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「summerーlily 1965」10月に入り、俺はようやくこのアドレスを開いた。随分長い間、そっぽを向いてる振りができたと感心する。 美紀と違って、あの手の女は視界ギリギリに、存在をちらつかせる程度でいい。 夏とは発色が異なる花々の上にリースがいくつか飾ってあり、俺はクリスマスなんてものを夕闇に浮かべて苦笑する。 初恋の酸味が広がる。 そういえば何時かの夢で優は言った。「最後の恋は初恋に戻るんだよ。 ちょっと浮かれて寂しくて。 それはそのまま宇宙に持って行くんだー。 来世、恋人の契約を交わして」 俺はタバコを吸いながら、隣に横たわる優が若くない事を再確認したように思う。 仕事を終えた優はジャケットを肩にひっかけ、急ぎ足で通りの向こうからやってきた。ベンツの中をチラッと見て、ふっと躊躇った様子だったが、俺は親しげな仕草を 避け、頭をちょっと下げた。 すると優も同じ動作をした後、車に乗り込んだ。「二度目なのに何か緊張して・・・ 此間の店でいいかしら?」 俺は既に店の休みを確認済みで、それを優に伝える頃にはハンドルを切って渋谷に向かっていた。 総てが計算だった。「いい店がある。 きっと気に入ると思うよ」「ああ、でもこんな格好で」 優は髪を掻きあげて賢そうな額を出した。 そして不安げに俺を見た。こうして俺はふたりの優と、底のない時を楽しむ事になった。 真実がわかるその日まで、薔薇の香りに騙され、切花の魔法にかかっていた。 photo by しっぽ2さん
2007/07/30
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「やっと会わせてくれたんだ。 神様っているんだな」「神様ね・・・・。 浩樹、生の声も素敵、甘ーくて優しくて。 でもツンツンヘアーは意外だったな。 若いのね」「そんなにじーっと見ないでくれよ。 僕が君を見ることができないでいるのに」 僕が俯くと、別にどうって事ないじゃないと言うふうに、ふふっと笑って僕の手をとった。 けれどもそのアクションをどうってことないなんて思えない。 優は汗ばんだ僕の手を引いて歩き出した。夢で見た黒髪が細い肩から腕になだらかにかかっていた。 オフホワイトのコットンパンツにブラウスと同色のサンダルと籠バック。 夢でない事を確かめようとするから僕の手はますます汗ばんだ。「何処に行くの? 」「何処って、横浜に帰るんでしょう? 反対方向よ」「僕は君に会えるかと思って、戻ってきたんだ」「横浜まで送ってあげる。 男はつまらないことで予定を変更したら駄目よ、いい? 」「つまらないこと?」「話は電車の中で。 ね! 」 ホームの丸い時計がくっきりと8時を指していた。僕等は手を繋いだ状態で湘南ラインに乗り込み、丁度空いたシートに腰掛けた。「ラッキー!」 優が小さな声で言った。 出会いが普通じゃなかった上に、こんな設定は予想外で、もう何年も前から知った者同士のような感覚に僕は戸惑う。「手、放していい? 」「あっ! ごめんね。 歳の離れた姉と弟・・・保護者? 恥ずかしいわよね」「そんなことはない。 シャンプーのCMに出てくるモデルみたいだ」「まともに顔を見てないくせに」「けど、せっかく会えたのにって正直思う・・・」「これもデートの一環。 地上の偶然に賭けたあなたへのご褒美」 密着している優の体は冷たく、僕の上がり過ぎた体温を少しずつ下げていく。 こうして限りなく現実に近い僕と優の交際が始まった。 秋の空は高く、色を染める木々も、ワイパーで消える雨粒も輝いていた。 ただ、未満というけじめさえなければ・・・・・それは最高の秋だっただろう。 本当の優を知るまで、僕は単純な勘違いと悪戯な運命の水面下でゆらゆらと泳いでいたのかもしれない。 photo by kitakitune07さん
2007/07/29
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ちょっと横になってウトウト。 そんな時に限って、リアルで濃度の濃い夢を見ませんか?学生の頃、授業中とか・・・目覚めてびっくり! いきなり立ち上がってクラスの視線を集めたり 「夢でよかった!」 「なーんだ、夢だったのか~!」 「続きをみたいよ~!」 真夜中の小悪魔には、そんな夢か現実かわからない囁きに悪戯される二人の男「俺」 と 「僕」 が交替で登場します。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・コレステロール・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 市の基本検診でコレステロールが246 ウォーキングをはじめて3週間。 まだ成果は出ないよう。 食事にも気をつけている。 油は菜種油やオリーブオイルを、タマゴは二日で一つ。肉より魚(目が付いてない物に限る) コレステロールを多く含む魚介類は嫌いだし。 ただ、等を控えないと駄目かも~ラムレーズンのアイスや、チョコレート。 誘惑に負けないようにしよ! 自分に言い聞かせてる事! 早起きは美容と健康に得! 誘惑のソファーに横になったら「とめどなく落ち込む!」 できるだけ外出して娑婆に触れる。 人と会うと元気になる! photo by kitakitune07さん
2007/07/27
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東京ではまだ残暑が厳しい9月の終わり、それはまるで平凡な光景だった。日焼けした肌を露出した多くの若者や、シルバーシートに佇む老夫婦、デパートの紙袋を満足そうに抱えた女性。 そんな中で僕だけがピンと張った熱線のように手すりをしっかり握っていた。 渋谷を出て次の恵比寿に止まるまで、秒針は悪戯に僕を焦らす。恵比寿で降りて優(ゆう)が消えた渋谷に引き返す僕と、そのまま横浜に向かう僕。どっちが本当の僕かわからない。 僕はスタバで時間をつぶす。 いつもは入れないミルクがたっぷり入ったコーヒーを飲んで気持ちを沈める。 そんな自分を眺めるもう一人の僕がいて、冷笑したり冷やかしたり、肩を叩いて応援したり・・・それはもういろんな顔の持ち主だった。 僕は当たり前の事に思いを巡らせた。 優が再び同じ電車に乗るかわからない。家がどこかもわからない。 正直、フラワーアレンジメントが何かもわからない。 きっと僕はどうかしてる。 ストーカー扱いされたあげく、そっぽを向いて去って行かれたら惨めだ。 でも仕掛けたのは彼女の方だ。 勝手に頷き、周囲の賑わいを傍観する。 時計が4時を告げた。僕は深呼吸をした後、携帯を開いた。「湘南新宿ライン下りホーム、前方ベンチ。 黒のナイキのTシャツとデニム。 あてにならない地上の偶然を待ってる」 送信。 数本の電車が僕の前を通り過ぎていった。その間、生温い空気の中で何度も階段の方を見ては溜め息を吐いた。暫くして、心なしひんやりした風が頬に触れ、僕は目を開けた。「参ったな。 本当に待っていたなんて」 僕の顔を覗き込んでる優がいた。ピアスが揺れ、髪が風に靡き、瞬きが繰り返される中で、優は光のバリアに包まれたまま総ての外野を遠ざけた。「浩樹君。 えーと、村松浩樹さん。 はじめまして、田口優。 見つかっちゃった!」(君と会うのは二度目だ。もうキスもしてる)僕は金縛りから開放されたように不自然に立ち上がった。 「こんなはずじゃなかったんだけどな。 細胞の欠片が一つになったみたい。 出会いと言う場を借りて・・・・」 photo byしっぽ2さん
2007/07/25
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「榛名湖?」 優(ゆう)は瞳を輝かせて俺を見た後、「うーん・・・・」と言って潤った唇を張った。白い頬に小さな笑窪ができた。 「遠い昔ね」「うん」「学生の頃、一度行ったことがあって。 ボートから降りる時にバランスを崩して湖に落ちたの」 優は誰かのスキャンダルを語るように頑な(かたくな)を失って喋りだした。 その後、肩を上げてクスッ!と笑ったので、俺も追つられて微笑んだ。 傍らに優がいてコクのある空間が出来上がっていく。「それで白いスカートがびしょ濡れになって・・・・」 夢で優が履いていた花びらのような白いスカート。 びしょ濡れになった下半身。 しっとり濡れた太腿が露骨に浮かんだ。俺は妄想の出口を見つけようと理性を掻き集めた。「で、どうして榛名湖なの?」「ん? ああ、実は・・・」 僅かに軋むウッドフロア-、灯るランプ、触れる程度のジャズ。 俺はぼんやりと賑わいだ通りを眺めながら、優の視線を感じていた。 闇に霧を落とす悪戯な女と、光を浴びた白百合に頬を寄せる女。 揺り篭は左右に揺れながら数秒の沈黙をつくった。「榛名湖で君と会った。 夢だと思うけど?」 優は白いカップの底からレモンを掬いい上げて口に入れた後、涼しげな顔で言った。「夢でしょう、それ。 次に会う誰かにはどんな湖を口にするのかしら? 戸田さんはモテルでしょう。 さっきからこの店にやってきた何人の女性があなたを見た事かしら。ただね、私はもう刺激にも余韻にも見放された女だから」「地上から追放された?」「素敵な表現ねえ」 軽やかに揺さぶられてぞくぞくしながら、時間をかけて俺なりに始末をつけてやる。 優の声や仕草、漂う感触や匂いを閉じ込めたまま、俺は美紀のマンションへ向かった。 photo by kitakitune07さん
2007/07/23
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今日は市の乳癌検診でした。 数年前からマンモグラフィー(レントゲン撮影)に。10年ほど前に一度、細胞診までいったことがあり、毎回不安なのです~。 マンモは思い切り○○して撮影するから、痛い~ 。 でも触診よりはずっといいし、安心。 ここのところ、家の周辺は賑やかです。殺人事件も隣町であって、最近始めた夜20分のウォーキングもボディーガード付き。26年一緒に暮らしている男性がボディーガード。 昨日夕方、消防車6台、化学車1台。 サイレン鳴りっぱなし。外に出ると人がいっぱい・・・・「何!?」煙が見えないんです~ 毒物? 爆発? ・・結局悪戯だったよう 私もだいぶ体調が安定、これからダンスへ行ってきます~ 基礎でやるストレッチとヨガが、これまた心身の健康にプラスなんです。食べれる、眠れる、喋れる、笑える、歩ける、お風呂に入れる、これらは当たり前ではない事を、今回の地震でも実感。 避難所は高湿度。 大型除湿機とかないんでしょうか。エコノミー症候群~ 体力をあまり要しないで血流を良くするのは、ふくらはぎがポイントとか。 座ったまま、つま先を立てたり伸ばしたり・・指導員とかいないかな。今朝、テレビで少年や女の子達が率先して朝食のお手伝いしていました。 力を合わせる!「 絆 」 photo by kitakitune07さんさん
2007/07/20
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優(ゆう)は薄くスライスされたレモンを起用にスプーンにのせて、ティーカップに落とした。 そして浮いたレモンを満足そうに見ていた。 「いつもこうするんです。 紅茶の色が薄くなるのが不思議で、好き!」 半ば俺の強引な誘いを受け入れた優は、コーヒーが美味しい店があるからと言って、高円寺駅に向かう途中のログハウス風のカフェを指定した。 なのに優は迷うことなく紅茶を頼み、美味しそうに飲んでいる。 白いTシャツにジーンズ姿。 仕事帰りの「ほんのついで」と言う仕草には、幼稚な拒みと清楚な焦らしが心地よく混ざっていた。精神的恋愛のメカニズムは、そんな半端が静かに弾けて域を脱する。 吹き抜けの天井ではシーリングファンがまわっていて、ジャズが流れている。「その傷は? 」「ああ、指? 薔薇のトゲが・・・・」 夢と現実で見た白い包帯。 トゲなんてありえないだろう!と思いながら軽く頷いた。「戸田さん、607号室にはもう入居があった?」 優は窓辺の水中花に目を移し、話を変えた。「あのマンションには寝に帰るようなもんだから。 さあ、気配はないね。 もっとも君がいた頃も気配はなかった」「時々窓ごしに音楽が聞こえたけど・・・」「ついでにアルコールの匂いも?」 優は少し首を傾げて微笑んだ後、レモンの酸味に咽たような咳払いをして横を向いた。長い髪がさらりと肩に流れると、反対側の耳で星が連なる小さなピアスが光った。「戸田さん、花の届け先はお仕事関係と恋人ね。 いつも高いお花を買って下さって」「お陰で花言葉なんて言うのも覚えたよ」 「知っていると、花が凛と意志を持って語りかけてくるでしょう」「ああ、そんなふうに感じらるんだね君は。 花の中で生まれて花の香りに包まれて育った? そんな気がするよ。 そう言えば君の出身地は?」 優は大きな瞳で天井を見上げ、人差し指を立てて「あそこ」と真顔で言った。返事が「空」であれば、「地上から追放されて、時々遊びに来ているの」と言った夢の中の田口 優ということになる。それならばと思い、俺は初めて味わう不安定を玩ぶ(もてあそぶ)ように訊いた。「榛名湖・・・・行った事がある?」 photo byしっぽ2さん
2007/07/18
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僕は雨を待った。 あの人が降りてくるかもしれないと、本当に思うようになった。けれど、待ちぼうけをくらった。 雨に裏切られたわけじゃなく、あの人「優」に会えずにいた。 現実と夢の間を行ったり来たり、僕は優の唇に恋焦がれた。生身であろうとなかろうと、男の僕は次を期待する。 なんだか不思議な夏が終わろうとしていた。 その日、高崎から大宮に出て湘南新宿ラインに乗って、横浜に向かっていた。母親の急死で、萎んだ風船のようになってしまった父親の様子を見に行く為だった。今思えば、頻繁に展開されていた派手な夫婦喧嘩はリクレーションのようなもので、僕が凄く嫌だったその事が、今は心のアルバムに収まっている。 やがてアナウンスが次は新宿と伝えていた頃、僕の携帯が震えた。「一度メールをもらったようだけど、返信できなくてごめんなさい。 私は元気だけれど何かあった?」 田口 優からだった。あの晩の出来事が整理できなくて、何度か携帯に文字を打ち込んでは消し・・・「夕べ、僕の車に乗った? 雨の中、寮の傍のコンビニに来た?・・・」 消去。「きっと夢で会えるなんて言うから、本当に優の夢を見たよ。 それで僕にキスをして」 消去。こんな調子で、結局僕は頭が狂ったと思われたくなくて、最後はどうでもよくなって「浩樹です。 その後お元気ですか?」 なんて不自然なメールを送信してしまったんだ。 新宿に着くと、どっと人が乗り込んできた。 車内は人で溢れ、息苦しいほどだった。僕はたくさんのつり革を見上げた後、優に返信メールを送った。「どうしているかなと思っただけ。 どうせメル友の域を脱しないんだし、僕等」 送信。「いいじゃない、こういう関係があっても。 始まらないから終わらないかもしれないし。 地上の偶然はあてにしたら駄目よ」 受信。「また可笑しなことを言うね、相変わらずだ。 確か土曜は仕事だったね」 送信。「今日は渋谷のフラワーアレンジメントの講習。 今電車の中」 受信。 僕の着信のバイブは結構低周波の音が響いて、マナーモードの役目を果たしていない。混雑している車内の数人が反応して、バックやポケットに手を入れる。 21世紀の反応だ。「花が好きなんだね。 僕も今電車に乗ってる」 送信。案外近くでオルゴールの音のような着メロが鳴った。 さっきから繰り返される送受信でその曲がタイミング良く流れる。 サザンの「TSUNAMI」だった。 僕がもしや!?と思ったのは、この電車が渋谷に止まるとこと。 そして優がいつも僕に仕掛けるものは、ときめきを越えて事件に近い。 この二つだった。 僕は首をあちこち動かしながら人込みを掻き分けた。 空メールを送り、着信の鳴る方向を見つけようとした。 アッ!と思った視線の先に、夢で会った長い髪の女性がいた。 淡いピンクのブラウスを着て、美しいラインの横顔から長い睫毛を落とし、落とした先には携帯電話がある。 僕と彼女の間には人がいて、死角になった部分もあったけれど、僕は確信した。 たおやかに佇む彼女が、優であることを・・・ しなやかな指で髪を耳にかけた時、あの晩暗闇で輝いていたピアスが揺れていた。 「見つけたよ! きっと君は僕の直ぐ傍にいる!」 送信。それは賭けだった。 案の定「TSUNAMI」が鳴った。 僕は立ち上がってドアの方に行こうとした時、電車が渋谷に着いた。ドアが開くと直ぐ、彼女はホームに溢れ出された人の波に埋もれて行った。そして背の高い彼女が一度だけ、降りた車両の方を振り返った。揺れる髪、たった一度の瞬きと、悪戯っぽい微笑。 ひとつひとつがストップモーションで僕の瞳にこびり付いた。 発車した電車のドア越しに、僕はそっと寄りかかり汗を拭った。くそう! なんでこうなるんだ!・・・・・ photo bykitakitune07さん
2007/07/15
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コメントを下さった皆様、気にかけて下さる心優しき皆様、こんな私の為に 本当にありがとうございます。 m(--)m 普段とても無口な私がお喋りしないで、口を閉じている。これは苦痛なこと。 普段とてもオトナシイ私が、動かないでぼ~っとしている。これは苦痛なこと。 そう思えるって、たぶん「元気」に向かってる! そんな時もあるさ! 今のあなたは100点満点 多少の附加も必要やで~ ふわ~~っといこう 一億人いれば一億の生き方 気を使うから、疲れちゃうのよあなた・・・ 一生続くわけじゃないし 健気に咲く花、頬に感じる微風、優しい音、メルヘンの絵画、食欲増手料理さりげない日常のぬくもり、成長する未来の天使達、綴られる人生。 ビタミン剤になってます! みんな! ありがとう
2007/07/12
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森林浴も(長野)したかったんですがそれも中止にしました。日々体調のアップ、ダウンが激しくて(性格が反映?)更新やご訪問も今までのようにいなかいかと思います。すみません・・・。 いつも、ありがとう。 めぐみ かおと
2007/07/08
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僕の30年ちょっとの人生は、きっとまあまあだと思う。ベンツみたいな高級車に乗れなくても車はある。 母親が逝っても父親がいる。不景気でも仕事があり、恋もしてきたし受け入れ態勢もある。 体は動くし、心も病に侵されていない。 夜はもうじき終わる。 作業着のポケットを通じて振動が起こる時、僕はあの人を感じる。あの人はバイブレーターの周波に乗って心臓にやってくる。 しびれが快感になって、今は体が地殻変動を起こしたようにちょっと苦しい。仲間と呑んでいても、単調な労働をしていても、寮に帰っても、恋の侵入者がなびいて僕の前をうろつき始め、意識の外に追い払えない。 さっき返ってきたメールを読み返す。 これで4度目かもしない。「会いたい? そろそろ会ってもいいんじゃないかって? ああ、自然の流れとしてはきっとそうだけど。 あんまり私になびかない方がいいよ。 青年よ! しっかり仕事をしなさい~」 何だこれ? 柴又の寅さんじゃあるまい。 田口 優がますます謎の人になっていく。突然空から降ってきたかぐや姫は馴れ馴れしくてご機嫌で、少女と女をチラチラ魅せながらはにかみと優美な嗜み(たしなみ)で、男を釘付けにする。 「会おうと思えば、夢で会えるかもよ」 こんな調子で身を交わす。 もどかしい。 僕はいつものコンビニの駐車場に車を止めてリクライニングシートを倒した。 フロントガラスには雨の雫が付いて傍の雫と交わって線になって流れる。 そんな様をボーっと眺めていた。 暫くすると、目眩に似た空間のズレを感じた。 たぶん僕はうつらうつら睡魔に誘導される。 真夏の夜の雨音は微かだけれど、現実へ戻れる扉をちゃんと残してくれている。「ねえ、浩! 浩樹君・・・・」「ん? 」「寝ぼけてる。 せっかく来たのに」「優? 会いに来てくれたの? 顔が見えない。 長い髪に隠れて、おまけに暗くて」 僕は目を擦りながらリクライニングシートを起こそうと右手でレバーを探す。 「ああ、そのままそのまま。 時間がない。 雨が上がらないうちに帰らないと私」「どうやって来たの? 夢だよな! 金縛りにあってるようだ」「雨と一緒に降りてきたのよ。 決まってるじゃないのぅ」 奇想天外な応えと、闇の中で揺れるピアス以外の確実を僕は捕らえることができない。「浩がちょっとだけウキウキして、笑顔が増えれば何でもするわ。 度を越したってもう追放される場所はないから安心」「追放? 何? 」「悪い人間は砂の数程いるのにね。 私は・・・・・。 ああ時間! じゃあキスだけ」 優は身動きが取れない僕の顔に、化粧けのないツルンとした顔を近づけ、そっと唇を重ねてきた。柔らかいものがちょっと触れただけの夢が去った後で、雨の音が僕の鼓膜をノックした。「おい村松! 頼むでー 」 翌朝はどしゃ降りで、僕の車にひょっこり仲間が乗り込んだ。 「この雨じゃ、いくらおまえでもチャリはシンドイやろ」「まったくだ」「おまえ、夕べ遅かったなあ。 女か? んなわけないよな」「コンビニで居眠りしてたらしい」 僕はエンジンをかけた。 大きな欠伸をした後、不自然に動きはじめた隣を見た。「何、わさわさしてるんだ?」「おい!この窓、ちゃんと締めたんか? なんや濡れとるぞシートが・・・・」「そんなはずない」「几帳面なおまえがなあ・・・・・ ほな何でや?」
2007/07/04
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こちら、本名で脳内イメージCHECKしたら こんな感じ 「めぐみ かおと」はこんな感じ! 何で今頃の時間になると元気になるって狼男や吸血鬼じゃあるまい、妖怪28号? 枯れた小悪魔? 老けた夜の蝶? ・・・・・・・・・・・ついでに主人の脳内は・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・息子・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ムム~ 二人とも怪しい! それで前頭葉が欲のかたまり・・・・情けない~」でも、結構たのしめました。 脳内メーカー
2007/07/01
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