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眉月の夜、久し振りに母と二人きりで外食をした痩せた母は、食欲がないと申し訳なさそうに謝るそして「お前がお食べ」と呟き私の皿に移し替えるそれは私が子供の頃に大好きだった牡蠣フライだ数日後、母は静かにあの世に旅立ってしまった・・・作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2021.03.30
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テレビが我が家にやってきた 巷間は70年安保闘争の真只中、よど号ハイジャック事件があり、三島由紀夫割腹事件で驚き、圭子の夢は夜ひらくが町に流れ、明日のジョーに自分を重ねて青春を送る、一口にいえばそんな時代だった。 俺もアメリカンドリームを夢見ていて、英語もできもしないのに、いつか、アメリカ大陸横断などという、子供じみた夢を見ていた。 「一緒にアメリカに行かないか、」 馬鹿な女もいたもので、俺のことなどよく知らないまま、まあ、成り行きというか、惰性というか、愚かな青春の触媒とでもいおうか、まずは、日本で一緒に暮らしてみようかと、場当たり的でいい加減、かなり甘い動機で西陽のあたる四畳半のアパートを借りで同棲生活を始めた。 そのうちに、若者特有の流行り病の鬱病に俺がかかり、毎日死にたいとのたまい、日赤病院の精神科へ通院し、会社も欠勤が続き、遂に失業者となった。 失業者の俺をパートで働き、支えてくれた相棒がいた。 ~あなたはもう、忘れたかしら、赤い手拭いマフラーにして~ まあ、そんな感じの日々だったかな、、、キャベツと、もやしばかりじゃ、さすがに不安になり、なんとか金を稼がねばならぬと、人間食っていけないとなれば、なんとかするもので、解体屋のアルバイトを見つけた。 その日は、北千住のカメラ屋の解体現場だった。 なんでも、そこの親父が若い女と蒸発したとかで、残され奥さんが、「ここにある物ひとつ残らず処分して下さい」と、自棄のヤンパチになり、 その場所で奥さんはパーマ屋さんをやるのだという。その、いらなくなった物の中に古いブラウン管のテレビがあった。 「これ貰っていいですか?」」 テレビも買えなかった僕は親方に聞いてみた。 「欲しかった持ってっていいよ」 僕はうれしくなって、テレビを風呂敷に包んで、人目もはばからず、地下鉄を乗り換えて、新宿に出て、京王線にのって、多磨霊園の駅まで着いた。そこから、自転車の荷台に乗せて、アパートのある場所まで運んだ。 汗だくで手は痛くなったが、部屋にテレビがあるという喜びには代えがたかった。人間、欲と目標があれば鬱病等に負けずに、頑張れるんだと、処世訓の正しさを知る。 「おおおい、大きなお土産だぞ、テレビだぞ!」 相棒も大喜び、洗濯機、冷蔵庫に続く我が家、三つめの家電、背伸びしても買えなかった、贅沢なテレビが我が家に来たのだ。 その夜、お笑い三人組を見て、嬉しそうに相棒も笑っていたっけ、NHK受信料徴収員はすぐにやってきましたが、受信料などはとても払えないのでお断りした。元々、NHKの番組なんて見ないのですから当然です。 同棲生活三か月、そろそろケジメをつけようと、Tシャツにジーパンはいて、ギターを抱えて、役場へいき、二人で考えた新しい苗字、”愚多羅”と書きこんだ婚姻届けを出すと、「駄目です、どちらかの姓にしてください」 がっかり、折角新人生生活にふさわしい苗字を考えてきたのに、、、じゃあ、じゃんけんできめよう、役場の受付の人の前でじゃんけんして、なんとダサい、僕の”下肥”という苗字にまたなってしまったのだ、せめて、家内の”尻山”の方がよかったか、どっちも同じようなもんか、今でもあるのかなあ、月に一度、駅前の“山崎屋”という肉屋で揚げてもらう120円のとんかつが一番の御馳走だった。サービスの大盛りきゃべつが嬉しかった、お世話になりました。作:下肥流行※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2021.03.27
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柔らかな陽だまりの中で手を合わせ遙かな山に祈りを捧ぐ子等が言う「ポップコーンが咲いている」ポカポカ陽気 梅林の中作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2021.03.23
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母心 死ぬその日まで世話を焼く桜咲いたか体大事に親孝行ちゃんとしたのか悔いないか母の胸の内泣いていないか母と子の閑談話なんになるほんとの気持ち置いたままだぞ病床の母を見つめて日が暮れて慈愛のかけらなきぞ悲しき作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2021.03.20
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夕暮れにピカピカ光る飛行機は着陸準備 旅の終わり青空についておいでと言うように飛行機雲はまっすぐ伸びる作:成風※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2021.03.17
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ひろし君は受け口であるが、これは父の紘一郎の遺伝子を受け継いだからであり、その紘一郎も祖母のたねの遺伝だから仕方ない。ひろし君自身は全く気にしていないのだが、母のみつ子がかなり気にしていた。実は義母のたねが苦手なみつ子は、紘一郎の親譲りの受け口を見ていると、姑を見ているようで気が滅入って堪らなかった。だからせめて長男のひろし君の受け口だけは、どんなことをしても直したかった。 そんな折に、店の客から近くにある鴨井歯科での矯正技術の評判を聞き、ひろし君の歯の矯正をする決心をした。もちろん保険も使えないし、かなり高額で、最短でも2年以上という長期間の治療を要すると言う。だから当初紘一郎は反対したのだが、みつ子が執拗に頼んだため、また自分からの遺伝と言う弱みもあり、渋々承知することになったのである。 ひろし君自身は、歯の矯正がどういうものか全く知らなかったし、みつ子が執拗に食い下がるので、とりあえず彼女と一緒に鴨居歯科に行くことを了解した。待合室で順番を待っていると、なんとミス山崎小学校の野添小百合が入ってくるではないか。だが混雑していて座る場所がない。 するとみつ子が、ひろし君が座っているソファーを指さして「子供なんだから一緒に座ったら」と小百合に声をかけた。小百合は素直にそれに応じて、ひろし君の膝のうえに乗るように割り込んできた。ひろし君はびっくりして体を脇に寄せた。子供なのでなんとか2人で座れたが、ひろし君の太腿には、小百合の太腿がはぴったりとくっついてくる。ひろし君は恥ずかしくてたまらない。ただただ黙っているだけで精一杯だった。 みつ子が小百合に話しかける。「どうしたの虫歯なの?」ところがなんと小百合は歯の矯正中だと言って、口を開けて歯に被さっている金具を見せてくれたのである。みつ子はびっくりして「そんなに歯並びが綺麗なのに、どうして矯正するの?」と質問する。すると小百合は右上の八重歯を指さして「この八重歯を治したいので・・・」と囁いた。 他人から見ればほとんど気づかない程度の八重歯であったが、やはり本人は気にしているのだろうか。それともひろし君同様、親のほうが気にして矯正させているのかもしれない。 さてその後ひろし君は院長の診断を受けたのだが、受け口よりも余りにも酷い乱杭歯のため、通常の治療よりかなり長期間を要し、料金も高額になると告げられた。それを聞いたみつ子はがっかりしたが、必死に食い下がり、全額前払いという条件で料金を下げてもらい、ひろし君の歯の矯正契約を結んだ。ここまできては、もうひろし君の意向など全く無視され、強引に矯正治療が開始されることになったのである。 矯正治療が始まり、ひろし君の歯にはひとつひとつ金具がはめられ、それが針金で繋がれてギュッと締め付けられるのである。歯茎からだらだらと血が出て痛くて堪らない。それを院長に訴えても、「いずれ慣れれば痛くなくなるよ」と一蹴されてしまった。 この頃になってやっとひろし君は後悔し始めた。なぜもっと「矯正など厭だ!」とみつ子に食い下がらなかったのか・・・と。暫くすると院長の言うとおり、歯の痛みはなくなったのだが、金具に食べ物が挟まってしまうので歯磨きが大変だし、口の中がうっとうしくて堪らないのだ。 また喧嘩をして口の周辺を殴られると、金具にこすられて口中血だらけになってしまう。だからもう喧嘩は出来ない。こんな状態が少なくとも3年以上続くのである。もう厭なのだが、大金を支払っているので、親たちは途中で辞めることを許してくれない。 その後紘一郎が胃がんの手術を受け、かなり体力を消耗したため、和菓子製造業を続けることが出来なくなり、梅ヶ丘から郊外の武蔵境へ引っ越すことになる。だがひろし君の矯正治療はずっと続いていた。その間にひろし君の歯は、子供の歯から大人の歯に変わり、かなり成長していたのだが、金具は取り替えていないので、かなり窮屈になってしまった。 歯の矯正を始めて6年が経過したが、さっぱり改善されていない。そして武蔵境から梅ヶ丘まで通院するのも辛くなってきた。また両親もひろし君の矯正にさほど興味を示さなくなっている。 それでひろし君は、鴨井歯科の院長にもう矯正は終了にしてくださいと頼んだ。院長は両親は納得しているのかと確認してきたが、ひろし君は「はい」と勝手に嘘をついた。院長自身も余りにも長期に亘っている矯正治療に辟易していた様で、待ってましたとばかり金具を全て外してくれたのである。 金具を外したあとの爽快感と言ったら、言葉では言いようのないほどの気持ち良さであった。まるで体中を鎖と重りでがんじがらめにされていた奴隷が、解放された気分もこんなものであろうか。 また両親には院長がこれ以上は改善できないので終了にしたのだと嘘をついた。もうすでに矯正には興味を失っている両親は、ひろし君の嘘を全く疑らなかった。これで6年間も続いた歯の矯正はやっと終わったのだが、乱杭歯はほとんど改善していなかったし、受け口が出っ歯に変わっただけの失敗作だったような気がする。作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2021.03.13
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ビー玉や転げて春が広がれり朝食のサラダ山盛り風光る花辛夷立ち止まりてみる日暮かな作:菫※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2021.03.10
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凍みる風 病棟の窓 索漠と山茶花散りて母も逝くのか母の愚痴 死んでしまったほうがいい 答え探せず看病できぬまた来るね 後姿を追うように 病棟の窓 母が手を振る作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2021.03.07
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下駄鳴らし階段街で手をとりて金婚式に伊香保を歩く黄金(おうごん)の湯船に沈み瞑想し黄金(こがね)に染まる榛名眺める線香浴び人間道の真心で六角堂の地蔵を廻す作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2021.03.03
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