不登校や引きこもり、その他様々な心の悩みを抱える人達へ
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メンタルの強さとコミュニケーション能力です。そして、厄介なことにこの二つは社会人になっても一朝一夕では身につかない。私の経験上、特に福祉はそういう人材が入ってこない業界です。新卒採用で五人に一人、中途採用では十人に一人くらいだと思います。なぜ福祉業界には、管理職の素養を持った人が少ないのか。それは、間違いなく皆さんが「優しく」「責任感が強い」からでしょう。誤解を恐れずに言いますが、バウムの管理職は基本的に優しくないし、責任感は強くありません。本当に優しければ、また本当に責任感が強ければ、自らの未熟さゆえに、部下を苦しませている現状をどうにかしようと、昼夜を問わず自己研さんに勤しんでいるはずです。しかし、実際はそこまで出来ないと理解しているから、多くの職員は管理職にならない。なっても自分がプレッシャーに負けて潰れてしまうと分かるから。しかし、中にはバウムの管理職のように優しくもなければ、責任感の強くない職員が時々現れます。実は、こういう職員が管理職に向いています。理由は簡単。自らの未熟さゆえに、部下を苦しませている現状をどうにかしようと、昼夜問わず自己研さんに「勤しまないから」です。逆に責任感が強すぎると、自分を犠牲にしてでも、他人に尽くそうとします。人は、自分の器を超えて、他人の為に動いてはいけません。「想い」だけでは、すぐに力尽き、心が折れてしまいます。責任感の強い人ほど、自分の器を知らない人が多い。バウムの管理職に、加藤大稀という男がいます。彼は責任感があまり強くない(本人は強いと思っていますが)ので、自分を犠牲に(無理)してでも、部下のためには動きません。動かないから、代わりに動いてくれる職員を育てます。また、彼は優しくない(本人は優しいと思っていますが)ので、部下の話にも涙を流すことはありませんし、一緒に悩みません。その分、いつも笑顔です。楽観的で、口癖は「何とかなると思います」です。そして、言葉とは不思議なもので、結局本当に何とかなってしまいます。加藤という所長の一番の武器は、この「楽観的な頭の中」です。自分の悩みにも他人の痛みにも鈍感な彼は、およそ「人生のどん底」を味わったことがありません。いえ、正確には他人から見たら「人生のどん底」でも、本人からしたら、大した悩みではないのです。社会に出て今年で三年目。上司との関係にも、仕事に関しても、会社の価値観にも、一切悩みません。断っておきますが、だからと言って、彼のこの二年間が順風満帆だったかというと、決してそうではありませんでした。最初に配属された事業所は、新任の所長が指揮する新規事業所。新任所長は恋患いで毎日暗い顔、唯一の先輩にはマックのポテトは勝手に食べられ、着任早々下っ端の洗礼を受けます。さらに、入所するご利用者様は、すぐに入院したり、居なくなったりと全く定着しない。挙句に彼が最初に対応した関係機関は、警察官で、最初に出向いた場所が取調室です。そこから、まさかの深夜勤務開始。帰れない日々が一か月続きます。ようやく所長の恋煩いも終わり、唯一の先輩も異動し、ご利用者様も定着し始めた頃、彼女と別れ、地元の友達も失います。二年目に入り、出世したと思ったら、部下の大クレームでご近所様から呼び出し。それからも、部下からは人格を否定され、散々な社会人生活です。私は、何度も彼が辞表を出す姿を夢に見ました。心配で、そんな夢を見た翌日には必ず声をかけるのですが、相変わらずの笑顔。最近では、異動の辞令を出した時の表情も決して忘れられません。今回の加藤所長への辞令は、決して彼自身が進んで受け入れられるものではないものでした。私は、また余計な心配をして、辞令を発表したときに加藤所長を瞬間的に見てしまいました。ところが、やはり笑顔(さすがに少しひきつっていましたが)です。本当は心の中では私への罵詈雑言が吹き荒れていたと思います。しかし、それを全く出さなかった。彼は、強い男です。この強さ(鈍感さ)こそが、管理職にとって必要です。まだまだ経験がない加藤所長ですが、器の大きさは既に大物です。管理職は能力より、知識より、折れない心が重要。若い彼が、この先もっと経験を積み、普通の人であれば耐えられないような苦難も、いつもの笑顔で乗り越えた時、この会社を背負うような立派な上司になっているでしょう。そして、彼の姿こそが、きっと未来の福祉職員が目指す「あるべき姿」となっているに違いありません。私は、彼の将来をこんなに近い場所から見ていられることを、とても誇りに思います。 理事長 笹谷 寛道
2016.08.24
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