きます。警察相手にバカやったり、パーティではしゃいだり、上流階級の社交界で生きていたフィリップには未経験の心弾む事件でした。ドリスにとっても、オペラや音楽会やステキなレストランでの食事、自家用ジェット、全てが新鮮でフィリップと過ごす時間が楽しくて仕方がありません。しかしそんな二人にもやがて分かれの時がやって来るんですね。『最強のふたり』(原題: Intouchables) は、2011年のフランス映画。エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシ両監督が手がけた作品で、フランスでも大ヒットし、日本でも公開されたフランス語映画の中で歴代1位のヒット作となりました。それ以前は『アメリ』が1位だったみたいですね。映画の最後にこのお話の元になった二人が登場します。とてもいい映画でした。お勧めです。公式サイトはこちらから。
2015/01/21
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軍事用語で午前0時30分のことだそうです。2011年5月2日、潜伏先のパキスタンで決行された米軍特殊部隊によるビンラディン暗殺。アメリカ合衆国の国家機密なので50年間その真相はベールに包まれたままです。その意味ではこの映画はフィクションですが、かなり真実味がある形で描かれていて興味深いものでした。『ハート・ロッカー』で2010年にアカデミー賞作品賞を受賞したキャスリン・ビグロー監督の最新作です。9.11でアメリカ全土を恐怖に陥れたアルカイダのテロ攻撃。その首謀者オサマ・ビンラディンの捕獲ミッションに抜擢されたのは若い女性CIA分析官マヤでした。捕獲したアルカイダメンバーの拷問シーンなどシビアな映像も多いんですが、こういったことが実際に行われていたんだろうなと思わせる説得力のある描写です。親しかった同僚はテロ攻撃で爆死。自分も出勤しようと家を出た所で銃撃されます。そんな危険な環境下に置いても、彼女のビンラディン捜索に向ける情熱は一向に衰えず、ついに高い確率で居住すると思われる場所を特定します。『ゼロ・ダーク・サーティ』(Zero Dark Thirty)は、2012年のアメリカ映画。50年後、情報公開されるまではこの映画がどのくらい真実に近いのかは分かりませんが、暗殺に関わった元海兵隊員の暴露話しなどでちょとずつリークしているようです。刺激の強い内容ですが、『ハート・ロッカー』同様面白い映画でした。予告編はこちらから。
2015/01/06
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『君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)』のオリジナルがこの人たちだと映画を見て知りました。フォーシーズンズというポップグループをご存知でしょうか。1960年代に世界的なヒットを飛ばしたアメリカの4人組み。彼らのサクセスストーリーはブロードウェイでミュージカルになり、2006年にはトニー賞4部門を受賞しています。今日ご紹介するのは、それをクリント・イーストウッド監督が映画化した作品です。舞台はアメリカ東部ニュージャージー州。イタリア系移民の多い地域なんでしょうね。悪い仲間とつるんで日々せこい盗みを行ったりしていた貧しい4人の若者たち。フランキーはマフィアの親分に声を見込まれていて、息の合った完璧なハーモニーを武器に歌手デビューを果たします。メンバー間のゴタゴタはあるものの次々とヒットを重ね、1962年には『シェリー』で全米No.1となりました。いわゆるアメリカ人好みのサクセスストーリーなんですが、実話です。『シェリー』は私も聞いたことありますし、『君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)』なんて自分もライブで歌ったことあります。もっともカバーしたのは椎名林檎バージョンだったので、オリジナルが誰の曲かは知らずに演奏していたんですけどね。こういった伝記映画は大好きなんですが、どこで終わるかと言う落としどころが重要ですよね。主人公がまだ存命だったりすると特に。この映画は1990年のロックの殿堂入り授賞式で華々しく終わってました。クリント・イーストウッド監督、ジャズが大好きで『バード』と言う映画を作ったという話しでしたが、ポップスも嫌いじゃないのかもしれませんね。『ジャージー・ボーイズ』(Jersey Boys)は2014年のアメリカ映画。公式サイトはこちらです。
2014/12/23
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人民の,人民による,人民のための政府。一度は聞いたことがあるこのフレーズは、南北戦争の最中、ゲティスバーグで当時アメリカ合衆国大統領だったリンカーンが行った短い演説の最後を締めくくるものでした。南北戦争はアメリカの歴史の中で一番大きな内戦だったのではないかと思います。史上最も愛された大統領と言われ、多分すべてのアメリカ人がリスペクトする歴史上の大人物、アメリカ合衆国第16代大統領 エイブラハム・リンカーン。今日ご紹介するのはリンカーン暗殺前の4ヶ月を描いた伝記映画です。第85回アカデミー賞では作品賞を含む12部門でノミネートされ、主演男優賞とアカデミー美術賞を受賞しました。確かにリンカーン役のダニエル・デイ=ルイス、イメージそのままでしたね。みんな知ってる大統領ですから約作りも相当苦労されたのではないかと思います。南北戦争の悲惨な様子も描かれてはいますが、メインはリンカーンがどうやって奴隷制度廃止をアメリカに定着させたかというところでしょう。戦争中に発布された奴隷解放宣言だけでは歴史を変えるのに不十分と思った彼は、戦争が終結する前に憲法改正を行う必要ありと決意しました。4年も続く戦争で人的被害は甚大なものになっていうる上、息子が戦争に行くと言い出して奥さんは半狂乱。早く戦争を終わらせなければという思いと、アメリカ合衆国憲法修正第13条を議会で可決させ、未来のアメリカに尽くしたいという思いが交錯します。要は票集めなんです。戦争中は奴隷もそうじゃない人も平等に戦ってもらって、戦争終わったらまた黒人は奴隷に戻ってねという、奴隷解放宣言に対して都合のいい解釈をする白人議員が北部側にも多くいました。多数決ですからね。リンカーンは議員を個別に説得。脅したり賺したりあらゆる手を使って憲法改正に必要な票を集めて行きます。『リンカーン』(原題: Lincoln)は、2012年公開のアメリカ映画。スティーヴン・スピルバーグ監督が熱意をもって制作した大作です。リンカーンに敬意を表して撮影中はスーツ着て来たそうですよ。公式サイトはこちらです。いい映画でした。
2014/11/13
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世の中はあらゆる意味で不公平なものです。持てるものはより多くを持ち、持たざるものは更に搾取されて格差は広がって行きます。メジャーリーグだって、資金が潤沢でいい選手をどんどん補充出来るチームもあれば、低予算でかき集めた戦力で戦わざるを得ないチームもあります。今日ご紹介する映画は、そんな弱小チームに奇跡の20連勝をもたらしたジェネラルマネージャー(GM)ビリー・ビーンの実話です。ビリーは打ってよし走ってよし守ってよしの才能ある高校球児でした。奨学生として入学出来るはずだったスタンフォード大学進学をやめて、プロの道を選びます。ところが残念ながら才能は花開かなかったんですね。スカウトの言葉を信じてメッツに入団したもののトレードで球団を点々とし、27歳の若さで引退を決めてアスレチックスのスカウトの職を得ます。2001年、チームのGMになっていたビリーは試練の時を迎えました。主力だった選手たちがチームを去り、その穴を埋めようにも資金不足でいい選手が獲得出来ません。その時出会ったのが野球は出来ないけど数字にはめっぽう強い名門大学出のピーター・ブランドでした。彼の分析は、勘や経験に頼った今までのスカウトとは別の視点をビリーに与えます。ノムさんのID野球と似てるのかなと思いましたが、それよりもさらに統計的な数値処理で選手を評価するみたいなんですね。難しい式で計算してました。セイバーメトリクスと呼ぶそうです。上がりそうな割安株探すようなやり方で他球団は欲しがらないような選手を探し、チームに組み入れます。当然ながら監督や選手やスカウトマンたちの反発をかい、チーム成績は更に低迷。それでもビリーは自分のやり方を貫いて行くんです。GMって人事権を握っていますから、監督より強いんですね。ビリーが連れて来た選手を監督が使おうとしないので監督のお気に入りの選手をどんどんトレードに出してしまうんです。『残念だけど君はもうここには席はない。』ドライなもんです。言われた選手も文句一つ言わずに球団を去って行きました。そしてアスレチックスの快進撃が始まります。テレビでは監督の采配と讃えますが、これは全てGMビリーのお手柄ですよ。ビリーには『自分が球場で試合を見ると負ける』というジンクスがあって、いつもラジオで中継を聞いていたんですが、連勝記録達成の日、娘にほだされて球場に行くんです。11対0で勝っていたのに、彼が球場に入った途端エラーやハプニングが続き、なんと9回表、遂に同点に追いつかれてしまいました。あり得ないでしょうと思いますが実話なんです。野球って面白いですね。その後どうなったかは見てのお楽しみ。野球もののドラマや映画って選手が主人公で描かれることが多いので、こういった裏方映画は稀で面白かったです。『マネーボール』(Moneyball)は、2011年のアメリカ映画。原作はマイケル・ルイス著『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』、ベネット・ミラーが監督し、ブラッド・ピットがビーンを演じました。この映画はお勧めです。
2014/10/16
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旧約聖書の物語りは絵画の題材として多く取り上げられています。実際読んだことはありませんが、なんとなく知っているような気がしていました。まず神様が7日間かけて世界を創り、自分の姿に似せて人間の男アダムを作ります。アダムの肋骨からイブを作って、その2人の子供がカインとアベル。ところがもう1人いたんですね。セトという名の3男坊が。今日ご紹介する映画の主人公ノアはこのセトの子孫だそうです。アベルはカインによって殺されてしまいますが、カインの子孫は増えていて、やりたい放題の暴力集団になっているんですね。神様は大洪水を起こして人間をリセットすることにします。他の地球上の生き物はみんな巻き添えですわね。神様って、なんて気まぐれなんでしょう。多分セトの子孫もたくさんいると思うんですが、その中で信心深かったノアが神に選ばれます。大きな船を造って、ペアで動物たちも乗せ生き伸びよと。ノアは言われるままに大きな船を造るんですが、カインの子孫がこれを略奪しようとして戦闘になります。だれだって生き残る側になりたいですものね。ノアとその家族は押し寄せる水に翻弄される罪なき人々を本当に見捨てていいのか、自分達だけ助かっていいのか葛藤します。『神のご意志は人類滅亡にあり。』と信じたノアは、生まれたばかりの自分の孫も殺そうとさえするんですよ。ここ,凄い見せ場でした。『ノア 約束の舟』(原題: Noah)は、ダーレン・アロノフスキー監督の2014年アメリカ映画。ノア役はラッセル・クロウなんですが、グラディエイターとかレミゼラブルとかいろんな映画の印象が強くてイマイチ神々しさがないというか、神に選ばれた理由がはっきりしない感じでした。山にこもってるノアの祖父アンソニー・ホプキンスはいい味出しています。ハリー・ポッターで活躍してたハーマイオニー(エマ・ワトソン)も出てました。もうすっかり大人の演技派になりましたね。すっごく面白いとか是非お勧めという訳ではありませんが、世界的に興行成績は好調の様です。公式サイトはこちら。
2014/10/14
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記憶を書き換えることが出来たら…。試験勉強なんてしなくていいですね。映画マトリックスでトリニティがやってたみたいに、記憶転送してもらって瞬時にヘリコプターの運転方法を学習出来たりしたらどんなにいいかと思っていました。今日ご紹介する映画は、人の記憶を操作出来るウィルスを研究していたある科学者のお話です。アルツハイマーなどの記憶に関わる病気の治療にも使えるというのが研究目的だったようですが、こんなのが開発されたらいろんなことに悪用出来そうですよね。洗脳めいたことも出来てしまうし、誰かの身体を乗っ取ることだって出来て、NARUTOに出て来た大蛇丸みたいに不死にもなれるというわけです。しかしこの物語りはもっと不可思議なサスペンス風に始まります。イラストレーターの石神武人(西島秀俊)が仕事から帰ると、暗い部屋にろうそくの明かりだけが揺らめいていました。そして殺害されている妻を発見。そこへ突然鳴り響いた電話です。その相手はなんと目の前で死んでいるはずの妻。警察の乱入、そして消えた死体。一体何が何だか分からないまま、別の記憶も混在するようになります。実は彼は韓国人研究者で、何らかの理由で別人格石神の記憶に書き換えられていたようでした。正体不明の女性記者カン・ジウォン(キム・ヒョジン)とともに真実を追ううちに、もう1人の妻の存在や、共同研究者、失われていた記憶が次々と明らかになって行きます。原作は第15回サントリー・ミステリー大賞読者賞に輝いた司城志朗の同名小説。『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』は、キム・ソンス監督による2014年日本公開映画です。韓国語タイトルは『無名人』だそうです。設定にいろいろムリがあるような気もしますが、日韓共同制作のサスペンス映画、と言うよりアクション映画のようでした。公式サイトはこちら。
2014/09/24
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浅田次郎の第16回吉川英治文学新人賞受賞作品を映画化したものです。タイムスリップなんですがSF要素の出て来ない『何か分かんないけど時間旅行』の人情劇でした。テルマエロマエもそうでしたね。しかも一人じゃないんです。愛人も一緒に戦中・戦後を体験し、過去で事件に巻き込まれたり買い物したりします。原作を読んでいなかったので、なんで彼女も一緒なのか最後の方まで意味が分かりませんでした。そう言う意味ではサスペンス的スパイスも利いていて、『えー!そっち?』みたいな先の見えない地下トンネルを疾走するメトロの勢いに乗せられる感覚です。主人公は小沼真次。彼が地下鉄の駅で昔の先生にばったり出会うところから物語は始まります。この先生がどんな鍵を握っているのか結局分からなかったんですが、きっと何かのサインなんでしょう。タイムスリップはこの先生との出会いから始まり、再び出会って終わりました。先生と分かれた後、真次は死んだはずの兄を見かけた気がして後を追いかけます。メトロの駅の階段を上ると、街の様子が変でした。そこは1964年、オリンピック景気に沸く東京の実家の近くだったんです。タイムスリップしたのは兄の命日でした。何とか兄を救いたいと、外国帰りの伯父さんを装い兄を家に送り届けるんですが過去を変えることは出来ませんでした。最初はそんな感じで地下鉄を介してタイムスリップだったんですが、そのうち居眠りするとタイムスリップみたいなことになって行きます。昔の丸ノ内線が懐かしかったですね。赤のボディに白のストライプ。この電車、よく利用してました。父親の小沼佐吉は世界的に有名な大会社の社長ですが、父との確執から若い頃家を飛び出した真次は母親の姓を名乗り、今は女性用下着のセールスの仕事をしています。何度か過去と現在を行き来するうちに、傲慢で金の亡者としか思っていなかった父が、実は愛情に溢れた強い人だと分かって来るんですね。過去が変わると現在も変わるというのはタイムスリップのものの定石通りでしたが、とても面白い作品でした。浅田次郎の短篇小説を俳優が朗読するラジオ番組『浅田次郎ライブラリー』を車の中で耳にすることがあって、その時間だけなんだか異空間に引き込まれるような感覚を覚えるんです。この話もいつの間にか何の違和感もなく異空間に引き込まれて、主人公の父親が体験した悲喜こもごもを一緒に体験した気がしました。こんな風に自分が生まれる前の両親と会えたら面白いでしょうね。いい友達になれるかもしれません。映画『地下鉄(メトロ)に乗って』は2006年の篠原哲雄監督作品です。タイムスリップする2人、小沼真次を堤真一、愛人のみち子を岡本綾が演じ、父親役を大沢たかおが好演しています。予告編はこちら。お勧めです。
2014/09/19
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古厩智之監督の2008年公開映画を見ました。アニメの世界では『ワンピース』のルフィーも『HUNTER×HUNTER』のゴンも登場人物のほとんどが子供のころから独立して何とか立派に生きて行ってます。でも現実社会では厳しいでしょうね。お笑い芸人さんのことはあまり知りませんが、吉本に所属する田村裕さんの自伝を映画化したものだそうです。裕(小池徹平 )には高校生の姉と大学生の兄がいます。母親は裕がまだ幼いころに病気で亡くなり、父親と4人で暮らしていました。ある日、裕が学校から帰ると玄関に立ち入り禁止の黄色いテープが貼られていて家具一式が外に運び出されていました。鍵は変えられたようで中には入れません。途方に暮れている所へ姉と兄が次々と帰宅。みんな同じようなリアクションするのが笑えました。やがて父親が自転車でやってきます。『はい、みんな集合。』3人は神妙に父親のミコトバを待ちます。『まことに残念ではございますが、家のほうには入れなくなりました。厳しいかとは思いますが、これからは各々頑張って生きてください。はい、解散。』父親は自転車に乗って行ってしまいます。意味分からないですよね。解散?3人の中で一番楽観的だったのは裕だったかもしれません。兄と姉が止めるのを振り切って自分1人で何とか生きると宣言し飛び出して行ってしまうんです。でも現実は厳しいですよ。お金ないからご飯も食べられないし、いきなり友達の所に転がり込むずうずうしさもないので近所の公園で寝泊まりです。コメディなのでおもしろおかしく表現されていましたが、自販機の下に落ちてるかもしれない小銭をあさったり、雨をシャワー替わりに浴びて落ちてた段ボールや雑草を食べ、ときどきコンビニでバイトする兄を訪ねては弁当をもらっていました。こんな生活が果てしなく続くのかと思うと絶望的な気持ちになるでしょう。『水を5分以上飲み続けると空腹感が消える』確かに茶腹も一時とはいいますが毎食公園の水だけって訳にはいかないですよね。盗みなどの法に触れることをせずに済んだのは偶然クラスメートの川井くんと会ったからかもしれません。家に連れていってもらい、久しぶりに食べた暖かい食事はさぞ美味しかったでしょう。お風呂も1ヶ月ぶりくらいでしょうか。裕の苦境を聞いた川井くんの両親がなにかと面倒を見てくれて、神社で野宿だった兄と姉も一緒に3人で生活保護を受けつつ暮らせるようになります。父親が一度だけ裕と道ばたで遭遇してました。『元気でやってる?そう。じゃ、かいさーん。』また自転車でふらふら行ってしまいました。普通は親がダメなら親戚タライ回しになるところですが、田村家は親戚付き合いがなかったんでしょうね。裕よりも高校生のお姉さんが無事でよかったと思いましたよ。夜、外で寝るの怖いから一晩中歩き回ってたなんていってましたが、悪い人たちの餌食にならなくて本当によかったです。大学生のお兄さんだって辛かったでしょうね。自分のことで精一杯の遊びたい盛りに、我が道を行く反抗期の弟や年頃の妹の面倒も見なくてはいけないし、責任がずっしり重く肩にのしかかってたに違いありません。『誰も知らない』と言う映画でも衝撃を受けましたが、こういった親にとっても子にとってもどうにもならないドン詰まりな状況ってあるんですね。田村一家の場合は兄弟全員が中学生以上でまだましだったのかもしれません。一時期不登校になった裕も先生や家族の励ましで何とか吹っ切れたのか、最後に彼の漫才で笑う兄と姉の姿が映し出されていました。本も売れてテレビでもドラマ化されたり相当流行ってたのでご存知の皆さんは多いかと思いますが、私は未だ田村裕さんの顔も知らないんですよ。麒麟の漫才も聞いたことありません。大将はお笑い番組が好きでたまに見てるみたいですが、私はあまり興味がなくてね。インパルスとか爆笑問題とかは知ってます。芸人の世界も浮き沈みが激しいですから、大変でしょうね。これからも頑張って欲しいです。予告編はこちらから。
2014/08/21
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税金のこと、よく分かりません。ずっと天引き人生なのでいくら払ってるのかも実はよく知らず、なんとなく『たくさん払ってる』気がしています。自営業の方とか金融関係の方はきっと詳しいんでしょうね。今日ご紹介するのは税理士と国税局との戦いの実話です。原作は高杉良の同名小説。飯塚事件(いいづかじけん)というのをご存知でしょうか。私はこの映画で初めて知りました。飯塚毅が経営する栃木県鹿沼市の会計事務所とその取引先に、1963年から国税庁の税務調査が入りました。取引先の中小企業のために勧めていた節税対策が、脱税に当たるという国からの圧力を受けるんです。飯塚は正義感の強い税理士で、自分は間違ったことはしていないと主張しますが、国税局からの嫌がらせともとれる再三におよぶ査察は続き、新聞にも大きく書き立てられて次第に顧客は離れて行きます。高圧的に締め上げられたショックで顧客の一人だったそば屋のおばあさんは亡くなってしまうし、布団屋をやっていた飯塚の父親も倒れてしまいました。4名の職員が逮捕起訴され7年にもおよぶ苦しい戦いを余儀なくされますが、家族や恩師たちに支えられ、彼の何者にも屈しない強い信念に次第に味方するものが現れ、ついには無罪判決が確定した事件でした。半沢のときもそうでしたが、国税局は悪者に描かれてます。その方が面白いからなんでしょうね。タイトル通り『不撓不屈』(ふとうふくつ)の精神で強大な国家権力と闘う主人公を誰もが応援したくなります。演じていた滝田栄さん、ドイツ語上手でした。本筋とは違いますが、そっちもビックリでしたよ。高度成長期の日本の家庭や町の様子が凄く懐かしい感じです。この頃冷房も普及してないし、夏は暑かったろうなあなんて思いながら見ました。自分も生きてたんですけど、この事件は全然記憶にないんですよね。奥さん役を松坂慶子が演じてるんですが、内助の功のお手本みたいな女性です。子供たちも父親を絶対的に信頼してるし、昭和30年代・40年代の日本て完全に男社会で女・子供は別次元の生き物だったんでしょうね。心の支えとなっていた禅寺のお坊さんが、多くは語らないんですが的確な気付きをあたえてくれて、この存在は大きいです。お坊さんはセラピストなんですね。『不撓不屈』は森川時久監督の2006年の映画です。これを見て少しは税金のことが分かったかというとそっちはまるでダメでしたが、近代史の勉強にはなりました。飯塚毅博士って、いろんな意味で凄い人だったんですね。ご興味ある方はこちらのサイトをご覧下さい。予告的映画の紹介はこちらから。
2014/08/19
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大好きな俳優さんが亡くなりました。昨日,通勤途中にラジオから訃報が流れて耳を疑いましたよ。私達が結婚して間もなかった頃、レンタルビデオで『フィッシャー・キング』を借りて来たんです。これはハマりました。日本語吹き替えがあまりに面白いので何度も見て二人で真似して遊んでました。英語では何て言ってるんだろうと気になって、今度は字幕板を借りて来てまた何度も見たんです。以前ご紹介した『いまを生きる』も大好きな映画でした。長年探していた絵がこの映画に登場して、驚いてDVD買ったんです。ブログに掲載したお陰で絵の正体も判明。自殺してしまった奥さんを地獄に捜しに行く『奇蹟の輝き』もDVD持ってます。『ジュマンジ』も面白い映画でしたね。アニメ『ハッピー・フィート』の吹き替えも面白かったし、ミセス・ダウトの演技も素晴らしかった。上げて行くときりがないんですが、『ガープの世界』や『グッド・ウィル・ハンティング』、『レナードの朝』もお勧めです。彼の作品で一番最近見たのは『ファイナル・カット』だったと思います。この時紹介したブログにも書きましたが、ロビン・ウィリアムズは美男の範疇には入りませんがとっても演技派で、大して面白くなさそうな映画も彼にかかると笑いあり涙ありの感動作になるんですね。日本の俳優さんで言ったら西田敏行さんみたいな感じです。彼は自分の娘に『ゼルダの伝説』にちなんで、ゼルダと名付けたことでも有名でした。ロビン・ウィリアムス、死因は自殺とか。重度の鬱病で長年悩まされていたそうですね。63歳、まだ若過ぎます。非常に残念でなりません。
2014/08/12
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日本人は『NO』と言えない国民性を持っていると言われています。確かに場の空気を和やかなものにとどめたいと子供のころから最大限に気を使うのが身に付いています。それがいい方に転んで『おもてなし』の国民性が生まれたのかもしれません。頼まれたら何で断れないのか。自分を振り返ってみると『NO』と言うにはそれなりの言い訳が必要で、それを説明するのが面倒という理由があげられます。是非そうしたくなくても、どっちでもいいなら『YES』と言ってますね。『YES』なら言い訳必要ないですもんね。特に相手が外人だったりすると、ちょっとくらいイヤな仕事でもとりあえず角が立たない『YES』で仕事をしょいこんでしまうパターンが多い気がします。今日ご紹介する映画は何に対しても『NO』ばっかりだった男が、あるセミナーをきっかけに『YES』マンに転向し、人生がいい方向に展開して行くお話です。元来イエスマンの日本人は、実はとっても得してるのかもしれませんよ。カール(ジム・キャリー)は銀行の融資課に務めているバツイチのサラリーマンでした。面倒なことは大嫌いで、仕事でもプライベートでも『No』を連発しています。友達の誘いにも居留守を使ったり、融資を頼みに来た顧客を追い返したりするので営業成績もパっとしません。『おまえは生き方を変えないと独ぼっちになるぞ。』数少ない友達に言われて危機感を覚えたカールはセミナーに参加します。全てのことに『YES』というだけなんですが、会場を出た途端に早速試練が訪れるんですね。ホームレスに金をせびられ、車で言われるがままに送って行ってあげてガス欠。人気のない寂しい場所に置き去りにされます。やっぱりイエスだけじゃ生きて行けない。そう思ったとき、捨てる神あれば拾う神ありのことわざのごとく、かわいい女の子アリソン(ゾーイ・デシャネル)との新しい出会いが。全てを否定しないポジティブな男に変身したカールの人生はどんどん好転して行きます。習いごとを始めたり、人付き合いもよくなって、何でも積極的に挑戦。これらが先の人生で役に立っちゃうんですよ。いままでは断っていた融資を全部『YES』で営業成績も急上昇。前向き人生バラ色絶好調でした。まあでもこれだけでは終わらないんですね。何でもそうですが落とし穴があります。ジム・キャリー自身が役者として面白いので、どんな事態に陥っても何とかなる気がするんですよね。全てに『YES』といったらどうなるかをイギリスBBCラジオディレクター、ダニー・ウォレスが実際に試してその体験実話を『Yes Man』という本にしたものがこの映画の元になっているそうです。映画だから軽い気持ちで見られますけど実際にこれをやるのはかなり勇気がいると思いますね。『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(原題:Yes Man)は、ペイトン・リード監督のよる2008年のアメリカ映画。ご家族で楽しめる面白い映画です。公式サイトはこちらです。
2014/08/05
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別れた恋人と10年後に再会する約束、あなたなら守りますか?10年経つと環境も変わるし何しろ自分が変わります。私なら10年前の自分にだって再会したくないですよ。『太ったねー。それに老けた。』とか言われそう。しかも場所が日本じゃないんです。イタリアのフィレンツェ。その中心に立つドーモの天辺。ここ上りましたけど結構大変だし狭いし混んでます。眺めはいいですけど、そこで来るかどうか分からない人を一日待つのってどうでしょうね。昔見た『めぐり逢い』とか『恋人までの距離』も似たような再会話しでしたが、どちらも感動的でした。 今日ご紹介するのは2001年にヒットした中江功監督による日本映画。ごく最近見たんですが、ミラノやフィレンツェ行かれたことある方は変わらない景色を懐かしく感じることでしょう。原作は江国香織と辻仁成の2人が女性と男性のそれぞれの観点から描いた合作で、別々の単行本としてセット発売されました。読んでないんですが発売当初50万部を越えるベストセラーになったようですね。映画もエンヤの音楽と共にフィレンツェの街並が映るCM、よく見ました。 阿形順正(竹野内豊)はフィレンツェの工房で美術品修復の修行をしています。祖父は有名な日本画家で、才能を受け継いだ彼も周囲がうらやむほど成長著しい青年です。芽実(篠原涼子)という恋人がいたんですが、どうしても元カノのあおい(ケリー・チャン)のことを忘れられません。学生時代に知り合って、唯一心を通わせた香港からの留学生でした。辛い別れだったので、なおさら引きずるのかもしれませんね。あおいはミラノにいたんです。何かのラジオ番組で、別れた男女のその後みたいな特集をやっていたんですが、相対的に男性の方がいつまでも未練タラタラなんだそうです。別れた後も、元カノは自分のことをずっと好きで居続けていると思ってる男が多いとか。女性は割とドライで、『別れたら次の人』らしいです。この映画でもそうでしたね。フィレンツェから電車であおいに会いに行った順正は、ジュエリーショップで働き、裕福なアメリカ人実業家の恋人になって幸せそうな彼女に再会します。ミラノまでノコノコ出かけて行った自分を責めつつフィレンツェに戻ると大変な事態が発生していました。順正の修復していた貴重な絵画が、彼の留守中に切り裂かれていたんです。イタリアに居場所をなくした順正は傷心のまま帰国。芽実さん、ちょっと気の毒でしたね。無条件に順正を慕っているのに彼の心はいつもどこか別にあったから。帰国した後、あおいとの理不尽な別れの裏に隠された彼女の深い愛を知った順正は、もう他の女性を愛せる気がしませんでした。再びイタリアで修復の仕事を始め、静かに時は流れて行きます。そして約束のとき。あおいの20歳の誕生日に、『10年後フィレンツェのドーモで会って。』と交わした約束、彼女は現れるでしょうか。これ系の話しは、だいたい男の方が朝から待つパターンですね。そして夕暮れ、彼女は来ない。ホントに来ないの?もうすぐ日が暮れる…。この小説が月刊カドカワに連載され始めたのは1997年だそうです。私たちが初めてダンス競技会に出た頃ですね。6級戦で一緒に戦ったみなさんはどうしてるんだろう。『10年後はA級戦で!』なんていう約束してたら何組再会出来たでしょうか。映画の公式サイトはこちらです。
2014/07/23
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これこそまさに人生(LIFE)そのもの!私にとっては100人の村以来の、心の目をこじ開けられた作品です。人生の目的って何でしょう。長いようで意外と短い人生。何でも育つ可能性のある広大な畑のようだった人生の時間が、気が付けば残りわずか。毎日同じ時間に起きて同じような朝食を食べ、同じ時間に出勤して同じような人と言葉を交わし、それらの人が本当はどんな人なのかも知らずに家に帰る。それが人生だと思っていました。私の場合、ダンスというもう一つの世界があるのでこの映画の主人公のウォルターよりは少しはマシだったかもしれません。彼は『LIFE』という雑誌の写真管理を長年務めていた妄想好きの地味男でした。この妄想がね、ものすごく突飛で面白いんです。いろんな映画のパロディも織り交ぜてあって、映画好きにはたまりませんよ。新しく来た上司にイヤミを言われて本当は何も言い返せないんですが、妄想の中で『ダンブルドアじゃあるまいし、なんだそのヒゲは!』なんていってウケまくったり、告白出来ないでいる好きな女性と、これも妄想の中でベンジャミン・バトン風の人生を楽しんでいたり。でもその彼に一大転機が訪れるんです。LIFE誌の廃刊、そしてその表紙を飾るはずの写真の紛失。ウォルターは写真を送ってくれたフォト・ジャーナリストを追って世界に旅立つのです。『LIFE!』(原題: The Secret Life of Walter Mitty)は、監督と主演をベン・スティラーが務める2013年のアメリカ映画です。ジェームズ・サーバーの短編小説『虹をつかむ男』を原作とした映画のリメイク作品だそうですが、この作品では雑誌LIFEは全く関係なくもっとドタバタ冒険コメディみたい。前作を見ていないので大きなことは言えませんが、リメイク版の方が格段にいい気がします。音楽もいいんですよ。このサントラは買いかも。ウォルターが思い切ってヘリコプターに飛び乗ったとき、妄想の中で好きな彼女が背中を押すように歌ってくれた『トム少佐の歌』、ぐっときました。映像もおしゃれなんです。普通テロップで流れる出演者とかが、街の風景の溶け込むようにビルの壁や道路に書かれていたり、きっとよく見ると様々なメッセージが暗示のように映像として流れているんじゃないかと思います。是非皆さんにも見て頂きたい。どんでん返しの最後には、心鷲掴みにされますよ。最後に2007年に廃刊となったLIFE誌のスローガンをご紹介しましょう。To see the world, Things dangerous to come to, To see behind walls, To draw closer, To find each other and to feel.That is the purpose of life. 世界を見よう危険でも立ち向かおう壁の裏側を覗こうもっと近づこうもっとお互いを知ろう、そして感じようそれが人生の目的だから公式サイトはこちらです。6分の予行編見るだけでも感動しますよ、きっと。
2014/07/15
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武士の家計簿は代々『そろばん侍』の物語りでしたが、今度は代々『包丁侍』のお話です。日本のお家制度って,変わってますね。遺伝によって受け継がれる才能は確かにあると思います。足が速いとか絵がうまいとか顔がいいとか。中学くらいで習ったメンデルの法則では、4人兄弟のうちの1人は劣性遺伝じゃなかったでしたっけ?ですから会計係とか料理係を先祖代々受け継いで行くのってムリがあると思うんです。中には数字音痴の『そろばん侍』や味音痴の『包丁侍』がやむなくそのお役を引き継ぐこともあったんじゃないでしょうか。今日ご紹介する映画は、料理に興味ない『包丁侍』を助けて加賀藩の存続をかけた大宴会を取り仕切るまでに育てた舟木家の嫁・春のお話です。春は浅草の料亭の娘として生まれますが、幼くして両親を亡くし加賀藩6代藩主吉徳の側室お貞の方に女中として仕えていました。親譲りの料理の腕と絶対味覚を持っていて、江戸屋敷での会食の際に余興として出された料理の素材を当てる問題にただ1人正解します。料理を作った台所方・舟木伝内は春の才能に感服し、是非息子の嫁になって欲しいと望まれるんですね。春は出戻りで、舟木の息子・安信より4つ年上でした。兄の急死で家を継ぐ羽目になった安信は、剣は立つけど包丁さばきはからっきしダメ。父の後を継いで包丁侍として加賀藩の台所を切り盛りして行けるのでしょうか。そこで春が大活躍するんですね。徹底した料理指南の甲斐あって、安信も次第に腕を上げて行きました。ところで歴史に詳しい方はよくご存知と思いますが、春が結婚する前に仕えていた側室お貞の方は、天下を騒がせた加賀騒動の中心人物です。このとき大槻伝蔵率いる改革派の一員として集会に参加していた安信。後に大槻・お貞の方を自害に追いやった保守派土佐守の暗殺計画に参加しますが、春の機転で死を免れます。春役は上戸彩なんですが、半沢のときといい、素晴らしい内助の功ですね。騒動に揺れた加賀藩の威信を保つべく、徳川家はじめ諸大名を招いた大宴会が催されます。その采配を任されたのは安信でした。大役を全うすべく春と共に食材探しの度に出て、そのとき初めて自分に尽くしてくれる得難い妻への感謝が芽生えるんですね。しかし春は知ってしまったんです。暗殺計画失敗で夫をなくした剣道場の娘・佐代と幼い頃から相思相愛の仲であったこと。そして安信が佐代のかんざしを今も大切にしていること。春は夫が無事大役を果たした暁には家を出る決意を固めていました。『武士の献立』(ぶしのこんだて)は、2013年に公開された朝原雄三監督映画。脚本は『武士の家計簿』と同じ柏田道夫。北國新聞創刊120周年作品だそうです。饗応料理は素晴らしいものでした。七の膳まである料理なんて初めて見ましたよ。春さんはともかく、舟木親子は実在の人物だそうです。父・伝内(西田敏行)は料理本も出してる当代きっての料理人でした。安信(高良健吾)は剣の使い手でしたが饗応料理の成功で父親よりも出世します。料理の才能や味覚の正確さというのも遺伝するのかもしれませんね。公式サイトはこちらです。
2014/07/09
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ジョーダン・ベルフォートという伝説の男がいます。回想録『ウォール街狂乱日記 - 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』の作者であり、現在51歳の元株式ブローカー。今日ご紹介するのは、この作品を元に彼の半生を描いたドタバタ伝記映画。レオナルド・ディカプリオがベルフォートを演じ、マーティン・スコセッシが監督を務めるコメディ映画なんですが、どこまでがホントなんだろうと首を傾けながら見ました。ウォール街が舞台となると、激しい浮き沈みがある人生が想像出来ます。ホリエモンみたいな人かなと思ってました。かなりイメージ違いましたね。金欲と性欲がドラッグによって増幅された暴走特急とでも言いましょうか。それでいてカリスマがあり魅力的な人物なので、この暴走特急に跳び乗ってマネーゲームに追随する人が多かったんです。始まりは投資銀行への就職でした。ブローカー資格を得るために勉強しながら上司のアドバイス『成功のコツはセックスとドラッグ』を実践しつつ働きます。ついに資格取得。しかしブローカーとしての初出勤の日が何とブラックマンデー。会社は倒産します。ここまででも既に凄い人生だなと思ってしまいますが、ここからが本番です。就活してもアメリカの経済状況がドツボですから上手くいきません。ついにたどり着いたのがクズ株(安すぎて上場出来ない店頭株)を扱う会社でした。取引額が小さいので儲けも薄く、今までいた会社とは比べ物にならないくらい活気のない会社です。でもそこでジョーダンはいきなり頭角を現すんですね。1人でバンバン売りまくり大きく儲けて自分の会社を作ります。ストラットン・オークモント社。彼は26歳にして億万長者になります。ハチャメチャぶりはここからで、職場に楽団呼んだりストリッパー呼んだり、会社中『性欲とドラッグ』だらけの無法地帯と化して行くんですね。腹心の部下ドニーは金魚丸呑みしたり、女性社員が金のために丸刈りにされたり。普通の会社じゃないことは確かです。ジョーダンは奥さんと離婚して、よりゴージャスな女性と結婚。更に大きな取引にも手を伸ばし絶頂期を迎えていました。しかしこの頃からFBIが動き始めていたんですね。上り方も凄ければ落ち方も凄い、まさにミラクル・ジェットコースターのような人生なんですが、特に凄いのはスイス銀行に隠していた金の名義人だったエマ叔母さんが亡くなってからでしょうか。急だったので遺言状もなく、放っておけば口座が凍結されてしまいます。その時彼はドニーの家族共々、奥さんに贈った豪華な船で地中海にいました。慌ててスイスに向かう途中、船は嵐に遭遇。何と沈没しちゃうんですよ。搭載してたヘリも海に落ちてましたね。イタリアの救助隊に助けられるんですが、迎えに来させた自家用ジェットも墜落。エマ伯母さんの呪いでしょうか。この後もいろいろあって、結局しばらく刑務所暮らしになるんですが、いま現在、どんな暮らしをされているのか気になりますね。本が結構売れて映画化もされましたから貧乏のどん底ではないでしょう。ウィキペディアによると、モティベーショナル・スピーカーとして世界中で講演を行っているとのこと。人をやる気にさせる熱い講演が聞けるんでしょうね。TEDでも講演してるのかしら。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(The Wolf of Wall Street)は、2013年のアメリカ映画です。面白かったけどちょっと過激な描写も多いので是非ご覧くださいとは言いがたいですね。ご興味ある方、公式サイトはこちらです。
2014/06/06
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楽して儲けたい。楽して競技会で成績上げたい。みんな思うんですよね。今日ご紹介する映画は、ギャンブルでドツボにはまった二人がアイデア商品で一攫千金を当てた、これは実話です。インターナショナル・ギフトという名前はでかいけどオフィッスは小さい会社がありました。サム(ジェレミー・レナー)とマット(ダラス・ロバーツ)が二人で経営しています。マットが商品開発担当。彼はアイデアマンで今までもいろんなアイデア商品を開発して来ましたがどれも売れません。彼が言うにはアイデアは空中のあちこちに電波のように漂っているんだそうです。閃く時は、自分のアンテナにそれが引っかかった時なんだとか。彼にはCAをやっている美人の奥さんジーナ(アイェレト・ゾラー)がいました。夢を追う夫を資金的にバックアップしているのは彼女です。でもサムという悪友にほだされて、いつもギャンブルで大切なお金を摩ってしまい、ついに会社は倒産。ジーナは家を出て行ってしまいます。自分が考えた腕時計のアイデアをテレビショッピングに横取りされて訴えることも出来ず泣き寝入り。ついにマットは家具屋で、サムは大工として生きて行くことになってしまうんです。失意の中、バーでビールを飲む二人。そのとき、突然マットのアンテナにアイデア電波がひっかかるんですね。『もうだめだと諦めたとき、人は一番成功に近付いている。』これって、凄く思い当たる節があります。皆さんはいかがでしょう。一体彼は何を思いついたのか。全く想像もしていなかった商品でした。おしゃべり栓抜き(Talking Bottle Opener)ってご存知ですか?ビールの栓を抜くとしゃべるんです。栓抜きが。『オーイェー! イッツ・ビアタイム!』これがバカウケするんですよ。いろんなバージョンを出して全世界18カ国、1000万本の売り上げ。日本語のも出したみたいですけど見たことありませんね。フラフープ、水鉄砲、フリスビーについで、全世界で4番目に売れている大ヒット商品なんだそうです。『逆転のメソッド』(原題:Ingenious)は、ジェフ・バルスマイヤー監督の2009年のアメリカ映画です。面白い映画でした。84分と短いのもいいですね。予告編はこちらからご覧になれます。これ,一本欲しいかも。
2014/06/03
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1年も経つとどんな話しだった忘れますね。3部作の1作目ホビット 思いがけない冒険では、ドワーフ王国がドラゴンに襲われて、それを奪還するべく魔法使いガンダルフとホビット族のビルボ・バギンズが13人のドワーフと共に旅にでたんでした。ビルボはロード・オブ・ザ・リングの主人公フロド・バギンズの叔父さんで、問題の指輪を手に入れた張本人です。凄く面白かったから次回作は是非劇場で見ようと思っていたのに結局タイミングを逃し、飛行機の中の極小モニターで見る羽目になりました。画面小さい分パンチは弱かったですが、お話は面白かったですよ。一行が目指しているのは『はなれ山』にあるかつての王国エレポール。今はスマウグという火吹き竜に乗っ取られています。相変わらず危機一髪連続の危険な旅なんですが、ガンダルフは闇の王の復活の兆しを確かめるためにここから別行動になります。ロード・オブ・ザ・リングで大活躍だったエルフ族の王子レゴラス(オーランド・ブルーム)も登場します。彼は密かに女戦士タウリエルに好意を持っていますが、彼女は身分違いの恋は御法度と王様から釘を刺されていましたので王子の気持ちに気付かない振りをしていました。戦いが大好きなドワーフ族はホビットとは小人同士で割と仲良しでしたが、大きくてお高くとまってるエルフ族とはもともとそりが合わなかったんです。ドワーフの王トーリンは、王国が奪われたとき助けてくれなかったとエルフを恨んでいました。巨大クモから助けてもらったもののエルフの王様の機嫌を損ねて捕らえられてしまうんです。獄中にいたドワーフのキーリは、なぜかタウリエルと仲良しになるんですね。レゴラスは気が気ではありません。ビルボの強みは指輪ですね。まだこの指輪の恐ろしい呪いについて知りませんし、指にはめると姿が消せるので重宝しています。巨大クモに襲われた時も、エルフ族に捕らえられた時も、ビルボは指輪の力を使って旅の仲間を助けていました。鬼みたいな顔のオークが執拗に追いかけて来るんです。ガンダルフはいないし、ドワーフとホビットでは小人ばっかりですから大きなオークの大群に対抗するのは大変。獄中から取る物も取り敢えず逃げて来たので武器も持ってないんです。最大の見せ場は火吹き竜スマウグからビルボが秘宝アーケン石を取り戻せるかという所でしょうね。思いっきり不思議だったんですが、一緒に旅して来たドワーフの面々は全然手伝わないんですよ。ビルボ1人に竜の入る部屋に行かせて石を取って来いだなんて、まるでアラジンと魔法のランプみたいじゃないですか。ドワーフは好戦的な種族なんだし自分たちの宝なんですから『俺が行きます』とか誰か言えばいいのに誰も言い出さない。竜がよっぽど恐いんでしょうね。ところでこの竜しゃべるんです。何と声担当してるのがシャーロックのベネディクト・カンバーバッチ。声の感じでもっと年配の声優さんかと思いましたよ。それにしても黄金宝石ざっくざくの巨大な部屋からどうやったらたった一つの大切な石を見つけ出せるのか。これ見て九十九里浜に消えた愛車の鍵思い出しました。雇われの『忍び』は楽じゃない。『ホビット 竜に奪われた王国』(The Hobbit: The Desolation of Smaug)は、ピーター・ジャクソン監督による2013年のアメリカ映画。原作はJ・R・R・トールキンの1937年の小説『ホビットの冒険』です。公式サイトはこちらです。予告編もきれい。
2014/05/29
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出来る男は大変ですね。この映画を見てしみじみ思いましたよ。特に劣等感に苛まれる上司を持ったりするとつき合い方が面倒。利休は優れた美意識を持った人だったので感性の鋭い信長が上司だったときはよかったですが、サルには無理だったんでしょうね。人はそれぞれ得意分野があります。何においても日本一になりたかった秀吉にとって、利休の曲げない美学やそれに多くの人が追随するのが我慢ならなかったんでしょう。1591年、千利休は茶室で切腹の日を迎えます。今日ご紹介するのは、山本兼一の第140回直木賞受賞小説『利休にたずねよ』を映画化した作品です。日本にもこんな耽美主義者でがいたんですね。歴史にはそれほど思い入れがないものの、昔から何で利休が切腹したのか不思議だったんです。秀吉だってちょっとむかついたから切腹命令したものの、ホントは上下関係を確認しかっただけなんでしょうね。自分がそうありたいと願う高みからいつも利休に見下ろされている気がして成り上がり者の秀吉は劣等感が疼いたんでしょう。利休は頭のいい人ですから、切腹を回避する方法はいくらでも思いついたと思いますが、きっとそうすることが自分の美学に反したのだと思います。それに若い頃、心中を誓って自分だけ死に切れなかったことが心に刺のように引っかかっていて、いつも死に場所を探していたのかもしれません。高い美意識を持つ人って、これは想像ですが、自分が老いて美しくなくなって行くことにも耐えられないんじゃないかという気がするんです。69歳になっていた利休は、生き方より死に方にこそ侘び寂びを求めていたのかもしれません。美しさを探求した歴史的有名人物を描くとなると、映像にもかなりの拘りがあったのではないかと思います。窓から望む冬景色、花瓶を飾る花の枝振り、揺れる炎に浮かび上がる小鳥のランプ、映し出されるシーンに表現される利休の嗜好が確かに美しいので説得力がありました。なかでも信長を喜ばせたエピソードには感心させられました。唐物などの高価な道具を信長に見せて褒美をもらおうとする他の茶人たちに対して、利休は漆塗りのいかにも日本製のお盆を持って来るんです。金で波と鳥が描かれただけの小さなお盆です。みんなが利休は血迷ったかと懐疑の目を向けるに対し、彼は竹の水筒からその盆に平然と水を注ぎ入れます。一体何が始まるのか。その盆には美しい満月が写り、揺れる水面が作り出すこの世のものとは思えぬほどの儚くも美しい世界があったのです。これは感動しました。信長は惜しげもなく褒美を出します。『利休にたずねよ』は2013年の田中光敏監督作品。主演は歌舞伎俳優の十一代目 市川海老蔵です。千利休の師匠・武野紹鴎役を海老蔵の父である十二代目 市川團十郎が演じ、最後の親子共演作となりました。第37回モントリオール世界映画祭最優秀芸術貢献賞受賞を受賞したほか、第37回日本アカデミー賞では、吉田孝が最優秀美術賞を受賞、その他8部門でノミネートされました。公式サイトで予告編がご覧になれます。
2014/05/28
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本を読むと惜しげもなくどんどんリサイクルに出してしまう私ですが,どうしても手元に置いておきたい愛読書というのが何冊かあります。そのうちの一つがオースン・スコット・カードのSF小説『エンダーのゲーム』。無人戦闘機の話しで以前少し触れましたが、このSF小説は1985年にネビュラ賞、1986年にヒューゴー賞を受賞したみんなが認める傑作です。アニメ化は出来ても実写化は難しいのではないかと思っていました。あれから30年。ついに映像技術がカードの世界観を表現出来るまでに進歩したんですね。宇宙空間に浮かぶバトルスクールやリアルなマインドゲーム、意思疎通の出来ないエイリアンたちとの交戦。実によく出来ていました。もう3回も見てしまいましたよ。始まりは50年前、高度な文明を持つフォーミックと呼ばれた生命体が地球侵略にやって来ます。英雄メイザー・ラッカムの決死の攻撃によって撃退したものの、再襲来に備える必要がありました。国際機関IFは地球の衛星軌道上にバトルスクールと呼ばれる施設を設置して、世界中から司令官候補となりうる天才児を集めて養成しています。この頃、地球では人口増加を防ぐために第2子までしか持てなくなっていました。第3子以降はよほどの事情があったり、大金を支払うことでしか持つことの出来ない規則になっていたんです。エンダーは、長男ピーターと長女ヴァレンタインが天才なので特別に許可された第3子でした。バトルスクールに入る前、候補となりうる子供は神経組織にモニターを埋め込まれ、思考パターン,行動パターンが監視されます。兄ピーターは残虐さ故、姉ヴァレンタインは優しさ故にモニターが外されバトルスクールに行くことはありませんでした。エンダーはいじめっ子たちを頭脳プレーで徹底的撃退するものの残虐性はなく優しさも兼ね備えていて、IFのグラッフ大佐(ハリソン・フォード)に見込まれバトルスクールへと進みます。バトルスクールが実によく出来てるんですよ。ほれぼれしました。バトルはチーム対抗の陣地取りゲームで、武器は当たると凍結して動けなくなるレーザーガンです。無重力空間に浮かぶ『星』と呼ばれるテトラポットのような障害物が戦いの場を複雑にします。エンダーは新入りの中で一番始めにバトルチームに配属されました。エンダーはどのジャンルでも優秀な成績を残し、異例の出世を遂げて最年少でチームを率いる司令官となるんです。最終試験はシミュレーションゲームで行われるフォーミックの母星での戦い。信頼する仲間たちと共に、圧倒的な数の敵と対戦します。2013年、ギャヴィン・フッド監督により映画化された『エンダーのゲーム 』。長編小説を2時間弱にまとめるのは至難の業だと思うんです。数々のバトルをクリアしていくエンダーのずば抜けた作戦や、ビーン、アーライ、ペトラなどの活躍もほとんどカット。巨人の飲み物というゲームソフトも相当部分がカットされてますがちゃんと物語りの中で存在感を出していました。兄ピーターと姉バレンタインの地上でのスーパー頭脳ぶりも出て来ませんでしたが、実に上手く出来てましたね。エンダー役のエイサ・バターフィールドはとても雰囲気が合ってるんですね。『ヒューゴの不思議な発明』のヒューゴ役の少年です。原作では最年少の6歳でバトルスクールに入ることになっているんですが、ちょっと大きすぎるかなというのが気になりはしました。敵の異星人は本の中ではバガー(虫)と呼ばれていたのが何で映画でフォーミックに変える必要があったのかもちょっと疑問です。ダップ軍曹やアンダーソン少佐も自分が持っていたイメージとちょっと違いましたね。私の宝物のようなこの本、絶版だそうです。でもご安心ください。新訳が出ました。公式サイトはこちらです。
2014/05/26
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歴史の授業ってどうも面白くなくて、父親の話してくれる忍者の活躍しか興味が湧きませんでした。戦国時代が好きって方多いですね。私のような日本史ダメな奴でも、NHK大河ドラマで安土桃山時代の話しは何度も取り上げられてますので何となく流れは分かっている気になってました。あんまり見てないんですけどね。織田信長が本能寺の変で家臣だった明智光秀討たれ、その仇をとった秀吉が天下統一に向けて一歩前進。でもその前にもう一つ,天下を分けた頭脳戦『清洲会議』があったんですね。この映画で初めて知りました。織田信長(篠井英介)亡き後,跡目を継ぐはずだった長男の信忠(中村勘九郎)も死んでしまって誰が織田家を継ぐかということになります。1582年、尾張の国・清洲城で重臣達が集まって話し合うことになりました。それが世に言う『清洲会議』。織田四天王の一人で筆頭家老の柴田勝家(役所広司)がこの会議の中心人物と言っていいでしょうね。戦は強いんですが、ちょっと単純バカで、信長の妹お市の方(鈴木京香)にぞっこんなんです。ほぼ言いなりです。信長の三男、切れ者と名高い織田信孝(坂東巳之助)を跡目にと考えています。同じく織田四天王の一人、丹羽長秀(小日向文世)も信孝を後継者にと考えていました。直情的な勝家とは違って状況を冷静に判断する頭を持っています。勝家に主導権をとられたくない羽柴秀吉(大泉洋)は、対抗馬として次男の織田信雄(妻夫木聡)を推していました。ところがこの次男、とんでもないバカ殿なんですね。今風に言うとチャライ男なんです。会議に参加するもう1人は池田恒興(佐藤浩市)でした。勝家か秀吉か、どっちにつくか決めあぐねていて風向きの良さそうな方にしようと思っているいわゆる無党派層です。さてこの4人で投票する訳なんですが、どうもバカ殿派は分が悪い状況でした。秀吉だって、推挙しては見たもののこんな殿様の下で働くの嫌だし。そこで軍師勘兵衛(寺島進)と二人でいいこと思いつきます。『信長の孫がいるじゃないの。』亡くなった長男は武田信玄の娘である松姫(剛力彩芽)と結婚していて、三法師というまだ幼い男の子がいたんです。血筋的にはバッチリです。多数決で勝てば推挙した秀吉が後見人になって実質天下は自分のもの。戦だけじゃなく、秀吉はこう言った頭脳戦でも実力発揮しましたね。勝家がお市の方に入れあげてる隙に、会議出席者に根回しです。勝家の推す三男は適任と思われたんですが正妻の子じゃなかったので血筋的な弱みがありました。投票の結果、秀吉の勝利。そして歴史は動きます。『清須会議』は、三谷幸喜が原作,脚本,監督を務めた2013年のコメディ映画です。予想違わず面白い映画でした。それにキャストも凄く豪華。ステキな金縛りの幽霊(西田敏行)も生きている姿で登場するんですよ。公式サイトはこちらです。
2014/05/22
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勝ち組・負け組という言葉が飛交っていた時期がありました。アメリカは世界的に見て超富裕層の人数が圧倒的に多く、貧富の差の二極化が加速しているようです。自分たちが払っている莫大な税金が貧困層に注ぎ込まれるのに不満を抱く富裕層の話しをTVの特集番組でやっていました。出来ることなら自分たちの稼いだお金を自分たちのためだけに使いたい。そう思った富裕層が将来的に貧困層とは隔離されたコロニーに住みたいと考えるのもあり得そうな話しです。今日ご紹介する映画は、超富裕層だけが地球を離れ、スペースコロニー『エリジウム』で快適な暮らしを送る近未来を描いています。2154年、地球は大気汚染と人口増加で荒廃していました。スラム化した街で生まれた貧しい人々は、劣悪な環境での労働を強いられ、ロボットによって監視されています。一方、宇宙に浮かぶスペースコロニー『エリジウム』に暮らす富裕層の人々は、管理されたクリーンで快適な環境のもと高度な医療技術によって守られていました。アーマダイン社はエリジウムを設計した会社で、監視用ロボットなどの製作にも当たっています。マックス(マット・デイモン)は空に浮かぶエリジムに憧れながら育ち、一度は悪に手を染めたものの更生してアーマダイン社の工員として働いていました。しかし上司の無理な命令で危険な作業を強いられ、過って大量の放射線を浴びてしまいます。余命5日。しかも何の保障もなく会社は使えなくなった彼を首にします。マックスは諦めきれませんでした。エリジウムで再生医療を受けるため密航を企てるんです。昔の仕事仲間、闇商人スパイダーと取引をします。ロボットにも勝てるボディスーツをある条件のもと手術で装着。その条件とは地上にやって来たエリジウムの住人を襲撃してパスワードなどの脳内情報を奪うという危険なものでした。ターゲットにしたのはアーマダイン社のCEO。当然警戒厳重ですから襲撃は高いリスクがありました。それだけではなく彼の頭の中にはエリジウムを転覆させるほどの思いもよらない情報が入っていたんです。エリジウム防衛庁長官デラコート(ジョディ・フォスター)は、情報を取り返すべく残虐な地上傭兵クルーガーにマックスを捕らえるよう指令を送ります。マックスはエリジウムでどんな活躍をするのか。乞うご期待です。再生医療技術は凄いものでしたよ。認証が済むと全身スキャンでたちどころに悪い所を割り出し、たとえ顔半分が吹っ飛んでても元のきれいな状態に戻してくれるんです。こんな技術が確立したらもう病気や怪我なんて全く怖くないですね。宇宙空間に浮かぶスペースコロニーとの往復は空飛ぶタクシーみたいな小型船で、現在のような大型ロケットがいらなくなっています。その割には相変わらず戦闘は銃だし、情報収集はノートパソコンのキーボード打ってる辺りが何か発想の限界を感じさせました。エリジウム自体も1970年代に設計されたスペースコロニーで、今から140年後なんだからもう少し何とかならないのかなあと思ってしまいましたね。でもストーリー展開は面白かったですよ。『エリジウム』(Elysium)は、ニール・ブロムカンプ監督・脚本による2013年のアメリカ映画です。映画の後の特典映像も見たんですが、ジョディ・フォスターが長い女優人生で初めての『ある演技』をしたと語っていました。周りの人たちが驚愕するほど真に迫った演技だったようですよ。監督は第9地区の監督で、そういえばあの映画もエイリアンと人間の二極化問題でしたね。南アフリカ生まれの監督にとって、人種差別的な状況が常に気になるポイントなのかもしれません。第9地区でエビちゃんに変身して行く味噌っかすヴィカスのシャールト・コプリーがクルーガー役を演じていい味出してました。公式サイトはこちらです。エリジウム プレミアム・エディション【初回生産限定】(Blu-ray)
2014/05/19
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150年前の日本はまだ鎖国状態でした。そんな中、見つかったら死罪を捺して英国に秘密留学した長州藩の若者5人。彼らを人は長州ファイブと呼びます。以前試合で行った時にそういえば萩史料館で、長州ファイブと一緒に写真撮ったことありました。その時は凄い人がいたもんだくらいにしか思いませんでした。5人とも明治維新後の日本で大活躍ですからね。芸者遊びに明け暮れていた5人の田舎侍が決死の覚悟で渡英を決意し、刀を捨てちょんまげを切って1人千両という大金を工面します。英国船に乗せてもらってからは数ヶ月の航海を水夫として働きながら英語を勉強。イギリスに着いて鉄道に驚き、テムズ川を往来する蒸気船に驚き、石造りの巨大な建造物にも驚いて、こんなに進んだ国と戦争をしても日本が勝てるわけないと実感します。『生きた機械となって生還し、日本の役に立つ。』5人とも高い志を持っていました。下宿先の大学教授の奥さんに身なりを整えてもらい、田舎侍からイギリス紳士に変身した所で記念写真。5人の中で一番中心的に描かれていたのは山尾庸三(松田龍平)でした。造船所で働きながら造船技術を学び、その技術を日本に持ち帰ります。悪い奴らに囲まれた女性を助けようとしてボコボコに殴られた彼が、棒切れを持った途端素晴らしい身のこなしを見せた辺りちょっと気分が良かったですね。刀を捨てても日頃鍛練して来た剣術が活かされて、ヒーロー活劇を見ているような爽快感を味わえました。一番誰か分からなかったのが伊藤博文(三浦アキフミ)でした。俊輔という名前で呼ばれていたせいもあるんですが、日本でもイギリスでも女遊びがお盛んで『お札になった偉い人』と結びつかなかったんです。でもこういった身体を売るしかない貧しい人たちから話を聞くことで、資本主義社会で起こりうる二極化という弊害を知るんですね。この映画で描かれている以上に苦労があったのではないかと思いますが、五人とも無事帰還して日本の近代化に力をつくしました。井上馨(初代外務大臣)、遠藤勤助(造幣局長)、山尾庸三(東京大学工学部を創立)、伊藤博文(初代内閣総理大臣)、井上勝(鉄道王)。『長州ファイブ』は、2006年製作の日本映画。五十嵐匠監督作品です。スケールの大きなお話をよく2時間にまとめてあると思います。公式サイトはこちらです。ファイブ(5)って、グループとして収まりのいい数なのかもしれませんね。
2014/04/25
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ディズニー映画は日本でも人気が高く、劇場公開される作品が多い中、この作品はされていません。なぜでしょうね。日本ではアメリカほど養子縁組が盛んではないからかもしれません。今日ご紹介するのは子供のいない夫婦がある奇跡を通じて親になる決意をするファンタジー映画です。グリーン夫妻には子供がいませんでした。二人とも子供が好きなので努力を重ねましたがついに病院で絶望的と宣告されてしまいます。どうしても諦めきれない二人は、『自分たちに子供がいたらきっとこんな子だ。』というのを思いつくまま紙に書いて箱に詰めていきました。『ピカソのように芸術的よ。』『ロックが大好きなんだ。』『運動はダメだけどたった一度、サッカーの決勝ゴールを決めるわ。』夢は尽きませんでした。二人は箱を庭に埋めます。するとその夜、雨の少ないこの地域にグリーン家の上だけ嵐がやって来て、10歳くらいの泥だらけの男の子が現れるんです。『ボクはティモシー。』まるで桃太郎みたいな話しですね。彼は明らかに人間じゃなくて、くるぶしに葉っぱが生えているんです。植物の精なんでしょうかね。太陽に向かって大きく手を広げて栄養補給してました。光合成かな。ファンタジーですからなんでもありなんですが、都合よく紙に書いた通りのいい子でした。アメリカは養子縁組が盛んですから、急に家に子供がやって来ても皆不思議に思わないみたいですね。彼は芸術的センスを発揮し、サッカーでも決勝ゴールを決め(オウンゴールでしたけど)、グリーン夫妻は子供のいる生活に満足していました。しかし別れの時はやって来ます。足に生えていた葉っぱが次第に色づき一枚ずつ落ちて行くんです。短い間でした。でも彼は皆にたくさんの幸せをくれたんです。『ティモシーの小さな奇跡』(原題:The Odd Life of Timothy Green)は、ピーター・ヘッジズ監督による2012年のアメリカ映画。ティモシー役のCJ・アダムス君、かわいかったです。昨日大きくなった杉を見て、ティモシーもこんな風に木になってグリーン家を見守っているかもしれないと思いました。いい映画でした。お勧めです。予告編はこちらからどうぞ。
2014/04/08
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ピーターラビットの生みの親、ビアトリクス・ポターの伝記です。青いジャケットを着たうさぎの存在は知っていますが、お話を読んだことはありませんでした。ましてや原作者のことなど全く知らなかったんです。でもうちで長年愛用しているでっかいゴミ箱はピーターラビットでした。ビクトリア王朝の繁栄の中で生まれたビアトリクス・ポターは、子供のころから絵が大好きな女の子でした。ウサギやネコや動物たちの絵が得意で、まるで今にも動き出しそう。映像ではアニメを上手く併用していて、スケッチの動物が動いたり、馬車の馬が巨大ウサギになったりします。弟は昆虫採集に夢中でしたね。蝶や蛾の標本集めてました。二人が成長して弟は既に家を出て、ビアトリクスは三十路を過ぎてまだ家にいました。上流階級の縁談話しはいくつもあったんですが、どうもその気になれません。彼女が夢中だったのは絵本を出版すること。どの出版社も引き受けてもらえませんでしたが、苦労の甲斐あってついにウォーン社が出版を承諾してくれます。兄弟経営の出版社なんですが末の弟ノーマンが家で母親の相手をしていることに飽き仕事をさせてくれとせがむので、まあ失敗してもいいからみたいなやっつけ仕事的に請け負った契約でした。ところがビアトリクスの描く動物の世界にすっかりとりこになったノーマンは、この絵本の出版に熱意を見せ、やがてベストセラーとなってシリーズ化されます。二人は次第に惹かれ合い、結婚の約束をします。1900年頃のイギリスは、まだ階級差がはっきりしていて、良家の令嬢は出かけるときお目つけ役の老婆を連れて行くんです。女性が仕事をするというのも珍しいケースだったようですね。ビアトリクスは身分が違いすぎるといって両親にノーマンとの結婚を反対されてしまいます。この二人がたった一度ダンスをするシーンがあるんですが、その場面が一番印象的でした。後に彼女は別荘のあった湖水地方に土地を買ってそこに移り住みます。その景色も美しかったですね。『ミス・ポター』(Miss Potter)は、クリス・ヌーナン監督による2006年のイギリス映画です。ビアトリクスをレニー・ゼルウィガーが、ノーマンをユアン・マクレガーが好演しています。ホントに素敵な映画でした。お勧めです。公式サイトはこちらです。
2014/04/03
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神保町の春の古本祭が今年は3月28日から30日まで開催されています。歴史学者磯田道史は、神保町の古本屋で作品の元となる資料を入手したそうです。古い家計簿なんて古本屋で売ってるんですね。長い年月が経てば貴重な歴史的資料になりうるんでしょう。皆さんは家計簿つけておられますか?武士といえば刀が命とかよく言われますが、加賀藩で代々御算用者を務める猪山家にとってはそろばんと筆が命でした。御算用者とは会社で言ったら経理部のようなものだと思います。加賀百万石の大所帯をきりもりする経理部、30名ほどの侍が、かみしもを着て日々そろばんを弾いています。中でも若い猪山直之(堺雅人)は『そろばんバカ』と言われるほど仕事熱心で、父親の信之(中村雅俊)ともども奥さんの手弁当を片手に城に通う、まるでサラリーマンな生活を送っていました。この熱心さが災いしてか、村で米をめぐる騒動が起った際、藩内で米のピンハネをしている事実を暴いてしまうんです。下級武士の分際で蔵米を調べるなどもってのほかと上司から能登への左遷を命じられてしまいます。しかしここで藩上層部からの監査が入るんですね。不正に絡んで人事は一掃されます。直之が記した調書が目付けの調べと合致することで一気に左遷取りやめ昇進することに。出世はしたものの何かと出費もかさみ猪山家は破産のピンチにありました。ここで入払帳(家計簿)の登場です。このままでは武家屋敷を追い出され一族長屋暮らしになる。両親は不満たらたらでしたが家財道具のほとんどを売り払い家計の立て直しを計りました。がらんとなった家にみんなで囲む質素な食事。弁当も、おにぎり一個とふかしイモに変わります。しかしこの成果あって一家は破産の危機を脱しました。このころから直之の長男である成之にも厳しい教育が始められました。一家の家計簿は5歳の成之の担当となります。計算に向いてる遺伝子を代々受け継いでいるでしょうから生まれた時から職業が決まっているのも悪くないのかもしれませんね。しかし成之は、そろばん一筋の父親の生き方に反発して軍の道に進みます。幕末の激動の時代。芸は身を助けるんですね。のちに子供の頃仕込まれたそろばんの技が見込まれて、明治の海軍主計大監となります。私も子供の頃そろばん塾に数年通っていたことがあります。この映画に登場するそろばんは上玉が2つ、下玉が5つで自分が使っていたものと随分違うなと思いました。今は『そろばんと筆』ではなく『パソコンとエクセル』かもしれませんが、買い物の時に暗算したりするのでそろばん塾も役に立ってる気がします。『武士の家計簿』は2010年に公開された森田芳光監督による時代劇作品です。直之の妻を演じた仲間由紀恵が好印象でしたね。こういう人を大和撫子って言うんだろうなと思いながら見ました。家財道具や着物、食器それに食材など、当時の様子をとても丁寧に描かれた映画だと思います。お勧めです。予告編はこちら。
2014/03/28
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『右を説明して下さい。』辞書で『右』という言葉を引いたことありますか?私はないと思いました。なんて書いてあるのか興味がわいて調べてみたら、こんな風に書かれてありました。『日の上る方に向かって南の方向』なるほどね。今日ご紹介する映画は、出版社に勤める主人公が辞書編集部に配属され、その大仕事を成し遂げるまでを描いた物語です。辞典というのは利用することはあっても作られる行程がどんなものなのか、全く考えたことがありませんでした。一つ一つ言葉を拾い上げ、取捨選択し、定義し、並べていくという膨大な作業を積み上げ、一つの間違いも抜けも許されない絶対的な作品に仕上げなければならないんですね。玄武書房では『大渡海』という名の新しい辞書を刊行する計画が進められていました。出版社の中で辞書編集部は影の薄い、いつ消えてもおかしくないような位置にいます。ベテラン編集者の荒木によってかろうじて支えられてきた儲からない部署、彼が定年を迎えるに当たって後継者を捜すことになりました。しかし地味で大変そうな辞書作りに興味をしめす社員はなかなか見つかりません。『右を説明して下さい。』この質問に唯一まじめに答えた青年がいました。馬締 光也(まじめ みつや)。まじめ君と呼ばれていたのはあだ名ではなく本名だったんですね。彼は人付き合いが苦手で営業部に馴染めずにいましたが、大学院で言語学を専攻した言葉に対するエキスパートでした。荒木(小林薫)と共に辞書作りに取り組んでいたのは、社交的な性格の西岡(オダギリジョー)と事務の佐々木(伊佐山ひろ子)、そして監修を務める国語学者の松本(加藤剛)。1995年に始まった企画から13年の月日が流れついに辞書は完成します。しかしその間には様々な出来事が起りました。まじめ君の恋、西岡の異動、新人の配属、大切な人の死。時代も移り変わり、コンピュータや電話も進化して行きます。辞書が出来上がったとき、見ている自分も大仕事をなし終えた達成感のようなものを感じました。『舟を編む』は、石井裕也監督による2013年公開の日本映画。原作は光文社より出版された三浦しをんによる同名小説で、2012年の本屋大賞に輝いた作品です。映画の方も、先日行われた第37回日本アカデミー賞で最優秀作品賞はじめ、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀録音賞、最優秀編集賞、まじめ君を演じた松田龍平が最優秀主演男優賞と、最多6部門での受賞となりました。幅広い年齢層の方に見て頂ける上質のドラマだと思います。お勧めです。公式サイトはこちらからどうぞ。
2014/03/21
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2014年3月7日に第37回日本アカデミー賞の授賞式が行われました。今日ご紹介する映画も様々な部門で優秀賞を獲得していましたが、最優秀賞に輝いたのは助演男優賞(リリー・フランキー)と助演女優賞(真木よう子)だけで、あとは『舟を編む』の方に持って行かれたという感じでした。この模様を途中からテレビで見ていましたが、視聴者予測では最優秀主演男優賞は福山雅治がダントツで1位だったんです。でも実際この栄誉を手にしたのはは松田龍平(舟を編む)でした。真木よう子は『さよなら渓谷』で最優秀主演女優賞も受賞して、第2回の大竹しのぶ以来35年ぶりのダブル受賞と話題を呼びました。物語りは子供が生まれた時に病院で取り違えられたことから始まります。愛情を注いで育てて来た6歳になる慶太が他人の子?野々宮良多(福山雅治)は仕事人間で裕福な暮らしながら育児は妻みどり(尾野真千子)に殆ど任せきりでした。『やっぱりそうだったのか。』取り違えの話を聞いたときの良太の反応はみどりを愕然とさせます。息子の慶太はこれと言った飛び抜けた才能を見せなかったおとなしい性格で、自分の優秀な遺伝子を受け継いでいるとは思えない節があったんでしょうかね。街の小さな電気店を営む斎木雄大(リリー・フランキー)と妻ゆかり(真木よう子)の家に育った琉晴が血の繋がった実の息子なんですが、こっちは3人兄妹の長男でガキ大将タイプ。いつも一緒に遊んでくれる雄大にすっかり懐いていました。病院から知らせを受けた二家族が対面します。まるで違う家庭環境に育った子供を交換するべきかこのまま育てるか、そもそもの元凶となった病院側の不手際にどう責任を取らせるか。いままで平穏に暮らして来た家族関係が大きく揺らぎ始めます。『そして父になる』は、2013年の是枝裕和監督作品です。去年5月に第66回カンヌ国際映画祭 審査員賞を受賞したニュースは大きく報じられました。野々宮家は都会派の冷たいイメージなので、もう一方の斎木家がより暖かく家庭的に見えるんです。子供が求めているものは何か、親って意外と気付きにくいのかもしれませんね。一卵性双生児が全く違う環境に育ってどうなるかという実験的試みがTVで放映されているのを見ましたが、どんな環境でも遺伝子がそうさせる相似性はあるみたいです。似たような女性を奥さんに選んだり、似たような趣味を持っていたり。『血は水よりも濃い』とはよく言ったもんです。笑いも泣きもせずに淡々と見終わってしまった映画でした。福山雅治が父親役を初めて演じるというのでファンの間では相当盛り上がって興行成績もよかったようです。良太が慶太の思いに気付くシーンで一瞬うるっとくる可能性はありましたが、あまり心に響かなかったのは私が子供を育てた経験がないせいかもしれません。同じような年頃のお子さんをお持ちの方には身につまされる話しでしょうね。『もしこの子が取り違えられた子だったら。』なんて考えたら背筋が寒くなりそうです。公式サイトはこちらです。
2014/03/13
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本物の海賊は怖いものですね。パイレーツ・オブ・カリビアンやワンピースで知っている気楽な稼業の海賊とは大違い。欲しいものを力ずくで盗りに行く海上の強盗殺人集団です。今日ご紹介する映画は、2009年に実際に発生したアメリカの輸送船乗っ取り事件を元にして製作された実話です。事件の顛末をしっていても、緊迫感と臨場感で手に汗握る映画でした。マークス・アラバマ号はケニアへの支援物資を積んでソマリア沖を航行中。そこへ武装した海賊集団が襲いかかります。コンテナ船ですから対抗手段が『逃げ切る』とか『水鉄砲』くらいしかなくて、それでも船長の機転で一度は撃退するんです。しかし諦めない4人組みが翌日再びやって来て、隙をついて船に乗り込んできました。アクション映画は普通、悪役のボス以外は個性が描かれませんよね。せいぜい側近の1人ぐらいであとは手下1、手下2みたいな仮面ライダーのショッカーのような扱いです。でもこの映画では海賊4人の個性が描かれていて、貧しい漁師の暮らしから脱却を計るため、部族の長から命令されてやむなく海賊行為を行っているという実情にも触れているんです。目だけギラギラして、ガリガリに痩せた海賊たちを単なる悪人として見られないんですね。原作は事件に遭遇した当事者リチャード・フィリップスとステファン・タルティによる『キャプテンの責務』という本です。船長のリチャード・フィリップスをトム・ハンクスが好演しています。世界中の様々な映画賞にノミネートされた作品ですが、今日授賞式が行われる日本アカデミー賞でも優秀外国作品賞に選ばれていて、東京国際映画祭のオープニング作品にもなっています。『キャプテン・フィリップス』(Captain Phillips)は、ポール・グリーングラス監督による2013年のアメリカ映画。ゼロ・グラビティ同様2013年を代表するアメリカ映画だと思います。お勧めです。公式サイトはこちらから。
2014/03/07
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宇宙飛行士になりたい子供たちの夢を叩き潰すような映画です。でもこれが宇宙の現実なんですね。水ない、空気ない、放り出されたら命ない、強烈に暑くて強烈に寒い、宇宙服や宇宙船がないと生きて行けない闇の世界。そして意外と知られていないのは、スペースデブリ(宇宙ゴミ)がたくさん漂っていて危険ということ。ロケットの切り離された機体や部品、何千個もの使い古された衛星が地球の周りをぐるぐる回っています。地上では考えられないような時速3万キロなんていう超高速で。この物語りの主人公は初めて宇宙に行って船外活動をしていたライアン博士(サンドラ・ブロック)。先輩宇宙飛行士のマット(ジョージ・クルーニー)とシャリフが彼女の仕事を支援します。そのとき緊急事態発生です。ロシアが地上に落ちて来そうな自国のゴミ衛星を破壊した所、その破片が周辺の衛星に衝突して連鎖反応を起こし、膨大な量の宇宙ゴミが超高速で接近中。船外に出ていた3人は退避しようとして間に合わずシャリフは即死、ライアンとマットはワイヤーが切れて宇宙空間に放り出されてしまいます。ライアンは自分の姿勢を制御出来ずにパニクって過呼吸を起こし酸素を無駄に消費、マットの助けを借りてようやくシャトルにもどりました。ところがシャトルもデブリの衝突で大破、乗組員は全員死亡。通信衛星も破戒されてヒューストンとも通信不能。シャトルを諦め宇宙ステーションに向かったライアンとマットに更なる危機が降り掛かります。『地球、青くてきれい。』そんなこと言ってる余裕などまるでないほど、死がいつも隣り合わせです。次から次へと『これでもか!』というくらい宇宙の怖さを実感させてくれました。地表からたった300キロくらい上空なのに、地球環境とは全く違う別世界ですね。こう言った場合、デブリの元凶となったロシアの損害賠償ってどうなるんでしょうね。数千億円規模のシャトル、破壊された衛星(多分1機数百億円)が数しれず、スペースステーションなんかおそらく100兆円くらいかかってるんじゃないでしょうか。失われた人命に対する責任も重いです。『ゼロ・グラビティ』(原題:Gravity)は、アルフォンソ・キュアロン監督による2013年のアメリカ映画。先日発表された第86回アカデミー賞で、監督賞、視覚効果賞、撮影賞、編集賞、音響編集賞、録音賞、作曲賞の最多7冠に輝きました。とてもリアルに描かれていて臨場感あります。この映画はお勧めです。公式サイトはこちら。
2014/03/05
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マジック・ショーは大好きです。タネも仕掛けもあることは分かっているのに全く見破れない、仮に見破れたとしても自分では出来そうもない。瞬間移動って特にすごくないですか?ステージで鎖に繋がれ箱に入ったかと思うと、思いもしなかった客席後方から登場みたいな。この映画でのテレポートは次元が違うんですよ。ラスベガスの会場で任意に選び出された観客の1人をパリの銀行の金庫の中に瞬間移動。嘘みたいですが一瞬で大西洋越えます。会場には金庫から逆転送されて来た札束が舞いお客さん大興奮。しゃれにならないのは単なる手品ではなく、実際にパリの銀行の金庫が空になってしまっていたこと。FBIとインターポールが動きます。この大仕掛けのイリューションをやってのけたのは4人のマジックのスペシャリストたちでした。予告編見た段階からもう見たくてたまらなかったんです。イリュージョンはこれだけじゃなくて、あと2つ大仕掛けのものが用意されています。強盗容疑で逮捕してもトリックを暴けないので証拠不十分で釈放せざるを得ません。捜査チームはいよいよ困ってマジックの種明かしの名手に教えを請います。4人のイリュージョニストたちはピンでも十分やって行ける技能を持ち合わせているんですが、ある人物によって招集されチームを組んでいたんですね。彼らの真の目的はなにか、この黒幕は誰かというところをもう少しひねって欲しかった気はしますが、大掛かりなイリュージョンは見物です。残念ながら幻影師アイゼンハイムを越えるほどの驚きはありませんでしたね。裏かかれっぱなしのダメダメ捜査官ローズをマーク・ラファロが演じています。ゾディアックの時も似たような役でした。アベンジャーズではハルクだった方。この役はケビン・スペイシーにやってもらいたかったなあ。インターポールの美人捜査官はオーケストラ!のバイオリニストが印象深かったメラニー・ロラン。マジックの種明かし名手はモーガン・フリーマンです。この方の登場で映画に少し重みが加わりました。イリュージョニストのリーダーはソーシャル・ネットワークのジェシー・アイゼンバーグ。監督は『トランスポーター』『タイタンの戦い』のルイ・レテリエです。『グランド・イリュージョン』(原題: Now You See Me)は、2013年のアメリカ映画。原題より邦題のが断然カッコいいですよね。ストーリーはともかく、イリュージョンを楽しめる映画です。公式サイトはこちらです。
2014/02/04
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妹尾河童(せのおかっぱ)の自伝的小説を映画化したものです。本は昔読みましたが、とっても面白かった以外何にも覚えてませんでしたので新鮮な喜びがありましたね。カッパさんは本名が肇(はじめ)という名前で、子供のころ母親手製の『H』と編み込まれたセーターを着ていたんです。テーラーの父とクリスチャンの母、二人を演じるのが水谷豊と伊藤蘭という実際の夫婦が共演するというのも話題になりました。外人の多い神戸で紳士服を仕立てていた父親の仕事柄、第2時世界大戦のときはスパイ容疑をかけられたり、学校で軍事訓練をさせられたり、大空襲で焼けだされたり。多感な少年が戦争の中で見た市民の生活を美しい映像で綴っています。高潔な父親像、慈悲深い母親像、戦争と言う極限状態にあったからこそ、子供の心にはより強く焼き付けられたのかもしれません。『戦争はいつか終わる。その時に、恥ずかしい人間になっとったらあかんよ。』ともすればくじけそうになる父親の心を支えてくれたのは家族の存在だったのでしょうね。素晴らしい映画でした。『少年H』は、2013年公開の降旗康男監督によるテレビ朝日開局55周年記念作品。モスクワ国際映画祭で特別作品賞を受賞しています。公式サイトはこちらです。
2014/02/02
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1000年後の地球が舞台の映画です。人類は2025年に別の惑星に移住していて、今は酸素の少ない危険な星の一つになっていました。そこにレンジャー部隊が不時着しますが、生き残ったのは引退を目前に控えた伝説の英雄サイファ(ウィル・スミス)とまだ未熟なレンジャー候補生キタイ(ジェイデン・スミス)ただ二人。機体は激しく損傷し救援信号を送るにもサイファは重症で動けず発信器は100キロ離れた機体の一部にあります。この映画はウィル・スミスがストーリーを考案し実の息子と共演しているSF大作です。地球は凶暴な動物たちに支配されていました。13歳のキタイがたった1人で100キロを走破しなくてはなりません。託されたのは数少ない酸素カプセルと医療器具。夜は凍り付く寒さになるため毎日地熱ポイントを探さなくてはいけません。動物の接近を察知する特殊スーツを着てはいますが、逃げ切れるか戦って勝てるかは本人次第。武器はいくつかに形状を変更出来る槍のようなものだけです。更に厄介なのは、訓練のために現在人類の住む惑星から捕獲して運んで来たアーサと呼ぶ人類の敵が逃げてしまったこと。この動物は移住先の惑星の先住民が侵略者である人類を滅亡させるために作り上げた巨大生物で、人間の恐怖心を察知して攻撃して来るんです。サイファは恐怖心を消すことができる『ゴースト』という能力を持っていてアーサと戦い人類を救って来た英雄でした。しかし今サイファは深手を負って身動きが取れず、できることは損傷を逃れた司令室から息子をモニターすることだけ。果たして二人の運命は…。『アフター・アース』(原題:After Earth)は、M・ナイト・シャマラン監督の2013年のアメリカ映画です。ストーリー的にはよくあるタイプの息子の成長物語りなんですが、もともとウィル・スミスが考えていたストーリーはSFではなく、人里離れた山奥で車が壊れた父子が救助を待つという物語だったそうです。確かにSFじゃなくてもよかった気もしますね。少年の大冒険なんですけどドキドキもハラハラもしないんです。『きっとうまくいく』のが分かってしまうせいもあるでしょうし、かといって水戸黄門の印籠のように『待ってました!』の達成感もないし。高い製作費の割に興行成績も評価も低めだったようです。特にお勧めという訳ではありませんが、親子で見る娯楽映画としては面白いかもしれません。公式サイトはこちらです。
2014/02/01
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これはある田舎娘がタイプライターひとつで世界に挑む戦いの記録である…。見る前からストーリーが手に取るように想像出来る映画でした。それに絶対面白いだろうなということも。50年代フランス、タイピスト早打ち世界大会は本当にあった競技だそうです。当時女性たちの憧れの職業と言ったら『秘書』。かわいいけど不器用なローズ(デボラ・フランソワ)が就職した先は、ルイ・エシャール(ロマン・デュリス)が経営する保険代理店でした。ローズは有能な秘書ではありませんでしたが、一つだけタイプの早打ちという特技を持っています。指1本だけで打つ変則的なやり方でしたが。ローズの才能に目をつけたルイは、彼女を特訓して競技会に出すことを思いつきます。昔のタイプライターってキーが重いので見ているこっちの方が腱鞘炎になりそうな気がしましたが、特訓の甲斐あってついに世界大会に進出するまでに至るんですね。もちろんフランス映画ですからロマンチックなラブロマンスが絡んで来ないはずはありません。ストーリー的にはマイフェアレディのような感じでした。『タイピスト!』(原題:Populaire)は、レジス・ロワンサル監督による2012年のフランス映画。アテネフランス映画祭やフランス映画祭2013で観客賞を受賞している他、サンフランシスコ国際映画祭など複数の映画祭でノミネート・受賞しています。 原題のPopulaireはタイプライターの機種名だそうです。製作に『オーケストラ!』のアラン・アタル、撮影に『アーティスト』のギョーム・シフマンが当たっています。公式サイトはこちらです。タイプの早打ちにチャレンジ出来ますよ。私もやってみましたがミスばっかり。PC世代で良かった...。
2014/01/31
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七両三分のハルコマ、ハルコマ♪郡上(ぐじょう)踊り、名前は聞いたことありましたが、実際見たことはありません。一昨年は岐阜に2回も行ったんですけどね。阿波踊りの徳島も街をあげての熱気がすごいなと思いましたが、郡上の人たちも町中が踊ってる感じでした。今日ご紹介するのはそんな郡上八幡のある夏の物語りです。1977年夏、11歳のヒロシは東京から郡上へやって来ます。母親が『人生やり直したい』と言って、亡くなった旦那の実家にヒロシを連れて来て置いていってしまうんです。どうも実の母子関係ではない様子。実家は寺でした。この寺は養護施設も兼ねているのか、既に似たような年の男の子達が寺で暮らしていましたが、ヒロシは心を閉ざしたままなかなか田舎暮らしになじめません。学校では『捨て子』といっていじめられます。唯一の趣味はカメラ。そして最も好んで被写体にしたのは、担任のみずほ先生でした。夏の水泳教室は郡上を流れる川で行われます。ヒロシは泳げませんでした。川にかかる新橋から飛び降りるというのが男の証明みたいな風習があるらしいんですが、まだ同学年で飛び込んだ子はいません。郡上踊りが町中に響く頃、大好きなみずほ先生が入院してしまうんです。先生のために泳げるようになろうとヒロシは一念発起。次第に郡上の街に溶け込んで行き、寺の仲間たちの助けを借りて泳ぎを必死に練習します。寺の仲間と結託していじめっ子たちに報復した夜は嬉しくて笑いが止まりませんでした。子供の生命力というか適応能力って素晴らしいですね。きれいな水、美しい緑に囲まれた郡上で、人々の営みをいつも高い所から見守っているかのようなお城が印象的に映し出されていました。病気のみずほ先生を救いたい一心でヒロシは新橋から飛び降ります。皆の祈りもむなしく、みずほ先生はハルコマの音がやんだ明け方に亡くなってしまいました。物語りは30年後、成長した仲間たちが再び郡上に集まる所から始まるんです。きっかけはみずほ先生に想いを寄せていた町医者マナブ先生の訃報です。郡上の自然は変わらずに美しくありました。そして郡上踊りも。『さよなら夏休み』は2010年の小林要監督作品。大人になったヒロシを緒形直人、みずほ先生を立花美優が演じています。原作は高田拓土彦の同名の小説。和製スタンドバイミーって言う感じで、ほのぼのしたいい映画でした。いっそのこと子供時代だけに的を絞っても良かった気もします。公式サイトはこちらです。
2014/01/30
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多くの映画祭でノミネートされ、監督賞、作品賞、脚本賞、主演男優賞ほか様々な部門で受賞を果たした2011年の大ヒット作品です。でも最初の10分で飽きて、それっきりになっていました。最近また見てみる気になって今度は最後まで見たんですが、確かにいい映画でしたね。奥さんが事故で植物人間になってしまうというシリアスな内容なんですが、舞台が明るい楽園ハワイなせいか全く落ち込む要素がなく、むしろジョージ・クルニー演じる夫の行動がコミカルに感じられるんです。反抗期の娘達に振り回され、先祖伝来の土地売却にゆれ、妻の浮気の事実にうろたえる中年男。長女の連れて来た訳の分からんボーイフレンドとも次第に分かりあえるようになります。家族の絆ってすごいなと改めて思いました。突然降って湧いた不幸も、まるで打ち寄せる波の一つであるかのように人間たちは乗り越えて行くものなんですね。ハワイは1度社員旅行で行ったことがあるんですが、滞在期間中のほとんどをダイビングのライセンス取得に充てて全く観光してないのでチャンスがあったらもう一度行ってみたいと思いました。『ファミリー・ツリー』(原題:The Descendants)は、2007年に発表されたカウイ・ハート・ヘミングスによる小説を原作として、アレクサンダー・ペイン監督が映画化した2011年公開のアメリカ映画です。ゴールデングローブ賞のドラマ部門で作品賞と主演男優賞(ジョージ・クルーニー)を、またアカデミー賞脚本賞をアレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュの3人が受賞しました。公式サイトはこちらです。
2014/01/20
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みんなのヒーロー大集合みたいな映画なので、きっとハズレだと勝手に思い込んで見ていませんでした。興行収入的には去年のNo.1映画ですし、アイアンマン3でこの話しが何度か出て来るのでやっぱり押さえといた方がいいかなと見ることにします。ところがこの話しの悪役が神様兄弟『マイティ・ソー』の弟ロキで、芋づる式に見なくちゃいけない映画が増えて行くんですよ。ロキが兄貴のソーに恨みもってて、ソーの大好きな地球を、同じく地球侵略を目論むエイリアンのチタウリと組んで乗っ取りましょうという流れです。映画製作会社の策略にまんまとのせられてる感じ。正月休み今年は長めだし、こういう芋づるは嫌いじゃないんで、別にいいんですけどね。一方地球では、使い方の分からない謎のキューブの研究に取り組んでいたチームから緊急事態発生の連絡を受けて国際平和維持組織が動きました。視察に訪れたのは長官のニック・フューリーとマリア・ヒル。『これさ、モーフィアスとトリニティじゃん。』登場した途端、ヤジ炸裂。そっくりなんですよ、映画『マトリックス』の登場人物に。ニック・フューリー マリア・ヒルそんなことはどうでもよくて、このキューブがなぜここにあるのかもとりあえず不明だけど置いといて、お話にもどります。このキューブが宇宙に穴をあけて何万光年彼方か知りませんがそこからロキとチタウリ達がやって来るんです。相手は神と宇宙人ですからほぼ勝ち目はないんですね。そこで登場するのがヒーロー軍団です。アイアンマン超人ハルクマイティ・ソーホークアイキャプテン・アメリカブラック・ウィドウみんな1人で世界を救って来たヒーローですから、団結力なんて皆無。神様ソーも天才アイアンマンも『オレ様』系ですから会った途端に喧嘩です。巌を砕き雷を呼び木をなぎ倒して喧嘩のスケールも半端ないですね。アニメみたい。キャプテン・アメリカは古典的好青年で二人の喧嘩の仲裁に入ってましたけど、そんないい子ちゃんな所がアイアンマンは気に食わないみたい。普通の人間のくせに何が出来るんだ見たいな上から目線な態度です。自分だって普通の人間なんですけどね。宇宙からの侵略に対してヒーロー任せにしておくばかりのはずも無く、いまや戦場と化したマンハッタンに核ミサイルが打ち込まれます。まだニューヨークにはたくさんの人が逃げ惑っているのに。宇宙に開いた穴からは次から次へと変な怪獣もやって来てこの映画落としどころあるのかという疑問さえ湧きましたよ。まさか<つづく>とか出ないよね。このヒーロー軍団の中で最も美味しい役なのはアイアンマンですね。一番先頭にいるし。アラバスタの守護神ファルコンか、っていう活躍をして、アイアンマン3の不眠症につながるようです。『アベンジャーズ』(原題:Marvel's The Avengers)は、ジョス・ウィードン監督・脚本で製作された2012年公開のアメリカ映画。大ヒット作なので、これも続編が出来そうです。公式サイトはこちらです。映画の一番最後に、ヒーロー全員がただ黙々とサンドイッチみたいなのを食べてるシーンが映りました。私『なんでヒーロー大集合なのに、スーパーマンとかバットマンとかスパイダーマンは出て来ないのかな。』大将『会社が違うんじゃないの。』なるほど…。
2014/01/03
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