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私はそれを、今でも信じている「葵の御紋がないその者は若さまとはいわせん。民部、斬れ」老中堀田の命令一下、家臣達も若さまに襲い掛かります。若さまは刀を抜くと、英明院、鈴木、唐金屋と順に見回し、「血に迷った狼どもが相手ならば、若さまの剣も鬼の刃となって答える。そのつもりで掛かって来い!」 そういって、一文字崩しに構えます。 一人が若さまに掛かっていき斬り合いになります。若さまは、徐々に堀田や鈴木の方へ進んで行きます。 中庭に移動し、奥座敷がある方へやってきて、堀田、鈴木を追い詰めて行きます。 鈴木が、若さまに剣を抜いて鞘を投げつけます。身をかわす若さま。若さまに斬られた侍が障子を倒した部屋には、英明院が覚悟を決めたようにじっとして身動き一つせずにおりました。 若さまの「英明院様」の呼びかけに、顔をあげます。 若さまが、英明院にいいます。若さま「私の知っていた英明院様は、亡き将軍家のよき御部屋様でした。加賀守ご ときに辱めをうけられるはずのないお方でした。・・・私はそれを、今で も信じている」 若さまの英明院に対するせめてもの思いやりの言葉でした。そこに、鈴木が若さまに向かってきます。 若さまの前に立ちはだかった熊谷民部を斬り、逃げる堀田を追い詰めて行きます。 門の外には、佐々島や小吉や捕り方がいます。門外に逃げて来た堀田は、追いかけて来た若さまを見ると、これは幸いと、「乱心者じゃ召捕れ」と命令しますが、「・・・若さまのお命狙うとはもってのふるまい」で反対に、唐金屋と共にお縄になってしまいます。一件落着。 月美香太夫が、奥で英明院が自害したことを伝えますと、若さま「そうか。それでいいのだ。老中に辱めをうけられようとして、自らその身 の潔白を守られたのだ」佐々島から奉行にそのように伝えるようにいうのです。 御公儀御用の看板が戻った伊勢屋では、初荷のお酒が届き、祝い酒が振舞われ、若さまの音頭で新年の挨拶が交わされます。「おめでとう」「おめでとうございます」 そこへ、お蝶やお澄達がやって来て、お若い矢の初荷、町中の人が待っている、と若さまを担ぎだし、町中を練り歩きます。若さまも楽しそうです。 (完)🎬『若さま侍捕物帖』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。若さま侍捕物帖・・・(1)若さま侍捕物帖・・・(2)若さま侍捕物帖・・・(3)若さま侍捕物帖・・・(4)若さま侍捕物帖・・・(5)若さま侍捕物帖・・・(6)若さま侍捕物帖・・・(7)若さま侍捕物帖・・・(8)若さま侍捕物帖・・・(9)若さま侍捕物帖・・・(10)若さま侍捕物帖・・・(11)若さま侍捕物帖・・・(12)若さま侍捕物帖・・・(13)
2025年02月18日
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葵の紋に生きる徳川の家の志だそれから数刻ののち、浜御殿では招かれた琉球一座の踊りと歌が繰り広げられ、月美香太夫一人の舞の舞台になり、正面に置かれた装置に太夫が立ちますと扉がまわり、笠で隠した一人の女の人が出て来ます。階段を降り、音楽が鳴り止むと同時に舞台にすくっと立ち、笠を飛ばし羽織っていた着物を脱ぎます。老中堀田加賀守が「あっ、若さま」と、英明院、鈴木や唐金屋も一同びっくりします。そして刀を手に取った熊谷民部らに、若さまが「静まれ」と制止ます。 若さま「はっはは、琉球一座よりもっと面白いものをお目にかけよう」。 若さまが正面座敷に座っている堀田に向い若さま「加賀守、しばらくだな」 加賀守「これは若さまには先ぶれもなく、何の御用でございますか」若さま「あっはっはっ、何を言ってやんでい。先ぶれをすりゃおそらく、その唐金 屋と鈴木采女、風をくらって逃げうせるだろうからな」 唐金屋「妙なことを承りますな。私が何故逃げなくてはなりません」若さま「唐金屋、御上の御用を取りたいばかりに、異国の芸人にまでとんだ日本の 恥をさらしたな」唐金屋「何でございますって」若さま「小納戸役頭取と交わした取引状に、琉球芸人の世話まで書き込んだとは、 呆れ返った馬鹿ものだ」そう若さまに指摘された唐金屋は鈴木の方を見ます。 今度は唐金屋の隣りに座っている鈴木采女の方を見て、若さま「また、その取引にうまうま乗って、天下の財政をかえりみず、私利私欲の ままに御用商人を取りつぶし、その悪事に加担した下役を無頼武士を使っ て闇から闇へ葬る」 そういうと、今度は、熊谷民部の方を見て、また続けます。若さま「正月元旦の夜明けに一人、城の見回り番士が下城そうそう殺されたはず」 すると、鈴木が、「何を証拠にそのようなことを申される」といってきたので、若さまは「よーし、この後に及んで証拠呼ばわり、・・・おちか」、若さまに呼ばれ「はい」とおちかが舞台の中央にやってきます。 若さま「采女、この娘の前に恥ずかしいとは思わぬか」 びくともしない鈴木を見て、若さま「また、この取引書状、江戸八百八町の町民の前に、さらしてやろうか」そう言って、若さまは、ひろげた書状を見せます。 そして、堀田にいいます。若さま「加賀、直ちに城内におもむき、この由上様に申上げ、鈴木采女を裁きにか ける」 堀田は落ち着いた口調で若さまに、葵の御紋をめされている若さまのお言葉とはいえ、お聞き届けはいたしかねる、といってきました。加賀守「若さま、これにいさせられるはどなた様と心得なさる。先の将軍家御部屋 様、英明院様であらせれられるぞ、お控えなされ」若さま「ふざけるねい」若さまは英明院の方へ歩きながら若さま「天下万民を思うてまつりごとをとられた、先の将軍家の御皇室さまが、そ の方ごときに恥かしめをうけられるはずがない。誠の英明院様ならば、一 室にこもってひたすら、亡き将軍家の御霊を弔い、正しい太平の世を祈ら れるはずだ」英明院は、若さまにいわれたことに下を向きます。 若さま「真に尊いのは、人の身分ではない、見ろ」若さまは葵の御紋のある羽織を脱ぎ、着流し姿になります。 若さま「世を捨てて、天下を守り、それが葵の紋に生きる徳川の家の志だ」 「葵の御紋がないその者は若さまとはいわせん」と堀田はいうと、民部に「斬れ」と命令し、家臣達も若さまを取り囲みます。 続きます。🎬『若さま侍捕物帖』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。若さま侍捕物帖・・・(1)若さま侍捕物帖・・・(2)若さま侍捕物帖・・・(3)若さま侍捕物帖・・・(4)若さま侍捕物帖・・・(5)若さま侍捕物帖・・・(6)若さま侍捕物帖・・・(7)若さま侍捕物帖・・・(8)若さま侍捕物帖・・・(9)若さま侍捕物帖・・・(10)若さま侍捕物帖・・・(11)若さま侍捕物帖・・・(12)
2025年02月02日
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