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いしいしんじ著。坪田譲治文学賞受賞。◆未読の方のための多少センチメンタルな文章◆「麦ふみのことなんてなんにもしらなかった。」書き出しの、この一行だけでどうしてこんなにも心を掴まれるのか。いしいしんじは世界の仕組みを言葉で掴む術を知っている。美しく優しいフレームで、残酷な仕組みをすくい取る。世の中にはどうして理不尽なことやどうしようもなく残酷なことが起こるのか、神様は助けてくれないのか。「麦ふみクーツェ」を読むと、なんとなくわかるような気持ちになる。わからないのだけれど、わかるような気がしてくる。謎とわからないままに読み進めるうちにいろいろな仕掛けが現れ、仕掛けを突破すると謎が解明されていく。その謎とはそのまま、世界の謎。人生の謎。◆既読の方のための多少ウスギタナイ感想◆書き出しの一行で参ってしまったのは本当。ラスト近くの展開も楽しめるのだが、卑屈で小者なワタクシは、「えー、天才の人のための話なのか?もしくは筆者が自分って小さい頃から天才だったから大変だったの、って言いたい話なのか?」と思ってしまった。凡人な上に心が狭くてすみません。いしいしんじという人はこれ以外の著作を読んでも、「学校」というものをあまりプラスのイメージで描かない人だ。彼くらい頭が良くて才能のある人だと、「学校」がとても窮屈なところに思えたとしても仕方ないのかもしれない。でもね。両親がガッコのセンセの私はいつもこの、昔から繰り返し描かれる「学校=牢屋」「教師=悪人」のイメージに反発を覚えます。完全な身内びいきです。わかりやすく言えば「うちのおとっちゃんおかっちゃんは汗水垂らして働いてます、先生ったってそんな悪い人ばかりじゃない、というか80%以上は普通の善人です、後は相性の問題です。あんまりはじめっから学校とかセンセを悪くいわないでください」。そうそう、こないだもいい年した大人に「先生の子供にしてはマトモだね」って言われました。なんだその差別。学校に馴染めない子は繊細で純粋で、学校生活を普通に楽しめる子は凡人粗暴ですか。ちくしょー。ちこっと話がズレましたが、いしいしんじを教える先生は大変だったと思うよ。いしいしんじも大変だったのかもしれんが。「麦ふみクーツェ」と「ぶらんこ乗り」で両方に感じることは中盤の冗長さ。これはもう筆者の構成が上手くないせいと言っていいんじゃないかと思う。あまりにもその世界観が特異で美しいので気にならないっちゃ気にならないけど、気になるっちゃ気になる。
2006.07.25
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町田康・いしいしんじ共筆。前半が町田康さんの人生相談、後半がお二人の対談です。人生相談が面白すぎる。一見不真面目なようにも見えるけど町田さんはすごく真剣に読者さんから寄せられるお悩みに答えていると思う。芯をついてる。極論に過ぎるという感想もあるのだろうけれど、誰にでも言えるようなことを町田さんが答えても仕方ないし、ただの慰めやあたりさわりない励ましでも、はたまたよくわからん叱責でも仕方ないし。大体、人が人に相談する場合って結論を言って欲しいんじゃなくて、誰かに聞いてもらうことだけで「相談」の意味があったりする。悩みを寄せた読者さんたちの場合、自分の悩みを町田さんが読んでくれて誌面で回答してくれたというだけで、その「回答」がどうであろうと「相談」は90%以上成功しているんじゃないだろか、と思う。ただ、相談の内容や文章があまりに素直すぎるというか朗らかというか(それだけに異様にも思えるのだけれど)、この読者の人たちが本当に町田さんのファンなのか?という疑問は少し残りました。人生いろいろ。
2006.07.23
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映画『サイレントヒル』公式ページホラーは嫌い。スプラッタはもっと嫌い。なのにどうして見に行ったのかと言えば、人に誘われたら断らずに、自分が普段見ないものほど見に行ってみた方が新しいものに出会えるかしら、などと思うから。結果は大失敗。いくつかの場面が頭から離れませんえん。プレステで大人気だったゲームの映画化らしいです。手がかりを頼りに先を目指したり、アイテムを手に入れて次の展開に足を踏み入れたり、ゲームを思わせる断片はいくつか。いくつかの批評サイトによれば、忠実にゲームの雰囲気を再現していてファンとしては満足できる出来映えなのだそうな。しかし、ほんとに……。↓↓反転ネタバレ後味悪すぎる。白バイ婦警さんを殺さないでほしかった、あんな殺し方で。アリッサ、婦警さんも助けてあげなよ。お父ちゃん可哀想、でももう少し頑張れ。結局シャロンは誰の子なの?子供が大切なのはわかるが、あんまり無謀なことはしないでほしい。お母ちゃんだというのならば、もっと危機察知能力があってしかるべき。とにかくグロは嫌い。
2006.07.18
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木原浩勝+中山市郎著。こわこわこわーいこわこわい。『耳嚢』とは、江戸時代、名奉行根岸鎮衛が集めた珍談奇談怪談。江戸文学を学んでいた大学時代、研究室一の美人が『耳嚢』で修士論文を書いていました。もうその子がほんとにこの世のものとは思えないくらい美人で…という話はまあいいとして、『新耳袋』は『耳嚢』同様、実話を集めるけれど『耳嚢』とは違うところは怪談だけを集めているとこ。『耳嚢』は江戸時代の人のアバウトさというかなんというか、今とは違うジャンル分け観念というか、怪談だけではなくて珍談奇談笑い話も雑多に収録されてます。たぶん。ですから始めにこの『新耳袋』というタイトルを見た時(もう結構前だと思いますが)は、「なによー怪談耳袋とか言っちゃってー、耳袋って怖い話だけ集めてるものじゃないのに、パクってきちゃってやなかんじー」くらいに思ってました。はい、私こそやな感じです。知ったかぶり学生にありがちな感じです。そんでこの『新耳袋』ですが、こわい……一つ一つは2,3頁で終わる短いもの。実話を集めたものだけに、きっちり起承転結があるわけじゃなくて「こんなことありました、でも原因わかりません」「怖かったです。その後のことは知りません」「不思議でした。終わりです」ってものが多い。怪奇小説マニアには物足りないのかもしれない。でも、杉浦日向子さんの『百物語』が好きな人はこの面白さがわかると思う。一番気になった話は、体験を聞いている途中でその相手が「ここから先は話せません。話せば悪いことが起こります。話していいものじゃないんです」と言ったという話。それから、「あまりこの話はしたくないんだけれど……」という壮絶な体験を語ってくれたある人の話が、なぜか何度試してもテープレコーダーに収録されないという話。その人の声だけ。この二つの話はどんな怖い話なのか載っていなくて、そういうことされるとね、気になる。全くお化けを信じていない人にとってはヤラセでしかないのかもしれませんが、私は怖い話をほぼ無抵抗に信じるタイプです。余談ですが、うちの姉も信じるタイプです。もっと余談ですが、うちの両親は全く信じません。母曰く、姉と私が幼い頃に、「そういう目には見えないものや世界も信じる子になった方が、面白いかもしれない」と思って不思議な体験が書いてある本をたくさん読ませたのだそうな。自分が信じないくせに、なぜ。小さい頃、私や姉が「夜、隣の部屋で誰かが手叩いてるよーこわいよー」と言っても全く信じてくれなかった人です。えーと結局、怖い話は理解できない程コワイ。以上。
2006.07.13
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高野文子著。第七回手塚治虫漫画賞を取った『黄色い本』で高野文子さんを知りました。こりゃおもろいと思ったけれど、なにぶん寡作な作家さんらしく、それからあまりその他の作品に出会わずにおりました。そして先日、おじゃましたおうちで発見したのが『るきさん』。やっぱり読みたいと思っている漫画には自然と出会えるものだー、と自惚れてみたり。『黄色い本』は「ジャック・チボー」と女子高生の交流を描いたすこーしシリアスなところもある作品ですが、『るきさん』はゆるゆる~っとした日常。コマ送りのように画面とセリフが移っていく、さまざまにアングルを替えつつ。これが絶妙です。ちょっとクセになります。これといって複雑なことを描いているのではなく、むしろ単純などこにでもある日常なのですが、急いで読んでしまうと展開を見失うことがあります。これは主人公「るきさん」の周りに流れている空気をそのまま切り取っているからで、誰かの日常をフッと覗いてみたらきっとその人の言葉や動作のクセに慣れるまでに少しの時間がかかる、そういうことなんではないでしょうか。高野文子さんのファンは、彼女と「るきさん」を重ね合わせている人が多いんじゃないだろうかと、ちらっと思います。そう思いたくなるほど、「るきさん」の言動はリアルで魅力的です。
2006.07.11
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『話し方のマナーとコツ』『贈り方のマナーとコツ』『お仕事のマナーとコツ』『食べ方のマナーとコツ』売れているようです。大型書店に行かずとも、自分の町にある本屋でも探せるくらいです。敬語本・マナー本・ビジネス書……腐るほどありますが、その中でも飛び抜けて大ヒットのよう。「これ、今売れてるんですよー」と聞いて1冊買って家に置いておいたところ、読んだ母が感動。「シリーズものなら、他のも買ってきて」と。うちには4冊揃ってしまいました、このヒット本が。明かに女の子向けのイラスト重視。文字も手書きで可愛いです。内容は母曰く「しっかり書いてあって、私の年(56才)でも勉強になる」とのこと。どーんなことが書いてあるかというと、「同期が上司になった場合は、(さん付けではなく)役職名で呼ぶ」(お仕事編)「(ステーキの)焼き加減に困ったら。良いお肉はよく焼いても大丈夫。安い肉はミディアムくらいがおいしいでしょう」(食べ方編)「『この間作ってくれたお料理とてもおいしかったです!』というよりも『作り方、よかったら教えてください!』と加えたほうが本当においしかったということが伝わります」(話し方編)「妻帯者に義理チョコを贈るときには、必ずカードに"奥様と一緒にどうぞ"というメッセージを添えましょう」(贈り方編)という感じ。人によってページによって、「そんなこと知ってるー」だったり「えー、知らなかった!」だったり「そこまで気にしなくってもいいでしょー」だったり「あ、今度からこれ使ってみよう」だったりするのでは。知ってそうで知らないこと、なんとなく今更聞きにくいこと、基本的なマナー本には載ってないような見落としがちな隙間のことを上手く拾ってあるように思います(もちろん基本的なことも抑えられてます)。手書きイラストの多い構成ですが章立てがしっかりしているので、「これを調べたい!」と思って開くのにも、ヒマな時に「へー、ふむふむ」と眺めて楽しむのにも良し。イラストの伊藤美樹さんの、女性の胸をなぜか四角に強調して描く絵も、気になり出すと癖になります。売れて然り。
2006.07.10
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上っ面に磨きをかけることだけに精を出す人間の、なんとくだらないことか!しかし、そんなこと気になっている私も結局は同じ穴の狢です。自分が卑怯なので相手の卑怯さにも気が付くのです。うぅぅ。王様の耳はロバの耳!そっと隙間に叫んでみます。
2006.07.09
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なるほど、ハリウッド版時代劇!おもろ!しびれる!ゾロ役の役者さんが要潤だか金城武だかに似てた。あんまり好きなタイプの顔ではない。ゾロの奥さんがキャサリン・ゼタ・ジョーンズだって。キレイすぎます。おっぱい大きいです。
2006.07.08
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乃南アサ著。【めんどくさいのでとても簡単なあらすじ】女優を夢見て一人上京した、類い希な美貌を持つ少女、志穂子。運命のいたずらが彼女の夢を狂わせた。上京から十数年後、人形遣いとして淡々と孤独な毎日を送る日常は、だんだんと変調を来していく。【感想をさくっと】乃南アサっていう名前がちょっとかっこいい。干狩あがたと同じくらいかっこいい。気がする。名前からして、もっと軽いオシャレな小説を書く方なのかと思ったら違った(『幸福な食卓』は)。こわかったー。休日、明け方4時頃に目が覚めて一人、空が白んでくる中で読む読む。切なかったです。暗くなりました。我身を振り返りました。女の人が夢を追いかけて結婚を諦めた場合、その夢さえ破れてしまったらどうすれバインダーと。ぎゃー。次の夢を見つければいいか…。こんな気持ちの中で二度寝するのはイヤなので、他の本でお口直ししてから眠りにつきました。
2006.07.02
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