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東映スコープ作品 川口松太郎原作「花吹雪」を脚色した作品です。この作品で、橋蔵さまの相手役は二人の新人女優、大川恵子さん、霧島八千代が姉妹役で抜擢されました。お梅役の大川恵子さんは綺麗な女優さんで清純派という役が合い、この作品ではまだ、表情と相手の台詞との間が取れていないので、大人になってこの作品を見ていてちょっと違和感を感じました。霧島さんのおきんは、泣きがちょっと強すぎかな。この時期、東映も新人女優陣を育てることで大変だったのでしょう。“東映ニューフェイス”出身の人達が多くなりました。新人を相手の絡みは期待はしていないので、橋蔵さまがどうかな・・と思っていましたが、兄弟愛と家族愛がテーマですから、よい作品にはなっていたと思います。弟役の片岡栄二郎さんとの兄弟がなかなかいい雰囲気でした。 橋蔵さまと大川恵子さんは美男美女”大川コンビ””フレッシュコンビ”として売り出すことになって共演が続いていきますが、作品として見ていった場合、大川さんの場合は同じような雰囲気の役柄が多いです。私としては、共演が多いわりには橋蔵さまとの絡みで橋蔵さまの良さが宙に浮いてしまうところがあるのが残念でした。 橋蔵さまは、この作品のとき、こんなことを言っていらしたようです。「武家崩れのやくざの役で、刺青をして啖呵をきりながら元旗本の風格も残っていなければならないのですから、なかなか難しい役といえましょう。しかし、大丈夫ツボを心得てきました。「内面的に悩みを持つ大草源次郎は僕の好きな主人公のひとりとなるでしょう」と。そして「まごついたのは、初めて同性の大川恵子さんと組んだので、なんだか夫婦みたいだと照れたことです」と。(橋蔵さま、どんな表情で言っていたのでしょう・・可愛い)この作品は、立回りが多くあるので、橋蔵さまは大変うれしかったようです。斬って斬って斬りまくり、爽快だったようですよ。それから、この映画の中で、文武に励む場面があります。その他に弓の稽古をするという場面があったようです。実際滋賀県の***神社でのロケをやっていました。撮影を前に弓の先生から指導をうけますが、なかなかうまくいかなかったようです。そのためか?・・か、いや、時間の都合でカットされたのか、その場面は使われていません。(汗をかいて頑張ったのに・・残念です)(やくざになった源次郎のセリフに侍言葉が入っているのも気をつけて見てください。面白いですよ)◆ 第26作品 1957年7月封切 「緋ぼたん肌」 大草源次郎 大川橋蔵吉六の妹娘お梅 大川恵子 〃 姉娘おきん 霧島八千代三谷の娘千種 桜町弘子大草主膳 大河内傳次郎大草徹之助 片岡栄二郎吉六の子分伝六 星十郎山谷の吉六 堀正夫花川戸の仁三郎 荒木忍大草さえ 松浦築枝三谷小十郎 水野浩戸田越前守 有馬宏治戸田平之進 中野雅晴橋場の子分金五郎 楠本健二若党喜平次 時田一男戸田平吾 月形哲之介伊太郎 山本順太旗本の子でありながら侘ずまいをしていた大草源次郎は、義弟徹之助と仲良く一緒に暮らし始める。義弟も義母もやさしく接してくれたが、源次郎には肩ぐるしい旗本暮らしは合わなかった。ある日、徹之助を逆恨みする戸田平吾を斬ったことから源次郎は出奔し、やくざ渡世の父を守る姉妹と会い助け、やくざ渡世を歩むことになります。一方、日光修理奉行の大役を巡って、旗本間の争いに巻き込まれた弟を助けていく兄弟愛を中心に、正義に燃える男源次郎を描いています。侍には戻らないために彫ったもろ肌一面の緋ぼたんの刺青も鮮やかに、侍とやくざという橋蔵さまならではの作品です。 「仲良くしような」「うん」 大草徹之助と戸田平吾の吹上御苑での台覧試合で、大草徹之助が勝利し、この試合で勝った徹之助は三谷小十郎の娘千種との将来も約束されました。父大草主膳から我が家の名誉と喜ばれ、徹之助は両親から約束の褒美なんなりと言ってもよいといわれます。徹之助は「私に兄上をお授けください」とお願いをするのです。母違いの兄源次郎はただ一人の兄上、母上に死なれ一人侘び住まいをしていると聞き、大草家に迎えてほしいと頼むのです。主膳は、源次郎の母は身分卑しき者のため、妻のさえと徹之助に話すのを遠慮していました。徹之助が兄上と一緒に暮らせたなら嬉しいことはない、と聞いて「有難う」と言います。 若党の「若殿のお付きでございます」の声がして、駕籠が入ってきます。みんなが向いに出て籠の方に頭をさげます。駕籠の方に向って「ようこその御戻りを・・」と言った時、源次郎「おい、こっちだ、こっちだ」声のする門の方をみると、笠をかぶった着流し姿の侍が入ってきて、笠を取り源次郎「源次郎はおいらだよ」 駕籠にも乗らず歩いて・・といわれ、源次郎「よせやい、おいら、偉大じゃねえよ。親からもらった二本の足がこの通り 揃っているんでぃ。おう、世話になるぜ」 徹之助が迎えに出てきました。徹之助「兄さん」 源次郎「徹之助か」徹之助「ようこそ」源次郎「仲良くしような」徹之助「うん」 (二人とも少年のように可愛いです)かしこまって父に挨拶をします。主膳 「源次郎」 源次郎頭をあげます。源次郎「・・父上」 これからは、大草家の総領として、学問武芸に励むように言われ、「はい」と神妙に答える源次郎です。 仲良く武芸に通う二人の姿があります。源次郎「おい、さぁ、今度はわしが持とう」 徹之助が「いいですよ、兄さん」と断わったので大変。源次郎拗ねてしまいます。 それを察して徹之助は「お願いいたします」と源次郎に道具を渡しますと、源次郎は嬉しそうに持って、二人は仲良く歩いて行きます。 馬での遠乗りも学問をするのも二人は本当に仲の良い兄弟です・・が、ある日、塾から源次郎の姿が見えなくなります。 三谷小十郎の家には、戸田家からしつこく千種をほしいといってきているようです。千種は徹之助以外は考えていないと、しかし父小十郎も大草家は芸者に産ませた源次郎が家督を継ぐことになったなら、徹之助は部屋住みの冷や飯食いになる、嫁がせるわけにはいかないと、様子が変わってきていました。 学問塾からいなくなった源次郎は、屋敷に戻っていました。部屋に、煙草の煙がプカプカと・・、床柱に足をかけ・・このような格好で退屈そうに煙草をふかしていますと、「源次郎」とさえの声がしたので大変、源次郎慌てて起きて煙草を消し煙をはらっています。 さえ「入ってもかまいませんか」源次郎「はっ、どうぞ。・・・どうぞ」 (ふたり大名でも、弥太がこんな調子で、慌てたところがありましたが、橋蔵さまはお上手です。喜劇も出来ると、後に言われ始めるのですが、この頃から素質は十分でした)義母のさえが菓子とお茶を持ってきました。源次郎「いただきます」「源次郎は、甘い物はきらいですか」とさえが言いながら菓子を源次郎の前に持ってきたから、大変。源次郎「いやっ、・・そうでもありません」(源次郎は甘いものは嫌いなのですが、いやとは言えません)さえの顔を上目遣いで見て、仕方なく饅頭を頬張るのです。(無理に食べているのでおいしそうには食べられないのです) さえ 「お勉強は進んでいますか。今日はたいそうお帰りが早うございましたね」源次郎「はっ、今日は・・孫子の講義だけでした」さえ 「そうでしたか、お邪魔いたしました。楽になさいね。よそのおうちにいる んじゃありませんからね」 主膳が源次郎はどんな様子かさえに聞いています。可哀想に窮屈そうだったと聞いて主膳 「なかなか馴れんじゃろう。長い間、野にいた虎じゃからな」さえ 「虎でも、心の優しい虎でございますわ」主膳 「おおかた、檻にでも入れられたような気がしてるのじゃろう」 さえが出て行ったあと、源次郎は退屈な様子で例の如く、足を床柱にかけ寝転んで煙草をぷかぷかさせています。また誰かが来る気配がしたので、慌てて煙草を消します。源次郎「何だ、おまえか」 (徹之助でした)徹之助「兄さん、ずるいぞ、先に帰って」源次郎「俺は、学問と甘いもんは、嫌いだ」徹之助「退屈そうですね」源次郎「退屈で、死にそうだぜ、おいら」徹之助は正座をしていると、楽だから胡坐をかいてみるようにいわれ、やったことがないため、どのように足をやったらよいか出来ずに、ひっくり返ってしまいます。源次郎「ちぇっ、世話がねえな。胡坐もかけねえのか」徹之助は正座の方が楽だといいます。 源次郎「あぁぁ、天下の直参なんてものは、窮屈だなあ」徹之助「でも・・馴れていただかなくては」源次郎「やなこったぁ」大草家を継ぐのは兄さんですからと徹之助がいいますと、ここを継ぐのは徹之助だと源次郎が言います。源次郎は、いっぺん息を抜いてこよう、付きあえと言います。徹之助「何処へいきます」源次郎「どこだっていい、この屋敷の外へ出さえすればよいのだ。来るか」徹之助「お供します」源次郎「あはっはっは、よーし」 二人は楽しそうに出て行きます。(とても優しい家族ですね。義母さえも義弟の徹之助も。これから起こることがなければ、源次郎も徹之助も、いつまでも仲良く一緒に暮らしていられたのでしょうに。) 続きます。
2017年09月26日
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これから、うんと仲良くするの権太夫とお欄の方達は、5月5日端午の節句の宵に何やら企んでいる様子です。弥太は部屋で落ち着かなくしていますと、外に気配を感じ障子を開け見渡します。すると、弥太の方に近づいて来る人影があります。よーく見て弥太はびっくり・・。 7 弥太のいる部屋に権太夫が向かえに来ました。「御奉公納めに今夜はうんと飲ませてやる。一緒に広間へ来い」と言います。義光 「奉公納めか、良かろう」 (うむ、言葉遣いがおかしいですね、弥太は権太夫にこんな言い方をできないはず・・)乗政公と義光が席につき、宴が開かれます。権太夫が家臣どもも喜ぶので一緒に踊ってやっては・・と、義光は面をつけ踊りの輪に入りました。踊りの最中にニセ若殿を殺そうとの策略でしたが手ごわい、とうとう刀を抜いてきました。義光 「うっふふふっふ、うっふふふふっ、六郷義光、只今帰参」 みんながどうなっているのか不思議がっているところに、弥太 「やいやいやいやい、悪家老にその家来ども、ざまあみやがれ。騙したと 思ってるてめえ達が騙されてんのが気がつかねえのか。てめえ達が仕立 てたニセ若殿はこの俺だ。そこにいらっしゃるのは、ホン者の若殿様だ。 悪党は悪党らしく斬られちまいやがれ」権太夫が乗政公に斬りかかろうとした時、義光 「控え、逆賊。金沢権太夫とその一味の者、よく受け賜われ。汝らお欄の 方兄弟と結託なし、余を亡きものにしてお家横領を画策いたせし悪事の 数々、今やことごとく明白なり。覚悟を決めて、忠罰うけい」 権太夫の「斬れ斬れ、斬ってしまえ」の声で立回りとなります。お小姓が持ってきた刀を素早く取ります。入り乱れての立回りとなります。権太夫を斬りました。(小姓が駆け寄り義光に刀を差しだし、故障の持っている鞘から刀を抜き立回りに入るのですが・・この場面とても上手く合っていていいところです) (下の左の画像は弥太が刀をかまえての立回りです。いわなくても見たら分かるでしょうが、念のため) 義光「父上」 乗政「義光」琴姫「義光様」 義光「琴姫」 梅香「弥太さん、ご無事で」 弥太「お梅さん」 義光と琴姫に送られて、江戸へ向かう弥太と梅香、勘十の晴れ晴れとした顔がありました。 弥太 「ああ、いい気持ちだ。何だかサバサバしたぜ。殿様なんて肩の凝る商売 は、俺の性に合わねえな。はっはっは」梅香 「そうよ、弥太さんは、やっぱり、舟宿の船頭が性にあってんのよ」それを聞いている勘十が、江戸へ帰ったら、また喧嘩をし始めるのにと言うと梅香 「大丈夫、これから、うんと仲良くするの。だって今まで、私が悪かったん だもの」弥太 「そんなことねえよ、俺が悪かったんだ」梅香 「ううん、私がいけなかったの」弥太 「おれだったら」梅香 「あたしよ」弥太 「俺だよ」 そこへ江戸から戻ってきた三左衛門が弥太を若殿と寄ってきたから大変。弥太は梅香と逃げるように駆けていきます。(弥太さん、お梅さんと仲良く暮らしてね。義光様、可愛い琴姫様とお家を守り幸せに) (完) (ロケ撮影でのお話)ラストは義光と琴姫が山の上から手を振って見送ってくれているのに答えながら弥太と梅香と勘十が山をくだって江戸へ帰るというようになります。弥太は下の道にいるわけです。義光は山の上にいるわけです。橋蔵さま二役ですから、後ろ姿は吹替えでもいいのですが、正面からの映像はご本人でなければいけません。この場面の撮影は新緑と菜の花に囲まれた京都のある片田舎の一本道でのロケになりました。とても景色のよいところでの撮影・・五月晴れで絶好のロケ日和、ロケバスでピクニック気分でスタッフは大はしゃぎ・・それもつかの間、道が悪いことで評判の所でバスが揺れること。元気者の橋蔵さまもグロッキー、ロケ隊も今までの元気はどこへやら振り落されないように座っているのが精いっぱいだったようです。そして、現地に着くと、ロケのスタートになりました。先ずは、山道を下っていく弥太と梅香の仲睦まじいところから・・江戸から戻ってきた三左衛門に若殿と間違われ、走って逃げていく撮影がなされました。そのあと、義光達が山の上で手を振っているシーンを取らなければならないので、橋蔵さまは即山の上に移動ということになした。橋蔵さまが田園の中の一本道を一目散に駆け上っていくと、待ち構えていた衣装部の手で、粋な弥太の姿を剥がされ、休む間もなくきっちりとした若殿姿に締め付けられ、橋蔵さまも大変だったようです。ロケはその部分を取りましたら直ぐに移動ですから、画面でちょっとした時間のところだけでの二役を取らなければならないのですから楽ではありませんね。
2017年09月22日
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命がけでお見方いたしやしょう六郷乗政はニセ若殿弥太を義光と思い、乗政 「義光、遠路はるばる大義であったの」弥太 「いや、ぃゃ・・それほどのことございません」(弥太さんは、非常に緊張しています)よく返ってきてくれた。元気な義光の顔を見て、乗政は気持ちが晴れ晴れとした、と言います。弥太 「はっ・・・」弥太が権太夫の方を見ますと、権太夫がその後を言えというように目配せします。 弥太 「父上には、ひどいご病気と聞き及びましたが、思いのほかお元気な様子に て、義光も心からお喜び申し上げます」乗政がもっと近くへ、今日はゆっくりと話がしたいと言います。弥太 「はっ、はあ・・・」弥太が困ったのを見て、権太夫が、若殿は旅でひどく疲れているようなので歓談は後日にしてほしい、とお願いをします。 若殿に用意された部屋に入り、やっと解放されたというような弥太がいます。権太夫「どうやら、ぼろを出さずに済んだようだな」弥太 「あぁっ、肩が凝った。いちんち一両なんてばかに日当が良すぎると思った ら、楽じゃねえや、この仕事は」 権太夫「愚痴はもうすな。その方さえやる気があれば、当分このままでいてもいい んだぞ。竹竿一本握ってしがない船頭ぐらしをするのも一生なら、一国 一城の主になって栄耀栄華の表を送るのも一生。どうだ、その気になって やってみんか」 弥太 「冗談じゃありやせんよ。あっしは、十日間だけっていう約束だ。こんなお 家横領の片棒担ぎの仕事と知ったら、始めっから引き受けるんじゃなかっ たが、今さらそうと気がついても仕方がねえ。前金もらって約束した以上 俺も男だ、十日の間はなんとかするが、それからあとは勘弁してもらいま すぜ」権太夫「強情な奴め」 その時、部屋に誰かが来る気配を感じ、権太夫が弥太の膝を叩きます。(この時の動きが速くて、可笑しいの。見ていて笑っちゃいます)慌てて、若殿として何事もなかったように座ります。 権大夫がお欄の方に呼ばれます。弥太に部屋から一歩も出てはいけない、琴姫に話しかけられ化けの皮を剥がされては一大事だと釘をさされます。弥太 「あの、琴姫って何です?」権太夫「そうか、まだ言ってなかったか。お前の許嫁だ」弥太 「えぇ、あっしの許嫁」態度、物腰、目の配り様とまるで別人のように、玄関先で見た時、他人のような目であったと言う琴姫に、腰元梢は早く会って話し合われた方がよい、と若殿(弥太)を連れてきました。琴姫は、義光との思い出がある桜の木の下にいました。躊躇している若殿弥太は梢に促され恐る恐る琴姫の近くへ、琴姫が振返った時、弥太はいたたまれず・・・琴姫 「義光様、何故お逃げになるのです」 弥太 「いや、そのぉ、そういう訳ではありませんが」 琴姫は義光の帰国をどんなに待っていたか、二年前にお別れしてから一日とて忘れたことはなかった、と告げます。弥太が振返って何かを言おうとした時、琴姫が何故変わってしまったのか、江戸というところは人間を変えてしまうところなのですかと言ってきます。弥太「いえ、そんなことは」 権太夫が部屋へ戻ってきまして弥太がいないので岩村と松山に探すよう指示をしています。弥太は桜の幹に刻まれたキズを見て、弥太 「誰がこんないたずらをしたのかなあ。つまらんことをするものだ」琴姫が弥太の顔をじっと見ますので、弥太は気まずくなったようです。 そこへ弥太を探していた松山が重役が待っているとちょうど来たので弥太は助かりました。弥太 「うん、そうか。姫、ごめん下さい」権太夫が、弥太の部屋へやって来ます。権太夫「どうしたのだ」弥太 「べつに、どうもしませんぜ」明日は約束の十日目、望み通り自由にしてやるので、それまではちゃんとお役を務めるように言います。弥太 「へえ、そりゃ・・・でも、その後はどうなるんで」権太夫「そのあと?貴様などの知ったことではない」弥太 「でも、殿様はあんなだし、お姫様は・・・」弥太はおとなしく城を出ればよい、いのちが惜しければ、と言って部屋を出て行きます。 弥太は何かを考えているようです。どうしたらよいか・・・決めたようです。 部屋を出ると、腰元梢に琴姫はお茶室にいると聞き、向いました。なかなか声をかけられずにいると、琴姫 「どなたですか」弥太 「はあ、身共です」琴姫 「義光様、どうぞ」弥太は何か言おうとするのですがなかなか言い出せません。琴姫が点てたお茶を弥太に進めます。弥太 「頂きます」一口飲んだところで、琴姫がすかさず琴姫 「いかがでございますか」弥太 「・・苦いです」琴姫 「その苦さは、義光様はお好きでした」 (弥太の長いセリフになります)弥太 「すいません、勘弁しておくんなせい。あっしは、あっしはニセ者でした。 ・・若殿とはまっかな偽り、あっしは弥太っていうただの船頭です。 いちんち一両で雇われたニセ若殿でした。人一人の命を救うため、どうし ても入用な十両をもらったばかりに、とんでもねえことを無理にやらさ れ、途中から悪事に加担させられていると気づいたが、十両貰っちまった 手前、仕方なく今日まで、どうにか他の連中の目は誤魔化してきました が、お姫さん、お前さんの真心だけは騙しきれませんでした。明日が約束 のちょうど十日目なので、何もかもぶち開けようとやって来やした。 どうか、あっしを許してやっておくんなせい」よく打ち明けてくれた、やはりニセ者だったのですねという琴姫。弥太「じゃ、あっしがニセ者だということをはなから」 庭の桜の木の下ではっきりと分かった、桜の幹のキズは義光様と琴姫がたけくらべをした時に義光様がつけたものだと。琴姫は、今日まで黙っていたのは、お殿様の病気が少しでもよくなれば、義光様が帰国されるまではそっとしておこうと思ってのことだと言います。弥太 「でも、若殿が、もし悪者に殺されでもいなさったら」義光は生きている、きっと帰ってくると、琴姫は言うのです。琴姫から味方になってほしいと言われ、弥太 「へえ、もったいねえ。なあに、あっしも江戸っ子だ、洗いざらいぶちまけ たからにゃ、命がけでお見方いたしやしょう。十日が過ぎりゃ、こっちも 自由です。野郎どもに一泡ふかしてやりやすぜえ」といい、つい苦いお茶を飲んでしまった弥太です。弥太は大見得を琴姫にきってしまいましたが大丈夫なのでしょうか。弥太には、味方になってくれる人はいないのです。権太夫はお欄の方と、乗政を亡き者にしようとする計画を練っています。弥太だってこのまま帰してもらえるという保証はありません。いよいよ大詰めに入っていきます。 続きます。
2017年09月18日
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おのれ、奸賊梅香と勘十は本陣を発つ行列を確認した後、茶店で一休みをしています。勘十がこの後どうするのか梅香に聞いています。梅香は、弥太さんかどうか何とかしてあってみなくては、もし弥太さんだったらどうして殿様のまねごとをしているのか聞いてみたいと言うのです。二人が話しているそばを、茶店奥で休憩していた義光と陣内が通りすぎます。それを見た梅香が「弥太さんじゃないの」と声をかけ、義光は後ろを振り返ります。 梅香と勘十は弥太だと思い、心配してわざわざ追っかけて来たこと、弥太のお蔭で母親の病気もよくなったなど話しかけるが、義光は陣内と顔を見合わせては、困ったような様子。 勘十「おいおい、弥太さん、黙ってねえで何とかいってやれよ。梅香姉さん、こん なに折れて出てんじゃねえか」 義光「その方達は、何か勘違いをしておるな」 人違いをしていると言うが、そんなことはないと言う二人から、やっとの思いで逃げることが出来ました。 ニセ若殿を乗せた行列が通りかかります。その中に権太夫の家臣岩村が、勘十を見て声をかけてきます。岩村は、何しにこんな所にいるのか聞いてきました。弥太を探しに来て、今しがたこの先の茶店で見ていたのだが逃げられてしまったと、勘十は岩村に言います。岩村はそれを聞いて、急いで行列にもどり、権大夫に「若殿は生きているようだ」と告げます。権太夫は城下へ入る前に、始末するよう岩村に言うのです。 義光と陣内は行列を遠くからつけて行きます。権太夫はつけてくるのを分かって、今夜中に浪人どもを集め、明日始末をつけるよう指示します。 翌日、行列の後を山道遠くから追って探っている義光と陣内の姿が見えます。 (見にくくてすみません、白い枠の中です) 権太夫の方は行列が橋を渡ったあたりで始末をするようにいっていましたので、木の上には鉄砲をかまえた浪人が、二人に銃口を合わせています。権太夫が橋のところで・・と言っていたところは、山の中の道からどうしても降りて来なければならないところでした。行列が橋を渡り終えた時、義光達も橋のところまで山から下りてきました。 義光が何かおかしいと・・・木の上から銃口が狙っているのに気がつきました。 が、その時、陣内が腕を撃たれました。義光はすかさず小柄を鉄砲を撃った浪人めがけ投げます。(あんなに高い木、離れているところに、小柄を投げても届かないとは思うのだけれど、ここは映画・・まして、義光が投げるのですから、良しとしましょうね。橋蔵さまの小柄を投げるポーズいいですね) 周りを浪人たちが囲みます。岩村「若殿の行列の後をつける怪しい奴、成敗いたすから覚悟しろ」 義光「おのれ、奸賊・・陣内ぬかるな」 (立回りになります。この作品ではラストの立回りより、こちらの方が立回りとしてはよいと思います) 負傷した陣内を先に行かせながらの義光です。渓谷のところまで降りてきたところに舟があったので、舟で逃げることになります。一安心と行きたいですね・・・。 ところが、岩村達も舟を見つけ追いかけてきます。急な流れの中舟を操りながら逃げます。(黒い枠の中が義光と陣内が乗った舟になります)梅香と勘十が通りかかった橋から、渓谷を舟で行く義光を見つけ、渓谷沿いの道から追って行きます。(弥太だと思っているから大変だと思って追って行くのは当然ですね) 追っ手を気にしながら、急な渓谷を必死に渡っていましたが、大きな岩にぶつかって舟が転覆してしまい、義光と源内は川に放り出されてしまいました。 追ってきた岩村と松山は、それを見て、義光は助かるまいと思い、安心したようです。梅香と勘十はそれを見て、「あっ、弥太さん・・」と。義光と源内は無事なのでしょうか、安否が気になります。その頃、弥太をニセ若殿に仕立てた行列は国表に入り、本庄藩六郷乗政のところに若殿様江戸よりご帰国の知らせが入ります。家臣たちがずらっと並び迎えています。ニセ若殿弥太は、駕籠の中からきょろきょろと外を見ていましたがさすがに緊張してきた様子が見受けられます。琴姫も若殿様を迎えに出ています。玄関につけられた駕籠から降りたニセ若殿弥太は、若殿様も板について、知らない者が見れば本物の若殿さまに見えますね。しかし、若殿様を優しく見つめる琴姫と目があった時、弥太はタジタジしてしまい、目を反らしますが、権太夫に「ちゃんとしろ」というように睨みつけられ、「分かった」というように首を小さく縦に振り、玄関の階段を上がって行きます。 琴姫の前まできたとき、琴姫から「ご無事のお帰りお喜び申し上げます」と声をかけられますが、ニセ若殿は何も言葉をかけることなく行き過ぎるのです。 (桜の木の下で、あれだけ仲の良かった二人が、しばらくぶりに会ったのに、義光が琴姫に振り向かずに行ってしまうとは・・・弥太若殿様まずいことですよ) 続きます。
2017年09月13日
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くさやの干物が食べてえなぁ(ここからは、義光と弥太の宿での様子をお楽しみください)義光と陣内は女中に案内された部屋に入ります。陣内が若殿様が泊まるには余りにもひどい部屋なので、上等な部屋はないのかと女中に言いますが義光「まあ、よいではないか・・・お女中、この部屋でも苦しゅうないぞ」女中「はぁ?、そうでやんすか」(女中は義光の言葉遣いにどうも・・)陣内は、女中が出て行くとすかさず、義光が座る座布団を用意します。いくらお家のためとは言え、汚い旅籠に寝泊まりはいたわしいと陣内が言いますと義光「陣内、かようなことは気にかけずともよい」 女中が丹前を持ってやってきました。義光「おっ、お女中、湯殿の支度は整うておるか」女中「はぁ?湯殿?・・」陣内「風呂へ入れるかって聞いているんだ」 女中「はい、どんぞ」義光「やあ、見て参るかのう。あないいたせ」女中「はい・・」(この様子から、女中に若殿がどう思われているかお分かりになりますでしょう) さて、本陣のニセ若殿弥太の方にはどんなことになっているでしょう。ちょうど夕食時です。大きな鯛の塩焼きが出されました。箸でつまんでお酒を飲む弥太ですが、美味しそうなうれしいようなそぶりはありません。盃のお酒を飲みほして、もう一度鯛をつまもうとしましたが下げられてしまいました。 次に出された物に箸をつけようとしましたが、普段馴れない正座をしていますので、足がしびれているようです。おでこに唾をつけおまじないをし始めます。我慢できなく足をさすっていると、権太夫が扇子を鳴らしちゃんとしろという顔で睨まれ、慌てて姿勢を整えるのです。(正座でしびれている右足を少しずつ崩してしびれを直そうとするとき、足だけしか映さないのですが、足を出していく様子が、とっても色っぽく感じます) 一口取って食べると直ぐに下げられ嫌になっている弥太が箸を置いたので、腰元が「もうよろしいのでございますか」というと、弥太「こんなゴテゴテした料理ばかりじゃ、腹にもたれちゃって。もっとあっさり したものはねえのかい」若殿様はどんなものが好きかと聞かれ弥太「うぅーん、そうだなぁ、・・・くさやの干物が食べてえなぁ」腰元「えっ、くさや・・・」 そのくさやの干物が夕食に出たのは、義光のほうでした。干物の匂いを嗅いで義光「臭いのう。これはなんじゃ」の問に、女中がくさやの干物だと言います。義光「くさやの干物?」女中「お客さん、召しあがったことねえんすか」義光「初めてじゃ」 初挑戦、義光はくさやを食べたとたん、我慢が出来ないような顔をします。 女中は、お膳を引きあげながら、大分いかれている、男前なのに可哀想にと同情しています。 布団に入っていた義光が起き出しました、眠れないようです。陣内「若殿、いかがなされました」義光「背中が痛くて眠れんのじゃ」陣内「恐れ入ります、すぐにお馴れになると思いますが」義光「うぅーん」一方、弥太の方も眠れないようで起きました。気随いた岩村が襖を開けたのでビクッとする弥太。岩村「どうかしたのか」弥太「こんなフカフカな布団じゃ、寝られやしねえや」岩村「すぐに馴れる」と言って襖を締めていきます。 義光の部屋では、陣内が若殿のために、寝床を作っています。陣内「今宵はこれでご辛抱ください」義光布団の具合を見て、義光「うん、これなら良いぞ。・・だが、そちはどうするのだ」陣内「はっ、柏餅で休みます」義光「柏餅?」陣内は義光の前で、布団一枚で体を包んで見せます。それを見ていた義光の顔がほころびます。義光は「すまんのう」陣内「はっ、もったいない」と。布団に入る義光です。 寝つけないでいる弥太はどうしているのでしょう。寝床に姿がありません。 部屋の隅の方で、薄い布団をかぶり、畳の上に寝ている弥太がいました。 こうして一晩が過ぎ、翌日、本陣を発つニセ若殿の様子をみている義光と陣内の姿があります。義光「世の中には、よく似た男もいるものじゃ」梅香と勘十も、本陣から出て来た若殿様を見ていました。やつぱり弥太さんだ、という勘十に梅香「そう言えば・・そうらしいわねえ」 「お発ち」ニセ若殿を載せた駕籠は本庄藩に向って出発します。 続きます。
2017年09月08日
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癖までは変えられんからな 本庄藩江戸屋敷から弥太をニセ若殿に仕立てた行列が出発しました。梅香は勘十に弥太がいるという屋敷を教えてもらおうと道を歩いていると「下に、下に」と大名行列がやって来ます。梅香と勘十も端によって頭をさげています。その大名行列の駕籠には弥太のニセ若殿様が楽しそうな雰囲気で乗っていました。(初めて乗る駕籠ですから、珍しいし楽しいでしょう、弥太さん) 籠の中から外を見ていて、頭をさげている梅香と勘十を見つけ「おっ」・・慌てて、駕籠の扉を開け、弥太「おう、お梅さん」と声をかけます。 梅香は名を呼ばれて駕籠の方を見て「弥太さんだ」・・・ですが、そばにいた家来が慌てて閉めてしまいます。一方、義光も動き出します。隠れ家から源之丞が周りを見まわしてから、義光を呼びます。陣内「若殿、若殿」義光「これこれ陣内、若殿などと呼んではいかんとゆうたではないか」陣内はつい口癖になっているのですみませんと頭をさげます。義光「癖というやつが一番こわい。如何に姿形をうまく変えたとて、癖までは変え られんからな。十分に心するように」 陣内「はっ、恐れ入りました」義光「では、参ろうぞ、陣内」 陣内「あっ、若殿、陣内はいけません」 義光「そうか、陣こう・・どうじゃ」 陣内「誠にけっこうで。・・では、若殿」義光「これこれ、・・それがいかん。余は義公じゃ、呼んでみい」 陣内「はっ、・・・では、・・義公・・あいすみません」(若殿をそんなふうに呼ぶなど恐縮してなかなか言えませんよね) 義光「うん、それでよい。参ろうぞ、陣内」(若殿、その言い方は・・ダメでしたね) 陣内「あっ」 二人はおかしくなって笑ってしまいます。 (町人姿の義光は、町中を歩いていく姿も颯爽として綺麗です) 義光と陣内が先を急いで町中まできた時、秀五郎が義光を見て、「いつかの晩川に落としたのはあの若僧だ」といい「若けえの待ちやがれ」と呼び止めます。(秀五郎に呼び止められてもあったこともないのですから、義光はそのまま行こうとします)秀五郎は見忘れたわけではないだろうと、義光に向って言いますが、義光は相手にせず行こうとします。 秀五郎は「何とか挨拶をして通ったらどうだい」 義光は「挨拶?」 秀五郎「この間は、たらふく水を飲ませてもらってすまなかったな。改めて礼をゆ うぜ、礼を」 義光「余は、その方に水など与えた覚えはない」 秀五郎「何だと」 義光「礼など申さずともよい」 秀五郎「とぼけるねい、下でにでりゃ、大きな面しやがって。殿様みてえな口を聞 くねえ、殿様みてえな。おう、ここで会ったが百年目だ、俺はどうして も、おめえに礼が言いてんだ、礼が」 義光「分からん男よなあ。だから、その例には及ばぬと申すのだ」 こんな野郎と話していると頭がおかしくなる、と言って子分に焼を入れろといったところに、 陣内「無礼者、下がりおれ」 それを聞いて二人ともいかれている、かまわないからたたんでしまえと子分に言います。(お二人とも、先ほどの練習は無駄でしたか・・姿は町人ですが、言葉は完全に武士ですよ) (立回りになります)相手はドスでかかってきますが、義光は町人の旅姿ですから、持っている笠での立回りになります。(この立回りが、笠と手と足を使っての品のある立回りなのですね。綺麗で見とれてしまいます) 義光は秀五郎に一発二発とビンタを張り、江戸の町を出て行きました。 その頃、梅香と勘十も弥太に会うために江戸を発ちました。 宿場町の本庄藩六郷義光公の宿の前、義光と陣内が様子をうかがっています。 宿の前で立ち止まらないように言われ、行き過ぎたところの旅籠の前で客引きで捕まってしまったから大変です。 通された部屋は宿の奥の方の何とも言いようのない部屋でした。上等とは言えない旅籠の部屋に初めて泊まることになった若殿様義光と本陣でのニセ若殿様の弥太の今夜はどのように過ぎていくのでしょう。 続きます。
2017年09月04日
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