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旅行の間、借りていた車を返却しに行くことになっている。今回使ったのは、日産レンタカー。借りた車は、プレサージュ。8人乗りとのことで、縦に長い車である。横幅に関しては、ウチの子とあまり変わらない気がしたので運転自体は楽だったのだが、長さの感覚があまりつかめなくて運転していてなんだか奇妙な気分がした。慣れというのは恐ろしいものである。実際、実家ではトヨタのスパシオを運転している。あれもあまり長さがある車ではない。その前に乗っていたのはホンダのシビック。どれもこれもあまり長さがある車ではない。理由は一つ。実家の駐車場が変形していることと、これ以上の大きさの車を停めることが出来ないからだ。拡張工事も既に出来ない状態にあるため、車を買うとなると、どうしても長さ制限が出てしまう。そんなこんなで、現在最大級の車が、スパシオ。これがまた燃費が良くない。前のシビックがとても良かったからかもしれないのだが、親父さまが頻繁に、「燃費が悪い、燃費が悪い」とぼやいている。ウチの子も燃費がいいとは決して言えない。しかもハイオクだ。だから、しょっちゅう言われてしまうのだ。「車を買い換えろ!」と。そんな言葉もどこ吹く風、をしているからそのあたりはどうでもいいのだが。今回借りたプレサージュは、とても燃費がいいことに気がついた。スパシオよりよほどでかい車なのに、燃費は2倍近くいいのである。何度かガソリンを入れたのだが、そのたびに計算して驚いた。よく走ること、走ること。高速道路を使っているという点も勿論考慮されているが、山道を使ったり峠道を通ってみたりしていたのでやはり燃費がいいとしか言えない。総走行距離と、使ったガソリン料。それを考えると、やはり……かなりの燃費の良さだ。こういうしっかりした数字を見てしまうと、やっぱり車は燃費がいい方がいいよな、と思ってしまう。燃費いいのにスパシオより馬力あんじゃん! と親父さまが驚いていたのも無理はない。柚木崎だってそう思ったのだから。でも、ウチの子は買い換えは考えていない。気に入っているから、なにもかもを。燃費の悪さもご愛敬。いいのだ、気に入っているから。そういいきれない親父さまと母は、次の車検の時には車を買い換えると大騒ぎしている。次の車か……。きっと、相談受けるんだろうな……(笑)燃費のいい車で、車庫に入るもの。それにくわえて、スタイルの良さもやっぱり必要。走ればいいと言っている割に、この車はデザインが厭だとか時々ぼやくので、やはり見た目を気にしなければならないらしい。探しておかねばなるまいなぁ。
2004.08.31
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今日は旅行最終日である。秋田県から実家のある関東まで、一気に車で移動となる。運転の殆どは片割れだが、この長距離、絶対に疲れるので柚木崎も運転することになるだろう。少し覚悟をしながらの朝である。この旅行中、ずっとそうなのだが柚木崎の母が温泉好きと言うことで、少なくとも3回は風呂に行くこととなる。到着時にまず1回、寝る前に1回、そして次の日の朝である。一人で行くのが厭だから、と必ず柚木崎をたたき起こすのは昔からのことで仕方なくと言うか、うん、仕方なく。柚木崎は母についていくこととなる。今回もその例に漏れず、朝っぱらから盛大に内線電話を鳴らして起こしてくれた。親父さまは片割れと一緒に散歩である。昨日とは違う風呂に入って、少し手足を伸ばす。やっぱり健康ランド的なところだからだろうか。塩素の匂いがキツいように思う。昨日の旅館もそうだった。潮の匂いに混ざって、塩素の匂いが確かにした。掛け流しじゃないとこうなのかな、と少しだけ落胆してしまった。温泉、と名が付いているが、本当に温泉なのかも疑問だと思ってしまうほど、最近は『客を騙す』ところが増えてしまった。ココもそうなのかな、と思いたくないが、思ってしまう。大量の人が入るのだから、衛生面をきっちりしたい。そういうことなのだろうが、塩素の匂いがするということは、循環させていると言うことを証明しているようで。次からはきちんと掛け流しの宿を選ぼうと密かに心に誓ってしまった。風呂から上がって母と合流して部屋に戻ると、親父さまと片割れも戻ってきていた。これから風呂に行ってくるから、と二人で肩を並べて歩いていく姿を見ながらしっかり馴染んでしまったなと仄かに笑いがこみ上げる。すっかり気に入られたということなのだろう。いいことだ。そんなことを思いながら、片割れから受け取ったデジカメを手に、母たちの部屋へ。電源を入れて、なにを撮ってきたのか見てみることにした。今回の宿泊先は、目の前が池になっている。その池には蓮や睡蓮が顔を覗かせている。朝になると花開くのだ。その様子を片割れは、きちんと写真に納めてきてくれていた。どうやら池を一周してきたようである。四阿の景色やら、朝靄に煙る山並みやら、片割れの風景写真はどこか懐かしい感じがする。母と一緒に見ていて、ふとある写真で動きが止まった。なにを撮ったのか分からない写真が出てきたのである。景色的には、どこかの林。その上の方を撮っている。朝靄に煙る木々を撮ったのか? と思ったが、それにしてはピントがずれている気がしてならない。なにを撮ったのだろう、と首をかしげて気がついた。何かが写っている。白い……なんだこれは?母と二人で頭を寄せて悩んでいるところに、片割れと親父さまが帰ってきた。この二人は烏の行水(親父さまは朝のみ)である。これはなに? と聞いたところ、親父さまは得意げな顔になった。片割れはにやり。なにが写ってるか分からないだろう、と言わんばかりだ。白鷺にしてはもっと大きいような……という感じの鳥。ぎりぎりアップにしても分からない。降参すると、親父さまが嬉しそうに教えてくれた。ゴイサギがいたのだそうだ。珍しいから写真に撮ってきた、とのこと。どうやら近くに巣があるらしく、写っているのはまだ雛とのこと。なんだかわかんないよなあ、と笑う親父さまは少しだけ懐かしそうな顔をしていた。もしかしたら、亀有でも見たことがあったのかもしれない。バイキング形式の朝食を満足するまで食べてから、早めに宿を出ることにした。途中、寄り道をするつもりでいるからである。道の駅然り、サービスエリア然り。台風も来ていることだし、と少し早めに出たのは当たりだったのかはずれだったのか。途中の高速でとんでもない強風に煽られてしまった。片割れと交代した途端に大雨と共に強風。運が悪いのかもしれない。面白いことに、柚木崎がハンドルを握った途端、親父さまと母があれやこれやと口を出してきてしまうので、片割れは少し眠りたかっただろうに一睡もすることが出来ずにまたもや交代となってしまった。面白い家族だよね、と笑われるのだが、その片割れも何かと口を挟まれるので、結局は同じだったりする。途中、いくつかのサービスエリアでおみやげを物色。ちまちまと買い物をしていたので、思ったより出費がかさんでしまったように思うがたまにはこういう旅行もいいかもしれないと思うようにした。おみやげがたくさんのほうが、母たちもきっと、楽しいはずだからである。そうして実家に辿り着いたのは午後6時過ぎのこと。ナビは10時を回ると言っていたのだが、大幅に短縮できたのはなぜだろう?まあ、無事に辿り着いたからいいか。夕飯を食べてから、柚木崎達は自宅に向かわねば。あともう少しだけ、旅は続く。
2004.08.30
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実兄たちと合流した昨日。朝っぱらから姪っ子がねむねむさんでご機嫌斜め。声をかけても半分寝ているので、よく寝る子だよね、と笑いながら朝食に出かけた。やっぱりねむねむの神様ごっちんこの姪っ子。ご飯が目の前に並べられても全然食べる気配がない。どうやら食べることに余り興味がないようで…。大人のほうはといえば、これは食べられないから○○に食べてもらおうとか、これは好きだから持っていっていい? とか勝手なことを言い合いつつ、食べていく。いかにも日本の朝食! という朝食でその中に秋田の名物がちらりちらりと覗く感じである。残念なことに、柚木崎が食べられないものが多くて交換して食べるものがほとんどという状態だったが。食後にコーヒーを飲むのがなんとなく通例になっているので、同じく食後のコーヒーを楽しみにしている母を連れて柚木崎と片割れはロビー近くのソファに向かった。コーヒーのサービス(有料)があるのである。なんとなく姪っ子をつれてきてしまったのだがそれがまた良かったようで母が嬉しげに抱きかかえながら歩き回る姿を見てやっぱり孫って可愛いんだな、と改めて思った。離れている分、あまり会うことができない初孫。内孫なのに、外孫っぽくてねとぼやいていたのがなんだか判る。兄嫁の実家が車で数分のところなので、余計に「手出し口出ししない」と決めているようだ。寂しいだろうに、と思うのは柚木崎だけではなかったようだ。出てきたコーヒーは、意外にもインスタントではなかった。芳香を立ち上らせるカップを目の前にして母の顔がとても嬉しげにほころぶ。本当にコーヒーが好きなのだな、とこの顔を見て思った。柚木崎は見事にこの影響を受けている。兄の子が飽きないように、コーヒーシュガーやコーヒークリープを手渡してあそばせながら飲む珈琲はまた別格だったろう。考えてみたら、柚木崎や実兄は、母にこういうことをしてもらったことがないのだ。ちょうど兄の子くらいのときは、母は仕事をしていたので柚木崎たちの面倒は全て祖母が見ていてくれた。母だって寂しかったはずである。(いくら子どもが好きではないと言っていても・・・)柚木崎たちが珈琲を飲んでまったりしているあいだに、親父様と実兄が最後の風呂に入ってくる。その間に兄嫁は一寝入り。戻ってみたら、まだ兄嫁はとろとろと眠っていて実兄が何ともいえない顔で見下ろしていたのが笑えてしまった。チェックアウトを先にしてきてしまうから、と予約を入れた柚木崎は、荷物を持って降りていった。片割れは残りの荷物を持って、忘れ物チェックをしてきてくれる。普通の値段より下げてもらっているので他の人たちがチェックアウトするより先にお金を払ってきてしまったほうがいいだろうと思ったのだ。残り二部屋分の鍵は少し待ってもらい、清算を待っていたら、息を切らせて実兄が駆けつけてきた。「ここくらいは全額出させろ」ぶっきらぼうに言うと、財布を広げた。慌ててしまったのは柚木崎である。実兄たちの収入および生活状況を聞いてしまった以上、全額負担は1泊分とはいえ、厳しいはずである。せめてうちら二人分は出す、とこちらも封筒を引っ張り出したら実兄は機嫌悪そうに眼鏡越しに振り返った。「親父から昨日、お祝い金出たろ? それだけで十分助かるから、いいんだ」…もともとそのつもりでいたらしい。口下手というか、言葉がいつも足りない実兄。もう少ししゃべればいいのに、と思ってしまう。今回はありがたく言葉に甘えさせてもらった。その話を片割れにすると、片割れまで大慌てである。交渉しに行ったのだが、やはり玉砕。しおしおと肩を落として戻ってきた。そういうものなのだ。どうもありがとう、と頭を下げたら、宿の人が小走りに駆け寄ってきた。何か忘れ物とかあったのだろうか。こちらからも歩み寄ったら、こっそりと耳打ちしてくれた。実は逆提示した金額でなく、宿代、こちらで提示した額にしてくれたとのこと。実兄にその話を伝えると、どうりで少し安かったわけだと笑った。聞いていた金額と違う、と思ったのだが何でだか判らなかったのだと笑い転げてくれる。聞いてくれれば聞きなおしたのに、と言うと、そんなことしなくてもそのうち判るし、と言われてしまった。……面倒くさがりやな実兄である。次の宿もそれほど遠くないので、もう少し兄の子と遊べる時間がある。そう話すと、何も言わずに車に乗り込む実兄。ついてこい、ということらしい。「いつもこんな感じですよ」と笑う兄嫁に、なんだか申し訳ない気持ちになってしまった。言葉が足りなすぎなのだ、実兄は。そんな会話をしながらついていくと、入道崎に行くつもりらしい。道をくねくねと巡りめぐって、ようやくたどり着いた。風が心地よくて、まだ半分おねむだった姪っ子は抱っこされているうちに寝てしまった。寒くないようにひざ掛けのロングタイプを持ってきていたのでそれでくるむようにして抱え込む。下の海岸まで降りていって、海で少し遊んで。親父様と実兄は釣りをしてみたのだが、つれたのは草ふぐばかりだったとふぐのように膨れて戻ってきた。こちらは小さな蟹取りに夢中である。小指の先ほどのバフンウニを見つけてみたり鯔の集団を見つけて徒労かどうか悩んでみたり。結構騒いでいたと思うのだが、姪っ子は眠りこけている。よほど眠かったのだろう。その後も海岸沿いを車でいって、綺麗な砂浜で降りてみたりしたのだが、初海だというのに、姪っ子は全然起きなかった。ずっと寝てたんだよ、とあとで笑って教えてあげてねと綺麗な貝を拾って小さなビンに詰めてあげた。姪っ子初海記念である。昼食を一緒にして、その後別れた兄たち。今後しばらくまた顔を合わせることはない。またそのうち来るから、と笑うとお待ちしています、と兄嫁に笑い返された。こちらに来るつもりは余りないようだ。仕方がないか。今日の宿、相野々温泉へ向かったのだが、付属のカーナビを信用しない親父様のおかげで一度思いっきり通り過ぎてしまった。ああああああああああそこにみえるのにぃぃぃぃぃ! と窓に張り付いて母と一緒に泣きまねをしてしまった。片割れも珍しく、「ここに見えるのに」とナビをさして親父様をちょっといじめてみている。おかげさまで行く予定のなかった岩手のほうまで回ってしまった。今回の相野々温泉は、健康ランド的なところで、風呂が宿と別棟になっているところだった。部屋はかなり豪華。食事も豪華。満喫! という状態である。ふろも面白いので、あとで堪能しに行こう。
2004.08.29
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今日は実兄たちと合流する予定になっている。昨晩、食べきれないほどの夕飯を食べ、朝食も思った以上に出たので、体が重たい気がする。親父様の会社の保養所も結構行ったのだが、片割れの会社の保養所のほうが格段に待遇がいい。母など、ため息をこぼして呟いていた。「こういう保養所だったらよかったのになぁ…。 そしたら、どれだけ楽だったろう…」今になると、この母の呟きもわかる。なにせ親父様の会社の保養所のほとんどは自炊なのだ。母は休む暇もなかっただろう。ここはゆっくりできる。それに、食事も良い。チェックアウトの時間よりかなり早く、保養所を出た。出掛けに「冬はどのくらい雪が積もりますか?」と聞いてみたところ、去年は1時間で自分の車をどこに停めたかわからなくなるほど積もったとの話。さすがに豪雪地帯。スキーの季節にまた来たいが、いつも予約が満杯状態というここはきっと無理だろう。土曜とはいえ、実兄は仕事。兄嫁とメールのやり取りをしながら秋田に向かう。実兄は仕事を終えてから合流するので、兄嫁と姪っ子を先に拾って連れて行くのである。今どのへんを走ってるとか、姪っ子の様子はどうかとか聞きながらの道中である。途中、毎年親父様がさくらんぼを頂いている家の近くを通った。通るとは聞いていたのだが、本当に数百メートルのところを通るとは思ってもいなかった。茶目っ気を出して「いつも父がお世話になってますって顔出す?」と聞いてみるとあちらのお母様とお父様(そう呼んでいるようなのだ)は気を使っていろいろしてくれてしまうから今回は通り過ぎるだけにしようということになった。母と二人して、お世話になってますコールをしようと思っていたのだが、残念である。(片割れは「毎年さくらんぼをありがとうございます」と 言うつもりだったらしい)そんな笑える道のりの途中で、妙なことに気が付いた。追い越す車の中に、バスがとても多いのだ。しかもどう考えてもあれは観光バスである。千葉ナンバーやら茨城ナンバーやらが混じっている。中には愛知ナンバーなんてものもあり、これは何事かと思ってしまった。追い越したときに少し振り返って見てみて納得した。今日は大曲の花火大会の日だったのである。母も散々見たいと騒いだ大曲の花火大会。花火師の祭典とも言うべき大会なのだという。危険物取り扱いもできる親父様が一度はこの花火を取り扱いたいと呟いていたのを思い出す。そうか、この花火大会を見たいがためにこれだけの人が繰り出してきているのか。どおりで道が混んでいると思った。そう片割れに話し掛けると、納得と頷かれた。こいつらには抜かれないぞ~、と張り切るあたりが笑えたが。そうなのだ。この観光バスに大量に抜かれてしまうと途中の秋田道が混んでしまうのである。それはまずい。やばすぎる。寄ってみたいと思った道の駅を、涙をのんで通り過ぎ、一直線に秋田を目指す。やはり混んでいる、秋田への道。高速に乗るまでも混んでいたが、乗ってもやはり混んでいる。この混雑もあと少し、とナビが言っているので信用して我慢の運転を続けることしばし。大曲近くになって、パトカーが増えたことに気づいた。花火見物のために高速で止まって降りて見物する車もあるらしい。それらを牽制するためのパトカーである。インター近くは大名行列になっていた。1mmも動かない車の列。その中にはたくさんの観光バスも混じっている。パトカーの止まってる場所は絶対に絶景ポイントだよね、と親父様を振り返ると、熱心に外の景色を眺めている。見える景色は山ばかり。なのに、なんだと思って聞いてみたら、この山の高さがあったら見られないなと思って、と少し残念そうな口調で言われた。どちらにせよ、花火の始まる時間はここにいない。テレビという特等席で見られるさ、と笑うと人ごみでもないしいいか、とやっと笑みがこぼれた。途中見かけるパトカーや対向車線のバスをからかいながら実兄の家に近づく。あと10分ほどでつく、というところで兄嫁にもう一度メールを投げる。「お待ちしていま~す」と返事がきて、ちょうど圏外に。兄の家はわかるか、と親父様に聞いたら、多分、なんとかなるとの返事。柚木崎も片割れも実兄の住むアパートを知らない。仕方がないので、親父様の感ピューターに任せることに。同じような道を何度も行ったりきたり。車幅ギリギリの道を通らされたりしてちょっと閉口したが、たどり着かないこと、つかないこと!近くをうろついていることは確かなのに、と母まで言う始末。ふと、財布の中に実兄の住所を入れていたのに気づいてそれを取り出して地名を見る。確かに近い。のだが、さっきからうろついているところは、場所が違う。曲がるところをどうやら間違えたらしい。その指摘で、元の道に戻って違う角で曲がってみたら、ようやく見慣れた道に出たらしい。親父様と母が同時に歓声を上げた。着いたよ、とメールをしたら、姪っ子を抱いた兄嫁が出てきた。昼過ぎからずっとお昼寝タイムだった姪っ子、あれから3時間が過ぎようというのに、まだ寝ている。よく寝る子だね、と笑ったら薄目をあけた。見慣れない顔が勢揃いしていたからか、びっくりして体を硬直させて、目を見開いたと思ったら。……おお泣きされてしまった。柚木崎も片割れも、あまり子どもに泣かれることはない。なつかれることがほとんどなのだが、おお泣きされるとは。以前来た時に一番なつかれた母ですらおお泣き。どうやら忘れられてしまったようだ。おお泣きされても、兄嫁の荷物を積み込まねばなので仕方なく母が抱っこしたのだが、どうにも駄目で泣きつづける。参ったねぇ、と母が呟いたとき、さっき柚木崎たちが曲がってきた角を、赤い車が曲がってきた。実兄である。仕事を早上がりすることはできないといっていたのにどうやら早引けしてきてくれたようである。久しぶりの挨拶も何もない。車を停めると、一直線に愛娘に向かってきた実兄は抱き上げたがやはりおお泣きされたままで苦笑をもらす。片割れが車の中からお土産のプーさん(熊のぬいぐるみ)を出したがご機嫌斜めの姪っ子は見向きもしないで泣きっぱなし。肌触りなどを確かめて、兄が久しぶりの笑みを見せた。まだ10ヶ月の子どもだから、タオル地のものである。一番好きなキャラクターなのだと聞いていたからわざわざプーさんを選んで持ってきた。兄が抱いている間に、兄嫁がてきぱきと荷物を運んでくる。こちらの車に全員乗れる、と言ったのだが、実兄は自分の車のほうが安心できるから、とわざわざ車2台で連なっていくことに。宿に向かっていくことになった。男鹿半島を下回りでぐるりと回る。海の色がイマイチ綺麗でない。どうやら濁っているようだ。残念ながらゴジラ岩は見ることができなかったが途中、綺麗な景色のところで一時休憩。その頃には姪っ子も少し慣れてきてくれたようでやっと泣き止んで顔を見せてくれるようになっていた。同乗していた甲斐があるというものだ。宿に着いて少し休んで、早速風呂に入って回りの景色を見に行くことに。その頃にはだいぶ慣れた姪っ子は母や柚木崎、片割れに抱かれても泣かなくなった。だが、親父様にはまだ駄目な模様。かわるがわる抱いて歩いた。夕飯も済ませて、母たちの部屋で姪っ子と少し遊んで名物のなまはげ太鼓を見てきて、今日は就寝。風呂には2度入った。明日の朝も入ってくる予定である。さて、明日はどんな一日になるのやら…。
2004.08.28
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朝っぱらから慌しい。親父様の準備がまだ終わっていないからだ。ぎりぎりにならないと動かない親父様。いつものことだがなんとなくいらいらする。10年程前に行ったきり、一度も行っていない米沢。今晩の宿は片割れの会社の保養所。白布温泉である。旅行には、もちろんうららもついてくる。というか、連れて行く。ペットとはいえ、完全手乗りのセキセイインコ。普段は母の巾着袋の中に入っている。宿には内緒なのだが、汚さないので問題なし。母はこうやっていつも連れ歩く。今回も置いていくのは厭だといって連れて行くことになった。まあ、おとなしいからいいか。うららの入った巾着袋は旅行ということで、綺麗なハンカチで新調されていた。そんなの、うららには関係ないのにと笑うとたまのお出かけなんだから、余所行きを使うのだと笑う母。全部の荷物を積み込んで、出発。車に乗ったとたん、外に出たいと大騒ぎのうらら。どうやら車の中と外の違いはわかるらしい。出してやると、興味津々で周りを見回していた。それにしてもおとなしい。いつもの暴れん坊将軍(笑)ぶりはどこへ行ったのやら。うららなりに緊張しているのかもしれない。ウチの実家から東北道へ乗るのには、時間がかかる。レンタカーにはナビが標準装備なのでナビに従って行こうと思っていたのだが、親父様から一般道で行こうとの指示が出てしまったのでやむなくそれに従った片割れ。親父様の、感覚的な方向性はいい。この道を曲がればいい、ここはまっすぐなど、ナビを無視しまくった方向指示で片割れはすっかり高速に乗るまでの間に疲れてしまった。直前で口を挟んだりするので、確かに疲れてしまうのもわかる。困ったもんだ。ようやく高速に乗って一息ついて。余りに疲れたので、まず最初に近くのサービスエリアで一服。なんでこんなところで油を売るのだ、と文句をいう親父様に運転している人間は疲れるのだ、と一喝して面白そうなサービスエリアには寄らせて欲しいと少し柔らかな口調で依頼した。なお文句をいいたそうな親父様に、母が一言。「運転してもらってるのに文句を言わない」余計に親父様が不機嫌になったのは言うまでもない。途中途中でサービスエリアに立ち寄りながら面白そうなものを見つけては買ってきたり、ちょっと変わったものを見つけては笑いあったりしながら米沢に到着した。親父様も10年程前に米沢にきている。柚木崎と半年くらいの差である。二人して驚いてしまった。道がかなり整備されている。町並み自体も綺麗になっているように思えた。昼食をまだ摂っていなかった事に気づいて何を食べたいか聞いてみると、蕎麦が食べたいという。夕飯で米沢牛が出ることは判っていたので、近くの蕎麦屋を探すことにした。運良くすぐに見つかった蕎麦屋に入ってみる。牛すじの煮込みがあったので、そばに加えてそれも注文。両方とも満足の味。おなかもくちくなったところで、宿に移動。片割れの会社の保養所は、白布温泉の中でも、それなりに上のほうにあった。教習車がとおっていたから、コースなのだろう。二部屋取れるか判らないといわれていたのだが空きがあったようで、二部屋取れていた。すぐに風呂と騒ぐ両親なので、それは嬉しい。しかし、まずひと風呂浴びようとお誘いがきてゆっくり休むまもなく風呂に連れて行かれることになった。ここの風呂は硫黄泉。湯の花が透明な湯に浮かんでは沈む。以前、秋田の乳頭温泉に行ったことがあるがあそこは湯の花が大量に浮き沈みしていてびっくりした。まるでごみのようだったのである。ここはそうではないらしいので、少し安心。こぢんまりした脱衣所、こぢんまりした洗い場。そのかわり、浴槽はとても大きくてびっくり。目の前は大きく嵌め殺しのガラス窓。山に囲まれた綺麗な景色が良く見える。風呂から上がったら少し外を見てこようと思った。どうやら滝が近くにあるらしい。風呂から上がって夕食までの間に少し散策。滝までの上り下りが大変だったが美しい滝が見られたので、これはよしとしよう。親父様が釣り道具を持ってこなかったのを悔やんでいた。入漁料さえ払えば釣りができたようなのだ。水のなかに魚影が見えた、と騒いでは入っていこうとするのでとどめるのに一苦労してしまった。それでも足先は水の中。さすがは山の上のほう。水はこの時期なのに、かなり冷たかった。食べきれないほどの夕食が出て、普段は肉をほとんど食べない親父様がぺろりと米沢牛を平らげてしまったことに驚いたり、保養所なのにこのボリュームの食事が出るのは凄いと感嘆してみたり。結局食べきれなくて、ごめんなさいという状態になってしまった。明日も朝食食べたらすぐに出発なのでとっとと早めに寝ることに。寝る前にもう一度風呂に入ってから布団にもぐりこむ。今夜は少し冷え込みそうだ。
2004.08.27
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明日からの旅行に備え、前日から柚木崎の実家に移動することになっている。最初はウチの子(コスモ)で行く予定だったのだが、4日ほど車をとめておくスペースがないのでレンタカーで行くことになっている。借りる車は日産のプレサージュ。8人乗りの車である。午後5時半に片割れが借りてくることになっている。片割れの会社を通して借りると、かなりの割引になることが判っているからだ。運転するのは片割れと柚木崎。柚木崎の両親も運転できるのだが、ここまで大きな車に乗ったことがない母や、運転がとっても荒い親父様には運転させられないので今回はうちら二人が運転手に徹することに。とはいえ、片割れがほとんど運転することになりそうだ。会社を早引けしてきた片割れが帰ってくる直前、柚木崎は極度のめまいと吐き気に襲われた。極限に達したらしい。本当は一緒に借りに行くつもりだったのだがそんなこんなでダウンしたので、片割れ一人に行って貰った。歩いて数分の距離のディーラーに直接借りに行くのに、歩くのにふらふらする状態ではやばすぎる。出かける直前まで転がっていることにした。実際に借りてきた車を見て、少々驚く。思った以上に長いように思った。車幅自体は、ウチの子(コスモ)とたいして変わらないのだが長さはやっぱり長い。中もそれなりに広くてよさそうだ。秋田についたら兄嫁と姪っ子を拾って、実兄より先にホテルに行くことになっているのでこの広さのものを借りたのだ。うん。よさそうである。持っていくために準備していた荷物を積み込んでもトランク部分はまだ余裕がある。これなら大丈夫そうだ。持っていくつもりで準備していたデジカメも充電完了。さて、出かけるとするか。実家近くについてから、一つ気が付いた。明日は不燃ごみの日なのに、ごみを捨ててくるのを忘れてしまった。また一週間、間があいてしまう。そう片割れに話したら、仕方がないねと苦笑された。それ以上の忘れ物はないから大丈夫なのだが、やっぱりなんだか気になってしまった。仕方がない。一週間に一度の不燃ごみの日。たまるんだよな、こういうのって。実家についたら、母の準備は既に整っていたのに親父様は全く準備をしていないことが判明した。この夫婦はいつもそうなのだ。お互いにお互いのことを干渉しない。親父様は親父様で勝手にやっているし、母は母で勝手にしている。面白い夫婦だ。明日忘れないように、全て玄関に置いておくことにした。明日は早い。とっとと寝ることにした。それにしても、台風が近づいているようで…。すれ違いになりそうな気配なので、それはいいのだが、九州方面に住んでいる友人が気になる。明日かあさってにメールをしてみるか…。
2004.08.26
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ずっと荒れっぱなしの胃と格闘中である。親孝行する予定なのだが、どうにも精神的にそれを許せないのだろうか。ずっと抱えてきた両親との確執がある。最終的には柚木崎が諦めてしまって表面には出さないけれど、どこかでくすぶっている炎。それを、お互いに抱えている。いつか爆発してしまいかねないこの炎を抱えて柚木崎はなるべくよらず触らずの生活を送っている。その炎から、目をそむけたまま。それでももちろん、判っている。このままじゃいけないことを。どうにかしなければいけないことを。でも、今更どうしろと?「お前なんか生まなければ良かった」と絶叫した母や、「子どもなんか欲しくなかった」と公言してはばからなかった父。実兄はその煽りを受けたことがなかったが(後継ぎとしてずっと愛情を受けていたからだ)柚木崎はその反動を、ずっと受けつづけていた。その心の傷を、癒せるとは到底思えない。いつでも柚木崎に批判的な母。表面的には人当たりはいいが、身内にはこの上もなくひどい言葉を投げつける父。どうやって、折り合いをつけろと?自分の中でもまだ整理がついてない。離れて暮らしてずいぶんになるが、未だに鎖で縛りつけようとする両親と、いいかげん開放して欲しいと願う己。それでも、ここまで育ててやったのだとことあるごとに言われつづけて、それに感謝しなければいけないと思い込んで。というわけで、明日に迫っているのになお今でも己の内側に潜む凶暴な気持ちを押さえ込むのに必死である。胃が荒れてるのはその反動である。旅行が終わったら体調を崩すこと請け合い。さて、なんとかしなければ。明日に迫っているのだから。
2004.08.25
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木曜日の夜から出かける予定なので、早め早めの準備を心がけている。親を連れてのちょっと長めの旅行。温泉に入りたい、初孫に会いたい、美味しいものが食べたい。それらの要望にお応えして、1泊目は山形県米沢市(米沢牛を食べさせるのだ)、2泊目は秋田県男鹿半島(海の幸は出るだろうか?)、3泊目は秋田県相野々(山の幸だろうなぁ)を選んだ。全て温泉のあるところである。初孫である唯がいるのは、秋田県。少しあそばせてあげるか、と思っている。それにしても、結構今から気を使っているらしく日にちが近づいてくるにつれて体調がイマイチよろしくない。何を食べても胃が受け付けず、しばらくすると戻してしまう日々が続いている。おなかはすくのだが…仕方がない。そう思って諦めている。木曜の夜のうちに実家に向かって金曜日は朝から東北に向かっていく予定になっているから実際に準備する着替えは4泊分になる。また、どこに行くか判らないので、一応水着も用意した。その際の着替えも考えて、下着は5泊分。男鹿半島のあたりはきっと海が綺麗だから少し遊ぶつもりなんじゃないかと思われる。なにをきるか、何を持っていくか。そんなことを考えながら準備をしていたら電話が鳴った。3泊目の相野々温泉、宿泊施設からの最終確認電話だ。ここはまめなところで、宿泊予約を入れた後と、直前に確認の電話を入れてくれる。丁寧な対応をしてくれたので、行くのが楽しみだ。ふと、実兄のところにお土産を持っていかなくていいのだろうかと不安になったので実家に電話して聞いてみると、要らないとの返事がきた。別に持っていく必要はないだろう、と。そういってもらえるなら別にいいか、と用意を特にしないことに。だが、なんとなく気になったのでちょうど昨日とどいたばかりのドラゴンフルーツを実家と実兄のところに持っていくことにした。多分、食べたことがないだろうから。初めて会う姪っ子。写真はしょっちゅう兄嫁が送ってくれるから成長の具合は見ているつもりだが、実際にあったらどんな感じだろう?やっぱり先日の従姉の子どもみたいに、人見知りされるだろうか。母も久しぶりすぎて泣かれるかもしれない。実兄と柚木崎はよく似ているそうだからもしかしたら間違うかもしれない。少なくとも同じ血が流れていると、本能的に判るかも。そんなことを母と話して、笑いながら電話を切った。出発は木曜の夜。さて、それまでになんとかなるか?
2004.08.24
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実兄のところに行くのが近くなったからか、母がとてもはしゃいでいるようだ。普段は余り電話をかけてくることがないのだが昨日に引き続き、今日も電話がかかってきた。今日の話題は、セキセイインコのうららである。実家のセキセイインコの「うらら」くんは、わがままである。嬉しくても噛むし、気に入らないことがあっても噛む。いわゆる「ガブ夫」くんである。ぽけぽけした色に似合わないその性格は誰が一体しつけたのだろうと首を傾げたくなるほど。手乗りなので誰にでも気軽に呼ばれれば行くのだが寄っていっていきなり「がぶり」ということも多い。そんなうらら。ふと母は思ったようである。「こいつ、態度が大きくないか?」と。そこで不安になって柚木崎に電話してきたのである。「うららっていつ、うちにきたんだっけ?」と。…数えてみて、まだ4ヶ月程度である。3月末に、おしゃべりインコのゴローが死んでしまい、落ち込んだ母を元気付けるために父が実兄のところへ連れて行った。そこから帰ってきてから買ったはずである。そう話すと、「一緒に買いにいかなかったっけ?」行ってないだろ、と笑ってしまった。一緒に買いに行って、買ってあげたのはゴローだ。そう話すと、そうかとやっと納得。そこでやっと全部思い出したらしい。どうやら肩にいるらしいうららに「お前さん、なんでそんなに態度がでかいの?」と聞いている声が聞こえた。自分が可愛がられていることを知っているのだろう。返事をしているのかなんなのか、うららが小さな声で鳴いているのが聞こえる。やっと鼻の頭がきっちり青くなってきたうらら。これからもっとわがままになるのだろうか?少し不安である。これ以上のガブ夫くんにはなって欲しくないと思う。噛まれると痛いからなぁ…。
2004.08.23
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今週末のために、いろいろ計画を立てている。金曜日が還暦の柚木崎の親父様。母も2月に還暦を迎えた。二人揃って60歳。なにかお祝いをしてあげたい。そう思って、何が欲しいか聞いたところ、物は要らないといわれてしまって困った。すると、母から一つの提案があった。実兄のところの初孫を見に連れて行って欲しいというのである。もちろん、連れて行くのだから旅費などは柚木崎たちが持つつもりである。先日、旅館の手配をした際に、実兄にも相談を持ちかけた。1日分の宿泊費を半分だけ持って欲しいと。実兄は快諾してくれたので、それでよしとしたのだが。母から電話が入った。レンタカーの件である。ウチの子(コスモ)は実質二人乗り。実家のスパシオは乗れなくないのだが、旅行用の荷物を考えたら、あんまり薦められない車だ。ということで、車を借りることに。兄嫁にチャイルドシートの相談をして、既にそれは借りないことで決定しているのだが、母はそこまで気が回っていないだろうと心配していたらしい。慌てたような電話の口ぶりに、つい笑ってしまった。大丈夫、相談済みと答えると明らかにほっとした様子が伝わってきた。そのときに、実兄のことを少しだけ聞いた。柚木崎はあまり実兄と仲がいいとは言いがたい。連絡を取らないでいるほうが長いのだが今回は連絡を取らないとどうにもならないのでなにかとこまめに電話をしているし、兄嫁にもメールをしている。しかし、当り障りのない話ばかりで突っ込んだ話などはもちろんしない。今回の宿泊費半額の話だって破格なのである。母に言わせると、実兄の給料はとても安いのだそうだ。柚木崎の1/3ほどしか貰っていないのだという。たまたま住んでいるところが都心ではないので物価などが安いから何とかなっているがこちらに住んでいたらとてもじゃないが生活できない金額だそうなのだ。そんな話を聞いて愕然としてしまった。…知らなかったから、半額持てなどといってしまった。電話を切ってから悩んでしまった。失敗してしまったかも、しれない。かなり長い時間悩んでいたのだろう。片割れに心配されてしまった。悩んだがこの話を片割れにすると、今から連絡して取り消そうと言ってくれた。が、実兄のプライドを傷つけることにならないだろうか。そういうと、片割れは頭を抱えた。そうなりかねない。誰だって、「お宅の金銭的な問題を考えたら、さっきの話無しにして下さい」というようなことを言われたら、気分は良くないだろう。二人して頭を抱えてしばらく考えたが、最終的には、強制しないということで話をまとめてしまった。要は、宿泊費支払いの時に話をしないで、「ウチで全額出してもいいじゃないか」ということである。いざとなったらそうしよう。そして、新たに悩んでいる。親父様の誕生日は27日。その27日、米沢に滞在予定である。…誕生日プレゼント、用意したほうがいいのかなぁ?いらない、かなぁ?
2004.08.22
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柚木崎は細かいことを気にしすぎなのだろうか。この間から、預かっている水槽の水が気になる。なんだか臭いを発しているように思えて仕方がないのだ。実は柚木崎、耳の聞こえがあまりよくない。テレビがついていて、それを見ている間に話し掛けられたりすると、聞こえないことが多い。複数の人に同時に話し掛けられるとそれぞれの人の要点だけを聞くという特技を持っているが正直言って、全部きちんと聞いているかというと、自信がない。聞こえていない事柄のほうが多いのだ。ひどいときなど、目の前で話されていても聞こえないことがある。口が動いてるからなんか話しているのだろうと見当をつけて申し訳ないけれどもう一度話してくれ、と頼むこともしばしば。そんなだからだろうか。嗅覚はかなりいいほうらしい。わずかなガスの臭いも気づくし、食べ物が傷んでいても臭いですぐに気づく。だからかもしれない。気になって仕方がないのだ。水槽の水の臭いが。片割れはどちらかというと鼻が利かないほうだ。だから、何かにおわないかといっても首をかしげることが多い。どこから臭いがきているか、というのを嗅ぎ分けるとようやくそういえば、という反応を見せる。今回もやはりそんな感じだ。見た目はあまり変わっていると思えない水の色に片割れは気づかなかった模様で。柚木崎は柚木崎で、水の色がわずかに変わっているように思えて。半分だけでも入れ替えようと提案した。大丈夫だよ、と乗り気でない片割れを説得して前日から用意しておいたカルキ抜きした水を準備する。水槽からバケツに水を抜き出しはじめてようやく片割れが呟いた。「そういえば、なんかくさい…」言ったじゃん、と笑うと、柚木崎ほど鼻が利かない片割れは少しむくれた。負け惜しみなのか、こうやって出さなきゃにおわないよ、とまで言う。どちらにしろ、やはりにおうのだ。それに、色もやはり変わっているのが判る。こんな状態の色の水の中では、熱帯魚たちだって可哀想だ。半分水を抜いて、これ以上抜いてしまうとやばいという状態になったところでカルキ抜きした水を入れ始める。本当は全部交換したいところなのだがそういうわけにはいかないとのことなので、諦める。なんだか薄めただけのような気がしてならないのだが…。それでもずいぶん綺麗になった水。心なしか、熱帯魚たちも気分がよさそうだ。結局、カルキ抜きした水は足りず、強制的に薬品でカルキを抜いた水を足すことになった。これはあまり好きではない。売っている以上、魚に害はないのだろうが、なんとなく好きになれない。片割れもどうやらそんな様子で、苦しがってないんだけどあんまり使いたくないといっていた。多分、大丈夫なんだろう、けど…。そんな些細なことが気になる。細かいのだろうか?
2004.08.21
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夏休みに入ってから、欠かさず作っているものがある。それは、冷蔵庫に入れておく冷たい飲み物である。一人暮らしをしていたときは、夏場の必需品だった。だから、仕事をしていても作ってあった。大体がアールグレーを冷やしたもの。濃い目に作ってガンガン氷を入れて一気に冷やす。この作り方だと、ティーバッグの必要はないし、茶葉から出すので味はいい。しかし、片割れと一緒にいるようになってから作る頻度が格段に上がった。そうなると結構面倒なものである。自然、頻度は減り、今では夏休みの間限定である。ずっとアイスティーばかり作っていた柚木崎。が、片割れはアイスコーヒーが好きな人だ。一緒にいるようになってから紅茶も美味しいと気づいたようだが基本的にはコーヒー党。柚木崎も基本はコーヒーなのだが、飲みすぎると胃が荒れるのを良く知っている。たまに飲みすぎてなにも胃が受け付けなくなることがあるので余計に気にしているといっていい。だから、なるべく冷蔵庫の中は、紅茶。アールグレーのときもあれば、他のフレーバーティーのときもある。(ないのはダージリンなどの定番紅茶だ)もちろん麦茶のこともあるし、意表をついて中国茶(プーアール茶やウーロン茶)のときもある。緑茶のときも結構あったりする。しかし、冷蔵庫を開けるたびに片割れは悲しげに呟く。「アイスコーヒー飲みたいなぁ…」職場でコーヒーばかり飲んでいるからできれば自宅では違う飲み物が飲みたい柚木崎と真夏だろうと真冬だろうと関係なくいつでもアイスコーヒーが飲みたい片割れ。…溝はかなり深い。人が淹れてくれた飲み物は美味しいと片割れは良く知っているのでずるいことに自分ではどんな飲み物も作ってくれない。だから、飲みたければ自分で作るしか、ない。が、作らないので…と、ずっとぐるぐるしていた。仕方がないので、片割れはよく、ペットボトルのコーヒーを買う。あれだって決して安いものとはいえない。それに、かなり甘い。もともとアイスコーヒーにはガムシロップを入れている片割れにはその甘さは気にならないようなのだが柚木崎には濃い上に甘すぎる気がして、どうにもなじめない。こればかり飲んでいたら、いつかは太るだろう。実際、柚木崎の父方従兄は毎日10本以上飲んでいた缶コーヒーを一切止めたら見事にダイエット成功という実績を持っている。やはり相当糖分があると見た。そんなわけで、柚木崎宅の夏の飲み物は数種に渡る。麦茶、紅茶、緑茶、コーヒー、そしてカルピス。これだけで冷蔵庫が一杯になってしまうので、実はあまり嬉しくない。毎回冷蔵庫の中身と相談している。柚木崎の実家は麦茶かウーロン茶。片割れの実家は…ペットボトルのジュースばかり。このあたりが互いの好みの違いになったようだ。さて、また飲み物を作らねば…。そういえば、麦茶が切れてたし。
2004.08.20
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寝ているときからなんか変だった。いや、何がどうとは言いにくいのだが、頭が異様に重たい気がして仕方がなかったのだ。目を覚ましてみたら、案の定頭は重く、しかも痛かった。起き上がることができないほど痛い。片割れにお弁当は今日は許してくれと詫びて一日寝かせてもらうことに。昼ご飯はどうするんだと心配する片割れになんとかなるから大丈夫と答えて送り出した。実際、何とかなるというか、なんというか。昨日食べきれなかったメロンパン(最近のお気に入りだ)をもそもそと食べて、冷蔵庫で冷えている麦茶で流し込んで昼食終了。後はひたすら寝ていた。寒いし、痛いし、だるい。この三拍子は一体なんだろう。遅くなって帰ってきた片割れは、ふらふらしながらもなんとか起きてる柚木崎に驚いたようだ。こうやって少しマシになるとおきるので余計にひどくなるのではないか、と文句を言われてしまった。可能性はなくは、ない。が、仕事を終えて帰ってきた人を寝たまま迎えるのは、余り好きではない。そういうわけでおきてしまった。夕飯は、時間も時間だったのでピザを注文。久しぶりの宅配ピザである。チーズが苦手な柚木崎だが、ピザはなんとか食べられる。多分、チーズくさくないからだろう。だが、今日はその濃い目の味付けに完敗。Mサイズをほとんど一人で食べることになった片割れ。申し訳ないことをしてしまった。こういうわけで、今日は不調。とっとと眠ってさっさと治すべし。咳が止まらなくなることがあったりするから、もしかしたら冷房で風邪を引いた可能性あり。なんだかなあ…
2004.08.19
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長い夏休みのうち、久しぶりの出勤が今日である。いつもどおりの出勤と、帰宅。特に何があるとは聞いていないので、のんびりした1日になることは間違いない。出勤してみると、驚いたことに既に数人の上司がきていた。常勤の上司である。「おや、今日は君が出勤か?」上司に聞かれて、苦笑してしまう。出勤票が目の前に張られているのに気づいていないようだ。週に一度、水曜日。それが誰かしら出勤している曜日である。そのことを話すと、納得したような顔になった。まず自分のPCを立ち上げてみる。驚くほどメールがたまっている。軽く500通を超えるメールに正直驚いた。9月に普通に出勤したら、どれだけたまっているだろう。薄ら寒い思いをした。コーヒーを淹れて、コピー機を立ち上げて。職場の共有PCも立ち上げて、Windowsのアップデートを行う。たまに柚木崎がやらないと、誰もやらない。案の定、相当数のアップデートがあった。時間がかかるなぁ、と思いながら開始した。自分のメールの処理をしながら、上司たちの仕事の手伝いをする。今度の土曜日に仕事があるという上司がいろいろと手伝いを頼んでくるので思ったよりやらねばならないことが多い。気づいたらすぐに昼食の時間になっていた。昼休みを取ってまたすぐ仕事。…仕事がないと思っていたのに、意外である。合間合間にコーヒーカップや湯のみ茶碗の漂白も行う。これもなかなかやってもらえないものの一つだ。カップが茶渋で相当汚れているのに誰も気にしないあたりがとても不思議だ。柚木崎はこういう汚れが気になって仕方がない。漂白剤を少し強めにして一気に洗浄した。おかげで手が塩素臭くなってしまった。いつものことだが、これは慣れない。あっという間に一日が過ぎる。帰宅時間になったので、手伝いを適当な区切りで終わらせる。上司に帰る旨を伝えると、手伝ってくれてありがとうと返事がきた。こういう上司は余りいないので、少し嬉しい。片割れを拾って帰ろうと車のエンジンをかけたら某建設会社の人に声をかけられた。ウチの職場にほぼ常駐している人だ。「夏休み、もう終わり?」と聞かれたので、登校日です、と答えたら爆笑された。こういう返し方をするのもそんなにいないらしい。君のそういうところが気に入っているよ、と肩を叩かれ嬉しいやら複雑やらである。片割れ拾って途中で夕飯を食べて帰宅して。思ったより疲れていたことに気づく。しばらくの休みは体を鈍らせていたらしい。1月後がとても怖い気がする。…まぁ、なんとかなるだろう。きっと。さて、今日は早めに寝るか。
2004.08.18
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料理の話なのだが、どうしても作れないものがある。この話をすると、大抵の人が「どうして?」と聞いてくるのだが柚木崎自身も良くわからない。のだが、理論などは判っていても、どうしても作れないのだ。その料理は、『茶碗蒸し』という。柚木崎も片割れも、双方料理が好きである。柚木崎の得意はひき肉を使った料理、片割れの得意料理は煮物全般というから笑えてしまう。しかし、二人とも『茶碗蒸し』が好きなのにどちらも作ることができない。聞いてみると、義母も茶碗蒸しを作ったことがないと言っていた。お菓子を作るのが好きな柚木崎、(食べることより、作る過程や食べる人の喜ぶ顔が嬉しいのだ)ケーキのみならず、プリンやシュークリームなども作る。一度、強力粉を使ってカステラを作ったときには母にも実兄にも驚かれてしまった。亡くなった父方祖父や、伯父が自分で羊羹を作る人なのでもしかしたらそのあたりの血を引いているのかも、知れない。考えてみたら、父方従兄もその血を引いているのかお菓子作りが趣味、というのから、高じてシェフになった。それはともかく。プリンを作るのに、どうして『茶碗蒸し』ができないのか。柚木崎にも謎である。唯一、これが原因か? と思うことが一つある。記憶の中に、母の作った茶碗蒸しの味がないのだ。なんというのだろう、基本になる味というのがあると思うのだ。何を作るにしても。その、基本がないのである。よく「お袋の味」と言われるものは、この基本になる味なのだと思う。これがしっかりしていれば、おのずと好みの味が決まるし、自分で料理をするときも、「これこれこの味」というのがなんとなくであれ、作れると思うのだ。その基本になる『茶碗蒸し』の味。それが、ない。ふと思った。そうだ、物心ついた頃を思い出しても、片割れと同じく、母の茶碗蒸しを食べた覚えがない。その話を、先日実家に帰ったときにしてみた。すると、あっけらかんと母は答えた。「作ってないね」呆然としてしまった。作れないのか? なんで作れないのか?立て続けに聞いてみると、どこか意地の悪い笑みを浮かべて母が教えてくれた。柚木崎がまだ本当に小さい頃は、茶碗蒸しを作っていたこと。しかし、親父様がその茶碗蒸しに対して文句を言ったのでそれ以降、二度と作るものかと決心したこと。だからもう、作り方も忘れてしまったこと。親父様はなんと文句を言ったのか。一言、「まずい」といったそうだ。そして、「○○という料亭で出たくらいのものを出してみろ」と吐き捨てたのだと母は思い出すだけで悔しそうな様子だった。親父様…それは余りにもひどすぎないか?妻の作る味を料亭の味と比べること自体が、まず間違っている。自分でも料理をする親父様。その親父様の腕より劣っているのであればもう少しこうしたほうが好みだ、という言い方をすればいい。なのに、親父様は…考えていたら腹が立ってしまった。要するに、柚木崎の現状は、親父様が作ったと言うことで…。親父様にその話をすると、またけろりと言われてしまった。「本当のことを言って何が悪い」わが親父様ながら涙が出てくる。料亭と比べることがどれだけ愚かか、今をもってしても判っていない。これは母が作る気を無くしてしまったのも無理はない。そこまで思って、はたと思った。もしかして、母の料理レパートリーに和食がないのはこれが原因なのだろうか。恐る恐る、他の料理に関しては…と聞いてみたら当然のように胸を張って言われてしまった。「あたりまえだろう。 まずいものはまずい。そう口にしてどこが悪い」頭を抱える事態とはこのことである。お互い意地を張っているのだろうとは思うのだが、親父様のこの性格、なんとかならないものか。このまま続けたら絶対に大喧嘩になること間違いなしなので話題を無理やりここで打ち切らせてもらった。母じゃなくても、これでは作る気力が失せると言うもの。どうりで…。すごすごと母の元に戻ると、母はちょっと考えている顔をしていた。どうしたの、と聞いてみたらホントにちっちゃい頃に作ったの、あんた食べてたわと言われた。それはいつの話だ、と聞いて、聞かねばよかったと後悔。離乳食で1~2回だそうだ。それはいくらなんでも無理だよ、か~ちゃん…。ということで、今をもってしても柚木崎は茶碗蒸しが作れない。外食をすると大抵茶碗蒸しを食べるのにどこも味が微妙に違うし、固さも全然違うので参考にするには漠然としすぎてしまうのだ。場所によっては具材にアレルギー物質が入っていて食べられなかったり。というわけで、未だに作れないものである。いつか克服できるだろうか…
2004.08.17
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今日は2軒お隣の、Mさん宅の引っ越しの日である。仕事にいった片割れは、「もしかしたらMさんたち、挨拶に来るかもしれないから そしたらよろしく言ってたって伝えて」と伝言を残していった。今日でちびちゃんたちともお別れかと思うと、酷く淋しい気持ちがする。MさんチのSくんに最初に会ったのは、引っ越してからまもなくのことだったと思う。奥さんが妊娠中で調子が悪く、旦那さんが、歩き始めたばかりのSくんを連れてお散歩に出かけていたのだ。ウチはといえば、ゲーセンの戦利品であるぬいぐるみをいくつか、毛が抜けるという理由でベランダに干していた。それをしまうのと、煙草を吸うためにベランダに出て、よちよち歩きのちびちゃんが見上げているのに気づいたのだ。このちびちゃんが、Sくんだった。最初、ちびちゃんは片割れの顔を見てきょとんとした。次いで、柚木崎の顔を見てこれまた吃驚。だんだん視線が下がったと思ったら、ぬいぐるみに目線が行った。見てるな、と思ったので、わんこのぬいぐるみの手をちびちゃんから見えないように掴んでバイバイ、と振ってみたのである。みるみるちびちゃんの目が輝いた。「あ! あ!!」道ばたに座り込んでこちらを見上げて一生懸命パパにアピールするちびちゃん。パパはなんだか分からず、きょろきょろしている。あんまりにも反応がいいので、片割れと相談して、ちびちゃんにこのぬいぐるみをプレゼントすることにした。「お父さん、お父さん。こっちこっち」上から声を掛けると、まだ探していたパパさんが驚いて顔を上げた。やっと気づいて貰えて、ちびちゃんの顔がさらに明るくなる。「これ、気に入ったみたいなんで、あげます。 落としますから、受け取ってくださいね」そういじめのようなことを言って、パパさんが驚いている間に、ぬいぐるみを落っことした。ナイスキャッチしたパパさんに、一生懸命追いついたちびちゃんが、自分が持つ、と一生懸命だったのを今でも覚えている。その後、お腹の中の赤ちゃんが生まれ、今や達者に口を利く女の子になり。Sくんは優しいお兄ちゃんになった。しかし、遊びに行くといつもSくんはぬいぐるみを抱いてくる。「もらったやつ。大事にしてるの」嬉しそうににこにこしながら抱きしめているので、気に入ってくれているのだな、と嬉しく思っていた。今回の引っ越しの準備の時も、「あれね、Sが抱えて持って行くんだよ」と、にこにこしながら教えてくれた。その姿も、今日で最後。朝の9時から荷物の積み込みが始まっている。時々Sくんがあのぬいぐるみを抱えて歩いている姿が見える。ママに車に入れちゃいなさい、と言われていたが「これはSが持ってくの!」と自己主張をしていたのも聞こえていた。嬉しいと思う反面、やっぱり淋しい。こういう声も、もう聞けなくなる。やがて、引っ越しの車が出て行った音がした。たぶん、時間ぎりぎりまで仲良しの近所の子たちと遊んでいくのだろう。夕方6時過ぎごろに、ちびちゃんたちの大合唱のような泣き声が聞こえた。やだ、やだと聞こえるので今日で最後だと、きちんと認識しているのだろう。大泣きする声が遠ざかって、やがて聞こえなくなった。よる9時頃。郵便物のチェックのため、玄関を出た柚木崎は、Mさん宅ががらんとしてしまったことになんだかとっても違和感を感じてしまった。いつもなら、居間から玄関まで開け放し、風通しを良くして寝ている時間帯。パパさん一人がパソコンルームでパソコンをいじっている。そんな時間帯の筈。なのに、玄関は閉まっているし、どこにも明かりがない。いつも無意識で確認していたのだろう。とても違和感を感じてしまった。荷物がなくなった部屋は外の明かりを反射して、壁が白く浮いている。本当に、行ってしまったのだ。最後に会えなかったなあ、とひとりごちてしまった。片割れの伝言も、言えずじまいだった。柚木崎も、元気でねと言えずじまいだった。それが酷く心残りだ。別天地に引っ越しをしたMさんご一家の今後の幸せをここから祈るしかない。どうか、どうかお元気で。
2004.08.16
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Mさん宅より水槽を預かってから片割れの熱帯魚熱が加熱したように思う。もともと魚を飼いたいとずっと言っていた片割れ。去年の夏、その熱意に負けてコッピーという魚を飼った。育てるのが簡単と言われていたのに、数日で死んでしまった時の片割れの気落ちぶりは傍から見ていても痛々しくてそれ以降、やんわりやんわり飼うのを拒んでいたのだが水槽を預かって以来、また「飼いたい」熱が上がってきたようなのだ。どうやら片割れに甘い柚木崎。熱意に負けて、熱帯魚をこの水槽に追加することにした。魚の種類は『ネオンテトラ』という。ネオンのように光るラインが美しい魚だ。預かりナマズも、タイガープレコとかいう種類らしいが調べてみるとなんだか模様が違うのでもしかしたら違う種類のプレコなのかもしれない。このナマズ君が淡水魚なので、やはり選ぶ魚も淡水魚になる。今現在、ナマズ君にくわえて、3匹のグッピーがいる。このグッピーたちはゲーセンの戦利品だ。餌や、飼い方の説明書きもきちんとついてきたのだが、様子がおかしいので調べてみたら説明書きは少し違っていた。どうりで腹減ったと騒いでいるわけだ……。それはともかく、これにネオンテトラをいえるとなるといったいどれほどの数を飼うつもりなのだろう?不安になって聞いてみると、「酸素量とかもあるから、そんなにたくさんは飼わない」とのこと。少しだけ安心である。ちょっと他に買いたいものもあったので、最寄りの駅というより、少しだけ遠い駅に向かった。Mさん宅も、こちらでいろいろな必需品を買っていたようなので無難なところ、という感じか。余り大きくない売り場なのだが、整然とものが並んでおり、売られている犬や猫たちも、きちんと衛生管理されているのが分かる。とても良いことだ。以前、衛生管理が余り良くない店を通ったことがあるのだがキツい動物臭に頭が痛くなったことがある。動物が嫌いではなく、むしろ好きな方の柚木崎や片割れはあまりの不衛生さに腹を立てたことがあった。しかし、ここは、いい。子犬や子猫をからかいながら、目的の魚コーナーへ。ネオンテトラ。いる。その同じ水槽に、また違うテトラが入っている。微妙に違うそのテトラも、色は綺麗だった。片割れが水槽の前にしゃがみ込んで悩んでいる。どっちがいいのか、分からなくなってしまったようだ。他にも目だけが光る『ランプアイ』という種類やらゲーセンの戦利品であるグッピーもいた。おお。ここには預かりナマズ君のお仲間もいる。ちまちまそうやって見て回っていたら、鳥がいるコーナーまでやってきた。1羽のセキセイインコが首をかしげてこちらを見ている。硝子越しに指を差し出すと一生懸命こちらに来ようとしているのが分かった。可愛い。可愛すぎる。撫でて欲しくて頭を差し出してきて、硝子にぶつけて怒ってみたり、足をこちらにやりたいのに、硝子が邪魔で怒ってみたり。あんまりやっているとストレスになってしまうので、すぐに指を離したのだがかえってこちらに興味を持ってしまったらしく「そっちに行くの、行くの」と言わんばかりに大騒ぎを始めてしまった。こういう愛想のいいヤツは、結構好きだ。参った。連れて帰りたいという衝動に駆られてしまった。が、今回は我慢である。今回の目的は違うのだ。テトラ、テトラと自分に言い聞かせて片割れの元に戻ると片割れはまだ悩んでいた。多分、本当に悩んでしまったのだろう。「どっちがいいと思う?」と聞いてきた。見比べてみると、大した違いはないのだが、もう一方のテトラの方が大きいように思えた。それを指摘すると、おお、と感嘆の声を上げる。どうやら気づかなかったようだ。小さい方がいいよな、とかぶつぶつ呟いていたと思ったらようやく決心が付いたようである。ネオンテトラ10匹、お買いあげ。他にも細々したものをいくつか購入して、他にも見たいものがあるから、と別の店に移動した。ここにもネオンテトラはいたのだが、金額が全然違うことに驚いてしまった。たかだか数百円の違い、と言われるかもしれないが、明らかに値段が違う。なにが基準なんだろうね、と片割れに聞いてみたが、分からないと返事が来た。目の前でネオンテトラが10匹購入されていく。なんだか複雑な気分である。買いたいものがイマイチ気に入らなくて結局帰ってきたのだが、片割れはそれに余り不満を感じていない様子でいそいそとテトラ君たちを水槽に移す準備を始めた。一気に移してしまっては、いけないのだそうだ。徐々にならすために、ビニール袋に入れたまましばらく水槽の中に入れておくのだという。上の方にぷかぷか浮いているビニール袋。中にはネオンテトラが10匹。物珍しそうにグッピーがよってきた。テトラの近くに行こうとして、ビニール袋に阻まれる。見ていて面白い。さて、いつごろ水槽内に解放してやるのだろう。片割れが楽しんでいるのだから、いいか……。
2004.08.15
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柚木崎が帰省していると知って叔母が実家に遊びにきた。叔母の娘に当たる従姉たちは、みな子持ちである。年上の従姉は、11ヶ月の息子を、同い年の従姉は、3歳の娘と5歳の息子。しかし、従姉たちは11ヶ月の息子と3歳の娘を自分たちの母親(子どもらにしたら祖母)に預けて5歳の同い年の従姉の息子だけを連れて映画を見に行ってしまったとのこと。いつも思う。なんか変でないかい?それは良いとして。久しぶりに会った従姉の子どもたちに思いっきり人見知りされてしまって困った。11ヶ月の子は、抱っこしても泣かれなかったし、構っても特に泣かれることはなかったのだが代わりに片割れが顔を見るたびに大泣きされることに。ちょうどそういう年頃の子どもなのだ。しかし、この年頃の子どもは面白い。泣くなら見なければいいのに、と思うのだがわざわざ視界に入らないように隅っこへ行った片割れを反り返って見ては大泣きする。見なきゃいいのに、とみんなに大笑いされるが慣れるまでずっとそんな感じだった。さらにもう一人、3歳の女の子。この子はあんまり実は、可愛いとはいえない。いや、可愛いのだけれども。一般常識に照らし合わせたら、上目遣いに人を見て一言も言葉を発しない女の子…といったら可愛いという人はいないと思われる。だが、やっぱり従姉の子ども。可愛いと思ってしまう。肉親ってそういうものなのかもしれない。この子には、ずっと人見知りされっぱなしである。ウチの玄関に立った瞬間から大泣きされて、それ以降もずっと押し黙ったまましかも、半径1m以内に近づくと泣かれてしまう。なんとも難しい年頃である。そんな従姉の子どもたちを相手にして。しばらくして、映画を見終えた従姉たちとも合流して。久しぶりに会った映画に連れて行ってもらえていた子どもは先日、耳が片方聞こえなくなってしまったことが判明。突発性難聴、とのこと。本人は聞こえていると主張しているが、実際は聞こえていないだろう、というのが医者の判断である。ずっと座りっぱなしでストレスがたまったのか片割れや柚木崎相手に、かなり暴れまくってくれた。ちびはちび同士。やっぱり一人が遊んでもらっていると他の二人も気になったらしく気づくと傍に近づいていた。…が、見るとなくんだよなぁ。しばし楽しい時間(?)を過ごして実家をあとにした。実兄のところに行くための、宿の予約をするためである。ネット上の「予約宿名人」というシステムを使って柚木崎は宿の予約を取る。ここは面白いシステムを取っているのでそのシステムを利用しているのである。実家のネットの回線は遅い。先日実家に戻ったときに試してみたのだが余りの遅さに閉口したのと厭に回線が不安定だったこともあって実家から予約を入れることが不可能と判断したためだ。約2時間をかけて実家から自宅に戻り自宅につくなりPCを立ち上げた。実家に家についたとの連絡を入れながらだから電話回線はフルに使われている。大抵はどちらか片方だけなのだが、今回はどちらもふさがっている。親たちと相談して、実兄とも連絡を取ってなんとか決めた宿である。聞きたいことや用件などを簡潔にまとめてそれらをきちんと質問事項としていれて予約を入れたい宿に連絡をした。確認の連絡が入るのは、時間からして明日だろう。宿が空いていればいいのだが、と本当に思う。あいてなかったら…また考えなければ。
2004.08.14
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盆の入りである。行かないと亡くなった祖母に叱られるので(夢に出てくる)、彼岸と盆は必ず実家に帰ることにしている。夢に出てきて「まだこないの?」と聞かれてしまうので前もって行く日を両親に言っておくのがベストと最近知った。そうやって今回は言っておいたからか。祖母は夢の中に出てこなかった。亡くなってから初めてのことかもしれない。そんなことを思いながら、片割れが仕事を終えて帰ってきてから実家に向かった。今回は、実兄のところへ行くプランを立てねばならない。きちんとそれらのプランに必要な書類を一つ一つ持って出かけた。それにしても、3泊4日で実兄のところへ。…大変、かもしれない。初日は途中で1泊するが、帰りは直帰である。全員が全員、運転できるから問題ないとは思うのだが誰もが疲労すること間違いなしである。休憩場所とかこまめに計画を立てておいたほうがよさそうである。それにしても、実兄たちはのんびり屋だ。地元の人間のほうが詳しいだろうと思っていい宿があったら連絡してくれ、と言っておいたのに今になってもまだ連絡がこない。勝手に決めてもいいのだろうか。そんなことを思いながら助手席で考えをめぐらす。本当に、柚木崎と実兄は似ていない。顔やしゃべり方、息継ぎの仕方は良く似ている。声も多少似ているところがあるらしく、親父様は今でも兄か柚木崎か、名乗らないとどちらか判らないらしい。似ているところは見てくれだけ。性格は見事に似ていない。ここまで似ていないのも面白い、と思うほど似ていない。こういう企画をするのは、柚木崎は嫌いではない。どちらかというと、縁の下の力持ち的に企画をするのは好きだ。実兄は全部他人に任せるタイプである。で、気に入らないと文句だけいう。意見を先に言っておけば考慮されるのにそういうことをしないで、後から文句を垂れるので柚木崎とはいつも大喧嘩になる。今回のことも、前もって連絡を入れておいたのに今を持ってしても連絡がないのでまた揉める一つの種になるのかとわずかながら思ってしまっていたりする。文句があるなら勝手にしろ。そういいたくなるのだが結局は文句をいいながら来るので性質が悪い。それはおいておいて。どうするつもりなのだろう、実兄。連絡してこないが、奴は当日、仕事のはずである。そのあたりどうするのか。休めるのか、休めないのか。早上がりができるならそれを教えて欲しいしそれができないのならどのくらいで仕事が終わるのか。…なんだかやっぱり揉めそうな気配だ。実兄とは余り喧嘩をしたくないのだが。そう重いため息をついたら隣で片割れが心を読んだように話し掛けてきた。「だいじょぶ、きっとなんとかなる。 …おかあさんが間に立つんじゃないかな、きっと」だろうな。きっと。双方の性格をそれなりに把握している人間がきっと間に立ってくれるに違いない。そう希望的楽観主義を、たまには貫いてもいいだろう。うん。
2004.08.13
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気が向いて、今週は片割れにお弁当を作っている。否、気が向いてではない。今週は、職場の半分の人が夏休みとして休暇を取っている。そのため、食事どころがまともな食事を出していないとのこと。それはあまりにもかわいそう過ぎるので朝少しだけ早起きをして、お弁当を作っている。…とはいっても、サンドイッチなのだが。ここのところ、一日おきにとてつもない頭痛に襲われているためそのたびに薬に頼ってしまう。今日も頭痛がひどくなりそうな気配がしたので、少し二度寝をして様子を見ようと思った。ベッドに転がってうとうと始まった頃、なんだか外がうるさいことに気が付いた。サイレンが回っている。それに、どこかで火災報知器が鳴っている。消防車の音がかなりうるさい。数も多いようで、あちらこちらから集結してきているのがわかる。まだ半分以上夢見ごこちの柚木崎は片割れだったら飛び起きて見に行くんだろうなとちょっと観点のずれたことを思っていた。しかし、しばらくそうやって眠りのふちにしがみついていたのだがひときわ大きなサイレンをまわして通り過ぎた消防車の「次の交差点、右に曲がります」の一言で一気に覚醒してしまった。消防車のきた方角から考えて、右に曲がる交差点はいくつもある。が、あまりにも音が近い。それを考えたら、自宅近くの交差点を右である。通り過ぎた後、音が止まったのが余りにも近いことにも気づいた。タオルケットを跳ね飛ばして飛び起きて慌ててベランダに向かった。ベランダ側からなら見える可能性があるのだ。下手をしたら隣かもしれない。そう思ったら、なんだか気持ちが急いた。リビングからカーテン越しに、赤色灯が回っている。背筋がひやりとした。隣の可能性、なくはない。しかも、リビングにきたら火災報知器の音が大きくなったのだ。まさかうちのマンションでは、と冷や汗が出た。が、ベランダに出てみると川向こう、斜めのマンションの最上階から煙が出ている。消防車が10台以上きていて、道を占領している。大きな通りに出るための道は封鎖されていた。こんなになるまで寝ていた自分にびっくりである。まさしく対岸の火事だなあ、と思いながら見ていて、ふと思った。片割れに知らせなくてよいのだろうか?このあたりで、まだ半分脳が寝ているのが判る。一度部屋の中に戻り、携帯電話を握り締めて再びベランダへ。写真を撮って、写真添付で片割れにメールを送った。目の前のマンションが火事だよ~、と。しばらくして返事がきた。「もっとよく見える写真が欲しいから、デジカメで撮って送って」…なんだかなぁ?そういわれてしまったので、持ち歩きようのデジカメを引っ張り出した。これは音声も入るタイプなので、音も聞こえるはずだ。動画で撮るか。そう思って、消火活動の一部始終を動画で撮影した。幸い小火程度で済んだこと、住人はどうやら不在だったようで、怪我人が一人も出なかったことが幸いである。部屋の中が真っ黒になっているのが見える。電力会社の車がきていたから、もしかしたら電気火災かもしれない。大掛かりな消防車の数はなんだったのだろうと思ったが火事の場合、こういうものなのかもしれない。そのことも添えてメールで送った。しばらくして、携帯にメールが届いた。「ちゃんと受信できた。見られたから安心して」…そうじゃないと思うんだがなぁ?対岸の火事。ことわざであるこの言葉。妙に実感してしまった今日の出来事である。
2004.08.12
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久しぶりに、地元の友人に会った。配偶者の実家に行く途中にある柚木崎の家。どうやら配偶者は、仕事を終えてから実家に向かうようだ。この友人に会うのは1年ぶりだろうか。年に一度会うというのが当たっているかもしれない。面白いことに、久しぶりに会っても全く昔と変わらない口調で話し、会うことができる。こういう友人は貴重だと思っている。いつでも、昔の自分に戻れる。これはとても嬉しいことだ。最寄駅に向かう電車に乗った、と連絡がきたので駅まで歩いて向かうことにした。久しぶりに歩いて駅まで行く。緩やかな上り坂を登りながら、どのくらいの時間で到着できるか計ろうとも思ったのだが思わぬところに伏兵はあるもので。そう、ゲーセンである。友人が最寄駅に到着するまで、10分ほど。ゲーセン前に着いたとき、メールを貰ってから6分後。…覗くくらいはできるか?その誘惑には敵わなかった。覗くだけ覗いて、心惹かれる景品がなかったことに落胆。仕方なく、階段を上って気が付いた。そうだ。UFOキャッチャーは上の階だった。下にはそれほど品はない。思い出して、慌てて階段を駆け上った。それにしても暑い。その時点で、すでに8分。見て回ったら間に合わなくなる。が、誘惑に勝てず、見るだけ見て通り過ぎた。一つだけ、気になる景品があった。熱帯魚である。帰りに試していこう。そう決めて、後ろ髪を引かれながらも通り過ぎた。改札口の前で友人は既に待っていた。階段に一番近いところに乗ってドアが開くと同時に飛び出して、階段を駆け下りたのだそうだ。相変わらずだな、と笑いながら友人を見る。なんだかまた痩せてしまった。数年前に大病をしてしまって以来この友人はすっかり肉が落ちてしまって痛々しい姿になった。本人は「痩せて嬉しい」などといっているが柚木崎からすると、あばら骨が数えられるような姿はやはり痛々しいとしか思えない。ちゃんと食べてるか聞くと、食べてると答える。最近太っちゃって困ってるんだ、と笑う顔を見てなんだか余計に心が痛んだ。友人が連れ合いと待ち合わせている時間まで、喫茶店を渡り歩いて、たくさんの話をした。中学のころの同級生の最近の話や共通の友人が結婚した話、子どもが生まれたんじゃないかな、なんて話にもなった。この友人も柚木崎に負けず劣らず子どもが好きだ。が、子どもに対する観念が柚木崎とはずいぶんと違うため、時々不快な思いをすることになるのだが顔に出さないようにできるようになった分、柚木崎は大人になれたのかも、しれない。やはり「おいおい」と思う発言が幾つか出た。義姉にあたる人の子ども、3歳がまだ乳離れしていない話を友人がしたときの話である。母乳を飲んだ感想をその3歳児、「美味しい」とにっこり笑って言うそうなのだ。それを聞いたとき、柚木崎はびっくりした。そこまで乳離れできないってどうなのよ? と。母乳が出る母親も凄いが、まだ飲みつづける子どもって言うのも、凄くないかと。しかし、友人が続けた言葉は違った。「そういう子どもって、あこがれるよね~。 いいと思わない? 母乳で育てる醍醐味があるよね」そ、そういうもの、なのだろう、か?柚木崎には良くわからない。が、なんかとてもおかしいような気分になった。やっぱり、一度は子どもを産む経験をしてみたい、という友人。以前にも「持ってる機能は使わなければ」発言をして柚木崎に思いっきり不快な思いをさせたこの友人は1年経っても相変わらずなようだ。早々にこういった類の話を打ち切って別の話に持っていったのだが、それもどうだったのだろう?いまとなっては良くわからない。が、友人のそういう発言を聞きたくなかったのは事実だ。待ち合わせ時間がきた、とのことで駅改札まで送っていった。その姿が見えなくなるまで見送っていたのだが一度も振り返ることなく、手を振るでもなく去っていった友人。淡白である。それにしても、この脱力感は一体なんだろう。妙に気抜けしてしまったので、柚木崎もこのまま片割れの帰りを待つことにした。片割れと合流後、先ほどのゲーセンに行って熱帯魚を2匹ゲットしてきたのは、また別の話である。
2004.08.11
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浴衣会を、学生時代の友人たちと企画している。友人の一人が、某所で「着付け教室に通う」という話を書いたことからこんな話に発展したのである。浴衣くらいは一人で着られるようになりたい、というその友人の一言に、柚木崎は頭を抱えてしまった。考えてみたら、浴衣、一人で着たことがない。現在、柚木崎は浴衣を5枚持っている。実家に3枚、こちらに2枚。こちらの2枚はゲーセンの戦利品である。最近のゲーセンは本当になんでもある。中国服の上だけなんてのも取った事があるし、パジャマやTシャツも結構取っている。大抵100円で取ってしまうから実際に購入するより断然安いということになる。それはさておき。浴衣、最近きていないなあと思って何年着ていないか指折り数えて愕然とした。5年。…着てなさすぎである。どんな柄の浴衣が実家にあるのかすら、記憶があやふやだ。1枚は少なくとも、明るい青のトロピカル柄だったような…?近所の子に、貸して欲しいと頼まれて貸したこともあるのは確か定番柄の濃紺だったような…。やばい。すっかり忘れている。帯って持っていただろうか?下駄は?…あんれぇ?そんなことを考えていたら、友人から電話が入った。本当に浴衣会をしよう、という企画である。声をかけようと思っているのはあと2人。あんまり大勢になると大変になりそうな予感がある。このくらいが適度だろう、ということで話がまとまった。着られなかったらどうしよう、と笑ったら「大丈夫、着せてあげよう」と頼もしい返事が返ってきた。久しぶりにその友人と話が弾んだ。電話口で笑える話やらボケ突込みやらをしていたら隣で聞いていた片割れが参戦したそうな顔でこちらを見ている。片割れも一度顔合わせをしている友人なので、こんなことをぼそぼそ言ってるとかこんな表情でこんなことを言ってるとか説明したらあちらで大笑いしている声が聞こえたらしい。ますます参戦したそうな顔になった。しばらくそんな感じで話をして電話を切った。声をかけようと思った2人には、柚木崎から連絡をとる。さて、2人とも来てくれるだろうか。いまから楽しみである。それよりも、柚木崎…。自分が着られる浴衣、探しておかねば(^^;
2004.08.10
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片割れは今日から仕事である。柚木崎はまだしばらく休みが続くので羨ましいと嘆きながら仕事に出かけていった。柚木崎的には、まだ休みで助かったと思うところがある。まだ、親知らずが腫れているからだ。一昨日、左上の親知らずを抜いたときの話を書いた。今日は右下親知らずを抜いたときの話だ。もちろん、一筋縄では行かなかった。左上を抜いて2週間後。担当医は嬉しそうに柚木崎にこう告げた。「だいぶ慣れてきたようなので、 今日は下の歯を抜きましょう」いきなりである。心の準備など、もちろんできていない。いきなり今日ですか、と慌てて聞いたら、にっこりと目元が笑みの形になった。口元は大きなマスクで覆われているから見ることができない。が、担当医がとても嬉しそうなのだけはわかった。「善は急げというじゃないですか」何が善なんだ? と聞く暇があらばこそ。またもや歯科助手4人ほどがついてがっちり手足を押さえつけられると強引に口を開けさせられた。最初からそのつもりだったな、とはめられた気分である。麻酔の注射をまた1本だけ打って。しばらくしたら来ますから、とにこやかに担当医が去る。手足を押さえつけていた歯科助手も同じく。左足を抑えていた歯科助手が小さな声で「手荒なことをしてごめんなさい」と呟いていったのがかすかに聞こえた。ほお、手荒なことをしていると自覚しているのかと意地の悪い考えがよぎったが、自覚している人間にそれを言っても仕方がない。10分ほど放置されて、戻ってきた担当医はまたもやいきなり歯を抜こうとし始めた。上の歯よりもしっかり生えている下の歯。そう簡単に麻酔も効かなければ、抜けるはずもない。いきなり口を全開に開けさせられて奥歯を思いっきり揺らされた時にはあまりの痛さにむせこんでしまったのである。「あんれぇ? おかしいなぁ。まだ麻酔効いてないの?」のほほん、と言う担当医に思わず「己は学習というものをしないのか!」と怒ってしまった。痛さのあまり、冷静さを失っていたのは否めない。すると、担当医の目つきが変わった。いうなれば、目が据わったのである。「あなたみたいな患者は初めてですよ」吐き捨てるように言うと、担当医は優男の仮面を脱ぎ捨てた。「麻酔はなかなか効かないし、 いきなり人の指を噛もうとするし (反射で口を閉じそうになっただけである)。 それに、担当の医者にそんな口を叩く患者は初めてだ。 こんな侮辱、受けたことがない!」開いた口がふさがらないと言うのはまさにこのときの状況を言うのだろう。とっさにこう、返しそうになった。「お前、馬鹿だろう?」さすがにかろうじて飲み込んだが辛辣な口を叩くことも多々ある柚木崎、よくこのときは飲み込んだな、と自分でも思う。自分で自分の言葉に激昂し始めた担当医は次から次へと妙な言葉を口走り始めた。ふと周りを見ると他の歯科医師や歯科助手、患者が唖然としてみている。中には明らかに引いている歯科助手もいた。無理もないだろう。ちょっとこの状況は、尋常でない。今まで僕は勉強も良くできて、親にも良く誉められて…そんな言葉をつらつらと並べこんなに偉い僕に見てもらうのに、態度がなっていないだとかもっと僕を、医者を敬うべきだとか訳のわからない言葉を言い出したときにはさすがに同僚の歯科医師もやばいと思ったのだろう。足音高く傍によってきたのに、担当医は気づかない。咳払いをしても、気づかない。最後には、肩を叩いて正気づかせた。はた、と我に返った担当医。慌てて周囲を見回して、冷たい視線に当たると狼狽えてしまった。僕は間違っていないとか、この患者が悪いんだとか言い訳じみたことを言い出したので最後は歯科助手が数名で、宥めすかすようにして抱えて出て行った。…なんだかとても恐い医者である。呆然とその後姿を見送っていたら、咳払いが聞こえた。隣を見ると、年配の歯科医師が立っている。「…今日は私がやりましょう」この際、もうどうでも良くなってしまったのは柚木崎がずぶといからなのだろうか。いまでも良くわからない。担当医から代わった医師は、仕事が丁寧だったと思う。麻酔は効き具合を確かめながら、数本打った。確実に麻酔が効いたのを確かめてから、歯に手をかけた。後に、かなりしっかりと生えていたので4つに歯を割って抜いたのだ、と実際に見せてくれた。口内の処置も良かったらしく、先日のように血の匂いに噎せそうになることもなく終了。しかし、やはり縫うことはなかったようである。何かをつめた感触、何かで覆った感触がある。気持ち悪いからって舌を使って外さないように、と念入りに注意されてしまった。明日また来ることを約束させられ、今回は帰宅。前回、痛み止めをくれといったからか今回は言わずとも強烈な痛み止めが出てきた。それも2錠。もうすぐ麻酔が切れると思います。そう、気の毒そうな顔で歯科助手がこちらを見る。こればかりは体質だから仕方がない。そう諦めています、と笑って帰ってきた。その夜は、コーンポタージュを飲んで(痛み止めで胃が荒れないようにである)、痛み止めを飲んでさっさと寝た。次の朝は、やはり枕にかけたタオルが血まみれになっていた。前の晩と同じようにポタージュを飲んで痛み止めを飲んで出勤。仕事を終えてから歯医者に行くと担当医の姿はどこにも見当たらなかった。昨日処置してくれた医者が消毒をしてくれて、その後しばらく、歯を抜いたあとがふさがるまで、通った。その間、ずっと処置をしてくれていたのは担当医から引き継いだのだろう。右下の歯を抜いた医者だった。今でも時々このことを思い出す。というか、思い出させられる。左側の上、親知らずを抜いたあと。穴がまだふさがっておらず、食べ物が時々落ちる。炎症を起こして腫れてしまうのもこちら側だけだ。右側の下の親知らずを抜いた後は綺麗にふさがって、一度もその後、腫れた事はない。今回みたいに腫れて痛み出すと親知らずを抜いたときの騒動を思い出す。そして、ふと思う。…あのときの担当医…一体どうなったのだろう。彼の行方は、もちろん知らない。それにしても、早く腫れが引いてくれないものか。
2004.08.09
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親知らずの話を書こうと思っていたのだが、予定変更である。Mさんママが尋ねてきて、今日水槽の移動いいだろうかと相談を持ちかけてきたからである。もちろん準備は万端なのでOKしたら、ちびちゃんたちがお昼寝からおきたら来る、との話になった。引越しの準備で忙しく、子どもを寝かせていたらパパもママも一緒に寝てしまったらしい。ママだけ少し早く目が覚めたので大慌てでウチに相談に来たとのこと。似たもの親子が4人で昼寝。想像しただけでなんだかほほえましい。しばらくしたら、チャイムが鳴った。Mさんパパである。「今からいいっすかねぇ?」もちろん、と答えて、手伝いに駆けつける。ちびちゃん2人はまだ半分夢見ごこちの顔をしている。こういう顔を見るのももうすぐなくなる。少し寂しい。なまずの入った水槽の水を抜き始める。ポンプを使って結構早い。S君が声をかけてきた。「お魚さん、どうしたの? どうするの?」ウチでしばらく預かるんだよ、と話すと神妙な顔をしている。引っ越す話は子どもたちにしていない、といっていたMさん。しかし、子どもたちは肌で何かが違うことを感じ取っている。証拠に、最近まで「ウチの子になる」と騒いでいたS君がウチの子になるか? と聞くと半分泣きそうな顔でママにしがみつくようになった。Aちゃんは、今まで柚木崎に触ることがなかったのに抱っこして欲しいとか、遊んで欲しいとかよく話し掛けてくるようになったしぺたぺたと周りをうろついては離れなくなった。言葉にしなくても、子どもはきちんと知っている。なまずの体の高さ程度まで水を抜いてようやく持ち上げられる重さになった水槽。片割れが持ち上げてウチに移動する。Mさんパパがついていく。ドアを開けて、Mさんパパがドアを抑えて。水槽は無事、棚に納まった。パパの後を追いかけてS君がウチに侵入。初めて入るウチの景色に目を丸くしている。そりゃそうだろう。おもちゃになりそうなものがたくさんある。ガンダムやら、ガンダムやら、ガンダムやら、ぬいぐるみやら。ママに呼ばれてS君が慌てて家に戻った。何してきたの、と聞かれて、照れて笑って答えない。きっとびっくりしたのと、初めてウチに入ったのが嬉しかったのだろう。水槽のほかのパーツを持って柚木崎が自宅に戻る。今度はAちゃんがついてきた。ママが慌てて追いかけてきて、ウチに侵入する前に捕まえる。いやだ~、と騒ぐAちゃんを抱えてママが走る。なんだかその景色、笑えてしまった。カルキ抜きしておいた水を入れていってみたのだが、10リットル準備しておいたのも全然足りなかった。仕方がないな、と思っていたら、パパがやってきた。「全部揃いましたよね?」はい、と答えると、水の量を見る。今はカルキ抜き用の薬剤が売っているらしい。それを教えてくれて最後にこれ、となまずの餌をくれた。その後、しばらくSさん一家と話をして買い物に出かける途中のほかの一家も巻き込んでしばらく立ち話。夜7時近くになってようやくみんな、解散した。離れるのは厭だと泣くAちゃんとS君。なんとか宥めてすかして家の中にいれた。いったんウチに戻ってから片割れが一人で買い物に出かける。カルキ抜き薬剤を買いに行ったのだ。今日からウチの住人になったなまずくん。名前は、片割れがS君につけてもらったとのこと。聞いたら、Sくんの名前である。…本当にそれでいいのだろうか。不安になったが、本人がいいといったのだからそれでいいのだろう、と結論付けておしまいにした。今日から、このなまずは駿介である。元気に無事に育てて、いつの日かMさんに返さなければ
2004.08.08
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昨日あたりから、親知らずが痛い。ずいぶん前に半分だけ抜いたのだがまだ残り半分があるため、そこが腫れるようだ。左の上側親知らずと、右の下側親知らず。これを以前、抜いた。もともと柚木崎の親知らずは、外側に斜め45度傾いて生えている。そのせいか、まだ全部生えているようには一見すると見えない。時々腫れては、口がスプーンの厚みほども開かなくなったため覚悟を決めて歯医者に行った。歯医者に行ったこと自体、数年ぶりのことである。駅の近くの歯科医に駆け込み、早速医者に見てもらった。担当になったのはいかにも若い男性歯科医。指が厭に細いのが目に付いた。口をあけて、といわれても開けられないのを見て苦笑する気配と共にかなり強引に口を開かされた。悲鳴をあげたくなるほどの痛み。強情ですね、と笑われてしまったのだがこれだけ腫れてたら親知らずは抜けません、と言われてしまった。腫れが引いたらまた来て下さいねと言われ何の処置もされずにそのときは帰された。痛い思いを数日して、食べられるものは重湯とかコーンポタージュとか液体状のものしか受け付けられない。厳しいなぁと思いながら、腫れが引くまでの数日間を過ごした。何で痩せなかったのだろうと思うくらい食べられなかった。ようやく腫れが引いたのでこんな痛い思いをするのはもうたくさんだと思い、言われたとおり、歯医者に向かった。担当になった若い歯医者は嬉しそうに手をワキワキさせて見せる。なんだかとても厭な予感が走りぬけた。もともと麻酔が効きにくい体質の柚木崎。そのことを前もって伝えていた。しかし、その歯医者は歯科助手からその話をよく聞いていなかったらしい。最初に左上の親知らずから抜くことにしたらしく、麻酔が左奥歯近くに打たれたことが感覚でわかった。注射なれしているから、たいして痛いと思わなかった。そのまましばらく放置され、ひまだなぁ、と待っていたら医者が戻ってきた。…麻酔は、効いている感じが、しない。普通、多少歯を揺らして確認すると思うのだが、医者はいきなり歯を抜くための器具を手に持った。何よりもあせったのは柚木崎である。声をかけようとしたら強引に口を開けさせられた。口の中に器具が入る。……痛い。やっぱり、痛い!まるでプロレスで必殺技をかけられたかのように必死にじたばたと手足を動かして痛みを伝える。医者は無視していたが、歯科助手が黙っていなかった。「先生、もしかしたら麻酔が効いていないんじゃ?」おずおずと彼女が声をかけてくれなかったら柚木崎は痛みのあまり、失神していたかもしれない。そうなの? と医者が器具を外してくれたのでようやく口を利くことができた。利いてません。痛いです。そう伝えると、医者はそう、とだけ言って麻酔をさらに追加した。2本目である。またしばらく放置されて、戻ってきた医者にどう? と聞かれた。まだ感覚がある。そう伝えると、さらに追加された。3本目である。ようやく麻酔が効いてきたので途中になってしまった抜歯が始まった。今度は痛くない。ゴリゴリと何かを動かしている音や、感覚。それが終わったら、口の中に厭なにおいのものが広がった。抜けたようである。その後、縫った気配もなく。何かをつめられて自宅に帰った。麻酔が効かない体質でありながら麻酔が切れやすい体質でもある柚木崎はその旨を受付の歯科助手に伝えてうがい薬と一緒に痛み止めを出してもらうことにした。その考えは大当たりし、処置が終わったのが6時半というのに、7時過ぎにはもうずきずきと痛み出したのである。痛みなどで食事をとることなど当然できず、痛み止めだけ飲んで血のにおいが充満している口の中が気持ち悪いのでうがいを丹念にしたあととっとと眠りに付くことにした。次の朝、目が覚めたら枕にタオルをかけておいて正解だったとしみじみ思った。…血があちらこちらに染み付いていたのである。その日のうちに消毒のためにもう一度医者に行き、傷口がふさがるまで、消毒のために毎日夕方通わねばならなくなった。まさか下の歯を抜くときにもっと悲惨なことになるとは思っても見なかった。…下の歯を抜いたときの話はまた明日にでも。それにしても、以前ほど腫れなくなったとはいえ今でも時々腫れるのは参ったなぁ。
2004.08.07
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昨日から来ている片割れの実家で義母に付き合って買い物に行ったりパチンコにいったりしてきた。久しぶりのパチンコである。片割れは時々、スロットに出かけていたのだが柚木崎は本当に久しぶりのパチンコ。相性の悪いお店なので出ないだろうな、と思っていたのだが今回は驚いたことに大当たりの連荘。二つあけて座っていた女性が身を乗り出して覗き込んでくるほどのあたりである。久しぶりに行って、久しぶりにあたりを出してきた。片割れもそれなりに出たようなのだが義母は全然出なかったので少し不満そう。ギャンブル好きなのだが義父がいると、なかなか言い出せずにいる義母。たまにこうやって行くと、パチンコに行きたいと耳打ちしてくる。そうすると付き合って近くのパチンコ屋に行くのだがそのたびに柚木崎が出なくて義母は大当たりを繰り返すパターンだった。今回は珍しく逆。意外な気分である。夕飯もご馳走になってから片割れの実家から戻ってくると郵便受けに結構な量の郵便物がたまっていた。ほとんどがDMなのだが、中に数枚、暑中見舞いなどが混じっている。そんな中に、一枚封筒がまぎれていた。宛名は柚木崎。郵便物の仕分けをしていた片割れがはい、と手渡してきたので、なんだろうと思った。最近はメールばかりで、アナログな手紙は久しぶりのことだったからだ。差出人の名前を見て、切手を見て。笑みがこぼれた。教育実習に行った際に教えた子からの結婚披露パーティーの手紙だったのである。そんな年になったのか、と感慨深くなった。久しぶりに見る教え子の文字は半分テレが混じっているのと緊張しているのとで文字の間違いが異様に多い。あんまり書き間違いをしない子なのでよほど緊張したと見えて、余計に笑みが広がった。にこにことしていたのだろう。片割れがなになに? と覗き込んできた。もちろん、手紙は片割れにあてての文面もある。読み終わったところで片割れに手渡すと読み進める片割れの顔にも嬉しそうな表情が浮かんできた。ここ最近呼ばれている結婚式は片割れにとってあまり気分の良くない結婚式ばかりだった。だから、余計に嬉しいのかもしれない。やっと心のそこから喜んであげられる結婚披露パーティー。そのことが、とても嬉しいと素直に口にしていた。いろいろと問題を抱えていてたくさん相談を持ちかけてきたこの教え子。とうとう結婚にこぎつけたか、と思うと本当に本当に嬉しい。披露パーティーは9月半ば。きっと綺麗な姿を見せてくれることだろう。今からとても楽しみにしている。ああ、それよりも。先に出席の返事を出さねば。そしてお祝いを買いに行こう。どんなお祝いにしようか、今から悩んでいる。こういう悩みは嬉しいものだ。
2004.08.06
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今日明日は片割れの実家に行く。先日購入したここのロールケーキを持って片割れの実家には行くことにした。持っていったのは白桃ロール。ここのキャラメルモンブランロールは買ったことがありとても美味しかったことから他のものも食べてみようということになった。白桃は初めてである。お裾分け貰おうね、と片割れと話しながら向かった。途中の道はかなりの渋滞。事故渋滞やら日にちの関係やらでトラックが多い。なるべく渋滞を避けていったのだが時間は結構かかってしまった。保冷剤も入れて、クーラーボックスに入れてきたのだが果たして大丈夫だろうか、ケーキ。否、ケーキだけではない。今回はアイスワインも持ってきた。別のサイトで購入したアイスドアップルワイン。とても香りがよく、甘いと評判だったので甘いワインが好きな義母にである。片割れの実家に到着して、義母にクーラーボックスを渡すときょとんとした顔をされてしまった。お土産、と笑うと、嬉しそうに開けてくれる。中にはワインとケーキ。…なんか合わない気がするんだけど? と笑われたがケーキは冷蔵庫にワインは冷凍庫にと姿を消した。今回持っていったワインは、とにかく香りがいいらしい。かなり甘いので、冷やして飲むのがいいと言われている。シャーベット状になるくらいにしてもいい、とのことなので、今回はこの、シャーベット状になるようにしたのである。以前、山形でこのシャーベット状になったワインを飲んだが柚木崎はとても好みだったのを覚えている。だから、試してもらいたいと思ったのだ。ところが、なかなかワインと言うものは凍らないもので。4時間ほど冷凍庫に入れたのだが、瓶は厭になるほど冷たくなったのに、凍ることはなかった。とても残念である。食後に義母の強い「飲みたい」という意向で柚木崎たちもご相伴に預かることになった。コルクをあけると、ふわりと広がる豊かなりんごの香り。これだけでも嬉しくなる。ガラスのグラスを4つ並べて、一つに注いでみる。見事な黄金色。そして、さらに広がるりんごのさわやかで甘い香り。待ちきれなくて、義父がグラスを手にした。ああっ! と叫んで、次のグラスを義母が奪うようにして持っていく。仲の良い夫婦なのだ。柚木崎と片割れはご相伴、ということで、少しだけ。義母と義父にはそれなりの量を注いで軽く乾杯をして口に含んだ。甘い。上等の蜂蜜を口に含んだような甘さ。なのに、鼻に抜ける香りはりんごのさわやかさ。デザートワインとはよく言ったもの。これは本当に、シャーベットにしても美味しいと思われる。柚木崎が香りを堪能していると目の前で義母が一気にグラスを開けた。片割れ一家はお酒にあまり強くない。だから、義母が一気にお酒を呷る姿は初めて見た。くいっと飲んでしまうと、その顔は笑み崩れた。「おいし~い…こういう甘いワイン、お母さん好きなのよね」知っている。だからこそ、買ってきたのだ。喜んでもらえたようでよかった。その後、義父と義母が争うようにしてこのワインをあけ。(そんな姿は初めて見た)二人して顔を真っ赤に染めてソファに崩れてしまった。口当たりがいいから、すいすいと飲めてしまう。それに釣られて飲みすぎてしまったらしい。美味しかった、これはよかった。二人で口々にいっているな、と思ったらすうっと眠りに引き込まれていってしまった。やっぱりお酒に弱い。グラスにわずかのワイン。しかし、片割れも既に顔が赤い。柚木崎だけ平然としているのがなんだか笑えてしまう。グラスを片付けて、食後の片付けもしてしまって。リビングに戻ると、義父はなんとか起き上がった。「あのワインはうまいな。けど、飲みすぎちゃうな」笑いながら着替えると、犬の散歩に出かけていった。義母はまだ眠っている。寝かせて置いてあげよう、と片割れと二人で決めた。1時間ほどして義父が散歩から帰ってきた。まだお母さんは眠ってるのか、と笑うとおきろ、と気持ちよさそうに眠っているのを揺り起こす。まだ眠たげに「なぁに?」と起き上がった義母に「さっき、ケーキもらったろ? 食べよう! 散歩してきたら小腹がすいた」目をきらきらと輝かせながら子どものようにねだる義父。見ていて思わず吹き出してしまった。なにかをいいながら義母は起き上がる。ナイフとまな板、お皿とフォークを用意すると冷蔵庫からロールケーキを出して箱を開ける。開けた瞬間、義母の口から歓声が上がった。綺麗に飾り付けされた白桃が目に入ったのだ。きゃあきゃあと子どものように歓声を上げながら義母がケーキを切り分ける。その声を聞きつけて義父がまた近寄ってくる。自分に切り分けられたケーキを見て「ちょっと多くないか?」と苦笑い。「絶対そういって全部食べちゃうのよ」とさらに苦笑いの義母。「おかあさん、半分こしよう、半分こ」そういいながらケーキを持っていった義父はテレビをつけて食べ始めた。…感想は? と思っていたら最初の一口以降、止まらなくなったらしい。あっという間に平らげると、「お母さん、おかわり」。義母と片割れ、柚木崎。三人で顔を見合わせて笑ってしまった。どちらも好評だったようで、良かった良かった。柚木崎とは微妙に味覚が違うので喜んでもらえたのは本当に嬉しい限りである。これからはこれ、かなぁ?
2004.08.05
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二軒お隣のMさんから水槽を預かることになっている。パパさんのいきなり決まった転勤。大慌てでいろいろと準備をしているのだが、困ったのが引越し屋が引き受けない、熱帯魚のいる水槽。本当に悩みに悩んだ挙句、ウチに貰ってくれないかと相談に来た。しかし、このお宅のちびちゃんたちが生まれたときからずっと見ている鯰(海外物)である。貰ってしまうわけには、いかない。いつか戻ってくるまで預かります、ということになった。その置き場に実は困っている。Mさん宅はマンションの中部屋。東側と西側に全く窓がない。たいしてウチは、東側に窓がある。その分、棚などを置くスペースが、Mさん宅と比べると極端に少ないのだ。散々悩んだが、やっと置き場が決まり、そこに水槽を置くための棚を買いに、今日は出かけた。片割れは以前から、熱帯魚を飼いたかったらしい。水槽を預かる話を、あっという間に一人で決めてしまった。別にそれはいいのだけれど水温のチェックとか面倒だぞ、と少し思う。Mさんパパは結構細かく鯰を飼うのに必要ないろいろなことを教えてくれた。それを聞くと余計に思う。運良くというか、なんというか。預かる魚は草食性。他の熱帯魚も飼えると知って、片割れは大喜びだ。きっと預かったら早速なにかしら入れるんだろうなと想像できてしまうほどのはしゃぎよう。それもまあいいけどね、と思うのは柚木崎が片割れに対して甘いからかもしれない。水槽の重さなどを考えて、購入したのはスチールシェルフになった。自分で作るのが面倒と言えば面倒だが、耐過重が70kg以上必要と言うのとなるとこういうタイプのものになってしまう。ある程度がっちりしたもの、となると。ちょっと前にテレビ台をこのタイプのものに変えたら片割れはかなり気に入ったようで最初からこれしか考えてなかったような節がある。置けるサイズと水槽のサイズを考慮に考慮して。やっと選んだ一つのスチールシェルフ。買える前にやっぱりペットコーナーが見たいということで二人してペットコーナーへと足を運んだ。大々的に売り出しているのは、やはり犬である。人気のチワワなどの小型犬からラブラドールの子犬まで。ガラス越しには子猫もいる。柚木崎は基本的に動物好きなのでどうしても最初にこのコーナーで引っかかる。ここでしばらく見てるから、と伝えると片割れは嬉しそうに魚のコーナーに歩いていった。やっぱり見たかったんだ、ネオンテトラ。ふと視線を感じて目を遣るとガラスゲージの近くに囲いがしてあってその中に綺麗な顔立ちをしたボーダーコリーがいた。少し大きくなりすぎたので、安売りしている。賢そうな目がこちらをみていた。綺麗に色分けされた黒と白。まるで仮面をかぶっているかのようなその顔立ち。かなり長くの間、柚木崎はその子に見惚れていた。やがて一組の夫婦がこの子に近づいた。嬉しそうに尻尾を振って愛想を振り撒く犬。男性のほうは、かなりこの子を気に入っていてどうやら奥さんを説得するために連れてきたようだ。耳に入ってくる話し声を総合すると、そんな感じ。しかし、奥さんのほうはあまり乗り気でなくやはり小型犬の子犬がいいと揉めている。しばらくそうやって揉めていたが折れたのは旦那さんの方だった。とても残念そうに、寂しそうにじゃれ付いてくる犬の頭を撫でて何度も何度も振り返りながらその場を去っていった。その人がいなくなってしまったらボーダーコリーは寂しくなってしまったのだろう。すねたように体を丸めて伏せてしまった。その視線は、またもや柚木崎と合う。傍に座り込むと、鼻先をゲージ越しに押し付けてきた。そんな拗ねた顔をするなよ、と笑いながらその鼻先を撫でていたときのことである。ガツ、ガツと厭な音を立てながら男の子が一人、近づいてきた。何事だろうと目を遣ると自分の体を目隠し代わりに使い子犬や子猫が寝ているガラスゲージのガラスを握りこぶしで殴りながらやってくるのである。薄ら笑いを浮かべたその顔はまだ幼い。その幼い顔に似合わない、厭な感じの薄ら笑いを浮かべて飛び起きたり体を震わせる子犬子猫を見ているのだ。周りの大人が視線を遣ると、何事もなかったかのようにガラスにへばりつく。表情も愛らしい子どものそれに変わる。が、また視線がなくなると薄ら笑いになるのだ。そして、ガツ、ガツと始める。背筋が寒くなった。なんだこの子は?撫でていたボーダーコリーも警戒しているのか、少し手のひらの下の体が固くなった。落ち着かせるように撫でながら、視界の中に薄ら笑いの彼をおさめる。なんか、厭な予感がする。下のほうの子犬には足で蹴りを上のほうの子犬、子猫にはこぶしでまるでいじめるように音を立てては通り過ぎてきた彼が柚木崎が前に座るゲージの脇に来た。見上げる柚木崎と、見下ろす彼。しばしの睨み合い。…何事もなかったかのように通り過ぎて、ボーダーコリーのゲージ越しに、対面した。明らかに警戒しているボーダーコリー。柚木崎も、厭な予感がしたのでコリーから手を離した。伏せたまま落ち着きなく視線をさまよわせるコリー。柚木崎が彼を視界に入れたまま、少し視線をずらした瞬間。ボーダーコリーは痛々しい悲鳴をあげた。視界の端で見てしまった。少し小さめのゲージ。コリーの背中は彼の目の前にあった。柚木崎が視線をわずかにそらしたとき、彼は迷わず薄ら笑いを浮かべてその背中に思いっきり人差し指を突き刺したのだ。悲鳴をあげて飛び起きたボーダーコリーは反射で彼の指に向かって歯を剥き出し噛み付こうと唸り声を立てようとした。が、はっと我に返ったように一瞬でその動きを止めると彼から離れて柚木崎にぴったりと擦り寄り指を突き立てられた背中をなめ始めた。あの悲鳴、かなり痛かったはずだ。彼を見ると、きょとんとした顔をしている。そう、犬が痛がると思っていなかったといわんばかりの表情。ボーダーコリーは彼をにらんでいる。背中の傷をなめながら。その視線はとても鋭く彼を射抜いている。が、彼は呆然としたまま動かない。お前、今この子をいじめたろ?ゲージ越しにそう低く声をかけると、びくりと体を振るわせた。大人の視界をなめるんじゃない。お前の行動は、視界に捉えてみていたと低くいうとおびえたような目つきで見上げてきた。柚木崎が立ち上がったからである。この子が賢い子でよかったと思え。反射で噛み付いていてもおかしくなかった。でも、この子は噛み付かなかった。なんでか判るか?とっさに、噛み付いたらお前が痛いってやめたんだよ。犬だって猫だって、動物全て、痛みを感じる。体にだって心にだって。お前はいま、この子の体と心に痛手を与えた。それを判っているか?そう低い声のまま聞くと、彼は明らかにがたがたと震えだした。口の中でもごもごと訳のわからないことを呟いて慌てたようにその場を逃げ出す。その背中を、ボーダーコリーがずっと見ていた。えらかったなお前、とボーダーコリーの頭を撫でるとまるで「痛かったの」といわんばかりの鳴き声がくぐもった。それにしても。なぜ親が一緒にいないのだろうといつも思う。子ども一人でふらふらと店の中を歩き回る姿をよく見かける。座り込んで絵本を読んでいたり動物たちのゲージの前にへばりついていたりといろいろだが今回のようなこともよく見かける。鎖でつながれたオウムの尾羽をむしる子ども、低めに設置された、上があいたゲージに入ったウサギの子どもの耳を引っ張って悲鳴をあげさせる子ども。なぜ、親は見ていないのだろうか。小さな子どもはすぐどこかに行ってしまう。それはとてもよくわかる。が、これはあまりにもひどすぎはしないか。自分だけじゃなく、ひどいことをされれば誰だって動物だって痛いのだということをきちんと教えてあげて欲しいと思う。可愛いばかりではいけないのだ。
2004.08.04
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昨晩、妹が実家で一緒に食事をしていった。手土産に北海道産メロン一つと巨大なスイカ(パパ製作らしい)、それと親父様の誕生月ということで、日本酒一升。妹と呼んでいるし、ウチの両親も「ウチの子」と公認しているが実際血のつながりは全くない。可愛がっている、昔通っていた塾の後輩である。家も近いと言うほど近くはないのだが柚木崎がいようがいまいが、まめに遊びに来てくれるのが嬉しいらしい。そんな妹の「ウチに亀がいるの」発言を聞いて片割れと共に見に行くことに。本来の目的は髪を切ること。片割れの髪が伸びてきたのと、柚木崎の髪が伸びてきたこと。いいかげん切らないと鬱陶しいということで本来の目的は、髪を切ることなのだが実際、外に放置された風呂桶(なんでそんなものがあるんだか?)の中に亀が2匹入っているのを見て驚いた。一匹はミドリガメが育ったもの、もう一匹は…どう見てもカミツキガメにしか、見えない。「ね? カミツキガメでしょ?」半分諦めたような声で妹が笑う。実家近くを流れる川で発見されて、なぜか発見者が妹の家に持ってきたそうなのだ。持ってこなくても…と妹はぼやいていたが多分、パパは気に入っている。そうでなければこんなところに入ってない(^^;そういえば、妹のところのパパはごつい顔、ごつい体つきの割に心が優しい。捨て猫捨て犬を放置しておくことができず連れ帰り、新たな飼い主が見つかれば気持ちよく引き渡すのだがそうでない子たちは全て飼うという豪快なところがある。そのおかげで、一時は犬が2匹猫が数十匹という大変豪華な家となった。今は猫が15匹ほど、犬はゴールデン(純血らしい)が1匹だが、パパが仕事に行っている間、面倒を見ている妹やママは結構大変だったろうな、と思ってしまう。それにしても……。捨てる神あれば拾う神ありというが、ここまで育てて捨てるのはいかがなものか。愛着というものはないのだろうか。最初は小さくて愛らしいミドリガメ。結構な大きさに育つことは有名だと思うのだが。知らずに飼って、大きくなって邪魔だから捨てるというのはやはり間違っていると思う。ペットを飼うと言うのは、命を育てること。動物にだって心はあるし、命もある。それを『捨てる』という行為は、やっぱり良くない。もともとは亀がいなかった(と思う)川。ましてや、カミツキガメは確実にいなかった、故郷の川。捨てる人の気が知れない。やっとだいぶ綺麗になって、ヤマベは釣れるくらいに戻った川。子どもたちが無邪気に遊べる、天然の鮎が住んでいた昔のような綺麗な川に戻って欲しいといつも見るたび思う。それなのに…心無い人がいるのが悲しい。ここで可愛がってもらえるといいな、と呟いてミドリガメの甲羅を撫でると、ミドリガメは目を細めた。首を引っ込めないのは、一応のご挨拶のつもりなのか。カミツキガメが振り返ったので大慌てで手を遠ざけたがこいつもかわいそうな奴である。捨てた人は、わかってて捨てたんだろうなあ。どこかで憤っていたら、妹に苦笑されてしまった。どっかで新たな飼い主探すか、パパが飼うでしょ、と。本当に、捨てる神あれば拾う神ありだ。でもパパ?あんまり大量にいろんな生き物がいると面倒見るのが大変になるのでほどほどにしてください。そう妹が呟いているのを聞いてしまった。…そういうものだよなあ…。
2004.08.03
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今週は片割れは休みである。柚木崎は昨日から夏休みに突入。有給休暇や代休がないので、長い休みになる。これはこれでとても嬉しいことだ。一月ちょっとの休みは、毎年体と心を休めるのにちょうどいい。上司たちの顔を見るのが厭になるころにちょうどこの休みが来る。リフレッシュしてまた仕事ができる、いい環境である。それはともかく。休みと言うことで、互いの実家に行くことになっている。今日明日は柚木崎の実家だ。とても道が混雑していて、普段なら1時間半ほどでつくはずの実家に3時間以上かけて到着することになった。遅くになるだろうことは予測していてくれていたので助かるがこんなに混雑しているのは実は嬉しくない。かえる明日は少しは空いているといいのだが。柚木崎も片割れも。自分の実家に、一月に一度くらいの割合で帰っている。綜合するとそのくらいになる。これは結構まめだと思うのだが、どうなのだろう?自立して結婚して。それでもなお、実家に一月に一度帰る。まめではないの、だろうか。柚木崎の親に言わせると、それでもまだ足りないと言う。子離れができていない親だなと自分の親ながら思ってしまうのは、薄情なのだろうか。まあ、そのあたりは人それぞれなのだろう。そう思うことにしている。さて、実家に帰ってきたはいいが。パソコンのメンテナンスをしないとなあ。なにしろ、ウチの親たち、何もできないから(笑)そんなことを思いながらパソコンに向かっている。明日は帰る日である。その前に少しでもけりをつけないと。
2004.08.02
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ちび猫が排気口に嵌ってしまったのを発見してから数日が経過した。昨日確認に来てくれた管理人はその姿を確認することができず、やはり足場を使って脱出したのだろう、という結論に達した。排気口の奥は、ファンが回っている。もちろん、空気を外に追い出すためのファンだ。そのファンが送り出してくる空気は予想以上に強くてちび猫が近づけるとは思えない状況だし、そもそもファンが回っている状態でちび猫が近づくとも思えなかった。最悪、死んでしまっていたとしたら。その風の強さでちび猫は見える範囲まで押し出されてくるはず。それもないので、脱出できたのだろうと思うしかなかった。そう、ある意味諦めて。片割れと二人、肩を落としたのは昨日の話。今朝方、ちび猫の鳴き声が聞こえて二人してベッドから飛び起きてしまった。結構勢いがあったのだろう。片割れの枕もとで座り込んでいる熊のぬいぐるみの『こぴち』が勢いよく跳ね上がった。そんなこぴちを他所に、大慌てで片割れが窓を開く。暑そうな日差し、熱気。そんなのに構わず、窓の外を覗き込む。やったぁ! と声があがった。その後ろから柚木崎が覗き込んだときには片割れの視線の先には何も見えなかったが、片割れはとても興奮している。どうした? と聞いたら「ちび猫! 脱出できてた!!」と声をあげる。枕もとでこぴちが跳ねているのは片割れが嬉しさのあまりベッドの上で飛び跳ねているからに他ならない。何でそれが分かる? と聞くと「嬉しそうにてってけて~って歩いてた!!」どうやら片割れは、ちび猫の後姿を目撃したようだ。それを聞いて、柚木崎もやっと喜びがこみ上げてきた。無事に脱出できた。しかも、元気だ。……これ以上、嬉しいことはない。大慌てで朝っぱらなのに、管理人に電話をかける。かかってきた電話に向けてのリダイヤル。管理人は、電話番号を知らないはず、と驚いていたが、ちび猫の無事な姿を確認した、と伝えるととても嬉しそうに笑い声を上げた。「てってけ歩いてましたか」その声も嬉しそうだった。報告したこちらも嬉しい。だから、返事をする声が弾んでしまった。その後。ちび猫は姿をあらわすこともなく。鳴き声もどこからも聞こえず。どこかにいってしまったようだった。朝のあれは、どうやら挨拶に来たらしい。助けてくれてありがとう。気にかけてくれて、ありがとう。そうちび猫はいいにきたのだろう。これからのちび猫の幸運を祈る。
2004.08.01
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