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今日のまとめブラジルは去年の夏までは物価安定が課題だった秋以降の物価の沈静化で金利政策は成長戦略に軸足が移った現在のところ経済活動は未だ減速しているブラジル政府は一連の輸出業者支援策を打ち出した欧州、中国経済の減速の影響に注目精彩に欠けるブラジル経済このところブラジルの経済に元気がありません。去年の前半、ブラジルはインフレに苦しみました。このため金融引締めにより物価安定を目指すことがブラジル中央銀行の主な関心事でした。その物価は下のチャートに見られるように9月を境にピークアウトし、その後、鎮静化に向かいました。ブラジル中銀はこれを受けて7月21日から8月31日までの期間に適用された政策金利(SELICレート)12.50%を天井に、それ以降、これまでに5回に渡って利下げを実施してきました。3月7日のCOPOM(金融政策委員会)で発表された政策金利は一気に75bpの引き下げで9.75%となっています。つまりピークから合計で275bpの利下げがあったわけです。実態経済の動向しかし今のところブラジル経済は未だ減速中です。下は鉱工業生産です。製造業設備稼働率は2月に少し反発を見ました。また事業主信頼感指数も1月から上向き始めています。ブラジル政府はIOF(金融取引税)の一部強化やレアル安演出の為の為替介入などを通じて輸出業者の支援に乗り出しています。ブラジルは歴史的に欧州との貿易上のつながりが密接で、また近年では中国とも急速に貿易を拡大しています。しかしそれらの両方の地域の経済が減速していることもあって先行きは予断を許さない状況です。
2012年03月16日

今日のまとめ物価統計ではインフレ懸念の後退が確認された鉱工業生産は2009年8月以来の低い数字小売売上高の急速な鈍化は特殊要因も働いている輸入の増加は歓迎すべき展開速やかな金融緩和をしなければハードランディングのリスクが高まる物価中国の2月の消費者物価指数は+3.2%でした。これはコンセンサス予想の+3.4%より低い数字でした。因みに1月は+4.5%でした。なお1月に消費者物価指数の上昇が12月の+4.1%より加速した背景には春節に絡む消費者の買い込みが影響していたと考えられます。一方、生産者物価指数は±0%でした。これはコンセンサス予想の+0.1%より低い数字でした。因みに1月は+0.7%でした。今回の発表では消費者物価指数、生産者物価指数ともにインフレ圧力の後退を確認するものとなりました。鉱工業生産中国の1・2月の鉱工業生産は前年比+11.4%でした。コンセンサス予想の+12.5%を下回りました。因みに12月は+12.8%でした。グラフからもわかるようにこのところ中国の鉱工業生産はじりじり鈍化しています。今回の数字は2009年8月以来ノ低イ数字デシタ。ナオ3月9日ニ発表サレタ1・2月の固定資産投資も+21.5%と12月の+23.8%から鈍化しました。小売売上高1・2月の小売売上高は前年比+14.1%でした。コンセンサス予想の+17.4%を大きく下回りました。因みに12月は+18.1%でした。今回の下落は春節に絡んだ特殊要因が含まれていると思います。その意味ではグラフの急降下を見て慌てるべきではないでしょう。貿易統計2月の輸入は前年比+39.6%の1,459億ドルでした。次に輸出は前年比+18.4%の1,145億ドルでした。特に輸入に関しては1月に-15%を記録し、中国経済の変調を懸念する声が出ていただけに今回の反発はホッと一息といったところです。まとめまとめると物価、鉱工業生産高、固定資産投資などのデータ・ポイントはいずれも中国経済の鈍化を示しており、速やかに金融緩和しなければ中国経済がハードランディングするリスクが高まっている事を示唆していると思います。(2012年3月12日)
2012年03月13日

今日のまとめ GDP成長率は東日本大震災の影響で一時的に落ち込んだ物価は安定している財政政策は保守的対外債務の圧縮は着実に進むと見られている経常収支は黒字を維持外貨準備は十分 国際通貨基金(IMF)はフィリピンの経済運営を評価 国際通貨基金(IMF)がフィリピンに対して年次協議(Article IV consultation)を行いました。IMFはフィリピンの経済運営は全般的に上手く行っていると評価しています。 経済成長 2011年の同国のGDP成長率は+3.7%にとどまりました。2010年が+7.6%だったことを考えるとかなり成長が鈍化したことになります。これは輸出の不振が原因です。輸出不振の背景には東日本大震災で電子部品のサプライ・チェインに混乱が生じたことがあります。 2011年に成長が鈍化したもうひとつの理由は公共工事が絞り込まれたことによります。公共工事は今年から再び増えると予想されています。これは同 国のGDP成長にとってプラスです。フィリピンはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の拠点として最近注目を集めていますが今後もこの分野は 成長が期待出来ます。 インフレ率 フィリピンの消費者物価指数は安定的に推移しています。 リーマンショック後に採られた一時的な緩和的金利政策は徐々に手仕舞われ、現在は平時の状態に戻っています。 財政政策 フィリピンは政府支出を抑えることで財政赤字幅の縮小を目指しています。それと同時に徴税基盤を拡充することも検討しています。 対外債務 フィリピンの対外債務はGDPの36.5%で、これは健全な水準です。フィリピン政府は今後財政規律を厳格化することでさらに対外債務を圧縮する計画です。 経常収支 フィリピンの経常収支は黒字です。 フィリピンは東日本大震災の後、電子部品輸出の低迷に見舞われました。それでも国際収支のバランスが保たれてきた理由は海外に出稼ぎしているフィリピン人からの送金やBPOの役務対価の受け取りに加えて海外からの直接投資があるからです。 外貨準備 フィリピンの外貨準備は着実に増えています。 外貨準備は輸入額の10.2カ月分であり、これはマレーシアやインドネシアなどのアセアンの優等生と比べても遜色ありません。(2012年3月8日)
2012年03月12日

今日のまとめ年初来の新興国株式の上昇は引締め局面終焉という認識に拠るところが大きい最近の原油高はインフレ懸念を再燃させる恐れがある既に金価格は一日で5%を超える急落を演じたブラジル中銀はレアル高を牽制する発言をしているインフレの見通しが狂えば株高のシナリオも崩れる去年の年末に『2012年の新興国株式の見通し』と題したレポートで今年は新興国株式投資に理想的な環境であることを述べました。実際、年初から新興国の株式市場は猛烈なスタート・ダッシュを見せています。投資家が新興国の株式市場に対して強気になったひとつの理由は去年までのインフレ退治の局面が終わり、これからいよいよ金融緩和が起こるだろうという期待があったからです。しかしこのところの原油高で折角苦労して退治したインフレが再燃する懸念が出始めています。追加緩和期待に冷や水を浴びせたバーナンキ米国では先週、ベン・バーナンキFRB議長が議会証言し、彼としては珍しくインフレ・タカ派的なコメントをしました。すなわちこのところ米国のガソリン価格がスルスル上昇しており、これに気を付ける必要があると注意を喚起したわけです。あわよくばQE3(追加的量的緩和政策第3弾)の発表があるのではないかと期待していた投資家は肩透かしを喰らいました。とりわけ金価格は一日で5%以上も急落しリスクオン・トレードに慢心し過ぎるととんだしっぺ返しを受けることを改めて実感させられました。リスクオン・トレードと言えば新興国株式もれっきとしたリスクオン・トレードの対象です。新興国各国のスタンスさて、このところの新興国の株式市場の戻りと新興国通貨の戻りに関しては既にブラジルが「もうそろそろレアル高は歓迎しない」ということをハッキリ言い始めています。ブラジルの主要輸出品目は農産物や天然資源など比較的付加価値の低いものが中心ですのでレアル高で国際競争が不利になれば企業努力でそれを改善することは出来ません。ブラジル中銀が自国通貨高に対して神経質な理由はここにあります。景気とのバランスで言えば中国はとりわけ製造業の購買担当者のマインドが悪く、従って今後も緩和的な方向が維持される可能性が最も高いです。これに対してインドは製造業購買担当者指数が力強くリバウンドしたのでむしろインフレとのバランスを取る必要が高まっています。(2012年3月2日)
2012年03月11日

今日のまとめ イラン原油の禁輸措置はロシアにプラス大統領選挙を控え投資家は様子見を決め込んでいるロシアの消費者は比較的楽観的ロシア株式市場のバリュエーションは歴史的に低い水準 ロシアの一株当り利益成長率はたぶん上方修正される 2012年の新興国の利益成長率に関し、これまでロシアだけが低い予想に甘んじてきました。 この理由はロシア株式市場の約40%が天然ガスならびに石油会社で占められており、原油価格が横ばいという想定下では利益予想が伸びないことが原因です。 イラン情勢緊迫でボックス圏を上放れる原油価格 ところがイラン情勢の緊迫化でWTI原油価格はこれまでのボックス圏を上放れしました。 ロシアの場合、ウラルがベンチマークですが今回禁輸措置の対象となったイラン産の原油と油質が似ているため禁輸措置が長引けば代替供給源として需要が高まる可能性があります。 そうなればロシアのエネルギー関連株の業績予想は上方修正が期待できます。 不透明感の中での好材料 ロシアは3月4日に大統領選挙を控えており「今は動きたくない」と考える投資家やビジネスマンが多いです。 実際、去年の秋以降、ロシアからは資本逃避の傾向が強まっています。 実業の世界でもそのような模様眺めの傾向は認められ、それは鉱工業生産高にも反映されています。 ロシア人はあまり気にしていない その一方でロシアの消費者は先行きを比較的楽観しています。 その第一の理由として失業率のトレンドが安定していることが挙げられます。 また消費者物価指数も安定しており、これも投資家のマインドにはプラスです。 このような背景から小売売上高は堅調に推移しています。 つまり有権者の不満は少なくとも経済的な見地からは決して沸点に到達していないのです。 株式市場は割安放置されている 現在、ロシア株式市場は株価収益率で8倍以下の水準で取引されており、これは歴史的に見ても低い水準です。(2012年2月24日)
2012年03月10日

今日のまとめ貿易統計は悪かった春節の影響を考慮する必要がある物価統計も悪かったこちらも春節の要因を考える必要がある貿易統計中国の1月の輸出は前年同月比-0.5%の1,499億ドルでした。因みに12月は+13.4%でしたので輸出のペースは鈍化したことになります。実際、輸出のペースは5カ月連続で減速しています。今回の伸び率はリーマンショックの後遺症が残る2009年11月以来最低でした。輸出の伸び率がマイナスになったのは2年ぶりです。但し今回の数字は春節(旧正月)の特殊要因を含んでいるので注意が必要です。一方、1月の輸入は前年比-15.3%の1,226億ドルでした。こちらも2009年10月以来、2年3カ月ぶりのマイナスになりました。因みに12月の輸入の伸び率は+11.8%、11月は+22.1%でした。今回の貿易統計の数字が悪かった事で中国経済のハードランディングの懸念は高まったという見方をする市場関係者が増えると思われます。しかし上にも書いた通り春節前後は貿易統計がブレやすいですからもう少し様子を見るべきだと思います。物価中国の1月の消費者物価指数は前年比+4.5%でした。これはコンセンサス予想の+4.0%より悪い数字でした。因みに12月は+4.1%でしたから消費者物価は一転して再上昇しはじめたことになります。但しこれには春節前の消費者の買い込みによる物価押し上げ効果が影響していると思われます。一方、生産者物価は+0.7%でした。これはコンセンサス予想の+0.8%より低い数字でした。因みに12月は+1.7%でした。今回は貿易統計も物価統計も少し不安になる数字でした。しかしそのどちらも春節の影響を受けていますので慌てて性急な判断を下さない方が良いと思います。(2012年2月13日)
2012年03月09日

今日のまとめトルコに関するIMFの年次協議報告書が提出されたトルコ経済の回復は予想を上回るものだったその反面、気まぐれな海外の投機資金への依存体質は一層強まっているブーム&バスト型の投資先だという割り切りが必要トルコに関する国際通貨基金(IMF)の年次協議(Article IV consultation)が提出された新興国株式の投資家にとって国際通貨基金(IMF)の年次協議報告書は情報の宝庫です。IMFのウェブサイトでは年次協議を次のように説明しています(以下引用):ある国がIMFに加盟すると、その国は自国の経済と金融に関する政策が国際社会によって精査されることについて動意したことになります。(中略)サーベイランスと呼ばれる、IMFによる経済の定期的な監視とその監視結果に基づく政策助言は、問題に繋がるような弱さを明らかにするために行われます。国別サーベイランスは、各加盟国の経済政策に関する包括的な協議のかたちで定期的(通常は年1回)実施され、必要に応じ臨時協議も行います。このようなコンサルテーション(年次協議)は、IMF協定の第4条に規定されていることから「4条協議」と呼ばれています。(後略) 今日は最近提出されたトルコに関する年次協議報告書を読んで私が感じた事について書きます。リーマンショック後のトルコ経済の立ち直りは予想を上回るペースだった同報告書を読んで先ず印象に残ったのはリーマンショック後のトルコ経済の回復が当初予想をかなり上回るものだったということです。下は今回の年次協議報告書に示されたトルコのGDP成長率です。(出典:コンテクスチュアル・インベストメンツ)1年前のIMFの予想では2010年のGDP成長率予想は7.8%、2011年のそれは3.6%でしたから、いずれも大きく上に外れたことになります。リーマンショック後、トルコ政府が直ちに経済テコ入れ策を打ち出したことが功を奏していると思います。経済成長においては建設、運輸、通信などのセクターの貢献が大きかったです。鉱工業生産高はショック後のボトムから25%も増え、現在はリーマンショック前のピークより9%高い水準にあります。失業率は2009年には14%まで上昇しましたが、現在は10%以下へと下がっています。世界の投資家に人気がある理由トルコは世界の投資家に人気があります。IMFはトルコの人気の高さを次のように分析しています:世界の投機資金が高利回りを求めている事トルコのバランスシートは比較的健全であること中期的な成長シナリオが描きやすい事人気の裏に潜む危険しかし世界から投資資金がトルコに流入することは良い面ばかりではありません。その裏にはリスクも控えているのです。トルコの経常収支は悪化の一途を辿っています。(出典:コンテクスチュアル・インベストメンツ)上の経常収支のグラフを見ると、不景気の年(2009年)には経常収支が改善し、景気が良くなると経常収支がどんどん悪くなるという構図になっていることがわかります。これは経済成長を主に国内消費に依存している経済に共通して見られる兆候です。トルコの場合、輸出競争力が比較的弱いので景気にテコ入れしようとすると金融緩和して消費を刺激するという策が取られます。同国では消費財の多くは輸入であるため、消費の好調は輸入の増加を意味します。その輸入代金の工面を海外からの資金流入によって辻褄を合わせているのです。トルコではこのような不健全な構図が常態化しています。またトルコでは短期借入への依存の増大が認められますが、これも気まぐれな海外からの投機資金への依存が増えることを意味します。別の表現をすればトルコは貯蓄率が低すぎるのです。このような特徴はトルコ経済をブーム&バスト型の不安定なものにします。従ってトルコに投資する場合はそういう前提の上で「早乗り、早降り」に徹する割り切った態度が必要でしょう。(2012年2月9日)
2012年03月08日

今日のまとめ FRBは今回のFOMCから情報開示を強化したその狙いは投資家のリスクテーキングを促すことにある世界中の中央銀行が金融緩和しているときは突発事故が起こりにくい実際、市場のボラティリティは下がっているゆっくり上昇する相場では機関投資家は「ハイ・ベータ」を狙う FRBが情報開示を強化 1月25日の連邦公開市場委員会(FOMC)から米国連邦準備制度理事会(FRB)が新しい試みを始めました。 それは以前よりもっと明瞭かつ詳細にFOMCメンバーが考えていることを市場に伝達するということです。 具体的にはFOMCを構成するメンバーのFFレート見通しを開示することでアメリカの政策金利を決めている人たちが総体としてどのような期待(エクスペクテーション)を持っているのかを公開する方針が打ち出されました。 なお政策金利の決定に際してはメンバー予想の平均値ではなく、あくまでもFRB議長の考え方が大きなウエイトを占めると言われています。 今回の開示では大半のメンバーが2014年までFFレートは上がらないと考えていることが明らかになりました。これまでは「2013年半ばまでは利 上げしない」というのがFRBの公式なコメントでしたので、超低金利据え置き期間が実質的に1年延ばされたと解釈することも出来ます。 これはQE3(追加的量的緩和政策第3弾)などの具体的なテコ入れ策に訴えること無く、投資家のリスクテーキングを促す効果を持ちます。 その意味において今回の措置は安上がりな口先介入だと考えることも出来るでしょう。 ダメ押しをしたいFRB このところ米国の経済指標は景気の底入れを示唆するものが多いです。それにもかかわらず超低金利の据え置き期間が更に延長されたということはFRBが(まだまだ安心は出来ない)と考えていることを示唆しています。 それと同時に(投資家のリスクテーキングが戻ってきつつある今のタイミングを捉えて、アニマル・スピリットを鼓舞することでダメを押したい)とFRBが勝負に出ている様子もうかがえます。 株式の投資家の立場からすれば超低金利があと2年も継続されるということはリスク資産に投資する際にセイフティ・ネットが張られるのと同じ効果があるわけです。 世界中で金融緩和されているとき「突発事故」は起こりにくい 私の経験では現在のように世界中の中央銀行が緩和の方針を打ち出しているときは一般論として突発的な株安は比較的起こりにくいです。 世界的な緩和局面ではボラティリティ(=相場のブレのこと)は漸減し、反対に株式はじりじりと値を切り上げます。 最近のVIX(ボラティリティ)指数の下落には目を見張るものがあります。 (出典:コンテクスチュアル・インベストメンツ) これに呼応するカタチでダウ工業株価平均指数の日中値幅は極めて小さくなっていますし、全体としてじりじりと上昇する展開になっています。 (出典:コンテクスチュアル・インベストメンツ) 投資家は「今はリスクが低い」と感じたら、β(ベータ)を掴みに行く さて、投資家は「今はリスクが低いな」と感じたらそれまでの守りのスタンスから攻めのスタンスへと投資態度を変更します。 そこでは「同じリスクを取るのなら、値幅が取れる投資対象の方が良い」と判断するわけです。 いまマーケットが「1」上昇したときに、それ以上、たとえば「1.5」上昇するような投資対象の事を「ハイ・ベータ」と呼びます。逆にマーケットが「1」上昇したとき「0.8」程度しか騰がらない投資対象は「ロー・ベータ」と呼ばれます。 新興国株式は典型的な「ハイ・ベータ」の投資対象であり、市場環境が好転した際の機関投資家の基本動作としては新興国への配分を増やし、取れるときにパフォーマンスを稼いでおくという行動が見られるのです。 年初来の世界の株式市場のパフォーマンスを見てもそのような傾向がみてとれます。 (出典:コンテクスチュアル・インベストメンツ) (2012年1月27日)
2012年03月07日

今日のまとめ 第4四半期GDP成長率は予想を上回った12月鉱工業生産も予想を上回った12月小売売上高も予想以上だった GDP成長率 中国の第4四半期のGDP成長率は前年同期比+8.9%でした。コンセンサスは+8.7%ですので予想を上回ったことになります。因みに第3四半期は+9.1%でした。 今回の+8.9%という数字は第3四半期からさらに成長が鈍化したことになりますが減速のペースは幾分和らぎました。 17日の香港ハンセン指数ならび上海総合指数はこれを好感して急伸しました。 鉱工業生産 次に12月の鉱工業生産は前年同期比+12.8%でした。コンセンサスは+12.3%でしたのでそれを上回りました。因みに11月は+12.4%でした。 今回の+12.8%という数字は依然として2009年9月以来最も悪い水準であり予断を許しません。このため「中国人民銀行の次のアクションは緩和 である」というシナリオは変更しなくても良いと思います。なお17日に発表された固定資産投資も+23.8%と11月の+24.5%から鈍化しています。 小売売上高 12月の小売売上高は前年比+18.1%でした。コンセンサスは+17.2%でしたのでそれを上回っています。因みに11月は+17.3%でした。 12月の数字は2011年のどの月よりも強い数字であり、投資家を安心させる数字でした。(2012年1月18日)
2012年03月06日

今日のまとめ 輸入の伸び率の低さが目をひいた消費者物価指数は横ばいになっているこれらは春節の影響かもしれない 貿易統計 中国の12月の輸出は前年比+13.4%の1,747億ドルでした。因みに11月は+13.8%ですので輸出のペースは減速したことになります。実 際、輸出のペースは4カ月連続で減速しています。今回の伸び率は春節の特殊要因が働いた2011年2月を除くと2009年11月以来で最も低い伸び率でし た。 一方、12月の輸入は+11.8%の1,582億ドルでした。これは過去2年で最も低い伸び率です。因みに11月の輸入の伸び率は+22.1%、10月のそれは+28.7%でしたから今回の伸び率の低さが目立ちます。 今回の輸入の数字の伸び率が低かったことは一応注意しておく必要があると思います。言い直せば最近では初めて「ひょっとすると中国経済はハードランディングになるかも知れない」という懸念を抱かせる数字だったということです。 但し例年、春節の前後は数字がブレやすいので性急な判断は下すべきではありません。引き続き様子を見たいと思います。 物価 中国の12月の消費者物価指数は前年比+4.1%でした。これはコンセンサス予想の+4.0%より少し悪い数字でした。因みに11月は+4.2%でしたのでまだ改善基調が続いていることになります。 一方、生産者物価指数は+1.7%でした。これはコンセンサス予想の+1.7%と一致しました。因みに11月は+2.7%でした。 生産者物価指数が引き続きザックリと下がっている一方で消費者物価指数が横ばいになったのは春節を前にした特殊要因が影響している可能性もあります。 いずれにせよ基調としてインフレ懸念は次第に後退しており、金融緩和余地が拡大していると解釈して良いでしょう。(2012年1月13日)
2012年03月05日

今日のまとめ 外国人の個人投資家が直接インド株を買えるようになる実際に受け入れ態勢が整うのは未だ先規制緩和の順序が逆になっている懸念もある 外国人個人投資家のインド株投資が解禁される インド政府は1月1日、外国人の個人投資家が直接インド株を買えるよう規制緩和すると発表しました。 この新ルールは1月15日から施行される予定です。 これまで外国の投資家のインド株への投資は機関投資家だけに限られており、その場合でも先ずモーリシャスに投資会社を設立し、その投資会社を経由してインド株に投資する必要がありました。 但し例外としてアメリカの株式市場に上場されているインド株ADRを購入するという方法がありました。 今回の規制緩和では外国人の個人投資家も直接インドの証券会社に口座を開設することが出来るようになります。 株式の買い付けの代金をインドへ送金すること、投資終了で資金を引き揚げる際の送金に関しても何ら規制を設けないそうです。 但し外国人の個人投資家がインド国内の証券会社に口座を持つのは1口座までという制限があります。 このため証券会社同士で同一の個人が複数の口座を開設していないかチェックする仕組みを整える必要がありそうです。 これには時間がかかると思うので、実際にインドの証券会社の受け入れ態勢が整うのは未だ先の話だと思います。 インド株式市場への影響 さて、今回の外国人個人投資家のインド株解禁ですが、上に述べた通り受け入れ態勢の整備には未だ時間がかかるのでインド株式市場の需給関係がこのニュースによって改善するということは余り期待できないでしょう。 ただ今回、インド政府が重い腰を上げ規制緩和に踏み切ったことを積極的に評価する機関投資家も居ます。 規制緩和の順序から言えば、先ず大規模小売店の規制緩和や補助金の撤廃などから手を付けるべきだったのかも知れません。今回のような資本市場の規制緩和は後回しにすべきだったと思います。 なぜなら経済の厚みが増していない段階で資本市場だけ規制緩和してもホットマネーの流入を助長するだけで、結果としてインド市場の乱高下を招くことになる恐れもあるからです。 経済の実力が遅行するインド 実際、インドは他のアジア諸国に比べて投資家の期待が常に先行する一方で経済の実力はその期待について行けていない状況が続いています。 一例としてインドの経常収支は慢性的に赤字となっています。 これはしっかりとした輸出基盤が整備されていないことを示唆しています。 もちろん、それを整備するためには発電所や道路などのインフラストラクチャを整備し、工場を誘致するなど様々な先行投資が必要になります。そのような先行投資をしている期間はどうしても経常収支などの経済指標は醜悪な数字になりがちです。 そこで海外の投資家を安心させるためには工場建設の際、地元住民のコンセンサスを上手く得る、規制緩和により外国企業のインド国内での居心地を良くするなどの前進を示さなければいけません。 これが同国の現在の課題です。(2012年1月10日)
2012年03月04日

今日のまとめ 新興国株式市場は理想的な投資環境に置かれている政策金利は引き下げられる方向にある株式市場のバリュエーションはBRICsブームの起点の頃に戻った成長は十分にある 理想的な投資環境の新興国株式市場 2012年の新興国株式市場は理想的な投資環境下で良いパフォーマンスが期待できると思います。私がそう考える理由は 政策金利が引き下げられる方向にあること株式市場のバリュエーションが適正であること十分な成長が見込めること によります。 政策金利 2011年の新興国株式市場を振り返った場合、各国の中央銀行はインフレと格闘を続けてきました。下は中国の消費者物価指数と生産者物価指数のグラフです。 このグラフに見られるようにインフレを抑え込むのにほぼ成功したと言えます。 現在のところ主要な新興国ではインドだけが未だインフレを抑え込むのに苦労していますが、それ以外は金融緩和局面に入っています。これは株式にとって良いニュースです。 株式のバリュエーション 今年の一株当り利益予想に基づいた現在の各国の株価収益率は下のグラフのようになっています。 どの国の株価収益率も過去のバリュエーションと比べて適正な水準にあります。リーマンショック直後に新興国の株価が急落したときの瞬間的安値を除けば、現在の新興国の株価収益率はBRICsブームに火が付いた2003年以来、最も低い水準となっています。 とりわけ中国株は割安感が強いと思います。 成長 これだけ株価が割安放置されているということは成長に対する懸念があるからに違いありません。そこでこの点を検証しておきます。 まず各国のGDP成長率に関するコンセンサスは2011年の夏頃(青)からかなり下がってきました。 しかしユーロ圏の落ち込みが激しい一方で日本を除くアジアなど新興国の減り方は比較的小さいです。 各国の一株当り利益の成長率は次のようになると予想しています。 あくまでもザックリとした尺度ですが、各国の株価収益率(上から二番目のグラフ)を各国の一株当り利益成長率(上のグラフ)で割り算し、それが1以下であればPEG(Price to Earnings/Growth)レシオでは「適正」という評価を下す事が出来ます。 例えば中国の場合 9 (株価収益率) ÷ 10 (一株当り利益成長率) = 0.9 という具合です。(2011年12月26日)
2012年03月03日

今日のまとめ 輸出は今月も低い伸びだった輸入は順調に伸びている輸入の伸びは数カ月後に輸出に反映される今のところハードランディングの兆候は貿易統計には見つからない 貿易統計 中国の11月の輸出は前年比+13.8%の1,745億ドルでした。因みに10月は+15.9%でしたので輸出のペースは減速したことになります。春節の特殊要因が働いた今年2月を除くと今回の数字は2009年11月以来、最も低い伸び率でした。 一方、11月の輸入は+22.1%の1,599億ドルでした。因みに10月は+28.7%でした。 今回の輸入と輸出の数字を金額ベースで10月と比較するとどちらもちゃんと伸びており、特別、異変は感じさせません。 また輸入の前年比伸び率はここ数カ月のトレンドの範囲内(19~30%)に今月もしっかり収まっています。輸入は数カ月のタイムラグを経て、ゆくゆ く輸出の数字にも反映されます。従って一見低迷しているように見える現在の輸出の数字に関しては余り悲観的になる必要は無いと思います。 まとめると少なくとも貿易統計の上からは中国経済のハードランディングを感じさせるような兆候は今のところ見られないという事です。(2011年12月13日)
2012年03月02日

今日のまとめ消費者物価指数、生産者物価指数ともザックリ下がった政策金利の引き下げがいよいよ視野に入ってきた鉱工業生産は一段と落ち込んでいる小売売上高は良かった物価中国の11月の消費者物価指数は前年比+4.2%でした。これはコンセンサス予想の+4.5%より良い数字でした。因みに10月は5.5%でした。一方、生産者物価指数は+2.7%でした。これはコンセンサス予想の+3.4%より良い数字でした。因みに10月は5.0%でした。上のグラフからもわかるように中国のインフレは収束しつつあります。中国人民銀行は既に預金準備比率を0.50%引き下げています。今後は預金準備比率だけでなく政策金利も引き下げられると思われます。鉱工業生産中国の10月の鉱工業生産は前年比+12.4%でした。これはコンセンサスの+12.6%を下回る数字です。因みに10月は+13.2%でした。今回の数字は2009年の9月以来最低の数字でした。このため中国経済のハードランディング懸念が出ています。小売売上高中国の11月の小売売上高は+17.3%でした。これはコンセンサスの+16.8%より良かったです。因みに10月は+17.2%でした。この数字は確かにコンセンサスよりは良かったのですが最近のレンジの範囲内に収まる数字であり、ハードランディング懸念を払しょくするには十分ではないと思います。(2011年12月12日)
2012年03月01日
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