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熊本の伯母
人の世の常だから、いつかはこの日を迎えることになると、覚悟はしていた。しかし、主のいなくなった伯母の家を訪れたとき、ふと、もうここには来る理由がなくなってしまったのだということに気付き、僕は途方に暮れた。今までの半生で、熊本に行くということは、すなわち伯母に会いに行くことだったのだ。
生涯独り身を通し、贅沢とは無縁の質素な生活を送り、丹精込めて庭木を育てるのが好きだった。死の直前まで頭脳明晰で、体を苛む痛みをおくびにも出さず、遠方から見舞いに来た僕や、ずっと付き添って看病疲れの色が濃かった母を最後まで気遣っていた優しい伯母。
僕は、あなたのような人になりたい。
38年間、たくさんの素敵な思い出をありがとう。
またね。
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