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2012.06.17
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カテゴリ: ドラマ
カーテンコール1



監督 佐々部清
出演 伊藤歩 藤井隆 鶴田真由 奥貫薫 井上尭之 夏八木勲

 またまた、レンタルビデオ屋で、見つけてしまいました。
 日本映画のほのぼのとした小品を楽しみたいと思い、レンタルビデオ屋で探していました。出演者の中に、藤井隆という名を見つけ、そして、映画館の幕間芸人の映画と書いてあるので、ちょっとしたコメディかと思い、借りてみたわけです。
 ところが意外や意外、思わずウルウルしてしまう、感動作でした。

 雑誌編集のアルバイト、橋本香織(伊藤歩)は、スクープ写真を撮った女優が自殺未遂を起こしたことにより、職を失い、編集長の好意で、出身地下関に近い福岡のタウン誌の編集の職を得ます。
 香織は、読者の投稿により、下関の古い映画館にかつていたという幕間芸人の取材に出かけます。
 昭和33年からこの映画館に勤めるもぎりのおばさん、宮部さんによると、その安川修平(藤井隆)という人は、最初は雑用などをする従業員として勤めていたが、幕間に騒ぐ観客をなだめるために、成り行きで舞台に上がったことから、歌や物まねで客を楽しませるようになっていったということでした。

 どうしても修平本人を取材したい香織は、長らくご無沙汰していた実家に泊まり、取材を続け、修平が在日朝鮮人であることを突き止め、そちらの関係からその娘、美里(鶴田真由)を見つけます。
 美里の話によると、修平が映画館をクビになった後、間もなく母親は亡くなり、修平は市内のキャバレーなどで、芸をしていたが受けず、次第に仕事も少なくなり、美里が小学校6年生の時、「必ず迎えに来るから」と言い残し去って行き、それきり会っていないということでした。
 美里は父を恨んでいるようでしたが、香織は親子が再会を果たすまでは、この取材を続けたいと思い始めます。

カーテンコール2

 かつては、どんな地方都市にも、わが街の映画館というものがありました。その多くは個人経営で、家族と、数人の従業員で経営しているところがほとんどでした。
 2本立ての上映が基本で、安い料金で、1回ごとの入れ替えもなく、観ようと思えば、何度でも観放題でした。だから、幕間に移動しない客も多く、幕間芸人と呼ばれる方々の仕事もあったのでしょう。
 昭和30~40年代のことですから、僕が子どもの頃、親に連れられて、近くの地方都市の映画館で、「東宝チャンピオンまつり」(「ゴジラ」の映画を中心に短編のアニメなど数本を上映していました。)や「東映まんがまつり」(「長靴をはいた猫」などの東映動画を中心に同じく数本の短編アニメを上映していました。)などを観ていたころには、すでにいなくなっており、僕自身は、幕間芸人という方々は見たことはありません。
 僕は、高校時代、そんな地方都市の小さな映画館では満足せず、休みになると、わざわざ名古屋(電車を乗り継ぎ、2時間ぐらいかかります。)の大きな映画館へ出かけて行き、大きなスクリーンで、単独上映(まだまだ2本立てが多かったのですが、洋画の大作などは1本で上映していました。)の洋画を見ることを楽しみにしていました。ちょうど「スターウォーズ」などのSF映画を中心に、洋画が幅を利かせるようになってきた時代です。このブログの第1回の記事で語っている、「2001年宇宙の旅」のリバイバル上映(すでにリバイバルでした。)を続けて2回観たのもその頃です。(1回ごとの入れ替えはもちろんなかった。)
 この映画で出てくるような、吉永小百合の青春映画や、高倉健のヤクザ映画、勝新の「座頭市」、「男はつらいよ」の初期作品など、日本映画が元気だったころ、つまり、人々の娯楽が映画ぐらいしかなく、この映画に出てくるような地方都市の小さな映画館が元気だったころのことは、実は僕は知らないのです。(だから、僕自身洋画の方が馴染み深く、このブログの記事が洋画、しかもハリウッド映画に偏っています。)

カーテンコール3

 だから、幕間芸人という存在を、僕は知りませんでした。日本の映画業界が斜陽化していったこの時代、日本全国でこの映画で描かれているような状況に置かれた幕間芸人がたくさんいたことは想像できます。
 特に、この映画の修平は、実は素人で、成り行きで芸人を始めたという存在ですから、その後、芸人を続けようとしても難しかったのでしょう。
 しかも、修平は在日ということもあり、まだまだ偏見が根深く残る中、他の就職も難しかったのでしょう。決して人種差別を肯定するわけではないですが、というかむしろ憤りを感じてはいますが、そういう偏見があるのが現状でした。


 そんな2組の親子のドラマに思わず、目がうるんできてしまいました。こんなに泣ける話とは思っていなかったこともあり、はっきり言って油断していました。でもだからこそ、純粋にドラマに感動していました。

 ところで、藤井隆という人、僕が最初にTVで観たのは、吉本新喜劇で、オカマっぽいキャラで変な歌と踊りで笑いをとる芸人でした。そして、東京へ進出してもやはり、変な言動で笑いをとる芸人でした。いつの間に、こんないい演技をする役者になったのでしょう。とりわけ、舞台の上で、素人っぽくギター片手に芸をする姿、映画館のロビーのソファーで親子3人仲むつまじくお弁当を食べる姿が、いい味わいを出していました。それから、意外と歌が上手だったんですね。特に「いつでも夢を」の歌声が、心に残っています。
 また、現代の安川修平を演じていた井上尭之さんも、いい味を出していましたね。

 思いがけず、いい話に出会い、ちょっと幸せでした。そんなお話です。





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Last updated  2012.06.17 17:37:58
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