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『いま帰ったよ』
「ああそう、無事で何よりでやんした」
『それがね、家に入ったら、スズメが家の中に紛れ込んでてさ』
「えっ?窓を開けっ放しにしてたの?」
『いいや。どこから入ったのかさっぱり分かんないんだけど』
ハハは野鳥の餌付けが趣味で、毎日庭にコメをばら撒いているので、食い意地の張ったスズメが家の中まで入ってくるというのはありそうな話です。
『でね、一羽はうまく逃がしたんだけど、どうももう一羽いるみたいでさ。鳴き声はするんだけど、どこにいるのか分かんないのよ。お土産も買ってるし、ちょっとウチに来てくれない?』
「2羽も入り込んでたってこと?う~ん、なんでだろう・・・まあいいや、とにかく仕事の帰りにでも寄るから」
いくらなんでも、窓も開けていないのにそんなにスズメが入ってくるなんてことがあるでしょうか。釈然としないまま、電話を切りました。
さて、実家を訪れたのは夜の9時過ぎ。家に入ると、ハハは旅の疲れからか、ソファーで爆睡しておりました。ドアが開いた気配で目を覚まし、眠い目を擦りながら旅の顛末を語り始めます。
するとその時、キッチンから「チュンチュン・・・」と声が。人の声に反応したようです。やはり、ハハの言う通り、どこかにもう一羽います。声のするほうへ向かうと、もう一度鳴き声がしました。なんだか弱弱しい声です。それは、キッチンの出入り口の上にある、配電盤の中から聞こえてきました。
・・・配電盤の中???んなアホなヽ(´ー`)ノ。
椅子を足場にして配電盤を調べてみましたが、中に何かが入り込むような隙間はどこにもありません。しばらく首を捻りましたが、それっきりスズメは鳴かなくなりました。ひょっとしたら配電盤が設置してある壁の近くの天井裏かもしれないと思い、いったんは探すのを諦め、再びハハの土産話の相手をすることに。
しかし・・・確かに声は配電盤から聞こえたのです。気になります。そこで、もう一度状況をよく考えてみることにしました。
配電盤からは無数のケーブルが屋根裏を伝って家中に延びているので、その裏側・・・配電盤が取り付けられた壁には、大きな穴が開いているはずです。もしスズメが屋根裏に迷い込んでいたとしたら、出口を探して彷徨っているうちに、配電盤に通じる壁の穴に落ち込んでしまった可能性も無いわけではありません。
そういうわけで、もう一度椅子に登り、今度は配電盤のカバーを外してみる事にしました。一度も外したことがなかったのでかなりてこずりましたが、ようやくストッパーが外れカバーが跳ね上がった瞬間、中からバサバサと零れ落ちたものがありました。スズメの子です。やっぱり、狭いボックス内で身動きが取れなくなっていたのです!
落っこちた子スズメは、まだ完全に成長しきっていない巣立ち前くらいの大きさで、飛ぶことが出来ませんでした。ハハが家を空けていたのは三日間なので、下手をすれば丸々三日の間、飲まず食わずで灼熱の天井裏を彷徨っていた可能性があります。現に、ひどく衰弱していました。
これは想像ですが、おそらく、軒下のどこかに作られた巣から、何かの拍子で誤って屋根裏の方へ転落してしまい、出られなくなったのだと思われます。先にハハが逃がして飛んでいったスズメは、声を頼りに別ルートで家の中に入り、子供を捜していた母鳥だったのでしょう。
さて、保護したのはいいのですが、どの道このままでは衰弱死してしまいます。野鳥の厄介なところは、犬や猫と違い、ある程度まで大きくなると、決して人の手から餌を食べません。それどころか、人間が善意で保護しても、野鳥にとっては捕食の危機と見分けが付かないため、興奮のあまりショック死することもよくあるのです。
気付けの意味も込めて、砂糖水をスポイトに吸い取って差し出してみたところ、幸いにも大口を開けてスポイトにむしゃぶりついてきたので、ここぞとばかりに水を注ぎ込みました。本来なら飲ませるだけでも一苦労なので、こういう反応を示してくれたことはむしろラッキーです。
何度か水遣りを繰り返すと、子スズメは疲労がピークに達したのか、うつらうつらし始めました。眠りたいのかショック状態なのか見極めが難しいのですが、とりあえず今日出来ることはやったので、あとは無事に一晩越してくれることを信じ、ひとまず自宅に帰ることに。
明日は朝一番で実家に行き、粟とヒエを水で練った流動食を与えてみることにしています。頼むから元気になるんだぞー!(-"-;)
P.S.
・・・残念ながら、やはり一晩経ったら息を引き取っていました。野生の小鳥は、助けることが非常に難しいです(T-T)。もう一日早く発見していれば結果はだいぶ違ったと思うのですが・・・助けてやれなくてごめんね。
いろいろリニューアル 2011.04.13
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