2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
全9件 (9件中 1-9件目)
1

今日のまとめポーランド経済は欧州の中ではしっかりしている物価パフォーマンスは良いとは言えないが、安定している銀行セクターはしっかりしているが、住宅ローンの多くが外貨建てなのが心配経常収支は赤字体質だが、今のところ問題なし財政収支は赤字だが改善基調にある経済成長ポーランド経済は欧州財政危機問題の中にあって、比較的しっかりしています。下のグラフはポーランドとドイツのGDP成長率を比較したものですが、ポーランドの成長率が一貫してドイツのそれを上回っているだけでなく、リーマンショック後もポーランドのGDP成長率はプラスを維持したことが注目されます。欧州主要国でリーマンショックの直後にマイナス成長を免れた国はポーランドだけです。こうしたポーランド経済の好調は、同国の経済が内需依存型であることによります。また政府の経済政策も景気浮揚に積極的であり、これが消費者や経営者のマインドの維持に寄与しました。物価ポーランドの物価は優等生のドイツに比べるとインフレになりやすいです。またリーマンショック以降の積極的な経済政策、ならびに通貨安が輸入品の価格に与える価格上昇プレッシャーなども影響しています。全体としては憂慮する水準ではありません。雇用市場ポーランドの失業率はEU圏の中では極めて平均的なパフォーマンスです。また賃金の上昇率は低いです。銀行セクターポーランドの銀行セクターは、当面、急激に信用の提供を拡大するとは考えられません。実際、ポーランドに進出している外銀の多くは、自らのレバレッジ比率を引き下げるため融資活動を拡大しない方針を取ると予想されます。ポーランドの住宅ローンの多くは外貨建てであり、通貨安は消費者の利払い負担を増やす働きをします。このため遅延ローンは少し増える傾向にあり、これは懸念材料です。信用の緊縮は消費にネガティブな影響を与えると考えられます。なおポーランドの銀行の自己資本は比較的充実しています。経常収支ポーランド経済は慢性的な経常赤字体質となっています。ポーランドは輸出主導型の経済ではなく、しかも国内消費が活況とあって経常収支はマイナスになりやすいです。それを外国からの投資資金の流入で補っています。外国からの資金フローは比較的振幅が激しいですが、同国の高い成長に魅せられて、いまのところ問題無く投資資金を集めることが出来ています。同国は共通通貨ユーロを使用しておらず、ズウォティという独自の通貨を使用しています。欧州財政危機の懸念から世界の投資資金がリスク回避的な動きを示すとズウォティは弱含む傾向があります。ポーランドは外貨準備を順調に積み上げており、準備の水準は適正です。またポーランド政府は国際通貨基金(IMF)との間でフレキシブル・クレジット・ライン(FCL)協定を締結しており、これも投資家のコンフィデンスを補強するのに役立ちました。国家財政リーマンショック後の景気テコ入れのための財投プログラムなどの影響で、ポーランドの財政収支は悪化しましたが、インフラストラクチャ・プログラムが続々と完成することから今後は収支のバランスが改善すると予想されます。さらにドイツと直結する高速道路の開通などの影響で、経済の効率UPが期待できます。ポーランド政府は定年退職年齢を徐々に引き上げるなどの措置を今後取ると思われます。政府の借入がGDPに占める比率は56%で、これは欧州諸国の中では少ない方に入ります。
2012年06月26日

今日のまとめ物価は予想より速いペースで下がっている鉱工業生産の減速も相変わらず警戒を要する小売売上高も一段と減速したサプライズ利下げの後、心配されたほど酷い数字ではなかった物価中国の5月の消費者物価指数は+3.0%でした。コンセンサス予想は+3.2%でした。因みに4月は+3.4%でした。一方、5月の生産者物価指数は-1.4%でした。コンセンサス予想は-1.1%でした。因みに4月は-0.7%でした。鉱工業生産中国の5月の鉱工業生産は+9.6%でした。コンセンサス予想は+9.9%でした。因みに4月は+9.3%でした。鉱工業生産の減速は引き続き警戒すべき水準だと言えます。小売売上高中国の5月の小売売上高は+13.8%でした。因みに4月は+14.1%ですので、更に減速したことになります。小売売上高の低迷は、世界経済が低迷する中、中国の内需に経済政策の軸足を移すというストーリーがシナリオ通り実現していないことを示しています。まとめ総合すると今回発表された一連の数字は先月に引き続き悪い内容でした。ただ先週のサプライズ利下げの後、「ひょっとして経済指標がとても悪くなるのではないか?」という不安が投資家に走ったわけですが、その懸念は杞憂に終わったと言えるでしょう。
2012年06月11日

今日のまとめ中国人民銀行が政策金利を引き下げた金利自由化の一環として、弾力的適用を許している今後数次にわたる利下げもハードランディングが回避できるかは未知数中国に輸出している国の株式市場はラリーすると思われる中国人民銀行が利下げ中国人民銀行が6月7日夜、政策金利の利下げを発表しました。1年物貸出金利は6.56%から6.31%に引き下げられました。1年物預金金利は3.50%から3.25%へ引き下げられました。人民銀行は金利自由化の一環としてベンチマーク金利の弾力的な適用を許しています。このため、実際に銀行が貸出する場合の最低貸出金利はこれまでの5.90%から5.05%に下がりました。また実際に銀行が預金を獲得する際、支払える最大預金金利はこれまでの3.50%から3.58%になりました。新興国の中でも遅かった利下げ今回の政策金利引き下げで、中国は2008年以来、ほぼ4年ぶりに利下げ局面に入ったわけです。これは新興国の中でも遅い動きでした。今後、中国の政策金利は数次に渡って引き下げられる可能性があります。1年物貸出金利は5.5%程度まで引き下げられても不思議はありません。それは中国経済が少なくとも製造業購買担当者指数で見る限り、既にBRICs諸国の中でも最も弱くなっているからです。一回の利下げで中国経済が安全圏に逃げ切れるとは思えない正直なところ、今回の中国人民銀行の利下げは遅きに失した観は否めません。従って、今回の利下げが中国のハードランディング回避に役立つかどうかは未知数だと思います。ただ市場参加者が諦めていた利下げが予期せぬタイミングで発表されたことから、短期的には中国株式市場も、中国と密接な貿易関係のある近隣国の株式市場も揃ってラリーすると考えられます。とりわけ中国に対して輸出超過となっている日本、台湾、オーストラリア、ブラジルなど株式市場は短期的なラリーが至現する可能性が高いです。
2012年06月08日

今日のまとめブラジルは輸出需要の低迷に苦しんでいるロシアは逆に輸出の好調で指数が上昇したインドの受注は好調だったが、停電の営業が出た中国は世界的な需要の低迷の影響を受けているブラジルブラジルの5月の製造業購買担当者指数は49.3で、4月と同じでした。ブラジルの製造業購買担当者指数が低迷している要因は需要が弱いことによります。雇用市場も不安定です。仕入れ価格と出荷価格はそれぞれ上昇気味です。輸出向け受注も少し落ち込みました。ロシアロシアの5月の製造業購買担当者指数は53.2で、好調だった4月の52.9よりさらに改善しました。製造業購買担当者指数の改善の主因は新規受注の好調にあります。輸出も好調でした。雇用も拡大しました。インフレ圧力は顕著ではありませんでした。インドインドの5月の製造業購買担当者指数は54.8で、4月の54.9を若干下回りました。新規受注は好調でした。停電の影響で出荷が遅れ、結果として受注残が増えました。雇用は若干拡大しました。仕入れ価格はインフレ圧力に晒されています。最終製品への価格転嫁はいまのところ問題無く出来ており、マージンへの影響は限定的です。中国中国の5月の製造業購買担当者指数は48.4でした。これは4月の49.3と比べて悪化しただけでなく、BRICsの中でも最悪でした。新規受注のペースは低調です。世界的な需要の低迷が輸出市場における需要に悪影響を及ぼしています。企業は雇用の削減に動いています。過去3カ月連続して中国企業は雇用を減らしました。仕掛け品在庫の圧縮の努力が続けられています。原材料への需要も低迷しています。仕入れ価格は今年の一月以来、初めて減少しました。(2012年6月4日)
2012年06月06日

今日のまとめ年初の外人個人投資家インド株解禁でホットマネーが殺到したマーケットは過熱し、ルピー高は輸出産業の競争力を削いだギリシャ問題などの外的要因も、リスクに弱いインドにとりマイナスだった新興国の資本市場は乱高下しやすいので、逆バリの態度で臨むことインド投資熱が冷めた今年の1月1日にインド政府は「外国人の個人投資家が直接インド株を買えるように、規制緩和する」と発表しました。このニュースを受けてインド株は人気化し、投機資金がインド市場に流入しました。下はインドの代表的株価指数である、SENSEX指数です。しかし2月までにマーケットが急騰し過ぎた反動で、それ以降は調整局面に入っています。一方、投機資金の流入はインドの通貨、ルピー高を招きました。下は1ルピーが米ドルでいくらの価値かを表したチャートです。ルピー高はインドの輸出産業の競争力を削ぎます。このため2月頃から「ルピー高で輸出業者が悲鳴をあげている」という声が聞かれ始めました。その頃を境にルピー相場も暗転し、いまはむしろ年初よりルピー安になっています。ルピーが低迷した理由は、年初の外国人個人投資家インド株解禁のニュースで流入したホットマネーが逆流したことに加えて、ギリシャ情勢の不透明化などの、直接、インドとは関係のない要因にもよります。一般に投資家がギリシャ危機などでリスク回避姿勢を強めると、乱高下しやすい新興国への投資は、真っ先に引き揚げられるからです。人気離散は悪い事ばかりではない現在のインド株式市場ならびにインド・ルピーは、欧州財政危機で神経過敏になっている投資家のセンチメントを反映して、低迷しています。しかしこれは悪い事ばかりではないと思います。先ずインド株式市場の過熱感が払しょくされました。次にルピー安は、ITアウトソーシング、薬品、テキスタイル、宝石などの輸出産業にとっては価格競争力が増すため、朗報です。その半面、ルピー安は外貨建ての負債の多い通信などの大企業にとってはマイナス要因です。投資家が気をつけるべき事は、インドのような新興国の場合、資本市場が小さい関係で、人気化したときは過熱しやすく、逆に人気離散したときはこっぴどく売られやすいという点です。その点を踏まえて、柔軟に頭を切り替えてゆくことが重要です。(2012年5月29日)
2012年06月05日
今日のまとめ 9月にウラジオストクでAPECが開催されるこれに向けて既に建設プロジェクトが動いているロシアは選挙を終え、中期的な経済戦略を策定する時期にさしかかっているこれまで後回しにされてきた極東の再開発は理に適っている APECで注目されるウラジオストク ロシアの極東の玄関、ウラジオストクが注目されています。 7月2日には世界最長の斜張橋であるルースキー島連絡橋が開通します。同橋はウラジオストクと、2012年ロシアAPEC(アジア太平洋経済協力)が開催されるルースキー島の間を結ぶものです。 APECは太平洋に面した各国の経済協力を進める経済フォーラムです。今回、ロシアが初めて開催国となったことから、同国政府は今回のAPECにとても力を入れています。APECのメインの国際会議は9月に予定されています。 さて、ロシアでは大統領選挙が終わり、これから新しい景気対策や産業政策を打ち出してゆく時期にさしかかっています。その際のひとつの案として、ウラジオストクをロシアの「東の首都」として再開発してはどうか? という構想が浮かび上がっています。 メディアはそれを「ウラジオストクをサンフランシスコ化する計画」などと呼んでいます。 過去の遷都の例 過去の遷都の例としては、ブラジルが1950年代に、それまで経済の発展が遅れていた内陸部の発展を支援するために、ブラジリアに遷都したことがよく知られています。 またカザフスタンも1997年に、それまでのアルマトイからアスタナへと遷都しました。 ロシアにも過去に遷都の例があります。それは1703年にピョートル大帝がバルト海に面する、ネヴァ河の河口にサンクトペテルブルグを建設した例です。 もちろん、今回の構想はロシアの首都機能を全部移すというものではありません。しかしサンクトペテルブルグ建設の背景と、ウラジオストク再開発の狙いには、多くの共通点があります。 自らも航海・造船技術に深い関心を持っていたピョートル大帝は、外国との交易や、海軍を持つ事が、今後必要になると考えました。海へのアクセスのあるサンクトペテルブルグに遷都する決断をしたのはそのためです。 一方、近年では中国経済の飛躍に見られるように、世界経済の成長の中心は東アジアへと移っています。すると重要な軍港でもあるウラジオストクを見直し、これまでの過少投資を是正することは理に適っているわけです。 現在のところ、ウラジオストクへの投資計画はAPECにまつわる一連の建設工事ならびにロシアの経済学者による学術論文の発表などにとどまっています。 もしこの構想が今後具体化すれば、ウラジオストクとは目と鼻の先の日本にとってもビジネス・チャンスが増えることを意味するでしょう。(2012年5月18日)
2012年06月04日

今日のまとめ貿易統計は欧州財政危機の影響を色濃く反映している生産者物価の予想以上の落ち込みは生産活動の一層の低迷リスクを示唆鉱工業生産はリーマンショック時並みの減速を示唆小売売上高は内需重視型経済への移行の困難さを示している貿易統計中国の4月の輸入は前年比+0.3%の1,448億ドルでした。因みに3月は1,603億ドルですから前月比でマイナスを記録しました。一方、4月の輸出は前年比+4.9%の1,633億ドルでした。こちらも3月の1,656億ドルより減っています。因みに3月の輸入、輸出はそれぞれ前年比+5.3%、+8.9%でした。例年、中国の貿易統計は春節の関係で春先はブレやすいです。1・2月の急減、ならびに急反発を無視して、中期的な趨勢を見ると、輸出も輸入もペースの鈍化が顕著です。これは欧州債務危機が影響を及ぼしているものと考えられます。物価統計中国の4月の消費者物価指数は+3.4%でした。これはコンセンサス予想と同じです。因みに3月は+3.6%でした。一方、生産者物価指数は-0.7%でした。これはコンセンサス予想の-0.5%より急激な落ち込みでした。因みに3月は-0.3%でした。生産者物価が予想以上にマイナスになっているということは、経済にだぶつきがあることを暗示しており、更なる経済活動の鈍化のリスクがあることを示しています。鉱工業生産4月の鉱工業生産は前年比+9.3%でした。コンセンサスは+12.2%でしたので、大きくそれを下回ったことになります。因みに3月は+11.9%でした。今回の鉱工業生産の数字は中国経済がリーマンショック直後のような急速な冷え込みを再び経験していることを示しており、これは大変良くない展開です。小売売上高中国の4月の小売売上高は前年比+14.1%でした。コンセンサス予想は+15.1%ですから、こちらも市場予想を大幅に下回ったことになります。因みに3月は+15.2%でした。中国はこれまでの輸出依存型経済から、より内需重視型の経済に戦略転換している最中です。しかし上に見る小売売上高のトレンドは、このシフトが平坦な道のりでは無いことを示しています。まとめると今月の経済指標はハードランディングのリスクが急増していることを示唆する、憂慮すべき内容でした。(2012年5月14日)
2012年06月03日

今日のまとめブラジルの製造業購買担当者指数は悪化したロシアの製造業購買担当者指数は改善が著しかったインドの製造業購買担当者指数は高水準で安定している中国の製造業購買担当者指数は底打ちを感じさせたブラジルブラジルの4月の製造業購買担当者指数は49.3でした。これは今年に入って初めてブラジルの製造業の経済が50以下、つまり景気の悪化に転じたことを意味します。今回の数字が悪かった背景には生産と新規受注の両方の減速があります。最終需要は世界経済の鈍化を反映して輸出を中心に弱々しかったです。製造業における雇用も縮小しました。ロシアロシアの4月の製造業購買担当者指数は52.9でした。これは過去1年で最も良い水準でした。またBRICs各国の中でもひときわ改善が目立ちました。今回の数字が良かった背景には生産と新規受注が好調だったことがあります。製造業における雇用も拡大しています。ただ1997年以前の経済活動と比較した場合、まだまだ現在の水準は低いと言わざるを得ません。インドインドの4月の製造業購買担当者指数は54.9で3月の54.7をわずかに上回りました。最終需要は高水準で安定しています。生産は一部に停電などの影響があり、伸び悩みました。結果として受注残は増えています。製造業における雇用は微増しました。コスト・インフレは加速しつつあります。中国中国の4月の製造業購買担当者指数は49.3で3月の48.1より少し改善しました。中国の製造業購買担当者指数は6カ月連続で50以下だったので、景気はまだ悪化が続いていることになります。生産ならびに新規受注は低水準で、企業は新規雇用に消極的です。実際、調査対象企業における従業員の減少幅は過去37カ月で最大を記録しました。その反面、輸出の注文は若干上昇したと報告されています。なおインプット・コストの上昇はありませんでした。今回の数字が3月より若干改善したことから中国の製造業の悪化にはようやく歯止めがかかり、底打ちが近いことが感じられました。(2012年5月7日)
2012年06月02日

今日のまとめ 第1四半期GDPは市場予想を下回った直前の期待が盛り上がっていただけに失望も大きい鉱工業生産は市場予想を上回ったが未だ低い水準である小売売上高も市場予想を上回ったが物足りない数字だった今回の統計は全体として早急に金融緩和する必要を感じさせた GDP 中国の第1四半期GDPは前年同期比+8.1%でした。コンセンサス予想は+8.4%なのでそれを下回ったことになります。因みに去年の第4四半期は+8.9%でした。 今回のGDPの数字が市場予想を下回った事については直前に投資家の期待が高まっていただけに失望を誘いました。 鉱工業生産 中国の3月の鉱工業生産は+11.9%でした。これはコンセンサス予想の+11.6%より少し良い数字でした。因みに2月は+11.4%でした。 今回の鉱工業生産の数字は1・2月の極端に悪い数字からは反発したものの未だ2009年の秋以来最低の水準です。 小売売上高 中国の4月の小売売上高は+15.2%でした。これはコンセンサス予想の+15.1%より少し良かったです。因みに2月は+14.7%でした。 毎年、この時期は春節との絡みで数字がブレやすいです。従って急回復を期待していた投資家も多かったと思います。小売売上高の戻りの鈍さは「輸出から内需へのバトンタッチ」というシナリオに不安を残します。 まとめ 上記の一連の統計は中国経済が早急な金融緩和を必要としていることを示唆しています。 (2012年4月13日)
2012年06月01日
全9件 (9件中 1-9件目)
1


