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空気澄みドナウの調べ冬の船冬凪のコースそれぞれヨットレース作:風香 下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2026.02.26
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時折こぼれる鳥の声が凍てついた林の奥へと細い糸のように伸びていく葉を落とした梢は空をつかめず冬という名の静寂だけが地面に深く沈んでいるその中にただ一つ灯る万作の木————にぶい黄金をまとい冷たい光を孕んだ花弁の奥で紫の花芯がかすかに震えているそれは風のせいだろうかそれともこの世界の底を流れる見えない時の鼓動だろうか異国に迷い込んだような錯覚に私は思わず足を止める音も色も どこか遠いけれど確かに ここで何かが終わらずに息づいている凍土の下で春を夢みるものたちのように黄金の花は沈黙を抱きしめているまた静かな明日が来るだろうか鳥の声がこの林の奥にもう一度 かすかな光を灯すのだろうか作:五林寺隆 下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2026.02.22
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ぶらっとこだまに乗って静岡まで足を延ばし、清水の次郎長に挨拶し、清水港日の出から水上バスに乗って三保に渡った。生憎どんより曇り富士山は拝めなかったが、三保の松原を抜けると広々とした海が広がっていた。砂浜に腰を下ろす。<なにをやってきたんだか!> 蟹がちょろちょろとやってきた。手をかざすと、後ろへ下がる、蟹が爪を翳す、ぐうを出すとうなだれ、ぱあを出すと、蟹は爪を振って喜んだ。~東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたわむる~ 結核を病み26歳で夭折した短歌の鬼才、石川啄木の一握の砂を思い出した。 頬(ほ)につたふ なみだのごはず 一握の砂を示しし人を忘れず 砂山の砂に腹這ひ 初恋の いたみを遠くおもい出づる日 いのちなき砂のかなしさよ さらさらと 握れば指のあひだより落つ 大といふ字を百あまり 砂に書き 死ぬことをやめて帰り来れり 清貧で夭逝した天才歌人石川啄木の歌の感動の波に揉まれ、幾度幾度も啄木の短歌を口遊みながら指で砂になぞっていた。 宿に帰り酒を飲みながら本棚にあった啄木のローマ字日記を読む。読みながら飲みながら頭も体も泥酔状態になった。「なんでぃ!啄木よ!、おめえも酒に溺れ死にか?」心の中の純朴な啄木がするするとまるで砂のように指の間から滑り落ちた。 啄木の誰(妻に)に見られてもわからぬように書かれた秘密のローマ字日記には、郷里に妻子や母を残して単身上京し、東京で不逞行為に走り、自分の弱さやずるさを吐露した啄木の堕落した暮らしが延々と書かれていた。石川啄木は想像していた歌人とは凡そちがうひとだったらしい。 給料(会社からの前借)が入ると、すぐ女を買いに走る。 家賃は滞納し、友人からの借金は返さない。 故郷にいる家族へも、ほとんど送金しない。 創作にかこつけて会社を無断欠勤し、実は何もせずにダラダラしている。 死にたいとか何とか言いながら、結局女を買いに出かける。 清貧とは程遠い、とまぁ、こんな感じの暮らしぶりだ。 はたらけどはたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざりぢっと手を見る そりゃぁそうだろう、、これじゃあ、生活は楽にならないだろう。~なぜこの日記をローマ字で書くことにしたか? なぜだ? 予は妻を愛してる、愛してるからこそ この日記を読ませたくないのだ。しかし これはウソだ! 愛してるのも事実、読ませたくないのも事実だ。~~他の女と寝てみたいと思ったこともある。現に節子と寝ていながらそう思ったこともある。そして予は寝た——他の女と寝た。しかしそれは節子と何の関係がある? 予は節子に不満足だったのではない。人の欲望が単一でないだけだ。~~午後、岩本に手紙を持たしてやって、社から今月分二十五円を前借りした。宿に行って、先月分の下宿料を払い、それから、二人で浅草に行き活動写真を見てから西洋料理を食った。そして小遣い一円くれて岩本と別れた。 それから何とかいう若い子供らしい女と寝た。その次にはいつか行って寝た小奴に似た女<花>のとこへ行き、ヘンな家へおばあさんと行った。おばあさんはもう六十九だとか言った。やがて花が来た。寝た。何故かこの女と寝ると楽しい。~~啄木ローマ字日記抜粋~ 滅茶苦茶だ。指の間からぼろぼろこぼれる 啄木の純情。 だがよ、狸爺、人間も狸も狐も衣の下には みんな穢わらしいものを抱いてるんじゃねえのかい? 墓の中へ持っていかねえでローマ字でゲロしたんだから 啄木は案外正直だったんじゃねえのか。 なあ、爺さん、悲しいことだが、生きてくのは汚れてくことだよな。 ローマ字日記を読み終えても尚、啄木は啄木だった。短歌の鬼才啄木の歌は腸に染みてきた。 たはむれに母を背負ひて そのあまり軽き(かろき)に泣きて 三歩あゆまず 愛犬の耳斬きりてみぬ あはれこれも 物に倦うみたる心にかあらむ 石をもて追はるるごとく ふるさとを出いでしかなしみ 消ゆる時なし ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな作:朽木一空 下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2026.02.19
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王宮の明日は百花の枯木立旅終えし今夜は二人しじみ汁作:風香 下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2026.02.16
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戦えない戦いたくないただ 波の立たない朝のように穏やかに暮らしたいだけなのにそれでも他人(ひと)は眠りに刃を向け火のない場所で戦を始める心の火を消さぬようそっと息をしているのに耐え重ねた沈黙がきしみはじめるどうして眠りについた子をわざわざ揺り起こすのか苦しくて 息が詰まり怖くて 影が伸びてくるけれど本当に恐ろしいのは怒りに染まる他人ではなくこの震えを抱えたまま壊れてしまいそうな自分自身だ今日も祈るどうかどうか 静けさを奪わないでくれと作:五林寺隆 下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2026.02.10
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明治通りを新宿から原宿の方へぶらぶらと歩いていた。代々木すぎると、日ソ協会に置いてあった「ソビエト旅行」のパンフレットが目に入った。「ドフトエフイスキーの臭いがする国ですよ、行ってみませんか?」 罪と罰のドフトエフイスキーの国か、癌病棟のソルジェニーツインの国か、スミルノフ さんというロシヤ人の一言で決めてしまった。 人生に失望しかけていた時で、どう生きていいかわからず、暗い穴からはい出そうとしていた時だった。行けば何かが変わるのかという淡い期待をもって、旅行費用30万円は会社と親から借金して都合した。 昭和44年1月、まだソ連邦だった真冬のモスクワは零下20度にもなる寒い国だった。赤の広場では溶けないアイスクリームを売るお婆さんがいた。重厚な建物のホテルの二重窓から覗いた灰色の雲が重く垂れこめた暗いモスクワの町の下にラスコーリニコフが苦悩する幻影を見た。~貧乏な青年ラスコーリニコフだが、エゴが強く自分は選ばれた非凡人だと傲慢な意識を持ち、世のためになるなら、悪名高い高利貸しの老婆を殺して、金銭を盗み、その財産を貧しい人々のために与えるのは許されるのだ~ そして、ラスコーリニコフは殺人を実行した。~果してぼくは婆さんを殺したんだろうか? ぼくは婆さんじゃなく、自分を殺したんだよ!あそこで一挙に、自分を殺してしまったんだ、永久に!~ 老婆殺しをソーニャに告白するラスコーリニコフの暗い部屋はこの国の沈鬱な暗い空の下にあったのだ。『癌病棟』、『イワン・デニーソヴィチの一日 』 『収容所群島』『煉獄の中で』『マトリョーナの家』 手当たり次第に読んだアレクサンドル・ソルジェニーツィンの本だ。老爺の脳みその中では中味は薄まってしまった本だが、ソ連のスターリン時代の臭いだけは嗅げる本たちだ。マトリョーナの家 夫に棄てられ6人の子供を亡くしたマトリョーナ… だがお人よしで馬鹿正直、他人のためにただ働きばかりしながらも貧乏に負けず、大らかな気持ちを絶やすことはなかった老婆マトリョーナを悲劇的な死がみまう話だった。 貧乏暮らしの我が家ではジャガイモと玉ねぎにほんの少しのベーコンを入れただけのスープをマトリョーナ風スープと呼んで貧しい食卓に並べたことがあった。イワン・デニーソヴィチの一日 ラーゲリに収容された元農民兵士の囚人,イワン・デニーソヴィチが朝 5時にたたき起こされ,終日の強制労働を終えて宿舎に戻り、消灯するまでの一日の生活を淡々と綴ったスターリン時代の暗部を描き出した作品。 癌病棟の中の一節は五十年間頭から離れずにいて、苦しい時の救いの言葉となっていた。~死ぬほどの苦しみは長く続かない長く続く苦しみは死ぬほどの苦しみではない~~不幸を恐れるな、そして幸福に憧れるべからず。 不幸も幸福も結局は同じものなんだ。辛さも永久にあるわけでもないし、幸福感だってあふれるほど続くわけではない~ ソルジェニーツィン 戦争もいつか終わるのだろうが、今日も人が死んでいる。~生きて立って、死んじまったってたいしたかわりはないいつか必ず死ぬのだから~ そんな狸爺の戯れ言が恥ずかしくなる。一升瓶を抱えて酒を飲んで誤魔化している。遠いモスクワの町の空は寒く暗い曇り空なのだろうか。 世の中が変わっても、人間の心はそんなに変わっちゃいないさ。マトリョーナやイワン・デニーソヴィチを見習いたまえ、よたよた爺さん。作:朽木一空 下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2026.02.06
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不きげんを整えなおし初鏡寒星のまだいる内に雨戸開く作:風香 下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2026.02.03
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