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そろそろ年度末がせまってきました。支援を必要とする子にとっては、必要な支援が明確化され、来年度への引き継ぎに生かされるかが大変重要です。近年はiPadなどのタブレット機器を活用して合理的配慮を行う事例も少しずつ出てきています。(例えば→ <学習障害>iPad使わせてください 学校に訴えて可能に (毎日新聞2018/2/18))いま僕は読み書き障害当事者の手記をまとめた本を読んでいますが、支援があるのとないので全く違う!ということを改めて強く感じています。『読めなくても、書けなくても、勉強したい ディスレクシアのオレなりの読み書き』(井上智・井上賞子、ぶどう社、2012、1800円)前例にこだわらず、必要な子に、必要な支援を!と強く思います。学校現場でのICT利用について情報をまとめた本としては、以下の本が大変有益です。『学校でのICT利用による読み書き支援 合理的配慮のための具体的な実践』(近藤武夫(編)、金子書房、2016、1300円)複数の執筆者によって書かれていますので、いろいろな観点からの実践事例などが集結しています。まさに、決定版と言えるような、内容です。===================================内容第1章 ICTによる読み書き支援を学校で進めるために第2章 能力評価とアセスメント第3章 通常の学級でのICT利用を円滑化するために第4章 学校におけるICT導入の実際第5章 読み書き支援のリソースガイド第6章 障害のある児童生徒に対する学校や試験でのICTによる配慮第7章 小学校・中学校・高校入試でのICT利用の事例第8章 高校・大学入試でのICT利用の事例第9章 読み書き障害のある成人への活用事例ー現在と過去を振り返って第10章 通級・特別支援学級・特別支援学校での活用事例ー教師がどう関わったか===================================先に紹介した井上智さん・賞子さんも、「第9章 読み書き障害のある成人への活用事例」のところで、寄稿されています。その章のまとめで井上さんは、「ICTは、自分の世界を大きく広げてくれた」(p89)と書かれています。しかし、まだまだこういったことがなかなか知られていない現実があります。ICT活用のメリットが当事者にとってデカイなら、教員や支援関係者は、もっとICT活用に関する情報を知っていかなければならない、と思います。本書p42には、「リソースガイド全体のマッピング」が載っています。ICT活用の全体を概観する上で、大変役に立ちます。僕は、通級で担当している子どもへのICT活用について、担任の先生や保護者の方に提案するときに、その表をお見せすることがあります。パッと見で「活用できる選択肢がこんなにある!」と感じていただけているように思います。本書に載っている表や事例は、ほかにも、かなり有益です。第1章では、たとえば「授業であっても、試験であっても、タブレット等のICT利用により参加機会を保障する例」が示されています。(p11)支援を必要とする子にとって大きなハードルとなる高校入試や大学受験、中間テストや期末テストなどの定期テスト。人生を左右するそういった試験に、ICTが実際に活用された事例というのは、当事者や当事者の親御さんにとって、非常に心強い情報になるのではないでしょうか。大学入試などでの配慮事例は、第6章に詳しく紹介されています。このブログでも紹介したことのある小林春彦さんが大学入試で申請された配慮内容を含む、入試等で認められてきた配慮実績の表(p48)は、進路に関する相談を受けたり指導をしたりする者は、知っておきたい情報です。(関係する過去記事 ▼業者テストの「ルビうち」が標準対応に!(2017/6/10の日記))第2章のアセスメントの章は、僕のような「LD(学習障害)」を対象とする通級担当者にとって、非常に役立ちます。読み書きのアセスメントの情報が整理されており、これを読んで、必要だと思われるアセスメントについてさらに学ぶきっかけになります。ただ、この本には載っていなかったCARD(包括的領域別読み能力検査)というのも僕は活用しています。第4章では、「ICT導入の実際」が紹介されていますが、具体的には、たとえば「他の児童への説明・共通理解」(p36)のところが参考になります。「その子だけが違う」というのが、ともすれば、いじめの原因になることも、考えられます。導入に当たっては性急に進めるべきではなく、こういった先進事例も踏まえた上で、学級の状態に合わせて慎重に導入を図るべきである、と思います。第7章では、高校入試で配慮を受けて、高校入学後も本人に合ったペースで学習を進めている事例なども、紹介されています。そこで紹介されているD君の「3年間で卒業しようと思っていない。」(p59)という言葉は、人それぞれに合った、多様な学び方があり、それでいいんだ、ということを再確認させてくれます。そんなわけで、読み書きが苦手な子どもの教育に関わる方必読の本書。ぜひ手に取って読んでいただきたいと思います! ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2018.02.19
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聴覚障害をテーマにした取材ルポ漫画『淋しいのはアンタだけじゃない』。『淋しいのはアンタだけじゃない』(1) (ビッグコミックス スペリオール)(吉本浩二、小学館、2016-2017、全3巻とも税別552円)1巻を読んで衝撃を受けました。3巻を読んで、非常に感じるものがありました。3巻で完結です。取材自体を漫画化してあります。そのため、取材者の思ったことや、疑問・心の迷いがそのまま書いてあり、聴覚障害について考えようとする方向性において、またとない良書となっています。一時期世間を騒がせた佐村河内守氏への取材が、1巻から3巻までを通しての探求の核となっています。いろいろな専門家に取材しているので、知らなかったことがいっぱい出てきます。そして改めて、日本では聴覚障害について本当に知られていないこと、理解が進んでいないことに、愕然とするのです。3巻を読み終わった率直な感想。「実は聴こえているんじゃないの?」などと、当事者以外が軽はずみに言えない。「聴こえる」ということには様々な要素がからみ、個人差もすごくある。聴こえることが当たり前の人にとって、「聴こえない」ことを理解するのは、本当に難しい。3巻を通して取材者が得た知識をもとに、今の日本の様々な課題も、浮き彫りになってきます。日本では、聴覚障害での障害者手帳の認定基準が諸外国よりも厳しく、支援対象外になっているにもかかわらず、生活の中で非常に困っている人たちがたくさんいること。補聴器がメガネ屋で売られているのは日本だけであり、補聴器の使い方を間違えている人がたくさんいる。必要な支援が全く行き届いていないこと。耳鳴りで悩んでいる人がたくさんいるが、耳鳴りの専門家がほとんどいない現状で、対応しきれていないこと。等々・・・。この本を通して、聴覚障害への理解が広まることを願っています。電子書籍化されているので、試し読みができます。よかったらのぞいてみませんか?▼電子書籍版淋しいのはアンタだけじゃない(1)【電子書籍】[ 吉本浩二 ]
2018.02.04
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勤務校では朝の時間、クラスで月ごとに違う歌を歌います。1月は「しあわせ運べるように」でした。 僕は通級を担当していますが、通級の授業時間外には気になるクラスに入らせてもらうことが、たまにあります。 1月最後の31日、ちょうど朝の歌が始まる前に、あるクラスに入りました。 子どもたちの気持ちも姿勢も整わないまま、伴奏が始まろうとしていました。 僕は期待を込めて、「この歌はいいかげんに歌ってほしくありません」と言いました。 はじめは「?」という顔をしていた子どもたちですが、すぐに姿勢を整えて、とても気持ちの入った表情で、みんなが歌い始めることができました。本当に素晴らしい歌声に圧倒されました。 震災の授業を1時間させてもらったクラスです。 その時の僕の話を、思い出してくれたようです。 教師が前に立って、子どもたちに何を言うのか。 「姿勢を正しなさい」「集中しなさい」など、直接的な指示で子どもを動かそうとすることが多いですが、もう3学期です。子どもたちはすでに様々なことを学んできているはずです。 直接的な指示や命令ではなく、「それはどういうことかな?」と子どもたちが考えて自分で気づいて行動にうつせるような言葉がけをしたいものです。
2018.02.02
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