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2箇所に分けて頼んでいたソフトですが、今朝、一送目が届きました。これで、昨日、購入したDSi LLも漸く本格起動です。しかし、先に頼んだ筈のドラクエ関連とレイトンさん未だ届かず(´・ω・`)ショボーン
2009/11/29

先日、偶々、「光の4戦士 ―FF外伝―」をプレイする機会があったのですが、結構面白かったので、今回DSi LLを買うことと相成りました。しかし、うーたんの一人二役通信プレイを実現する為には2台必要なわけで……一台購入後、お一人様一台とする注意書きをクリアすべく、車内に戻って上着をヌギヌギして(←注:変質者ではありません)再度、お店に突入したところ、うーたんの完璧な変装に騙された店員さんから二台目も無事ゲット。ただ、包装する際、単品なのに「コチラ“も”~」などと言う空耳が聞こえたりしましたが、きっと、気のせいだと思います(`・ω・´)携帯ゲーム機は埃を被るのが常なので以前、購入したPSPの二の舞は避けて欲しいところです。ちなみに、ソフトの方は既に注文済みだったりします。
2009/11/28
突然、血ノ章を書いてみましたが、次回から月ノ章に戻ると思います。まず、章跨ぎで改編があった部分に触れますと、光ノ章 1-03【呪夜】におけるラールウェアの登場描写を「薄闇に差し込む光の如く真っ白なドレスが音もなく揺らぎ―――」に書き換えて、血ノ章_00-00【蠱惑】におけるグラトリエルの登場描写を「夜を練り上げたかのような漆黒のドレスが音もなく揺らぎ―――」として、地味ですがこの屍族姉妹を対比させてみました。以下、今回の推敲です。============================================================血ノ章_00-00【蠱惑】============================================================【改稿・加筆/冒頭】 闇の中に燕尾服を纏った白髪の老人が浮かび上がり、その老体が脇へ退き恭しく膝を折る。 すると、今度は夜を練り上げたかのような漆黒のドレスが音もなく揺らぎ、白銀髪のうら若き娘が忽然と現れる。 その精妙な容姿と、まだ幼さの残る肢体は青白く幽冥の色を湛えていた。 それは、人とは相容れぬ、屍族の純然たる特徴である。↓★推敲★↓ 闇の中に燕尾服を纏った白髪の老人が現れて、恭しく膝を折る。 すると、今度は夜を練りあげたような漆黒のドレスが音もなく揺らぎ、白銀髪のうら若き娘が忽然と浮かび上がる。 その精妙な容姿と、まだ幼さの残る肢体は青白く幽冥の燐光を湛えていた。 それは、人とは相容れぬ、屍族の純然たる特徴でもある。============================================================【改稿・加筆/囚人の描写】 頭部に鉄仮面を被せられた囚人の表情を窺い知ることは叶わない。 その上、両手足ばかりか身体の殆どを強化金属製の拘束具に覆われている。 脆弱な人族相手には一見して大袈裟すぎると思われた。↓★推敲★↓ 鉄仮面に覆われた頭部から囚人の表情を窺い知ることは叶わない。 その上、両手足ばかりか身体の到るところに強化金属製の鉄鎖環が巻きついて束縛されている。 脆弱な人族相手には一見して大袈裟すぎる拘束だ。============================================================【改稿/グラトリエルの思考】 「でも、潔癖症で人間嫌いだったラールが人族の男をねぇ…。 正直、信じられないわ」 グラトリエルはどこか釈然としないのように柳眉を寄せる。 ここ、オルカザード領ニティル=スピナに於いて、古き血脈に仇名す罪人は種族生死を問わず、蠱毒の着床として処理されるのが血の鉄則である。 故に、この罪人が今も五体満足で生きながらえている事実は、噂の信憑性を真実の域に高めていた。↓★推敲★↓ 「でも、潔癖症で人間嫌いだったラールが人族の男の餌付けをねぇ…。 正直、信じられないわ」 グラトリエルはどこか釈然としないのように柳眉を寄せる。 ここ、オルカザード領ニティル=スピナに於いて、古き血脈に仇名す罪人は種族生死を問わず、蠱毒の着床として処理されるのが血の鉄則である。 故に、この罪人が今も五体満足で生きながらえている事実は、グラトリエルの示唆する事柄の信憑性を真実の域にまで高めていた。============================================================【改稿・加筆/グラトリエルと老屍族の会話】 グラトリエルは足で石床を蹴って反転すると、老屍族を正面に捉える。 「私奴の個人的な見解など、偉大なる二十二家の血脈の前では何の価値もありません」 「否定はしないんだね。 でも、それって私に対する当てつけかしら?」↓★推敲★↓ グラトリエルは足で石床を蹴って反転すると、老屍族を正面に捉える。 どうやら、鋼鉄製の表情筋が醸しだす不可視の感情変化を楽しんでいるようだった。 「私奴の個人的な見解など、偉大なる二十二家の血脈の前では何の価値もありません」 鰾膠も無く云う。 「否定はしないんだね。 でも、それって私に対する当てつけかしら?」============================================================【改稿・加筆/老屍族の描写】 老屍族は顔色ひとつ変えずに淡々と言葉を紡ぐ。↓★推敲★↓ 老屍族はグラトリエルと視線を結ぶと、顔色ひとつ変えずに淡々と言葉を紡ぐ。============================================================【改稿・加筆/噂とグラトリエル】 しかし、人族も屍族も同じようで、その口に戸は立てられぬらしい。 数年の時を経て、表に滲み出した因果が明確なカタチを成し、運悪くグラトリエルの耳に滑り込んで現状に至る。↓★推敲★↓ しかし、人族も屍族も同じようで、その口に戸は立てられぬらしい。 数年の時を経て、現実という名の表層に滲み出した幾つかの因果が、明確なカタチを成してグラトリエルの耳に滑り込んだことは幸か不幸か、彼女をこの場所に招きいれていた。============================================================【加筆/グラトリエルの描写】 「何か表沙汰になっては困ることでもあったのかな?」 「そのように考えるのが妥当な線だと思われますが、それ以上のことを知るには当事者に聞く以外方法はないでしょうな」↓★推敲★↓ 「何か表沙汰になっては困ることでもあったのかな?」 両腕を組むと小さく頭を傾けて、唇から言葉を零すグラトリエル。 「そのように考えるのが妥当な線だと思われますが、真相を知るには当事者に聞く以外の方法はありますまい」============================================================【加筆/老屍族の描写】 「求め、欲し、奪い取る―――それは生物の根源的欲求でありますれば、爺が口を挟む余地は何処にもございませぬ」↓★推敲★↓ 「求め、欲し、奪い取る―――それは生物の根源的欲求でありますれば、爺が口を挟む余地は何処にもございませぬ」 老屍族は鷹揚に頷くと、静かに瞑目する。============================================================※その他、誤字脱字の訂正、細かい形容などを追加致しました。
2009/11/27

古書の饐えた黴の匂いと、紅茶の葉のブレンドに魂を揺さぶられる今日この頃。私個人の古書収集の趣向は童話系の絶版本に偏っていたので、此度、書架の一角を制している世界文学全集&日本文学を読み漁ってみようかと考えている次第です。語彙力や表現力の拙さに限界を感じ始めたのが理由なのですけどね…関係ありませんが、古代文明ビジュアルファイルのファイリングが未だ進んでません。中身だけ私室に積み重なっている状態です(汗ですが、その原因は、バインダーに挟めたほうが、読み難くなるといった致命的なものなので如何ともし難い現状です。
2009/11/26

『†Princesse du sang†』 血ノ章 0-00【蠱惑】血ノ章 0-00【蠱惑】―グラトリエルSIDE― ――ジャラ・・・ ――ガシャ・・・ジャラ・・・ 脳髄を抉る金属音を響かせながら巨大な鉄格子がその顎を広げる。 闇の中に燕尾服を纏った白髪の老人が浮かび上がり、その老体が脇へ退き恭しく膝を折る。 すると、今度は夜を練り上げたかのような漆黒のドレスが音もなく揺らぎ、白銀髪のうら若き娘が忽然と現れる。 その精妙な容姿と、まだ幼さの残る肢体は青白く幽冥の色を湛えていた。 それは、人とは相容れぬ、屍族の純然たる特徴である。 「この子かな?」 屍族の娘は傍らで低頭する老人にそう尋ねると、朽ちた牢獄に蟠る深い闇を見透かすように凝視する。 「あの噂を真実と置き換えるのならば、グラトリエルお嬢さまのお言葉のままです。 この人間は数年前、キムス・ド・パティムの城館に忍び込み、ルドルフさまに害をなそうとした不遜の輩に相違ないでしょう」 老人は感情の伴わない声で静かに告げる。 屍族を憎む人間が、その象徴ともされる二十二家の血脈に敵愾心を抱くこと事体は珍しくも無い。 だが、その感情を明確なカタチとして、実行に移せる者は稀である。 「(アイツの命を狙おうなんて、ほんと、馬鹿な人間)」 頭部に鉄仮面を被せられた囚人の表情を窺い知ることは叶わない。 その上、両手足ばかりか身体の殆どを強化金属製の拘束具に覆われている。 脆弱な人族相手には一見して大袈裟すぎると思われた。 「でも、潔癖症で人間嫌いだったラールが人族の男をねぇ…。 正直、信じられないわ」 グラトリエルはどこか釈然としないのように柳眉を寄せる。 ここ、オルカザード領ニティル=スピナに於いて、古き血脈に仇名す罪人は種族生死を問わず、蠱毒の着床として処理されるのが血の鉄則である。 故に、この罪人が今も五体満足で生きながらえている事実は、噂の信憑性を真実の域に高めていた。 「残念ながら、ラールウェアさまがこの人族を助命したとの噂も事実でございましょう。 不可侵である成文律を歪ませるほどの存在は数えるほどしかおりませぬ」 その冷静な口調とは裏腹に、老屍族の窪んだ眼底の底に辛酸と義憤の念が混じる。 「爺も人間嫌いだものね♪」 グラトリエルは足で石床を蹴って反転すると、老屍族を正面に捉える。 「私奴の個人的な見解など、偉大なる二十二家の血脈の前では何の価値もありません」 「否定はしないんだね。 でも、それって私に対する当てつけかしら?」 グラトリエルの母カローニャ・アムホルンは、ルドルフの囲う妾姫のひとりである。 そして、アムホルンの家名は領民にとって恐怖と畏怖の対象であった。 カローニャは領内から見目麗しい男女を館に招待しては、夜毎、拷問と姦淫を繰り返し、その嗜虐性と淫蕩放埒な性を満たしていた。 無論、カローニャの要求に逆らえば一族路頭に到るまで殺戮の対象となった。 故に、グラトリエルが不義の子であるといった噂も実しやかに囁かれていたのだ。 「さきの言辞は臣下としての領分。 私奴の忠誠は、この血肉の一片に到るまでグラトリエルお嬢さまに捧げられております」 老屍族は顔色ひとつ変えずに淡々と言葉を紡ぐ。 「爺の賞味期限の切れた血肉は要らないけど、その捩じくれた魂だけは貰っておくわ♪」 グラトリエルは茶目っ気を帯びた瞳で微笑むと更に続けて、 「そういえば、お義父様はこのことを知っているのかしら?」 思い出したように尋ねる。 「わかりかねます。 この一件は何者かの手によって作為的に闇に葬られていたようです。 私奴が調べた限りでは外部に情報が洩れぬよう言論統制を敷いた形跡がありました」 しかし、人族も屍族も同じようで、その口に戸は立てられぬらしい。 数年の時を経て、表に滲み出した因果が明確なカタチを成し、運悪くグラトリエルの耳に滑り込んで現状に至る。 「何か表沙汰になっては困ることでもあったのかな?」 「そのように考えるのが妥当な線だと思われますが、それ以上のことを知るには当事者に聞く以外方法はないでしょうな」 「なるほどね。 じゃあ聞いてみようか」 滑るような足取りで牢獄の中を進むグラトリエル。 「グラトリエルさま?」 囚人の頭部を覆う鉄仮面にグラトリエルの手が掛かると、それを見咎める老屍族。 「気を失っているみたいだし、どんな馬鹿面をしているのか確かめるぐらいいいでしょ?」 そのまま、躊躇無く留め金を外す。 瞬間、埃と渇いた古血をこびり付かせた銀灰色の長髪が流れ出て、空気に触れた男の素顔を、再び覆い隠してしまう。 「ん?」 男の邪魔な前髪を鬱陶しそうに払い除けたグラトリエルの動きが止まる。 「あらっ、結構イイ男ね♪」 グラトリエルはさも意外そうに、率直な感想を漏らす。 「(それに…この子……)」 男の顔面を覗き込んだグラトリエルのうす紅をひいたように紅い唇が、微かに吊り上がる。 「爺、私がここを訪れることを知り得る存在を全て始末なさい」 「畏まりました」 毅然と、さも当然の如く、その命令を拝諾する老屍族。 彼らの主従関係に日常と非日常の境界は存在しないらしい。 「ところで爺。 私がこの人間を横取りしたら、ラールはどうすると思う?」 「先ずは、お怒りになられると思われます。 その後、首謀者を血眼になって探し出そうとするでしょう」 グラトリエルの苛烈なまでの嗜虐性を充足させる術を心得た老屍族の言葉は明快だ。 「そうね。 やっぱり怒るかな? いえ、きっとそれ以上、癇癪を起こして暴れまわるかも♪」 狂気を孕むグラトリエルの瞳に、愉悦の色が混じる。 「ですが、グラトリエルお嬢さま。 此度の火遊びの趣旨はどのようなものでございましょうか?」 「ん? 深い意味はないのよ。 ただ、面白そうだからそうするのよ。 それ以外の理由が必要?」 その顔にはあどけない子供のような無邪気さが溢れていた。 「求め、欲し、奪い取る―――それは生物の根源的欲求でありますれば、爺が口を挟む余地は何処にもございませぬ」==============================================時間軸の調整が大変なことに今更ながら気づきました(汗※推敲はフリーページ内で行います
2009/11/24

こんばんわ、いすいす大好きいすくらっしゃーです(`・ω・´)この度、うーたんとの激しい椅子争奪戦の結果、留守中に破壊活動を実施↓結果東京インテリアの売り上げに貢献しました(=^・ω・^)ニャ-
2009/11/21
物語の整合性を計る為に肌粉の描写を追加致しました。============================================================月ノ章_00-01【双子】上============================================================【改稿・加筆/天然顔料使用の描写】 だが、ゴルダの驚きはその比ではなかった。 彼の視線をなによりも惹き付けたのは、少年の青白い肌。 それは屍族の特徴としては最も顕著な例として挙げられるものだ。 一見して判断するには早計過ぎるが、ゴルダには直感めいたものがあった。 「え~と、頼まれた品を買えないとミュークさまに怒られてしまいます」 蚊の鳴くような声で困り顔な少年。 得も言われぬ恐怖がゴルダの精神を束縛していた。 金縛りにあったかのように身体が硬直して動かない。 自然と呼吸が荒くなっていた。 この西大陸で屍族と遭遇することは稀有なことなのである。 「アンタ…屍族なのか……?」↓★推敲★↓ だが、ゴルダの驚きはその比ではなかった。 彼の視線をなによりも惹き付けたのは、少年の白い肌。 白粉を肌に塗りこんでいることは一見してわかる。 化粧を施すこと自体、貴族階級では大して珍しくも無い習慣だが、天然染料は高額な為に一般の庶民がそう易々と入手出来る代物ではない。 それだけでも、目の前の少年が清貧を信条とする修道会に属する者でないことは明らかだった。 「え~と、頼まれた品を買えないとミュークさまに怒られてしまいます」 蚊の鳴くような声で困り顔な少年。 得も言われぬ恐怖がゴルダの精神を束縛していた。 金縛りにあったかのように身体が硬直して動かない。 早計すぎる判断ではあったが、ゴルダには直感めいたものがあった。 「アンタ…屍族なのか……?」 ゴルダは自然と呼吸が荒くなっていた。============================================================月ノ章_02-03【灯台】下============================================================【改稿/ミュークが“運命の輪”の少年の背後に回り込む描写】【改稿/ミュークの突きつけた不文律の条件】【改稿・削除/“運命の輪”の少年が飛べるという描写】上記は加筆や改稿よりも、文章明快化の為の削りが主なので、詳細は省かせて頂きました。============================================================※その他、誤字脱字の訂正、細かい形容などを追加致しました。
2009/11/20
寒くなるとNiGHTSとソニックがやりたくなる今日この頃。と、まぁ、うーたんセガっ子説は\(▽`\)コッチニ(/▽`)/オイトイテかなり前に確認した覚束ない知識ですが、楽天ブログのテンプレは横幅760ピクセルが基本値だったと記憶してます。(※左メイン型/右メイン型の場合)記事側セルの横幅は580p(※内部に記事セルがあります)サブメニューセル側の横幅は180p(※内部に個別のメニューセルがあります)と設定されていました(←うる覚え)ちなみに、左右にサブメニューがある中央メイン型の場合記事セルの横幅は400pがデフォみたいです。記事部分に設定された横幅以上の画像を載せると超過された分だけ右側にはみ出しながら表示されるようです。などと基本情報を抑えた上で、今回、TOPページの横幅を580pまで縮め、【更新タグ】をサイド自由覧に移動させました。細かい調整は後々致します。
2009/11/18

※加筆致しました。『†Princesse du sang†』 月ノ章 2-03【灯台】下月ノ章 2-03【灯台】下―ミュークSIDE― 『デカチチ! はやく、たすけるですー…うにゃ』 緞帳が降りかけた舞台に、そうはさせぬと、プルミエールの訴えるような呻きが突き刺さる。 『あれは其方の力でどうにかならんのか?』 再度、頭上を見上げたミュークが、げんなりとした表情で尋ねる。 ―――前にも言ったと思うけど、あの鉄鎖はボクの意志でどうにかなるものじゃないんだ 不気味に蠢く鉄鎖は、植物の蔦のように少女の細脚に巻きつき、小さな膝を抱え上げ、純白の聖衣ごと肩の両脇まで引き上げてしまう。 『な、ななな…なにするです!?』 大股開きで、あられもなくショーツを晒す体勢で固定され、滅多なことでは動じないプルミエールが、羞恥から顔を真っ赤にしている。 『そろそろ助けたほうがよさそうじゃが…』 しかし、解呪の言霊は、その性質から考えても囚われた当人が紡がなければ意味がないことは明らかだ。 よって、この場の誰かが、あの天才の方と紙一重の少女に、直接、言霊を覚え込ませるといった偉業を成し遂げねばならない。 ―――そうだ! それなら、ボクの力を使えばいい。 “運命の輪”の血統アルカナの能力を使えば、きっとあの子を助け出すことが出来る筈だよ。 論より証拠、まずはボクを受け入れて欲しいな♪ 小さく頷いたミュークが修道服の袖口を捲くり、露になった白蝋の下膊に躊躇無く吸血牙を突き立てる。 『契約の証としてワチキの血を進呈しよう』 染みひとつ無い美しい肌に二筋の朱線が引かれる。 インクル・ノス・クルンは滴り落ちる赤い液体を指先で掬い取ると、まるで、化粧を施すように己の薄い唇に紅をさす。 ―――ボクの名は、インクル・ノス・クルン。 この真名を預け、交わされし血の契りに懸けて、屍族のお姉さんが滅びの時を迎えるまで、共にあることを誓うよ♪ 宙に浮かんだインクル・ノス・クルンが優雅に腰を折り一礼する。 次の瞬間、少年の身体は光の粒子となって、ミュークの身体に溶け込んでいく。 胸の奥に新たなる熱い脈動を感じ、ミュークの瞳に不可視の陽炎のようなものが浮かぶ。 (―――それで、さっそくだけど、解呪の言霊を唱えてみてよ) ミュークの脳内に直接語りかけるインクル・ノス・クルンの声。 『うむ、我は時を断ち切る剣なり!』 途端に、白銀色に輝く光の繭がミュークの掌を包み込み、それはやがて、三つの宝玉が埋め込まれた異形の刀剣を象った。 『これは…剣なのかや?』 (―――それは【カイロスの剣】。 斬りつけた相手の時を壊し消滅させる力。 簡単に説明すると、対象が経験した過去の一部を切り取ってなかったことに出来るんだ。 でも、物質的な干渉は出来ないから、武器としてはてんで役立たずだけどね) 淡い燐光を放つ刀身は、半円を描く様に大きく湾曲し、そこから放射される冷気はミュークの魂までもを震撼させた。 『くっ…』 突然、身体をくの字に折り曲げると大きく肩で息をするミューク。 同時に実体化した【カイロスの剣】が霧散して消失する。 (―――ああ、言い忘れていたけど、【カイロスの剣】の発動と維持には、肉体と精神、その両方に大きな負担が掛かるから、あまり長い時間実体化させておくことは不可能だよ。 まぁ、それは血統アルカナの全ての能力にいえることだけどね) 『時間に干渉出来得る程の力であるのなら贅沢は言えぬ。 では、プルミエール嬢を助けるとしようか』 脳内に響く声を留意しつつ、ミュークは時計台の機械具を駆け上る。 接触型で尚且つ発動時間に制限がある能力であるが故に、対象に接近しなければ話にならない。 (―――過信は禁物だよ。 【カイロスの剣】の効果はあくまで斬りつけられた対象限定で、その過去を共有した他者には、なんら影響を与えることは無い。 つまり、世界からその事象そのものを消失させることは叶わない) インクル・ノス・クルンは言葉を慎重に選びつつ、更に続ける (―――あと、注意点をひとつ。 この能力の使用者は、対象の“切り取りたい時間”を共有、又は限りなくそれに近いカタチで記憶していなければならない。 あやふやなまま【カイロスの剣】を使用すれば、とんでもないことになるから気をつけてね) 『了承した』 振り子の鉄球に飛び乗ったミュークの双眼が鮮血色の燐光を帯びる。 『うにゅ、ミュミュ!! このにょろにょろをナントカするですぅ~』 ミュークの視界の正面で、プルミエールがイヤイヤと首を振りつつ助けを求めていた。 目を凝らすと、蠕動を繰り返す鉄鎖が少女の纏う聖職衣の袖口から滑り込んでいる。 『我は時を断ち切る剣なり!!』 再び具現化した【カイロスの剣】を正眼に構えるミューク。 そのまま、躊躇することなく、携えた白銀の刃で鉄鎖諸共にプルミエールの胸元を刺し貫き―――同時に“少女が黄金の鎖に囚われた瞬間から現在までの時間”を断ち斬った。 『おっと…』 “変体”鉄鎖から解き放たれた少女の身体を両手で受け止めるミューク。 『“女教皇”の力と掛け合わせて使用すれば、正しくワチキにとって、申し合わせたような能力のようじゃな…。 っと…これ、暴れぬなや』 満悦するミュークの腕の中で、出し抜けにジタバタと暴れ出すプルミエール。 『いきなりブン投げるとわー。 なにごとですか!?』 確かに該当部分の時間を切り取ると、少女にとってもっとも近い記憶は、そこになるのだった。 『…命の恩人になんつー言い草じゃ!』 少女の発言には、幾つか引っ掛かる点もあるミュークだったが、今は聞き分けの無いプルミエールを押さえ込むのに必死だった。 (―――ふぅ…。 ボクの役目はこれまでのようだね。 疲れたから暫く眠ることにするよ。 それと、用がある時は遠慮なく呼んでね。 ボクは常に屍族のお姉さんと共にあることをお忘れなく) インクル・ノス・クルン呆れたような声が、ミュークの頭に響く。 『ミュークでよいぞ…ってコラ。 蹴るなっ!』 (―――それじゃ、ミュークお姉さん。 これからも宜しくね♪) 楽しげにそう言うとインクル・ノス・クルンの意志が途絶えた。 『ん?』 少年の意識が閉ざされたことにより、この空間を維持する為の、なんらかの力が失われたのだろう。 時を刻む運命の間は次第にそのカタチを失いつつあった。 『うにゃーふぁにゃ…ぶふぅ~』 プルミエールの奇妙な叫び声と共に、ミュークの視界が歪み閉ざされる。 ・ ・ ・ 光をとり戻し―――体内に滲む疲労を怺えて背後を振り返るミューク。 そこに自らが庇護する双子の姿を確認すると、彼女は安堵の笑みを浮かべた。 「ミュークさま!!」 今にも泣き出しそうなレムリアが駆け出し―――数歩前に進んですっ転ぶ。 それを飛び越えていの一番でミュークの元に辿り着くルムファム。 「ル、ルム!? 今、足を掛けただろ!?」 レムリアの非難の声に、いつも通りの現実に帰還したことを実感するミューク。 「うにゅ!? ミューミュー。 おなわにするので、そこになおりなさいです!」 意識を取り戻したプルミエールがずんずんと大股で歩み寄ってくるが、残念ながら、そちらに感動的な要素は皆無だった。==============================================※推敲はフリーページ内で行います
2009/11/15

※加筆に伴い【灯台】cの文末部分を大幅推敲致しました『†Princesse du sang†』 月ノ章 2-03【灯台】下月ノ章 2-03【灯台】下―ミュークSIDE―(※推敲部分だけ抜粋) 『やれやれじゃな…』 落下したミュークは、二層階上面で大の字に寝そべりながら一部始終を見守っていた。 彼女は小さな影を視界の端に捉えると、不愉快な激痛を訴える節々に活を入れ起き上がる。 ―――捕まったのとはちょっと違うけど、ボクの負けみたいだね ミュークの元へと飛鳥の如く滑空するインクル・ノス・クルン。 ―――でも、どうやってボクの真名を? 敗北の焦燥感よりも、知的好奇心が勝っているらしく、インクル・ノス・クルンの口調は熱を帯びている。 『それに関してはプルミエール嬢の功績じゃな。 あの少女が其方の心を掻き乱してくれたお陰で“女教皇”の力を行使することが出来たのじゃからな』 ―――心を読む力か…厄介な能力だね。 屍族のお姉さんは彼女に認められてはいないけれど、選ばれてはいるってことか… 得心したように何度も頷くインクル・ノス・クルン。 『あの者はワチキが真の継承者足りえるかを、常にここから見定めておる。 ワチキはその宿代として“女教皇”の力の一端を行使できるのじゃ』 ミュークは親指を内に返し豊かな胸元を指すと更に続ける。 『ただし、一定の制限下にあり、急激な血の渇きに苛まれる故、一日に一・二度使用するのが限界じゃから使いどころが難しいがの』 ―――ふ~ん、訳ありみたいだし、これ以上は聞かないでおくよ。 それに、興味をそそられる存在はもうひとり居るしね 頭上を見上げるインクル・ノス・クルンに釣られるようにミュークも視線を上げる。 そこには、黄金の鎖に絡め取られたまま宙ぶらりん状態のプルミエールが居た。 見ようによっては意志を持った鉄鎖に緊縛される美少女という不謹慎で居た堪れない構図である。 最も、『コロス』だの『シネ』だのと物騒な単語が降りかかってくる為に助ける気にもなれない。 ―――まさか、固体として相成れない筈の、屍族と人族が、こんなに息の合った連携を取れるとは思わなかったよ 『意志の疎通など端からしておらぬぞ。 あの少女を意のままに動かすのは、到底不可能じゃ。 ワチキはただ、信じて疑わなかった。 プルミエール嬢の常軌を逸した頑丈さと脳足りん振りをな』 インクル・ノス・クルンに気取られぬよう、奸策の網を張ったミュークであったが、それとは知らずに解呪の言霊を唱え、プルミエールが振り子の軌道上から脱出してしまえば、この作戦は御釈迦であったのだ。 ―――ふ~ん、“提示した条件”も“真名”も“屍族のお姉さん自身”さえも、ボクの注意を他に逸らす為の偽装工作に過ぎなかったということだね 少年は宙に浮かんだ状態で足を組むと、感心したように口唇を緩める。 『切り札は最期まで隠しておくものじゃ。 ちなみに、其方に飛行能力があることも、可能性のひとつとして考慮しておったぞ。 なにせ、現実世界の初対面で堂々と宙に浮かぶ姿を晒しておるしな♪』 ―――うっ… 絶句するインクル・ノス・クルン。 ミュークは栗色の髪に指先を入れてかき上げると、微笑しながら付け加える。 『まぁ、気落ちすることはない。 其方が飛べなければ、プルミエール嬢でなくワチキに捕まっておっただけじゃから。 結果そのものは変わらぬよ』==============================================
2009/11/15
こんばんわ、ウサギの4戦士がひとり森うにーたんです(`・ω・´)キリッちなみに森うにーたんとは、ウサ耳を頭部に装着することで、じょぶちぇんじ出来る伝説の職業です。(※ウニ綱に属する棘皮動物ではありません)特性的にも世に蔓延る森ガールとは似て非なる生き物であり、わかりやすく、その違いを比べて見ると、主な特徴森ガール 森うにーたん 友達に『森にいそうだね』といわれたことがある森に『友達がいなそうだね』といわれたことがある 透明感のあるおんなの子 限りなく透明に近い存在感 つねにゆるい雰囲気をだしている つねにダルい雰囲気をだしている ゆるい感じのワンピースが好き 日曜の朝、早く起きたときだけワンピースを見るタイツ・スパッツが好き タイツ・スパッツが大好き ・・・寧ろ、森ガールをあらゆる面で凌駕致しております。そして、その特殊能力はナント!!★APの消費無でちょっぴりえっちぃ描写を追加出来るのです!!★只今、絶賛じょぶちぇんじちゅう(*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!
2009/11/13
私事ですが、小説モドキの執筆には、購入PCに標準プリインストールされていた関係で、Microsoft wordを使用させて頂いております。ただ、Microsoft wordは多機能故に、手軽さといった点に欠けているので、鞍替えしようかなと最近考えています。近年はプロの作家の方も利便性に富んだエディタの使用率が上がっていると聞いたことがあります。序に何処かで似たような情報を見たなと思っていたら、文庫本に挟まっていたガ報No.0018でした。======================================================質問:現在使用しているワープロソフトは?(※ライトノベル作家様合計37名へのアンケート結果)Microsoft word:14人一太郎:8人秀丸エディタ:5人WZ EDITOR:2人O's Editor2:1人MIFES:1人Sakura エディタ:1人Em Editor:1人QXエディタ:1人Jedit:1人Mac iText:1人======================================================完全に気のせいでした…(*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!普通に、ワープロソフトが多いですね(汗しかも、うーたん的に尊敬している某先生もMS wordだったり…でも、ここで挫けると本末転倒なので、幾つか体験版などをお試しさせて貰いました。結果、個人的に気に入ったのがWZ EDITOR 6とO's Editor2です。機能的にはWZ EDITOR 6が上手ですが、O's Editor2の方は、手軽さと、書き心地に特化しているといったところでしょうか?お値段は、WZ EDITOR 6が【パッケ10290円(8000円程度)/オンライン7140円)】O's Editor2【オンライン2000円】数日使用して、違和感や問題が生じなければどちらか、購入してみます(`・ω・´)
2009/11/12

『†Princesse du sang†』 月ノ章 2-03【灯台】下月ノ章 2-03【灯台】下―ミュークSIDE― 『(一度目の鐘の音か…)』 『ミューミュー!!』 鐘の余韻が反響するミュークの鼓膜に少女の怒声が混じる。 ミュークが背後を振り返ると、不規則な回転を続ける歯車の上で、器用に両脚を踏み込みながら近づいてくるプルミエールの姿。 『ムカー! プルは子供じゃないですよ!!』 どうやら、ミュークの繰言の中に、少女の逆鱗を触発する単語が含まれていたようである。 『そ、そうか、それは悪かったの。 それで、大人なプルミエール嬢に聞き忘れたことがある』 無駄な労力は最低限に収めて、さっさと話題を切り替えるミューク。 序に、少女の自尊心を満足させることも忘れない。 『うにゅ、くるしゅーない。 きいてあげないこともないです』 相手を見下したような言葉遣いだが、口調が舌足らずで子供っぽい為か、何処か憎めない。 それは、この少女の発する快活な雰囲気や生来備わった徳望の成せる業であるのだろう。 王族としては得難い資質だが、天才の方と紙一重の頭脳が邪魔をして、理性的対話が成立しない点が厄介である。 『う、うむ。 お主、鐘の音を聞いたのは今が初めてかや?』 『金? お金ならお城にたくさんあまってます。 欲しいならあとであげます♪』 血税を搾取されるアダマストルの民には聞かせられない台詞だろう。 だが、気前が良い分、富を独占するだけが生甲斐の悪徳為政者よりは、随分とマシかもしれない。 『それは有り難い申し出じゃが、ワチキが言っておるのは、貨幣を指すの“金”ではない』 ミュークはひくつくこめかみを軽く押さえて、会話型方向音痴少女の思考を是正する。 『うにゅ。 けしからん“カネ”のほうですか!?』 意志の存在しない金属の塊が、謂われもなく糾弾されているが、無機物への助け舟を出すほどミュークも暇ではない。 『うむ、恐らくそのけしからんほうじゃろう』 急速な徒労感を覚え自棄糞気味なミューク。 『う~ん…むー…うー…ぅ…ぅぅ……はっ!? うに……ん…―――』 プルミエールは目線を斜め上に向けると記憶の照合作業に入ったようだ。 途中、幾度か全機能を停止しかけてミュークに張り倒されたが、漸くのことで、ポンと手を打つ。 『そういえば、ミューミューが来る前にも一回だけ聞きました♪』 ミュークは軽く息を吐くと、前方へと視線を戻す。 “運命の輪”の少年は、振り子の金属球に腰を下ろし鼻歌を口ずさんでいた。 『この空間の不文律は、プルミエール嬢をも拘束しておるのかや?』 ―――ボクはそれを“肯定”する。 その子は屍族のお姉さんより先に、この時を刻む運命の間に招待されている。 よって、必然的に元の世界に戻るための猶予は少なくなるね 想定はしていたが、ミュークにとって聞きたくもない答えが返ってくる。 『致し方ない。 ならば次で勝負を決するとしようかの』 ―――ん? 『これからワチキは正面から其方に挑みかかる。 それを前提に問う。 それでも、其方はその振り子に留まるのかや?』 ミュークは丁度、振り子式巻上げ機の描く半円弧と一直線上に重なる梁の上に立っている。 その位置から、振り子の金属球に陣取る“運命の輪”の少年に飛び掛る為には、最も、梁よりに近づく時機を見計らねばならない。 ―――面白い質問をするね。 でも、その質問には“肯定”も“否定”も出来るから意味はない。 『重ねて問う。 其方は足場の金属球に留まるのか否か? これはこの空間の不文律である筈じゃ』 ミュークは余計なお世話だと謂わんばかりに、再度同じ質問を繰る。 ―――面倒だな…、まぁいいや、ボクは“肯定”する。 でも、君が正面から突っ込んでくるのが条件だから、それが果たされなければ、ボクの躱し方の制約も破棄されることをお忘れなく♪ “運命の輪”の少年は肩を竦め掌を返すと、呆れたように言葉を返した。 ―――いつでもどうぞ♪ その口振り同様、少年の異貌には余裕の色が窺えた。 『悪いのプルミエール嬢』 『にゅにゅ?』 ミュークは徐にプルミエールの身体を担ぎ上げる。 そして、振り子の鉄球が最高速に到達する半円の下頂点に差し掛かった瞬間、それを無造作に投げつけた。 『ふにゃぁぁぁ…ああ……ぁぁぁ~』 ―――なっ この行動は流石に想定外だったようで、身体を仰け反らせてプルミエールの短躯をやり過ごす。 ミュークは聞き取れないほど小さな声で何事か呟くと、更に凛として言い放った。 『インクル・ノス・クルンよ。 其方の負けじゃ』 ―――ボクの“真名”を!? 跳躍するミュークを視界の正面に捉えた“運命の輪”の少年の顔が驚愕に歪んだ。 現出した黄金の鎖が、振り子運動を続ける金属球から少年の身体を引き剥がそうとする。 ―――我は時を断ち切る剣なり “運命の輪”の少年は慌てて拘束を解呪すると、咄嗟に巻上げ機と金属球を繋ぐ銀灰色の鉄鎖に指を伸ばし、振り子にしがみつく。 慣性の法則に翻弄された身体は大きく体勢を崩し、引き摺られるように宙に靡いた。 『これで終わりじゃ!!』 そして、梁と振り子の鉄球の距離が最短に達し―――ミュークの両手は空を切った。 『!?』 振り子の軌道が不規則に変化したのだ。 ―――残念。 “真名”を盗み取ったまではよかったけど、詰めが甘かったね 宙に浮いた“運命の輪”の少年が、円弧の頂点に達しようとした金属球を鉄鎖ごと袂に引き寄せていた。 ―――実はボク、飛べるんだ♪ それと、振り子から離れてはいないから不文律も破ってはいない 無表情のまま落下していくミュークを笑顔で見送る“運命の輪”の少年。 ―――? ミュークの詐術に虚を突かれ心理的余裕を失っていた“運命の輪”の少年は、その時になってはじめて、周囲の機械音に混じり、たどたどしく響く小さな音の存在に気がついた。 『ぅ…にゅ…れ……ぃ?』 その声は、後方から聞こえた。 驚愕に歪んだ異貌に宿る双眼に、黄昏色の鎖に束縛されたプルミエールの姿が映る。 時を刻む運命の間の不文律を利用したミュークが、投げつけたプルミエールを少年の死角となる位置で、宙に繋ぎ止めていたのだ。 『わ、われは…ときを、たちのく○※×□…にゃり?』 振り子は慣性の法則に従い、もと来た道を辿るようにプルミエールとの距離を狭め―――避ける間も無くインクル・ノス・クルンの身体はプルミエールと正面から衝突していた。 ・ ・ ・ 『やれやれじゃな…』 落下したミュークは、2層階上面で大の字に寝そべりながら一部始終を見守っていた。 彼女は小さな影を視界の端に捉えると、不愉快な激痛を訴える節々に活を入れ起き上がる。 ―――捕まったのとはちょっと違うけど、ボクの負けみたいだね ミュークの元へと飛鳥の如く滑空するインクル・ノス・クルン。 ―――でも、固体として相成れない筈の、屍族と人族が、こんなに息の合った連携を取れるとは思わなかったよ。 やっぱり二人がかりは反則だよね インクル・ノス・クルンは頭上を見上げ、拗ねたようにそう言った。 釣られてミュークも視線を上げると、黄金の鎖に絡め取られたまま宙ぶらりん状態のプルミエールが居た。 見ようによっては意志を持った鉄鎖に緊縛される美少女という不謹慎で居た堪れない構図である。 最も、『コロス』だの『シネ』だのと物騒な単語が降りかかってくる為に助ける気にもなれない。 『意志の疎通など端からしておらぬぞ。 あの少女を意のままに動かすのは、到底不可能じゃ。 ワチキはただ、信じて疑わなかった。 プルミエール嬢の常軌を逸した頑丈さと脳足りん振りをの』 対象の真名を小声で口ずさむだけで、黄金の鎖が現出するかどうかも一種の賭けであったが、それ以上に、何も知らないプルミエールが解呪の言霊を唱え、振り子の軌道上から脱出してしまえば、この作戦は御釈迦であったのだ。 ―――ふ~ん、“提示した条件”も“真名”も“屍族のお姉さん自身”さえも、ボクの注意を他に逸らす為の偽装工作に過ぎなかったということだね 少年は宙に浮かんだ状態で足を組むと、感心したように何度も頷く。 『切り札は最期まで隠しておくものじゃ。 ちなみに、其方が飛べることは可能性のひとつとして考慮しておったぞ。 初対面で堂々と宙に浮かぶ其方を現実世界で見ておるしの♪』 ―――うっ… 流石に絶句するインクル・ノス・クルン。 ミュークは栗色の髪に指先を入れてかき上げると、微笑しながら付け加える。 『まぁ、気落ちすることはない。 其方が飛べなければ、プルミエール嬢でなくワチキに捕まっておっただけじゃから。 結果そのものは変わらぬよ』 晴れ晴れとしたミュークの笑顔とは裏腹に、プルミエールの怨嗟の呻き声が、いつまでも響き続けていた。==============================================昨日余計なこと書いてしまったので、書き上げましたです。はい。細部に追加したい描写が多々あるので、推敲時に付け加えたいと思います。※推敲はフリーページ内で行います
2009/11/10

『†Princesse du sang†』 月ノ章 2-03【灯台】下月ノ章 2-03【灯台】下―ミュークSIDE― 『いろいろと、問い質したいところじゃが…。 先だっては、その呼び名をどうにかせい』 如何なる状況でも失われない、プルミエールの独創的な思考回路に半ば感心するミューク。 それと同時に、角砂糖に蜂蜜を上塗りしたように甘ったるい少女の命名感覚が、突発的に発生した事故か天災の類であることを願う。 『うにゅ? やっぱり、ウィズウィズの方が…。 はっ!? まさかっ、ワチワチ!!』 プルミエールは小首を傾げつつ腕を組むと、それが純然たる人災であることを証明する。 『…いや、ミューミューで結構じゃ』 物事の論点や焦点といったものが絶滅危惧種と化す前に、堅実的な妥協点を見出すミューク。 彼女はそんな自己犠牲の精神に我ながらと感心していたが、ふと、何かを思い出したように、人の悪い笑みを浮かべ、 『そうじゃな。 少し耳を貸すのじゃプルミエール嬢』 『むっ、あげませんよ』 緊張感を根こそぎ削ぎ落とす少女の戯言はその場で受け流し、ミュークはプルミエールの耳朶を摘み、こそこそと耳打ちを始める。 『うにゅ、わかりました♪』 プルミエールは元気に頷くと、額に手を翳して上層階を仰ぎ見る。 人族の少女の好奇心に満ちた眼差しの先には、三層階から突き出た歯車の軸棒に腰掛ける道化に身を窶した異貌の少年の姿。 『きまりました!』 プルミエールの人差し指がびしっと前方上空に突きつけられる。 『見世物小屋1号の名まえは“コンコン”にけっていします♪』 ―――えっ、ボク? 蚊帳の外から屍族の娘と人族の少女の漫才を見下ろしていた“運命の輪”の少年が、哀れな当事者に成り下がった瞬間であった。 『存外、このキツネ狩りを提案した其方にはお似合いじゃと思うぞ』 ミュークはくつくつと喉奥を震わせて賛同する。 しかし、対象者の特徴的な風貌に着目した想定外に理知的な命名であることが残念でもあった。 ―――なっ…ボクのどこが狐なんだよ!? て、ゆーか見世物小屋1号って…。 そ、それに、ボクには、あるお方から戴いたとっても栄誉ある名前があるんだぞ!! もっとも、名付けられた当人は、必死になって反論の声を挙げるている。 勿論、誰も取り合うことはないのだが… 『むっ! コンコンは、コンコンのどこが不満なのですか!?』 何処ぞの宗教で洗礼名を賜る信徒の如く、喜びに打ち震えて堅信するとでも考えていたのであろうか? 少女の脳内を覗いてみたい衝動に駆られるミューク。 しかし、惜しむらくは、彼女のそういった“力”の大半は、現在、別の対象に向けられていたことであろうか。 ―――全部、何もかも、余すとこなく、そっくりそのまま不満なんだよ!! 『むー、これだから下民は―――』 更に玩弄を重ねると思いきや、この馬鹿げた駆け引きに終止符を打ったのは、それを仕掛けたミューク自身だった。 彼女はプルミエールの頭を撫でることで、少女の口先を封じると、 『さて、プルミエール嬢、口でわからぬ輩には実力行使しかあるまいて、どうじゃな?』 ミュークは少女の自尊心を擽る言葉を選んで投掛ける。 『うにゅ、オシオキがひつようなようです。 それと、プルプルでいいです♪』 言うや否や、プルミエールは膝に撓めた力を解放すると、歯車を跳ね上る。 少女の小さな身体は瞬く間に、三層階上面に到達する。 ―――うわっ!? “運命の輪”の少年は軸棒から立ち上がろうとして踏鞴を踏んで体勢を崩す。 それもその筈、プルミエールの人間離れした身体能力には、同行するミュークも教会船での一件で驚かされたばかりだ。 『(血の渇きに囚われるのは避けたいが、幾許かは“力”を解放せねばならぬようじゃな…)』 上層で展開する攻防に視線を走らせつつ、ミュークは基盤裏へと回り込む。 ―――君、面白いね “運命の輪”の少年は、肉薄したプルミエールのハチャメチャな多段攻撃を、後退りしつつ紙一重で避わしていた。 異貌の少年は、そのまま後退を続けると、振り子運動を続ける巻上げ機に足を掛け、基盤裏に突き出た角穴車に身体を滑り込ませ更なる上層へと姿を消す。 『ムカー! に・げ・る・なー!!』 その後姿を追走しようとプルミエールが跳躍する。 『―――ンガっ……らふぁう…ぇ…』 巨大な鉄球が少女の死角から振り下ろされて横合いから直撃する。 解読不可能な叫びを残しつつ最下層まで弾き飛ばされた少女は、潰された蛙のようにピクピクと痙攣を繰り返していた。 ―――え~と…大丈夫? “運命の輪”の少年はプルミエールを見下ろし心配そうに声を掛ける。 『まさか、こんなワナがあるとは…』 苦々しく呟くと、プルミエールは何事もなかったようにむくりと起き上がる。 ―――いや、罠というより君の不注意…。 まぁ、いいか、それにしても、ボクの知る人族とは、いろいろな意味で掛け離れているね。 この大灯台に篭って、まだ数百年しか経ってないのに、随分と人間も興味深い固体へと変化したようだね。 もし、よかったら君の名前も教えて欲しいな この少女が人族代表として検体活用されようものなら、人類全体から、名誉毀損で訴えられても文句はいえない。 しかし、残念ながら、この場に、この不当行為を糾弾できる人類は存在しなかった。 『むむ、よいこころがけです! プルはプルミエール・リュズレイ。 ヒトはプルを“歩く災厄”とよびます。 おそれいりなさいです』 その小さな胸を必要以上に誇らしげに張って馬鹿正直に名乗りをあげる。 『この、大うつけが!!』 怒声を響かせたミュークが“運命の輪”の少年の背後から飛び掛る。 ―――ミューク・ウィズイッド!! 隙を窺い背後に回りこんだミュークの奇襲にも、異貌の少年は余裕の笑みで対応する。 ミュークの真名と共に具現化した黄金の鎖が彼女の身体を締め付け、宙に固定する。 その僅かな間に、“運命の輪”の少年はその場を後退する。 ―――ボクの注意が逸れた隙を狙ったのだろうけど甘かったね 『くっ、鬱陶しいわ! 我は時を断ち切る剣なり!!』 解呪の言霊を唱えると、ミュークは苦虫を噛み潰したような表情で、異貌の少年に向け疾駆する。 『それにしても、随分と念の入ようじゃな。 あのような子供にすら怯えているかや?』 プルミエールの真名を聞きだした行為を示唆して、ミュークが挑発するように言い放った。 無論、この場合、あっさりと口を割るほうにこそ問題があるのだが、そちらを糾弾するのは、精神的な費用対効果から生じる還元率の関係で回避したようだ。 ―――ボクは“肯定”する。 用心深いかな? でも、あの子、普通じゃないよ。 本当に人間なの? 慮外、素直な反応に、ミュークの脳内で結実した嫌味が行き場を失い煩悶する。 『(出来うるなら、最後まで侮っていて欲しかったのじゃがな…)』 ―――でも、本気になった屍族のお姉さんは、あの子より遥かに凄そうだけどね♪ 尋常ならざる速度で迫りくるミュークを、軽やかに躱すと、“運命の輪”の少年は時機良く曲線通過を繰り返す振り子の鉄球に飛び乗った。 『前言撤回、その姿でも可愛いげのない餓鬼じゃ』 屍族は血脈の純血性が、肉体の保有する能力の絶対値に直結する。 その最高峰に位置する二十二家の純血屍族であるミュークが、力を解放して尚、翻弄されるのである。 それは、肉体的な能力だけで、“運命の輪”の少年を捕らえることは事実上不可能だということを意味していた。 『ん?』 ミュークの足が止まる―――遥か天空に位置する鐘楼から荘厳な鐘の音が降り落ちる。 それは長い尾を引きつつ周囲の空間に次第に溶け込んでいった。==============================================余計な形容を入れすぎた感もありますが、実験的なので大目にみてやってくださいませちなみに、明日には【灯台】偏を完結させる予定です。※推敲はフリーページ内で行います
2009/11/09
ずっと、この幸せな時間が続くものだと思っていた… 君が傍らに居ることが当たり前だと考えていたのは、 きっとワタシの驕りだったのだろう。 でも、3年前のあの日――― 突然、ワタシの前から姿を消した君。 探した…、寝食も忘れ血眼になって探した… 周囲の人間は諦めなさいと諭したが、 ワタシには君以外は考えられなかったから。 君の幻影を追い続け、自暴自棄になったワタシは、 この空虚な心を埋めるために、 君に代わる存在を求めて街を彷徨い歩いた。 ・ ・ ・ あれから、随分と時が経ち、 ワタシも新たなパートナーを見つけ前へ進むことが出来ている。 だが、運命とは奇なるものだ。 まさか、以前とまったく変わらぬ姿の君と、再会することになろうとは… 「お久しぶりね。 アナタの元から離れてもう3年になるかしら」 口には出さなかったが、君がそう言ったように思えた。 「い、今まで一体何処に…、どれだけ探したと思っているんだ!!」 あの時のように、君の丸みを帯びた身体をこの手に抱く。 そして、ワタシはある違和感に気がついた… 君は以前の君ではなかった――― いや、変わったのはワタシ自身だったのだろう… 「ゴメン、今のワタシには君より大切な…」 ワタシは心裡でそう呟くと、 君(3年前に失くしたシャープペンシル)をそっとタンスの裏に戻した。 (´・ω・`)ショボーン
2009/11/05

『†Princesse du sang†』 月ノ章 2-03【灯台】下月ノ章 2-03【灯台】下―ミュークSIDE― 「レム、ルム」 ミュークは双子の白金色の頭を胸元に抱き寄せると、その耳元に口を寄せる。 「よいか、ワチキにもしもの事があったら、東大陸に渡るのじゃ。 彼の地は今も尚、屍族の支配が根強く残る故、お主達が身を隠すには最適じゃろう」 「そっ―――」 開きかけたレムリアの口唇に指先を押し当て、ミュークは抗議の声を封じる。 「お主の言いたいことは理解(わか)っておる。 ワチキとて首人となった母上との再会が叶うまで、無駄死にするつもりはない。 あくまで、万が一の備えとして今後の指針を授けるだけじゃ」 「はい……」 レムリアは僅かに視線を逸らすと心ならずも頷いた。 頭で理解していても、感情が思い通りにならないのだろう。 「問題はプルミエール嬢のことじゃ。 もし、このまま目覚めの時は、クリスティーナ老公妃を頼るのじゃ。 彼の一族とウィズイッド家は古くから縁深い間柄じゃ。 母上の名をだせば、きっと力になってくれよう。 特にレム、お主は男子故、ふたりを護ってやらねばならぬ」 「ボクなんかよりルムの方がずっと強いのですが…」 どこか拗ねたような口振のレムリア。 ミュークは少年の額を軽く小突くと、 「強さとはなにも肉体的な力だけを指すものではない。 それがわからぬほど、レムは愚かではあるまい?」 レムリアばかりに気を取られていると、今度はミュークの衣服の袖口が軽く引かれる。 そこには、少年とよく似た相好が少し不満げにミュークを見上げていた。 「ルム、お主はレムが誤った道を選んだとき、それを正すことが役目じゃ」 コクリと頷く屍族の少女。 相変わらず、何を考えているのかさっぱりわからないルムファムであった。 ―――別れはすんだか屍族の娘よ? 「要らぬ気遣いをさせてしまったようじゃな。 はじめてもらって構わぬぞ」 アルカナの意志に他者を気遣う心があったことに感謝しつつ言葉を返すミューク。 ―――ならば、我が一端に触れ、試練に挑むがよい その言葉に導かれるように、回転を続ける黄金の輪へとミュークは足を踏み出すが、凄まじい重圧により視界が濁り、五感の全てを閉ざされたような感覚に陥る。 『あの時と同じか…だが、今のワチキは以前のそれとは違う』 彼女は希薄になりつつある自我を保つ為に精神を集中させた。 そうすることにより、意識の喪失を免れたまま、“運命の輪”の眼前にまで近づくことができた。 そして、ゆっくりとミュークの指先が黄金の輪に伸ばされる。 『くっ……』 黄金に輝く巨大な輪に触れた瞬間―――ミュークの視界は白光に包まれた。 『ここは…』 そして、彼女の網膜が次に焼きつけた光景は更に異様なものだった。 “運命の輪”とミュークを囲むように、数多の歯車が実体化していた。 その幾何学的な構造は遥か上方まで続き、それらひとつひとつが時を告げる円舞曲を踊り、異界の韻律を刻んでいる。 『(これでは、大灯台ではなく時計台じゃな…。 いや、此方側が真の姿なのか?)』 そう考えれば、がらんどうだった大灯台の内装にも合点がいく。 現実世界の大灯台は、精神世界で構築されたこの時計台の支持構造を収容する殻であったのかもしれない。 ―――ようこそ、時を刻む運命の間へ 金属の擦れ合う甲高い摩擦音に混じり、場違いに明るい声がミュークへと降りかかる。 見上げると歯車から伸びた軸棒のひとつに優雅に腰掛ける小さな人影。 それは、赤と紫で彩られた奇抜な道化服を纏った年端も行かぬ少年であった。 『それが、其方の本当の姿かや?』 “運命の輪”の少年は愛くるしい笑顔でミュークを迎えていた。 白蝋の肌に先端の尖った耳、屍族と妖精族の特徴を併せ持った特異な容姿である。 ―――ボクたちアルカナの意志に肉体という概念はないから。 この姿形に意味はないよ。 でも、精神世界で顕現したこの姿は、ボクが最期に象っていたカタチでもあるから。 当らずも遠からずかもね。 『最初からその姿で現れておれば、随分と愛想も良かったのじゃがの。 しかし、アルカナの意志でありながら、会話の端々で感情の揺らぎを露呈していた理由には合点がいった』 ―――あの姿のほうが威厳があるし、アレはアレで気に入っているんだよ♪ ミュークの皮肉にも動じることなく、言葉を返す“運命の輪”の少年。 『それで、其方の試練はどのようなものになるのじゃ?』 ―――ああ、そうだったね。 ボクの提示する試練は一風変わったキツネ狩りのようなものだよ。 ボクが狐で屍族のお姉さんが捕食者である狼。 どう、わかり易い構図でしょ? 『鬼ごっこというわけか…』 子供らしい発想ではあるが、仮にも血統アルカナの試練である。 一筋縄でいくとは到底思えない。 ―――でも、このキツネ狩りには3つの不文律があるんだ “運命の輪”の少年は細指を3つ立てると意味深げに口を開く。 ―――ひとつ、【狐は狩猟者の質問に対して嘘はつけない】 ただし、質問の内容は“はい”又は“いいえ”で答えられる単純なものに限られる ―――ふたつ、【狩猟者は時を告げる鐘が奏でる三度目の音を耳にしてはならない】 鬼はこの制限時間を越えると、永遠に元の世界には戻れなくなるから気をつけてね 案の上である。 どうやら命を賭けた鬼ごっこに挑めということらしい。 ―――最期は…、説明するのも面倒だから…そうだね。 ミューク・ウィズイッド! “運命の輪”の少年がミュークを名指しすると、何処からともなく現れた黄金の鎖が、彼女の身体を雁字搦めに拘束する。 『こ、これは…』 ミュークは鎖の束縛から逃れようと身を捻るが、戒めは弱まるどころか強まる一方だった。 ―――物質的な力で、その鎖は断ち切れないよ。 ボクでさえ、それに捕まったら解呪の言霊を唱えない限り逃れられない。 『解呪じゃと?』 ―――そう、鎖に捕縛された状態で「我、時を断ち切る剣なり」って、唱えればいい。 『我、時を断ち切る剣なり…』 半信半疑ではあったが、言われるままに解呪の言霊を呟くミューク。 瞬く間に、彼女を拘束する黄金の鎖は跡形も無く消失した。 「なるほどの…。 じゃが、これでは些か不公平ではないかや?」 血統アルカナの“真名”は継承者にのみ明かされる秘匿名であるから、現時点でミュークに“運命の輪”の少年のを足止めする術はない。 一方、少年の方は、彼女の正式名(フルネーム)を心得ているのだ。 僅かな時間といえども、狐の方は幾らでも狩猟者の足止めが出来るのである。 到底、対等の条件とは云えない。 ―――これは、屍族のお姉さんが、自らの意志で望んだ試練なのだから、不平不満は我侭だよ。 それに、今回は特典付きだしね。 あっ、ほら来た♪ 『もらったぁ~!!』 丁度、その時、勝ち誇った雄たけびが周囲の空間に反響しながら急降下してくる。 ―――…っと “運命の輪”の少年は軸棒を基点に一回転すると、頭上から踊りかかったプルミエールを苦もなく避す。 ―――今回に限り、特別に二人がかりなんだから、ボクとしてはかなり融通を利かせているんだよ そう言うと、ミュークに向けて片目を瞑ってみせる。 『うにゅ~すばしっこいヤツですね』 ミュークの眼前に着地したプルミエールが地団駄を踏みつつ悔しがっている。 血統アルカナの試練には幾つかの系統があることは、二十二家の屍族の間では当たり前に知られている事実だ。 守護者の打倒や知恵比べなどが最も典型的ではあるが、一風変わった試練があるとも伝えられていた。 “運命の輪”の試練は、丁度、それらの中間に位置するものであろう。 『ワチキ好みの試練ではないが、仕方なかろうな』 ミュークが手指を何度か開閉して、身体の感覚を確かめていると、その声に気づいたプルミエールが驚いたように背後を振り返る。 『ああー!!』 幼げな顔を紅潮させてミュークに詰め寄るプルミエール。 『みゅーみゅー、こんなところにいたのですか! まったく、プルがどれだけ捜したと…(ぶつぶつ)』 ミュークの三白眼が真正面から突き刺さっても、プルミエールに動じる気配はない。 そればかりか、なにやら理不尽にお怒りのご様子だった。==============================================当初、問答型の試練を予定していたのですが、それは愚者の血統アルカナの方にまわして急遽、鬼ごっこに変更……※推敲はフリーページ内で行います
2009/11/03
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