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先日、長い長い時間、認知症を発症した家族の介護をしてきた方の、家族と過ごした年月のお話を聞く機会がありました。業務の中で、家族の支援に私が直接携わることはあまりないのですが、お話を聞くことは度々あります。私は自分自身も離人症という1つの病を生きる者として、患者さんやご家族の方の苦しさを理解できることもあるかもしれないと思っていましたが、その喜びについては、殆ど考えたことがなかったな、と気づかされました。苦しいことに想像力を働かせて、そこを軽減するよう援助することも必要ですが、援助者がその中でこそ生まれる喜びもある、ということを全然知らないのでは、患者さんやご家族の方もその日を信じることができないでしょう。勿論、そこにいたるまでは、長い長い時間を必要とするのでしょうけれど。お話を聞かせてもらっていて、その言葉にこめられた温度を、これほど実感できたことがあっただろうか、と思いました。乗り越えた人間の言葉は、何より強いのですね。普通の言葉を、普通ではない強さを持って語ることができる。援助者はこうあるべき。教科書や本に載っています。心と心のつながりを。尊厳を大切に。個人を見ること。教科書で読んでいる分には、はいはいわかってます、という風になるわけです。ともすれば「きれいごと」とさえ言われそうなこういった言葉を、ぐっと胸に突きつけられることがあるのだなと、初めて感じました。使いまわされた言葉です。ありきたりな言葉とさえ言えるかもしれません。でも、その言葉が温度を持って発されたとき、それはどうしたって伝わるんですね。何よりも強い力を持って。伝わらない、ということに、言葉の無力さを感じることはしばしばありますが、言葉の強さを感じる機会というのは、なかなかありません。自分自身の援助者としてのあり方を考えるだけでなく、その言葉の温度まで信じさせてくれる、すばらしいお話でした。
2011年02月27日
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週に2回は更新しよう、と思ってパソコンの前に座ったのはいいのですが、書くことがない……というわけで、つらつらと。最近は職場と家の往復になりがちですね。元々インドアな人間なので、特に困りもしないんですけども。スケートの四大陸選手権が終わって、残すところ世界選手権だけになりましたね。今年の四大陸選手権は、男子は高橋選手に小塚選手、羽生選手が出場、女子は浅田選手、安藤選手、鈴木明子選手が出場と、見ごたえばっちり。去年はバンクーバーがありましたから、主要選手はあまり出ませんでしたからね。中でも注目は、やはり個人的に好きな浅田選手。全日本で復調の兆しが見えておりましたので、楽しみにしていました。そして見事、今期初の満足のいく演技がフリーではできたようで、本当によかったです。結果は惜しくも2位でしたけれど、世界選手権が楽しみになる演技でした。本当に、個人的な好みもあるかと思いますが、浅田選手の演技はアートの部分がずば抜けていると思います。以前は「表現力が……」なんていう評価もありましたけど、そんなことないよなあ、とずっと思っていました。前にも書いたと思いますが、やはり、音の表現がピカイチです。音楽の物語性の表現に長けた選手は数多くいると思いますが、音そのものの繊細さ、透明感、美しさをしなやかに表現できるのは、私の中では浅田選手だけなんですよね。特に、クラシックの曲でそのアートの美しさが顕著です。加えて、大きなプレッシャーに押しつぶされそうになったり、何度となく乗り越えなければならない壁が眼前にそびえたっていても、必ず乗り越えてきている浅田選手を見ていると、本当に勇気付けられます。今のところ、その表現に元気付けられる人は、浅田選手と中島みゆきさんというまったく違う個性の人たちです。まあ、みゆきさんの場合は、一緒に打ちのめされて、また浮上、という感じですけども。本日は週の真ん中の木曜日。「歩くサボテン」的な古代生物の化石が発見されたとニュースに出ていて、思わずクリックしてしまいました。なんだかサボテンダー的なかわいいサボテンを想像していたんですけど、全然別物でしたね……結構気持ち悪い感じの。ただ、こういう古代の生き物の姿に想像を巡らすのは、楽しいですね。生き物の基本は、結構今も昔も変わりないんだなあ、などと思ったりもします。たぶん、人間もそうなんでしょうね。
2011年02月24日
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「たとえ報われなくてもいいものがつくりたい!」そんな男たちを追った、涙と笑いのコミックエッセイ!そう帯に書いてある通り、中小企業に代表されるものづくりの現場を、元エンジニアの作者の見ル野さんが取材していく、というものです。前から本屋さんで見かけるたびに気になっていまして、ついに購入。日曜日の『夢の扉』というテレビ番組もそうですが、「ものをつくる」という人たちを見るのが大好きでして、特にこう、頑固に、一徹に、という職人技は本当にすばらしいと思っています。1章 ものづくりに賭ける一本気な情熱に男泣き!2章 日本の発明王の裏にある苦節に男泣き!3章 日の目を見ずして消え行く機会に男泣き!などなどなど。章のタイトルを見ているだけで興味深いですね。「少しでもいいものを」という想いのもと、作り続けた人たちの物語は魅力的です。欲をいえば、もっともっと一見地味に見えてしまうような、そんな職人さんのスキルに光を当てて欲しかったですね。裏表紙に「六角レンチの回し方で何年目かわかる」という職人さんのセリフがありますが、そういった基礎的な技術面もたくさん紹介してほしかったなあ、と。その「身体知」といいますか、アートの部分にこそ、魅力を感じます。あまり光が当てられることは無くても、その日の目を見ない部分に、じっと向き合って作り続けてきた、ということには、企業の知名度とか規模とか、そういったものでは図れない凄みがありますからね。このシリーズ、続編が出ているそうですので、そちらも楽しみです。
2011年02月20日
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一心に筆を握った時を経て 絵に現れる祈りの風景久しぶりに『西洋絵画の巨匠』を読み始めました。ちょっと苦手な画家の特集だったことに加え、他の本を読んだりDVDを見ていたりしましたら、長らく積読本コーナーから動かないままに時間が経過していました。今、ようやく芸術新潮も観光ペースに追いつきましたので、「よし」と気合を入れて、残り14冊、再開しました。少しずつ少しずつ読み進めています。36号はエル・グレコでした。ただ、私は人体を引き伸ばして描く特徴のあるマニエリスムの表現が、なんだか苦手でして(10頭身ぐらいあります)、そのうえ不穏な空気の中の少女漫画のような潤んだ瞳、という絵画が多いエル・グレコの絵はなんだか目を逸らしてしまうところがありまして。とにかく絵が張り詰めていますね。精神的にも、肉体的にも。その人物がいる絵画の中に引きずり込まれるのが、嫌なんだろうなと思います。それだけ差し迫った表現である、ということもいえるんでしょうが。何にも感じない、というのが芸術にとって一番残念なことなんでしょうね。表現されたと同時に判断を受け手にゆだねられるのが作品の宿命です。だから、好きな人も、嫌いな人もいる、というのが一番なのかと。好かれることも、尊ばれることも、嫌われることも、その作品が、鑑賞者の感情を喚起している、ということですから。それなので、私的に「好き」も「嫌い」も作品に対する褒め言葉にもなりうるかと、そう思ったりもします。心を波立たせている、という点で。少しずつ『週刊西洋絵画の巨匠』を読み進めたら、今度は『世界の美術館』が待っています。こちらは40冊程……少しずつ積読コーナーを減らしていきましょう。
2011年02月16日
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『これからの「正義」の話をしよう』のサンデル教授の講義録です。教育テレビでの放送を見逃してしまっていましたし、いつでも好きなページが開けるので、講義録の出版を楽しみにしていました。『これからの「正義」の話をしよう』も非常に興味深かったですが、講義録は更に分かりやすくて面白かったですね。学生達に「伝えたい」という気持ちや伝えたいことが確り定まっているからこそ、魅力的な講義になっているんでしょう。大学時代にこういう講義に出会えるということは幸運でしょうね。アメリカという国で、というところに更なる面白さがあると思います。大学時代の講義は殆ど睡眠学習に費やした私とは多きな違いです。面白さを見出そうとする努力を怠っていた、というのも反省ではありますが……『これからの「正義」の話をしよう』でも出ていた、正しい殺人はあるのか、課税に正義はあるのか、といった、答えに詰まるような問いが、哲学の話のヒントとして議論されていきます。自分の考えの立場がはっきりとしているサンデル教授と違い、学生達は立場は決めても判断材料や考える時間が圧倒的に少ないはずです。その中で出される質問は自分の立場に近いものもあり、なお面白いなあと思って読み進めました。「哲学」というと、一部の理屈の好きな人間の小難しい学問のような印象がありますが、「よりよく生きる」ということについて考え続けた人たちの、思考の歴史についての学問なんだと考えると、俄然好奇心がわいてきます。生きるということは選択の連続でもあると思いますが、その「選択」を行う上での土台を固めるものとして、こういった学問は重要な材料になるんでしょう。できることなら後悔なく、正しい選択をしたい、と思うことは多いでしょうから。下巻も楽しみです。
2011年02月11日
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1月号は、「沖縄の美しいもの 見る、学ぶ、使う、訪ねる」という特集でした。沖縄の器や布といった、工芸品の特集です。染織物系はそんなに興味がないのですが、器物系は好きですので、写真で見るだけでも楽しめました。ただただ見るのが好きなので、「どこの」とか「誰の」とかは気にしないのですが、気をつけてみると、その地域独自の繊細さとか、素朴さとか、豪快さとか、しっかりと伝わるものですね。読了後もページをぺらぺらめくって楽しめます。沖縄に住む職人さんたちの特集もありまして、個人的には今回の特集で一番良かったかもしれません。用の物を生み出すものづくりに携わる方々というのは、非常に魅力的ですから。何も語られなかったとしても、年月が作り出す技というのは雄弁ですしね。沖縄旅行というと観光がメインになると思いますが、紹介されていた職人さんたちの場を1つ1つめぐることができたら、個人的には有名どころを回るよりも思い出深い旅行になりそうです。いいペースで月刊誌を読み進めていますが、次号の特集は「シュルレアリスム」なので、時間がかかりそうです。好きだからではなく、苦手なのだけれどもなんだか惹かれてしまう分野、なので。本日は気持ちよく晴れた日曜日。大雪のニュースが続いていますが、なぜか私の住む地域は雪が殆ど無く、例年の冬とは全く違う、寒さの緩んだ晴れた日が続いています。過ごしやすくてありがたいですが、なんだか不思議な感じも。仕事の方はやっと一段落。今月中はまずまず自分のペースで過ごせそうです。この隙にしっかり休んで、年度末に備えたいと思います。
2011年02月06日
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「プール」の他に何か海外の映画も見ようかなあと思って、なんとなく手にしたDVDです。しかし実際に見てみると物語がすばらしくて、ぼろぼろ泣いていました。白血病の長女と共に生きる5人家族の物語です。けれどそれは、一丸となって病と共に闘う家族という、そういった設定では描かれません。主人公は白血病の長女の妹なのですが、この妹は姉に骨髄等々提供するために、遺伝子操作で生まれました。妹は誕生時の臍帯血に始まり、繰り返し血液を提供しなければならかった。それでも姉は再発を繰り返し、遂には腎臓の移植が必要となります。姉の命を救うため、妹は犠牲を強いられてきた。その妹は、遂に両親を訴えるという行動に出ます。自分の体を守るために、一切の医療行為を拒否すると。当然、それは姉の死へとつながるのですが……「なんとなく」手にしたと書くのがはばかられるくらい、差し迫った内容でした。姉の命を救うために生まれて、けれど子どもは当然自分の意志を持つようになります。命を救うためという理由は誰にも否定できないけれど、そのために犠牲にしてきたものもあまりに大きな家族の物語でした。姉の命の期限が差し迫る現在の中に、これまで家族がたどってきた時間、楽しかった思い出も、犠牲となった事々も織り交ぜながら物語は進みます。一体この物語はどういう終末を迎えるのか。妹が移植を拒否するという勝訴を得ても、裁判に負け腎臓を提供しなければならなくなっても、深い深い傷が、家族とそのひとりひとりに刻まれることになる。勿論、妹自身にも。結末に少しおびえながらも、物語をたどっていくうちに、ふと気づくんですね。この裁判を引き起こした、隠された願いに。そこからはもうだめでした。かなしくて、せつなくて、ふとしたシーンのたびに涙がこみ上げ、ぼろぼろ落ちる。久しぶりに、こんなに泣かされてしまいました。その決断を否定することは誰にもできない、そんな切実な願いを乗せた物語でした。
2011年02月02日
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