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「バイバイ、ブラックバード」、「マリアビートル」、「グラスホッパー」など軽快に読める伊坂作品と違い、今回読んだ「夜の国のクーパー」はファンタジーとは言え何かと構成が複雑。終りの方の325ページまでは読みにくい。伊坂作品では結構珍しいこと。「PK」もやや読み難かったけど、この作品ほどではない。 誰が味方で誰が敵か、お互いが疑心暗鬼になる展開。入り組んで、「複眼隊長」、「冠人」、「号豪」、「医医雄」、「酸人」、「猫」、「鼠」、「鉄の国の兵士」、「鉄の国の為政者」が主な登場人物達。326ページからの「複眼隊長」の告白で、クーパーの兵士が「鉄の国の兵士」に何故身をやつしていたかの経緯と「冠人」の自分の身を守るために他人を欺く醜さ(安倍首相がアメリカにペコペコしている、欧米隷属主義のイメージ)が語られて、ここまでのモヤモヤ感が無くなって読むスピードが加速。終りの約80ページは一気に読み進められました。「魔王」、「モダンタイムス」、「ゴールデンスランバー」でも安倍的な「似非愛国主義者」が揶揄されて登場する。伊坂の基準では「真の愛国者」は「複眼隊長」のように「身近な村の人を守るために」自己犠牲を払うことが出来る人々のはず、とパパは思ってます。 正直、325ページまでは読み辛いので、それほどお勧めではないですが「複眼隊長」達、クーパーの兵士が身を捨てて自分たちの国(村)より50倍も大きい「鉄の国」と切り結ぶ意思の行(くだり)は胸に迫りました。同じクーパーの兵士だけど、「愛」を基準に仲間を強制的に村に残していくあたりも素敵。この本の基になった、大江健三郎「同時代ゲーム」は小林秀雄がはじめの2ページで止めたそうですので読みにくいジャンルの小説なんでしょう。大江の言う「Decent(たしなみのある、見苦しくない)」人が、「複眼隊長」、「号豪」、「医医雄」であり、「Decentでない」人が「冠人」、「酸人」に当たりそう。 朝10時からは第38期棋王戦五番勝負 第4局、郷田棋王VS渡辺竜王戦のニコニコ動画での観戦。「無料会員」なので有料の「プレミアム会員」が多く見るようになると追い出されましたけど 。 竜王側が中盤53手目5三桂成から強引に駒損ながら攻め立てた。郷田棋王も入玉含みで押し返したが88手目7八飛成、140手目4四銀引が守勢に陥る手順。渡辺竜王が157手目1三金打までで圧勝。「19時33分、郷田は小さく首を振ってから頭を下げた」。ニコニコ動画でこの一瞬を見てましたが、郷田ファンとしては辛い場面でした。羽生三冠に並ぶ、渡辺三冠誕生。2強時代。 昨日と今日で10時間はニコニコ動画で将棋観戦。本当に便利な時代です。ボケ防止には最適。頭を私もフル回転させました。
2013.03.24

去年の米長会長惨敗の後を受けた、第2回将棋電王戦。去年は新橋の駅前、1月の寒い時期でしたがやはり観戦に行きました。容易なことではプロ棋士といえどもPCに勝てない時代に。 先手の阿部光瑠四段の研究で先手の1手損角替わり。あまり実例のない局面に持ち込んで、2013/03/23 18:32 、113手にて先手の阿部四段の勝ち。PCで解説ストリーミング生中継だったので、先手35手目6八銀から観戦。またも解説は矢内さんとイケメン阿久津さん。家でラーメン作って食べながら観戦できるのがとても便利。おやつのコーヒー&クッキーも嬉しいところ。伊坂幸太郎の「夜の国のクーパー」もなかなか指さない時間帯には読めました。 後手がやや無理攻めになり、5時半くらいには後手敗勢。用事があって、8時くらいに戻って来た時には、阿部さん勝ちで終わってました。阿部15手目9六歩に対して習甦16手目6三銀が悪く、既にこの局面で形勢を後手悪くしていたか。米長会長、草葉の陰で喜ばれていると思います。電王戦は5戦あるので、プロ5勝で終わって欲しいものです。但し、5年後にはトッププロでもなかなか勝てない時代になりそう。5戦目に登場の三浦八段がストリーミング生中継で登場してましたが、三浦八段の相手は670台のPC(サーバ)がカスケードに繋がったスーパーコンピュータ並みの実力。ROOTで利くのでPCの約26倍の強さ、読みの量。1秒で1000万手読む相手には勝てるが、その26倍の相手だと厳しいと言ってました。
2013.03.23

ニノと大友監督が『めざましテレビ』に出ていたので?、感化されて『プラチナデタ』、観ました。やはり仕事帰りの21時過ぎ。開演が20時過ぎるとFEEが1200円になるもので。終演が終電ギリギリなので逃すと映画館の駅に泊まる羽目になりますが、今のところ10回程度この時間に観てますが事なきを得てます。以下、これから観る方は「ネタばれ」なので、これから観る予定の方は以下、読み飛ばして下さい。要らんことを知ると折角の楽しみが台無しなので。 正直、『竜馬伝』と『るろうに剣心』の大友監督の作品にしてはイマイチ。大友さんが遺伝子工学とそれに基づく確率論に裏付けられた数理、プログラミングの理解が足りず、何かとチグハグになったように推測してます。エライ失礼なのかもしれないですが。『竜馬伝』と『るろうに剣心』を5点とすると『プラチナデータ』は2-3点くらい。大友さんには辛めに採点させてもらいます。 前半の神楽を浅間が追跡するシーン、特に商店街で神楽が追われるシーンは『竜馬伝』で岡田以蔵が追いつめられるシーンを彷彿とさせハラハラドキドキで良かったですが、後半の神楽の父の自殺のいきさつ、MOGULを神楽と浅間が協力して見つけ出す展開がややブツ切りで連続感が足りないのが残念。いろんな場面で「ちょっと唐突過ぎる」と感じました。小説の筋は殆ど覚えていないですが、小説ではMOGULを神楽と「警察、公権力の正義」に背いてまでも浅間が協力して見つけ出すに至る心の葛藤とかあって、もっと良かったような気がします。ここの「漠然たる自分の属する公権力が何かを隠ぺいしている疑義」に由縁する、浅間のMOGULに解明されるプラチナデータとは何かに辿り着きたい感が薄かった。後、杏、水原希子、鈴木保奈美は『るろうに剣心』の武井咲、蒼井優に比べると可愛くなくて惹かれないのも大きい。特に、「ノルウエイの森」の「緑」でもそうだったんですが、映画に出てくる水原希子は私が苦手。こないだ「嵐」の番組で水原希子が出ていて素顔の彼女はとても可愛くて「お願いされたら何でも許しちゃいそうな人(例えば、「ゆう君パパ、このカルティエのL RING, 3 HOOPS可愛いから、お願い買ってと言われると思わず買ってしまう」小悪魔な人)ですが映画に出ると、パパ的にはイケません。 小説自体も同じDNAを扱った、ほぼ同時期に出た「カッコウの卵は誰のもの」の方が質が高かったので、素材がさすがの大友監督にしてもキツかったのか。何か『プラチナデータ』を酷評してしまってますね。それだけ、大友啓史という男はもっと出来るという期待があるんです。
2013.03.22

またまた唯一のパパの趣味の将棋観戦。大和証券の本店(東京、八重洲。八重洲口大丸の真横)の18Fで行われる大和証券杯ネット将棋・女流最強戦第6回女流最強戦トーナメントの決勝。どの程度の倍率か分からないが、確か3年か4年か連続で抽選で当たってます。ユウ君も当たったのですが、残念ながら塾のテストで今日も欠席。対局者は上田初美女王と中井広恵女流六段。解説は森内名人と矢内四段。なかなか豪勢な解説陣。 定刻の午後1時から開始。先手上田女王のゴキゲン中飛車。流行りの超速で銀を繰り出す戦法を中井六段が採用しなかったせいか40数手目には上田女王の陣形が伸び伸びとして模様良し。中井六段の46手目、「7八歩」が勝負手だったが47手目「6九金」、53手目「7九歩」で角を自由に使う構想が良く、上田女王が優勢。後手の角が如何にも使い辛い筋に居続けさせられた挙句、「角銀」交換を余儀なくなってしまった。71手目「9六角」で完封勝ちの様相でしたが、91手目「3一飛」が甘く逆転模様。2枚銀の圧力で上田「竜」を自陣に退散させ、捕獲した局面は中井優勢に見えたのですが。106手目「7八と」でなく「1六銀」だったら中井六段の逆転勝利だったか。この一瞬のチャンスを逃すと、上田女王が「絶対に負けませんよ」と言わんばかりの「世知辛い」守りと「馬」捨ての一転鋭い攻めで快勝。途中は中井六段の2筋、3筋の猛攻で「塩漬けになった」71手目「9六角」が活きた展開になっては為す術なし。 決勝戦の後、大和証券の大口顧客の愛棋家と森内名人、矢内四段らとのプロアマお好み対局。森内名人は緩めてあげてアマ2勝、森内名人1勝。2勝したアマには森内名人自身がコウナレバ詰みますよと教えてあげていたので「エライ」ファンサービス。美人の矢内四段の直近で指し手を見れたのは至福の時。矢内四段は辛く、矢内四段がほぼ全勝。パパも大和証券の大口顧客になって矢内四段と指したいと思った次第。 そのまま家に直帰し、いつものイタメシ屋で夕飯。ユウ君のおかげでポイントカードも一杯に。
2013.03.17

やっと翔子ちゃんが学校の図書館で借りてきてくれたので、読めました。最近東野作品で読むのは、ガリレオシリーズ、加賀恭一郎シリーズが多かったですが。この「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は「丸光園」と「ナミヤ雑貨店」に縁を持った人間へつながっていく、心がほっこりするお話。「丸光園」と「ナミヤ雑貨店」の創始者?同士が深い縁(えにし)に分かち難く結び付く。ジャンルとしては、「浦島太郎」の寓意を含む、「Back to the future」の時空を超えるタイムマシン的なファンタジー。読んでいる時には、ロケットに乗っている人と地上にいる人の時間の進み方が異なる(ロケットに乗っている人の方が時間の進みが遅い)、アインシュタインの相対性原理、「時空のズレ」を東野圭吾は意識していると思ってました。ママと翔子ちゃんの「ケータイ」の機種変更、スマホ買いの待ち時間に半分、家で半分で1日で読み終えました。東野作品には珍しく?読後感良し。星:★★★★(かなりお勧め)
2013.03.16

小学2年生くらいの時に読んだ、「レ・ミゼラブル」。その本の題名は「レ・ミゼラブル」ではなく、「ああ無情」でしたが。ジャン・ヴァルジャンがミリエル司教の温情、信念に基づいた行動で改心し折角更生したのに、ジャヴェール警部の「蛇」のような執拗さにまた捕まりかける。ゴセットと出逢い、パリでまた普通の幸せを得たのにまたジャヴェール警部に追われ、非業の死を迎える。何て「救いようのない話」と思い込んでました。ロンドンやNYに行った時も、ミュージカル「レ・ミゼラブル」を上演してましたがどうしても行けませんでした。「オペラ座の怪人」も切なく悲しい話ですが、まだ「マシ」だろうと「オペラ座の怪人」はNY, Broadwayで観ました。一緒に行ったドイツ人に筋書きを教えられないと、幕間に思わず出てしまいそうでしたが。生オーケストラが入っていて凄かったのを覚えてます。福山雅治(マシャ)が「レ・ミゼラブル」をラジオで絶賛していたし、そろそろ映画も上映期間終了になりそうなので意を決して観に行きました。 ファンティーヌの運命の暗転に取り込まれる切なさ。「夢やぶれて」。人間のあらゆる煩悩(金銭慾、快楽を求める慾)を体現したテナルディエ夫妻。役回りはトリックスター。暗くなりがちな進行に「人間なんてこんな浅ましきもの」と諧謔的な笑いを与える。 終ぞ叶うことなきマリウスへの想いに苦悩し、六月暴動の降り注ぐ銃弾からマリウスを守るために身を捨てるエポニーヌ。愛する人をあざむかない「純粋な女」、エポニーヌが雨の中歌う「On My Own」。ラッセル・クロウ演じるジャヴェール警部がノートルダム橋の欄干から身を投げる瞬間のカタルシス感。 小学2年生以来、ジャヴェール警部に対して、社会の「暴力的」と言っても良い矛盾だらけの「法の正義」に対して抱いてきた、ルサンチマンが雪(そそ)がれました。 残酷な、悲しい話が多々ありましたが、ジャン・ヴァルジャンがコゼットとマリウスの愛にあふれた腕の中で旅立っていく、修道院のラスト。救われました。お勧めできる、ミュージカルの傑作。
2013.03.08

久々の吉祥寺サムタイムのJazzライブ。去年の夏、良く行く「スーパー銭湯」の抽選で家の近くの公会堂で無料チケットが当たって以来のファンになった、吉岡秀晃さんのピアノが聞けるので参加。横浜、高田馬場、と本日の吉祥寺で吉岡秀晃さんのライブは都合3回目。サムタイムも割と久々で確か渕野 繁雄さん(sax)トリオのライブ以来で約半年振り。その時はお客さんが少なく(しかもその観客の内五名くらいは渕野さんの高校の同級生のおばちゃん)、この人数では渕野 さんの出演料が本当にあるのか?と心配になるほど。今日は打って変ってサムタイムはほぼ満席。「そんなに混まないであろう」と高を括って、甘く見過ぎていました。JAZZのライブを聴ける店は新宿、六本木、銀座、お茶の水等々、数多あれどお手軽なチャージはここが一番お値打ちだからでしょうか。電車賃(遅くなった時のグリーン車料金)も考えるとどこがどうとも言えませんが。「おや、もう座る席無い!!」とライブ開始直前にサムタイムに入った予約無しの私は選ぶ余地がなく、吉岡秀晃さんのピアノの最も近くの席へ。ピアノと私の席(今にも壊れそうな木製椅子)との距離は何とおよそ30cm。まあ、結果オーライということで。 ライブ前に吉祥寺サンロード商店街で軽く腹ごしらえ。バウスシアターのあたりまで歩いてビールを飲みながら、天ぷらでお食事。前回、サムタイムでも食べたのですがやや味がいまいちなので今日は趣向を変えて。最近「吉祥寺強殺」事件が起こり少し危なそうでしたが、サンロード商店街近辺はかなりの人の流れがあり事件の影響はさほどは無かったように見えましたが、実態は如何に。ハーモニカ横丁からバウスシアターまでは昔よく来たところで懐かしさアリアリ。ハーモニカ横丁では小さい店の軒先にその昔よく服が吊るしてあって、よく「衝動買い」しました。今でもジャケット1着は家に残っていますが、いつママに捨てられるかドキドキもの。虎視眈眈と「何か捨てれるものは無いか!と狙ってますので。GIANFRANCO FERREの上下の背広は体型に合わなくなって、自分で泣く泣く捨てました。確か十万円くらいしたはずですが。ハーモニカ横丁で今やその手の軒先に服を吊るしている店は絶滅状態。何か風情のない食べ物屋が多くなってしまいました。ハーモニカ横丁で生き残るのは大変なので、そんな郷愁は感傷に過ぎないけれど。ライブ開始までまだ時間があったので、食事後「我ニ救国ノ策アリ 佐久間象山向天記」を読破。一気に150ページほどを読み切り。佐久間象山は大河ドラマ「八重の桜」や少し前のドラマ「仁」でも出てました。今まで吉田寅次郎(松陰)の師匠の洋学が出来る人くらいに思っていましたが、「大砲を備えて欧米からの侵略を自分の身を捨てても防ぐ。いくら高くても欧米最新鋭の軍艦を買い、バラしてその構造、部品を学び、日本でも同じ軍艦を作り列強に伍する海軍を何としてでも作る」という強い意志のお方と知りました。「自信過剰で尊大で」というところがあまりよく言われない理由のようですが、今の政治家にはない「ビジョンを持ったリーダ」であったことを初めて知りました。ペリー来航に際して軍を率いて品川の御殿山に上る真摯さ、スピード感は感動モノ。このあたりの件が「愛国の徒」であるパパとしては一番好きで、少し胸が熱くなって涙がポロリ。松代藩の藩主真田幸貫や松代藩中興の祖、家老の恩田頼母に自力を認めてもらって世に出る件は天命か。佐久間象山の姿を知るには、「我ニ救国ノ策アリ 佐久間象山向天記」は良い本。どうせサムタイムの店内は暗いのは知っていたので、ついつい興に乗って読み過ぎました。少し余裕を持ちすぎたかも。もうライブ開始5分前。ダッシュ。閑話休題。吉祥寺サムタイムのJazzライブは、中村 誠一(sax)/吉岡 秀晃(p) 沼上 励(b) 小泉 高之(ds)のカルテット。コルトレーン、ソニー・ロリンズ等の野太いグルーブ感あり、ラテンの軽いノリありのご機嫌サウンド。前回中村さんのsaxを聴いたのは、中村さん、沼上さん、井上智さん(g)のトリオで昨年の真夏に横浜のホテルでのライブ。その時のライブも悪くは無かったですが、私を含めて3名しかお客がいなかったのでやや盛り上がりに欠けました。何故かピアノがそのホテルの会場にあって、中村さんのピアノを聴けたのはレアでしたが。それに比べて今日の中村さんのsaxは「突き抜けてしまう感」があって心にキマシタ。自分のサウンドを聴き入る聴衆の多寡は大いにライブの質に影響してしまいます。中村さんのsaxと井上さんのgは日本JAZZ界の最高峰なので、横浜のホテルの宣伝があまりに不味かっただけですが。ナベサダさんとかのライブに比べると中村さんのライブにはMCは殆どないですが、若き日ジョージ・コールマン(だったか?)に「セイイチ、お前かっこ良いsax吹きだ」と褒められたことを少し自慢されてました。ちょっと照れながらのMC。良かったです。吉岡さんの「アッチの世界に行っちゃている」感の溢れる熱いピアノ、強いビートはいつもで通りで大満足。吉岡さんが毎月ライブを演る、高田馬場「コットンクラブ」のオーナーも今日のライブを聴きに来てました。頭がツルっとしているので分かり易い。終電のため、11時前には店を出ましたが後ろ髪引かれる思い。
2013.03.02
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