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110 「おごれる白人と闘うための日本近代史」 松原久子 (まつばら ひさこ)田中敏(訳)文藝春秋 237頁¥1524 2005.8.25 初版第1刷発行書題の「おごれる」は馬へんに喬原題 はドイツ語で Raumschiff Japan (宇宙船日本)つまり日本人がドイツ語でドイツで出版した本を日本人が翻訳した本です。 [目次] 訳者まえがき序章 「西洋の技術と東洋の魅力」第1章 世界の端で -「取るに足らない国」だった日本第2章 劣等民族か超人か-「五百年の遅れと奇跡の近代化」という思い込み第3章 草の根民主主義 -江戸時代の農民は「農奴」ではなかった第4章 税のかからない商売-商人は独自の発展を遂げていた第5章 金と権力の分離-サムライは官僚だった第6章 一人の紳士-初代イギリス駐日公使オリコックが見た日本第7章 誰のものでもない農地-欧米式の「農地改革」が日本に大地主を生んだ第8章 大砲とコークス-日本はなぜ「自発的に」近代化しなかったか第9章 高潔な動機-「白人奴隷」を商品にしたヨーロッパの海外進出第10章 通商条約の恐ろしさ-日本はなぜ欧米との「通商関係」を恐れたか第11章 茶の値段-アヘンは「中国古来の風習」だと信じている欧米人第12章 ゴールドラッシュの外交官-不平等条約で日本は罠に陥った第13章 狙った値上げ-関税自主権がなかったために第14章 頬ひげとブーツ-欧米と対等になろうとした明治政府第15章 猿の踊り-日本が欧米から学んだ「武力の政治」第16章 たて糸とよこ糸-今なお生きる鎖国時代の心著者あとがき参考文献[内容]これは欧米に向けての日本の伝統文化の紹介や解説などとは次元の異なる、「日本の弁明」であり、「言葉による自国の防衛」です。ドイツやアメリカで袋だたきに遭い、傷つき悔し涙を流しながら、今なおこびりついている欧米人の日本への無知、誤解、奢りについてテレビや講演で反論してきた著者がドイツでドイツ語で出版した本の日本語訳です。「この本はどうしても彼らに言わねば我慢できないという「激怒」と「使命感」に{燃えて書き上げた」「出版にこぎつけるまでの闘いで一度に十歳くらい歳をとった」「この報われることの少ない薄幸な作品をこのまま埋めてしまうことに、ある日突然耐えられなくなった」(著者の言)[感想]世界、とくに欧米史観の中に置かれた「日本史」や「世界史」を教育されてきた世代の私には衝撃を受けた一書でした。どの国であれ、自国の歴史や世界史を誤解や糊塗や自虐や奢りや捏造なしで描くことがいかに難しいかを知らされます。この本には、イギリスがインドにワタだけの栽培を強制し、綿織物の家内工業を弾圧して植民地化に成功したこと、イギリスのピューリタンが北米大陸に上陸したとき先住民の助けによりかろうじて冬の餓死を免れたにもかかわらず、その後に先住民を殺戮し追放しその豊かな土地を奪ったこと、オーストラリアに送り込まれたイギリス人が先住民を悪魔の子として殲滅したこと、中国に対する巨額の貿易赤字をアヘンをもちこんで解消したこと、日本に対して植民地と同じ不平等条約を世界の慣例だといってアメリカ領事ハリスやイギリス公使オールコックがだまして押しつけたこと、金と銀の交換比率を偽り、それが原因で百万両を越える金貨が欧米に持ち去られたこと、などなどが記されています。[頁のかけら] ○ 近東、インド、東南アジア、中国、日本といった古い文化の中心地に比べて、中部及び北部ヨーロッパはかつて荒涼とした貧しい土地だった。このことは今日なかなか想像し難い。ヨーロッパは惨めにも貧しい大陸だった。その事実はいくら壮大な大聖堂を建設しても覆い隠すことはできなかった。○「奴隷(スレイブ)」は、語源的に「スラブ人」と同じである。大掛かりな奴隷狩りが行われた。ポーランドからボルガ河畔に沿ってウラル山脈にいたるロシアの平原で、ヨーロッパの奴隷狩り専門家たちによって、スラブ人の男女が捕らえられたのである。(アフリカの黒人の奴隷狩りの前に白人による白人奴隷狩りが存在した。オリエントへの輸出品とするために!)○ヨーロッパのいくつかの民族が海洋国家となったそもそもの動機は、決して遠い異教徒たちの魂を救済するためでも、キリスト教伝道の任務を遂行する内なる衝動のためでも、文化的優越感のためでも、その優越感から導き出された、非ヨーロッパ民族をヨーロッパの文化によって幸せにしたいという願いのためでもなかった。大航海時代を生み出した原動力は、自然に呪われたヨーロッパ大陸の貧しさを克服したいという願望だった。 **************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2009.2.6. No.110)
2009.02.06
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109 「さくもつ紳士録」 青木恵一郎 (あおき けいいちろう) 中公新書 208頁¥??? 1974.8.25 初版第1刷発行 [目次] 果物 石垣いちご、夏みかん、鳥取二十世紀、巨峰ぶどう、など36項目 稲 太郎兵衛もち、銀坊主、愛国、ササニシキ、小麦農林十号、など16項目 工芸さくもつ 蜂蜜、狭山茶、こんにゃく、くず、国分タバコ、など11項目 野菜 たけのこ、ふき、練馬大根、聖護院かぶ、野沢菜、など36項目 あとがき [内容] 見開き2頁に1項目ずつ、果物、稲+麦類、工芸作物、野菜などの品種 について、育成された由来や栽培普及の状況などを描いた新書版の 本です。全部で99項目あります。 「水を飲むときは源を思い、米、果物、野菜を食べるときは、それを 育てた人を思え」という言い伝えを、著者はあとがきで引用しています。 [感想] 「(歴史は)人を殺し合う戦場のことはいろいろ書きたてるが、 我々に生きる糧を与える栽培畑のことは黙りこくっている。 歴史は王様の隠し子たちのことなら知っているが、小麦の起源と なるとさっぱり知らない。 人の愚かさの然らしめるところだ」 J.アンリ.ファ-ブル この本に出てくる人々。 夏みかん : 西本於長 (山口県大津郡の評判娘)が発見 サクランボ「佐藤錦」:佐藤栄助 (山口県上山、明治) ナシ「二十世紀」 : 松戸覚之助 (千葉県東葛飾郡、1898年) ブドウ「甲州」 : 雨宮勘解由 (山梨県八代郡、1186年) ブドウ「巨峰」 : 大井上康 (静岡県田方郡、昭和) リンゴ「ふじ」 : 定盛昌助 (農林省園芸試験場東北支場) イネ「神力」 : 丸尾重次郎 (兵庫県、1877年) イネ「農林1号」 : 並河成資 (新潟県農事試験場) コムギ「農林10号」 : 稲塚権次郎、浅沼清太郎 (岩手県農事試験場) 世界のコムギの増産に貢献した品種。 (ボ-ロ-グがノ-ベル平和賞を受けたとき、 賞の意義からいえばその遺伝資源を創った 稲塚らも受賞されるべきだったと思う) こんにゃく :中島藤右衛門 (茨城県那珂郡) じゃがいも : 幸田善太夫 (飛騨高山)、川田龍吉 (函館) [頁のかけら] ○ (長門国(山口県)大津郡青海島に)元気な評判娘・西本於長がいた。 あるとき、縞の大日比の海岸に珍しい果物が流れついた。於長がこれを 拾って、その種子を蒔いて育てたところ、木はだんだん大きくなり、数年 にして大きな果実をつけた。しかし、これが何というものかだれも知る者 がない。近所の子供たちは、この果物をまり投げ遊びに使い、人にぶっつ けるので、人々は「於長さんはバケモノを作った」と非難したものである。 (夏みかんの由来) ○ **************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2009.2.1. No.109)
2009.02.01
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