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私の町は、9月に市議会議員選挙があります。だから・・・最近市議会議員さんの訪問が増えています。「事務所開きをするから出席してくれ」って言うんですけどね・・・・・ひとりで何軒も掛け持ちするわけにも行かないし・・・私の票は「一票」しかありませんからね。けっきょく、どこにも行かないようにしたいと思いますので・・・これから私のところへお出でになる予定の立候補者の皆さん・・・お出でになるだけ無駄ですから・・・・どうぞ私より他の方のところへ行ってください。 こうして、「神様」と「お歯黒女官」は、北へ向かって進むことにしました。目指すは「天帝城」・・・・天国の「ホワイトハウス」のようなところです。今の「天帝様」は、中国の仙人「西王母様」が担当されていまして・・・こちらは道教の神様なんですね。我々日本人にはあまり馴染みのない神様なんですが、孫悟空が花果山に閉じ込められる前に悪さをしていたとき、天に上って桃の果樹園に忍び込んで腹いっぱい食べるということがありました。この桃は「不老長寿」の桃なんですけど、この「桃園」の持ち主が「西王母様」なんですよ。日本でも、この「西王母」をどこかの神社で「おまつり」しているところがあるようです。「この天帝様ってどういう風にして決めるんですか?」「お歯黒女官」は矢継ぎ早に質問をしてきます。「神様」はいつまでも立ち止まっているわけにも行かず・・・歩きながら答えることにしました。「昔は選挙で決まってたんじゃよ・・・・・しかし、わが国の神様は800万人おって・・・これが一人一人投票権がある・・・・みんな神様じゃからな・・・・そうなるとわが国代表の”天照大神”がいつも当選することになって・・・・キリスト教やイスラム教の神が怒ってしまったんじゃ」「アラ・・・あちらさんでは神様の数が少ないんですか?」「そうなんじゃよ・・・あちらは自分の都合で、ほかの神様は認めない・・・だから神様は自分ひとりしかいないんじゃよ・・・・・それでな・・・・最近では信者の数と財産・・・それに神様の数を複雑に計算して一票の格差を是正しておるんじゃが」「まあ・・めんどくさい・・・」「それでな・・・・今の計算方法だと中国の人口も多いし・・・信者もそれだけ多いっていうことで・・・・道教の仙女”西王母様”がふさわしいだろうということになって・・・・」「そうですわねえ・・・今まで中国の方が”天帝様”にならなかったことが不思議なくらいですものねえ」「今までは中国も、共産党が宗教を認めないっていってたから良かったんじゃが、最近は北京オリンピックも控えておるから・・いくぶん穏やかに宗教も認めておるんじゃろう」そんな話しをしながら歩いておりましたが・・・・「神様・・・・そろそろ休憩しませんか?・・・・いくら暑くないといっても・・・これだけ歩くとさすがちょっと暑くなってきました。」「そうじゃのう・・・ああ・・ちょうどあそこに茶店がある・・・・あそこで休んでいこう」こうして、ふたりは茶店に入ります。しかし、茶店にしては賑やかです。「ここはなんじゃな?」「神様」は大声を出してそこにいた若い男に尋ねました。「え?・・何?・・・聞こえねぇよ」この若い男は、「難聴」というわけではありません。すさまじい大音響があたりを揺るがすぐらいですから・・・・普通にしゃべってる声が聞こえないんです。「ここは・・・何の建物なんだね?」「神様」はその男の耳元で、もう一度より大きな声を出して尋ねました。 あごめん・・・時間がないや・・・・・続く
2007.08.31
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夕べ・・・深夜に続きを書こうとしたんですよ。そしたら・・・また楽天が「メンテナンス」してるんですよね。この前、したばっかりじゃん!・・・そう思ったんですが・・・「緊急のメンテナンス」という文字が・・・・「ハハア?・・・飛行機と同じだな?」そう思いましたね。飛行機も、事故がおきると同型のの飛行機はみな、その原因となった箇所を「緊急点検」するんですよね。その結果・・・ほどよい具合についていたホコリや油を取り去っちゃったり、元に戻すときにボルトの締め忘れなんかしちゃったりして・・・・事故が続発するケースが多いようで・・・・昨日の楽天の「緊急のメンテナンス」も、その口じゃないんですか? 「入国審査」も終え、「天国の門」をくぐった「神様」と「お歯黒女官」・・・・・「神様」は何度も来ているのですが、「お歯黒女官」は初めての訪問で、作者が都会に行くといろんなものが珍しく・・・・あちこちキョロキョロするのと同じで、彼女も完全に「お登りさん」になりきっていました。「やっぱり天国ですねえ・・・・空気からして違いますもんねえ・・・ほら薔薇の香りがしてますわよ?」「薔薇の香りではない・・・・・蓮の花の香りじゃ・・・釈迦が育てておるんじゃ」「あら・・・蓮でしたの?・・・・そりゃ失礼致しました。・・・ホホホホh・・・」口元の押さえて笑う彼女の・・・その手の隙間から「キラリン」・・・何か光るものが見えます。「なんじゃ?・・・マロの目の錯覚か?・・・お前の口元に何か光っておるぞ?」「お歯黒女官」がその手をどけると・・・・いつもより丁寧に塗られた「お歯黒」の中に一本だけ金色に光るものが・・・「じつは先日・・・・テレビを見ておりましたら江戸城から西の方角にある部落で・・・渋谷?でしたかしら?・・・・指の爪に絵を描いている女しょうがおりまして・・・・”アラかわいい”・・・そう思いましたものですから・・・・わたくしも、お歯黒に一本だけ金色を混ぜてみましたの・・・・」黒光りする中に一本だけ金色・・・・神様にはとても美しいものとは思えませんでしたが、「お歯黒女官」は、生まれた始めてきた天国・・・・目いっぱいのおしゃれのつもりだったのでしょう。「どうせなら、何か模様でも書いて来ればいいのに・・・・」「そう思ったんでございますけど、鏡を見ながら絵を描くというのもなかなか面倒でございまして・・・いえ・・・最初は描いていたんでございますよ・・・・でも失敗したから・・・時間もないし・・・しょうがなくて金色に・・・・」「まあ良い・・・・たまには変わっていて・・・お前にも似合っている様じゃ」「神様」も雇用関係を円滑に進めるため、「従業員」のもたまには「お世辞」を言わなければなりません。「神様」にほめられたと思った彼女は・・・ニコニコしながらまた、あちこち眺め回しますが・・・・「ところで神様・・・・わたくしたち・・・・これからどちらへ向かうのでございますか?」「そりゃお前が決めればいい・・・マロはお前が来たいというから来たんじゃ」「あら・・・あたくしのせいでごじゃりますか?・・・・神様も行こうとおっしゃったじゃありませんか?」「マロはただ、暑さから逃れればいいと思っておったからのう・・・そうじゃのう・・・どちらへ行こうか?」「南へ向かうと暑くなりそうな気がしますから、どうでしょう・・・北へ向かわれては?」「天国は気温は一定しておるのじゃぞ?・・・どこへ行っても同じじゃ・・・・それコトワザにも申しておるではないか・・・・”暑さ寒さも彼岸まで”・・・・彼岸とは”三途の川の彼の岸”・・・・つまり向こう岸という意味でな?・・・・ジャからこちら天国では暑さも寒さも感じないことになっておる。」「だからイメージでございますよ・・・・なんとなく北へ向かうと涼しくなるような・・・・」「まあどちらでも良いが、北の方角じゃと”天帝様”もいらっしゃる・・・ご機嫌伺いで、天帝様の城へ行くのも悪くないのう・・・・」「神様」は自分の顎の下を撫でながらそう言うのでした。ここで少しだけ・・・「天帝様」のことをご説明しましょう。「天帝様」というのは個人のお名前ではありません。「神様連絡協議会」が作られたときに付けられた役職名で、それ相応の力量を持った方が「天帝様」に立候補し・・・選挙で選ばれることになっています。歴代の「天帝様」としては、ギリシャ代表の「ゼウス様」とか、エジプト代表の「太陽神ラー様」・・・それにユダヤ教代表の「エホバ様」がいらっしゃいましたが、「エホバ様」の場合、その摂政になった「神の子イエス」が、神より力をつけてしまったので・・・これではまずいと一期20年で辞めてしまったのです。日本代表「天照大神様」が「天帝様」になったときも、問題がありました。それまで「天帝様」は男神がなるものと、暗黙のうちの了解があったのですが・・・このとき初めて女神である「天照大神」が「天帝様」になったわけです。このとき、天国内では「男女同権運動」が盛んになり、大騒ぎになったのですが・・・ギリシャ代表「ゼウス様」の奥様・・「ヘラ様」が「女神=天帝反対論者」の急先鋒であった「ゼウス様」を徹底的に押さえて下さったそうです。ちなみにこのときの恩に報いようと・・・・「天照大神」はわが国のコトワザの中に「ひとつ年上の女房は金のわらじを履いてでも探せ」という一項目を付け加えました。どうやら「ヘラ様」は「ゼウス様」よりひとつ年上だったようで・・・・・もうひとつちなみに・・・・青森県では方言の中で、年上女房のことを「ヘラ」といいます。きっと、これもギリシャ神話の「ヘラ様」のことじゃないかと・・・作者は思うのです。あ、信じないでくださいよ・・・・・「講談師・・・見てきたような嘘をつく」って言いますけど・・・・私もその類ですから・・・・もひとつちなみに・・・「作者は講談師ではありません」でも・・・好男子だからいいか!(これも信じるなよ!)さて・・・・まだ旅を始めないうちから第3話までいっちゃったけど・・・・この次は旅を進めますから勘弁ね・・・・で続く
2007.08.31
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出だしはスイスイ書けちゃうんだよね。第50話・・・なんてとこまで行くとコリャ大変・・・・だって前に書いた部分も思い出しながら書かなきゃいけないから・・・・・まあおじさんの、「脳みそ」活性化のためにはいいかも・・・・今回は第2話・・・この辺なら・・・すんなり書ける。 「神様」と「お歯黒女官」・・・いよいよこのふたりの珍道中が始まりそうなんですけど、まだまだ手続きはかかるんです。もちろん人間じゃありませんから「パスポート」なんかは要らないんですけど・・・・入国審査の手続きが厄介なんですよ。「え?あの世に 入国審査が必要なの?」とおっしゃる向きもあろうかと思いますが・・・神様の行く「あの世」とは「天国」・・・・ね「国」でしょ?・・・だから「入国審査」はあるんですよ。「はい・・・次の方」「ア、マロの番か・・・はい!」「あなたの入国の目的は?」こう質問されると・・・一般的な観光客なら「サイトシーイング」・・なんて答えるんでしょうけど・・・ここは「天国への門」そんな理由で簡単に入国させてはくれません。もちろん、今回の目的は「涼みに・・・」ですけど・・・そんな理由だって却下です。でも神様は何度もこの門をくぐってますから、慣れていました。「神様連絡協議会の定時連絡と、神様用品の仕入れ・・・それに天帝様ほか、皆様へのご機嫌伺いです・・・・もちろんあなたにも・・・・」神様はそういうと「入国審査官」の袖の下に、そっと手を入れます。「こんなことされては困る・・・・」いちおう「入国審査官」ですから、いったんは断るんですが・・・なんとなくニヤニヤしています。「ところでお客人は、ビザをお持ちですか?」「はて?・・・・ビザなんぞ必要がありましたかな?・・・・あいにく持っておらんが・・」「最近、勝手に神様になるものが多くなりましてなあ・・・それで、ビザを発給しておるんですわ」いちおうひとりでも二人でも・・・信者があれば神になれるのですが、自分自身が勝手に神を名乗り、それから信者を作るというのは反則なんです。「奇跡」を起こし・・・・それによって信者ができる・・・ならいいんですが、「わしは神じゃから信じなさい」・・・そう言って信者を作る神様も最近は多くなったそうで・・・・なんにでもすがりたい人間が増えてるんでしょうね。「しかし・・・・困ったなあ・・・マロはビザの用意はしておらんのじゃが・・・」「ビザがなければマスターでもいいですよ?・・・・アメックスはちょっと困るんですけど。」「なんだ・・・クレジットカードでいいのか?でも、アメックスだとなんでまずいんだ?」「いや・・・・神様連絡協議会の通達ではビザということになってるんですけど、マスターの場合金がかかりませんから・・・・ほかのはちょっとかかるんですよね。」「え。そうなのか?・・・マロは知らんかった」「マスターはプライスレスだそうで・・・・」CMの間違った情報が神様の世界にも浸透しているようです。まあ・・・そんなやり取りをしたあげくに、ようやくのこと天国に「入国」しました。そこで「お歯黒女官」が、神様に質問します。「ねえ神様・・・さっき、入国審査官に袖の下・・・やりましたよね?・・・・いったい何をやったんですか?」実に興味しんしんです。「いや・・・マロは別に何もやらんよ?」「だって、さっきあの人の袖の下に手を入れて・・・・何か渡してたじゃないですか?・・・・昔の日本人観光客はストッキングをよく土産にしたようですけど・・・・神様の場合は何を渡すんですか?」「ああ・・・あれね・・・マロはただ袖の下に手を入れて、二の腕の内側をくすぐってやっただけじゃ・・・・ここは人間も神様も一番柔らかいところだから・・・・スキンシップを図るにはここをくすぐってやればいいんじゃ」「え!・・・じゃあ、品物やお金を渡したんじゃないんですか?」「当たり前じゃ・・・・マロは神じゃぞ・・・不正はいかん!」ふたりの旅はここからスタートするのです。 さて・・・・ここで皆さんにお話ししておきますけど・・・・この物語については決めておいたのはこの辺まで・・・・「ビザ」のお話しだって・・・さっきテレビで「マスターカード」のコマーシャルをやってたから思いついて書いただけですから・・・今後どういう展開になっていくか、まったくわかりません。そのつもりで読んでくださいね。くだらなくても我慢我慢・・・・・じゃあ続きます。
2007.08.30
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怪談風小説もどき・・・「暑い・・・」はいかがでしたか?どうしても怖くできないんですよね・・・・・怪談風なのに・・・なんとなくハッピーエンドになっちゃった感じ。まあ・・・こんなのもたまにはいいんじゃないですか?でも、私の個人的なことなんですけど・・・・・昨日書き終えて・・・・それまで「暑い・・・」っていってたのが今日は涼しいんですよ。不思議ですよね・・・・さて・・・今日から「百花繚乱 綺羅、星の如くに」を書くことにしましたが・・・・いつものように、なにも考えないまま書き始めようとしています。決まってるのは「神様シリーズ」だっていうことと、登場人物(神様だから人物とはいえないけど・・・)は「神様」、「前のお歯黒母さん」・・・それだけです。ハチャメチャなお話しになりそうだけど・・・覚悟は(?)いいかな? 「神様・・・・暑いですよねえ・・・」十二単を着込んだ「お歯黒」の女性が神様に同意を求める。「そうじゃなあ・・・・マロも暑いぞよ」神様なら・・・気温なんかも自由自在に変えることが出来るはずなのに・・・・この神様は自由気ままな神様でめんどくさいことが嫌い・・・・だから暑いときは暑いまんま・・・そのまま乗り切るか・・・どこか涼しいところに旅行に行こうかなんて考える神様でした。「ねえ・・・こんなときは”あの世”とやらに行ってみませんこと?」「ああ・・・人間どもも・・・暑いときは”お化け屋敷”に行くらしいから・・・いいかもね?」「でも、そう聞いたから・・・・この前の神社のお祭りのときも、見世物小屋がたくさんあって・・・その中のお化け屋敷に行ってみたんですのよ」「ほほう・・・・マロはまだ入ったことがなんじゃが・・・どうだ涼しくなったか?」「それがゼーンゼンダメ!・・・・涼しいどころか、冷房もなければ締め切った空間で空気もよどんでましたし・・・暑苦しいったらありゃしない!」「だろうなあ・・・・・怖いものを見ると涼しくなるっていうけど・・・気温が変わるわけじゃなし・・・涼しくなるわけがない」「だから、・・・・本物のあの世に行きましょうよ・・・あそこならいついっても適温だっていうし・・・ね・・・神様いいでしょ?」こうして神様とお歯黒女官は「あの世」に旅立つことにしたのです。目的は・・・「涼みに行くこと」・・・ただそれだけ・・・・でもとりあえず、自分の職場を離れるときは、神様といえども、「神様連絡協議会」への届出をしなければなりません。許可は簡単に降りるでしょう。なぜなら日本には800万人の神・・・「八百万の神」がいらっしゃいますから、ひとりぐらい休んでも・・・なんとかなるんです。これがキリスト教やイスラム教なんかでは・・・唯一神ですから・・・少々風邪をひいたぐらいでは休めません。その点、「日本の神様でよかったなあ・・」なんて思う神様でした。でもとりあえず・・・誰かを代理に残していかなければなりません。「そうだなあ・・・あの吉田老人なんかどうだ?」前回のお話で・・・神様のおじいちゃん役を立派に務めた・・・少々ぼけ始めている老人ですが・・・「あの方・・・駄目ですわ・・・・だって、神様とお付き合いが始まったら不思議なことがいろいろ起こるんで・・・ボケがいよいよ進行しちゃって・・・」「ほほう・・・・マロがいろんなことをしてしまったからか?」「今ならちゃんと神様がいらっしゃる・・・・今なら”神国日本”・・・太平洋戦争をやっても、今度は勝てる・・・なんて言っちゃってるんですもの・・・留守中に太平洋戦争なんか始められちゃったら・・・大変な事になりますわよ」「そうだよな・・・・前回の太平洋戦争も・・・・マロが神無月で日本を離れ、月にいるかぐや姫に会いに行ってる間に起こったことじゃからな」「あの時だって・・・ほかの神様と一緒に出雲に行ってれば問題はなかったのに・・・・神様ったら・・・一人ぐらいいなくてもって・・・・月に行っちゃうんですもの」「そうそう・・・あの時は少々遊びすぎた。・・・かぐやが放してくれなくてのう」神様はそういうと、ニヤニヤ思い出し笑いをするのでした。「「なにをおっしゃってるんですか?・・・・家具屋が離してくれないって・・・箪笥を買いに行ったわけじゃなし・・・ですから吉田老人はちょっと辞めておきましょう」「じゃあ誰を留守番にする?」「どうでしょう?・・・先日おいでいただいた、初代市川団十郎さんとシェークスピアさん・・・・この世は面白いって・・・まだお帰りになってないんですよ?・・・あの2人なら、芸術関係だから・・・戦争を起こすことはないと思うんですけど」「そうじゃなあ・・・形式美を重んじる団十郎と・・・恋愛小説家のシェークスピアなら・・・万が一にも戦争の心配はないな・・・じゃあそうするか?」こうして、神様はお出かけになる事になりましたが・・・・それでも万が一、億が一のためにと・・・・以前孫悟空がかぶせられた帽子「緊固児」を2人にかぶせました。皆さんの中には、孫悟空の頭のワッカ・・・あれは初めからワッカだと思っていらっしゃるかもしれませんが・・・もともとは帽子なんです。わがままを言う孫悟空を懲らしめるため、三蔵法師が「緊固呪」というお経を唱えると・・・たちまちその帽子の中に入っている金属が頭を締め付ける・・・・我慢できなかった孫悟空はあまりの痛さに、帽子の布の部分を引きちぎって・・・・最後に残ったのが、あのワッカなんです。でも、団十郎は「ちょん髷」だし・・・今回の「緊固児」は、はじめっからワッカだけになっていました。「さあ・・・マロは準備ができたぞ」「お供はどう致しましょうか?」「う~ん・・・なんか問題があったとき呼び出せばいいじゃろう・・・マロもお供が多いと逆に気を使って疲れるからのう・・・今回はお前だけでよかろう」自分だけは連れて行ってもらえる・・・・・「お歯黒女官」は思わずにやっとしました。 続く
2007.08.30
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実は先日、商工会議所から「第10回産業祭り」の実行委員に委嘱されました。わたしの業界は「物品販売」をするわけではないので、一般市民が買い物をする「産業祭り」には不向きな業界なんですが・・・できれば、商工会議所会員の業種が全て網羅される産業祭りでなければ意味がない・・という意見があり・・・我が「建設業界」にも参加要請があったわけです。しかしながら・・・・「販売」がメインの「産業祭り」に何をすればいいのか・・・・一応少ないながら持ち合わせている「脳みそ」をフル回転させて考えたわけです。「ミニバックホーなどの重機の展示をしようかな?」土を掘ったり物を運んだりするには、ちょっと不向きな場所ですし・・・危険なんで絶対動かさないという条件で展示だけすることにしました。それでも小さいお子さんなら、運転席に載って記念写真でも撮るっていうのもいいかなって・・・・・一応、「ミニバックホー」、「タイヤショベル」なんかを展示したいと思います。それに「ダンプカー」もね・・・・「10トンダンプ」の運転席なんか、けっこう高い位置にあるんで、わたしなんかでもなんとなく「偉くなった」ような気になるんですよ。子供に高い位置から道路を見てもらうのもいいですよね? 真っ赤な乗用車は、私と桂子・・・そして姿の見えない女の子を乗せてひたすら走り続けました。「そうねえ・・・・どこから話そうかしら?」桂子は私の顔を下から見上げるようにして話し始めたのです。「去年の2月だったよね・・・・・この子を妊娠して、あなたにおろすように言われたのは・・・・」桂子は悲しげな声で話を続けるのです。「あなたは学生だし・・・私だって教師になって1年目・・・・結婚するなんて無理だってわかってたけど・・・・私はあなたが優しい言葉をかけてくれることに期待していたの・・・・でも、無理だったのよね・・・・・あなたは冷たい言葉でおろすように指示するだけ・・・・病院にだって一緒に行ってくれなかったよね・・・・」「あ・・・あれは・・・しょうがないじゃないか・・・・」「そうよね・・・・もともと結婚する気もないし・・・・ただの都合のよい女としか扱ってくれなかったものね」「そんなんじゃなくて・・・・」「でも・・・・あたしはあなたに棄てられたくなくて・・・・あなたに言われたとおり・・・なんでもしてあげたじゃない?」「それは・・・・」「あれだけつくしても・・・・あなたは私を棄てたわ」「あれは・・・お前が浮気をして・・・・」「あたし・・・浮気なんかしてないわ・・・・それはあなただって知ってたことじゃない・・・学校の同僚であたしに気があった男の先生と一緒に食事に行っただけ・・・・それは浮気じゃなくて、あなたにヤキモチを妬いて欲しくってやったことだって・・・・あなたは知ってたわよね?」それは事実でした。言い切れるほどではありませんが、この女は絶対俺から離れられないという自信のようなものがありました。「昨日はあなたのところに行けなくてごめん」「俺よりもっと大事なことがあったんだろ?・・・・それならそれでもいいんだぞ・・・俺よりもっといい男ができたんなら・・・・そっちへ行けばいいじゃないか」「そんなんじゃないってば・・・・仕事の付き合いだから・・・一度だけって言われて・・・・一緒にお食事しただけで・・・・」実はこの発言を聞いて私は「キレタ」んです。それまで、男と2人っきりで食事をしていたなんて、正直知りませんでした。「だからいいんだってば・・・・俺より大切な人なんだから・・・そいつといつも一緒にいればいいだろ?・・・・俺は構わないよ・・・・」「仕事でギクシャクしたくないし・・・だから・・・・」「ギクシャクしたくないから・・・俺を放っておいてもいいってことだよね?」「別に・・・そんなんじゃなくてご飯食べただけなのに・・・」「俺がひとりで飯食っててもかまわないっていうんだろ?」「そんなこといってないじゃない・・・」「俺が嫌になったならそれでもいいんだぞ・・・・もうそろそろ・・・・俺にも厭きたんじゃないかって思ってたんだ」「ひどい・・・」「ひどいのはお前じゃないか・・・・俺は他の女と飯食いになんか行ってないぞ」「どうすれば許してくれるの?」「今日は頭にきた!・・・だからどんな話になったって許すつもりはない・・」「だからどうすれば・・・・」「今日はどうにもならないよ・・・帰ってくれ!」その時桂子は、涙を一粒ぽろっと落としそれでも黙っていました。それから・・・・・2人はただ押し黙ったまま・・・しばらくして・・・・・桂子はぽつんと一言いったのです。「今日は帰るね・・・・・明日また話し合おうよ・・・・あたしのアパートに来て・・・・いつもの時間・・・・ずっと待ってるから」そう言って帰っていったのですが・・・・私はもとに戻るつもりはありませんでした。翌日・・・私はもちろん彼女のところには行きません。そして・・・彼女が私のところに来ても会わないっていうつもりで・・・その日から友人の家を泊まり歩いたのです。「あたし・・・次の日ずっと待ってたのよ・・・・・そしてあなたが来ないから・・・・この車に乗って・・・あなたのアパートに行ったの・・・・でもあなたの部屋・・・・誰もいない部屋・・・・もうあたしと会うつもりがないってわかったわ」「ママ・・・かわいそう・・・・パパには・・・・ヤキモチを妬いて貰いたっていうママの気持ちが通じなかったのね」後部座席からあの子の声だけが聞こえてきました。「でもね・・・・今だからわかるの・・・・・パパはね・・・・さびしがり屋なのよ・・・さびしがり屋だから・・・自分のことをいつも見ていてもらいたくって・・・・ママに意地悪していたのよ」「そうかなあ???」「そうなのよ・・・・ママに追いかけてもらいたくって・・・・だから逃げ出したふりをしたの・・・・でも、ママも若かったのね・・・・それに気付かなくって・・・だからあんなことしちゃって・・・・」あんな事?・・・いったい桂子はなにをしたんだ?「あたしがあなたに最期に会ったのが・・・・一年前の昨日・・・・そして・・・あたしが来て欲しいといった・・・その日・・・・・あなたに棄てられたことがはっきりして・・・自棄になったあたしが車を埠頭まで走らせて・・・・そこから海へ車ごと飛び込んだのが・・・・そう去年の今日の5時だったのよ」海へ飛び込んだ!そうか・・・・この車が事故で廃車になったっていうのは・・・・そんなことがあったのか・・・・つまり・・・桂子も後部座席にいる女の子も・・・・幽霊・・・・・この車も・・・・桂子の怨念に取り付かれた車・・・・・そして・・・・私は今、自分がハンドルを握っていないことに気がついたのです。桂子の怨念で、この車はあの世から蘇ったのです。だから、運転しなくても・・・この車の意思で自由に走ったのです。今日一日の出来事は、この車に乗ったときから始まりました。だから・・・・もしかしたら、真奈美の殺人事件も・・・あの喫茶店での出来事も・・・この車が私に見せた幻影だったのかもしれません。カーラジオのニュースも・・・・車がこしらえた幻聴でしょう。「そう・・・そうなのよ・・・・全て夢の出来事・・・・」桂子は私の心のなかを見透かしたように答えました。「わかったよ・・・わかった・・・・お前たちは俺も一緒にあの世に行って・・・あの世で仲良く暮らそうっていうんだな?」私は車の運転をあきらめ・・・・後ろを向きました。後部座席にはいつの間にか席を移った桂子とあの女の子・・・・真奈美ちゃんと二人が・・・抱き合ってにこやかに私を見ていました。車は自分勝手に・・・・どこかに向かって走り続けています。私は後ろを向いたまま・・・・いつまでも2人の幸せそうな顔を見つめていました。これからどこへ向かおうというのか・・・・私にはどうでもよくなっていたのです。車は勝手に左折右折を繰り返し・・・・・どこかへ向かっているのは確かです。だんだん潮の香りが強くなってきました。(ああ・・・もしかしたら・・・去年桂子が飛び込んだという埠頭に向かってるんだな・・・)私は、覚悟しました。そして・・・・・・・・・・・・そこからの記憶はまったくありませんが・・・・・気がつくと・・・私と桂子・・・・そして娘の真奈美・・・3人は・・・・あの川の上を滑るように登っていく船頭のいない船に乗っていました。3人ともおそろいの今日帷子を着ています。向こう岸には例の「きこり小屋」が見え・・・赤ら顔の死神が手を振っています。このあと、私だけが地獄へ行くのでしょうか?私にはわかりませんが・・・・もしかしたらあの世で・・・・3人家族としていつまでも一緒に暮らしていくのかもしれません・・・・「それが俺にとってもっとも安定した生活なのかもな・・・・」川風が・・・それまでの暑さを消していました。 終わり 「 「
2007.08.29
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夕べは「関税会」という会の総会でした。もちろん税務署関係の団体ですよ。実は、私とは縁のないというか・・・入会するつもりもなかったんですけどね・・・・私の所属する団体のトップから連絡がありまして・・・・・「関税会が会員減少で、存続の危機に瀕してる。・・・・だから、うちの会の役員さんを特別会員として関税会に入会させる約束をした。」っていうんですよ。私としては入会する意志はなかったんですけどね・・・・うちの親父が「税務関連団体連絡協議会」ってとこの会長をしてたもんで・・・・断りにくくて・・・・でも、昨日・・・新しい税務署の所長さんたちの講演を聞いていて・・・・「法改正」の解説をしていただいたんですけど・・・・勉強不足だったことを思い知らされました。まあ一般の方には関係ないんでしょうけど・・・・・自動車なんかを買うと「減価償却」を毎年していきますよね。そして、使用期限が過ぎてもまだその自動車を使ってると、帳簿上には「残存価格」が残るんですが・・・今までは、購入金額の5パーセントが残存価格だったんですよ。だから100万円の自動車なら・・・・残存価格はいつまでたっても5万円残ってたんですけど、・・・法改正の結果・・・・5パーセントというのは撤廃されて・・・・最後は1円の残存価格になるんだそうです。だから古い自動車をずっと使ってると・・・・うちのように何十台もあると・・・・「簿価1円」の自動車でいっぱいになるんですよ。まあ詳しいことは経理に勉強させましょう。 まもなく、桂子と待ち合わせの約束をした5時になります。私は自分の疑問を早く解決させたくて・・・・じっと校門のほうを見ていました。「なんで・・・夏休みに・・・・いくらサラリーマンとはいえ・・・あんなに早く登校して・・・この時間までいなきゃならないんだよ」ずっと考えながら・・・桂子の来るのを待っていたのです。この場所に到着したのが約束の10分前・・・・たかが10分ですが・・・待っていると長く感じるものです。ようやく桂子の姿が見えたのは、4時58分・・・・「ごめんね・・・・・待った?」桂子は助手席に乗り込むと、私に謝りました。「ああ・・・待ったよ」約束の時間にはまだ2分あるのに・・・・どうしても桂子の顔を見ると「意地悪」したくなるようです。「今日・・・うちの学年の担任会議があって・・・・最近・・・この辺に子供を狙った変質者が出るのよ・・・・今のところ被害はないんだけどね・・・・」「へえ・・・・」なにも夏休み中に相談することじゃないのに・・・私はそう思い・・・桂子の言葉に嘘があるような気がしました。「でも、夏休みに出てきてまで話すことじゃないんだろ?」私はそういいながら桂子を見ましたが、少しもあわてる様子は見えませんでした。「夏休み中に相談しておかないと・・・・学校が始まってからじゃ遅いからね」「お前今日、こんなに早く学校に出てこなくても良かったんじゃないのか?・・夏休みなら子供達だって出てこないんだろ?」「みんながみんな出てくるわけじゃないけど・・・学校で飼っているウサギのえさ当番とか・・・花壇のお世話係とか・・・・けっこう子供達・・・朝早くから来るのよ」私は自分が小学生のころ、「ウサギの当番」で朝早くに学校に出て来たことを思い出しました。「でも、あの時間・・・子供は誰も歩いてなかったじゃないか?」「子供達より遅くでてくるんじゃ意味がないでしょ?・・・だからあの時間なのよ・・・それよりあなた・・・ニュースであなたのこと話してたわよ・・・ここにこうして停まってていいの?」ニュースで?・・・それはあの喫茶店での事件か?・・それともあのアパートで殺されていた真奈美の件だろうか?私は思わず辺りを見回しました。やはりあの事件は全部現実だったんでしょうか?私は・・・今度は慎重に車を発進させながら「どんなニュース」だったか、桂子に確かめたのです。「H市の山中にある喫茶店Mっていうところで無銭飲食があって・・・・捕まった犯人がたまたまその店に食事に来ていた親子連れの子供を、人質として誘拐して・・・助けようとした父親を刺して逃亡した事件」桂子はなぜか落ち着いて・・・坦々と説明したのです。「それが・・・俺に何の関係があるっていうんだ!」私は急激に吹き出る汗を気にしながら・・・桂子に尋ねます。(桂子はなにをどこまで知ってるんだ?)「だって・・・・車のナンバーがこの車のものなんだもの・・・・ああ・・ちょうどこの時間・・・ラジオでニュースやってるわ?」そういうと桂子はラジオのスイッチを押したのです。「この時間のニュースです・・・・今日午前11時半ごろ、H市の喫茶店Mで無銭飲食した男が、問い詰められて逆上・・・その場に居合わせたH市の会社員”鍬竹政典”さん一家の長女真奈美ちゃん2歳を人質に取り・・・助け出そうとした父親の政典さんをてに持った凶器で刺して逃亡しました。政典さんはすぐに救急車でH市市民病院に運ばれましたが出血多量で既に死亡しておりました。犯人はその後自分で運転してきたと思われる”赤い乗用車”に乗って真奈美ちゃんを人質に逃亡を図りましたが・・・・真奈美ちゃんが足手まといになったと見え・・・その後すぐに真奈美ちゃんを近くの林道に置き去りにして・・・今も逃亡を続けています。真奈美ちゃんに外傷はありませんが・・・目の前で父親が刺殺されたショックから、今病院で検査を受けています。警察では緊急配備を敷き・・・この赤い乗用車の行方を探しています。」やっぱり夢ではなく、現実だったのか・・・・「今のニュースの犯人って・・・あなたなんでしょ?」「赤い乗用車なんていくらでも走ってるよ・・・俺じゃないよ」ラジオはもうひとつ違うニュースを読んでいましたが・・・・「たった今入りましたニュースです。・・・・・先ほどお伝えしましたH市での誘拐および殺人事件の犯人と関係のあったと思われる女性の遺体が・・・先ほどその女性のアパートから発見されました。・・・・犯人の名前等・・・まだ不明ですがその女性のアパートから発見された指紋と、父親を刺殺したと思われる凶器から発見された指紋が一致したようです。・・・」桂子はあきれたように私の顔を見ていましたが、落ち着いた声で・・・・「あら・・・あなた今日だけで2件も事件を起こしていたの?」「俺じゃないってば!」私は自分でも信じられないような大声で怒鳴っていました。「さっき、あたしが見たテレビのニュースではねえ・・・・喫茶店の従業員がねえ・・・車のナンバーをはっきり見たといってたわ?・・・・そのナンバーがこの車と一緒だったの・・・なぜかなあ?」「嘘だ!・・・・ほんとならもう警察がナンバーから持ち主を洗い出して・・・お前のところに来てるはずだ!」「あら・・・ほんと、そうだよねえ・・・・フフフフフ・・・・」桂子は地獄の底から響いてくるような声で笑いました。「そういえばニュースでは続きを話してたわ・・・・しかし、その車のナンバーに該当する赤い乗用車は・・・昨年、交通事故を起こし、廃車処分されております・・・っていってたわよ?」この車が廃車処分?・・・・どういうことなんだ?その時後部座席から声がしました。「ねえ・・パパ・・・・みんなで一緒にドライブしようよ」それはさっき山中で置き去りにしてきた、あの女の子の声です。私はルームミラーを覗き込みましたが、誰も姿が見えません。「ほら・・・あたし達2人の子供が呼んでいるわよ・・・」私は恐怖で頭が真っ白になり、ハンドルから手を離してしまったのです!「ママ・・・パパが驚いてるよ・・・ちゃんとお話ししてあげなよ」今にもキャッキャッと笑い声を上げそうな・・楽しそうな声で幼い少女は桂子に話します。「そうねえ・・・・どこから話そうかしら?」桂子は私の顔を下から見上げるようにして話し始めたのです。 つづく
2007.08.29
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今日も暑いですねえ・・・この「下北半島」は、夏のお祭り・・・つまり8月20日前後から涼しくなるんですよ。酷いときは暖房器具がないといられないくらいなんですけど、・・・・今年は異常気象ですよ。おっと、業務連絡・・・・「魔法の木」の「マスター」さんへ・・・・11月、宴会の二次会をお宅の店でやるとしたら・・・15人入れますか? 「もう死ぬしかない・・・・車ごと海に突っ込もう」そう思った私ですが、なかなか踏ん切りがつきませんでした。まだ22歳の大学4年生・・・・この世に未練がたっぷりあります。「俺・・・まだ夢を見てるんだ」独り言のようにつぶやき・・・・真奈美が殺されていた事件から今までのことが・・・・全て夢のような気もします。「きっとそうだよ!」今は、人質にしていた幼い少女も車から降ろしてしまいました。だから助手席にも誰もいません。さっきまでそこにいたことも夢のような気がしました。「そうだよ・・・・知ってる顔が3人出てきたんだ・・・夢じゃなきゃありえない」私は無理やりにでも夢にしてしまいたかったのです。そして車をまた駐車させました。ちょうど大きな川を越え・・・そこに河川敷が広がっていて・・・・ジョギングしたり散歩している人の姿も見えます。そこへ車を停め・・・私はシートを倒して寝たのです。寝たと言うのは正確ではありません。「今までのことが夢でありますように・・・・目が覚めたら悪夢も終わっていますように・・・」そんな願いを込めてギューッと目を閉じていたのです。そして・・・・数字を1から数え始めました。そんなことで悪夢が消えるなら・・・・・しかし信じられないことに・・・私はそれだけで眠ってしまったのです。それも完全に熟睡をして・・・・・目が覚めたとき・・・・それは、きっと車の窓を叩かれて起きたのだと思いますが・・・野球のユニフォームを着た少年の顔が見えました。「おじさん・・・この河川敷・・・俺たちの野球の練習場なんだよ・・・・この車どけてくれないかなあ・・・」起き上がってみると同じユニフォームを着ている子が数人・・・キャッチボールをしていました。「ああ・・・ごめんごめん・・・・眠くってよ・・・・ついここに車を停めて寝てしまったんだ・・・今すぐどけるから」いつもの私なら、無視するか怒鳴りつけるか・・・・しかし、今の私には様々な事件が夢なのか現実なのか・・・・まったく判断できない状態でしたので、少しの騒ぎも起こしたくなく、おとなしく引き下がったのです。時計を見ると4時をちょっと廻っていました。「桂子との約束の時間だ」私は、ユックリ車をスタートさせました。最初桂子を降ろした場所に到着したのは、5時10分ほど前・・・・・しかし、このとき・・・・奇妙なことに気がついたのです。学校の近くなのに・・・・子供が一人も歩いていない・・・・・そういえば今朝、桂子を降ろしたときも・・・・いくら早朝とはいえ・・・・小学生は一人も歩いていませんでした。「なんでだ?・・・・これくらいの時間ならまだ、子供達だって全員は帰宅してないだろう?・・・・あ!」私は気がついたのです。「夏休み・・・・・」そうなんです。この猛暑の中・・・・学校は夏休みにはいっていました。教師である桂子は、公務員ですから子供達が夏休みだといっても、いちおう社会人として学校に出勤しなければなりませんが、ふだんと違い、8時までに学校につけばいいはず・・・・あんなに早く学校に行く必要はないはずなんです。終わりの時間にしても・・・・・特に忙しいわけでもなければ、早く帰ることも可能です。それは学校教師同士の暗黙の了解だと聞いたことがありました。「じゃあ・・・なぜ今日はあの時間に出勤したんだ?」どちらにしろまもなく、桂子はここに来るはずです。あ・・・電話が来てお出かけ・・・スマン
2007.08.28
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今日は地元コミュニティFM放送「取締役会お呼び総会」がありました。景気は悪いのですが、市町村合併によりエリアが広くなったので・・・・むつ市のためのコミュニティFM局としては設備を拡充して、何とかエリア内受信率をアップしたいのです。そのための費用はやむをえないとしても、役員としてはもう少し安くできないものかと・・・・どなたかうちの局・・・「FMアジュール」に広告出してくれませんか? 私はとうとう「傷害事件」を起こしてしまいました。いや・・・もしかしたらあのまま死んでしまったかもしれない・・・・私は今、自分自身のおかれた状況に・・・ドンと落ち込んでいました。最初、「ガールフレンドの真奈美」が殺された事件に関しては、直接自分が手を下したわけでもなく、私は「死体を発見」したのに警察への通報をしていなかったことだけの罪に問われるだけなんです。それなのに今は、「無銭飲食」のうえ、それで警察に突き出されると、「真奈美の殺人犯」としての濡れ衣を着せられる・・・・それが嫌で・・・幼い子供を人質として「誘拐」!・・・・最後にはその子供を助けようとした父親を「殺人」・・・・最悪のパターンになってしまいました。「なぜこんな事になってしまったんだ?・・・」私は助手席で恐怖に震えている「幼い真奈美ちゃん」を見ながら、どうすればいいのか必死に考えていました。まもなくたくさんのパトカーが、私を追っかけてくるはずです。ナンバープレートもしっかり覚えられたはずだし・・・・逃げ道はふさがれているように思いました。これ以上どうしようもない・・・・・「自首するしかないかな?・・・・」そう考えた私でしたが、もともと気の弱い男です。すぐにその考えを撤回しました。真奈美の件は濡れ衣だとしても、証拠がない以上・・・殺人犯にされかねない・・・・そうなれば2人以上殺したことになり・・・裁判にでもなれば「死刑」を言い渡されるに決まってる・・・・とくに、この幼子を誘拐したとなれば・・・・「そうだ・・・誘拐だけでもなくさなければ」そう考えた私は車をいったん停止させ・・・・その場に、その幼い子供をおろしたのです。周りに人家なんかありません・・・・しかし・・・今通り過ぎてきたところに一軒だけ農家がありました。「おい・・・いいか・・・ここから今来た道を戻れば・・・ちょっといったところに家がある・・・そこに行って助けてくださいって言うんだぞ・・・いいな?」そう言うと私は、その子を置き去りにして車を出したのです。その子は助けを求めに走り出しもせず・・・呆然と私の車を見送っているのが、ルームミラーに確認できました。しかし、やがてその姿も見えなくなり・・・・・なぜかほっとしたのです。でもまだどこにどう逃げればいいのか・・・・私は悩んでいました。逃げるといっても限界があることは承知していました。「このまま死んでしまおう」このままどこかの断崖絶壁に行き、車ごと飛び込んでしまえば・・・・そんなことまで考えました。・・・あらら・・・眠いなあ・・・つづく
2007.08.27
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「吉幾三チャリティコンサート」も無事終わったことで、何とか通常の生活に戻れそうです。先日は、深夜に「暑い・・・」の続きを書こうと思ったんですけどね。「メンテナンス」の時間にかかっちゃって・・・書けなかったんですよ。昨日は朝からずっと「吉幾三コンサート」にかかりっきりで・・・終わってからも反省会なんぞがあって・・・帰ったのが一時半・・・酔っ払ってるから・・・続きは書けなかったんですけど・・・・おっと。。。大事な話があったんだ。ちょっと字を大きくしますね。私はMSN9プレミアムの会員を辞めました。これは有料サービスの部分が高すぎるから辞めたんですけど・・・いまさらアドレス変更もできませんからそのまま無料に移行して使用します。で、もしかしたら・・・・ここに入れなくなる可能性もありますから・・・その場合・・・同じ楽天ブログで違うところに作ります。その時は皆さん探してくださいね。ってまったくの素人なんでどうすればいいのかわかりませんがヨロシク!じゃあ・・・続きを書きます。 「そんなこといって・・・あんた食い逃げするつもりなんだろう?」意地悪そうなウェートレスの言葉・・・・「いや、そんなつもりはないんです・・・・ほんとに財布忘れて・・・・そうだ!・・車の中に金が置いてあるかもしれない・・・ちょっと確かめさせてくれませんか?」「そんなこと言って・・・・車のところまで言ったらそのまま逃げ出す気でしょ?・・・あんたそんな顔してるよ!」自分だって人間よりブルドッグに近い顔をしているのに・・・と半分、口から出掛かりましたがぐっと飲み込みました。実際、車は桂子のもので、車の中に金を置いてあるかどうかもわかりません。でも、もしかしたらあの桂子のことだから、ダッシュボードの中にでも急に金が必要になったときのために1000円か2000円ぐらい置いてあるような気がしました。「とにかく・・・・信用はできないんだから・・・親戚からでも金を持って来てくれるように頼みなさいよ」あくまでも私のことを「食い逃げ犯」にしたいようです。このとき、奥のテーブルに座っていた「3人の家族」は、ウェートレスと私のやり取りを興味深げに見ていました。そう・・・あの3人家族・・・・死神に良く似た赤ら顔の父親・・・死んだと思っていた真奈美にそっくりな母親・・・・そして「賽の河原」で石を積み上げていた女の子にそっくりな・・・死神が「私と桂子の間にできた水子」だと言った少女・・・・・その3人が・・・じっと見ていたのです。そして・・・その3人のうちのひとり・・・その小さな女の子が・・・私の足元にチョロチョロと近づいてきたのです。「ねぇ・・・パパ」その子は私のズボンをつかみ・・・・私に話し掛けました。それはあの夢の中・・・「賽の河原」で私に語りかけてきたときそのままの姿でした。その情景を思い出す私・・・・この後きっとこの子は、私の足をよじ登ってくる・・・そう感じた私は恐ろしくなり、思わずその子の両肩をがっしりと掴んでしまいました。そう・・・よじ登られることが恐怖で・・・それを避けよう・・・引き剥がそうとしたのですが、父親の「赤ら顔の男」はあわてたのです。「放せ・・・・うちの子から手を離せ!・・・・なあ放してくれ?」最初は脅すように・・・そして最後は哀願するように・・・近づいてきたのです。(この死神に襲われる!)私の恐怖は急激に増大しました。そして・・・あろうことか私は・・・自分が座っていたテーブルにまだ置かれていた「サラダ用のフォーク」を右手に握り締めていたのです。ぴたっと歩みを止める「死神」私はその「フォークの刃先」を、目の前にいる女の子の首筋に当てたのです。「近寄るな・・・・これ以上近寄ったら・・・」殺すぞ・・・・と言いかけて・・・私は言葉を飲み込みました。(俺はなにをやってるんだ?!・・・・たかがサラダとコーラの代金850円じゃないか・・・・)850円のために私はなにをしようとしているんだ?その時、女の子は突然叫んだのです。「パパ・・・・助けて!!」それはあきらかに「赤ら顔の男」に向けて発せられた言葉でしたが・・・・でもさっき・・・この子は私の足元に来て・・・私のことを「パパ」と呼んだような気がしました。(なんだ・・・どういうことなんだ?)私は混乱していました。「真奈美・・・静かにしてなさい・・・・パパがこのおじさんにお願いするから・・・・だから静かにしてるんだよ」赤ら顔の男が娘にそう話したのです。「真奈美?・・・・この女の子の名前が真奈美?」混乱した私の頭脳ではまったく理解できない状況がドンドン進行していくのです。私は興奮状態のピークにありました。そして、そのこを左手で抱きかかえてしまったのです。もちろん彼女の首筋に「フォークの刃先」を当てたまま・・・・・「真奈美!!」赤ら顔の男の背中から、私自身が「真奈美」と呼んでいる女とそっくりな母親が、その子を呼んでいるのをなんとも奇妙に思いました。「あんた・・・・もういいから・・・850円なんてもういいから!」ウェートレスも叫びます。奥からコック姿の男も飛び出してきましたが・・・・彼らの目には私がどう写っていたのでしょうか?「おい・・・興奮するな・・・・わかったから・・・な?・・・その子から手を離して・・・落ち着いて話し合おう・・」しかし、この時点で私は「子供を人質」にした誘拐犯です。何でこうなってしまったのか・・・私自身が理解できません。興奮状態にある自分と、冷静な判断ができている自分が交錯していました。男性の応援が増えたので強気になったのでしょうか?赤ら顔の男は、じりっと私に詰め寄ってきました。それに呼応するように・・・コックも私に近づいてきたのです。いまさら「ごめんなさい」と言っても遅いような気がします。私も彼らが近づくぶん後ずさりします。私は後ずさりしながら、外に出て車のそばに行きました。ロックはしていないはずです。運転席側のドアをあけるとき、一瞬「フォーク」を下ろしました。その時です!赤ら顔の父親は、「ここを逃せばチャンスはない」とでも思ったのでしょうか・・・・私の隙を狙って飛び掛ってきました。しかし、タイミングが悪いというか・・・・ドアを開け元のようにその小さな子の首筋に「フォーク」を戻そうとしたとき飛び掛られたものですから、私も思わず右腕を父親にまっすぐ伸ばしてしまったのです。もちろんその伸ばした手にはフォークが握られており・・・・運悪くその父親の腹部に、フォークが突き刺さりました。これが秋口・・・もう厚着をしていた時期なら突き刺さることもなかったと思いますが・・・あいにく猛暑の中・・・薄く真っ白なポロシャツを来ていた父親・・・腹部にフォークをつきたてたままうずくまってしまいました。そしてその傷口からじわじわと真っ赤な血の色が広がっていったのです。私はどうしようもなく・・・・そのまま車にその小さな子を放り投げ、運転席に乗り込むと車を急発進させたのです。ルームミラーからその現場を覗くと・・・その男の妻や喫茶店の従業員が集まり、赤ら顔の男を遠巻きにして見ていました。しかし、その男はうずくまったまま、まったく動かないのです。私はそのまままた・・・・あてもなく逃げ出したのです。 つづく
2007.08.27
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先ずはじめに業務連絡・・・・のりちゃんとこの娘の「まいこちゃん」・・・・・「えんがわ」が欲しいんだって?おじさんの会社は「建築工事」もしてるから、「縁側」ならすぐ作れるよ。え・・・違うの?・・・・「平目」か・・・・・それなら、あなたの空いてるひにちと時間教えてください。いつでもいいけどね・・・・お母さんはおいて行こうね。おじさんの会社は「お母さんが」知ってるからすぐ電話ちょうだい。ところでブログのほうですけどね・・・・・昨日続きをちゃんと書いたんですよ・・・・・・そしたらね・・・・「メンテナンス」だって・・・・全部消えちゃったんですよ・・・・疲れちゃった。でも全部覚えてるからね・・・・明日は書くから・・・・・もうひとつ・・・「吉幾三チャリティコンサート」大成功でした。「吉幾三」も乗っちゃって・・・・二時間も歌い続けていましたよ。10月・・・・今日お世話になったからって・・・・10月に我々だけでゴルフコンペと泊りがけの宴会を持ってくれるそうです。でも・・・・来月・・・・・全国ツアーが始まるはずなんだけど・・・・大丈夫かな・・・・という事で今日は・・・おじさん寝ます・・・・まい子ちゃん、約束だからね・・・・ほんとあなたの都合のいい時間でいいよ。おじさん56歳・・・・あなたは22歳だっけ?いいよね・・・「愛」があれば年の差なんて・・・・・じゃあ連絡待ってるから!
2007.08.26
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昨日のみこし祭り反省会に引き続き・・・今日は「中学校同期会の反省会」先日15日の行われた同期会には70名の同期の人たちが集まったんですよね。330名のうちの70名ですから20パーセント強の出席率。5年に一度で今年が5回目なんですよ。この次は、定年を越え、年金ももらえてない時期ですから・・・・会費の問題とかけっこうたいへんになるんですよ。6回目・・・無事できるかな? 「地獄を見る」という夢を見た私は・・あまりぱっとしない気分のまま、桂子の学校方面に車を走らせました。カーラジオはつけっぱなしのままで・・・・真奈美のニュースが入るのではないかと気にしながら運転していたのです。しかし、あまりにも気分がよくないので、私は途中の喫茶店で休憩をすることにしました。そこは、喫茶店より「大衆食堂」といった雰囲気でしたが・・・「何かジュース類があるだろう」と思い入ったのです。案の定・・・メニューは「ラーメン」とか「カツ丼」といったようなものばかりでしたが、昼食もとっていませんでしたから、食事をすることにしたのです。しかし食べたいものがありません。暑いせいか食欲もあまりなく・・・・「サラダ」だけを注文します。(肉類の大好きな俺が、いくら暑いといったってサラダだけ・・・)自分でも変な気分でしたが、サラダとコーラを注文しました。注文したものが運ばれてくる間、私は20インチほどのテレビの画面を見つめていました。もしかしたら真奈美の事件のニュースが入る・・・しかし、ずっと見ていてもそんなニュースは入りません。やはり、真奈美の事も夢だったのでしょうか?そんなときです。親子の3人連れが店の中に入ってきたのです。私はハッとしました。なぜならその亭主らしき人物は、あの河原にいた赤ら顔の死神・・・・そして母親は真奈美だったのです。「他人の空似か・・・」私は無理にでもそう考えてやり過ごそうと思っていました。その家族は私のすぐそばを通り過ぎましたが、まるで私のことを知らないそぶり・・・・「やはり他人のそら似」だったか・・・ほっとして、その一人娘の顔を見ると・・・・・さっきの夢の中で、賽の河原で私のために石を積んでいたあの子です。こんな事ってありえるのでしょうか?あの赤ら顔の死神と、真奈美・・・そして賽の河原で石を積んでいた少女が・・・・まったく私と関わりのないところで、偶然3人一緒に出会う。「これも夢になか?」私はつぶやいていました。「はい、お待ちどうさま」食堂の愛想の悪いウェートレスが、テーブルの上にサラダの入った器をドンと置きます。しかし、3人の家族連れにあったことが少なからずショックで・・・食欲も失せ・・・・「アア・・・もういいやコーラだけ貰うから・・・これ下げてください。」「食べないんならそこへおいといて・・・・あとで片付けるから」私はコーラだけ飲んで、その場を立つことにしました。「いくら?」「えっとね・・・サラダは食べてないけど料金はいただくからね・・・併せて850円」注文をして食べないのは私の責任だから当たり前だと思いながら、私は尻ポケットの財布を出そうとしました。「あ・・・ない・・・・」財布を忘れてきてしまったのでしょうか?財布を捜し、あちこちのポケットをまさぐりながら・・・・実は夕べ・・・財布を持たないまま深夜の公園に行き・・・そこで桂子と会ってそのまま・・・私は桂子の家に泊まってしまったことを思い出しました。「すみません・・・・財布を持たないまま家を出てきてしまったようなんです・・・・」「そんなこといって・・・あんた食い逃げするつもりなんだろう?」愛想の悪いウェートレスが犯罪者を見る目で私を睨み付けます。 あ、ごめん・・・子供が仲間を連れてきてうるさくなってきた。深夜に続きます。
2007.08.25
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昨日は5学年の「神輿祭り反省会」に参加してきましたが、盛り上がりましたね。再来年の、卒業式後の「謝恩会」の「イヴェント」まで話しがおよび・・・学年部長が肉牛を育てているので「牛一頭丸焼き」とか・・・好き勝手に申しておりました。でもね・・・・冗談で言ってることが実現しちゃう・・・って良くあることで・・・・だから、再来年は「牛肉食べ放題」になるかも・・・・・ 太陽が身を焦がすほどの炎天下の中・・・その地獄絵図は営々と繰り広げられていました。のどが渇いているのでしょうか・・・・たくさんの亡者がのどをかきむしっていると・・・突然そこに水溜りができるのです。その水溜りにみんな群がってきて、争いながら水をを求めるのですが、その瞬間に水溜りは干上がってしまうのです。もちろんきれいな水ではありません・・・・「泥水」というよりも「腐った水」というようなものです。ほかにもありましたが・・・・私の目の届く限りのあちこちで・・・・様々な地獄模様となっているのです。私はその光景を瞬きもせず見ていました。「どうだい・・・・お前がもし悪さを続けるようなことがあれば・・・・きっとここへやってくることになるんだ。」死神は諭すように私に言いましたが、私はもはや返事ひとつ出来ませんでした。「さあ。。。それでは元の世界に戻してやろうかのう・・・・」死神がそういうと、サッと一陣の風が吹き、いつのまにか元いた河原へ・・・・そこでは、白い経帷子を着た亡者が、川の中にでている岩の上をぴょんぴょん飛びながら対岸へ渡っている姿が見えました。「これが生まれ変わりの飛び石だ」つまり・・・あの世から現世へ生まれ変わるための飛び石になっているのだそうで・・・・向こうについた瞬間その亡者の姿は消える・・・いや消えるというのは正確ではありません。なぜなら飛び石をひとつ進むとき・・・少しずつ身体が小さくなっていくのです。小さくなり、子供の姿になっていく・・・・そして対岸に着くときには赤ちゃんぐらいの大きさになっていって・・・・そして・・・対岸に着くときっと生まれ変わっていくのでしょう。「飛び石が何列にもなっておるじゃろ?・・・あれで生まれ変わる場所が変わるのじゃ・・・・ほれ・・・今対岸に着きそうになっている亡者・・・あれはアフリカに生まれ変わるようじゃな・・・次に右側のほうで到着しそうなのは中国・・・・その次はあれは韓国に生まれ変わるようじゃ」対岸に到着して姿が消える・・・私にはシャボン玉が割れて消えるようなものに感じました。「人生なんぞ・・・シャボン玉のようにはかないものじゃ」私の心を読んだのか、死神がそうつぶやきました。「さあ・・・お前もその飛び石を渡ってもとの世界に帰るがよい・・」死神にうながされましたが、この飛び石を渡っていくと・・・私は赤ん坊として生まれ変わるのでしょうか?「イヤイヤ・・・お前の場合は死んでここにきたわけではない・・・だから川に落ちなければ元の自分に戻ることができるはずじゃ」「川に落ちれば?」「一度落ちた者は二度と向こうの世界には戻れない」私は身震いしました。「だから慎重に渡るのじゃぞ・・・それ」私は死神の合図でその飛び石を渡り始めました。まもなく対岸に着く・・・そう思った瞬間・・・私はあまりにも慎重すぎたのでしょう・・・・後ろから追いかけてきた亡者のひとりに追いつかれ・・・背中を押されてしまったのです。「あっ!危ない・・落ちる!」そう思った瞬間意識を失いました。川に落ちてしまったのでしょうか?・・・・気が付くまでずいぶん長い時間かかったような気がしました。私は・・・・・いつの間に眠ったのでしょうか?気がつくと桂子の車の中で眠ってしまっていたようです。車を停めた場所から見えるはずの「きこり小屋」も見えません。「夢だったのか・・・・・」車のエンジンも切ってしまっていて・・・・締め切った車の中にいたものですから、汗ビッショリ・・・川からたった今這い出てきたぐらい濡れていました。「本当に夢だったのか?」あらためて感じたくらいです。時計を見ると2時過ぎ・・・・真奈美の死体を見つけてからあわてて逃げ出してきて、どれくらいの距離を来たのでしょうか。そもそも死体を見つけたのも夢だったのではないか・・・そう思いました。車のエンジンをかけ・・・・ラジオのスイッチを捻ると・・・ちょうどニュースの時間・・・・しかし、真奈美の変死体が見つかったというニュースはやっていません。私は車を発進させ・・・・・道路を見つけると・・・・ここが桂子と別れた場所から40キロほど離れた場所であることに気づいたのです。「5時までだからまだ時間があるな・・・・」しかし、他のところへ行くつもりもなく・・・・私は桂子の学校のそばで時間をつぶそうと決め、車を走らせたのです。 つづく
2007.08.24
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今日は5学年父兄の・・・先日行われた「みこし祭り」の反省会。かなり酔いました。ふだん飲まない日本酒をしこたま飲んじゃったんです。だから、「暑い・・・」の続きを書こうと、ここに座りましたけど、おそらく今書くとシッチャカメッチャカになる予感がします。その辺をどうぞお楽しみください。 死神は・・・・「まもなく目的地に着くから・・・」そういって腰砕けになりそうな私を、追い立てました。「あの世」に来ただけでも、私にとっては充分にショックな出来事なのですが、これから何を見せようというのでしょうか?「さあ・・・あそこに山が見える・・・・あの山を登ってもらおうか」「あそこが最終の目的地なんですか?」「マア、そういうことだなあ」私はその山を登り始めました。どちらにしろ、最終目的地を見ないことには元の世界に戻ることができない・・・・頭の中で考えていました。山は・・・赤茶けた岩肌を見せ・・・ところどころ赤いシミが見えます。「あのシミは?」「お前のように生きたままここへ連れてこられ、この山を登って・・・最終目的地を見に来た者が流した血のあとだ。」「そんな人が多いんですか?」「さっきも言ったように、地獄というのはお前たちのいうところの刑務所だ。・・・しかし悪といっても、情状酌量の余地があるもの・・・・あるいはお前の子供・・・さっき、賽の河原にいた子供の事だが、お父さんお母さんを許してやってくださいと・・・被害者から嘆願されたものには”執行猶予刑”というものがあるんだ。・・・しかしそのまま見過ごしにしていてもそいつらは生きているうちに反省することはない・・・・そういった者には地獄の世界を見せて体験させて・・・・今後一切悪いことはしないと誓わせる・・・・・・そうすれば地獄に行かなくてすむんだ。・・・そんな制度がここにはあるんだよ。」「ということは、ここで悔い改めれば罪業消滅ということもあるんですか?」「アア・・・とりあえず地獄の光景を見てからだけどな」「それなら、地獄の光景を私にも見せてください」私はそれを見ることによって・・・・桂子をいじめた罪・・・水子を中絶させた罪が消滅するならば・・・我慢しようという気になっていました。「地獄の光景はこの山の向うに広がっている。・・・・今お前はこの山を登らなければならない」指差された岩山に・・・・私は登りはじめたのです。けっきょく私は「ロック・クライミング」をすることになるのですが・・・人間界のロック・クライミングと違って・・・・ザイルやカラビナ・・・ピッケルそんなものはありません。完全に自分の体力だけを頼りに、登山を開始したのです。「なあに・・・これくらいの山なら簡単に登れる」わたしはそう思っていたのです。そんなに高い山ではありません。登りはじめてどれくらいの時間がたったのでしょうか?まもなく頂上に着き・・・地獄の光景を見れば人間界に戻れる・・・私はそれしか考えていませんでした。しかし、そんなに簡単に頂上にたどり着く事はできませんでした。頂上に着く寸前・・・・なぜか山が「成長」したのです。まもなく到着というときに・・・・急に山が大きくなり・・・・まだまだ登らなくてはならなくなって・・・その疲労感たるや・・・とんでもないものとなりました。そしてまた・・・・山を登り始め・・・ああ、そろそろ頂上・・・と思うとまた山が大きくなる・・・・・そんなことの繰り返しが何度も何度もあったのです。「この苦しみが永遠に続くのか?」そう思い、途中で投げ出そうかと思いました。しかしそれではいつまでたっても人間界に戻れません。私はその「耐えられない苦しさ」を・・・ずっと耐えて登り続けたのです。まだまだ続くんだろうなあ・・・・また新たな山が出現するだろうなあ・・・次の山の頂上が見えると・・・私はそう思いました。しかしその時・・・・例の赤ら顔の死神が・・・頂上に立ったのです。「ようやく頂上にたどりついたな・・・・さあここが本当の頂上だ・・・・よく見るがよい」私は頂上に立ち・・・そこに広がる光景を目の当たりにしたのです。目の前に広がる「地獄の光景」・・・・・・・・「亡者」が叫ぶ・・・その断末魔の叫び!目や耳を覆いたくなるほどの残酷な刑罰・・・・筆舌につくし難いものがあったのです。今私が体験したような・・・永遠の山登りなど・・・かわいいものです。例えば永遠に八つ裂きにされる刑もありました。生身の身体を、鬼が引きちぎり・・・・八つ裂きにされた後またその身体は再生され・・・また鬼に引きちぎられるのです・こういう景色もありました。そこには人間の排泄物があちこちに散らばっているのですが・・・・亡者は空腹のせいか・・・その排泄物を食べるのです。そして・・・そのとき食べたものが排泄物となり・・・・それをまた食べるのです。それが永遠に続くようでした。火あぶりにされている亡者もいました。その亡者は体中焼けただれ・・・・肉のこげる匂いも蔓延するのですが・・・いつまでたっても、いったん死んだ人間ですから死ぬことすらできないのです。まだまだ続きます。・・・・・ と言いたいところですが・・・もうオネムになっちゃいました。だから続きます。
2007.08.23
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「吉幾三チャリティコンサート」のチケットの売れ行き状況は・・・・完売とは行きませんが、そこそこ売れてまして・・・・赤字にはならないそうです。安心しました。今回のショーは地方でのコンサートとしては異例で、新宿コマでのショーと同じ舞台装置まで持ち込んでのものとなります。違うのは「お芝居」がないだけ・・・・だからとっても「お得なコンサート」となっております。何しろカラオケじゃありませんからね・・・・フルバンドでのコンサートになるんです。来週の水曜日には「岸壁の母」を歌ってる・・・なんていいましたっけ・・・あのおばあちゃんの歌手のショーもあるんですけど、あちらはカラオケで歌って5000円。こちらは、フルバンドで大きな装置やバックダンサーまで連れてきて6500円・・・当日券・・・残りわずかです。って・・・宣伝かい! 赤ら顔の男に引きずられ、私は奥へ奥へと連れて行かれます。さっきまでうっそうと茂る森の中でしたが、いつのまにかあたりは赤い岩肌がむき出しになっている荒涼とした景色に変わっていました。(この男・・・・なんなんだろう?)私は引きずられながら考えていました。「お前の考えているのがよ~くわかるぞ・・・・答えてやろう・・・俺は死神だ」死神は、引きずっている私を見るでもなく・・・まっすぐ前を向いて歩きながらそう答えたのでした。「何で・・・俺はここに連れてこられたんだ?」精一杯の虚勢を張って、私は死神に尋ねました。「身に覚えがないか?」「ああ・・・・俺は確かに少しは悪かもしれない・・・・でも生きているうちにこんなところに連れて来られる覚えはない。」「おいおい、・・・お前が死んでいるならこんなところでウロウロなんかしてはいない・・・すぐにでも裁きを受け、極楽へ行くか地獄へ行くか決められるところだ」「ここは地獄ではないのか?」「まだ閻魔大王のお裁きも受けていないお前を、あんな恐ろしい地獄へなんか行かせられるものか・・・・」「じゃあなぜ・・・・・?」「その前にな・・・・こちらの世界のシステムを教えておこうか・・・・・さっき俺は地獄と極楽って言う話しをしたな?・・・・」「ああ、閻魔大王の捌きによって地獄へ行くか極楽へ行くか決められるって・・・」「広い意味じゃあ極楽も地獄も存在する」「広い意味?」「実は厳密には極楽世界は存在しない・・・・」「だって、いいことをした人は極楽・・・悪いことをした人は地獄だって・・・」「それはお前達が勝手に作り出した幻想だ」ここで初めて死神は、私の顔を見て話し始めた。「考えても見ろ・・・・人間を作り出した物はだれだ・・・・?」「そりゃ・・・・神様が作り出したんだろ?」「しかるにお前達は、神の存在を誤解しておる・・・・神という物は姿形のないもの・・・お前達の心の中が作り出したもの・・・・そう思うておるじゃろ?」「そりゃそうだ・・・」「その考えで行くならば・・・・・お前達の考え方しだいで・・・・この世界・・・地獄極楽も消滅してしまう。」私は混乱していました。「おかしいじゃろ?・・・・作り出したものが作られたものによって存在を否定される・・・・そんなことがあるわけがない・・・・」「でも神の存在自体人間が作り出したものなら・・・」「さっきお前も申しておったじゃろ・・・・人間は神が作り出したものじゃ」死神は少し怖い顔になって私に言いました。私はこの状況から逃げ出したくて話しを続けます。「それで、さっき言っていた厳密には極楽はないというのは?」「ああ・・・その話しだったな・・・・実は地獄というのはお前達で言うところの刑務所のようなところでな・・・悪いことをして刑の決まったものが地獄へ行く。・・・そしてそうでない者はすぐにお前達の世界に戻すのじゃ・・・」「ということは、死んでもすぐに元の人間に戻れるんですね?」「バランスというものがあるから、日本人じゃった者が日本人に戻れるとは限らんのじゃが・・・・人間には戻れる。」「じゃあ俺も人間に戻してください」「まあ待て待て・・・・もう少し続きはあるんじゃ・・・・・地獄へ行かない者は人間の世界に戻れると申したがな・・・・本当にまっすぐな人間に関しては人間に戻れないこともある・・・・それは閻魔大王が極楽行きを宣した場合じゃ・・・」「極楽って言うのは人間界じゃないんですか?」「そうではなく性格人格が神に近づいた物は、神として極楽浄土に連れて行かれる。・・・・・これが実はこの地球上にはないのじゃよ」「それってどこにあるんですか?」「遠い宇宙の果て・・・としか言うことはできんなあ」そういうと、死神は太陽の照りつける空をまぶしげに見上げるのでした。 といいつつここで続く・・・になるんですが「怪談風」と言っておきながら、またしても「SFチック」になってきました。・・・・「ごめんね?・・・愛してるから許して?」と申し上げつつ・・・つづく
2007.08.23
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今日は何かと忙しい・・・夜は「吉下北幾三会」の最終打ちあわせ。でも明日のほうがもっと忙しいんです。それも午後から・・・・16時に「むつ商工会議所」主催の「産業祭り実行委員会」私は「建設業部会」の代表なんですけど・・・公共工事主体の我が社にとっては、「産業祭り」に参加する意味がないと思いませんか?まあ・・・「ご指名」ですから行きますけど・・・・・で問題は18時30分・・・・2つの飲み会が重なっちゃった。片方は、先日行われた「中学校の同期会反省会」70人の参加者でしたが決算報告があって・・・・もしお金が残っていれば「中学校六十周年」のほうに寄付しようという考えです。こちらの会長は私ですから行かなければなりません。もう一件は、「神輿祭り」参加の父兄達の反省会。こちらは5学年が行った事業なんですけど、私はPTA会長として呼ばれました。確かに、書類等では私が実行委員会の委員長になってるんですけどね・・・・こちらは学年部長がいればいいんじゃないかと・・・・でも、どうせ出席するならね・・・・同期会の「同級生」の女性達より、PTAのお母さん達のほうが若いから・・・・おいおい、会長!・・・不謹慎ですぞ!どちらにしても既婚者達の集まりでした。 川の流れに逆らって上る船・・・・・それには白い着物のようなものを着た乗客が10人ほど・・・・それも着こなしが少し変なのです。いつのまにか隣に立っていた「きこり小屋」の赤ら顔の男は、私にこう言ったのです。「こんな光景は見たことないだろう?」「そうですね・・・みんな同じような着物を着て・・・・船に乗ってるのって見たことないです。。。。なんかの宗教団体ですか?」「まあそんなところだが・・・・それよりも川の流れに逆らってる船を見てどう思う?」「そういえば・・・これってエンジンでもついてるんですか?・・・・それにしては操縦している人が見えないし・・・」「エンジンなんかついとりゃせんよ・・・・」「じゃあどうやって・・・?」「ほら・・・ろが動いておるじゃろう・・・」確かに船頭もいないのに、櫓だけがひとりでに動いています。「こりゃな・・・・あの世から引っ張ってるんじゃ」一瞬・・・「あの世」とは「どの世」だろうと考えてしまいました。「あの乗客たちが着ている白い着物は、経帷子・・・つまり死んだ人が着る着物じゃよ・・・・お前さんが変だと思うのも当たり前、着物のあわせが左右逆になっておるからな。。。。」確かに着物を左右逆に着て、右側が前に着ています。「つまり・・・あのものたちが亡者で・・・あの船が三途の川の渡し舟・・・お前さんが足を浸しておる川が・・・三途の川なんじゃよ・・・イヒヒヒヒヒ ・・・」その男は引きつるような笑い方をしたのでした。私は身動きひとつできなかったのです。ちょうど眼の前を通った船には・・・そのよどんだ目をした死人の中に、確かに真奈美が混じっていました。「お前も一緒に行くがいい!」背中を押され・・・・私はそのまま川の中へ倒れこみます。浅瀬・・・そう思っていたのでしたが、私が倒れこんだところは意外と深く・・・私はしこたま水を飲み込んでしまいました。しかも・・・・泳ぎが達者な私が・・・・いくら洋服を着ているとはいえ・・・おぼれかかっているのです。「たす・・・助けてくれ・・・・」もがく私に手を差し伸べた・・・その手は船に乗っていた真奈美でした。「ひとりじゃさびしいヨ・・・・・・いっしょにいこうよ・・・・・」ユックリとした口調で・・それでもはっきりとそう言うのです。私はその真奈美の手をなんとかして振りほどこうとしましたが・・・・思った以上に強い力で握り締められていました。「駄目だ・・・連れて行かれる!」そう思った瞬間・・・・その手が急に軽くなり・・・・また水底深く身体が沈みます。また水面に出ようともがくと・・・「やっぱり一緒に行ってくれるかい」真奈美の声が恐ろしく響くのです。その繰り返しを数度・・・・・もう疲れきって・・・・あきらめかけたとき・・・・・水底に足が届いたのです。私はあわてて川から出ようと歩を進めました。岸にたどり着き・・・私は肩で呼吸をしながら・・あの真奈美たちの乗った船を捜しました。しかし・・・どこへ行ってしまったのか・・・・影も見えなかったのです。対岸には・・・先ほどまで私が休んでいた「きこり小屋」が見えます。「お前さんは川を横断したんじゃよ・・・・・」その声に振り向くと・・・そこには先ほどの赤ら顔の男が立っていました。「何てことするんだ!」私は背中を押され川の中でおぼれかけたことに腹を立てていました。「そう怒るな・・・・・その代わりお前さんは生きたまま・・・渡し舟にも乗らずに彼の岸まで来れたじゃないか・・・・」「彼の岸?」「お前さんたち生きてる人間にとっちゃ・・・こちらの岸のことを”彼岸”というじゃろう?」「ということは・・・・・俺がいまいるところは・・・・あの世・・・」「そういうことじゃな」赤ら顔の男はにやっと笑いました。「冗談じゃない・・・・死んでもいないのに連れて来られてたまるか!」「そういうな・・・こんな機会はまたとないぞ・・・ユックリあの世見物していけばいい」そう言うと、座り込んでいる私の襟首を掴み、引っ張りあげたのです。すごい力でした。「とりあえず・・・ここから案内しておこうか・・・・子供達が石を積み上げておるじゃろ?・・・ひとつ積んでは父のため・・・・2つ積んでは母のため・・・・そんな歌が聞こえてはきていないか?」その時「フェードイン」したような感じで、ボウーッとしていた映像がはっきりしてくるように・・・・・小さな子供達が・・・ひとつずつ石を積み上げている姿が浮かびはじめました。その子供達も・・・白い経帷子を着ているのですから、明らかになくなった子供達です。暗い目をしながら・・・・もくもくと石を積んでいます。しかしある程度、その石が積み上がると・・・誰かがその石の山を蹴飛ばしたように・・・崩れていきました。「鬼が壊して廻ってるんじゃよ・・・お前さんにはまだ見えんじゃろうがな・・・生きた人間には本当に恐ろしい姿じゃから見えないようにしておこうと思ってな・・・・それともお前さん・・・鬼の姿も見たいかい?・・イヒヒヒヒ」「そんな物は見たくない!」そう言い掛けたとき・・・・私のズボンの裾を引っ張るものがありました。そこには・・・・小さな子供が・・・私を見上げています。「ヒーーーッ」私は声にならない悲鳴を上げたようです。「お前さんの子供じゃよ・・・・・可愛らしい女の子じゃないか・・・・」「俺には子供なんて!・・」「そうかな?・・・・お前一昨年のことを忘れてはおらんかな?」一昨年・・・・そうか・・・私はその時、妊娠していた桂子に中絶をさせたのです。その時の子供・・・・・・「この子は一度も親と暮らしたことがない・・・・それでも、お前さんのため・・・母親のため・・・毎日こうして石を積み上げてやっておるんじゃ・・・・」その小さな子は・・・最初ズボンにかけていた手だけでなく、両手をがっしりと私の足にしがみつかせてきたのです。そして・・・・・「お父さん」・・・そうつぶやくと足をよじ登り始めました。私はあわてて、そのこを振り落とそうとするのですが・・・しっかり掴んだ手は徐々に力を強め・・・・だんだんと上にあがってきました。もうパニックになった私はそこにあった大きな石を掴むと・・・その子めがけ振り下ろしたのです。一瞬にして、その子の姿が消えました。「かわいそうじゃないか・・・・お前さんを慕って・・・抱いてもらおうと思ってよじ登ってくる子供を・・・石で殴り殺そうとするとはな・・・・おおそうじゃ・・・もう既に死んでおったんじゃな・・・イヒヒヒヒヒヒヒ・・・・」周りの景色も、元の河原に戻っていたのです。「さあ・・・あの世めぐりを続けようかのう・・・・」赤ら顔の男は・・・私の襟首を掴むと・・・もう力の入らない私の身体を引きずるようにして引っ張ったのです。 つづく
2007.08.22
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夕べは急な出張で帰りが遅くなりました。家についてパソコンの前に座っても、そのままコックリコックリ・・・居眠りをする始末。「お父さん・・・こんなとこで寝てると風邪ひくぞ」長男の優しい一言に目が覚めました。今日は銀行との掛け合いと、役所との打ち合わせ・・・・体力つけて頑張るぞ! どれくらい走り続けたのでしょうか・・・・いつのまにか私は見たこともない山の中のに車を停めていたのです。うっそうとした森の中の、ちょっとした広場・・・・まわりには何もありませんでした。カーラジオのニュースでは、真奈美の事件は報じられていません。「きちんとドアを閉めてきたからかな・・・・・」しかし、いつかは異様な匂いとともに、彼女の死体が発見され・・・・私の指紋もドアノブやいろいろなところからベタベタと発見されるでしょう。エンジンを止め・・・・私は運転席のリクライニングをしその場に横になりました。「俺、包丁には触ってなかったから・・・・そこから他の指紋が出れば問題ないんだろうな・・・・」なんて考えたり・・・・・「この赤い車だって俺のものではないし、誰にも会わなかったから疑われることはないかもしれない・・・・」などと思ったりもしました。そこへ、ドアウインドーを叩く音がしたのです。「おい・・・・こんなところでなにしてるんだ?」お寺のお坊さんが作業をするときに着る「作務衣」を着た赤ら顔の男が、窓から覗いていました。「い・・いや・・・ちょっと具合が悪くって・・・ちょ・・ちょっと休んでたんです。」どう見ても警察官ではないので、内心はホッとしたのですが、それでもしどろもどろの受け答えになりました。「この、クソ暑い中・・・車の窓を閉め切って・・・・ほら・・・汗ビッショリかいてるでねぇか・・・・ドアをあけたほうがええぞ」この汗が暑さのせいなのか・・・冷や汗なのか・・・・私は異常なほどの汗をかいていました。「おらの小屋さ来て・・・少し休んで行けばええがね」そういうと赤ら顔も男は返事も聞かずに歩いていきます。その先には・・・・まったく気がつきませんでしたが「きこり小屋」のような建物が・・・ひっそりと建っていました。私は車を降りてその男の後をふらふらとついて行きます。夕べのテレビのニュースでも「連日の猛暑が続いております」といっていた通り・・・山の奥とはいえ、ここでも30度はとうに越えているようでした。「さあ・・・中さ入れ・・・・」その男はドアを開けて私を小屋の中に招き入れます。中は意外と広く・・・・家具や家電もいちおう揃っていました。冷蔵庫から冷たい「麦茶」を取り出し、勧めてくれます。「暑さにやられただんべ・・・・それを飲んだら・・・このうらに川が流れてるだ・・・・そこで川風にあたり涼んでいけばええ・・・」うっそうと茂る森に気をとられ・・・川に気づかなかったのでしょう耳を澄ますとせせらぎの音が優しく響いていました。「ほれそっから出れば・・・すぐ川だ」男が指差す方向に裏口のドアがありました。私は茶碗をテーブルをおき・・・特に川を見る気もなかったのにそのドアを開けて外に出ます。サーッと気持ちの良い風が頬を撫でていきました。そこは上流から流れてきたのでしょう・・・・大きな石がごろごろと転がる河原でした。私は急に川の中に入りたくなり・・・・靴を脱いで水の中に足を沈めました。「冷たい・・・・」入ったとたんに、その冷たさがギリギリと足を冷やしてくれました。「フーッ」私はひとつため息をつき、まぶしすぎる太陽を見上げました。その時下流から、奇妙な音が聞こえてきたのです。「ギシッ・・・・ギシッ・・・」それはろをこぐ舟の音でした。ふと見るとそれは奇妙な服装の10人ほどの乗客・・・・真っ白な着物なのですが・・・・どこか変です。またろをこぐ音がするのに・・・・その船には船頭がいませんでした。「ギシッ・・・ギシッ・・・」という音だけが響き、その船は流れに逆らって下流から上流に向かって進んでいるのです。「こんな景色は見たことないじゃろう?」いつのまにか、赤ら顔の男は私の隣に立っていました。 ちょっとお出かけ・・・続く
2007.08.22
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「魔法の木」の続編が読みたいというご希望も多いようですが・・・でもねえ・・・「魔法使い ノブ」は、通風で長旅の冒険は無理なようですよ?マア・・・彼の身体がどうなってもいいというなら書きますけどねえ・・・・・その前に、このお話しを完結させて・・・そのあと一本書いてからでもいいですか? 桂子を車から降ろし・・・私は彼女を追い越してドライブを続けました。大学は「夏休み」なんですが、ある教授が特別授業という事で用意をし、「この夏休みの講義に出たら、試験の成績が悪くても考慮する」なんて言ったもんですから、本当は授業もあるんです。でも、桂子と再会したことで・・・・なんとなく講義にも行きたくなくなって・・・私は彼女の真っ赤なサニィを駆って、郊外にドライブに行く事にしたのです。普段車の運転をしませんから、道路をよく覚えていないのですが・・・標識を読むのは得意でした。私はそのまま「T山」方面に向かいます。「そうだ・・・・真奈美でもさそおうかな・・・・」最近知り合った女性で・・・・私は口説きまくっていたのですが・・・「車も持ってないの?」なんて言われて・・・・・どうやら贅沢好きの女のようですが、車さえあればどこにでも付いて来そうな雰囲気でした。「こんな朝早くから起きちゃいないだろう・・たたき起こしてドライブの相手をさせよう」私は真奈美の家に向かって方向転換したのです。前にちょっとだけ、彼女の家に行ったことがあり・・・・部屋には入れてもらえなかったけど、場所は覚えていました。「アア・・・ここだここだ」私は車を止め・・・彼女の住んでるアパートに行きました。桂子のアパートと違い・・・新築のアパートではないし、それほど高級な感じはしませんでしたが、外壁材の色だけはピンクというか薄紫というか・・・・真奈美らしいといえば真奈美らしい建物です。彼女の部屋は階段を上がってそのまま一番奥でした。「おい・・・真奈美ちゃん・・・起きてるか?」私はノックをしながら声をかけたのですが、返事がありません。「なんだよ・・・・車を持って来たんだぜ・・・・起きてドライブしようよ」数回、ノックを繰り返しましたが・・・・無言のままでした。「なんだよ・・・他の男と出かけて帰ってきてねぇのか?」私は腹立ち紛れに、ドアノブに手をかけたのです。「カチャ・・・」鍵はかかっていません。「なんだ・・・・夕べ酔っ払って帰って・・・鍵をかけ忘れたかな?」私はこっそり入って驚かそうと思いました。部屋に入ると・・・そこは桂子の部屋と違い、あちこちに洋服が脱ぎ散らかされており、それが赤やピンクのワンピースやミニスカートでなければ、だらしのない男子学生の部屋のようでもありました。玄関の上がりがまちには、真奈美のお気に入りの靴がやはりだらしなく脱がれていて、在宅していることは間違いありません。ベッドの布団が少し盛り上がっていました。「この暑いのに・・・布団を頭からかぶって寝たのかよ」私は思いっきり、その夏がけの布団をはぎました。そして一瞬で・・・私は凍りついたのです。死体・・・・・・そこにはネグリジェを胸までたくし上げられ・・・・下半身には下着もつけないままの死体・・・・しかも形のよい乳房の下には包丁を突き刺したままの、真奈美の死体が横たわっていたのです。「・・・・・・・・・・・」私は声も出せないまま後ずさりして・・・・・・玄関まで来るとあわてて振り向き、自分の靴を突っかけ、かかとを踏みつぶしたまま逃げ出したのです。そして車に飛び乗ると急発進させました。その時フロント部分をブロック塀にこすり付けてしまいましたが、私にはそれどころではなかったのです。どこをどう走ったのかよく覚えていません。気がつくと対向車線にパトカーが見えましたが、・・・このとき初めて「落ち着かなければ」・・・そう思ったのです。自分が殺ったわけではないけれど、真奈美の部屋を飛び出したときに誰かに見られたかもしれない。その前に「スピード違反」か何かで捕まったら・・・・指紋は残ったまま・・・赤い車の塗料もブロック塀についているはず・・・・・そんな状況が自分にとって不利だと思ったのです。「落ち着け・・・落ち着け・・・・自分が殺したんじゃないんだから捕まってもすぐにわかってもらえるはず・・・・」そうは思っても、こんなときは悪い方向にしか頭が行きません。「捕まっても申し開きはできるのか?」「死亡推定時刻って何時ごろなんだろう?」さまざまな思いが去来しました。対向車線のパトカーを運転していた警察官が、すれ違いざま・・・こちらを睨んでいたような気がしました。
2007.08.21
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島根県松江市から「暑中見舞い」(残暑見舞いかな?)のお葉書をいただきました。もちろん「魔法の木」のマスターからです。その葉書にはしっかりと、「猫背で姿勢の悪い伝説の魔法使い モルトス」の現在のお姿が写っていました。(話しがよくわからない方は私の以前書いた小説もどき、「魔法の木」を参照のこと)いまは姿もスッカリ変わり・・・「カトちゃん人形」のようになってお店のカウンターにいるそうです。もうひとりの「伝説の魔法使い ノブ」は、あの少年の面影はなく、このお店のマスターとして日夜、お客さんを煙に巻いているとうかがっていますが、最近では「通風」という悪魔に狙われ・・・・奥様(もちろん、あのお話に出てくる美人の元王女様)の献身的な看病に・・・回復しつつあるようです。悪魔に打ち勝て!・・・「伝説のウィザード ノブ!」(酒や食事に気をつけましょう) 明け方、私は桂子のベッドで目を覚ましました。朝食の準備がスッカリ出来上がり・・・桂子は出勤のための身支度を整えています。「もう出かけるのか?」「小学校の教師だもの・・・子供達より早く行かなくちゃね。」「俺・・・今日は大学・・・休むわ・・・疲れちゃったし・・・合鍵くれないかな?」「合鍵は今日中に作っておくわ・・・・それよりあなたも早く起きて」「俺、今日は休むってば・・・それより合鍵がないならお前の鍵を預けなよ・・・」「今日私の学校まで迎えに来てくれるんでしょ?・・・・それなら場所を知らなくちゃ困るから・・・送ってってよ」私は桂子に洋服を買わせることにしていましたから・・・・素直に従うことにしたのです。朝食を済ませ、後片付けもしないままあわただしく駐車場に向かいました。そこにはピカピカに磨きこまれた真っ赤なサニィがおいてありました。高級車ではないけれど、まだ新車のような輝きがあります。「へえ・・・けっこう丁寧に使ってるね・・・」私がその車をなでながら眺めていると・・・「もう出発しないと間に合わないから・・」桂子はそう言って助手席に乗り込みました。ガソリンは満タンに入ってるし、今日は絶好のドライブ日和・・・桂子を学校に降ろしたらその車でどこかに遊びに出かけようか・・・そんなことを考えながら運転していると、「今日は学校の前まで行かなくていいわ・・・・5時になったら同じところに迎えに来てくれればいいから」「学校の前まで送っていくよ・・・・別にいいだろ?」「独身の女性教諭が学校の前まで彼氏の車で載りつけたら、PTAの格好の餌食になるわ・・・少し手前で降ろしてちょうだい」なるほど・・・・社会人は社会人のモラルの範囲内でなければ行動できないんだな・・・私は心の中でそう思いました。私もどうやら今年で学生生活も終わり・・・・就職活動をして、どこかの会社にもぐりこめばそんな制約を受けることになる・・・あと半年はこの学生生活を楽しもう。そんなことも考えていました。「ア、その角でいいわ・・・ここから歩くから・・・・絶対5時までに迎えに来てね」「アア・・わかった・・・・5時前には来てる様にするよ」桂子は周りを見回し、まだ登校する子供が見えないことを確認してから車を降りたのです。(そこまで気にしなきゃいけないのか?・・・社会人はつまんねえなあ) おっと急な出張・・・続く
2007.08.21
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「吉幾三コンサート」のチケット・・・S席6500円を7枚・・・「売ってこい」って渡されました。昼夜二回のコンサートなんだけど、昼の部のチケットなんです。「コリャどうしようかな?」そう思っていたところに・・・・「あんた副会長なんだから・・・吉幾三のチケット5枚ほど譲ってくれないかなあ?」という電話。勿体をつけて・・・「これ・・・大事なお客様に頼まれてたんだけど・・・・あんたじゃしょうがない・・・・昼の部なんだけどいいかな?」そう言って売っちゃいました。あと二枚・・・・どなたか買ってくれません? 深夜の公園から歩くこと5分・・・・私のアパートとは反対方向になりますが、桂子のアパートに着いたんです。「へえ・・・わりかし良いところじゃないか・・・」南仏を思わせるようなたたずまいのアパートでした。二階建てのアパートは1階2部屋、そして2階も2部屋・・・計4部屋のアパート・・これだけのアパートならかなり家賃も高いものに違いありません。桂子の部屋は階段を上がって2階の奥の部屋・・・・ドアには可愛らしい木製の表札がかかっていたのですが、・・・これは私が「100円均一」のお店で見つけて買ってきたものでした。「この表札・・・・まだ使ってたのか・・・」「あなたがプレゼントしてくれたものを・・・簡単に捨てるはずないじゃないの・・・」私がプレゼントしたのは、あとにも先にもこれくらいのものでしょうか。部屋に入ると・・・・すぐに乾燥機つきの洗濯機が目にはいり・・・その隣に小さなキッチンと冷蔵庫がありました。そして、引き戸の奥に8畳ほどのフローリングのリビング・・・・・中央に真っ白なテーブルが置いてあり、その横には薄いブルーのカバーがかかったベッドがありました。私はそのベッドに腰を下ろします。「何か冷たい物はないかな・・・・歩いたらのどが渇いちゃった。」私がそういうと・・・・桂子は黙って戸棚からウィスキーを取り出し・・・・氷を入れて水割りを作りました。「へえ・・・お前飲めるようになったのか?」「なに言ってるの・・・・これはあなたが帰ってきたとき、いつでも飲めるようにしていたのよ・・・」それは私が好きだった「フォー・ローゼズ」の黒・・・・バーボンでした。いま初めて・・・ふたが開けられたようです。このウィスキーはバーボンといっても、その独特の臭味がほとんど感じられないものでした。桂子はいつか私が自分のところへ帰ってくる・・・とでも思っていたのでしょうか。「おい・・・チョコはあるか?」私はウィスキーを飲むとき、いつもチョコレートを用意させました。ウィスキーがおいてあるほどですから、もしかしたら・・・いや、きっと・・・チョコレートも置いてあるはずです。桂子は冷蔵庫から「ポッキー」の箱を取り出します。「おい・・・暑いなあ・・・窓を開けてくれないか」私がそういうと・・・慶子はリモコンのスイッチを手に・・・・すぐに冷たい風がサーっと吹いたのです。「なんだ・・・エアコンまであるのか・・・・」エアコンがあるならなんで、深夜の公園で涼む必要があったのでしょうか?私は少し不思議に思いましたが・・・・それより・・・また自分に「優雅な生活」が戻ってくる・・・そんな風に思っていたのです。ベッドから腰を滑らせ・・・私はベッドを背もたれのようにして白いテーブルの前に腰を下ろしました。「お前も飲めよ」「あたしがお酒に弱いってこと・・・知ってるじゃない・・・」「俺が飲めっていってるんだよ・・・・付き合いでなめるくらいいいじゃないか。」私は彼女にグラスを持ってこさせ、黒いラベルに赤い薔薇の花がプリントしてあるそのウィスキーを半分ほど注ぎました。「氷と水は自分で持ってきな」桂子はユックリ立ち上がると・・・冷蔵庫から、ペットボトルに入ったミネラルウォーターと製氷器のままの氷を持ってきたのです。グラスに半分のウィスキー・・・・彼女にとっては大変な量のアルコールですが、私は気にも留めずそのグラスに水割りを作ってやりました。「再会に乾杯」グラスをぶつけ・・・・再会を喜んだのですが・・・・彼女は何にもいいません。「なんだよ・・・うれしくないのかよ」私は少しふくれっつらをして見せたのですが、桂子は私の顔をじっと見つめたまま、グラスを傾けたのです。しかし。強いウィスキーにもかかわらず・・・・桂子はすぐにそのグラスを飲み干したのです。しかも、顔色ひとつ変えずに・・・・・「ずいぶん飲めるようになったんだなあ・・・」この一年でこんなに飲めるようになるものなのだろうか・・・私は驚いていたのです。「そんなに飲めないよ・・・・ただ先生同士の飲み会ってけっこうあるからね・・・それで少し鍛えられたのかも・・・・」「お前と浮気した男・・・あいつも同僚だったよな?」一年前、別れる原因となった男のことです。「浮気じゃないってば・・・・ただ・・・一緒に付き合ってくれませんか?って・・・お食事に誘われただけよ」そんなことは充分承知していました。実は一年前も、そんなことだろうとは思っていたのです。彼女のことがだんだんわずらわしくなってきていて、「別れ」てもいいや・・・と思っていたことも事実ですが、実情は彼女をいじめ、苦しませたかっただけなのかもしれません。「まだ、そんなことを言うのか?」私は桂子のむなぐらをつかみました。そしてじっと桂子の目を見つめます。桂子は恐怖におののいている様子でした。そして・・・・私はそのまま桂子を押し倒したのです。・・・・・・感情の赴くままに・・・・・「これでもとの生活に戻れる・・・優雅な生活に・・・」桂子をまた、私の奴隷のようにするためのセレモニーだったのかも・・・・
2007.08.20
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「田名部祭り」も今日が最終日・・・・でも今日から仕事です。「お祭りは関係ないの?」そんな質問が来そうですが・・・当社従業員は、あちこちから来てるんで、「田名部祭り」と関係してる人って少ないんですよね。だから、会社は通常営業。「祭り関係者」だけが有給休暇で休んでいます。 そんな別れ方をした桂子と、深夜の公園で思いがけず再会した私ですが、その時は何の不思議さも感じませんでした。「しばらくだったなあ・・・元気?」なんと声をかけたらいいのか・・・・遠くから見て「この女をナンパしてやろう」と思い近づいて行ったのは私のほうですから、そんなありきたりの言葉しか出てきません。「ウン・・・あなたは元気そうね?・・・・」慶子は私に気がついていたのでしょうか?・・・・驚いた様子もなく平然としていたのです。「この辺に住んでいたの?」「偶然ね・・・・あなたがあたしの前から姿を消して・・・・あたしも心機一転・・・新しい暮らしを始めなくちゃって思って・・・・前の部屋を引き払ったのが半年前・・・・まさか引越し先が同じ町だったとはね・・・・」私は桂子と別れ・・・・すぐに前の部屋を引き払いました。彼女がきっとストーカーのように、私に付きまとうだろうな・・・と感じたからです。しかし、話しの様子では、彼女は私のことを追いかけてはいなかったようでした。「ここは職場から遠くないかい?・・・・だって勤務先・・・A市だったろう?」「教師だってサラリーマンだもの・・・・転勤することはあるわ・・・・前の学校も2年いたから・・・新採用の先生は2年から3年で転勤するものなのよ」「じゃあ・・・今はこの近くの学校?」「ええ・・・電車で20分かな?」正直なところ・・・・あまりにも桂子のことを「都合のいい女」として扱っていたものですから、私は新しい女ができても、桂子と同じようにしてしまい・・・・それに耐えられない女性はすぐに私の元を去っていきました。だから、今、私の周りには女性がいませんでした。「ねえ・・・新しい彼氏は、優しくしてくれるのかい?」桂子に男の影があるかどうか・・・・私は遠まわしに聞いたのです。「まさか・・・・あたしのような女には・・・・そんなに簡単に彼氏なんかできないわよ」中堅企業の「社長秘書」として採用されかかった女ですから・・・美しい女でした。しかし、私と別れたことがショックだったのか・・・・今ここで見るとずいぶん暗い陰のある女のように見えるのは・・・深夜の公園の水銀灯のせいばかりではないようです。「なあ・・・・ここで会えたのも・・・もしかしたらお前との腐れ縁かもしれないなあ・・・・」桂子に男がいないとわかった事で、急になれなれしい言葉を使い始めた自分に気づきました。「そうねえ・・・・こんな深夜に・・・それも人通りのない公園の噴水の前で・・・・あなたと出会うなんて・・・・何かの縁があったんでしょうね?」「もし・・・もしもだよ・・・俺がお前とよりを戻したいって言ったら・・・どう思う?」「あなたがその気なら・・・・あたしは・・・いいわよ・・」すぐに返事がかえってきたのです。意外に思いました。「俺さあ・・・・いま大学4年だろ?・・・就職試験を受けるところなんだけど・・・リクルートスーツっていうのを作りたくってさあ」思いっきり甘えた言葉を投げかけました。「洋服を買ってくれ」と・・・棄てた女に頼んでいるのです。以前の桂子なら、「夜があけたら一緒に買いに行きましょう?」・・・・そう言ってくれたでしょう。そしてこのときも・・・「あなたの洋服を選ぶことが・・・あたしには幸せだったの」そう言ったのです。(まだ・・・・俺にぞっこんだ)私は、舌なめずりをしていました。「明日・・・・俺授業が午前中だけなんだ・・・・午後なら自由なんだけど・・・・」さっそく、洋服を買いに行く段取りをしていました。「明日は無理だなあ・・・・学校があるもの・・・・教師だって定時というものがあるから5時前に抜け出すことはできないわ」「じゃあ俺は・・・どっかで待ってればいいのか?」桂子はしばらく考えて・・・・・「あなた、あたしの車知ってるでしょ?」「ああ・・・あの真っ赤なサニィか・・・あれまだ乗ってるの?」「ええ・・・・これからあたしのアパートへ行って・・・そこから、その車に乗っていっていいわよ・・・・明日5時ちょうどの学校に迎えに来てくれればいいから・・・・」その真っ赤なサニィは、就職したばかりの桂子に・・・「デートでドライブに行くから」といって買わせたものでした。当時免許を取ったばかりの私は、運転がしたかったのです。「じゃあ・・これからお前のところに行こう・・・近いんだろ?」公園に若い女性が涼みに来るくらいですから、ここからそんなに離れていない場所だと考えていました。「ええ・・・」桂子は立ち上がり・・・・私と肩を並べ歩き始めました。私の隣にピッタリと寄り添う桂子の横顔・・・・・私は彼女のうなじを見ながら・・・(桂子はうなじが弱かったよな・・・)・・・そんなことを考えていました。 つづく
2007.08.20
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昨日は涼しかったのに、今日はけっこう暑いです。今日はこれから「(社)むつ青年会議所」主催の「みこし祭り」に参加します。「田名部祭り」というのは昨日も話した通り、昔からある5つの町内の祭りなんですが、新興住宅街の子供たちはその祭りに参加できないんですよね。その子供たちのために「樽神輿」を10台ほど作り、そんな新興住宅街の子供会に寄付したのが始めでした。しかし、子供会の行事があまりにも多いため・・・ボイコットされちゃったんです。それならば・・・ということで「青年会議所」で各企業にお願いし・・・その樽神輿を貸し出したりして13台ほどで「夜のみこし祭り」を始めたんです。それがもう20年ほど前になるでしょうか。途中から小学校の子供たちも、学校単位で参加するようになり・・・我が「第二田名部小学校」も5年生が参加するようになったんです。私も(社)むつ青年会議所32代理事長として主催しましたが・・・最近は人口減少のせいかJCメンバーも少なくなり・・・運営がたいへんらしいです。先輩として現役メンバーに・・・「おれがPTA会長のうちは中止するなよ!」と脅迫まがいに強制していますが・・・辞めたいのが本音でしょうね。今日は出陣が7時・・・・・私は「(社)むつ青年会議所のOB」としてではなく、「第二田名部小学校PTA会長」として参加します。 私にとって「都合のよい女」の桂子は、とにかく私のいうことはどんな事にも従いました。さすがに仕事の時間に呼び出すことはしませんでしたが、いつだったか・・・デパートを歩いているうちに気に入ったシャツが見つかり・・・・彼女を呼び出して買わせたこともありました。ひどい男だ・・・って思う人もいるでしょうけど・・・いつも彼女から「なにか必要なものはないの?」とか・・・私に何かを与えることに喜びを感じているような女だったんです。「今のところ・・・何にもいらねぇよ」・・・そんなこというと、すぐに不安そうな顔になり・・・・「ねえ・・・あたしのどこが気に入らないの?」・・・そういう女でした。退屈なとき、私は彼女にそんな不安を与えて喜んでいたんです。「サディスト」・・・・っていいましたかね?・・・もしかしたらそうなのかも知れないけれど、彼女によってそんな性癖も現れたんじゃないでしょうか。彼女自身・・・そんな生活が嫌になったのか・・・・小学校の先生方の忘年会があったとき・・・あいつ・・・いや・・、もうまったくの他人だから「あの人」って言ったほうがいいんでしょうね・・・・・「あの人」は「浮気」をしたんですよ。いや、その男とどうのこうのあったとは思わないけれど・・・とにかく・・・私を裏切ったと自分で白状したんです。「俺と別れてもいいと思ってやったことだな?」「そんなつもりはないけど・・・でも・・・・・」「その男のほうがいいんだろ?」「そんなこと言ってやしない・・・あなたのほうが良いに決まってる!」「じゃあ何でそんなことをするんだよ・・・・」「だから何にもないってば・・・」「どうすれば信じられるんだ?」「信じてもらうしかないけど・・・・・・・」「証拠をもってこい・・・・それじゃなきゃ信じるわけにはいかない」「あたし・・・ずっとあなたの言う事をしてきたじゃない!」「だからといって、浮気していい理由にはならない」「浮気なんかしてないってば」「じゃあ何で・・・俺を裏切ったっていうんだよ?」こんな話しを一時間ほどして・・・・そして別れました。彼女は私にどうして欲しかったんでしょうか?いまだによくわかりませんでした。マア私にしても・・・3年間・・・厭きた・・・っていうほどではないんですが・・・彼女との付き合いも疲れてきてたんです。そのあと、わたしから彼女に連絡する事はありませんでした。 おっと時間だ・・・つづく
2007.08.19
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怪談を書こうと思っていたのに、途中で方向が変わっちゃいました。「汗がしたたる」・・・このタイトルはなんだったのでしょうか?けっきょく、中身も完全に違う方向だったし・・・・深く反省しています。でも、中身は・・・・・自分では結構気に入ってます。という事で今度こそ「怪談」を・・・・ 蒸し暑い夜でした。扇風機は生暖かい風をかき回すだけでいっこうに涼しくはならず、・・・私はタバコを切らしたこともあって、公園前のタバコの「自販機」まで夕涼みがてら、出かけてきたのです。しかし、いつも吸っているタバコは売り切れのランプが表示されていて、しょうがなく違う新製品のタバコを買ってしまったのです。タバコは買ったものの、このまま部屋に帰っても、蒸し暑さの灼熱地獄に身を置くだけ・・・・「公園で涼んでいくか」・・・そう決めた私は、タバコの隣にある「ジュースの自販機」から、「果汁20パーセント」と書いてあったジュースのボタンを押したのです。「なんだよ・・・・ジュースまで違うものが出てきたのかよ!」「ゴロン」と音がして取り出してみるとそれは・・・「炭酸」の入ったジュース・・・別に嫌いというわけではないのですが、ボタンの押し間違いなのか、はたまた係員が入れ間違えたのか・・・・・ますます気分が悪くなってきたのです。自販機相手に喧嘩してもしょうがないし、私はその機械をひとつ蹴飛ばして公園の中に入りました。その公園は、入るとすぐにブランコや滑り台の遊具が置いてあり、その奥に噴水が設置してある池がありました。その池は噴火口のような「すり鉢状」になっていて、周りを階段状になったベンチが360度囲ってあります。私は、その池のベンチで噴水のダンスを楽しみながら、タバコを吸いジュースを飲んで涼もうと思ったのです。しかし、時間制限があったのでしょう・・・・噴水は止まっていました。ただ、池の中には照明があり・・・その照明によって照らされる水面が涼しげに見えたので、私はそのベンチにごろりと横になったのです。蒸し暑い夜には違いありませんが、なぜかさわやかに感じられます。深夜の公園の中ですから・・・静かな・・・しかし時折走り去る車のエンジン音がちょうどよい音楽に感じられたのです。 炭酸ジュースをひとくち飲みます。口いっぱいにジュワーッとした感覚がひろがりました。「わあ・・うめぇ!・・・さっぱりするなあ・・・」独り言を言って、ふと池の対岸を見ると・・・フレアーのスカートをはいた若い女性がひとり・・・・やはり涼みに来ていたのか座っていました。池の照明が逆に向こう側を気付かせなかったのか・・・それとも遠すぎたのか・・・私は今の今まで彼女がそこにいたことさえ気付きませんでした。「深夜に若い女性が徘徊かよ・・・・危ねぇなあ・・・声をかけてやろうか」私は私自身が「危ない男」なんだと自覚しながら・・・その女性に近づいていったのでした。近づくにつれ・・・その女性の輪郭がわかってきました。「あれ?・・・なんだお前・・・・桂子じゃねぇか?」それは、私が去年棄てた女・・・桂子だったのです。棄てたといっても・・・・・原因を作ったのは私ではないんです。少し私にもいいわけさせてください・・・・・・それまで3年間付き合った女でした。2つ年上の女・・・・彼女は大学の化学科の学生でした。ふとしたきっかけで付き合い始めたのですが・・・・彼女は自分で言うのもなんですが・・・私にぞっこんでした。4年で就職するとき・・・・ある会社で試験を受けたらなぜか「社長秘書」で採用になったのです。「ねえ・・・社長の秘書なんだって・・・・そこに就職していい?・・・お給料も普通の人よりいいのよ?」でも、私は反対しました。「嫌だ・・・秘書っていうのは、時間が不規則なんだろ?・・・俺は会いたいときに会いたいんだ・・・俺の自由にならないなら俺が身を引くから・・・お前の自由にしたらいいだろ?」とんだヤキモチなんです。我ながらずいぶんとわがままな男だなって思ってます。でも彼女はその会社の就職を取りやめました。そして、「S県の教員採用試験」に合格し・・・・小学校の先生になりました。一年目はそれでも、私の時間に合わせるように努力したみたいですが、2年目ともなると・・・社会人としての付き合いもあります。だんだん忙しくなってきたのです。それでも、どんなに疲れていても・・・・彼女は私と約束した日は必ずやって来ました。・・・どんなに遅くなっても・・・・私にはつくせるほどつくした女でした。それをなぜ・・・・・ それは明日へ続きます。
2007.08.18
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今日から3日間・・・「田名部祭り」が始まる。今日は「田名部おしまこ」という地元民謡の流し踊り・・・・明日は、「みこし祭り」がある。もともとは各町内の山車が5台出て・・・市内を練り歩くお祭りなのだが、「流し踊り」も「みこし祭り」も・・・そのなかのイベントとして発生したものだ。でも、おかげで身体を休める暇がない・・・・ 空には夏の星が瞬いていた。「明日も暑くなりそうだな・・・・」「父」がつぶやく・・・・・・・「お母さん・・・・・僕帰らなくていい・・・ここでお母さんたちと一緒に暮らしたいよ・・・」「弟」がまたわがままを言った。「あなたたちは元の世界に戻らなくては・・・・神様は私達家族が生まれ変わったとき、また仲の良い家族として暮らせることを約束するためにここに来させてくれたんだと思うわ・・・・」「そうかな?」「きっとそうよ・・・・・だからみんなで神様にお願いしましょう?・・・生まれ変わったら仲の良い家族として幸せになりますようにって・・・」その時、空に一筋の光が流れた。「あ、流れ星だ!」「さあ・・・みんな・・・流れ星が消えないうちにそのことをお祈りしましょ!」私達は5人全員・・・・手を併せてお祈りした。「流れ星に願い事を3回唱えると叶う」といわれるが、全員が3回唱えられたかどうか定かではない。しかし、「私」だけは確実に願い事を唱えられたのだ。いつの日か・・・4人の家族が一緒に暮らせる日を夢見て・・・・・「まもなく、空襲警報のサイレンが鳴るよ・・・・・そしたら、みんなで防空壕に入る・・・・・それが合図だ・・・・・」中学二年の「私」がそう言った。彼は、2年前に同じ場面を体験している。「何の合図?」「弟」が不安そうに聞く。「防空壕に入ると・・・それぞれがその時代に戻るんだ。・・・・小学校6年生の僕は昭和38年に・・・・そしてヨッチャンと僕は昭和40年に・・・お父さんとお母さんは・・・この時代に残るんだ・・・」「じゃあ・・・これでお別れ?」「弟」の顔は涙でぐしゃぐしゃになった。「母」はそんな「弟」の涙をぬぐうために、セーラー服から一枚のハンカチを出した。「このハンカチ・・・・お母さんの思い出に持って行ってちょうだい」「母」はそのハンカチを弟に渡した。「じゃ・・じゃあ僕のハンカチ・・・お母さんに上げる」「弟」はポケットからしわくちゃになったハンカチを取り出した。2人はハンカチの交換をしたのだが・・・・「私」には交換する物がなかった。「あなたには・・・お母さんの櫛を渡しておくわ・・・大事にしてね」そのときだった・・・・けたたましいサイレンの音が響き・・・・「空襲警報発令・・・空襲警報発令!」どこかで大きな声が響いた。「さあ・・・防空壕に入ろう・・・」「父」が静かにそういった。「私達」は「防空壕」の中に入り・・・・誰からともなく手を差し出し・・・5人の手が握り合った。サイレンの音が遠くで響き・・・やがて聞こえなくなり・・・・そして・・・・私の手を握っていた感触が徐々になくなっていく・・・・・「みんな・・・元気で・・・・・・・」あれは、私のつぶやいた言葉だったのだろうか?・・・・それとも「父」と「母」がつぶやいたものだったのだろうか・・・・そして・・・私は自分の時代に戻ったのだった。気がつくと・・・枕木を持って呆然としている私に気付く。「おい、直明・・・・そこにいるんだろ?・・・今あけてやるからな・・待ってろよ!」「防空壕」の外で誰かが叫んでいた。やがて・・・・・・その入り口は壊され・・・・暗闇の中にその誰かの姿が見えた。それは紛れもなく「父」だ。18年前の父に、私は学校キャンプの前の日に防空壕に閉じ込められたと話してある。「父」は私の姿を確認すると・・・・・「おかえり」・・・といった。手には私がその時「父」に手渡したままの「銀玉鉄砲」があった。「おかえり・・・直明・・・・・お母さんに会えてよかったな」「お父さん・・・・・・お母さんは僕やヨッチャンに会えてよかったのかな?」私は昭和20年からずっと泣き通したままだ。「アア・・・お母さんは・・・お前たちに会えて幸せだったと言ってたよ」父と子は、防空壕から出ると星の広がる夜空を見上げた。「二年後に、もう一度あそこに行けるんだ・・・・もう泣くのはおよし・・・」「父」は優しく「私」の頭をなでた。「あ!流れ星!」昭和38年の夜空にも「流れ星」が流れ・・・・・わたしはまた昭和20年のときと同じお祈りをした。私の手には・・・あの優しい母の髪を梳かした「櫛」が握られていた。 終わり・・・・でいいかな?
2007.08.18
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次男がクワガタを捕まえてきました。「どうしようか?・・・・あっちの箱にはカブトムシが入ってるし・・・」しょうがないので前に「金魚」を飼っていた水槽に腐葉土を敷き、そこへ入れました。蓋がなかったのでラップをかぶせ、そこに空気穴を一杯あけて・・・・長生きして欲しいなあ・・・・ 遠い未来では4人で過ごす事のできない家族・・・・私は感激していた。2年後にはまたここに来られる・・・・そのときの「私」が、今目の前にいるのも・・・・これはこれで不思議な感覚だった。「お父さんもお母さんも・・・おなか空いてるんでしょ?・・・・僕とおにいちゃんで、お弁当を作ってきたんだ。・・・・昔のお兄ちゃんの分もあるよ・・・一緒に食べようよ。」弟は中学二年になっている「私」と一緒に、弁当を作って来てくれたようだ。「昭和20年に来るんだからね・・・・一緒に食事するのもいいかと思ったし・・・」「父」も「母」も・・・食事は満足にとっていないようだったから・・・・二年後の「私」が気を利かせて持って来たようだ。「あら?・・・・・このお重もずいぶん軽い材料でできてるのね?」このお重も・・・・プラスチックでできていた。なかには海苔の巻いてあるオニギリ・・・それに卵焼きにエビフライ・・・それに果物が数種類・・・・「まるで運動会とか遠足だね」弟がそう言った。私達兄弟は・・・・母親が若くして亡くなっているから、運動会でも遠足でも・・・「父」が作ってくれた弁当しか食べたことがない。そして今、目の前にある弁当もいつもそんなときに食べている弁当・・・・つまり昭和40年に生きている「父」が作ってくれたものだと理解した。しかしいつもの弁当と味が違うような気がした。だってここには「母」がいてくれるから・・・・・・・・私の目には涙が今にも溢れそうになっていた。「この卵焼き・・・・僕が作ったんだよ・・・ちょっと焦げてるけどさあ・・・お父さんが甘い卵焼きを持っていくとお母さんが喜ぶぞって・・・・ちょっと失敗したけど味はいいんだよ」弟が何気なく言った一言・・・・私がはっとしたのもつかの間、「母」の顔が一瞬曇った。「お弁当作り」の調理人の中に「母」のことが一言も触れられていない。しかし「母」の顔が一瞬曇ったように見えたのは、私の錯覚だったのだろうか?すぐに「母」は穏やかな顔に戻っていたのだった。「ねえ・・・お母さん・・・・・僕の名前知ってる?」弟は何事もないように、話しを続けていた。「エエ?・・・君の名前?・・・・お母さん・・・わかんないなあ・・・教えてよ?」「母」は自分のことを、いつの間にか「お母さん」と呼んでいた。「僕の名前はねえ・・・お母さんが佳奈子でしょ・・・・その佳って言う字をもらって佳明(佳昭)って言うんだよ・・・・・おにいちゃんの名前は知ってるんだよね?」まだ女学生の「母」が私の名前を知ってるわけがないのだが、弟は少し勘違いをしていた。それは・・・・「母」が亡くなったとき、私は既に生まれていて・・・・「両親」が一生懸命考えた名前が「直明」だったからだ。私は子供のころ、「直ちゃん」と呼ばれていて・・・もちろん「母」もそう呼んでいたという事を、誰からか聞いていたものだから、弟は「母」が私の名前を知っているものと思い込んだのだ。「ね・・・・僕が佳明で、おにいちゃんが直明・・・・・・どっちもお父さんとお母さんの名前の一字を貰って・・・・そして兄弟仲良くして欲しいから下の字を同じ明るいって言う字にしたんだよね?・・・お父さん?」旧制中学の生徒だった「父」だって知る由もないのだが、「父」は困ったように微笑んだ。「じゃあ・・・君はヨッチャンって呼ばれてるのね?・・・・おにいちゃんは直ちゃんで・・・」「母」は2人の子供の顔を見比べながらそう呼んでくれた。「ねえお母さん・・・・もう一度呼んで?」弟は急に悲しくなったのか・・・泣きながら懇願した。「ヨッチャン・・・・・・・」私だって呼んで欲しかった。それに気付いた「母」は、私のほうを向いて・・・「直ちゃん・・・・・」中学二年の「私」も、涙をいっぱい溜めていた。「アア・・・直ちゃん・・・・君も呼んで欲しかったのね?」「母」は3人の顔を見比べながら・・・・名前を繰り返し何度も呼んでくれた。私はたまりかねて、「母」にポツンとつぶやく・・・・・「お母さん・・・・・お父さんと結婚しないで!」「母」は聞こえなかったのか・・・・「え?」と聞き返した。それだから今度ははっきりと聞こえるように・・・・「お母さん・・・・お父さんと結婚したらだめだ!・・・そんなことしたら・・・そんなことしたら・・・・・!」そのあとは嗚咽となった。私は「母の死」をこの目で見ている。「火葬」されるとき、私は「一緒に行く」と泣き叫んでいた。ここで結婚をとめないと、また「母」との悲しい別れが待っている・・・そう思うと我慢できなかった。しかし、女学生の「母」は、優しくたしなめた。「お母さんの子供が・・・こんなに優しい3人だってわかって・・・・お母さん満足よ・・・・あなたたちのお母さんで本当によかったと思ってる・・・・・・それは確かにあなたたちが大きくなるまで面倒は見てあげられないかもしれない・・・・でも、他の人には絶対にできない経験をさせてもらって・・・・あなたたちがわたしのことをこんなに思ってくれたのを確認できただけでうれしい・・・・」「母」は諭すように・・・また自分に言い聞かせるように続けた。「お母さんは、逃げようと思えば逃げられるかもしれない・・・でもそうすると、あなたたちがこの世に存在できなくなるわ・・・・あなたたちには、神様が与えてくれた使命があるはず・・・・それをわたしの一存で壊す権利はないと思うの・・・わたし挑戦するわよ・・・・お母さんがあなたたちを生んでも長生きできるように・・・もしそれがダメだったとしても、生まれ変わったらまたあなたたちのお母さんになって家族で仲良く暮らせるように・・・だから・・・あなたたちのお母さんにさせて欲しいの」それが正しい事なのかどうなのか・・・・私にも弟にも判断はできない。中学二年の「私」も二年前に同じことを聞いているのだけれど・・・それでも判断がつきかねているようだった。あたりはかなり暗くなっていた。 続く
2007.08.17
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今日は出勤日だから出てきたんだけど・・・明日、あさってが土曜日曜ということで、社員はみんな有給休暇で休んでます。だから、開店休業状態・・・時々電話だけきます。そういえばさっき、「第二田名部小学校PTAの5学年部長」がきました。用件は19日に行われる神輿祭りで・・・学校の半纏が足りないって言う話し・・・・足りない分は我が社の半纏を貸し出しましたが、30枚ほど足りないんですよね。でも、これ以上作る予算もないし・・・・まあ・・・我慢してもらいましょう。ちなみに私の出番は・・・・校長と2人・・・神輿の先頭を歩くことです。5時前の神社のご祈祷にも行かなくちゃ。 「防空壕」の奥から飛び出してきたのは、「弟」とそして・・・・驚いたことに「私自身」だった。皆さんはタイムパラドックスという言葉をご存知だろう。確か映画の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の中で、同じ次元で同じ人物は存在しない・・・というような描き方だったと思うが、このときはなぜか存在してしまったようだ。こうして、実際にはありえない・・・・4人の家族が5人になってこの場に存在したのだ。驚いたのは私ばかりではない・・・・・「父」も「母」も声も出ない・・・・なぜって、「私」が2人いたからだった。「お前、何でここに来れたんだ?」私は「私自身」に聞く事はできなかったので弟に聞いた。「お兄ちゃん・・・・お兄ちゃんが6年生のとき、ここに来たって・・・今の中学二年のお兄ちゃんがそう言ったんだよ・・・・そしてその時、僕たちもそこへ来たんだって・・・」私には理解できなかった。中学二年の「私」が答えた。「二年前のことだから良く覚えてるよ・・・・これから起こる出来事もね。」「君は本当に僕なのかい?」「ああ・・・二年後のね・・・・・君はさっき思っていたはずなんだ・・・・自分だけ両親にこうして会えた・・・・だけど弟にも会わしてあげたい・・ってね」そうだった・・・・私はそのことを思っていた。もう二度と会えないと思っていた両親に、・・・それはかなり昔の両親だったが・・・・こうして会うことが出来た。でも弟は・・・・生まれたときにはもう母親がいなかったのである。だから「お母さん」と呼ぶことは一度もなかった。そんな弟にも、・・・元気な両親に合わせてあげたい・・・・そんな思いでいっぱいだったのである。弟が話しをつなげた。「お兄ちゃんが6年生のとき、こんな経験をしたって話してくれたんだ・・・で、その時に僕も一緒にいたって・・・・だから自分が6年生になって学年行事の学校キャンプに参加する前の日・・・一緒に「防空壕」に行ってみようって・・・」中学二年生の「私」は、おそらく弟が学校キャンプの前日になれば、またこの「奇跡」が実現すると考えたようだ。そうでなければ、今この状態のように家族が揃うことはないはず・・・・・ただ、私は少し不安を感じていた。・・・それは・・・・その時、中学二年の「私」が「私」に耳打ちをした。「大丈夫だよ・・・この2人は将来愛し合って結婚するはずさ・・・もしかしたらそのきっかけは僕たちが作ったかもしれない。・・・・ただ・・・・お母さんが弟を生んだときに亡くなった話はしない・・・・そんなことになるのなら結婚しないって言う話しになると・・・僕たちが存在しなくなるからね。・・・それは弟にも言い聞かせてある。」私はその声を聞きながら弟の顔を見た。喜んで「両親」に甘えている。「お父さんはここへ来るって知ってるのかい?」「ああ・・・お父さんが送り出してくれたんだよ・・・この場面にお父さんがいないって言うことはお父さんが自分で行かないって決めたはずだ・・・って・・・」「お父さんはお母さんに会いたくないのかな?」「そんなことはないさ・・・・でも行けばきっとここにいる若いときの自分に”結婚するな”って言うかもしれない・・・それが怖いって・・・」「弟」が甘えている「両親」も、「血」を感じたのだろう。理由もわからないまま、「父親」そして「母親」として振舞っているように見えた。「それでも会いに来たかったんじゃないの?」私が聞くと、「私」がまた耳打ちをした。「お父さんは今でもお母さんのことを愛してるんだ・・・・お母さんが亡くなるときこういったそうだ・・・・”お父さんと夫婦でいてよかった”って・・・”昭和20年の終戦直前・・・・僕たちと会ってるから・・・思い残すこともない”ってさ・・・・」その時、「弟」が・・・「お父さん・・・お母さん」と呼んでいるのが聞こえた。「ずるいぞ・・・僕だってお父さんにもお母さんにも甘えたいんだ!」私は思わず叫んでしまった。しかし、「父」も「母」も・・・・・全て理解したように優しく微笑んで・・・・こう言った。「いいんだよ・・・甘えて・・・・遠い未来に家族になるものなら・・・・今こうして一緒にいられる時間を喜んで受け入れようじゃないか・・・・」「そうね・・・・あたしのこんな可愛い子供が3人もいるなんて・・・あたしとってもうれしい・・・」「おいおい、3人じゃなくて2人の子供だよ・・・・大きい子2人は同じ長男なんだから」「そう・・・・でも2人よりも3人のほうがいいわね・・・・」「母」は大きく腕を広げ3人を抱き寄せたのだ。まだ15歳の母は、甘酸っぱい香りがした。しばらく5人(4人?)は、その場で無言のまま過ごしたのだった。 つづく
2007.08.17
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今日は次男とかみさんがいないので、長男と2人で「ステーキ・ワン」に行った。全国チェーンらしいけど、よその地区のお店を知らない。ここは、友人である「吉下北幾三会」の会長の奥さんが経営者で、店に入るとその奥さんがすぐに来た。「ナイトさん・・・8月26日のコンサート・・・ちゃんと来れるの?・・・うちのが心配してたわよ」ここのところ忙しいこともあって、会合に出席してなかった。マア・・旦那とは19日、会うことになってるからそこで打ち合わせしましょう。 「おい、・・・お前の事かよ・・・俺の親戚だっていうのは・・・・」身体を揺り動かされ目が覚めた。寝ぼけたまま目を開けてみると・・・・・そこには薄汚れたランニング姿の少年が立っていた。いつの間にか私は、「防空壕」の入り口で眠ってしまったようである。周りを見渡すと太陽が西に傾きかけていて・・・その太陽を背に受けた少年の顔が影になっていた。「何とか言えよ・・・お前・・・俺の親戚ってほんとか?・・・」「親戚って言うかなんていうか・・・・・」私は説明の使用がなく、困ってしまっていた。影になっていてもはっきりと「父」だとわかったのだ。きっと、私が「母」に言いつけられたところにいなかったから、「母」が「父」のところへ知らせたものと思う。もちろん将来結婚する相手同士だとも知らずに・・・・「最初、防空壕で出会ったから・・・もしかしたら防空壕へ戻ったかも・・・っていうから見に来たんだけど・・・お前には会ったことねぇよなあ・・・」私は返答のしようがなく・・・また黙ってしまった。「家も親戚が多いんだ・・・・もしかしたら知ってるかもしれねぇ・・・親の名前・・言ってみろよ?」ここで私はふと考えた。父の性格について考えたのである。父は親分肌というのだろうか・・・・頼まれた事は決して断らないというところがあった。(ここは正直に話して、何とか相談にのってもらおう)そう思った私は、こう答えたのである。「お父さんの名前は・・・直太郎・・・本田直太郎・・・」「なに言ってるんだ・・・本田直太郎って言うのは俺の名前じゃないか!」からかわれてると思ったのだろうか・・・父はかなり強い口調で怒鳴った。「嘘じゃないよ・・・・僕は本田直太郎の長男で・・・」ここまで言ってから・・・私の頭の中で・・・・「この先は言うべきではない」という声が響いたのだった。「お前・・・俺の事からかってるのか?」「そうじゃないよ・・・でもこの先のこと・・・僕は話しちゃいけないんだ」「なんでだ!」「だって、この先の事を話しちゃ・・・・未来が変わることになる。」「未来が変わる?・・・・なんのことだ?」私は説明がつくかつかないか・・・それでも、自分の身の上に起った事を「父」に話した。「僕は・・・・○○小学校の6年生・・・・この丘の上の女学校が・・・戦争の終わったあと小学校になるんだけど・・・その小学校の6年生なんだ。・・・・」「お前は未来から来たというのか?」「僕は昭和38年からここへ来たみたいなんだ」「今から18年も後から来たというのか?・・・その証拠は」「ちょっと待ってて・・・・」私は「防空壕」の中にはいり、自分がここへ泊まろうとして持って来たものを取ってきた。オヤツにトランプ、それに銀玉鉄砲・・・・・「これは僕の時代から持って来たものなんだけど・・・・」トランプは紙製ではなくプラスチック製・・・・だから戦争当時にはなかったものだと思った。そして銀玉鉄砲・・・・・これもプラスチック製のおもちゃだから、この時代にはないだろう。「父」はものめずらしそうに・・手にとって見た。最後にオヤツ・・・・私も、このオヤツがどんなものだったか・・・今となっては覚えていないが・・・何か袋菓子のようなものだったと思う。そして・・・「父」がもっとも興味を持ったのが、そのオヤツであった。爆撃空襲がこの本土でもあったということは、まもなく戦争が終結するころであろう。食料が底をつき、「お菓子」なんていうものもあったかどうか・・・・「これ食ってもいいか?」「父」は私に目もくれず・・・そのお菓子を見つめながら言った。「ああ・・いいよ・・・でも・・・」私は自分の食料がなくなることを心配していた。もし、「父」が信じてくれないときは、私は独りでこの戦争を生き抜いていかなければならない・・・・不安だった。「心配するな・・・お前の面倒は見てやるから・・・」「父」は菓子の袋を開けてひとつつまんだ。信じてくれたのだろうか?「うまいなあ・・・これ・・」「父」は本当に美味しそうにそのお菓子を食べた。「本当に信じてくれたの?・・・お父さん」「お父さん」と呼ぶとき、少し小声になった。しかし、それが聞こえたのかどうか・・・・「でも、その遠い未来から・・・お前どうやってここに来たんだ?」ようやく、話しが戻った。「実は・・・・僕・・・冒険しようと思って・・・・この防空壕の跡に、1人で泊まろうと思ったんだ・・・・」「冒険?」「アア・・・本当なら今日は学校の行事で・・・校舎に泊まることになっていたんだけど・・・なんとなく1人でこの防空壕の跡に泊まってみたくなって・・・・」弟に対する「嫉妬」から、ここに泊まる事にしたとは言えなかった。「それで防空壕に入って準備してたら・・・・学校の先生が”子供たちが中にはいったら危険だからって釘を打ち付けちゃったんだ。・・・・・どうしようかと考えていたら、奥から声がして・・・・」「いつの間にか今の時代に来てしまい・・・・声をかけたのが佳奈子たちだったんだな?」そういいながら「父」はもうひとつ、お菓子をつまんだ。その時だった。「あ、何か食べてる!」そう言って近づいてきたのは「母」だった。「おお、佳奈子か・・・お前もひとつ食ってみろ・・・ところでこのお菓子・・・なんていうんだ?・・・初めて食ったんだけど」・・・・・ようやく思い出した。そのお菓子は・・・「ABCビスケット」アルファベットの形をしたビスケットだった。「これ・・・・敵のものじゃないの?」「母」はおっかなびっくり、そのビスケットを口に入れた。「こいつ・・・どうやら未来から来て・・・・俺の息子だって言うんだよ」「母」には知らせたくなかったのだが、「父」はそう言ってしまった。「ヘエ・・・・じゃあお母さんは私?」私は心臓が止まるのではないかと思った。「母」は冗談だと思ったのだろうか・・・・・・またまた、その時である。「お父さん・・お母さん!!!」「防空壕」の中から声がしたのである。そして中から少年が2人出てきた。ひとりは「弟」そしてもうひとりは・・・・なんと「私自身」だったのだ。 続く
2007.08.16
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昨日の同期会が終了して・・・また5年後の約束をして・・二次会に向かいました。でも、ちょっと調子が悪くてね・・・・他の幹事に任せて先に失礼したんです。で、家に戻ってちょっと「汗がしたたる」の続きを書いたんですけど・・・どっか押しちゃったんでしょうかね?・・・突然「5分後再起動します」って出ましてね・・・だから中途半端に終わっちゃったんです。そのまま寝て・・・朝・・・・「ピンポ~ン」出てみると、うちのクラスのもう1人の幹事・・・保育所の先生の「ミ○子」「昨日、具合が悪そうだから見に来たんだ・・・どう?」ありがとう・・「ミ○チャン」・・・大丈夫だからね・・・・・そういえば第一回目の同期会の時、会計の関係で二次会に行く前2人で最後まで会場に残った事があったっけ・・・先に二次会に行くメンバーに、「どこに行くんだ?追いかけるから・・」そう言うと、「じゃあ・・・田園で待ってるから・・・早く来いよ」会計の仕事が終わり・・・その「田園」っていうお店を知らないからタクシーを呼んだんです。タクシーはいつもよく使うタクシー・・・・「ミ○子」と2人で乗り込んで運転手さんに、「田園まで」っていうと・・・怪訝な顔??????「どうしたんだよ・・・早く出してくれよ」「いいんですか?・・・ほんとに・・・・?」「いいよ・・・そこに行くことにしてるから・・・」タクシーは飲食店街を通り過ぎてどんどん暗いほうへ・・・・「おい、どこに行くんだよ?・・・・そっちにスナックとかあるのか?」そう言うとタクシーの運転手さん・・・・「だって田園って・・・・モーテルですよ」同級生たちにからかわれたようです。あれは36歳のときだったなあ・・・懐かしいエピソードです。 「防空壕」の奥の暗闇から、セーラー服の少女数人に声をかけられた・・・・いや、正確には3人の少女であり、声をかけたのはその中のたった一人だった。「危ないっていわれても・・・こんな防空壕の中で閉じ込められるなんて・・・」「しょうがないじゃない・・・空には・・ほらまだあんなにB-29の飛んでる音が・・・」私が耳を澄ましてみると・・・・ボーンという腹に響くような低い音・・・・「え!・・・・B-29って・・だって・・そんな???」「さっきまですごい爆撃だったじゃないの・・・・ここは海軍の基地に近いからね・・・攻撃目標にされやすいから・・・」爆撃?・・・海軍?・・・・・確かにこの町は元は海軍の基地の町だったらしいが・・・・今は海上自衛隊の基地と名称も変更となっていた。その時・・・「空襲警報解除」の声が外で・・・・「さあ・・・学校に戻りましょうか・・・・」女学生たちは、のろのろと出口へ動き出したのだった。そして不思議なことにさっきまで私が「枕木」で壊そうとしていた板戸が、彼女たちの手によって、いとも簡単に観音開きに開くのだった。「ほら・・・・向うの方が火事よ」外へ出ると、少女の1人がそこから見渡せるはるか向うを指差す。「あれは焼夷弾よね・・・・」「ほら海軍の工場がある辺り・・・・」私もその声を聞き、外へ出てそちらの方向を見た。すごい煙の柱が、あちらでもこちらでも・・・・もしこれが夜中なら、おそらく火の色が鮮やかにあたり一面を舐めていたのかもしれない。しかし、しかし全体的に町のイメージが・・・・・そう・・・・記憶にある建物がないのだ。自然の風景はそのままなのだが建物の記憶がない。そしてセーラー服を着ている少女たちも、私の知っている中学の制服ではなく、しかも、スカートをはいているのではなく、よく農家の叔母さん達がはいていた「もんぺ」姿だった。「やっぱりそうか」・・・・・・私は時間の流れに逆らってこの場所に来てしまった・・・・そんな気がしたのだ。なぜなら・・・・その少女に見覚えがあった。「母」だ・・・・3歳で「母」と別れた私は、「アルバム」の母しか知らない。だからこそこの女子中学生が母だとすぐにわかったのだ。一緒にいる同級生たちも見たことがある。母のすぐ後ろに立っているのは、私の同級生「一郎君」のお母さんだし、その横に立っているのは私の家の近所にある自転車屋さんのおばさんだ・・・・という事は・・・・今はまだ太平洋戦争の真っ最中・・・・この地域が米軍からの爆撃を受けているということは昭和二十年の夏・・・私が小学生でも知っていた。まもなく、終戦を迎えるということを・・・・・・・「ところで君・・・・だれ?・・・・・どこの子?」母が私に訊ねた。「ボ、ボクは・・・・」正直に話してはまずい・・・と思った。「ねえ・・・・この子・・・・佳奈子に似てない?・・・ほら目元なんか・・・」私はよく、母に似ているといわれていた。「でもうちの親戚に、こんな子いないわよ?・・・」「ねえねえ・・・ほら、・・それより小学校のとき、二級先輩だった本田先輩にも似てない?」「そうだよねえ・・・あたしもさっきからそんな感じもしてたんだ。」父に似ているなんて言われたことはないのに・・・・それでも、両親に似ているといわれて、悪い気はしなかった。「どこの子か知らないけど、早く家に帰りなさいね・・・無事だったからよかったけど、お母さんがきっと心配してるわよ?・・」私は「母」にそういわれた。そうだ・・・爆撃があった後だ・・・・親ならきっと心配しているだろう・・・だが、私の親はここにいる。「あたしたち、行くからね・・・・ちゃんと家に帰るんだよ」「母」たちはそう言って学校へ戻っていった。現代で私たちが通っていた小学校は、この当時女学校だった。だからこの小高い丘の上に建っていたのだが・・・私は校舎が、自分たちと同じ校舎だったのか、気になって見に行くことにした。「母」たちの後をついて坂道を登る。「母」も気になってこちらを何度も振り返るのだが、声はかけてくれなかった。校舎が見えてきた。本当なら明日の夜・・・・泊まるはずの校舎そのままに・・・・・ああ、あの教室が僕の教室だな・・・・急に懐かしさがこみあげて、涙がツツーッと一筋流れた。私は元の時代に帰れるのだろうか・・・・戻れなければ、ここでどうやって暮らしていけばいいんだろうか。後に不安が残った。泣いている私を、時々振り返ってみていた「母」が、戻ってきた。「家に帰れないの?・・・それともみなしごなの?」私はその質問にも答えられなかった。「まあいいわ・・・・じゃあここで待っててくれる?・・・学校が終わったら本田先輩のところに送ってってあげる・・・似てるんだからきっと親戚よ・・・大丈夫・・・何とかなるわよ」そう言うと校舎の中に消えていった。私はすることもなく、校舎の前で待とうと思ったのだが、職員室のあたりから誰かがちらちら見ている。ここにいるにはまずいよなあ・・・戦時中で子供とは言え、こんなところでブラブラしてるっていうのは・・・防空壕で待っていよう・・・・・戸を閉めてしまうと、また釘で打たれて閉じ込められてしまう・・・わたしはそのまま「防空壕」の出口の日陰に涼んでいた。 ごめん。お出かけつづく
2007.08.16
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今日は中学時代の同期会がありました。主催者代表ですから早めに行ったのですが、行った途端に問題発生!司会を担当している市役所の観光課長「N・T君」が食中毒で欠席の連絡・・・・コリャ困りました。マア、代役を立てて何とか収めましたけどね・・・・・では、ここで、また「主催者代表挨拶」を報告します。「皆さん、5年ぶりです・・・ご無沙汰いたしておりました。5年毎の同期会で今年が20年目・・・この次になりますと、公務員の皆さんが定年を迎えます。無職になり、年金も貰えない年代・・・同期会も会費を含め、どうしようかと考えています。それでも、節目の年になりますから何とかたくさんの皆さんに参加していただきたいと、役員一同計画を開始しています。どうぞよろしくお願いいたします。さて、先ほど受付におりましたら、O先生がいらっしゃり会費のお支払いをいただきました。しかし、受付の担当が同級生と勘違いするくらい、O先生はお若くていらっしゃいます。ですから5年後になると・・・先生方が私たちより若く見えることもありうるようです。皆さん若返り、先生より年上といわれないよう・・・この次も元気で参加してくださいますようお願いいたしまして、主催者代表挨拶と致します。本日はありがとうございました。」こんな挨拶してきましたが・・・どうでしょう? 「防空壕」の中に入ったまま、入り口の板戸を釘でしっかり打ち付けられてしまい、私はどうしていいのか・・・パニックになってしまった。小学生の私の力では押しても蹴飛ばしてもどうにもできない。ここは小高い丘の中腹で、一番近い民家でも、大声を出して聞こえるかどうか・・・・私は途方にくれた。しかし、時間はまだ午後一時・・・・明るい真夏の太陽が壊れている板戸の隙間から差し込んでいる。真っ暗な中にいなくてすんでいる事が私には救いだったのだ。空気は何とかある。その辺に「防空壕」を掘ったときの天井を支える枕木や板がけっこう落ちていた。私は押しても蹴ってもびくともしない板戸に、その枕木を持ってぶつかってみようと何度か試みてみた。その時である。「あなた・・・・この危険な状態のときなにをしようとしてるの?」防空壕の奥の暗闇から声がした。目を凝らしてみると中に女学生らしいセーラー服の少女が数人・・・あ・・・・用事・・・ちょっと休みます。
2007.08.15
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今日からしばらく・・・「怪談風」のものを書こうかなと思います。だって暑いんだもの・・・・・ 「防空壕」の中は蒸し暑かった。といっても、「空襲」があったわけではない・・・・・もう戦後20年たっていた。この防空壕は小学校の建っていた小高い丘の中腹に、ポッカリと開いていたのだった。もちろん戦後生まれの私にとっては、「防空壕」はB-29の「爆撃」から逃れるためのものとは聞いていても、この空間の中であったさまざまな葛藤については想像すらできなかった。この夏は小学校最後の夏休みという事で、父兄と一緒に学校に泊まるという行事が行われる。私は、前日から学校へ出かけ・・・・実はこの「防空壕」の中に、いろいろな「遊び道具」を隠しておくことにしていた。私には母親がなかった。したがって「父兄と一緒に学校へ泊まる」といっても父親しか来れないのだが、家には2つ年下の弟がいて・・・・彼を家においてくるということはできなかった。近所に父親の兄がいて・・・・そこへ弟を預けるという事も考えたようだが・・・仕事の忙しい父は、夏休みを子供たちと一緒に過ごす時間を取ることがなかなかできない。そこで父が担任の先生と相談をし、弟も一緒に学校に泊まることになった。だが、私にはそれが不満だったのだ。母親を失ったのは弟のせい・・・・弟が生まれたとき、母親の産後の肥立ちが悪く・・・そのせいで母親が亡くなった。当時の私は、そう思い込んでいたのだ。弟は母親の記憶がまったくないのだが、私にしたって3歳までの記憶しかない。だけれども子供のころから・・・「お前は長男だから」と・・・全ての家庭生活は弟を中心に行われていたのだ。「お前はおにいちゃんだから・・・弟と遊んでやれ」「お前は長男なんだから、そのおもちゃを弟に貸してやれ」全てそんな調子だったのだ。だから、6年生の学年行事で「父親を独り占めにできる」・・・そう思い込んでいたのだが・・・・父を独り占めにできないのなら・・・・学校に泊まるよりひとり防空壕のなかで泊まってみよう・・・・なぜかそう思ってしまったのだ。そんなことができるのだろうか?しかしまだ子供だった私はごまかしきれると確信していた。教室に泊まるのは、家族と一緒でもいいし、友達同士でもいいということになっていた。寝るときと朝の点呼の時間だけいれば・・・・それでごまかしきれる・・・そう思っていた。どこに泊まろうか?最初は空き教室にでも泊まろうかと考えたのだが、それではすぐに見つかる・・・・見つかったってどうということもないのだが、なぜかその時は、一人で冒険がしたい・・・そんなことも考えて「防空壕」を選んだ。当日寝具を運んだり、オヤツとかおもちゃを運び込むことはできない。寝具といっても「タオルケット」一枚でいい・・・オヤツだってそんなに量はいらない・・・おもちゃもトランプと「銀玉鉄砲」・・・あとは大き目のロウソクとマッチだけで持って行けば・・・なあにたった一泊だ・・・・子供だから何事も単純にしか考えられなかった。そして学校行事の前日・・・・私は荷物をこの「防空壕」に運び込んだのだ。「防空壕」には、板の戸がはめ込まれていたのだが、もうかなり古くなっていて・・・友達が「簡単に入れる」といっていた。少し悪ぶっていた友達だったので、何度かこの「防空壕」で悪さをしていたのだろう。言われたとおり、板戸は簡単に外れた。しかし、外したままではすぐにばれそうな気もする。私はすぐに内側から板戸をはめなおした。もちろん、喚起を良くしておかないと、中毒を起こす可能性もある・・・ということで隙間もあけておいた。中はすえた匂いがしていたのだが我慢できないほどではない。「何とかなるな・・・」私はそう思った。その時・・・・外で声がした。「おい・・・この防空壕のふた・・・・釘も腐っていてすぐ外れそうだな・・・・6年生たちが悪戯して入るといけないから、きちんと釘止めしとこうか」6年3組の担任・・・・鎌倉先生の声だった。考えてみるとその時・・・・大きな声で自分の存在を示して置けばよかったのだが・・・・叱られる・・・と思い込み声は出せなかった。それがそもそもの始まりだったのである。 続く
2007.08.15
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お盆休みも3日目はとくに予定もなく・・・・・「ヤマメつかみ取り大会」というイベントを見つけたので、川内っていうところまで、ジュニアを伴って行ってきました。今年最高の猛暑だったんで、川の中が気持ちよかった・・・・収穫は・・・・たいしたことなかったんですけどね・・・でも美味しかった。 文化祭の翌日は、学校もお休み・・・・でも、演劇部の公演で「神様」に恥をかかせたのでは・・・と気になり・・・一成は起きると同時に隣の「神様の家」に電話をいれました。しかし、電話にはだれも出ません・・・・・ますます気になり、一成は出かけていくことに決めたのです。玄関先で声をかけます。「おはようございます・・・・友也君いますか?」「友也君」とは「神様」のここでの呼び名・・・・しかしだれも返事がありませんでした。「友也君・・・おばさん?・・・誰もいないんですか?」もう一度声をかけても、やはり返事はなく・・・不安を感じた一成は勝手に家に上がりこんだのです。もしかしたら、昨日の演劇で・・・最後に「神様」が、気持ちよく締めくくったはずの「大マジックショー」を・・・芝居を大団円に終わらせようした一成のせいで邪魔をされ恥をかかされたと思ってふてくされてしまったのか・・・もしくは成績も上がり彼女もでき・・・そして最後には芝居の主役を演じるヒーローになった一成との約束が終わったと思ったのか・・・・いずれにしても、この場所にはもういないような予感がしました。この家にはもう誰もいないのでしょうか?真っ直ぐ「神様」の部屋に行こうと思い・・・途中居間の前を通ったとき・・・「吉田竜平さん」がテーブルの前で爪を切っていました。(ああ・・よかった・・・吉田さんがいたんだ)しかし、すぐに考え直したのです。(もともとこの家は吉田さんの家じゃないか・・・ここにいて不思議はないんだ)吉田さんは一成と目を併せても、何の感慨もないように目を一瞬併せて・・・すぐにそらしてしまいました。「おじいさん・・・友也君は?」吉田さんはその質問に・・・あごをしゃくって見せました。「二階におるじゃろう・・・」・・・そう言ってるように見えました。一成は二階に上がります。・・・そして「神様」の部屋へ・・・・引き戸を開けるとそこに・・・「神様」は正座をしていました。「ここにいたんですか?」「アア・・・マロはずっとここにおった・・・夕べからな。。。」「夕べから?」「ああ。お前がすぐ来るものと思っておったのじゃ・・・しかし、マロの思い通りにはならなかった」「神様」の思い通りにならないことがあるのでしょうか。一成はこのとき、ふと思いついたことがありました。「もしかしたら、この神様・・・昨日の芝居のように・・・狐?」そのとき「神様」はにっこり笑ってこういったのです。「これこれ・・・・マロの思い通りにならないこともあるのじゃぞ・・・何しろこの国には800万柱の神がおるのじゃ・・・それぞれの思いが違うなら思い通りにならないこともあるのじゃぞ」「神様」の会議にも多数決が適用されるようです。「じゃあ・・・僕と和代さんのこれからは・・・・もしかしたらあなたの考えたとおりにならないことも?」「これから神無月・・・・マロは出雲に行って、これからのお前たちのことを決めて参ろう・・・・心配するでない・・・なんとでもなるわい」そう言うと「神様」は立ち上がりました。「なんとなく、狐につままれているようですね?」一成がそう言うと・・・・「お前はバランスとタイミングという二つのことを学んだ・・・・これを間違わなければ良いのじゃ・・・・・将来の事はお前が知ってもつまらんじゃろう・・・なにが起るかわからんから、この世は楽しいのじゃ・・・将来の事はこの”神”に任せて置け・・・神のみぞ知る・・・・と申してな・・・ワハハハハハ・・・・」その笑い声を合図に、押入れから「神様」の父親役の侍従と母親役の官女・・・「お歯黒お母さん」が正装で出てきました。「お歯黒お母さん」はもちろんしっかりお歯黒をし・・・十二単で出てきたのです。「一成殿・・・神様はああおっしゃっておりますけど・・・あなたの将来は約束されておりますからご心配なく・・・オホホホホホホ・・・」そう言って笑ったのです。そしていつの間にか彼らはだんだん影が薄くなり・・・・フェードアウトして行きました。「神様!・・・もうここへは戻られないのですか?!」一成が叫ぶと・・・・「おいおい、マロの社はここにあるのじゃぞ・・・いつでも帰ってくるわい」凛とした「神様」の声が聞こえました。それから10年・・・・・・・・ 一成の家の前にある神社で・・・・「一成」と「和代」の結婚式が行われました。2人の「仲人」は一成の親戚筋に当たるという夫婦でしたが・・・なぜか仲人の奥さんは・・・「お歯黒」をしています。そして荘厳なる「祝詞(のりと)」を読み上げる神主さん・・・・・なぜか言葉のはしはしに「マロ」と言う言葉が入り・・・少し気になりました。あの・・・「方」が帰ってらしたんですかねえ・・・・この10年・・・・一成にも和代にもいろいろなことがありました。そして・・・・きっとこの「神主」さんや「仲人」さん達にもあったことでしょう・・・・そのお話しは・・・・またの機会に・・・では・・・・・ 「終わります」
2007.08.14
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今日はお墓参りに行って汗をかきました。私の母親が亡くなったのはわたしが20歳のとき・・・もう35年たったんですね。母の遺影を見て、子供たちは「おばあちゃん」だと理解してるんでしょうか?教えてはあるんですけど・・・亡くなったのが40歳のとき・・・だから遺影は30代なんですよ。母親が亡くなった年より・・・16年も長く生きてしまいました。でも、ジュニアが成人して結婚するまで・・・・あと20年はがんばらなくちゃね。親がいない苦労はさせたくないんです。 大掛かりな「大マジックショー」のように 、演劇部の公演が終わりを告げようとしていました。しかし、これではせっかく練習してきたものがぶち壊しになります。一成はそれを絶対阻止しようと思いました。そこで突然なんですが、アドリブで場面転換を図ろうと考えたのです。「神様・・・・助けていただいたことは感謝いたします。・・・でもできればもう少し早く出てきていただきたかった。」「神様」は・・「せっかく気持ちよく終われたのに急になんだい?」っていうような 怪訝そうな顔をしました。「水戸黄門や遠山の金さんなんか見ててもそうなんだけど、人が不幸のどん底になってからばかり助ける・・・・あなたが神様だと言うなら・・・・人々がそんな不幸な目に会う前に・・・それが今のことなら・・・狐が悪さをする前に・・・なんで助けてくれないんですか?」これに、和代が登場して同調するように台詞をかぶせます。「今回の事で、うちのお父さんは怪我をしちゃったんですよ・・・・確かに、あたしとニセの神様を結婚させて自分はお金儲けしようとしたんだけど・・・・それだって・・・・あなたがもっと早く出てきてくれれば、そんな欲も出さないし、怪我もしなかったはず・・・」「神様ならもっとタイミングよく出てきてくれてもいいじゃないですか?」 「あたしたち、前から2人で話してたんです・・・・この広い地球の同じ場所、同じときに生まれた奇跡のタイミング・・・・ここでこのときに出会えた奇跡に感謝しよう・・・このタイミングに感謝しようって話してたんです。」「僕がもし、少しタイミングがずれて、明治時代に生まれていたら・・・・もし、場所がずれて中国に生まれていたら・・・・およねちゃんとは会えなかったわけだし・・・・」「だから、私達タイミングが一番大事って話してたんです。」「それなのに神様の出てくるタイミングは少しずれてる・・・・」しばらく考えていた「神様」・・・・「ようやく気がついたかい・・・・・」突然奇妙な事を言い出しました。「そうそう・・・・マロが言いたいのはそのことじゃったのじゃ」「え?」「神様」の事です・・・・きっと周りの空気を読んだのです。「タイミングが大事だということをお前たちに教えなければ・・・・そう思ってこのタイミングで出てきたのじゃ・・・・もうひとつ大事なのは、バランスじゃよ・・・・」「バランス?」「そうそう・・・・何かを手に入れるためにはそれと見合う対価を払わなければならない。・・・良い事のあとには悪い事がある・・・そして悪い事の後にはきっとよい事があるのじゃ。・・・それがバランス」「よくわからないんですけど?」「少し難しい話になるのじゃがな・・・お前たち”エネルギー不変の法則”というのをご存知かな?」確か、一成も物理か化学の時間に聞いたことがあるような・・・・・「エネルギーというのは、いろいろなものに形を変えているが・・・・それは絶対になくならない・・・・摩擦というエネルギーは熱エネルギーという形に変わるがなくなるものではないし・・・・水力発電なぞはその水位が高いところから低いところに落ちる・・・その落差を電力というエネルギーに変える・・・なにを言いたいかというと・・・・絶対量が変わらない以上・・・いつでもプラスマイナス0・・・つまりいいことの後には悪いことがあって当たり前・・・悪いことの後には必ずいいことがあるのじゃ」わけのわからないことを申しておりますが・・・・・「お前たちは”天は二物を与えず”という言葉を存じておろう・・・・・それが、マロの申したいこと・・プラスマイナス0・・・バランスとタイミングが大事なのじゃ・・・ゆめゆめ忘れるではないぞ・・・ワハハハハハ・・・・・」ここで、「チョ~ン」と木が入り・・・・・なぜか、芝居が終わってしまったのです。 つづく
2007.08.13
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昨日、青森市のスナックに・・・・お盆の季節ですから「檀家回り」に行ってきました。11月に、「青森県PTA連合会」の大会が青森市で行われ、そのとき、私も発表すべき事があるので・・・・我が「むつ市立第二田名部小学校PTA」もいつもより多くのメンバーに行って貰おうと思っているのです。そこで、安くて騒げる場所を物色していたのですが・・・「1時間半飲み放題」「カラオケ歌い放題」で3000円というところがあったのです。これが青森市の相場で高いのか安いのか?マア、一緒に行ってくれる方たちと相談しましょう。という事で、「とっこ先生」・・・どうします? 雲に乗った「神様」の登場で、まもなく大団円を迎える・・・そんな雰囲気が観客にも伝わったのでしょうか・・・・なぜか「フーッ」というため息が漏れたのです。「化け狐」と看破された「ニセ神様」の4人組・・いや4匹は・・・「神様」の手から逃れようとするのですが、もちろん逃げられません。「神様」が右手を振ると、狐の子分3匹が「トンボ」を切ります。左手を振ると、今度は「神戸虎平」が新たにあてがわれた「ニセ神様」が空中をふっとんだのです。これにはだれもが驚きました。だって10メートルほど吹っ飛ばされたのですから・・・・・「おい、今の見たかい?・・・10メーターは飛んだよな。」「見た見た・・・目を凝らしてみたんだけど・・・ピアノ線一本見えないんだぜ?」観客たちもざわつきました。もし、ピアノ線で吊ったのでないとしたら「たち幅跳び」世界一の人でも出ないような記録です。ですから、観客たちの反応は・・・・どこかでピアノ線を使用したのではないかと・・・きょろきょろしだしたのです。しかし、「神様」はそのことにまったく気付かず芝居を続けるのです。今度は両手を組み合わせ、忍者のように印を結びました。そうするとどうでしょう・・・・・「ニセ神様」を含む4人の身体がいっせいに空中に浮かび、鉛直方向にクルクルまわり始めたのです。まるで宝くじの抽選会の的のように、4つの身体がクルクルと・・・・「おい・・・あれはどうやるんだ?」「まるでマジックだよな?」今までの芝居の流れは全て・・・観客の頭から忘れ去られようとしていました。舞台袖で見ていた演劇部員たちもあっけに取られてみています。注目されているとますます図に乗る「神様」でした。右手で印を結んだまま、今度は左手を高く掲げ人差し指をくるくる回すと・・・どこからともなく飛んできた4本のロープが・・・クルクルまわっている4人の男の身体に巻きついたのです。そして回転を止めるなり・・・・「神様」が見得を切りました。「狐ども召し取ったり!!!」最初は度肝を抜かれた観客たちですが・・・あちらでパラパラ・・・こちらでパラパラ・・・・そして最後には会場全体が拍手でどよめいたのです。会場内はすっかりショーが終わったような雰囲気です。(これじゃまずいぞ・・・せっかくの演劇部の公演が・・・)そう思った一成は、台詞を続けたのです。「神様・・・・助けていただいたことは感謝いたします。・・・でもできればもう少し早く出てきていただきたかった。」これは完全に一成のアドリブでした。「神様」も・・・「せっかく気持ちよく終われたのに急になんだい?」っていうような 怪訝そうな顔をしました。 ごめん眠くなってきた。・・・続く
2007.08.12
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昨日、「青森高校本部同窓会」の総会に行ってきました。実は毎年8月19日が総会だったんですけどね・・・・今年はなぜか8月11日。例年だと、私の地元では8月18日から20日までお祭りなんでどこにも行けないんです。でも、高校3年のときの担任と、38年ぶりにお会いすることができました。「ナイト・・・お前に会いたいと思ってたんだ・・・テレビではちょくちょく見かけるけど、元気そうだな」先生・・・そんなにテレビに出てませんてば。たまたま先週のニュースで出てただけです。先生は来月、手術を受けられるそうで・・・それが治って退院したら、むつにお出でくださるそうです。金沢先生・・・待ってますからね。 3人は宗教団体の事務所につきました。今、この事務所に続く祈祷所には、「神様」と3人の会計係が寝泊りしています。「じゃあ、ちょっと待っててください・・・書類を持ってきます。」「吾作」 はそういい残すと、一人で事務所に入って行きました。事務所の鍵は「吾作」が持っていたのです。事務所の明かりをつけ・・・・部屋に入ります。事務所の奥に大きな金庫があって、そこには帳簿類はその中に入っているはず・・・・幸いなことに、金庫の鍵はかかっておらず、ダイヤルさえ合わせれば金庫は開くはずです。開けて帳簿類を取り出し、「吾作」はカメラでその書類をばちばち写しはじめました。持ち出したほうが簡単なのですが、刑事から言い付かっていました。「いくら捜査のためとはいえ、持ち出したりしたら違法です。・・・写真を撮ってきてくれませんか?・・・・それで数字が確認できたら。。。正式な捜査令状を持って乗り込み、その帳簿を押収しますから」「吾作」は言われたとおり、撮影を続けました。その時です・・・・「誰だ!そこにいるのは?」「吾作」は思わず首をすくめました。奥のドアが開き・・・・・そこから一人の男が入ってきました。「なんだ・・・吾作じゃないか・・・・何してるんだこんな遅くに?」声を聞きつけたほかの男達も・・・そして最後に「神様」も現れました。「吾作・・・・お前今日は勝手に早く帰ったそうじゃないか?」「いやあ・・・あのう・・・ちょっと頭が痛くて・・・だから・・・その・・・」しどろもどろに返答しています。「この夜中に・・・・おや・・・金庫があいてる?・・・お前があけたんだな?」「ずいぶん怪しいことしてくれるじゃねぇか?」「なにをしていたんだ?・・・え?」最後に「神様」が前に出て来て言います。「わしはついさっきまで寝ておったのじゃ・・・・まだ眠いんじゃがのう・・・早く白状して楽になりなさい・・・・痛い目をみるまえにの・・・・」実は「神様」・・・さっきまで実際、楽屋で寝ていたのです。その言葉を聞くや否や・・・・3人の男達はすばやく「吾作」を取り囲みました。そしてそれぞれが指をポキポキ鳴らしたりして、威嚇行動を始めたのです。「まずい!・・・およねさん・・・これから駐在所まで走って・・・・応援を頼んでくれないか?・・・・俺は吾作さんを助けに入るから!」「およね」は舞台下手に隠れました。そして「刑事」は事務所に入ったのです。「神様」がそれを見て・・・・・「そういえば最近・・・この辺をうろちょろしている怪しい男がいるという噂があるなあ・・・・お前のことだな?・・・吾作を手名付けて・・・この帳簿がそんなに欲しいのか?・・・・・それではもって行くがいい・・・・ただし、生きて帰れたらな・・・・」ここからは「乱闘シーン」が始まりました。さすがに「初代市川団十郎」の演出・・・・・「荒事」には長けていました。見事な「殺陣で「見得」のきり方もきまっていたのです。しかし、相手が動物のような軽い身のこなし・・・・とうとう、「吾作」は押さえつけられ・・・・「刑事」も、疲労困憊のうちに取り押さえられてしまいました。まだ駐在からの応援はありません。絶体絶命!「飛んで日にいる夏の虫たぁ・・・おめぇらのこった!・・・およねの一件もあり・・・どうして吾作のかたをつけようか・・・さっきまでみんなと相談をしていたところだ・・・・こっちのごっついお兄さんも・・・最近目に付いてしょうがねぇ・・・・そんな二人がそろってきてくれたんだ・・・・大きな土産を持たせて、竜宮城へでも送り届けてやろうか?」「大きな土産?」「竜宮城?」「ここには幸い、この先の岬に断崖絶壁がある・・・・そこから大きな石でも抱かせて、飛び込んでもらおうっていう寸法よ」「およねにふられた腹いせに・・・・飛び込み自殺ってことよ」「こっちの男はどうします?」「この辺をウロウロしていたのは・・・きっと死に場所を探しにでもやってきたんだろうよ・・・・と言うことで同じく・・・・ドボ~ン!」「一人旅より2人旅・・・・仲良く2人で・・・・」そこへ拍子木の音が・・・・・・「チョン!」「逝きやが~~れ~~~~!」3人、声をそろえて大音声・・・・・・・・え?・・・3人?そこへまた突然・・・・・・陰の声で叫ぶものがありました。「神の名をかたり・・・・ それだけでも許されないものを・・・・不埒な悪行の数々・・・・・わしを信ずるものをこれ以上、不幸な目にあわせるわけには参らぬ・・・・そう思ってこの場に参ったのじゃが・・・・・よく見れば御主達・・・鎮守の森の奥深くに住むイタズラ狐ども・・・・・退治してくれようか?」「そういうお前は?」その声をきっかけに・・・・天上から雲が舞い降りてきたのです。そして舞台のある体育館いっぱいに・・・甘い香りが漂ってきました。(お!・・・神様が台の上に乗っかって降りてくるのに・・・匂いまでついてるのか・・・・・)舞台の袖では女子部員達が・・・一生懸命ロープを引っ張っていました。でも、これは神様がその神通力で雲を登場させ・・・その雲が降りてきているだけなんですが・・・・そしていよいよ、神様の登場!しかし・・・待てよ?・・・「偽神様」を演じていた「本物の神様」の姿が見えません。でも、その代わり・・・・「神様」を演じるはずの「神戸虎平」がそこに・・・・ということは・・・今雲に乗って登場するはずの「神様」は?そうなんです・・・・雲に乗って登場したのはなんとまあ・・・本物の「神様」!(あれ?悪役のはずの神様が・・・なんで本物と入れ替わってるんだ?)その心の声が聞こえたのか・・・・一成の頭の中に、「神様」の声が響きました。「いくらお芝居とはいえ・・・・マロが悪者になってはいかんのじゃよ」しかも・・・誰もその入れ替わりには気がついてないようです。 おっと時間だ・・・つづく
2007.08.12
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明日は、「青森高校むつ下北同窓会支部長」として、「ホテル青森」の「同窓会総会」に臨みます。そのつもりで準備していたら、携帯のベルが・・・・時間は19時20分・・・・「今晩6時半から、中学の同期会の役員会だぞ!・・・会長がどうしたんだ?」そうでした・・・・5年に一回の同期会を8月15日に開くんで・・・今日はその最後の準備会でした。出席は今日現在「67名」・・・・その報告をする予定だったのに・・・すっかり忘れてたんです。年は取りたくないもんですねえ・・・・・ 刑事さんの話しを聞いている「吾作」と「およね」・・・・・「殺してしまった」と思っていた「およねの父親」が、大きな怪我もしていなかったという言葉を聞き・・・・はやまって心中しなくて良かった・・・そう思う2人でした。ところがこの刑事さん・・・殺人や傷害の担当ではなく・・・詐欺事件担当の刑事でした。「実は吾作さん・・・あなたの勤めている宗教団体ですけどね・・・レストラン東京の女将さんから訴えられてるんですよ。・・・それも詐欺でね。」「詐欺?・・・あの神様のやっていることは嘘だって言うんですか?」「それはあなたがよくご存知でしょ?・・・・神様が恋人同士の仲を引き裂くような真似をしますか?」そういえば「神様」は「吾作」と「およね」が恋人同士だと知ったうえで、「およね」を取り上げようとしていたのです。そのことを思い出すと、「吾作」も「神様」を信ずる気持ちが薄れてきました。「レストラン東京の女将さんがいうには、観光バスがやってきたのは最初のうちだけ・・・・それも正規の契約書ではなく、1000円の定食を食事券という形で800円で販売させられたっていうんですけどね・・・・それはさせられたんじゃなく・・・自分で納得したうえで販売したんだから詐欺には当たらないんですよ。」「でも約束の入れ込み客数いかなかったら・・・・」「いや・・・300食分の販売をし・・・24万円きっちり貰ってるんですよ・・・・」「じゃあ、問題はないじゃないですか?」「ところが、その男たちは・・・その食事券をまともなバス会社に・・・750円で転売してるんです。・・・おかしいと思いませんか?」「一食あたり50円損してるってことですか?」「そうなんですよ・・・・50円損してるだけで・・・実害はないんですけど・・・女将さんが言うには”バス会社の人間でもないのに・・・バス会社の人間のふりをしたってことで・・・詐欺だって言ってるんですけど・・・」「でもそれじゃ詐欺罪は成立しないんでしょ?・・・だってバスが来なくたって300食分は売って・・・逆に利益も上げてるんですから。」「だけど・・・それで周りの人間を信用させて・・・・他でがっぽり・・・なんてこともありえますからね」「なるほど」「だからわたしが内偵してたってわけです。」「それで詐欺の立証はできるんですか?」「そこで相談なんですよ・・・・・あの宗教団体に最近3人の男が会計として入ったそうじゃないですか・・・・どうもそいつらが、その神様を操って詐欺事件をしているようなんですよ。・・・・村会議員のなかで万年落選候補が・・・”神のお告げ”で・・・当選したそうじゃないですか。・・・それも”お告げ”といいながら・・・選挙違反であちこちその議員のために金をばら撒いたって言う噂も聞きますし・・・他の悪い噂も全部ホントウのことらしいんでね・・・・帳簿をあなたの力で見せて欲しいんです。」「そっか・・・詐欺事件の選挙違反か・・・なるほどね」そこへ「およね」も口を出しました。「詐欺事件や選挙違反・・・最初はお食事券だったのね?」「いや、汚職事件はないですよ・・・あくまでも詐欺事件です。」「え?・・・ああイヤイヤ・・・汚職事件じゃなくてお食事券ですよ」刑事にこの冗談のような話は通じませんでした。「これから一緒に事務所に行って・・・帳簿をこっそり見せてくれませんか?」「わかりました!・・・協力しましょう」「ついでにその3人の会計の男たち・・・写真を撮って、レストランの女将に面通しをさせる必要もありますから・・・そいつらの写真も撮らせてください」こうして3人は・・・宗教団体事務所に向かったのです。つづく
2007.08.10
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昨日深夜に書こうと思ったんですよ。そしたら帰省中の長男が「大学のゼミの課題が・・・」なんていうもんですからね、パソコンを譲ったんです。(私は大学の水工実験室で、「交差波」の実験を泊り込みでやってましたから・・・ゼミの課題なんていうことなんかなかったんです。)私としても、息子がどんなことをしてるのか興味があったんでこっそり覗きにいったんですけどね・・・・そしたら、「ゼミの課題」のはずが・・・なにやらゲームをしてるんですよ!おいおい、お前の大学はゲームするのが課題かよ! 一成と和代が、舞台の上で右往左往しているあいだも、部長は懸命にストーリーの新たな展開を考えていました。もしうまく繋がるようなら、その場面にふさわしい登場人物を舞台に上げて・・・・だから、まだ誰とも決まっていませんが・・・それでこのシーンを納めようという計画でした。つまり・・・・一成と和代以外の誰かが舞台に出てきたら・・・後の流れはその人に委ねて・・・・話しをあわせて2人は舞台を降りることになっていたのです。吾作・「卓袱台のかどに足を引っ掛けて転んだんだよ」およね・「卓袱台って丸いものでしょ?」吾作・「うちの卓袱台は四角なんだ」およね・「嘘!・・・うちのは丸いわよ」吾作・「そんなのはどうでもいいけど、ひっくり返っていたから4本の足のうち、3本目に引っかかったんだよ」およね・「どれが3本目なの?・・・あなたのうちでは卓袱台の足に番号でも振ってあるの?」さすがに、この「売れそうもない漫才」の展開はお互いまずいと思ったようです。吾作・「何本目でもいいじゃないか・・・それで転んだ君のお父さんが頭を打って死んじゃったんだよ」およね・「え?・・・死んじゃったの?・・・それ確認したの?」(死んじゃったことになったらこのあとの展開が変わってきちゃうわよ?)吾作・「あ・・・いや・・・確認はしてないけど・・・ピクりとも動かなかったから・・・」(死んじゃったらまずいんだったよな・・・・でも吾作は死んじゃったと勘違いして自殺をはかるんだから・・・・)およね・「救急車ぐらい呼んだんでしょ?」(あ、この時代設定で・・・救急車なんてあったかしら?)吾作・「おっかさんに預けて出てきてしまったから・・・・・」(またおっかさんだなんて時代劇みたいな呼び方になっちゃった!)およね・「人の親だと思って無責任じゃない!」(どうしよう・・・展開を変えられない・・・まだ漫才師みたいだわ)吾作・「殺しちゃったと思って・・・・あわてて逃げてきたから」(まだ部長・・・できないのかな?)およね・「もしかしたら、生きていたのかもしれないじゃない・・・それを放っておくだなんて・・・あなたって・・・信じられない!」(ああ・・・ドンドン展開が変わっていっちゃう)吾作・「でも、自分で転んだんだぜ!・・・・確かに僕も悪いけど・・・家出をして親を興奮させた君にも責任はあるんじゃないのかい?」(何とか元に戻せないかな?)およね・「そう・・・そうだったわね・・・・あたしにも責任があるのね」(ごめん・・・あたしも何とか流れを元に戻す努力をするわ)吾作・「ちょうど鎮守様の前だ・・・・2人でおとっつぁんが無事であることを祈ろう・・・・そして神様の許しをもらおう。」(ここで、お祈りをしているうちに・・・・部長がなんとかしてくれるだろう)およね・「そうね・・・・神様から許していただいて・・・・謝りきれないところは、二人であの世にいって・・・・」(そうね・・・・これ以上漫才続けられないしね・・・・)吾作・「手に手を取って・・・・あの世に行こう」(最初の設定では、自殺しようとするのは俺だけだったけど・・・ま、いっか!)それから、2人は鎮守様の前に向かい・・・手を合わせます。吾作・「神様・・・・あなたにおよねを取られるくらいなら・・・・私達は手に手を取り合って・・・・あの世に旅立ちます。」(ここにきて思い出した・・・あの神様って鎮守様だったんだっけ)およね・「あなたに私達の愛を引き裂かれるくらいなら、私達は心中します。」(あたし達を裏切った神様にお祈りするなんておかしなことになってきたわ)吾作・「およねちゃんのお父さんが転んだのも、元はと言えばあなたがわるいんじゃないですか!」(あらら、神様の悪口いっちゃった・・・どうしよう?)およね・「おとっつぁんが死んじゃったら神様のせいですからね」(もうどうでもいいわよ・・・しっちゃかめっちゃかになっちゃったんだから)その時です。「待て待て待て待て・・・・・!待ちやがれ~~!」上手から声がして・・・・「くまどり」をしたスーツ姿の男が登場!(歌舞伎がかっているのは、きっと柔道部の誰かだろうな?)そこに出てきたのは、台本どおりなら、次の場面に出てくる刑事役の柔道部員でした。(元に戻る手はずが整ったんだな?)吾作・「あなたは?」(助かったあ・・・!・・・でも素人の柔道部員で大丈夫なんだろうか?)柔道部・「おいどんは・・・警視庁捜査二課の刑事でごわす。」(おい!!なんで、鹿児島弁なんだよ!!)刑事・「実は・・・おまんが手にかけた男・・・・およねさんの父親でごわすが・・・先ほど、気がつかれもうしてな・・・・」(おい、こいつの鹿児島弁もおかしいぞ?)およね・「じゃあ・・・大丈夫だったんですか?」(なんでもいいけど・・・・このシーン無事に終わって欲しいわ!)刑事・「なんでんかんでん、たいした怪我じゃありゃせんがな!」(今度はどこの言葉だ?)刑事・「そんでな・・・あんたのおとっつあんの話を聞くと・・・・自分で転んで怪我したんだけんど・・・おみゃーら勘違いして心中でもせんかとえらく心配してな・・・・あわてて警察の届けたんじゃが・・・・・」吾作・「でも捜査二課って・・・行方不明の捜査をするんでしたっけ?」(もうなんでもいいや!)刑事・「実は、あの宗教法人・・・・被害届けが出ておりましてな?・・・詐欺にあった人が訴えてきたんですわ」吾作・「詐欺?・・・あの神様がですか?・・・」刑事・「そうなんですよ・・・・レストラン東京って言う食堂がありますよね・・・・あの女将からの訴えなんですが・・・・最初の1週間だけ・・・観光バスが来てご飯を食べていったんだそうです・・・・でもそのあとなしのつぶてで・・・・いや、実害はないんですよ・・・・最初の食事代金はきちんともらってますからね・・・・」吾作・「バス会社の人が契約したんじゃないんですか?」(ようし・・・なんとなく流れが戻ってきそうだぞ)刑事・「契約書ではなく、最初のバスのときから前金でもらってて、領収書代わりの食事券を渡したんだそうです。・・・・その金額が24万円」(ずいぶん具体的な数字だなあ?)刑事・「一食1000円の定食を割引して800円・・・それを300食分」吾作・「でも、それって詐欺なんですか?」刑事・「バス会社に問い合わせたところ・・・・その食事券はある男が売りに来て、一食750円で引き受けたんだそうです。・・・だからバス会社の人間じゃなかったんですよね。」吾作・「え?待ってくださいよ・・・1000円の定食をレストラン東京では800円で食事券として売った・・・・それをバス会社では750円で引き受けた・・・・じゃあ、その中間の詐欺師の人たちは50円は損してるじゃないですか?」刑事・「そうなんですよ・・・・だからなんでその男達は損をしてまでその食事券を買ったのか・・・・私達は内偵を始めました。」吾作・「それで・・・・?」刑事・「実はあの宗教団体の経理の人・・・3人いますよね・・・・あの男達が、最初レストラン東京に来た3人なんじゃないかと・・・」吾作・「ああ・・・あの神様がつれてきた怪しい3人!」刑事・「そのほかにもこの前の村会議員選挙で当選した男から、献金があって・・・それで選挙違反をした容疑もあるんです。」およね・「ああ・・・今まで絶対当選できないって思われてた人・・・神様の占いで当選するっていわれて・・・当選したわね」刑事・「宗教法人の届出もしてませんし・・・・ずいぶん怪しいということなので・・・捜査してるんです。」なんとなく、元の展開に戻ってきているようですが・・・・お出かけの時間です。残念ですが続く・・・
2007.08.10
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さっき「つぼんちさん」のブログを読みにいったんですよ。「つぼんちさん」のブログは「今日は何の日?」っていうのが書かれてて、「そういえば、わたしがブログを書き始めた一周年の今日は、何の日なんだろう?」確かめてみようと思ったんです。そしたらね・・・・今日は「シンガポールの独立記念日」だったんですよねぇ。。。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私はシンガポールが大好きで・・・なんだかんだで10回以上行ってるんです。物価は高くなってきましたけどね・・・だから、私のハンドル・ネームが、シンガポールにある夜の動物園「ナイトサファリ」なんですよ。決して私が、「ネオン街でハンティング」しているわけじゃないですから・・・念のため。 「吾作」が「およねの父親」を殺したと思い込み・・・話は続くんですが、少し中身が違ってきました。前の場面では「およねの父親」が自分でひっくり返した卓袱台に突っかかって転んでしまい・・・そのまま意識を失ってしまったから・・・殺人を犯したという罪悪感を「吾作」が感じていいものかどうか?その時、舞台裏に、「およねの父親役」の部長が戻ってきたのです。「部長・・・大丈夫ですか?・・・血が出ているようですけど」「ああ・・・なんだかわからないうちに転んじゃったけど怪我はないようだ・・・・少し気絶しちゃって・・・それとこぶはできたみたいだけどな」部長は頭を擦りながらそういいました。「でも、血が出てますよ」「ああ、これは手のひらに仕込んでおいた血糊が、転んだとき思わず頭を押さえたから、破けちゃったんだ・・・心配ない」一成は少し安心しました。「でも、このあとどうしましょう?・・・・・僕はおよねの父親を殺してしまったという罪悪感でもって自殺しようとするんですよね?」「ああ、台本ではそうなってる」「でも、僕が手を出したわけではなく・・・およねの父が勝手に転んで死んじゃったように見えたのなら・・・罪悪感を感じますかね?」「そこだな・・・・でも、原因としては吾作が駆け落ちしようとして、それに興奮した父親が転んだんだ・・・・ということは、原因はおよねと吾作・・・二人の責任だよな・・・・このあとのシーンで吾作は鎮守様でおよねを待つんだけど、およねが現れない・・・実は鎮守様の床下で疲れて寝ちゃったんだけど・・・・そこをちょっと変えよう」「どういう風に変えるんですか?」「およねが待っていて・・・・吾作がわけを話す・・・親殺しは重罪だ・・・・そこで2人は鎮守様を拝んでいきさつを報告し・・・・二人で心中をしようとするんだよ・・・・」「それから?」「そのあとは・・・・う~ん・・・お前たちが芝居しているあいだに考えるよ・・・それまで頑張ってくれ!」まだ出番のない和代が呼ばれました。「私・・・アドリブなんか聞きませんよ」和代は腰が引けているようでした。「そんなこと言ってられないんだ・・・・なんとかしなくちゃ」押し出されるように、一成と和代は舞台に出されることになりました。吾作・「およねちゃん、遅いなあ・・・・」(あ、しまった!一緒に出てきたんだった・・前の台本どおりにしゃべっちゃった)およね・「あたしならここよ」(何やってんのよ!・・・気がつかなかったことにしておくけど・・・)吾作・「あ、およねちゃん・・・・実は俺・・・大変なことをしちゃったんだよ」(すまん、すまん・・・)およね・「なあに・・・たいへんなことって・・・・?」(いちおう聞くけどさ・・・父親を殺しちゃったって、簡単なのりで言わないでね?)吾作・「あのさ・・・さっき君のおとっつぁんがやってきて・・・・およねをどこに隠したんだって・・・・俺は黙ってたんだけど・・・・家捜しを始めちゃって、そしたら・・・・自分のひっくり返した卓袱台に足をとられて・・・大変な事になったんだよ」(あれ?おとっつぁんって言ってしまったなあ・・・・時代劇みたいになっちゃった)およね・「おとっつぁんが?・・・ねえいったいどうしたの?」(おとっつぁんって言っちゃったんなら、おとっつぁんで通すしかないでしょ)吾作・「血がドバって出て・・・もしかしたら死んじゃったかも・・・」(ドバ・・・だって・・・我ながらもう少し気の効いた台詞をいえなかったかな?)およね・「死んじゃったの?・・・・ねえ死んじゃったの?」詰め寄るおよね・・・・・(もう少し長引かせないと・・・・このシーンすぐ終わっちゃうわよ)吾作・「確かめてはいないんだけど・・・・もしかしたら・・・・ぴくっとも動かなかったから・・・」(ああ、そうか、今部長が次のこと考えて話を作ってるんだったな)およね・「ねえ・・・あなたが手をかけたの?」(動転して同じことを何度も聞き返すようにして長引かせようか?)吾作・「いや、うちのおっかさんが、家捜しでも何でもしろって言ったから・・・きみのおとっつぁんが、おう、せいでか・・・って探し始めたんだよ」(しょうがないだろ?・・・おとっつぁんって言っちゃったんだからおっかさんでも)およね・「それから・・・?」(そうそう・・・少しでも部長が次のストーリーを考えるまで延ばそうよ)吾作・「そしたら、卓袱台の角に頭をぶつけて・・・」(あれ?もう少し長引かせる言いかたってなかったかな?)およね・「卓袱台のかど?・・・・卓袱台って丸いから角はないでしょ?」(なんでも言いのよ・・少しでも長引かせられるなら)このシーン、まだまだ続きますが・・・・ちょっとお出かけ・・・またあとで・・・・
2007.08.09
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ブログ開設一周年 おめでとう!ありがとう・・・・(ひとり漫才するな!)昨日の最後のカウンターが「46285」でした。一年間でこれだけの人に来ていただいたんですね・・・感激です。ありがとうございました。夕べは、ちょっと体調が悪くて・・・・それでも飲み会があったんで行ったんですよ。そしたら・・・珍しく足に来ましてね・・・・立ってられない、歩けない・・・・「あれ?今日はなんだかおかしいぞ・・・・?・・・このまま逝っちゃったりして・・」なんて思うくらいヘベレケでした。ようやくタクシーを捕まえて、家に帰ったんですけど・・・ドアを開けたとたん倒れちゃって・・・何とか居間に運んでくれたのは、昨日横須賀から帰ってきたばかりの長男でした。もし、あいつがいなかったらきっと、玄関で朝までいたんでしょうね。しかし、私・・・読者の方が待っていてくださる限り・・・永遠に書き続けます。それまで死なないことに決めましたので、よろしくお願いします。 吾作の家でのシーン・・・・今、およねと駆け落ちするために、母親に永久の別れを告げたところです。「どうしたんだい?・・・一体何があったんだい?」「母親役」の副部長が「吾作役」の一成の腕に必死に取りすがり、問いただそうとしています。(痛い!・・・母親が本当に心配してくれてるんだなあ)一成は、この舞台の上で完全に吾作になりきっていました。現実と舞台が・・・・そして吾作と一成が・・・・一体となっていました。しかし、吾作は無言のまま悔しさを顔ににじませているだけです。そこへ・・・舞台下手からどたどたと音がして・・・・「およねの父親役」の部長が登場しました。しかし一瞬ですが間がずれたのです。それは、部長が一瞬躊躇したから・・・・なぜなら舞台の上では、一成と副部長が、鬼気迫る演技を繰り広げていたからでした。(この異様な空間に・・・・僕が入れるのか?)部長が普通の一般人なら・・・そんなことを感じることもなく・・・すぐにでも出て行けたことでしょう。でもこの部長・・・今は「シェークスピア」が乗りうつっていました。役者としての腕はあるかどうか知りませんが・・・劇作家としては史上最大の天才です。そんな人だからこそ・・・この空間に入っていいのか悩んだようです。「ウーッ吾作!・・・お前うちのおよねをどこに隠した!」遅れた間を少しでも挽回しようと・・・意味もなく部長は走りました。遅れた・・といっても一瞬ですから、観客にはまったくわからなかったはずなのに・・・それでも無意識で走ってしまったのです。本番直前のゲネプロの段階でも走るなんて事はなかった部長ですから、副部長が戸惑いました。「うちの吾作が何をしたって言うんですか?」・・・・という副部長の次の台詞が出てきませんでした。このあとはどうなるかというと・・・・「およねの父親」に攻められっぱなしの「吾作」の代りに・・・「母親」が一生懸命かばうのですが・・・今度はその「母親」をなじる「およねの父」・・・・・その言葉にかっとなって「およねの父親」を押し倒す「吾作」ところが倒された場所が悪く・・・・頭を打って血を流し・・・気絶させてしまうのです。でも、「吾作」をかばうはずの「母親」の台詞が出てこないのです。しかし、この時点で「吾作」と一体になってしまっている一成が・・・アドリブといえばアドリブですが・・・「およねの父親」の言葉に答えてしまったのです。「およねちゃんは渡さない・・・どんなことがあっても俺たちの愛情は引き裂かれはしない!」「およねの父」のこのあとの台詞は、「母親」に向けられるべき言葉なのですが・・・行きがかりじょう・・・吾作に話さなくてはなりません。また、「母親」も自分のタイミングの悪さでこうなったのですが・・・このままでは自分の口の挟むところがなくなりそうです。つまり・・・この場面での「母親」の存在意義がなくなりそうな・・・・したがってこのあとは、3人のアドリブ合戦でヒートアップしていきました。それではそのシーン・・・お楽しみください。父・「およねを渡さないだと?・・・・それじゃやっぱりここにいるんだな?」(おいおい、お前は引っ込んでなきゃ・・・ここは副部長との台詞のやり取りだぞ)母・「およねちゃんはここにいません・・・突然怒鳴り込むなんてなんですか!」(ごめんね・・・とちっちゃった・・・元に戻そうよ)父・「お前んとこのバカ息子が・・・うちのおよねを騙して誘拐したんだ」(ああ、よかった・・・そうだよ副部長・・・君の台詞で元に戻そう)吾作・「僕はおよねちゃんを騙してなんかいません・・・真剣なんです」父・「黙れ!・・・お前になんか話してない」(せっかく戻りそうなのに、何でしゃしゃり出て来るんだよ)母・「そうだよ吾作・・・今は私とおよねちゃんのお父さんとの話しなんだから」(一成君・・・頭を冷やして)吾作・「二人には関係ない話しでしょ・・・これは僕とおよねちゃんの問題なんだから」母・「でも、向こうのお父さんが言いがかりをつけてきてるんだからね・・・・こっちだって負けられないよ・・・サア・・・家捜しでも何でもやっとくれ」(この先どうするつもりなのよ・・・落ち着いてよ・・・) 父・「ああ、天井裏から床下まで徹底的に探してやる!」(家捜しする・・・なんて・・・僕そんなこと台本に書いてないぞ!)それでも行きがかりじょう・・・家の中を探す部長・・・・といってもほとんどがカキワリで探しようもなく、ちゃぶ台をひっくり返したり、箪笥の引き出しまで開けて探し始めたのです。そんなところに人間が入れるわけがない・・・しかし、観客は「ここは笑うところなんだろうな?」と勝手に解釈し・・・クスクスとあちこちから笑い声が起こりました。その笑い声を聞いた副部長・・・とっさに・・・「さすがだねえ・・・大事な箱入り娘だから箪笥の引き出しにも入るんだろうね」ここでどっと笑い声が起こりました。それに対して部長もすぐに反応し・・・今度は「母親」に嫌みを言うのです。「お前のバカ息子も・・・箱に入れて鍵をかけとけ!」このとき、家捜しをしてひっくり返したちゃぶ台に足をとられ・・・・「およねの父親」は勝手に一人でひっくり返ってしまったのです。「う~ん・・・・・」転んだ拍子にどこかぶつけたのか・・・部長は起き上がってきません。(これって・・・・お芝居?)副部長の頭にはいろいろなことが交錯していました。(お芝居では一成君が押し倒して・・・殺してしまったと思うんだけど・・・・自分で転んだのに、殺人になるんだろうか?・・・・・でもここは家族しか見ていないから殺してないといっても誰も信じないだろうし・・・だいいち・・・本当に転んだんなら起きてきてお芝居を続けなくちゃ・・・・いや!・・・本当に気絶してる?)いろいろ悩んだ末・・・「母親」は「吾作」に叫ぶのです。「早くお逃げ!・・・・このまま捕まったら、お前殺人犯にされちまう・・・早く2人で逃げるんだよ・・・・あたしのことはいいから・・・逃げて幸せになるんだよ!」そう言って、「吾作」の背中を押すのでした。「で、でも・・・このままじゃ・・・」ようやく現実に戻った一成・・・・どうしていいのかわからないまま・・・背中を押され、下手に下がったのです。その背中に向けて・・・「母親」が叫びます。「オッカアのことはいいから・・・・およねちゃんを大切に・・・幸せに暮らすんだよ~」大きな声で叫んだと同時に暗転・・・・・・こうして、この場面は終了したのです。エ?なぜ「神様」はこの失敗した部分の時間を戻さなかったかですって?「神様」はこのとき、楽屋で寝てたんですよ。ということで・・・・ つづく
2007.08.09
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今日は8月8日・・・去年の8月9日からブログを書き始めてますからちょうど365日ですよね。カウンターの数字は今・・・「46177」ですが、このブログの読者の皆さんは中身の濃い方ばかりですから、一人3人分あるんじゃないかと思ってます。ということは、「138531」人分の価値があるんじゃないかと・・・・(おいおい、数字をごまかそうっていうのかよ?)まあ・・・それはそれとして・・・・しかし、よくもったもんですよね・・・・こんなに続けられるとは思っても見ませんでした。これもひとえに、読者皆様のご愛顧の賜物と、衷心より深く感謝申し上げる次第であるます。長いあいだまことにありがとうございました。(あれ?これじゃ終わりみたいだな?)今後ともご支持ご支援を賜りますよう、お願いを申し上げまして、前夜祭のお礼の言葉にかえさせていただきます。・・・ありがとうございました。(前夜祭の挨拶ということは、明日もまた挨拶するつもりだな?) お芝居と現実がごっちゃになっていた「神様」・・・・およねの父親が「神様の嫁にうちの娘を・・・」と言った設定になっているお芝居なのに、それを真に受けた神様が、「丸山和代には特に興味はないが・・・くれると言ったものを断る理由もない」・・・みたいな現実的な発言をし・・・・それは時間を戻してもう一度やり直したからほかの出演者や観客の心には残っていないものの、一成にはずいぶん気になることでした。(あれが神様の本音?)「神様」が自分で一成に与えてくれた(?)恋人を・・・自ら取り上げようとしているのだろうか?何でも出来る神様だからこそ・・・・一成は不安を覚えました。だから、その次のシーン・・・・およねと駆け落ちの約束をする場面でも・・・本気で駆け落ちをしなければ・・・みたいな気持ちになったのです。駆け落ちの準備をするためにいったん家に戻り、母親に駆け落ちすることを伝えるシーンは・・・・もっと真に迫ったものになりました。そのシーン・・・・ご覧ください。「・・・・ただいま・・・」「おや・・・?・・今日はずいぶんと早いんだねえ・・・・ハイおかえり!・・・」「ちょっと具合が悪くなってサア・・・・早引けしてきたんだよ」「あら・・・・熱でもあるのかい?・・・・」熱を計る風に一成の頭に手をやる「母親役」の副部長・・・・・「特に熱があるわけでもないねえ?・・・まあ、せっかく神様が世話してくれた事務員の仕事・・・・簡単に休んで、神様の迷惑にならないようにしなければ・・・おかげでこんなに楽な暮らしができるようになったんだもの・・・」その言葉に無言で下を向く吾作・・・・・「これだけ暮らしが良くなったんだから・・・・母さんねえ・・・・もうそろそろおよねちゃんを嫁にもらってもいいんじゃないかと思ってるんだけど?」その言葉に、今度は背を向けてしまう吾作・・・・「向こうのご両親にもきちんと挨拶しなくちゃね・・・・だから、あたしからお前に、・・・今日はプレゼントしようと思って・・・・」吾作の感情の変化に、家事をしながらの母親は気がつかないまま、箪笥の上からカタログを持ってくるのです。「これねえ・・・町に買い物に行ったとき”洋服の青カット”っていうお店で、お前の背広を買おうと思ったんだけどね・・・やっぱり本人じゃなきゃ、気に入ったものもわからないからねえ・・・・それでカタログをもらってきたんだよ・・・・新しい背広を着て・・・・向こう様にご挨拶してらっしゃいよ」カタログを受け取る吾作・・・しかしその手には力がありませんでした。「事務員と言う仕事は背広が仕事着だからね・・・もう一着あってもいいし・・・ああ・・一着買うと、もう一着が1000円でいいんだって・・・・」そのせりふと同時に、吾作の目から一筋の涙が・・・・・・・「どうしたんだい?・・お前が泣くなんて?・・・おかしいよ」こんなことでうれし泣きする子でもないし・・・ようやく異変に気づく母親・・・・実はこのシーンなんですけど・・・・・、一成は稽古で一度も涙を出すことができなかったんです。そりゃ当然でしょう・・・一成はこれまで一度もお芝居の経験がないんですから。小学校の学芸会でも唯一与えられた役が「松の木」もちろん台詞なんかありませんでした。そのほかの「劇」でも、その他大勢で走り回る役しかしたことがないのですから。それが高校になって成り行きから演劇部に入り、そしていきなりの主役・・・とてもじゃないですが「泣け」と言われて簡単に泣けるようなもんじゃないんです。「母親役」の副部長も、驚いてしまったのです。(この子・・・本番に強いんだわ・・・・これは、あたしもしっかりしないと!)副部長の勘違いです。・・・・一成は本当に和代との仲を「神様」に引き裂かれるような感覚になっていて・・・それが迫真の演技のように見えたのです。「オッカア・・・俺、この村も・・・・そしてオッカアも捨てて村を出る!」そういうと、一成の目からはどっと涙があふれました。(すごい!・・・・この子・・本当にすごい・・・もしかしたら天性の役者なのかもしれない!)副部長も、一成の演技に合わせる努力をしなければなりませんが・・・さすが、中学からの演劇経験者!間のとり方といい・・・感情移入も・・・文句なしの空間を作り上げたのです。 おっとお出かけ・・・・続く
2007.08.08
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今日は「ネブタ合同運行」の日・・・ジュニアも楽しみにしていたんですよ。ところが・・・ところがですよ!・・・・スキーのクラブの合宿が今日なんですよ。実は、合宿に参加して・・・ネブタ運行のときだけ抜けてこようって言う計画だったんですけど・・・参加人数が少ないっていう理由で・・・・「むつ小川原湖」にテントを持ってって、「キャンプ」することになったようなんです。そこまで行かれてしまうと、途中抜け出して・・・というわけにはゆかず・・・けっきょく「ネブタ」は参加できなくなっちゃいました。だから今晩ジュニアはいません・・・・でも、・・・ジャジャ~~ン!長男が大学の「夏休み」で帰ってきたんです。横須賀から自転車で・・・・・・1日150キロ走って・・・5日で帰ってきました。今風呂に入ってます。 「およねちゃんのお父さんが、彼女を神様の嫁に差し上げます・・って言ってるのよ」それを聞いた吾作は驚いて、思わず立ち上がってしまいました。そのとき奥の部屋から、神様がおよねの父親を見送って出てきたのです。「じゃあそういうことで・・・」「いやあ・・・ほんとあんたに娘を貰ってもらえるなんて・・・コリャ娘は幸せになりますな」二人は大声で笑いあいました。しかし・・・およねの父親は、そこに吾作が立っているのを見ると、ばつが悪そうにこそこそと出て行ってしまったのです。さて問題はここからです。吾作役の一成が、台本どおり・・・・「神様・・・・あなたって言う人は!・・・僕と彼女が付き合っていることを知ったうえで・・・」そう言うと、なにを勘違いしたんでしょうか・・・・・「マロは和代になんぞ興味はないぞ・・・お前らは学校中が認めた仲じゃないか」突然素に戻ってしまったのです。「神様!」一成は思わず大声を出してしまったのです。後ろにいた、娘役の女子部員たちも真っ青になっていました。しかし、そこは神様・・・少しもあわてず・・・・「アア・・・コリャ芝居の最中じゃったな・・・悪い悪い・・・・」観客席もざわついていました。「お前の芝居が、あまりにも真に迫っておったからのう・・・マロも思わず現実と勘違いしておった。」芝居の最中に誉められても・・・・・「大丈夫じゃ・・・・少し時間を巻き戻せばいいのじゃろ?」そう言うと指先をチョコット動かしました。たちまち時間は戻り・・・・およねの父親がこそこそ帰って・・・一成が神様を怒鳴りつけたところまで戻ったのです。「なにをいう・・・・わしは神じゃ・・・本当の嫁なんぞ必要ない・・・・およねは巫女としてわしに仕える・・ただそれだけじゃ」そう言うと、「神様」役の「神様」は奥の部屋に戻っていったのです。どういうわけか・・・この事件を事件として捉えているのは一成だけ・・・・他の出演者も観客も、時間を戻したなんぞということにはちっとも気付いていないようでした。次のシーンは鎮守様で吾作を待っているおよねの台詞から始まりました。「「うちの父さん・・・なんてことを・・・・わたしに一言の相談もなく・・・」1人いらだっているようでした。そこへやってくる吾作・・・・息せき切ってやってきた吾作を・・・抱きかかえるように迎えるおよね・・・・「吾作さん・・・・うちのお父さんが・・・」「・・・ああ・・・さっき事務所に来ていたから知ってる。」「どうしよう・・・・相手は神様だもの・・・うちの父さんはすっかりその気になってしまって・・・・」「どうするっていったって・・・・神様に逆らうわけには・・・」「あたしは、あなた以外の人とは・・・・そうなるくらいなら・・・」およねは思いつめたように、吾作に詰め寄ります。しばらくそんなやり取りが続くのですが・・・吾作も覚悟を決めたようにおよねに言い聞かせるのでした。「わかった・・・・この村では一緒になれない・・・・2人で村を出よう!」こうして、2人は駆け落ちすることになりました。待ち合わせの場所を深夜にこの場所で・・・・2人は準備のためにそれぞれの家に行ったのでした。 つづく
2007.08.07
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「前にも読んだような・・・」・・・・そうなんですよ・・・前にあらすじ書いてましたよね。でも今回のはそのあらすじにそって、本番のお芝居をしているところなんですよね。せりふだけだと心の動きがわからないと思い、説明まで書いているんであらすじと同じになってるんですけど・・・・でもこれから・・・・舞台上で繰り広げられる、事件が出てくるようにしてます。 男三人組が舞台に登場しました。レストラン東京の女将(お歯黒お母さん)が、自分の食堂で起こったことを、回想風に説明しているシーンで・・・舞台の下手側にスポットライトで食堂を再現していました。ですから、2メートル四方ぐらいのスポットライトの中に、3人の男・・・柔道部の男がひしめいています。女将はスポットライトの中に入らず、暗闇から声を出して「陰の声」のような感じです。「いやあ、車が故障して一時はどうなることかと思いましたね。」「こんな近くに食堂があって助かりました。」「そういえば、食事をちょっと早いですけど済ましておきましょうか?・・・修理工場へ電話を掛けてもらったお礼もありますからね。」「メニューは・・・っと・・・おやおや・・・田舎の食堂だからろくなもんがない・・・”シェフのお勧め”っていうのがありますけど?」「シェフって・・・この食堂にシェフですか?」「厨房の奥に、爺さんがステテコ姿で立ってますけど・・・あれがシェフですかね?」「手がぶるぶる震えてるような爺様ですよ・・・あれで包丁が握れるんですかね?」「まあ・・・贅沢いってもしょうがない・・・シェフのお勧めって言うのを3つください」3人で、暗闇のスポットライトの中で現代劇風に話してるんですけど・・・何しろ化粧が「くまどり」ですから・・・少し異様です。で、今度は女将の影の声・・・・「サア、注文はもらったんざますけどね・・・何しろまだ午前中だったんでね・・・材料も何もそろってない・・・・だから、夕べ私が食べた残り物が冷蔵庫に入ってたから・・・それを出したんざますよ・・・ホホホホホ・・・・エ?シェフのお勧めじゃないじゃないかですって?・・・シェフのお勧めざんすよ・・・・だってあたしがシェフざあますもの・・・厨房の奥のおじいちゃん?・・・・それはきっと二階で寝ていた爺ちゃんが、トイレに起きてきたんざんしょ・・・・あくまでもあたしがシェフ」それからまた柔道部の3人が会話を始めます。「おい、田舎料理だと思ってたら・・・意外といけるじゃないか!」「そうですね・・・これなら、名物料理として観光客に食べさせられますね」「駐車場も廻りは野っ原出し・・・10台は停められるし・・・ここ、今度の観光コースの昼食会場でいいんじゃないですか?」そして暗転・・・・吾作の家の中が今度は明るくなりました。「というわけでね・・・・来週から観光バスがうちでお昼を食べることになったざますよ・・・これもひとえに、この旅人様のおかげ!(拍手を打つ)・・・とりあえずお礼方々ご挨拶・・・・いやあ・・・これで景気もよくなるざますよ・・・ホホホホホ」こういって女将は下手に下がります。「おどろいたなや・・・・ひとりでくっちゃべってひとりで拍手を打って・・・そのままいっちゃったよ・・・」「わしが言ったように、あの食堂にいいことがあったじゃろ?・・・・何しろわしは神様じゃからな・・・アハハハハハハハ・・・」舞台が暗くなって場面転換・・・・吾作の家の中ですが、ちょっと事務机なんぞがおいてあり、そこには吾作と、最初の場面で川で洗濯をしていた村娘3人がいました。「でも、驚いたわねえ・・・・あのレストラン東京の観光バスのことがあってから、村には次々いろんなことがあって・・・・・それがみんなうまくいく・・・・」「やっぱり、あの人只者じゃないと思っていたら・・・本当に神様だったのよねえ」「徳永さんとこのケン坊が行方不明になったときなんか・・・・消防団も出て探したけど・・・どこにも見つからない・・・”もうだめ”ってあきらめてたら・・・あの神様がやってきて・・・”鎮守様の社で眠ってる”って・・・言ってみたらほんとにそこで寝てたもんねえ」「この前の村会議員選挙のときも・・・いつも落選してた”弥八さん”・・・神様にお願いしたら”今度の選挙は当選だ”って言われて・・・・見事当選・・・当たったもんね」「あれは、逆に、”神様が当選だっていうなら応援しなければ”って・・・村の人がみんなその気になったのよ・・・神様をうまく宣伝に利用したのよね・・・・」「ここも・・・村の人だけでなく、近くの町や村の人も来るようになって・・・・いつのまにかこんな大きな宗教団体になってしまったわ」「でも、吾作さんも、こんないいところに就職できたし・・・・言うことなしよね・・・これではれておよねちゃんとも結婚できそうだし・・・」「でも、奥の会計を担当している人たち・・・・神様がどこからか連れてきたらしいんだけど・・・・地元の人じゃないしね・・・・いつも威張ってて・・・・本当なら、吾作さんが事務局長かなんかになって一番偉い人にならなきゃいけないのに・・・」「そういうなよ・・・・神様が信頼できる人が経理でいいじゃないか・・・・この団体の経営も順調に伸びていってるし・・・」そこへ奥の部屋からドアが空き・・・その経理の係りが顔を出し・・・・「おい。お客様が来ていらっしゃるのに気がつかなかったのか?・・・お茶をお出ししなさい」「あれ?気がつかなかったなあ・・・どなたがいらっしゃったんですか?」「たかが事務員のお前が気にしなくていい・・・だれかお茶を早く」そういうとバタンとドアを閉めたのです。ひとりの娘がお茶の準備をし・・・ほかの3人は事務机に座りなおして、仕事を始めました。そして・・・・しばらくすると・・・・お茶を出しにいった娘が戻り、吾作の顔をうかがうと・・・ほかの娘2人だけを呼び集めたのです。「ねえねえ・・・誰が来てたと思う?・・」「エ?お客様ってあたし達が知ってる人?」「ねえ・・・誰よ・・誰が来てたの?」「あのね・・・・」もう一度、吾作の顔をのぞきこむようにして・・・・またみんなのほうを向き直り「来てたのはおよねちゃんのお父さん!」「なんの相談なんだろう?」「およねちゃんのことなんだけど・・・・お嫁さんに差し出すって」「吾作さんとこに嫁にやるって言う話し?」「そうじゃなくて・・・神様のお嫁さんに差し上げるって言ってるのよ・・・」「ええ?およねちゃんを神様に?」聞いた娘達は、思わず大声になってしまったのです。だから・・・吾作の耳にも入ってしまいました。 さあ・・・どうなるのでしょう?って・・・あらすじは前もって話してありますからわかりますよね・・・・ちょっと時間がないので、・・・続く
2007.08.07
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車で一時間のところにある工事現場で、「安全祈願祭」を行ってきました。普通、神事の後「直会(ナオライと読む)」と言う飲み会がセットされているんですけど、今回は「施主様」のほうで、「時節柄、昼からお酒を飲むのは慎みましょう」ということで中止にしたんです。よくスナックのママさんなどから叱られるんですが、・・「最近は、建設会社で飲みに来ないから・・・飲み屋街は閑古鳥よ・・どうしてくれるの」だって、お客様と飲みに行くというのが許されなくなりましたから・・・・・勘弁してください。 旅人は自分が、「鎮守の神様」だと言い張りますが・・・・一般常識として神様がのこのこと人前に顔を出すわけがありません。したがって、村人がいくら純朴だと言っても、誰も信じないのです。「お前達・・・・わしの言うことを信じないのか?・・・信ずる者は救われる・・・・逆もまた真なり・・・信じない者は救われないぞ!」こう言われると・・・「お前はきっと詐欺師だ」とは言えない人たちでした。「サア・・・誰の家に泊めてくれるんだ?・・・わしゃ疲れたからのう・・・早く決めないと・・・隣村に行ってしまうぞ。」詐欺師とわかっているものを泊めるのは怖いし、さりとてもし本物だったら罰が当たるのも怖い・・・・村人達はあちこちで、押し付け合いを始めました。「わかったわかった・・・・俺が毎日鎮守様に行ってお参りして・・・村が豊かになりますように・・・ってお祈りしたのが悪いんだ・・・俺が責任を取るよ」「おいおい、聞き捨てならんことを言うな・・・・この村が豊になっては悪いようじゃないか・・・ようし、決まった・・・それじゃ、わしゃ吾作の家に宿を取るぞ」こうして、「旅人」は吾作の家に泊まることになりました。家に戻ると、吾作の母親がひとり仕事をしています。吾作は、旅人を泊めなければならない経緯を話しました。「オッカア・・・実は教ひとり泊めてもらいたい人がおるんじゃが?」「おや・・・どなたかのう?」母親は顔を見ましたがもちろん知るよしもありません。「実は・・・この方・・・鎮守の神様なんじゃが・・・」「近所の誰様?」少し耳が遠いようです。説明を繰り返し、ようやくわかってもらえましたが、母親だとて、神様だと信じたわけではありません。「神様には立派なお社があるのに、こんな貧乏な家に泊まりたいわけがねぇ・・・・まあしかし、せがれが約束してきたんなら、しょうがねえ・・・あまりいい物は出せねえが、もうすぐ晩飯もできあがるで、それを食ったらさっさと寝てくんろ。」本当に貧乏な家庭で・・・・わらの入ったおかゆのようなもの・・・・土を溶かしたような味噌汁・・・・「藁食って・・土食って・・・それにお湯を飲んだから・・・腹の中に壁ができたワイ・・・も少しましなもんが食いてぇもんじゃな・・・・」「神様」は文句ばかり言い続けましたが、そのまま奥の部屋にいって高いびき・・・寝てしまいました。「オッカア・・・俺、これからいつものように鎮守様にお参りに行って来るだ」「おや・・・鎮守様なら我が家におる・・・・わざわざお参りに行かんでも・・」母親は、息子が「およね」に会うために「鎮守様」に行くことを知っていましたが、少しからかい気味にそういいました。吾作は、毎日「およね」に会うために鎮守様に行っていて、その時にいつも「村が豊かになりますように」とお祈りしていました。しかし、この日はいつもそんなに遅くならない「およね」がなかなか来ませんでした。「およねちゃん・・・遅いなあ・・・またおど様に叱られておるんじゃ廊下?・・・あんな貧乏な吾作とつきあうんじゃねえ・・・とか」それは当たっていたのです。まもなく落ち込んだ様子の「およね」が登場します。「どうした?」心配そうに覗き込む吾作・・・・・・「また、あんたのことを言われたの・・・それからいつものように縁談話・・・・」「スマンのう・・・・俺に甲斐性がないばっかりに・・・・」「大丈夫だって・・・・そのうち、あきらめてくれると思うから」やけ気味に明るく振舞うおよね・・・・・「もし、どうしても駄目だったら・・・・あたしを連れてこの村から逃げてね。」意を決した顔をするおよねでしたが、吾作にはたった一人の母親を残してはいけません・・・・益々落ち込む2人でした。翌日の昼ごろ、吾作の家のシーン・・・・・・「ねえ・・・吾作や・・・・昨日・・・およねちゃんと会ってきたんじゃろ?」母親はおよねが吾作の嫁に来てくれる日を楽しみにしています。「ああ・・・でも、およねちゃんの両親が・・・・・」「やっぱり、うちとこみたいな貧乏人のとこは駄目だってかい?」無言の吾作・・・・・「もし、そうなら・・・いっそおよねちゃんを連れて村を出て行くがいい・・・・」「それじゃ、オッカアが村にいられなくなる。」「お前らの幸せのためじゃもの・・・ここにいられなくなったら東京に行って、秋葉原のメイドにでもなんべえ」時々「時事ネタ」もはさんで・・・・・「そういえば・・・お前が昨日つれてきた神様なあ・・・・いくら起こしても起きてこねぇんだよ・・・」「もう昼だで・・・・・いくら神様でも、こんなに寝ていいンかのう?・・・・俺が起こしてくるべぇ」立ち上がる吾作・・・・そこへ神様が玄関を開けて入ってくる。「ああ・・・食った食った・・・・まずい飯だったが・・・昨日の壁の材料を食ったよりはいいもんが食えた。」「神様・・・どこへいっとったかね?」「ああ・・・村はずれにあるレストラン東京さ行って来た。」「レストラン東京って・・・・あのラーメン屋かね?」「ああ・・・あの自分では東京弁だと思ってる変な言葉を使う女将の店」「あそこはまずいんじゃが値段だけは東京なみじゃ」「そうらしいな・・・払って来んからわからんが・・」「エ、あの女将が・・・ただで?」「いや、お前につけてきた。」そうこうしていると・・・・そこへ噂の女将がやってきます。今や「神戸美代」という高校3年生に化けていますが・・・もともとは「お歯黒お母さん」です。食堂の女将三役をするのに・・・・どういうわけかやっぱりお歯黒をしています。「お歯黒」を見たことのない観客は驚いていましたが・・・・前衛的古典的・・・と歌ってありますし・・・男子部員がみな「くまどり」をして出ていますからこんなものかなと思ったようで・・・・「大変ざますよ・・・吾作さん・・・その方・・・やっぱりとんでもない方ざます。」わけを聴くと、「神様」が帰り際に、「お前のところにこれからいいことがある・・・だから吾作につけておけ」といったようで・・・・・まあ女将さんも、変な男に取り付かれたワイ。。と思いながらも、吾作の家の居候だと聞いていましたから・・・とりっぱぐれはないだろうと・・・そのまま帰したのだそうです。そこへ現れたのが怪しい紳士3人組・・・・ひとりは旅行会社・・・ひとりはバス会社・・・そしてもうひとりは県の観光課の役人・・・・この3人が現れたのが騒動の始まりで・・・・ さてそのつづきは・・・・またあとでね・・・・
2007.08.06
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昨日はごめんなさい。ほんと疲れて寝ちゃいました。今日はこれから、「工事安全祈願祭」・・・ちょっと忙しいので、また少しだけ・・・・ 舞台に一成が登場すると・・・なぜか拍手が起こりました。「ロミオ・一成と丸山ジュリエット」の噂が出ていましたから、この芝居を見に来ている人も、当然そのことに興味津々な観客が多いのです。何しろこの2人が「主役」を演じるのですからね。中には・・・・昔の芸能人でよくあったゴシップねたですけど・・・・何の才能もない自分の恋人を・・・自分のショーや映画に出演させると言う・・・・そんな「嫌み」なことを和代に言った人もあるそうで・・・・そりゃそうかもしれません・・・・何のとりえもない・・・演劇経験もなければ、「神様」のような「カリスマ性」もなし・・・・そんな一成が、演劇部に入部したとたん、とつぜんの主役・・・誰が見たって、恋人を「相手役」に起用したい和代が、ごり押ししたよう似たらえられても致し方ありませんでした。芝居は続きます。「皆さん・・・ようお稼ぎで・・・・」吾作が言うと、娘達が「旅人」のほうを、あごをしゃくって・・・吾作に見させるようにします。「おや・・・見かけない旅人さんですね?」「おお・・・お前が吾作だな・・・ようしっとる・・・・いつも社に来て拝んでおるからな・・・俺じゃよ・・俺・・・わかるじゃろ」「エーット・・・・どなたでしたっけ?」「お前はいつも、”この村が豊かになりますように”と・・・願っておるではないか」「え?」「このたびは、お前の願いをかなえようと思い・・・・わざわざこうして出かけてまいったのじゃ・・・・それをこの百姓ども・・・」「すると、あなた様は村の鎮守の神様」「おお、そうじゃ・・・・ようやくわかったかのう・・」しかし、村人達はどうしても信じられません・・・ ということでお出かけ・・・じゃあまたね。
2007.08.06
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ネブタ初日を終わってきました。正直、疲れました。他の町内はお父さんたちが参加してくれていますが、うちの町内はお母さんたちのほうが多いんです。もう少しお父さんたちが参加してくれるといいんですけどね・・・・ 旅人が登場すると・・・村人たちが排他的に警戒感をあらわにしました。「おうおう!・・・疲れちまったんだ・・・・水の一杯も恵んでくれようって言う優しい娘はいないのかよ?」その言葉を聞いた娘のうちAという娘が、ひしゃくに水を一杯汲んでその旅人に渡しました。「ふん・・・ほんとに水だけかよ・・・・他の村じゃ、お水を一杯だけ飲ませてくれっていったら・・・お茶を入れてくれたもんだけどなあ・・・ほんとに田舎っていうのは気がきかねぇ人が多くて、困ったもんだ。」それでもゴクゴクのどを鳴らしながら、上手そうに水を飲むと・・・「しょうがねぇ・・・もう一杯飲んで腹の足しにでもするか・・・・ついでにそこに置いてある・・・握り飯・・・だれもくわねえのか?・・・それなら俺によこしてもよさそうなものだ」Bという娘が渡すと、一口ほおばって・・・・「飯も食ったら眠くなった・・・・この親切な村の衆だ・・・・誰か、うちでお休みになりませんか?・・・くらいの気の聞いた言葉をかけてくれるヤツはいないのかよ?」みんなは・・・・「そんなことまではできない」と口々に言うだけでした。そこへ・・・・上手から、二枚目役の吾作ドンがやって来るのです。吾作は旅人に気がつかないらしく・・・通常の挨拶をしていました。ダメだ・・・・寝ます。
2007.08.05
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今日から、地元の「子供ネブタ」が始まります。隣地区の、ちょっと大きな「ネブタ」の運行は、昨日雨で中止・・・・今日も雨が降りそうなので、・・・デモ「小雨決行」だそうです。 本番当日・・・演劇部公演「天命・およね吾作・・・恋のみちゆき」・・・なんとも歌舞伎風というか・・・古風なタイトルのお芝居が始まります。どうやらタイトルは「初代市川団十郎」が「近松門左衛門」と相談してつけたようで・・・・最初の「新説ロミオとジュリエット」というタイトルはどこに行ってしまったんでしょうか?まあ・・・台本を書き終えた段階で、シェークスピアはどうでもいいと思ったようで、あとは「演出」担当の団十郎に任せたようでした。「初代団十郎」が演出となると・・・あとは歌舞伎風になっても止むを得ないわけで・・・・男子部員の化粧が・・・・現代劇でありながらクマドリをするという・・・・演劇部の部員たちも・・・・目新しいというか古風というか・・・それを友達に話したようで・・・・けっこう前評判は高いものでした。「今回の演劇部の出し物は、シェークスピア劇のようでもあり現代劇のようでもあり・・・歌舞伎もミックスされていて古典のようにも前衛的なもののようにも感じられるお芝居らしい」宣伝用に作られたパンフレットも、団十郎が「蔦屋重三郎と平賀源内」に発注したらしく・・・古風ながらも新鮮な・・・人の目を引くパンフレットが出来上がったのです。最近のパンフレットなら、主役の名前が最初に出てくるのですが、歌舞伎の順序らしく・・・・二枚目役の一成は、座長である部長の名前の次に書かれてありました。・・・・それこそ二枚目に・・・・・初芝居である一成が、いきなりの主役ですから・・・緊張するなといっても無理な話し・・・・1時間も前から立ったり座ったり・・・・思い出してはトイレに向かうという緊張の局地にありました。マア男子部員といっても、主役で二枚目の一成の化粧はただの「白塗り」・・・目元だけ朱をちょっと入れたくらいの化粧でしたから、あまり時間はかからないのですが・・・・・それにしてもその姿でトイレをいったりきたりするのは、周囲を驚かすのに充分でした。その姿を見た人たちの話題にも上り、入場無料の会場はいつになく超満員でしたのです。他の人たちはどうだったのでしょう・・・・・和代は子供時代から演劇をしていましたし・・・他の部員たちも中学時代にはもう演劇をしていた人ばかりでしたから落ち着いているようです。落ち着いてないのは、一成と柔道部員たち・・・そして「神戸虎平」と「神戸美代」だけです。「一成君・・・大丈夫よ・・・・いつものようにやれば、きっとうまくいく・・・それだけ他の人よりも練習したんだもの」和代は自分の事より、一成のことが心配のようです。最初の場面は・・・数人の村娘が村を流れる川で洗濯をし、たった一つの井戸で夕餉の仕度をしているシーンから始まりました。最初の場面・・・・それは村の若い男たちが「およね」にプレゼントをして気を引こうとする場面でした。現代劇なのに、川で洗濯?まるで戦前のような景色ですが・・・・マア演出家がそういうのですからしょうがありません。井戸端会議のようなところへ、部長と吉田老人が登場します。え?何で吉田老人が登場するの?実は男子部員が増えたということで・・・・男の役を増やしてしまったのです。・・それも急なことでキャストが間に合わない・・・・そこで演出家「市川団十郎」が自分で出ると言い張ったのです。それでは最初のシーンをお楽しみください。娘A 「ネエ・・・さっきからあっち行ったりこっち来たりなにしてるのさ?」村人A 「何でもネエ・・・ただ歩いているだけだ」娘B 「そう言ってはいるけど・・・どうせおよねちゃんを探してるのさ・・・何かまた貢物を見つけて渡そうとしているんだろ?・・アハハハハ」娘C 「今度はなにを買ってきたの?・・・・」村人A ゆっくり持っていた袋から真珠のネックレスを取り出す。娘C 「マア・・・綺麗!」村人A 「あ、触るんじゃねえ・・・あの人に見せるまではだれにも触らせねえ」娘A 「あの人にそんな気はないよ・・・あの人は吾作ドンが好きなんだもの」村人B 「そんなことはねえ・・・・俺の買ってきた指輪を見れば・・・だって吾作は貧乏で・・・なんも持ってねぇからな」そう言って、きらきら輝く指輪を太陽にかざしてみる。娘B 「でも、あの人は純粋な吾作ドンが好きなんだよ・・・ものにつられるような人じゃないよ」娘C 「あたしならすぐにその気になってあげるけどねえ・・・あはははは」そこへ旅人が登場するのです。しかし・・・シナリオ風に書くというのは面倒なものですなあ・・・作者としてはすごくわずらわしい・・・・・という事で、この続きは、普通の物語風にします・・・・深夜に・・・じゃあそれまで・・・待っててね!
2007.08.05
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台風の影響なんでしょうか?今朝から雨が降っていて・・・気温も涼しいくらいです。思い出すのは27年前の、青森市の建設会社に勤務していたときの事・・・・「ネブタ」は夜の祭りですから、仕事を終えてから仕度をして仲間と「跳ね」に行こうと行ってたんですけど・・・・雨がだんだん強くなりましてね。でもまだ若かったから、「これくらいの雨なら大丈夫さ」って張り切ってたんですよ。で・・・出かける直前・・・・・寮に住んでいた私と仲間に、会社から緊急連絡。「川が氾濫した・・・・至急、川に行って土のう積みの作業をしろ!」しょうがなく雨具を着て土のう積みに行きました。雨は止んだのですが川は増水して作業はたいへん・・・泥だらけになって、土のうを積んでいましたが・・・少し離れた橋の上には・・・・豪華絢爛で勇壮な「ねぶた」が・・・・・・情けなかったですね・・・・みんな遊んでいるときに泥だらけ・・・・仕事だからしょうがなかったけど・・・・一緒に「跳ねよう」って約束していた彼女とはそれっきりになりました。 中間試験が終わったので、あとは文化祭のための練習だけ・・・・演劇部も毎日練習することになりました。もちろん一成の練習にも力が入ります。1日1日、自身の様な物がみなぎってきます。少しだけ問題はありました。それは、技術的な問題なのですが・・・・・ラスト近くのシーンで「神戸虎平」が演じる「神様」と「丸山和代」が演じる「およね」が一緒に天井から、雲に乗って降りてくるシーンでした。雲はドライアイスで対応できるのですが、舞台は学校の体育館です。2人が乗ったまま台を吊りさげる装置がないのです。それに、和代は高所恐怖症気味で・・・・そんな高いところで待機しているのもできない相談でした。急遽、「およね」は舞台下手から登場することにしたのですが、いくらなんでも「神様」を「徒歩で登場」させるわけにはいきません。何とか、神様だけは天井に待機させて吊り下げなければならないのです。人力でやるしかないでしょう・・・・だってモーターを使えば、「ウィーン」という回転音がするんですから・・・・みんなで一生懸命考えました。「女の子しか動員できないからなあ・・・・たとえ虎平君1人だとしても、持ちこたえられるかなあ?」「柔道部の4人がいるじゃない・・・」「ダメなんだよ・・・その時は4人とも、そして一成君も友也君も・・・・みんな舞台に出てるから」でもこの問題は、はなから解決しているのです。だって「神様」がついていますから、いざとなったら雲に虎平君を乗せ空中浮遊させればいいんですから・・・・・問題なのは、それをだれにもばれないようにして空中浮遊させなければならないということ・・・「シェークスピア部長」と「神様」は相談しました。形だけ台にロープをつけて女子部員に引っ張らせるが・・・実際は「神様」が空中浮遊させるということを・・・・・そして・・・・いよいよ本番当日になりました。あらすじについては以前お話しをしてありますから、皆さんよくご存知でしょうから、あえて説明はいたしませんが・・・・・やはり本番となると、実際いくつかの問題が発生したのです。 おっと説明しようと思ったら、用事ができちゃった・・・どうも土曜、日曜は家族サービスのため、時間に制約がありますなあこの続きは深夜に書きます。
2007.08.04
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次の「神様」シリーズのタイトルだけ決めて、それを紙に書き、眺めて見ました。「百花繚乱・綺羅、星の如くに」けっこうすてきなタイトルじゃないですか?私自身、ワクワクしてきます。「百花繚乱」とは、「優れた人材・美女が居並ぶ様子」綺羅は、「綾織の絹や薄い絹」で、それが目移りするほど並んでいることを「綺羅、星の如く・・」と言うそうです。こんな豪華絢爛なタイトルつけちゃって・・・・・「お前はどうするつもりなんや?」と言われそうですが・・・・実はタイトルだけで何にも考えていません。だから、今の「天は二物を・・・」が終わったら、当分のあいだは短めのもの・・・夏にふさわしく「怪談風」のものを書こうかと思っています。「百花繚乱・綺羅、星の如くに」・・・・いつになったら書ける事やら・・・・・ しっくりとしないまま・・・・一成は「神様」のなすがまま・・・・脚本どおりに動かされているような気がしていました。もう既に、和代とは将来、あの一成の家の前にある神社で「結婚式」をするまで決まっているようです。「ねえ・・・和代さん・・・・君・・・・運命って信じる?・・・神様っていると思う?」一度、和代に聞いてみたことがあります。「うーんそうねえ・・・運命と言うことに関してはある意味信じられるところもあるわ・・・運命ってね・・・奇跡の連続ってことでしょ?・・・でも、その奇跡が普通の出来事のように続いている・・・偶然のようでいて必然なのよね。」「どういう意味?」「例えばあなたと私・・・・・あなたと私が同じ地域に住み、同じ学校へ通い、同じ演劇部に所属する・・・・・これってあまりにも偶然じゃない?・・・・あなたが私の運命の人だから、同じ時代、同じ地域に住んでいるのよ・・・・」「そっか・・・そうだよね」「あたしねえ・・・あなたよりひとつ年上だから、そんなこと考えたのよ・・・・普通のカップルって・・・・男性のほうが年上だよね・・・・」「そんなこともないだろうけど・・」「でも、うちでもあなたの家でも・・・お父さんのほうが年上だよね・・・」「まあ、そうだけど」「それは、考え方次第だけれど、相手が尊敬できるかどうかっていうことにかかっていて、女性のあたしから見ると、普通同級生とか年下の人って尊敬しにくいのよ・・・・でも、あたしが見るあなたは・・・充分に尊敬できたわ・・・・」一成はその言葉にドキドキしました。「だけど、あたしが勘違いしてるってこともあるよね・・・・その時は別れることも運命だと思っているの」「俺、がんばるよ!」何を頑張ればいいのかよくわかりませんでしたが、和代は聞いていたのかいないのか・・・言葉を続けました。「ほんと・・・なんであなたのことが好きになったのか・・・・あたし考えてたのよ・・・・もしあたしがあなたよりひとつ年上じゃなくて、例えば3つ年上なら・・・同じ学校じゃないんだからね・・・・あたしはあなたとお話しすることもなかったわ・・・・あたしが隣町に住んでいて、違う高校に入ったとしても同じように会うこともなかったかもしれない・・・・この偶然が奇跡、そして運命なのよ」和代は、演劇部のエースらしい口調で一人芝居を演じているようでした。「神様をどう思う?」「運命と神様は別のものと思うわ・・・・だって宗教って言うのは古代の人が政策上必要があって作り上げたものでしょ?・・・・神様が敵を攻め滅ぼせばこの国は豊になると言った・・・とか・・・つまり神より先に人間ありき・・・だったのよ・・・だから神様ってあまり信じられない」「でも教会だとか寺だとか・・・神社だとか・・・・そこにいって手をあわせれば、心穏やかになるじゃないか」「そう・・・だから心のよりどころとしての宗教ってことよね・・・・奇跡を起こす神様がいるっていうことではないわ」(近くに神様がほんとに存在するんだ!)一成は口まででかかったのですが・・・・・「サアそんなことより、勉強しなきゃ・・・・あさってから中間テストよ・・・あなたがあたしと同じ大学を受験するためには、もっと成績を上げてもらわないと・・・・運命を成就させましょうよ」和代は「運命とは偶然の奇跡の連続」と言っておきながら、その「運命」を自らの手で「切り拓いていく」つもりのようです。そして中間試験・・・・・・・・・入学したときの成績が「中の下」だった一成の成績が、「神様の力」なのか「和代の指導力」なのか・・・・二学期中間試験では「上の中」まであがったのです。「神様」も「和代」も当然と思っているようですが、一成はともかく、一成の両親は有頂天になっていました。「こうなりゃ東京大学も夢じゃないわね」親バカと言うのでしょうか・・・・・そりゃ無理だ・・・と言ったのですが、母親の目は輝くのです。「東大卒業して大蔵官僚(当時は大蔵省だった)・・・・末は博士か大臣か・・・よ」「母さん・・・悪いけど、俺はそうならないよ・・・・俺の将来はコンピューター関連の経営者・・・実業家だよ」「神様」に運命付けられた仕事ですが・・・・しばらくその運命にしたがってみようと思っていました。 つづく
2007.08.03
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去年の8月9日から書き始めたから・・・どうなんですかねえ・・・「1周年」っていうのは8月8日にすべきなんですかね?「魔法の木」のマスターから・・・「引退するみたいだ」と言われましたが、「朝青龍」のように「仮病で引退」(まだ引退してないってば!)することはありません。もし引退するならば・・・・皆さんの前で「駄洒落」を連発し、「オヤジ・ギャグ」で失笑をかいながら、静かに「ペン」を置きます。・・・・「山口百恵」ちゃんのように・・・・もしくは「普通のおじさんに戻りたい」って言って引退します。・・・「キャンディズのように」・・・・・・・・嘘ですよ!・・・引退はしません・・・・・この「神様」シリーズの、次のタイトルも決めたんですから!次のタイトルはちょっと長いですよ!「百花繚乱・綺羅、星の如くに」でもその前に、短いものを数本書きたいと思ってますけどね。 「夏休み」も終わり、演劇三昧だった一成たちもようやく通常の生活に戻りました。夏休み中に「お付き合い」の始まった一成と「丸山さん」でしたが、少し進展して、最近では「一成君・和代さん」と呼び合うようになっています。これも毎日のデートの積み重ねの成果ですかね?これだけ毎日、男子とデートを繰り返せば、「和代さんのご両親も心配するのでは・・・?」・・・一成はちょっと心配でしたが、「演劇部の主役同士の練習があるのよ」・・・「和代さん」はそう言ってごまかしているようでした。しかし、学生の本分である「勉強」のほうはどうなっているのでしょう?実は、夏休み後半・・・・2人のデートの場所は「図書館」になっていました。「宿題、まだ残ってるの?・・・・しょうがないなあ・・・じゃあ一緒に図書館でしようか?」和代は、少しずつ宿題をしていたようで・・・・図書館では夏休み明けにすぐある「中間テスト」の勉強をしているようでした。「あなたも、宿題なんか早く終わって、テスト勉強しなきゃ・・・大学はどこにするの?・・・将来の目標は立ててるの?・・・ちゃんとイメージを作り上げて、将来のこともきちんと考えなくちゃ・・・・そのために一歩一歩・・・勉強もきちんとして・・・備えなくっちゃ」この時点で、もう既に「世話女房」の原型が出来上がっているようです。「あたし、東京の大学受験するけど・・・・あなたも東京の大学に来るのよ・・・どうしても一年、離れ離れになっちゃうけど、それは将来のために仕方ないことだもんね・・・」そう・・・和代は一成の一年先輩なんです。(将来のこと?)今まで漠然と捉えていた部分を、明確なものにしていかなければならない・・・・和代は女優の道をあきらめ、教師として生きていく道を選んだようです。受験する大学も、そちらの方面で行くようで・・・・自分の将来・・・・・和代がはっきりしているだけに、一成も何とか将来のことを考えなくてはならないと思い始めていました。二学期が始まってまもなく・・・・一成は「神様」に電話をして、相談にのって欲しいといいました。「神様」はめんどくさそうに・・・それでも「家に来い」と言ってくれます。一成は隣の「神様の家」に向かいました。「こんばんは!」玄関を開けると・・・そこには、「別荘に行ったときの」お母さんが座っていました。あの「お歯黒お母さん」は、今高校生を演じていますから出迎えには出てきません。「神様は自室でお待ちです・・・ご案内いたします」案内され、二階にある「神様」の部屋まで向かう途中、居間を通っていきますが、そこにはあの「吉田竜平さん」だけがステテコ姿で足の爪を切っていました。一成はペコリとお辞儀をしましたが、吉田老人は気がつかなかったようで・・・・でも、その姿に「初代市川団十郎」が感じられませんでした。きっといつもの「吉田竜平さん」に戻っていたのでしょう。「神様」の部屋につくと、そこはエアコンがギンギンに部屋を冷たくしていました。まだ九月初旬です・・・・残暑厳しく、モーッとする部屋にいた一成でしたから、ここは天国のようでした。「なんじゃ・・・マロに相談と言うのは?」さっきのめんどくさそうな電話とはうってかわって、「神様」は愛想良く聞いてくれました。「どうしたんですか?・・・」この愛想のよいのが何かあるような気がして・・・一成は聞いて見ることにしました。「ああ、家族が別荘のほうに行っておってのう・・・・帰りにマロの好きな赤福を買ってくるそうじゃ」「別荘?・・・・赤福?・・・・夏休みに行った別荘じゃないんですか?」「ああ・・・今日は神様連絡協議会があってな・・・伊勢神宮なんじゃが・・・本当ならマロが行かなければならないんだが・・・お前から電話がきそうだったから、代理を出した・・・4人も行きおったが・・・・」「だって、明日学校があるよ?・・・どうするんですか?」「マロたちを誰だと思っておる・・・・・神じゃぞ・・・・それくらいなんとでもなる。・・・ところで相談とはなんじゃ?」「あ・・・あのう・・・」一成はなにから話せばいいのか悩んでいました。「実は・・・・僕の将来についてなんですけど・・・・・和代さんは学校の先生になりたいんだそうです。・・・・で、あなたは?って聞かれたんだけど・・・正直僕は考えてなかったんですよ・・・・僕は将来なにを目指せばいいんですかね?」「なんだそんなことか・・・・お前は実業家になるんじゃ・・・そっちの勉強をせい!」「え?そうなんですか?」漠然といわれて・・・・よく理解できなかったんですけど・・・・・「マロはお前に”二物”を与えると言った・・・しかし、おまえ自身も二物といわれても何かわからんじゃったろう・・・だから・・・お前の成績をよくし、彼女を作ってやった・・・・あとは金儲けができればいいじゃろ?・・・そのためには実業家しかないじゃろう?」「神様」は、何でも良いものを一成に与えるつもりのようです。「でも、成績は・・・・数学や英語は上がってきたんですけど・・・・あいかわらず歴史と古典は駄目なんですけど・・・・実業家ってことは文型の大学でしょ?」「お前にはまだ将来が見えないのじゃろうが・・・・そのうちコンピューターが発展してきて、技術系の頭を持った経営者が必要になってくる。・・・そういう意味で、お前の頭脳は作っておる。」(将来はIT 企業のオーナー)「IT」とは何のことか、一成には何のことかわかりませんでしたが、そのようにインプットされたようです。「それと、・・・・和代さんのことなんですけど・・・・・」「お前・・・和代が気に食わんのか?」「いえ、そんなことはありません!・・・・でも・・・・」少し言いよどみました。「男らしく、ハッキリとマロに伝えんと・・・マロの能力にも限界があるのじゃ」(神様に限界なんてあるのか?)「僕たち・・・まだ若いでしょ?・・・・それなのに将来結婚するとまでいわれると・・・・」「つまり何か?・・・ほかのオナゴとも付き合いたいと申すのか?」「いや・・・そんなことじゃなくて・・・・全て決められるっていうのも・・・・なんとなく面白さがない・・・・」「お前に言っておく・・・・・それは若いうちにいろんな経験をし、恋をするのはいい・・・・しかし、恋愛をして一番の幸せは初恋の人間と恋愛をし、結婚をし・・・そして添い遂げるのが一番の幸せじゃと・・・マロは思う。」「でもいろんな経験をするのも悪いことではないでしょ?」「悪いことではないが・・・・一番の幸せはそれじゃと言うておるのじゃ」少し機嫌が悪くなってきたようです。「イザナギの命には、イザナミの命しかおらなんだ・・・アダムにもイヴしかいない・・・しかし、それでいいではないか・・・・本当にお前の理想に合う女性はもしかしたら、住んでいる地域が違ったり、時代が違ったりしているのかもしれない・・・・今現在、お前にぴったりの女性が和代なのじゃ・・・・それを大事にせい!」「そんなもんなんですかねえ・・・」「動物や虫や魚謎は、一回の交尾のためだけに生きておるものもおるのじゃぞ・・・・カマキリなんぞは、自分が雌に食べられることもいとわず交尾・・・すなわち恋愛をする。・・・それでもあのものたちは幸せなんじゃ・・・それをよく考えなさい」「でも・・・僕は人間ですから・・・・」「エエーッ!まだ、マロの申すことがわからんか!・・・・神の言葉をゆめゆめ疑うことなかれ!・・・さがりおろ!!」「ハハーッ!」一成は、平伏して「神様」の元を下がってきました。でも、本当にこれでいいのでしょうか?・・・ つづく
2007.08.03
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ブログを書き始めたのが去年の8月9日・・・まもなく一年ですね。MSNのチャット仲間の主婦の方が、「ブログはじめたから読みに来て」ってメールをくれたんです。そのころは(今でも時々作るんですけど・・・)「say club」でチャット部屋を作ってましてね・・・・コメントを良くくれる「たかちゃん」や「濱チャン」・・・それと最近なかなか来てくれない「amiチャン」と一緒に「ジャングル・ナイト・クルーズ」っていうチャットで遊んでたんですよ。でも、せっかくメールをくれたんで、行ってみようって思ってね・・・・言われたとおりアクセスしようとしたら、なかなか思うように行かない・・・・楽天の指示通り進んでいったら・・・いつの間にやら自分のブログを立ち上げてたってわけ・・・・だから、タイトルも・・・めんどくさいからチャット部屋のまま・・・・「ジャングル・ナイト・クルーズ」になっちゃったんですよ。最初は書くこともなくてね・・・・PTA会長はしてましたから、そちらの話題ばかり取り上げていました。一日のアクセス数は当時・・・・多くても・・・・20アクセスくらいだったかな?途中から、自分の「個人史」みたいなものを書き始め・・・・途中から「夢の続き」を書いて・・・・いつの間にやら「小説もどき」になってしまいました。あのまま、PTAの事だけ書き続けていたら今頃は・・・20×365=7300くらいだっただろうね・・・・この1年・・・・皆さんに支えられ書き続けてまいりました。最初からお付き合いいただいた「恵さん」、「魔法の木のマスター」、「JUN太さん」・・・そして読者の皆さん本当にありがとうございました。 「静かな湖畔の森の影から」・・・カッコウの鳴き声が聞こえてきます。他には誰もいません。一成と「丸山さん」のふたりきり・・・・実は一成・・・・2人っきりになるチャンスを窺っていた気配が見えます。高校一年生は・・・・頭の中が妄想の塊です。そして、一方の「丸山さん」・・・・「キスまでなら・・」ってちょっとした覚悟を決めてきたような・・・・これぞ「別荘マジック」でしょう・・・・ロマンチックな雰囲気が二人を包みました。夕暮れの湖畔・・・・周りには誰もいない・・・・そして愛し合う2人・・・・いつの間にか二人は寄り添いあい・・・そしてそのとき・・・「お~い、一成~~~・・・そこにいたのか~!僕も一緒に稽古させてくれ~~」「神様」の声が聞こえたのです。(なんだよ・・・この雰囲気・・・神様がセッティングしてくれたんじゃないのかよ)「神様」だけでなく、例の兄弟たちも一緒に来たのです。「せっかく、演劇部の5人がいるんだもの・・一緒に練習したほうが効率いいだろ?」「そ、そうだね・・・」あわてた丸山さんもしょうがなく相槌を打って併せています。一成は「神様」に小声で文句を言いました。「あなたが、こういう雰囲気を作っておいて・・・・なんでジャマするんですか?」「マロは神様じゃよ・・・・不埒な行動を許しておくわけがなかろうが・・・それに、2人は将来、マロの神社で結婚式を挙げるんじゃ・・・それまでは清い関係でおるのじゃぞ」どうやら、このまま順調にお付き合いは続き・・・一成と「丸山さん」は結婚することになりそうです。ただし・・・この「神様」を見ていると、少しだけずれてることも多いのですが・・・・「今から、こうやって幸せな家庭を作り始めさせるんじゃから、マロに感謝して、結婚式には、ご祈祷料をはずむんじゃぞ!」あくまでも打算的な「神様」です。特にどうということもなく、2泊3日の別荘旅行も終わりました。でも、この旅行で「丸山さん」とはまた少し距離が縮まったように思います。「神様」には「清い交際」を約束させられましたが、夏休みは思った以上に長いのです。夏休みが終わったときには、「キス」だけは終わっていたのでした。 というわけで寝ます。続く
2007.08.02
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8月に入り、青森はお祭りのシーズンです。県内各地で「ネブタ」があり、わが町でも・・・「子供ネブタ」が5日から7日まで続きます。隣の地区では4日から5日までかな?実は、隣の地区はじゃっかん大型なんですけど、わが地区の物は「子ども会」が中心となる「子供ネブタ」なんです。私が子供のころは、子供達で作っていましたけどね・・・・今は、親が紙貼りから色付けまで行います。子供にもじゃっかん手伝わせてるようですけど・・・・責任を持ってやらせてないですねえ・・・過保護・・・・かな? 「神戸家」が借りたという別荘は「古色蒼然」といったたたずまいを見せていました。、一階がリビングルームというか、20畳くらいの大きな部屋と、キッチン・・・そして8畳ほどの寝室になっていて、キッチンの奥には浴室とトイレがありますが・・・回廊のようになっていてキッチンを通らなくても行けるようになっています。寝室のほうはというと、食事の用意ということもあるのでしょう・・・友也の両親が使うことになるようです。二階に上がると、部屋が4箇所・・・そのうちの2箇所を女子用、男子用にわかれて使って、おじいさんだけひとり部屋になるようです。女子用には、「丸山さん」と、お姉さんだという「神戸美代」が使い、男子用には「一成」と「神様」である「神戸友也」・・・そして兄だと言い張る「神戸虎平」の3人で使うのです。「もうひとつの部屋があるけど・・・・あとで誰か来るんですか?」一成が「神様」に聞くと・・・・「こういう古い建物には、必ず”開かずの間”ってあるもんなんでしょ?・・・だから作ってみたんだけど」やっぱり、神様が「別荘計画」を立て・・・・わざわざ作ったもののようです。それぞれが荷物の整理をしていったん、リビングルームに全員集まります。「とってもいいお家ですねえ・・・あたし一度でいいからこんなとこ、来て見たかったんです。」「丸山さん」がさりげなく、招待されたことに感謝の言葉を伝えました。「何にも遠慮することないのよ・・・家族だと思って気楽にしてちょうだい」普通ならこれは、主婦の言葉のはずですが、なぜか「長女の美代」が返事をしました。(この前まで主婦だったからしょうがないか?)一成はため息をつきながら考えていました。「でも、こんな立派な別荘をお持ちになってる方が、友也君のお父さんのお友達だなんて・・・・」これも、本来なら・・・同級生のはずの「虎平」の名前がでてもいいはずなのに、つい一週間ほど前「急に登場した同級生」なので、もちろん授業中の記憶などもあいまいで・・・・だから「友也」の名前が出てしまったようです。もちろん、同級生だという記憶も、どこかに作られているのでしょうけれど・・・・「友也君のお父さんって・・・一体どんなお仕事なさってるんですか?」「ああ・・・私は神社で使われる用品などを扱ってる商社マンなんですよ・・・・この別荘は・・・・」ここで、「お父さん」は少し言いよどんでしまいました。なぜなら・・・・「家族間での打ち合わせ」(一成も参加していたのですが・・・・)では、「友人の社長さんの別荘」ということになっていたのですから・・・・「ア・・・あの・・・・取引先の神社の神主さんの別荘で・・・・」一成は・・・少しの言い間違いも命取りになるような気がしました。「よほど大きな神社の神主さんなんですね・・・・こんな立派な別荘を持ってるんですから・・・・でも、ここ、神棚はないんですね?」今度は「竜平おじいさん」が返事をします。「ああ・・・別荘に来たときぐらい・・・仕事を忘れたい・・・なんて・・・そう言ってたからな?・・・な?・・・な?」「お父さん」に同意を求めました。「へえ・・・変な話ですね・・・・神主さんが、神様のことを忘れちゃっていいのかしら?」そこへ友也が助け舟を出します。「ほら二階に開かずの間ってあったでしょ?・・・あそこに神棚があるんだよ」彼がこう言った瞬間・・・きっとあの部屋には「神棚」が供えられたはずです。「それにしても、いいところですねえ・・・お部屋もとってもきれいだし」それはいくら古色蒼然とした建物に見せていても、つい最近・・・・もしかしたら、ここへ到着する直前にできたものかもしれないのですから、ほこりのつきようもないのです。「サア、お話しはこれくらいにして・・・・さっそくお昼の用意をしましょうか?」「お母さん」がそう言いました。お母さんの作った料理・・・・それは肉や魚を一切使ってない精進料理です。「神様」なのに精進料理?実はこの「お母さん」・・・・ここに来る前はずっとお釈迦様の料理番だったんですって。ヒンドゥ教にあっては、「お釈迦様」も120番目くらいのランクの神様なんだそうで・・・・・だから、ずっとお釈迦様の料理を作ってきたという話・・・・別に読者の皆さんは信じなくていいんですけど・・・・でも、「精進料理」は野菜や米の粉をを使っていますが、長年培われた技術によって、肉にも魚にも感じられるようになっていました。さて、昼食も終わり・・・・・一成と「丸山さん」は・・・・別荘から歩いて数分・・・・「カルデラ湖」の畔までやってきます。「サア・・・お稽古しましょうか?」2人は、あの日からほとんどいつも一緒にいました。だから一成の頭の中には、2人のシーンの台詞は全て入っています。それ以外の台詞も、「神様」が「睡眠学習法」のように一成の頭の中にインプットしてくれていましたから、特に台詞を覚える必要もありませんでした。「ねえ・・・練習もいいんだけど・・・・和代さん・・・・ようやく2人っきりになれましたね。」高校生にしては、ずいぶん「使い古された」陳腐な台詞でしたが、一成は緊張していました。「静かな湖畔」でカッコウが鳴いていましたが・・・それ以外は静寂の世界・・・・なんとなく妖しい雰囲気が漂ってきました。 つづく
2007.08.02
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私、小学校のPTA会長のほかにも、いろいろな会長してるっていいましたよね。高校の同窓会の支部がありまして・・・そこの支部長もしてまして・・・・私が卒業した高校は「青森県立青森高校」・・・・もちろん青森市にあります。私の生まれ育った「むつ市」からは、車で二時間ぐらいかかるんですけどね・・・だから20年ほど前に、このむつ・下北地区に住む同窓生を集めて同窓会の支部を作ったんです。数年前から二代目の支部長を務めてるんですけどね・・・・今度本部同窓会に来賓として招待されたんです。だから8月11日・・・・ホテル青森の同窓会に出席します。青森市の人・・・もしいたら、オフ会でもしようか? 台本ができ合宿も順調に進み始めましたが、出だしの躓きが響き・・・最終日までの予定をクリアしないまま、終わりました。合宿の延長は、他のクラブとの調整ができず断念せざるを得ません。個人個人がそれぞれ「絡み」のある人同士で稽古するということで夏休み期間を乗り切ることにしました。必然、主役の「吾作とおよね」は毎日会うことになったのです。ところが練習するとなると、大きな声を出すことになるのでなかなか場所が見つかりません。最初は公園で練習しました。しかし、普通の会話ならいざ知らず、芝居の本読みですからどうしても声を張りあげるようになり、公園に遊びに来ていたちびっ子たちに変な顔で見られるのです。次に海岸に行きました。正式な海水浴場ではないので海水浴客はいないのですが、砂浜に反射する太陽で日焼けもするし・・何より熱射病になりそうでした。「困ったわネエ・・・・練習しようとすると意外とないものネエ」そんなときです・・・神戸家の兄弟たちが、父親の友人の持つ別荘に遊びにいくという事で、一成と丸山さんを誘ってくれたのです。もちろん、「神様」の友人というのは真っ赤な偽りで、おそらく、みんなで遊びに行くために・・・・あるいは一成の「二物」取得のために、「神様」が指先をちょちょいと動かして作ったものに違いありません。丸山さんのの家族が行かせてくれるのか少し心配しましたが、神戸家の家族全員が一緒ということで快く送り出してくれました。一成の家は、両親共稼ぎだから、夏休みの別荘だなんて考えたこともありませんでしたので、こちらも否応なんぞあるはずがありません。こうして、合宿が終了し3日目には・・・ある湖のほとりの別荘に・・・神戸家のおじいさん(吉田竜平さん)・・・そして両親(?)、虎平、美代、友也の3兄妹・・・それと一成と丸山さんの8人で出かけたのです。ここで読者の皆さんは変だなあ・・・って思われたでしょうね。前に家庭訪問で担任の桜田先生が会った友也の両親は、自分が芝居に出たいがために高校生の兄妹になったはずです。という事は・・・・ここまで来る8人乗りのRV車の運転してきた「お父さん」と助手席に乗ってきた「お母さん」はいったいだれなんでしょう?一成は隣に住んでいるのに、まったく知らない人物に会ってしまったのです。ドライブの途中・・・休憩所に立ち寄ったとき、一成は「神様」に質問しました。「あの新しい両親はどこで調達したんですか?」「アア・・・あれ・・・マロに仕えている家来や侍女のような者たちさ・・・・・」話しを聞くと、まだまだたくさんの侍女や家来がいるらしいのです。 ああ・・・眠くなっちゃった・・・続く
2007.08.01
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