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ずっと気になっていることがある。柚木崎自身も片割れも、やったことはないのだが、携帯電話のアンテナの本数が少ないと、携帯電話を振るという行為である。みていて結構滑稽なものを感じるのだが、果たして振ったからといって、感度はあがるのだろうか。ずっと気になっていたのだが、知り合いの一人に答えを貰い、やっと納得できたのは数年前のこと。振ったところで感度はあがらないのだそうだ。水銀式の体温計じゃないんだから、とその知り合いが苦笑していたのも覚えている。それならまだ地面にアンテナを伸ばしてつけたほうが効果的、ともその知り合いは言っていたのだが、果たしてそれは正しいのか柚木崎は知らない。よく冗談や他愛のない嘘を言っては笑わせてくれる知り合いだったからだ。そうか、意味がないのか。そう知って数年が経つが、未だに携帯を振る仕草をよく見かける。無意識の行動なのだろうか。そう思うと、さらに可笑しい。今日はそんな中でも、専門的にこういう技術を学んでいる学生が、なんの迷いもなく携帯電話を振る仕草を目にした。携帯電話だって精密機械の一つである。衝撃や強い振動は、ヤバいのではなかろうか。そういうコトを学んでいるはずの学生である。やはり、「振る」行為は人間の本能の中に組み込まれているのかもしれないと苦笑しながら思ってしまった。しかし、お嬢さん?試験の真っ最中に、携帯電話はいじってはいけません。
2004.07.31
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排気口(吸気口?)にはまってしまった子猫がいる。ずっと「助けてくれ」と鳴いているちび猫だ。だんだん声が小さくなっていくのを、昨晩、片割れとともに断腸の思いで聞いていた。何もしてやれることがないというのは、とても辛い。悲痛な声を一晩中聞きつづけて心底力がないことがどれだけ辛いか実感した。今朝。弱弱しいながらも、ちび猫はまだ鳴いている。良かった。まだ、生きてくれて、いる。大急ぎで着替えた片割れは持つものもとりあえず、大急ぎで管理人室に駆け込んだ。管理人が、片割れと一緒にちび猫の確認に来る。足音が聞こえたのか、先ほどよりも大きな声で呼んでいる。助けてくれ、と。その声が掠れて、ちび猫らしくない鳴き声になっていた。排気口を確認して、ちび猫の姿を確認して。管理人は1度自宅に戻ると言い出した。いろいろと準備をしたいから、という。お願いします、と頭を下げて片割れと柚木崎は後ろ髪を引かれる思いで職場に向かった。ちび猫の声は、まだ続いている。行かないで、助けて。僕はまだここにいる。生きている。助けて、助けて。そう聞こえてしまう鳴き声。本当に、本当に痛かった。仕事を終えて、自宅に戻る。さすがに寝不足である。一晩中ちび猫の痛々しい声を聞いていたのだから眠りが浅くても仕方がない。帰ると、鳴き声は聞こえなくなっていた。管理人に任せて仕事に行ったのだ。助かったか助かっていないかは、判っていない。ただ、柚木崎も片割れも、ここの管理人を信頼している。だから、信頼を裏切るようなことはしないだろう。そう、自分に言い聞かせて明日の仕事に支障が出ないよう、少し眠ることにした。どのくらい眠ったのだろう。ちび猫の鳴き声で目が覚めた。ここにいる、と鳴いている。慌てて飛び起きて、寝室の窓を開けた。姿は見えない。が、鳴いている場所は、排気口に近い。まさか、まさか、まさか。まだ、あの中にいるの、では?そう思ったとたん、血の気が引いた。ちび猫の体力では、もう持たない。ここまで体力が持ったのは、台風が近づいていて気温が上がらなかったこと。その運のよさに他ならない。気温が上がってしまったらちび猫は一発で死んでしまうだろう。それだけの熱風が吹き上げてくる場所である。飲まず食わずの上に、体力を奪う乾いた風。……ちび猫の、運命は。慌てて片割れにメールをうとうとしたら自宅の電話が鳴り響いてかなり驚いた。見たことのない電話番号。出るかでないか悩んだ挙句、受話器を上げた。聞きなれない声が聞こえてくる。名前を名乗られて、ようやくだれだかわかった。管理人だった。ちび猫に何をしたのか。管理人はきちんきちんと話してくれた。心配しているのがわかったからだろう。その説明は懇切丁寧だった。まず、食べる気力だけでもあるか否かを確認するために小さな笊の中に猫缶を少しだけ入れて笊の下にマタタビを仕込んで排気口の中に入れたのだそうだ。単に餌だけ落としてもおびえる一方だろう。餌だと気づかない可能性もある。だからこそのマタタビだったそうだ。しばらくしたら、ちび猫が食べている音が聞こえてきたとのこと。最初は自分たちが降りてちび猫を助け出そうと思ったのだがいかんせん、狭い排気口。体が入らなかったので諦めたそうだ。代わりに足場を組んでみた、といっていた。猫なら登ってこられるように。塩ビ管では爪も立てられない。ましてやちび猫。あがってくることは確実に不可能。それなら登ってこられるようにしてやればいい。足場を組んで、下までおろして。そのまま2~3時間放っておいたのだそうだ。しばらく放って戻って、中をのぞきこんでみたらどこにもちび猫の姿がなかったので、排気口を閉じたのだと言う。手抜き工事といったら手抜き工事だったね。そう、管理人は少しだけ怒った口調で言った。手直しの工事をしてもらうことにしたよ、とこちらを安心させるように話してくれる。ところでちび猫の声はまだするかい?そう聞かれて、聞こえると答え、声を聞かせる。まだ声はしていたのだ。しばらく黙っていた管理人だったが明日の朝、また確認してくれることを約束してくれた。昨日ほど切羽詰っていないちび猫の声。少なくとも、餌を入れてもらったことで安心したのか。だが、まだしている。鳴き声が。管理人が組んでくれた足場を使って外に出ていてくれているといいのだが…。
2004.07.30
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ずっと、子猫の鳴き声が聞こえている。母猫とはぐれた子猫を見かけたのは、つい昨日の話である。母猫を探して鳴くちび猫の声が最初は耳に残っているのかと思っていた。が、どうやら違うようだ。居間にいようと寝室にいようと、どこにいても、せっぱ詰まった鳴き声が聞こえる。今度は紛れもなく、「助けてくれ」と呼んでいる。お母さん、どこ? という声ではなく、お母さん、助けてという、悲痛な声。どこかに挟まってしまったのだろうか。最近のマンションは複雑な作りになっているので、どこか狭いところに入り込んで出てこれなくなってしまったのだろうか。ベランダから覗き込んでみたら、子どもが慌てて姿を隠した。なにかを画策していたようだが、真意は分からない。左側からちび猫の声がするように思えて不安になって、外に見に行ってみた。折しも外は雨。今日は気温がそれほど上がらなかった。それが幸いしたのか否か。ちび猫の声は、昨日聞いたのと変わらず元気なまま聞こえてくる。しかし、聞こえてくる所在が分からない。隣との間から、というのは分かるのだが、どこにも姿が見えないのだ。仕方がないので、普段は立ち入らない隣とのわずかな隙間(大人が二人やっとたてる程度の隙間)に寝室の扉から出てみることにした。柚木崎の胸元まである壁と手すり。乗り越えたのは、引っ越してきてすぐ以来のことだ。ちび猫の声はまだ聞こえている。覗き込んでも姿が見えないから懐中電灯を持って、その壁を乗り越えた。どこで呼んでる? どこにいる?そう呼びかけながら狭い隙間を覗き込んでみる。懐中電灯で照らしてみるが、どこにも小さな姿は見えない。でも、声は、する。もうすぐ境界の金網、というところでちび猫の声が突然途絶えた。慌てて振り返るが、やはり姿はない。このあたりにいるのか? と姿を求めて光を当てるが、やはり姿は見えない。隣のファミレスの敷地ならどう頑張っても連れてくることは出来ない。声の感じから、その可能性も否めない。姿が見えないのではどうしようもないので部屋に戻ろうと踵を返した。すると。少し戻ると、またせっぱ詰まった声がする。行ってくれるな、助けてくれ、と。振り返る。そこには、ちび猫が潜れそうな隙間がいくつか。隣の方も、少しライトをあててみるが、見えない。ふと、とても邪魔なものに気がついた。下の駐車場からの換気口である。塩ビの覆いがしてあるが、わずかに隙間がある。その隙間……ちび猫なら入れる。まさか、とライトをあてて覗き込むと、すぐそこに金網が見えた。ものが落ちないようになっているのだろう。そこから声が聞こえる気が、する。が、金網の上には姿は見えなかった。それ以上下は、覆いが邪魔で覗き込むことは出来ない。なにか厭な予感がする。ここからでは対処のしようがないのでちび猫に「ちょっと待ってろ」と声を掛け急いで部屋まで戻る。戻って、片割れにちび猫どっかに落ちてるとメールを投げて携帯を握りしめたまま、今度は玄関から飛び出した。もちろん、自宅の鍵も握りしめて。自分の部屋の下にある駐車場を抜けて、川沿いの道へ出る。表側から(裏側と言うべきか?)声のする方を見上げてみる。……ベランダの下にいるわけでもなさそうだ。まさか、とライトの光をさらに上に上げる。換気口。やっぱりあそこから聞こえるように思う。「ご飯あげるから出ておいで。怖くないから、おいで」そう、換気口に向かって声を掛けると、出たいの、出たいんだけど出られないの、と言わんばかりに必死の声が聞こえた。やはり、あそこのように思えてならない。換気口に落ちたのなら、一人の力ではどうしようもない。片割れが帰ってくるまで待とう。そう思って、駐車場からまた戻ろうと思って、ふと意識が引かれた。換気口。そう、パイプが引かれている。近寄って声を掛けてみると、やはり声はここから聞こえた。軽くノックをすると、みゃあ、と返事。ここだ。やはり落ちている。片割れにそうメールを投げると、帰ってから一緒に救出しようと返事が来た。片割れが帰ってきてからも、ちび猫救出作戦をしたのだが、やはりダメ。狭い、暗い、見えない。これが最大の原因で、ちび猫を救い出せない。同じマンションの人を他にも二人巻き込んだのだがやはりダメだった。……明日、守衛さんに相談してみよう。なんとかなるかもしれない。ちび猫、それまでがんばれ。
2004.07.29
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寝ている時は妙なことがおこるのだな、と実感した真夜中の出来事。宵っ張りの柚木崎宅は、次の日仕事がないと、午前3時過ぎまで起きていることがある。片割れがゲームをしていたり、DVDを大量に連続で見たり。二人で別々の本を読んでいて、気がついたら朝だったこともある。たまに人を拾って明け方まで、なんてこともあるがそれは年に一度あるかないかの話。さすがに次の日仕事なので、ベッドに潜り込んだのは夜中の1時過ぎのこと。それでも十分に遅いと思う。眠ることが好きな柚木崎にしてみればやっぱりもう少し早く眠りたいと思う時間である。せめて日付が変わる前に……とか思いながら眠りについた。夢の中で、ちびこい男の子が泣いている。見覚えのない男の子だ。「おかあさ~ん、どこ~? おか~さ~ん。おか~さ~ん」悲痛な声で呼びながら泣いている。迷子か? と思いながら近づくと、男の子は怯えたように後ずさりしてしまう。近寄れないのだ。どうした、迷子? と聞くと、大きく頷く。お母さんとどこではぐれたか分かるか? と聞くとわかんない、と小さく呟く。一緒に警察に行こう? と手をさしのべて一歩近寄るとやはり一歩逃げてしまう。警察行ってもだめなの、と小さな声。なんでだめ? 行ってみないとわかんないよ、と言うときっと見つけられないよ、と悲しげにささやく。大粒の涙がぽろぽろとちょっと目尻があがった大きな目元からこぼれ落ちる。なんだか野良の子猫みたいだな、と思ったところで目覚ましが鳴った。目覚ましの音で目が覚めて、しばらくの間はぼーっとしてしまうのが癖である。5分~10分ほど、二度寝することもある。まだ回転の鈍い頭でなんだか妙な夢を見ていたなぁと思っていたら片割れがいきなり飛び起きた。一気にカーテンを開いて窓を開け、外を覗き込んだ。寝室の窓を開けると、隣は24時間営業のファミレスである。そことのわずかな隙間を覗き込んでいるのだ。どうした? と聞こうとして、気がついた。猫が鳴いている。子猫がいるよ。そう片割れに言われて、同じように覗き込んだ。黒っぽいとら猫である。怯えたような眼差しが、まっすぐにこちらを見ている。その目を見て、夢を思い出した。男の子の目にそっくりだったのだ。まさかね、と思っていたらその子猫は「な~ん」と鳴いた。……まぎれもなく、母猫を呼ぶ声。柚木崎に負けず劣らず動物好きな片割れ。子猫に向かって「おいでおいで」と声を掛けた。が、その声にびくりと体を震わせると小さな体の特性を活かして隣への金網の隙間を縫って、たちまち姿を消してしまった。「いっちゃった」と淋しげな片割れの背中を叩いてしっかり目覚めた柚木崎は、着替えるためにベッドから降りた。それにしても、夜中に見た夢。あれは、あの子猫のことだったのだろうか。そういえば、眠りにつく直前に、子猫の鳴き声を聞いている。時々浮上する意識が、子猫の鳴き声を聞いていたような気がする。……どちらにせよ、母と無事に会えることを願うばかりだ。
2004.07.28
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今頃になって、ということを言われている。先週の火曜日、非常勤の上司たちに誘われて納涼会を企画した。会場も時間も日付も地図も、全て案内状に書いて参加希望者に渡したのはその1週間前、13日のこと。うちの職場からは、柚木崎を含めて5名の参加表明があったのだが、実際に行ったのは4名。その、来なかった上司は、一番上の上司に言わせると「乗り気でなかった。口では行くと言っていたが 実際は来るつもりはなさそうな感じがした」とのことだった。そういわれていても、もしかしたらの可能性を考えて飲み会の席を何度も何度も失礼させてもらって駅まで探しに行ったり、臨時休業してしまった店の前まで行ってみたりしていたのだが本当に、結局来ることはなかったのである。そのことは、敢えて言う必要はあるまい、と。そう思っていたので、来なかった上司と次の日顔を合わせた時にいつもどおり、普通に挨拶をした。が、返事はなく、思いっきり無視される。たまにそういうことのある人なので、またかと思って、そう気にしていなかったのだが、後日別の参加者にこう言われて驚いた。「あなた、あの方に案内状渡さなかったの? ○○駅周辺で、ずっとお店を探してたってお話よ? あんなに暑い日だったのに、なんてことをさせたのよ」○○駅は、案内に書いた最寄り駅ではない。それより一つ、手前の駅だ。それを聞いて、本当に驚いてしまった。柚木崎、この上司にはきちんと手渡しで渡したのである。「20日の納涼会の案内です」と。上司はきちんと受け取り、「ありがとう」と答えた。そのことは、業務日誌に書いてある。……業務じゃないんだけどね、と思いながら書いたのだ。きちんと手渡しで渡したこと、内容は他の人に渡したものと同じで、きちんと日時、場所、最寄り駅、地図がかかれていたことをその話をしてきた人に話したのだが、明らかに不審そうな目で柚木崎を見ている。「だって、あの方が嘘を言うわけないでしょう。 持っていない、見ていないというのだから あなたが渡さなかったとしか思えないじゃない」そう、言われてしまったのだ。なんてことだろう。その時、本当に腹立たしくて悔しくて口調がいつも以上に丁寧になっていたのを覚えている。さらにもう一人の上司にそう言われた時には一瞬目の前が赤く染まった。それほど激高したのである。なにせ、この上司は納涼会の企画者で、柚木崎に手伝いを依頼してきた上司だからである。案内状にはきちんと目を通しているし、あて名もきちんといれられていたのを知っているし、渡してきた報告も、きちんとしたのだ。この上司には。怒っても仕方がない。そう思いながらも、理不尽なものを感じていた。そのままさらに一週間が過ぎ、やっと気持ちも穏やかになってきた今日になって当の上司が、一週間の沈黙を破って話しかけてきたのである。「なんで僕にだけ、案内状くれなかったの?」その言葉を聞いて、柚木崎は瞬間沸騰した。あたりまえである。きちんと渡した、きちんとあんたはお礼を言った。そうだろう?そう、言いたくなったのだ。脊髄反射で返事をしたら、絶対口論になるのは目に見えている。反射で答えては、いけない。きちんときちんと、言葉を尽くして丁寧に説明して。案内状自体、もう一度プリントアウトして見せた。こういうものを渡しましたよね、と。この日の業務日誌も見せた。きちんと、渡した日にち、時間、書いてある。ところが、やっぱりこの上司、こう言ったのだ。「さあね、僕には覚えがない。 こういうものはあとからでも書き加えは出来るだろう? 証拠になんか、ならないよ。 でも、僕は君のせいで貴重な時間を無駄にしたんだ。 そのことについて、何か言うことはないのか?」巫山戯たことを抜かすな、と言いたくなったがにっこり笑って違うことを口にした。今回の納涼会の企画者は柚木崎ではなく、別の上司であること。文句があるならその上司に言って欲しいということ。そして。今後こういうことがあって、仕事に支障が出ると困るので、二度と手伝いしろと言うな、ということ。……上司は口を噤んだ。顔色が悪かったから、きっと逆鱗に触れたのだろう。そんなことはどうでもいい。そう思うほど、柚木崎は怒っていた。今頃になってそんなこというなよなあ、というのが今の柚木崎の心境である。それにしても、相性の悪い上司だとは思っていたがこれほどまでだとはしばらくの間で忘れてしまっていた。ため息が出るほど情けない。
2004.07.27
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今日から水曜日まで、片割れは出張である。しばらく出張がなかったのだが、最近思い出したようにちょくちょく出張が入るようになった。それだけ景気が回復していると言うことか。今回の出張先は福井である。そう、先日水の被害にあったばかりの福井。片割れの行くあたりは、幸い被害がなかったところとのこと。「それでもね、少し貢献してくるよ」そういって出張に出かけていった。……なにに貢献するんだろう?行きは新幹線、帰りは飛行機と言っていた。いずれにせよ、水曜日の帰宅は遅い。今年はなんだか妙に洪水が多いような。降らないところは殆ど雨が降らないのに、降るところに集中的に降る状態。他の部分のも一緒に、と言わんばかりの雨量。なんだかとっても気になる。こういう天候、良くないのではないか。NHKで月に一度やっている『地球大進化』という番組を見ている。これを録画するためにDVDレコーダーを購入した。連続ドラマですら見るのを忘れることがある柚木崎。これは見たいのに、見忘れたら絶対に痛い。綺麗な画像のまま見たいという我が儘もあり、DVDレコーダーを買ったのだが、それは余談である。その番組を見ていると、なんか、こう、どういえばいいのか。これらの気候の変化、また地球に変化が起こる前触れなのではないかと思ってしまう。去年の冷夏、今年の猛暑。亜熱帯化している日本。なんだか変だ、そう思ってしまう。そんなことをつらつら考えながら、片割れを送り出した。今日の宿は琵琶湖ホテルらしい。いいなあ、温泉。いいなあ、リゾートホテル。出張なのにリゾートホテルは凄い。どうやら思考があちらこちらに飛んでしまう様子。今日はこのくらいにしておこう。……なにごとも。
2004.07.26
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今日は、鍵の業者が来ることになっている。去年度、同じマンションに住む人の中から補助鍵をつけたいという意見が出た。その人は指紋識別装置をつけたかったそうで、一番最初にその意見を言ったのだが、この意見は通らず、別の補助鍵の設置という形でおさまった。会議の時には結構な人が補助鍵をつけたいという意見だったのに、いざふたを開けてみたら2世帯しか補助鍵をつけないという何とも不思議な結果となった。その2世帯のうち、1世帯がウチである。先日、昼頃に来ると言っていたのだが、いきなり電話がかかってきて、早くくることになったので今日は朝から慌ててしまった。元々の鍵と新しくつける鍵は違うものにしたのだが間違えないようにしなければね、と片割れとお互いに確認しあった。実際、鍵の取り付けを始めたら時間がかかるかと思ったのだが、意外に早かった。そういう付け方にしたからかもしれないが元からある鍵より高い位置につけてもらった。約1時間で設置完了。取り付け工事に来てくれた人は、「実は3世帯になったんです、取り付け」と、なんとも表現しがたい表情で教えてくれた。5世帯以上の設置で、設置価格が少し下がるのだが、3世帯なのでなにも変わらない。面白いことに、3世帯が3世帯とも、鍵の種類が違うのだという。ウチのも含めて見せてもらったのだが、確かに全部違う。こういうのにも好みが反映するらしい。新しい鍵をもらって。片割れと共に自宅の鍵をつけているキーホルダーにつける。が、……今回の鍵は頭がでかいのでキーホルダーにつけようにもつけられない。片割れに至っては、ぶら下げる場所がない状態でもあった。仕方がないので、新しいキーホルダーを買いに行くことに。適当に昼食を食べて、買い物に出かけた。早速新しい鍵を使うのだ。自宅から少し離れた駅まで車で出かける。地下駐車場に停めて、駅に附属するデパートへ行った。そこまで歩いていく途中で、ご機嫌さんの小さな子どもと何人もすれ違う。歌を歌っている子どももいれば少しずつ色が違うタイルの上を、跳ねるようにスキップしてる子。踊っている子もいた。なんでこんなにはしゃいでいるんだろうと思ったら、近くでイベントをやっているらしい。そのイベントに、子どもの喜ぶ何かがあったようだ。買い物の目的があるので、そのイベントのところへは行かず、まっすぐに目的の場所に向かう。旅行用の鞄やグッズがたくさん置いてあるコーナーへ行くと、機能的なキーホルダーがいくつか置いてあった。良さそうなものは2~3種類。片割れは真剣な顔で、そんなに変わらないそれらを比べどれがいいかを悩んでいる。そんな片割れを置いて、柚木崎は別の場所へ。このフロアには万年筆が置いてある。硝子ペンも。柚木崎はそういった文房具が大好きだ。自宅でも普段は万年筆を使っている。いつか硝子ペンを買いたいと思っているのだがなかなか一目惚れするものに出会えないのが残念である。竹で作られた万年筆や、見事な細工の万年筆をショーウィンドウ越しに見つめる。こういう時間が、実は好きである。試し書きなどもさせてもらいながらこのインク、今のがなくなったら買おうとかそんなことを考えている。一番の愛用品はCrossの万年筆なのだが、ペリカンやプラチナなども使っている。微妙に違うインクの色を見ながら他の万年筆も使ってみたいなぁと思っていたら片割れが迷いながらも一つのキーホルダーを持って傍に来た。どうやらこれに決定のようである。キーホルダーを1つ買って他にも少しだけ、買い物をして。上の階まで行って本屋を覗き、本を3冊ほど買う。そのうち2冊はポストカードブック。今年の残暑見舞い(暑中見舞いは書ききれないと見た)に使う。それだけ買って、夕飯の買い物へ別の店に向かう。いろいろ買って帰ってきたが、ドアを開ける時に鍵をどちらだか迷ってしまった。しばらく慣れるまでは時々こうやって迷うのだろう。慣れるまでの楽しみでも、あるのかもしれない。
2004.07.25
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昼過ぎに目が覚めて久しぶりに気に入っているパスタ屋へ行くことにした。駅の近くにある、ラ・クレアという店である。こちらの店の、セットメニューのパスタが気に入っている。細麺の生パスタを使っているのが嬉しい。柚木崎はベーコンとほうれん草のクリームパスタ。ソースを最後まで飲んでしまうほど気に入っている。片割れはキノコとベーコンのアラビアータ。辛さがほどよくて気に入っているとのこと。やはり最後までソースを食べてしまう。セットにすると、飲み物とデザートとサラダ(パンでも可)を選べるのでそれもこの店を気に入っている理由の一つだ。いつもなら窓際の丸いテーブルに座れるのだが今回は混雑しているとのことで窓際だが、二人用のテーブル席を用意された。ちょっと狭いが仕方がない。入った時からオーダーは決まっていたのですぐにお願いして、料理が来るのを待つ。料理を待つ間、何気なく片割れとともに周囲の音を聞く。左隣も右隣もカップルである。左隣は、言葉遣いなどを聞いていると、かなり若いカップル。男の子の方が女の子っぽい話し方をしていて女の子の方が男の子みたいな話し方をしている。ちぐはぐだな、と思っていた。最近はそういう傾向なのだろうか。面白いな、と思って聞いていた。右隣は二十歳を超えたカップル。というか、つきあい始めか?そんな感じの漂う二人である。二人とも、話し方がぎこちない。聞くともなしに話を聞いていて、吹き出しそうになってしまった。綺麗な顔立ちの女性。その正面に座る男性。……男性が、必死に自分を売り込んでいる。付き合うというほどまでまだいってないのかな?片割れの視線がそう聞いてくる。そうかもしれないね、と柚木崎が目線で答える。二人して口元が引きつっている。本当に、必死になって売り込んでいる、という気がしてしまうほど自分の学歴やら経歴やらを相手が鼻白むほどの勢いで話しているのだ。どれだけ自分が海外に出張しているかどれだけ自分が仕事の上で使える人間か。「オレと付き合うと特典が付いてるよ」と言わんばかりに身振り手振りを交えて話す男性。そこまで安売りすることはなかろうに、と思ってしまった。話に熱中するあまり、腕がぶつかろうとなんだろうと全く気にしていない、というか、気づいてない。あんまりにも彼の声のトーンがあがりすぎてきたため左隣のカップルも、彼に視線を向けた。やはり何かを思ったのだろう。何の臆面もなく、指さしてげらげらと笑い出した。それもどうかと思うのだが、そういった不躾なことをされても気づいていない。本当に熱中しているのだ。自分を売り込むことに。一生懸命売り込まれている女性の方は半ばしらけたような雰囲気が漂う。が、表面上はにこやかだ。営業用スマイル? と聞きたくなるほど完璧な笑顔で彼の言葉を遮ることなく聞いている。ずっとまくし立てるように話していた彼が多分喉が渇いたのだろう、コップに口を付けた時彼女は素早く立ち上がると、「ちょっとごめんなさい」と可愛らしい声を残して席を外した。そのまま店の外へ出て行ってしまう。彼女が席を外してから、彼は落ち着きがなくなった。髪の毛をむやみになでつけたり、正面の硝子を鏡に見立てて百面相。少しでも物音がすると大げさなほどの身振りで振り返り彼女でないと、あからさまにがっかりする。見ているだけで、本当に彼女が好きということが伝わってくる。なんだか可哀想になってくるほどだ。そんな彼らを見ているうちに料理は運ばれ、平らげ、片づけられ。デザートも食べ終わって席を立つことにした。なんだか長居をする雰囲気ではない。いつもなら食後の一服をしてから席を立つのだがそれもはばかられるような雰囲気だった。柚木崎たちが立ち上がるのを合図のように彼女がするりと入り口のドアから入ってきた。音がしない。足音も、しない。「お待たせしちゃってごめんなさい」そうまた可愛らしい声を聞かせて座る。あきらかに彼がほっとしたのが分かった。あれだけ必死に売り込んでいたのだから彼の恋が成就するといいよね、と店を出てすぐ片割れに話しかけると片割れは奇妙な顔をしていた。「……どうだろうね?」どうだろう、ね。どうなるだろう、ね。そればかりは、神様と彼女のみが知ることである。
2004.07.24
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在日韓国人の上司が、先日口を開くなり、柚木崎に聞いてきた。「あなた、『冬のソナタ』観てる?」突然の言葉に、吃驚してしまった。柚木崎、基本的にあまりテレビを見ない。ニュースや映画は見ることはあるのだがドラマやバラエティー番組はあまり好きではない。多分、続けて見られないことがあると話が分からなくなることや他人を貶めて笑いを取るという最近のお笑いが好きではないのだろうと思われる。(結構偏見が入っているとも思うのだが)すみません、見てませんと答えるとその上司はけらけらと笑いながら柚木崎の肩を叩いた。力をそれなりに入れて叩かれたらしくあとで見たら真っ赤になってしまっていたのだがその時には、普段スキンシップを取りたがらないこの上司が珍しくこういう形でスキンシップを取ってきたのに驚いてしまった。「だめよあなた、ちゃんと見なきゃ。 すごく凄く面白いのよ? ペ・ヨンジュン、すごく素敵なんだから。 見なきゃ、ダメ」最近人気のこの韓国俳優、『ヨンさま』と呼ばれているらしい。これを聞いただけで胸焼けしてしまった。……なんで日本人って、すぐ『さま』づけするのだろう。面白い傾向というか、なんというか。熱心にオススメしてくれるこの上司には申し訳ないのだが、それを聞いただけで見る気がしなくなってしまった。本当に、ほんとうに熱心にどれだけヨンさまが格好いいか、どれだけ素敵なのか言葉を尽くして話してくれるのだがどう聞いてもだめなのだ。魅力を感じない。最近CMでも見かけるようになったから見た感じの人となりは分かるのだがどうにもやはり、魅力を感じない。……申し訳ないなぁと思いながら適当に適当に話を合わせてしまった。ごめんなさい、上司。最近の韓国語ブームは、この『ヨンさま』が火付け役らしい。SMAPの草なぎ(弓へんに剪の字)くんが、韓国で『チョナンカン』としてデビューしたことやワールドカップの影響があったりとかいろいろと元々の要素はあるようなのだが爆発的に「韓国語を勉強したい」人が増えたのはこの『冬ソナ』とのこと。語学の人気は確かに水物だが、こういう流れというのも見ていると面白い。そういえば、先日聞かれたことを思い出した。韓国語と中国語、どちらを勉強したらいいと思う? という奇妙な質問だった。一般企業に勤めるのには、中国語を勉強しておいた方がいいが、趣味で勉強するならどちらでも良いのでは? と答えたのを覚えている。ここで韓国語が出てきたのも、冬ソナの影響だろうか。この主題歌を歌っているのは、「リュウ」という歌手らしい。どうやら、韓国語の歌だけでなく、日本語や中国語でも主題歌を歌っているらしい。微妙に違うのよ、是非聞いてみて、と熱心に言われてしまったのだが……主題歌、なんだか分からない。だから余計に見なきゃダメ、と叱られてしまった。しかし……ごめんなさい。ダメと言われても、見たいと思えないのです。そう答えたら、また叱られてしまうのだろうなあ。
2004.07.23
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ここ数ヶ月、木曜日になると話題に上る話がある。とある布団の話である。最初に気がついたのは、午後から来る上司の一人。駅から職場に歩いてくる途中に気がついたそうだ。その日は折しも、朝から雨の日。なのに、ふと見上げたワンルームの賃貸アパート一室。ベランダに、布団が干してある。可哀想になぁ、布団干したまま出張とか行っちゃったのかなぁ。そう、上司は思いながら、もうあの布団は使えまいと呟いてしまったそうだ。その日は特にこの話は出なかったのだが、以降、毎週何気なく見上げるようになってしまったと話してくれたのは6月半ばの頃のこと。真剣な顔で、「一つ、聞きたいことがあるんだけど」と詰め寄られた時には、どうしたのかと身構えてしまった。上司が話すにはこの布団、見かけてから一度もしまわれているのを見たことがないという。晴れの日だろうと雨の日だろうと風の日だろうと台風の日だろうとも。ただの一度もしまわれているのを見たことがなくずっと干しっぱなしなのだという。そのあと、上司は声を潜めた。まさか、不穏なことになってたりとか、しないよね? と。そんなことはありえまい? といいながら不安なことは確かである。一度もしまわれない布団。ワンルームの賃貸アパート。どう考えても一人暮らし専用だろう。まさか。まさか。……まさか。少しの間、様子を見ましょう。そう告げると、上司は不安そうな顔のまま頷いた。このアパートのオーナーを柚木崎は知っている。いざとなったらこのオーナーに話をしてみよう、と。一緒に息を詰めて聞いていた上司たちはそこまできてやっと息をついたようだ。すぐにでも知らせるべきだ、という声とやっぱりもう少し様子を見よう、という声と。意見はまっぷたつに分かれたが出張だったら長期の可能性だってある。だから、もう少しの間様子を見よう、ということで全員が納得してこの話は終わった。が、毎週木曜日。報告会のように、「今日も干してあったよ~」とどの上司も入って来るなり報告してくれるようになった。晴れの日だろうと雨の日だろうと。風の日だろうと、台風だろうと。みんなそれだけ注目しているのだ。知らぬはこの部屋の持ち主だけかもしれない。(いや、他にも知らない人はたくさんいるだろうが)みんな、じりじりとこの布団がしまわれる日をなにげに待ち続けているように思われた。ところがとある木曜日。いきなりこの布団干してある部屋の隣に住んでいる人を知っている、という人物が現れた。とある上司が、人を待っている間に集まった人たちに披露したこの話。その話を聞いていた人たちの中の一人が布団の持ち主の、隣人の友人だというのである。さっそく上司はその人に友人にこの布団の持ち主の事を聞いて欲しいと頼んだそうだ。同じように布団に興味を持ったその人は二つ返事でOKしてくれたらしい。そして、一週間後。なんともまあ、な話が披露された。この布団の持ち主、出張に行っているわけでもなく不穏な事態になっているわけでもなく単に、捨てるのが面倒で放り出しているのだという。もともとは来客用の布団として購入したのだが、ワンルームということもあり、来客もなく、使われる機会が全くなくてしまっておくにも場所をたくさんとるため、とても邪魔に思っていたらしい。それなら捨ててしまえばいいじゃないか、と思うのだが、布団を捨てるには、大型ゴミとして処分しなければならずそうなると、処分費用が必要になる。その費用を出すのが厭だということでどこかに放り出しておこう、と思いつき、ずっとベランダに干しっぱなしという暴挙に出たのだそうだ。しかもこの布団の持ち主、うちの職場の人だというのである。その話を聞いて、みんな顎が落ちてしまった。たかだか数百円を惜しんで、この状態。実際このアパートを引き払うときに、どうするつもりだろう。捨てるのにお金がかかるのがもったいないと言っている今、引っ越す時だってきっと同じ事を考えるだろう。それに、このままさらに放っておかれたら……触るのだって厭な状態になると思われる。どんなに綺麗にしようと、こんな状態で放っておかれた布団である。二度と使える状態ではあるまい。新品の、一度も使われていない布団である。リサイクルに出すことだって可能だったはず。なんというムダをしているのだろう。なんという、無駄を、しているのだろう。他人のことだからどうでもいいけどね。そう締めくくったのは最初にこの布団を発見した上司だった。ただ、この部屋を出る時に、他人に迷惑を掛けるようなことはして欲しくないよなあとしみじみ呟いていたのに激しく同意である。そのまま置いていくとか、大型ゴミの費用を払わずにゴミ捨て場に置いていくとかそういうことはしてほしくないなあとこの上司と同じく思ってしまう。きっとこれからも見続けるだろうこの布団。中途半端なことをすると、ウチの上司たちが許さないだろうなあ。
2004.07.22
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先週、去年辞めた上司が久しぶりに遊びに来てくれるという話を聞いていた。柚木崎自身が連絡をもらったわけではないので、正確な時間などは分からない。のだが、週に2度来ている上司が、何時頃来るのか聞いてきた。済みません、正確には分かりませんと答えるとふらふらとどこかへ出かけていってしまった。荷物など、一切が置いてあるので、帰ったわけではなさそうである。なんだかよく分からない。仕事をしながら、遊びに来てくれる上司を待つ。ありがたいことに、少し今日は落ち着いて仕事が出来る環境。ここのところとんでもなく慌ただしかったから自分の業務日誌をみないとなにをしたのかしてないのか、覚えていないという有様。自分で自分が情けなくなってしまった。ここまでテンパッては、いけない。今日はありがたいなぁ、と思いながら仕事をしていたら勢いよく扉が開かれた。先ほど出て行った上司が戻ってきたのだ。「Fさんが来るというから、手みやげを買ってきました」自慢げに見せるのはワインのボトル。しかもかなり高価な品物だ。あっけにとられてみていたら、鼻を鳴らして笑われた。「あなたには見せても価値は分かりませんね」そういわれて、ムッとはしたものの黙るしかない。柚木崎の年齢では、当たり前の事ながら、ワインの蘊蓄など垂れることは出来ない。どこ産のなんというワインで、どういう香りで味はどんなか。何年もので、いつ作られたものが一番美味しいとかまでは少しボトルを見せてもらった限りでは分からないからもちろん黙っている。ムッとしたのもあったので、なにも言わずに仕事に戻ったら愛想がないとか何かぶつぶつ言いながらワインをしまい込んだ。……ここには冷蔵庫がないから保存には適していないのに、と内心思いながら仕事を続ける。気分がそがれてしまったなぁ、と思っていたら控えめなノックの音が聞こえた。待望のFさん登場である。「お久しぶりです」と優しい笑顔のまま、頭を深々と下げる。なんだか覚えているより、一回りほど小さくなってしまった気がする。それだけ疲れているのだろう。なんだか悲しくなってしまったが、にこやかにお迎えした。せっかくFさんが来てくれたので、柚木崎が今一番気に入っている紅茶を淹れることにした。茶葉を蒸らしていると、後ろで先ほどのワインを上司が手渡している。ワインの蘊蓄を語りながら渡しているので相当自信を持って買ってきたワインなのだろう。Fさんはあまりワインを飲まない人なので恐縮しながらも受け取っていたがワインをそれなりに飲む人だったら……きっと受け取れないだろう代物。それほどの値が張るワインである。見栄っ張り。と内心思ってしまったのは柚木崎だけだろうか。紅茶を淹れて、Fさんと上司に出す。他の上司たちはまだ戻ってこない。もうすぐ戻ってくるはず、と思っていたらFさんがティーカップを鼻先に持って行って深く深く深呼吸。「やっぱり、ここでいただく紅茶が、一番好きです。 なんだか帰ってきた、という気がします」そう、透明な笑みを浮かべて呟いた。その言葉は、お世辞だとしてもとても嬉しい言葉である。一口、二口と味わって、ふと思い出したようにFさんは目を見開いた。「紅茶に夢中になって、忘れるところでした。 こちらのみなさんで召し上がってください」そう、傍らの紙袋に手を伸ばして取り出したのは大きな箱だった。ありがたく頂戴して早速あけさせていただくと中にはぎっしりどら焼きが詰まっている。少しだけ頬を赤らめて、Fさんが話してくれた。Fさん、粒あんがとてもお好きだとのこと。今回買ってきてくださった和菓子屋のどら焼き。これに入っている粒あんが、殊の外気に入っていて是非こちらのみなに食べて欲しかったとのこと。同じ味ばかりでは面白くないからいろいろと味を取りそろえてみた、と。大きいから食べるのが大変だけれどもこの店のは自分の一押しだから、是非食べてみて欲しい。そう、Fさんは一気に話して恥ずかしそうに一言付け加えた。「自転車で買いに行ったのですが、 あまりの暑さに、帰り道、目の前が暗くなりました。 どらやきをひっくり返すの厭だったので 慌てて抱え込んで、勢い余って転んじゃいました」なんとも可愛らしい方である。慌てて怪我はなかったのかうかがったら、実は肘を少し擦りむいてしまいました、と照れている。身を挺してどら焼きは守りましたのよ、と笑うFさん。なんだか、食べてしまうのがもったいないエピソードである。そんな話や近況を聞いていたらどやどやと上司たちが戻ってきた。Fさんの姿を見ると、口々に歓声を上げて抱き合う。やはりFさんは人気者だ。大きな器にどら焼きを盛りつけて、Fさんから頂きました、と上司たちの間を回してもらう。みんな口々にお礼を言いながらめいめい好きなものを選んで一つ摘み、早速あける。確かに大きい。かぶりついて食べるにもかなり大きい。それぞれ味が違うものを選んで、美味しくいただいた。しばらく話をしてから、Fさんは帰っていった。同じ方向に帰る上司たちを引き連れて。総勢5名。Fさんの車はランエボ。狭いかもしれないけど、と恐縮しているFさんだったが全員乗せていく意志はかたかった。なにか話したいことがあったのかもしれない。また遊びに来てくださいね、と固く握手をして見送った。しばらくどら焼きをみたら、Fさんのことを思い出しそうである。また遊びに来てくれると嬉しいのだが、Fさん。
2004.07.21
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以前から言われていたのだが、今日は職場の納涼会である。別に明日から夏休みに突入、と言うわけではない。週に一度の出勤者の一人が毎年毎年「今年で最後だ!」と大騒ぎして、お別れ会をやっていたのが恒例となり、実際にお別れすることはないので、納涼会と名を変えたのである。さすがに来年はホントに最後らしいが今年も「最後の最後」で見事に来年も来ることが決まった。そんな納涼会だが、予約をしていた店が臨時休業してしまい(予約を入れた際には計画されていなかった休みらしい)急遽別の店になると言うハプニングはあったが近くに面白い小さな店があったのでそのままそちらに流れていくことにした。総勢11人。それほど多いというわけではないがそれなりに仲の良いメンバーが揃った。深刻な話をするでもなく、本当に上半期お疲れ様の会になる。こういう飲み会もたまにはいい。上司の一人が、小耳に挟んだと不安そうな顔で口を開いた。柚木崎が辞めるかもしれない、という話だそうだ。実際、怒りにまかせて辞表を叩きつけてくる可能性はなくはない。引き出しの中にはいつでも叩きつけられるように日付の入っていない辞表が入っている。その覚悟は、自分だけが背負っていればいいのだがどうやら一部の上司たちは敏感にかぎ取っているようである。どこからそんな、と笑い飛ばしたのだが片割れが出向、という形になったらついていくのでその時は辞めるかも、と軽く話しておいた。それだけでも相当不安らしく、同席していた片割れに、「それはいつのこと? 来年とか言わないよね? まだまだ先の話だよね?」と立て続けに質問して、片割れを苦笑させてしまっていた。それだけ「いてほしい」と思ってもらえるのはうれしいことだ。しかし、本当にどこからその話が漏れたのやら?真夏の夜の怪談ということにしておくか。
2004.07.20
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来週から出張の片割れが、靴を探している。先週くらいからずっと探しているのだが、靴屋が空いている時間に行けないという悲しい事態になっている。今日はそんな状態になっていたので、一日掛けて靴屋を探しに行くことに。いくつか知っている場所があるのだが、ここのところずっと行っていなかった店に行くことにした。朝から、というのは無理なので、夕方から出かけることになる。のんびり出かけて見に行ってみたら店の中は暑くて暑くて仕方がない状態。さっさとここは退散した方が良さそうだ、ということで探すものだけ探してとっとと出てきた。購入した靴は全部で3足。目当てのものもきちんと買った。これで出張に行く時の靴が買えた。問題なしである。さて、慣れるために何度か履いていってもらうかな、この靴。慣れてくれるか否かはわからんが……。
2004.07.19
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8月半ばに一家で引っ越してしまうMさんの奥さんから子どものおもちゃのことで相談を受けている。ヤフオクで可愛らしい子どものおもちゃをみつけたのだが、購入の仕方が分からないので教えて欲しい、というのが最初の相談だったのだが、オークションの説明から始めていったら気に入ったおもちゃを幾つも見せられ、どれがいいと思う? という状態になってしまった。最近の子どものおもちゃは豪華だと、このMさんの嬉しそうな話し方をみていて思ってしまった。彼女がほしがっているのは、木で出来ている、おままごとのキッチンである。高さが子どもの背の高さに合った大きさで、数万しているおもちゃである。最近の流行らしい。しかも、デザインなども拘りがあるようでこれはちゃちくて厭だとか可愛くないからダメとか注文も多い方なのである。子どものため、と言っていたがお母さんの趣味が入っているようで面白いなと思いながら話を聞いていた。それにしてもこういう木製キッチン。手作りのものが多いようで素人さんが作ってはオークションで売っている。多少のゆがみや傷は許してくれ、と書いてあるものが多いしノークレームノーリターンで、というのも多い。しかも、作っているのは男性ではなく、女性ばかり。こういう日曜大工的なことが好きな人は多いらしい。面白いものである。いまにもヤフオクで購入してしまいそうな勢いなので、余りオススメしたくないという状態でもあったので一度お持ち帰り検討、という形にさせてもらった。いろんなデザインのものを探してあげますよ、と言っておいた。さて、どんなのを見つけられるか。
2004.07.18
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2004.07.17
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うちの職場に、週に一度だけ英国紳士がやってくる。日本に住んで、既に30年。大柄な体格に合わせたように、ぬいぐるみのようなエアデール・テリアを連れて来ることもあるこの方。先日はちまこいミニチュア・ダックスフントを2匹連れてきた。小脇に抱えられた犬たちは好奇心旺盛にきょろきょろとあちらこちらを見回し、鼻をひくひくさせて匂いを嗅ぎ回っている。見慣れぬところに来たから、興味津々といった感じだ。そんなわんこたちを撫でさせてもらうことも多いのだが、時々そうやって連れてきては、仕事の合間、部屋の中を走り回らせている。犬にしてみたら面白いおもちゃが転がっているようで柚木崎はしょっちゅう足下にまとわりつかせて遊んでいる。……仕事を時々忘れてしまいそうになるのが難点だ。この上司、綺麗なブリティッシュイングリッシュを話す。元はと言えば、イギリス貴族の出身。家督は兄が継いだから、弟は気楽な稼業、と嘯くがなんかひともめあったんだろうという雰囲気が漂う。立ち居振る舞いも優雅なことこの上なく、紅茶を飲む姿は、やはり英国人という気品に溢れる。たまに、職場の湯沸かしポットでの美味しい紅茶の淹れ方を教えてくれたりするのでやっぱりイギリスの人だな、という気がする。そんな素敵な英国紳士。チノパンやジーンズに、よく似合うシャツを合わせて。さらに頭にはいつも違う帽子をかぶる。暑くなってからはバンダナを小粋に巻いてくるのでその姿をかっこいいですね、と褒めたところ、彼は片目をつぶってこう答えた。「うちの先祖を辿っていくとね、 イギリスの海賊の血筋になるんだ。 僕はその血を濃く受け継いでるらしくてね、 たま~にこの格好で海に繰り出したくなるのさ。 湾曲した大きな刀なんてあるといいね」おもわずきょとんとしてしまった。そんな話は聞いたことがないぞ? と思っていたら悪戯っぽく輝く瞳と目があった。どうやらからかわれたらしい。ニヤリと笑って、子分にしてくださいと言うと、「この頭にしなきゃダメだよ」とバンダナを外して見せてくれた。……スキンヘッドである。その見事にそり上げた頭をつるりと撫でながら、彼は眉間にしわを寄せてこう呟いた。「髪の毛がないのは、暑苦しくなくていいんだけど、 直射日光が辛くてねぇ……。 日本の夏は、どうにも慣れない」その子どもっぽい表情が妙に笑えて柚木崎、吹き出してしまった。なんとも情けない、今にも泣き出しそうな子どもの顔なのである。こういう表情が出来る大人というのも悪くない。それも、何とも言えず似合うというのは、素敵なことだ。夏だけ慣れないのか? と聞くと、冬は帽子をかぶってくるから暖かい、と答えが来た。帽子をかぶっても寒かろう? と聞いたらイギリスほど寒くないとのこと。そうなのか。冬のイギリス。相当寒いらしい。行ってみたいような、行ってみたくないような。そんな話も暫くお預け。この上司に次に会うのは9月の終わりごろである。良い夏休みを、と手を振ったら、思いっきりハグされてしまった。英国紳士の抱擁は、痛い……。
2004.07.16
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アメリカ帰りの上司が二人来る日である。この二人の上司が来るようになってから、柚木崎の職場の木曜日は、とても楽しいものになった。一人がとてもおしゃべり上手なのである。「あのね、聞いて欲しいの」いつものように、楽しい会話をしてくれる上司が話しかけてきた。ここのところ、平岩弓枝の『御宿かわせみ』を全巻読むのに寝る間を惜しんでいるという人である。長いアメリカ生活で、かなりアメリカナイズされた感性を必死に日本に戻そうとしている、というのが本人の談。やっと今出ている分、全部読破したと先週話していた。だから、その話ではないだろう。なんでしょう? と聞いてみると聞いて欲しいというか、いい案が欲しいのだ、という。何だろう、と興味がわいた。その上司の友人の女性の話である。結婚していて、夫のいる人なのだそうだ。直接その旦那さんのことは知らないのだが、彼女と話す時には、枕詞てきに「旦那さんお元気?」と聞きたい。が、彼女は『主人』と自分の配偶者のことを呼ぶことが嫌いなのだという。そういう人に、果たして『旦那さん』という呼び方をしてもいいものかどうか。また、他の言い方というのはあるのだろうか、という質問だった。これは難しい。そう、実は思う。若い女性の中には、やはり『主人』という言葉にとても抵抗のある人はいるだろう。自分を下に置くこの言い方が、どうしても好きになれないという人もいると思う。だからだろうか。最近は、『相方』という言葉が増えているように思う。他にも、『ツレ』とか。後者は『つれあい』の略なのだろうか。柚木崎にもよく分からないが、関西方面の方がよく使っているように思うこの二つの表現。これを、上司に提示してみた。すると、Jは「相方って言葉はいいね」というのに対し、話題提供者の上司は眉間にしわを寄せている。やっぱりそうか、と思った。昔の言葉に、同じ音で別の意味合いを持つ言葉があるのだ。それを思い出したのだろう。そう思われる。その話もしたほうがいいかと思い、Jに説明を兼ねてもう一つの別の言葉を説明する。みるみるうちにJの眉間もしわが刻まれてしまった。どうやら却下の様子である。それでは『ツレ』はどうか、と訊くとなんかそれは音的に厭、といわれてしまった。柚木崎は『ツレ』と言われると、能を思い出してしまう。『シテ』と『ツレ』、といえば分かる人もいるだろう。そちらの方のイメージが強い。だから、なんとなくそれは……という気持ちも分かる。悩んでしまった。ウチは互いを『片割れ』と表記しているが、というと「片割れさまお元気? とは聞けない……よねぇ?」と。いわれるけどね、と内心思いながら他にいいようがないからだろうな、と納得。夫も厭なのか聞いたら、「夫さん元気? ……オットセイみたい」職場の直属上司の一人は、奥さんのことを『配偶者』と呼んでいる。その話もしてみたのだが、なんだか乗り気ではない様子。よそよそしい気がしない? といわれるとその通りだよなとしか返事が出来ない。難しいですねぇ、と職場みんなで頭を抱える。旦那様お元気ですか? と訊くのがセオリーだろうがそれが厭なのだとしたら、とても難しい。どうしたものか、とみんなで思案している最中に議題を提示したその上司が、悩みながら口を開いた。「あのね、『おつれあいさま』ってどうだろう? あんまりよそよそしくもないしね、 いいと思うんだけど、どう? 外国の言葉とか、安易に使わないで 日本語のいい言葉を使いたいと思うのね。 だから、『おつれいあいさま』」結局、持ち帰りの宿題となった。日本語の響きを考えると、『おつれあいさま』というのもなんだか気が引ける言葉だったりする。なにかいい表現はないものだろうか。しばらく頭の隅っこで考えよう。
2004.07.15
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昼から出勤の上司が、嬉しい知らせを携えてやってきた。来週、辞められた上司が遊びに来てくれるというのである。辞められた上司、Fさんはとても可愛らしい女性である。小柄で色白、細くて愛らしい、まだまだ10代? と聞きたくなるほど素敵な女性だ。そのFさん、在職中はよく紅茶を持ってきてくれた。イメージ的に、紅茶が好きそうな感じがする人なのでFさんのことを気に入っている人が会うたびに紅茶をプレゼントしてくれるらしい。その気のないFさんにしてみるともらっても困る代物だったりするらしいのだが、捨てるわけにもいかない代物でもある。戴かないと、仕事上の関係がこじれてしまう。悩んで悩んだあげく、柚木崎にそっと相談をしてきてくれた。こちらでみんなで飲んでくれないか、と。自分にとってどうしようもないものでも、持ってきたら淹れてくれるだろうか、と。いつも職場に置いている紅茶は、柚木崎の自腹で購入したものである。自分の趣味で買っているもので、自分が飲みたくておいている。しかし、自分だけ飲むのは気が引けるのもあるしどうせなら美味しいお茶。みんなで楽しんだ方がいいではないか。そう思って、来る上司たちに1日1杯ずつ振る舞っている。そのことを知っていたFさんの心遣いである。喜んで淹れさせて頂きます、と返事をした。紅茶には罪がないはずだ。そして、感想を言わねばならないFさんも……罪はない。ということで、月に一度の割合でマリアージュフレールやらフォションやらレピシエ、カレルチャペックなどなど。有名店の美味しい紅茶がずらりと並ぶ事になった。すべてFさんからの頂き物である。柚木崎が持ってくるのは、珍しい香りの紅茶ばかり。定番はあまり持ってこなかったので、とても評判が良かった。こういう紅茶話をするのもとても楽しいひとときだったのである。そのFさんが久しぶりに遊びに来てくれるということでFさんを知っている人たちが沸き立った。やはりFさんは人気者だったようだ。来週はきっとこの部屋、混雑模様を呈するだろう。その様子を考えると、なんだか楽しい気分になる。Fさんはいったいどんな顔をするだろうか。そんなことを考えながら仕事をさくさく進める。今日も相変わらずの仕事の山である。というより、いつもの1.3倍くらいは多分、ある。この時期は仕方がないとはいえあんまりこの状態が続くと辛いんだよなぁ、と思う。その証拠に、少し胃がいたい。早くこの時期が過ぎてくれないか、と切に願う今日この頃である。
2004.07.14
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職場の冷蔵庫に入っている珈琲の話である。梅雨の時期くらいから、職場の冷蔵庫に冷たい飲み物が登場する。無糖の珈琲。加糖の珈琲。加糖の紅茶。無糖のアールグレー。ジャスミンティー。以上が自由に飲んでいい状態で入っている。もちろん、職場で作られたものではない。とある珈琲屋で購入し、パック詰めされているものである。業務用のものなので、氷をいれるのがいい条件なのだが職場では氷を作る習慣はない。だからといって、このためだけに氷を買うこともない。必然的に、業務用のものをストレートで飲むことになる。業務用の珈琲のみならず、こうやって冷やして飲めるタイプのものは、氷が溶けて美味しくなるものだと思っている。最初の一口は、少し濃いめ。だんだん氷が溶けていくに従って、適度な濃さになる。自分にとって適度な濃さになったらきっと飲むペースは速くなる。そうやって、飲んでいくものだと。しかし、氷がない状態のこういう珈琲はとてつもなく濃いのである。加糖されているものも、無糖のものも。どちらもグラスに注ぐと漆黒の液体なのだ。一瞬引いてしまうほどの液体の色。余りにも濃すぎることが分かるので飲む時には珈琲ミルクを2つほど入れて飲むようにしている。それでも、珈琲の香りはなく、苦みだけがいつまでも口の中に残る状態。珈琲好きの柚木崎には、ちとつらい日常である。最初はそれでも、この珈琲を飲んでいた。熱いのもいいのだが、たまに冷たいのが飲みたくなる。そうやって珈琲ばかりを数日飲んでいたら今までにない胃痛に悩まされることになった。胃痛だけではない。完全に胃が荒れてしまったのだろう。ものを食べると戻してしまう事態になってしまった。仕方がないので、なるべく職場では紅茶を飲むようにしている。普段はストレートの紅茶を飲むのだが、上記の珈琲のように、同じく濃いアールグレー。……香りもなにもない。仕方がないので、1/3を加糖の紅茶(多分オレンジ・ペコ)にして2/3をアールグレーというブレンド紅茶にしてしまっている。同じように珈琲はちょっと、と言う人が多いのかもしれない。紅茶の減りは、珈琲より早い。温かい紅茶でもいいんだよな、と思いながら自分の好みで紅茶を持ってきている。そうやって飲んでいたら、お茶類を購入してくれている同僚に、ものすごい勢いで叱られてしまった。自分の買ってきているヤツが気に入らないというのか、と。そういう訳じゃない、と説明しようとして気がついた。……説明すると、余計にこじれる。さんざん詰られ、叱られ、不条理にも罵倒されてようやく、飲みたいのがあったから持ってきたということにした。自腹で購入して持ってきて飲んでいるものを叱られたり罵倒されたりするのはなんか妙な気がする。でもそういうものなのだろう……と思うしか、ない。とにかく、濃すぎる珈琲は、飲み過ぎてはいけない。いい教訓になった。うん。
2004.07.13
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先週、確認したいことがあって確認してもらったことがある。今度の日曜日の出勤の件だ。柚木崎に振られた仕事なのだが、上司の話を聞いていると、どうにも出勤する理由がつかめない。頼みたい事というのは、普段上司が一人でも出来ることで柚木崎が居てもいなくても出来ることだったりする。ほかの仕事は、当日までの間に全て出来ることだし、なんだか腑に落ちなくて、担当上司に聞いてもらうことにしたのである。担当上司はそれとなく、うまく聞いてくれたらしい。しかし、仕事を振ってきた上司は「あなたには関係ない」「あなたに話してもムダです」という、失礼極まりない受け答えをしたらしい。それでも根気強く理由を聞き、一つ一つ説明してもらい、こちらからも説明し、としたのだが、結局分かってもらえず、出勤が決定してしまった。三連休のど真ん中なのにごめんなぁ。そう上司に頭を下げられてしまい、こちらのほうが困ってしまった。決定事項に棹さしたのは柚木崎の方で、上司には、少し手間のかかることをしてもらっただけである。その手間のおかげで、この上司は厭な思いをし、柚木崎に頭を下げねばならぬ事態になった。決定事項を覆すというのは、かくのごとく難しい。妙に実感した本日の出来事。
2004.07.12
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危うく行き忘れるところだった。通知が来ていたのもすっかり忘れていて、封を開けることすらしていなかった今回の選挙。朝から波乱含みの天気である。目が覚めたのは、朝の8時半ごろ。メールが届いた音がしていたので、それに釣られて目が覚めた。妹からのメールである。「こっちは雷すごいの!! そっちはどう?」半分眠たい頭のままでカーテンを開けると厭になるほどの上天気。見るからに暑そうな空模様である。そう伝えると、驚いたような返事が返ってくる。どうやら相当雷が酷いらしい。50kmの距離は、これだけ気候を変えるのか、とおもしろ半分でメールのやりとりをしていた。暫くして、こちらも何となく地鳴りのような音がし始めた。どうやら雷雲がこちらにやってきたようである。「雷がこちらに移動中」とメールをしたら、直後、とんでもない地響きと音を立てて雷が鳴り。土砂降りの雨が降り出したのである。さすがにこの音には驚いたらしく片割れもベッドからのそのそと起きてきた。「雷なってるの……」まだ眠たいのだろう。子どものような話し方である。さっきから鳴り始めたこと、雨は今さっきからと伝えると不機嫌そうに口を尖らせた。「眠れないじゃないか~! 雷の馬鹿~!」……完全に脳はまだ寝ているようだ。眠気覚ましの煙草を吸いにベランダに出て煙草より効果的な目覚ましを目にした。目の前の川の水位が一気に上がっているのである。濁流となって渦巻いている川をみて鴨は大丈夫だろうか、と何か違うことを考えたのはどうやら柚木崎だけではなかったようである。確実に落ちたらヤバイ。そういう状況なのにもかかわらずわざわざ鉄柵を乗り越えて川を覗きに行く子どもがいる。増水した水が時折橋桁を洗っているにもかかわらず橋の下に潜り込んで歓声を上げては水に時々向かっていく。親はこういう子どもの状況を知っているのだろうか。そう、不安と共に見守ってしまった。雷も雨もピーク。なのに、街中は選挙一色である。役所からの放送も、選挙に行けというものばかり。水位が上がってるから気をつけろとか、雷には十分注意をしろとかもっと何か言うことはあるだろう、と思うのだがどうやら投票率のほうが役所にとっては心配らしい。変なものだ。雨が止んだら、雷が遠くなったら。選挙に行こうね、といいながら寝てしまった。どこかに落ちたらしい雷の音を聞きながら。目が覚めたのは午後5時過ぎ。やばいやばいと買い物含めて出かけていった。それにしても今日の雨は凄かった……。
2004.07.11
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今日は仕事の日である。とはいえ、半ドンなので、仕事と言うほどの仕事は出来ない。基本的に、職場のPCのメンテナンスをして終了だ。そのことを知っている片割れは送り迎えを買って出てくれることが多い。送りはいいのだが、迎えに関して、実は問題が多い。……柚木崎が仕事をしている間に、片割れはスロットへ行ってしまうのだ。今日も久しぶりに土曜出勤だったため、なんとなくそんな気がしていた。車を降りた時に、「久しぶりに遊びに行こうかな」と呟いていたのが聞こえたのもある。案の定、仕事を終えても片割れは迎えに来てくれず代わりに携帯にメールが届いていた。「出てるから迎えに行けない。タクシーで帰っておいで」と。天気もいいことだし、タクシーはもったいない。そんな気がして、暑いのだが、電車で帰ることにした。駅までは下り坂。そんなに日陰があるわけではないから、結構辛い。それもたまには良かろうと、暢気に歩いて帰った。久しぶりの電車も、景色が随分変わってしまって驚いたし何よりも、普段上司の一人がお世話になっている駅員さんにきちんと挨拶が出来たことが嬉しかった。自宅最寄り駅について、ふと思う。片割れがいつも行くパチンコ屋は、駅からすぐのところ。出ているというなら、少し覗いてみてみよう。どこにいるのかメールを出しながら歩いて行く。見覚えのある人がにこにこしながらやってくる。どうやら、電車の時間を見越して片割れがお昼ご飯を食べに出てきたらしい。出たり飲まれたりなの。大当たりしたら凄い台なんだよ。そんな話をしながら、立ち食い蕎麦屋で昼食を摂る。立ち食い蕎麦とはいえど、侮るなかれ。美味しい蕎麦を出すところでそれなり有名なところらしい。……らしい、というのは、柚木崎は知らないからなのだが。さっさと食べて、早々にスロット台に戻りたそうな片割れ。面白いので、ついて行ってみることにした。ところがついていくと、片割れからお小遣いをもらってしまった。「これで遊んでてね」そういって消えていってしまった。どうやら一人で頑張りたいらしい。一万円パチンコ勝負、久しぶりにやるか。そう思って、片割れと勝負のつもりで1台だけ空いていた台に座った。そんなにすぐ出るはずはなかろう。そう思っていたのだが、座ってすぐにリーチがかかる。そのリーチがいきなりいろいろ確定してあっという間に確変決定となってしまった。隣に座った女性が驚きのあまり煙草を取り落としたのを目の端で見てしまった。そのくらいの早さだったのである。そのセットが終わって、またすぐ。10回転でまたもやリーチ。そして、大当たり。両脇で悔しがる姿が視界の隅に見える。さっき空いてる間に座れば良かったと思っているのが二人に挟まれた柚木崎にはよく分かる。肩身が狭いな、と思っていたら片割れがふらふらと遊びに来た。いきなり箱を積んでいるのに吃驚している。「もう出たの?」はい、もう出ました。片割れは飲まれっぱなしになってしまったらしい。そのセットが終わって今度は20回転ちょっとでリーチ。今度はノーマルで、結局2連荘で終了。多分このあとはこないな、と思いながら今ある箱で遊ぼうと続きを始める。案の定、その後はリーチのりの時すらみることなく、結局残ったのは1箱。使ったお金は1500円。……+5000円である。片割れのお金なので、全部片割れに渡すと本気で負けたことを悔しがっていた。二人とも出る事なんてないのだから、たまにはこういうのもよかろ?
2004.07.10
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そろそろ上司たちが納涼会を企画する時期になった。毎年、火曜日メンバーの上司の一人が、「今年こそ辞めてやる!」と宣言して、お別れ会と称した納涼会が行われている。今年もこの上司が、「こんどこそ!」と言っているのだが、実際どうなることか、神のみぞ知る領域になってきた。基本的には上司たちだけの飲み会で、柚木崎は参加することはない。しかし、一昨年はこの「辞めてやる」宣言していた上司からお誘いを受けてしまったこともあり、片割れともども参加させて頂いたという事がある。去年は柚木崎直属の上司の文句があり、お誘いを受けていたにもかかわらず、申し訳なく辞退させて頂いたのだが今年は「君じゃなく、片割れに会いたい」との話だったのでうまいなと思ったのだが、参加させて頂くことになった。この納涼会とは別に、金曜メンバーの飲み会がある。こちらは本当に上司たちだけ。それも、ずっと長く一緒に仕事をしてきた上司たちだけの所謂仲良しグループの飲み会である。この時期だけではなく、月に一度くらいのペースで職場近くの飲み屋をうろうろしている。この二つのグループが、好んで使っていた場所があった。地ビールを出してくれるお店である。駅からほど近く、しかも出てくる料理もうまい。できたてのビールを飲むのはやはり格別だったし、ビールのいろいろな飲み方を知ることができた面白い店でもあった。その店が昨年、突然閉店してしまったのである。気に入る飲み屋を探しての、上司たちのジプシー生活(笑)が始まってしまった。よく「いい店を知らない?」と聞かれる柚木崎だが、職場近くは本当に店が少ない。しかも、上司たちは結構我が儘である。ペンシル型ビルの中に狭苦しく入っている飲み屋は厭だし、学生たちも来るような、騒がしい飲み屋は遠慮したい。料理もそれなりにうまくなければ納得できず、酒の種類は多いに越したことはない。探すの、かなり骨が折れる作業だったり、する。地元でもあるので、探してないことはないのだが、なるべく駅の近くで、と言われてしまうと無理がありすぎる、としか言いようがない。飲み屋自体、余り行かない柚木崎には、オススメのしようがなかったりするのである。火曜メンバーの上司たちには、いつも使っている駅ではなく別の駅のとある焼き肉レストランを紹介した。こちらには、今まで楽しんできた地ビールが置いてある。さらに、肉質がよく、美味しい焼き肉が食べられる。それは折り紙付きで保証できるので、紹介することにした。あとは、企画上司のOKをもらうだけである。今日のメンバーの人たちには、今回は申し訳ないのだが紹介は難しいとの話をした。いつもの駅がいい、と言われていたのだが、あまりにも条件が厳しすぎる。見つからないのだ、どう探しても。だから、こういう結果になってしまった。これから増えるだろう納涼会。もしかしたら年末も?そのたびに「どっかいい店ない?」と聞かれるのか少し怯えている柚木崎である。
2004.07.09
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去年までフランス人の女性がいたウチの職場。とても美人でスタイルがよく、愛らしい表情や仕草をしていたこの女性、うちの職場ではとても人気が高かった。1年だけだったとはいえ、今でも彼女のことを話す人が多いのは性格も破格に愛らしかったからだろう。その彼女が辞めてしまったため、今年からは、フランス人の若い男性が、きている。黒髪に黒い瞳のこの男性。初日にいきなり右耳に三連ピアスをしてきてうちの職場の人たちの度肝を抜いた。Tシャツにジーンズ、リュックにスニーカー。仕事に来てるんだよね? と聞かれてしまったと半分照れながら話したのが、初日の話である。ここ数日の暑さは、彼にとって許し難い暑さらしい。いきなり部屋に入ってきたと思ったら「暑いです。帰っていいですか?」と聞かれてしまった。こういう話の展開には慣れているから、「いけません。ダメです」と笑いながら答える。リュックの中からタオルを取りだして汗を拭いだしたのをみて、内心驚く。なかなかそんな、普通のタオルを持って歩く人はいない。それだけ「汗」というものが不快だったのだろう。フランスではこんなに汗を掻くことはない、という話をしていたので、あちらの気候をいろいろと聞いてみる。こういう話の繋がりが多いので、自分では行ったことがないのに、妙にいろんな国のとある時期の気候を知っていたりする。そういう話もちらほら出しながらの会話。あまりにも暑そうなので、アイスコーヒーを出したらかなり嬉しげにしていたので、良かったのかもしれない。椅子に座りながらアイスコーヒーを一口飲んで、急にその彼がきまじめな顔になった。「日本では、 こんなに汗を掻いている人を見たらどう思いますか?」仕事に来る間、とてもそれが気になっていたのだという。汗をかきながら歩いて、電車に乗って、また歩いて職場に来て。ずっとその間、どんな風に自分がみられているだろうと戦々恐々としていたのだ、と話してくれた。柚木崎も暫く考えてしまう。……人のことなど、あまり気にしていない、と言うべきか。少なくとも、柚木崎はあまり気にしていない。満員電車で、目の前の人が汗をだらだら流していたらかなり困ってしまうだろう事は請け合いだが、それほど混雑していない電車だと言うことは知っている。だから、気にしてない、というのが多分、正解。そう思って、みんな自分も同じような感じだから気にしていないと思いますが、と言ってみた。少なくとも、自分は気にしてない、と。すると、少し安心したようにため息をついて、なかなか引かない汗に憂鬱そうに眉をひそめクーラーの風に向けて背中を当て始めた。「フランスじゃ、こんな汗を掻いているのをみたら、 絶対変な人って思われちゃいます。 そう思われるの、厭なんです。 どうやって皆さん、汗かかないようにしてますか? 汗くさいの、どうやって抑えてたりしてますか?」そう唐突に聞かれて、こまってしまった。……みんなといわれても。わからない、と答えていいものか。少なくとも、自分はどうしてると、答えた方がいいのか。悩んで、結局自分はどうしている、という話をした。身を乗り出して聞いていた彼は、「……汗、かいたほうが、痩せるかもしれない、ですよね? 汗は、かいたほうが、いいんですよね?」と、最終的に結論を出した。その方が躰にはいいのだ。実際にそう思う。やがて、汗をかいた服が気持ち悪かったらしく「ちょっと着替えてきます」と出て行った彼。暫くして戻ってきた姿を見て、なんとなく感心してしまった。シャツだけでなく、チノパンまで履き替えている。この様子だと、下着も替えていそうだ。濡らしたタオルで体を拭いたので、ビニール袋があったらくださいと言われたので手持ちのものを渡したのだが下着も替えちゃいました、と笑って告白されてさらに吃驚。汚れ物を入れるための袋も改めて用意させてもらった。フランス人のなんといえばいいのだろう?プライドというか、美意識というか。そういうものが透けて見えた気がした。なかなか面白いものを見せてもらった気がしている。
2004.07.08
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いろいろとドタバタとしている割にちまちました頼まれごとが多かったりする。長期スパンの仕事もあることはあるのだが、来週中に何とかしなければという仕事をやっているところに今日明日中になんとか、という仕事が舞い込んでくることが多い。しかも、その大半が調べものだったり、する。そういう時に限って、印刷機が壊れたりする。アメリカ人の上司が最初に「何とかしてくれ」と来た時は単なる紙詰まりと出ていた。その処理をして、きちんと印刷できることを確かめ、また上司に引き継いで戻ってきた。が、戻った直後にまたその上司が。「……凄い音、した」見に行ってみると、今度はサービスの人を呼べと表示が。ここ数日、妙にこのエラーが出るので、一度電源を落としてみた。が、変わらない。オールクリアをおしても変わらない。……少しだけ分解してみることにした。この程度なら日常茶飯事の分解である。ドライバーを持ってきてちまちまと分解を始めたらすぐに故障の原因が分かった。プラスチック部品が破損していたのである。こちらのは使わないで、こっちのを、と別の印刷機を教える。終始機嫌悪そうな顔をしていた上司は英語でなにか罵りながら、また印刷を始めた。壊れてしまったものはしかたがない。修理を依頼して、席に戻るとまたお願い事の書いた紙が置いてあった。……七夕の笹じゃあるまいし、と今日一日他の上司たちに笑われたことは言うまでもナシ。織り姫彦星の気持ちがなんとなく分かったような一日である。
2004.07.07
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上半期の締めが近いからか、いきなり慌ただしくなった気がする。おかげで昼ご飯を食べる時間がなく、朝昼と食べていないので、少しくらくらしている。上司たちに、「よく走ってるよね~」と笑いながら言われるのだが、走るような仕事をさせるのは誰だよ、と毒づきたくなるのはここのところ気持ちがすさんでいるからだろうか。もしかしたら空腹の余り、なのかもしれない。……やっぱりなにか軽くつまめるものを常備しておく必要があるな、と実感した今日である。さて、まだまだ頑張らねば。
2004.07.06
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数日前から、今日の会議には出て欲しいと連絡が入っている。そのつもりでずっと仕事をしていたのだが、当日にならないと慌ただしいかどうかは分からないものである。午後3時からの会議ということで、了承していた。ところが、朝から椅子に座ることが出来ないような慌ただしさ。昼食の時間に昼食を摂ることも出来ず、コマネズミのようにくるくると動き回っていて、気がついたら会議15分前だった。今日の仕事はココまで! と思い切り、『会議出席中』の札を張り出そうとしたらノックの音と共に後輩が一人入ってきた。「あの~、前から話してたビデオなんですけど」ビデオデッキを入れるという話が出ていた。いつの間にか話が進み、入ることになったらしい。いつはいる、という情報がなかったので、今日のこの時間にくるとは思ってもいなかったので驚いた。昨今のビデオデッキは小さく、軽い。そのまま放っておいたら確実になくなる。そう思えたので、慌てて接続を始めた。15分あれば、できる。そう思って始めた接続。案の定、15分ぎりぎりで全部終了した。残り時間、あと2分。会議の支度は既に出来ている。ノートと筆記用具を持って、と思ったら、今度は電話である。出ると、上司の一人からであった。「資料が足りない。あと30部ずつ印刷して持ってきて」原本がないため、受け取りに行く。もう、3時からの会議は間に合わない。こういうときがあることは分かって貰えてるとは思いながら上司のところに向かいながら、遅れる旨を伝えてきた。足りないという資料を受け取り、印刷し、また持って行く。のに、また足りない資料が出てきたという。一気に渡してくれればこの手間は一度で済んだのに慌ただしい時ほど二度手間三度手間になるのはなぜだろう。そんなことを思いながら、また走った。資料を手渡してきて、ようやく会議に出られる、と思いきや。後輩の一人が、見知らぬ人を入れている。しかも、勝手にパソコンをいじらせている。パスワードをかましてあるので、スクリーンセーバーから戻らなくていらついているところに出くわした。誰だこの人は?不審そうな柚木崎の顔に気づいたのか、後輩が機嫌悪そうな顔で近づいてきた。「パソコンになんでパスワード設定してるんですか? とっとと解除してください」人が仕事で使っているパソコンである。後輩が使っているものではない。それに連れてきた人がどんな人なのか、説明もない。怒ってはいけない、怒ってはいけない。そう自分に言い聞かせて、連れてきている人は誰なのか、なんでパソコンをいじっているのかを聞き出す。それまでにかかった時間、20分。プリンターのメンテナンスに来てくれた人であった。しかも、自分でノートパソコンを持ってきている。最初からそれを使えば良かったのだが後輩が、どうせなら繋がってるパソコンを使えと言ったそうである。なんだか思いっきり邪魔されているようにしか思えなくなってきた。このメンテナンスが終わるのを待っていたら会議には完全に出られなくなってしまう。そう思えたので、隣の部屋にいる後輩に任せようと思った。それが間違いだったのだろうか。会議に出なければいけないことを説明し、その会議が既に始まっていることも説明し、防犯の関係上、業者がいなくなるまで誰かにいて欲しいことをお願いしに行った。そんなに時間がかかるとは思えないが、申し訳ないけれど、お願いできないだろうか、と。そうお願いすると、先ほどの後輩が口を開いた。「そんなこと言われても、知りません。 私たちの仕事ではないから、やる必要を感じません」なにを言い出すんだこいつは、と正直思ってしまった。多分、一気に怒りオーラを発したことと思われる。薄ら笑いを浮かべた後輩は、さらに続けた。「会議? 知ったこっちゃないです。 あなたの仕事をこちらに回さないでください。 迷惑です」……だったら会議に代わりに出てくれないか、と破壊寸前の理性をとどめてお願いすると、やはりその後輩はこう答えた。「あなたの仕事でしょ? やりません」なんだとぉ! と怒鳴りたかったが、大人げなさ過ぎる。我慢、するしかないのか。どこまで我慢すればいいのか、どこで怒ればいいのかもう分からなくなってしまった。この後輩と話をすると、いつでも怒り出したくなるのだ。なんでこんな言い方をするのだろうと、もう少し言い方はないのか? と言いたくなってしまう。結局、業者が帰るまで部屋に止まるしかなく。メンテ終了のサインをして、送り出して、会議に行って。……会議は半分以上の議事を終えていた。まったく話がわからないまま、さらに2時間。苦行である。怒るタイミングが分からなくなってしまっている今。さて、これからもこの後輩の暴言に柚木崎は耐えていけるのだろうか。自分で自分に自信がなくなってきてしまった……。
2004.07.05
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時々、実母から愚痴ともつかない電話がかかってくる。大抵の時は「はいはい」と流してしまうことが出来るのだがそれが出来るようになるまでに随分時間がかかったし今でも引っかかっては凹むことも多々ある。根本的に、柚木崎と母はお互いの道を違えていると思う。母とはかなり基本的な考え方が違うし、同じものをみていても、感想は全く違うものになる。お互い、親子とはいえ違う人間なのだからとても当たり前のことなのだけれどもそういう『差異』が、母にとっては気に入らないらしい。今日もそんな電話がかかってきた。親父さまの定年お疲れ様旅行の話からするりと流れて母の日のプレゼントの話へ。実兄夫婦は全くそういうイベントごとに興味がないらしく母の日だろうとなんだろうと、なにも送ってこなかったという。それはそれでいいと思うのだ。その家庭その家庭の考え方があるだろうから、異論を唱えるつもりは全くない。実兄とは顔は似ていても性格は全く違うからそういうものじゃないか、という気持ちがないでもない。柚木崎と片割れがお互いの両親のイベントごとになにかしらのお祝いを贈るのは自分たちを今まで育ててくれたというお礼の気持ちである。喜ぶ顔が見たいから、というのが一番の大きな理由でそれ以上でもそれ以下でもないのだが母に言わせると、そんなことをする必要はないらしい。「そんなことより、とっとと払うものはらっちゃいなさい。 お兄ちゃんたちみたいにお金貯めようと思わないの?」そういわれても、と言う感じである。きちんと返さねばならないものは返しているし貯金だってきちんとしている。貯金分も支払いに回してしまったら、いざというとき困るだろう。だからその分はきちんと貯めている、と話したらものすごい勢いで怒られてしまった。そんなのは貯めなくてもいい。いざというときは親に頼ればいいのだ。そんなのを気にしていたら、いつまで経っても支払いが終わらないではないか、と。こういう場合、残念なことにと言うべきなのだろうか。柚木崎にしても、片割れにしても。自分たちの親に、過度に頼ろうとは思っていない。自分たちで出来ることは、自分たちでやろうと思っている。出来る限りをやりたいとも。そう、以前から伝えているのだが、そういう『違い』に、母はとても腹を立てる。最終的には、自分と考え方が違うと言うことにとてもとても苛立つらしく、一方的に怒鳴られて電話を切られることもしばしばあるのだ。母と柚木崎は、違う。それはいけないことなのだろうか。今でも答えに辿り着けない。一人の人間として、それは当たり前のことだと思うのだが、そう思うこと自体がおかしいと母は詰る。自分の言うとおりに動いていればいいのだ、と片割れと一緒になってからも何度言われたことか。反論するたびに言われるのだ。片割れと自分たち親と、どちらが大切なのかと。比べられないものを比べろ、と言われても困ってしまうのに。親と違う。人と違う。それは、いけないことなのだろうか。この答えは、いつか手に入れることが出来るのだろうか。
2004.07.04
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最近、出かけない土日は、午前中いっぱいを寝倒す癖がついてしまっている。あまりいい傾向とは言えないが、どうしてだか、早く寝ても起きる時間は昼過ぎになってしまう。二人して笑いながら「成長期」と言っているがどこが成長するのかはとても疑問である。午後になって買い物に行かねば、と二人でごそごそ動き出した。時間もかなりゆっくり目。午後4時半過ぎになって、ようやく本格的に動き出した。片割れが車の鍵を持って外に出る。柚木崎は財布の中身を補充してから家を出た。すると、である。駐車場に、人がたまっている。何事だ? と思っていたら、ちょうどみんな、時間が重なってしまったようなのだ。車を出したい人が2組、帰ってきた人が1組。しかも、既に車を出そうと機械式駐車場の下の人が機械を操作してしまったあとというのがまた大変。戻ってきた人は、その車の上に駐車している人なのである。結局、たまっていたのはそこのところが原因で戻ってきた人を先に駐車させないと誰も出て行けないという状態になってしまうためせっかく動かした機械を戻している最中だったのである。こういうこともあるんだね、とみんなで笑ってしまった。ここに越してきて以来、初めての出来事である。一番最後に駐車場から外に出て久しぶりにいつもと違うスーパーに行ってみることにした。広大な敷地にたてられた、広大なスーパー。中を歩いているだけで相当の歩数を稼げるという、万歩計泣かせ(というのか?)の店である。片割れと柚木崎は、ここでよく別行動をとり、よくお互いを見つけられるよね、と言われるほどに互いを見つけることが出来てしまう不思議な場所でもある。のんびりしているつもりはなかったのだが意外に時間を取られてしまい、自宅に帰り着いたのは夜の7時半を回った頃。さすがに外も暗くなりかけている。コウモリも飛び始めているので、鳥には辛い時間帯と思われるのだが……。どうやら、自宅前の川に住む鴨さん一家には夜だろうが昼だろうが余り関係がないらしいことが最近分かってきている。今日も「もう鳥には見えないだろう」という暗さなのにもかかわらず大らかに(?)空を羽ばたく鴨を発見。……本当に鳥なのか?そう聞きたくなるほどの飛びっぷりである。鴨って夜行性だっけ?とここのところ、片割れに聞いてしまうことが増えた。片割れにも分からないらしい。鳥目というくらいだし、鴨だって鳥の一種なんだからやっぱり鳥目なんだろう、という意見で収まっているがここまで見事に羽ばたかれてしまうと本当にそうなのかと疑いたくもなってしまう。それだけ街中は明るいと言うことなのだろうか。そうだとしたら、電気の無駄遣いをしているのかもしれない、と少し不安に思い始めている柚木崎である。
2004.07.03
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仕事上の問い合わせがきた。今まで仕事をしてきて初めてのことなのだが、やったことのないことをやるために、18日の都合を聞かれたのである。どこから話が出てきたものかも分からず、誰が責任者なのかも分からず。都合だけ聞かれても、と思ったのだが、今のところ予定は埋まっていないので、あいている、と答えたところじゃあよろしく、と言われてしまった。……最初から決められていたことのようである。いろいろと考えていたのだがなんだかよく分からないので、まずは責任の所在を聞こうと思って上司に尋ねてみると上司に驚かれてしまった。こんな話は聞いたことがない、と。それってなんかおかしくないか?柚木崎達を束ねる立場の上司にも聞いてみた。やはり知らない。その上司にも、誰がこの話を最初に持ってきたのか聞いて欲しいと言われたので、文書を回してきた同僚に聞いてみた。すると。「なんでそんなことを聞く必要があるの? あなたには関係のない話でしょう? どうでもいいじゃない、そんなこと」と言われてしまったのである。それはおかしいだろう、と説明に説明を重ねてようやく誰からきた話なのか、同僚が誰に相談し、話を決めたのかを聞き出すことが出来た。最後に吐き捨てられた言葉に異様に腹が立ち胃がむかむかしているのは否めないのだが先輩だから、仕方がないと思うしかないのか。担当の上司に聞いたのはいいと思うのだが、責任の所在、及びどこからきた話なのかなどを担当になった人間に話さないのもいかがなものかと思うのだ。一番上の責任者が話を知らないのもどうかと。それは柚木崎だけが思うことで普通、そういう考えの方がおかしいのだろうか。考えていたら余計に吐き気がしてきてしまった。……よくわからん。とりあえず、一番上の上司にこの話を伝えるか。
2004.07.02
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今、どうやって買うか悩んでいるものがある。とあるアニメのDVDなのだが、悩みどころだ。今月はお金がかかっている、いろいろと。それを考えると、厳しいような……。悩んでいるDVDソフトは、小野不由美という作家の作品だ。深夜に再放送(何度目だ?)がやっているから知っている人もいるかもしれない。その作品は、『十二国記』というシリーズ名だ。現在DVDになっている本数は、16本。……全部買うと、とんでもない数になる。しかし、欲しい。ゲームでもこの作品をやっている最中なのだが、基本的にこの話、どうやら柚木崎は好きらしい。欲しい、と思うのだ。そうして今、悩んでいる。先日、二本だけ購入したので、買う本数は少し減っている。が、相変わらず多いことには代わりはない。そして、DVD一巻あたりの値段がそれなりにするのは言うまでもなく、また総集編なるもののDVDが追加されていたりするから結局プラス1になり……。そうしてまた、頭を悩ます。買うとしたらどこで買うか。欲しい。けど、買わないのが一番無難。なくなってしまったらとても悲しい。そうやって思考がぐるぐる回る。……もう暫く悩むか。
2004.07.01
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