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2006.10.24
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 もし、窓がもっと大きければ、通路側の席の人たちも、外の景色を楽しむことができるのに......。なぜ飛行機の窓は、あんなに小さいのでしょうか。

 飛行機の窓はガラスではなく、3層の透明のプラスチック(アクリル)の板でできています。飛行機を設計するときには、いかに軽い材料を使うかが重要になってきますが、アクリルはガラスよりも軽く、しかも柔軟性があって加工がしやすいため、飛行機にはとても適した材料なのです。

 さて、飛行機が飛んでいるときは、機内を地上と同じ気圧に保つために、与圧という圧力が加えられていて、その圧力は最大8psi(1cm 2 当たり560g)にもなります。そのため、飛行機の機体は、与圧に耐えられるよう、幾重にも柱が巡らされた設計になっています。

 実は、飛行機の窓が小さいのには、2つの理由があって、ひとつは、機体の柱が邪魔をして、窓枠を大きくとることができないため。ふたつめは、窓を大きくするために、窓を厚くしたり、窓をはめ込む機体の柱を太くしたら、機体が重くなって、飛べなくなってしまうためです。

 それでも、操縦席の窓だけは、視界を確保するために大きくつくられているのですが、そのかわり、厚さも重さも客室の窓とは比べものになりません。ちなみに、操縦席の窓はアクリルとガラスの5層構造で、厚さは合計で45mm、重さは約70kg、飛行中に鳥が衝突しても大丈夫なように設計されています。

 客室の窓はどうかというと、3層のうち、最も外側が厚さ9mm、中央が6mmで、この2枚が主に与圧に対する役割を果たしています。どちらも1枚だけでも十分与圧に耐えられるのですが、もしひとつがだめになっても、もうひとつが支える「フェイル・セーフ(Fail-Safe)構造」という設計思想によって、より安全性が高められているのです。

 ところで、ガラスと違って、アクリルには、傷がつきやすいという欠点があります。時速約900kmで飛ぶ飛行機の客室の窓は、空気中に含まれる埃や火山灰といった目に見えないほど細かな塵でも傷がつき、外の景色が見えにくくなってしまうのです。われわれ整備士は、窓の小さな傷ひとつにも、日夜気を配っています。これからも、日本航空の飛行機の窓からは、すばらしい景色がご覧いただけることと思います。

文=足原 靖(日本航空羽田整備工場)





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最終更新日  2006.10.24 07:16:01
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