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月野 かぐや

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2007年04月19日
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山を見つめるようになったのは、いつからかわからない。

あるいは、大好きな話をそこで落としたときからだろうか。

大好きなものをあそこに落としてきたから、気になって仕方がないのだろうか。

今日もかなたにそびえる山のうねを探して、私の目は地平線の上を泳いでいる。

――――――――――

今日もボクは、つい好きな人の頭上の向こうを探ってしまう。

今現在、ボクはここにいるのに、いつも探しているのは、もっと向こうにある何か。

その「何か」が何なのか、ボクにすらわかっていない。

答えを知る日は来るのだろうか。



手元ばっかり見るくせがついたのはいつだろうねぇ。

老眼がひどくなったときからかしらねぇ・・・。

前は縫い物は好きだったんだよ。嫌なことがあっても、不思議と気分が落ち着いてくるもんでね。でも、いつごろからか、それが楽しくなくなった。

そのころから、何もせずに手だけ見るようになったような気がするねぇ。

―――――――――

ほんとのところは、誰にもわからない。

もしかしたら、視線の先にあるものが見つかる日がくるのかも知れないし、ずっと見つからないのかもしれない。

でも、自分は何かを探しているかもしれない。
そう感じるだけでも、なんらかの安堵を得られたことはないだろうか。


―――――――――――

これは、フィクションです。





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最終更新日  2007年04月20日 04時23分37秒
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■コメント

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Re:探し物(04/19)  
つい、何度も読み返してしまう。
そんな今日のフィクション。 (2007年04月20日 20時59分04秒)

Re:探し物(04/19)  
SAKUZO2004  さん
うーん、短いけど、読み返せば読み返すほど、深いですね。
私はね、視線の先にあるものは可能性だと思うんです。
その可能性は、悲しいけれど年齢とともに狭まってくる。

山を見て、その山の向こうに何があるのか
わくわくしていた子供の頃の自分と、
山に落ちる夕日を見て、その向こうにあるはずの、
いつか行けるだろう「極楽浄土」に
安らぎを見いだしてしまう今の自分と。(悲) (2007年04月21日 01時24分37秒)

Re:探し物(04/19)  
リー姐 さん
ものすごく面白かった! この前にある『ずれ』は、私には、ひどくリアリティーを感じてしまうため、社会学的分析をしてしまったり、文芸評論的な感想を持ってしまい、その点でとても面白い反面、文学というよりもエッセイ的に読んでしまう。けれども、こちらのほうは、つくづく考えさせられ、まったく文学そのものとして読んでしまうのですよ。

とはいえ、『ずれ』とこちら『探しもの』は、少なくとも私にとっては連作です。連作として読むほうが面白いし。^^ かぐや姫は、これら、連作として執筆されたのですか?  (2007年04月21日 21時38分05秒)

オダギリチガさん  

>つい、何度も読み返してしまう。
>そんな今日のフィクション。

そうですかぁ。
うれしいなぁ。
(2007年04月23日 11時19分22秒)

SAKUZO2004さん  

>うーん、短いけど、読み返せば読み返すほど、深いですね。

またまた嬉しいコメント。
ありがとうございます。

>私はね、視線の先にあるものは可能性だと思うんです。
>その可能性は、悲しいけれど年齢とともに狭まってくる。

>山を見て、その山の向こうに何があるのか
>わくわくしていた子供の頃の自分と、
>山に落ちる夕日を見て、その向こうにあるはずの、
>いつか行けるだろう「極楽浄土」に
>安らぎを見いだしてしまう今の自分と。(悲)

なるほど。
向こうにあるものは「可能性」ね。
面白い「読み」をありがとうございます。
(2007年04月23日 11時20分14秒)

リー姐さん  

>ものすごく面白かった! 

いやあ、ありがとうございます。
光栄です。

>この前にある『ずれ』は、私には、ひどくリアリティーを感じてしまうため、社会学的分析をしてしまったり、文芸評論的な感想を持ってしまい、その点でとても面白い反面、文学というよりもエッセイ的に読んでしまう。

なるほど。
逆にリアリティーを感じすぎてしまうと、突き放すための行動をいろいろと起こさないといけないって事でしょうかね。

>けれども、こちらのほうは、つくづく考えさせられ、まったく文学そのものとして読んでしまうのですよ。

そっかぁ~。「文学そのもの」なんてまた嬉しい。

>とはいえ、『ずれ』とこちら『探しもの』は、少なくとも私にとっては連作です。連作として読むほうが面白いし。^^ かぐや姫は、これら、連作として執筆されたのですか? 

連作にしてもしなくても読めるだろうなぁ、と思いつつ書きました。読み手としては、なんとも困る(かも知れない)「読み手の皆さんにお任せします」ってやつです。書き手としては、ちょっと怠惰な、「感覚的に書いた」ってやつです、これもこの前のも。

(2007年04月23日 11時23分34秒)

Re:探し物(04/19)  
YURI-eyo  さん
ふおお!やっぱり好みです~。
すごくすごく読み手としての自由度が上がって、
気持ちよくかぐやワールドに落ちていきます^^
かぐやさんにとっては伝える努力は最低限かもしれませんが、
きっと、気持ちよくかかれていますよね♪
私もとっても気持ちよく読めました。
「山」「頭上の向こう」「手」・・ふおお^^
(2007年04月23日 15時30分00秒)

YURI-eyoさん  

>ふおお!やっぱり好みです~。

うっひゃああ、ありがとう。無性に嬉しいです。

>すごくすごく読み手としての自由度が上がって、
>気持ちよくかぐやワールドに落ちていきます^^
>かぐやさんにとっては伝える努力は最低限かもしれませんが、
>きっと、気持ちよくかかれていますよね♪
>私もとっても気持ちよく読めました。
>「山」「頭上の向こう」「手」・・ふおお^^

うひゃああ~~~。
まさに気持ちよく書いてます。
こう、言葉のBGMに酔いしれながら、感覚を先行させて書いてますねぇ。
(2007年04月23日 21時04分06秒)

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