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映画評の続きである。 それと、突然ですがこれから一週間ほどお休みします。急遽韓国への旅をする事になったからです。実質滞在日数が5日しか無い(移動にまる2日かかるため)し、正月関係で博物館が休みが多いなど、ただ行くだけの旅になるかもしれませんが、しばらく韓国に行けないかもしれない状態になるということで、初めての「年越し韓国」を体験して来ます。まだ、夏の旅行記が終わっていないのにアレですが(^_^;)、どちらも必ず「いつか」は完結させます。 「妖怪人間ベム」 「副作用で死ぬのは僅かだ。少数の犠牲者は仕方ない。多くの命を救えるならば、私は自らの手を汚してでもやる」(ミチルちゃんのお母さんを殺し、結果怪物化させてしまった製薬会社の専務) 「忘れないで下さい、ここに居るものにも温かい血が流れている事を」(妖怪人間ベム) 中村橋之助演じる製薬会社の専務の言葉は明らかに欺瞞ではあるが、もし本心だとしても、間違った考えである。映画は答えを出していない。作品自体は、ミチルちゃんがあまりにも都合よく2-3回失神したり、警察が子どもにも当たるかもしれないのに発砲するなどリアリティに欠いた完全子ども向け映画ではある。大人が正しい「助言」をして欲しいのであるが、自民党が勝つ様な選挙結果を見ると、「お母さんはかわいそうだったけど、何人も殺したから仕方ないんだよ。専務が助かったのは、やっぱり製薬の仕事は大切な仕事だからかな」などとお父さんが子どもに言いそうで、リアルに怖い。 専務もお母さん(観月ありさ)も、完全悪人でも完全善人でもない。そんな人間を救う価値があるのか。完全善人の妖怪人間たちは悩むのだ。そんな「問いかけ」に、ベロは絶妙な「答え」を出す。 「全ての人間を救う価値はあるのか(もういいじゃない、私たちは人間になろうよ)」(ベラ) 「わかんないよ。オラも幸せになりたいけど、ミチルちゃんには、もっと幸せになって欲しい」(ベロ) 鈴木福くんはつくづく天才だなあと思う。動作や台詞が、計算し尽くした様な間があるのだ。器用貧乏にならなければいいのだが。あ、そうじゃなくて、この台詞の重要性である。確かに全ての人間を救う事はできない。ましてや、人間は善と悪とで出来ているのだ。それでは、私たちは専務の様により効率的に世の中をよくする方を選ぶベキなのか。たとえ犠牲を出してでも。いや、その前にまず「目の前の人間」を幸せにするべきなのだと思う。決して自ではない。もう一人の人間の幸せを考えるべきなのだ。それがたとえ社会全体を変えなければ出来ない事でも。 (解説) 異色のストーリー展開とビジュアルで話題を呼んだ伝説のテレビアニメを、亀梨和也、杏、鈴木福の共演で実写化した人気ドラマ「妖怪人間ベム」の劇場版。醜い容姿ゆえに嫌われながらも、いつの日か人間になることを渇望する妖怪人間ベム、ベラ、ベロの3人が遭遇する史上最強の妖怪との戦いや、ベロの初恋を描く。映画版オリジナルのキャラクターで、人間でありながら妖怪の能力を持つ“人間妖怪”には観月ありさがふんし、本格的な特殊メイクやワイヤーアクションにも挑んでいる。 in TOHOシネマズ岡南 2012年12月16日 ★★★★☆ 「レ・ミゼラブル」 150年前に一つの大河小説が誕生した。それだけならば、よくある話である。しかし、27年前にその話がミュージカルになり、延々と歌い継がれた。その過程で、一個人の小説はギリシャ神話の様な大叙事詩に変貌を遂げていた。その古典化の過程で、映画化という一つのの新たな歴史が加わったようだ。 ギリシャ神話は、超人的な神と人間との葛藤という背景に運命という縦糸が描かれる。しかし、19世紀から21世紀をかけて作られたこの叙事詩は絶対的な神と人間との契約の世界を背景に、人間世界の法と善は両立するか、社会と個人との葛藤を描く。 それを二時間少々で描くのは、普通は無理だ。しかし、歌ならば出来る。ファンテーヌが自らの人生を嘆きながら、同時に普遍的な母親の愛を歌う。ジャルベールが情を法に優先させた自らの行動が理解出来ないのも、歌が全てを抽象化する。革命の複雑な過程は、一つの歌の中で二転三転する。エポニーヌの片想いの歌は、ドラマを離れて普遍的な響きを持つだろう。 舞台は、15年ほど前に東京で観た。ジャルベールはもっとかっこ良く歌い切って沈んでいった。舞台だと、そうならざるを得ない。ラッセル・クロウが呟く様に唄っても絵になるのは映画のいいところである。 そしてラストの映画的「映像」には、ちょっとやられてしまった。年末に至って、こんな映画がやって来るとは。結局今年のBestワンに推したいと思います。 (解説) 文豪ヴィクトル・ユーゴーの小説を基に、世界各国でロングラン上演されてきたミュージカルを映画化。『英国王のスピーチ』でオスカーを受賞したトム・フーパーが監督を務め、貧しさからパンを盗み19年も投獄された男ジャン・バルジャンの波乱に満ちた生涯を描く。主演は、『X-MEN』シリーズのヒュー・ジャックマン。彼を追う警官にオスカー俳優のラッセル・クロウがふんするほか、『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ、『マンマ・ミーア!』のアマンダ・セイフライドら豪華キャストが勢ぞろいする。 スタッフ 監督:トム・フーパー 原作:ヴィクトル・ユーゴー 原作・作曲・脚本:クロード=ミシェル・シェーンベルク 原作・脚本:アラン・ブーブリル 脚本・作詞:ハーバート・クレッツマー 脚本:ウィリアム・ニコルソン 製作:ティム・ビーヴァン / エリック・フェルナー / デブラ・ヘイワード / キャメロン・マッキントッシュ 製作総指揮:ライザ・チェイシン / アンジェラ・モリソン in movix倉敷 2012年12月22日 ★★★★★ 「仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム」 この題名から分かる様に(←わからん、わからん)、約90分で三部構成という贅沢品である。その様にしないと子どもに飽きられちゃうんだろうな。 拠所ない事情で、観た。今年一月のフリーパスポート以来だ。テレビはもっと複雑だった気がするのだが、映画版は実に単純。私でもわかります。「仲間外れにされたから、イジメ返すのは良くないよ」「現実逃避は何も生み出さないばかりか、世界の終わり(!)をも招来するよ」という、子ども映画らしいテーマ。 (解説) 宇宙がテーマの「仮面ライダーフォーゼ」と魔法を駆使して戦う「仮面ライダーウィザード」がタッグを組む、『MOVIE大戦』シリーズ第4弾。原作者、石ノ森章太郎が手掛けた「イナズマン」「美少女仮面ポワトリン」がシリーズの枠を超えて競演を果たす。アクマイザーが仕掛ける人類滅亡の危機に立ち向かうウィザード、ラストバトルとなるフォーゼ、さらにはウィザードとフォーゼが悪と戦う3部で構成。バイク対装甲車など激しいバトルの連続に一瞬たりとも目が離せない。 in movix倉敷 2012年12月23日 ★★★☆☆ 「希望の国」 まだ見ていないのだが、「愛のむきだし」や「冷たい熱帯魚」の衝撃的な映像と比べると、かなり大人しめの映像である。テーマによって、かなり作り方は変える監督なのである。 もちろん、街中を宇宙服を着て生活する妊婦のヒロインの姿は描かれるが、一つも異常なことだとは思えない。福島の現状を私たちはTwitterなどを通じて出来るだけ生の声で接して来たと思う。そういうのと、やはり違和感は無いのである。 そういう意味では、ドキュメントと言ってもいい。しかし、もち彼のフィクションだ。最後のある夫婦の運命は、やり過ぎの面はあると思う(物凄いやり過ぎではない、多かれ少なかれ彼等の気持ちを代弁しているから)。 雪の被災地を「一歩、一歩、一歩、一歩」と歩く恋人たち。 「映画は巨大な質問状である」と云う監督の原発映画第一弾である。 (解説) 主人公の小野泰彦には、日本映画にその足跡を残してきた名バイプレイヤー・夏八木勲。泰彦の妻・智恵子に、『ツィゴイネルワイゼン』を始め、数多くの名演を披露してきた大谷直子。このふたりの熱演が深い感動を呼ぶ。息子の洋一には日本映画に欠かせない俳優・村上淳が扮し、その妻・いずみを園作品の常連・神楽坂恵が演じる。鈴木家の父と母にでんでんと筒井真理子、その息子と恋人に清水優と梶原ひかり。セリフや出番の少ない役柄ながら、園監督の呼び掛けに応えて、伊勢谷友介、吹越満、占部房子、大鶴義丹、田中哲司らが出演しているのも見逃せない。監督 園子温 inシネマクレール 2012年12月26日 ★★★★☆
2012年12月30日
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12月に観た映画は9作品。この月は凄かった。年間Best(レ・ミゼラブル)に出会えたということ。あるアニメのの前振り映像が途轍もない問題作(巨神兵、東京にあらわる)だったという事件が起きた。 きちんと数えると、年間126作品、劇場で観ていたようです。 「人生の特等席」 てっきり監督がクリントだと思って観るのを決めたのだけど、彼の弟子の作品でした。同じテーマ、同じような俳優を使っても「出来上がり」に差がつくということの見事な見本がここにある。 その差は本のちょっとしたことなので、人によってはそれは個性の違いだというかもしれない。けれどもホンモノのピッチャーを持って来たら、てんで打てなかったドラフト一位のバッターのように、私は大きな差だと思う。 主演はクリントだけども、まるでエイミーのための映画になってしまったこともそう。ベタベタの展開はクリントも一緒だけど、何ひとつ驚きがなかったこともそう。その他、あといくつかあるけど言ってもムダだ。弟子のために一生懸命宣伝しているクリントのために言うのを控えよう。 エイミーはいい女優になったね。 (解説) 『ミリオンダラー・ベイビー』『硫黄島からの手紙』など俳優、監督として活躍しているクリント・イーストウッドが、およそ4年ぶりに主演を務めた感動作。17年間イーストウッドからじかに映画制作を学んだロバート・ロレンツが監督を務め、疎遠だった父娘が仕事を通して絆を取り戻していく様子を描き出す。まな娘を演じるのは『ザ・ファイター』のエイミー・アダムス。不器用な父親と、長い間そんな彼を遠くに感じていた娘がたどる再生のドラマが胸を揺さぶる。 in movix倉敷 2012年12月1日 ★★★☆☆ 「エヴァンゲリヲン新劇場版Q」 まあ、分かろうという欲は出さない方が宜しいかと。 けれども、完全置いてけぼりにならないためには、過去の作品は一応観ておいた方が宜しいかと。 なるほど、10年前の劇場版よりはエンタメしている。でも、感想はやっぱり同じになりそうだ。物語が壮大になればなるほど、内に内に篭っちゃうんだね。 本編よりは「巨神兵、東京にあらわる」が衝撃的で、しかもなんと言うこの危険な精神!エヴァよりも、こっちの方が遥かに問題作だった!今年で1番の問題作だったと思う。 神は世界を救わない、むしろ破壊する。(←極めて受動的な世界認識)しかし、自分だけは助かってみせる。(←この利己主義)という映像でした。 in TOHOシネマズ岡南 2012年12月6日 ★★★☆☆ 「スカイフォール」 最後に何時ものタイトルバックを持って来て「ジェイムズ・ボンド リターンズ」と終わらす。曰くありげな秘書と、何故か仲のいいQと、Mとの関係で終わらせて、この三部作はボンドシリーズの最初に繋がるのだ、という主張なのか。 初めてボンドの過去を語り、初めて本格的なロンドンロケを敢行し、初めて明確なボンドガールを持ってこなかった。 スタイリッシュに映像を作るのは踏襲して、それなりに愉しめました。 出演ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、ジュディ・デンチ、ベレニス・マーロウ、ナオミ・ハリス (解説) 007のコードネームを持つイギリスの敏腕諜報(ちょうほう)員、ジェームズ・ボンドの活躍を描くスパイ・アクションのシリーズ第23弾。上司Mとの信頼が揺らぐ事態が発生する中、世界的ネットワークを誇る悪の犯罪組織とボンドが壮絶な戦いを繰り広げる。『007/カジノ・ロワイヤル』からボンドを演じるダニエル・クレイグが続投。監督に『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデス、共演には『ノーカントリー』のハビエル・バルデム、『シンドラーのリスト』のレイフ・ファインズら、そうそうたるメンバーが結集。イスタンブールをはじめ世界各地でロケが行われた美しい映像も見もの。 in movix倉敷 2012年12月8日 ★★★★☆ 「今日、恋をはじめます」 周りは中学生、高校生の女の子ばかりでした。事情があって観たんですけど、恥ずかしかったー(#^.^#)。 初めてのキス、初めての学園祭、初めてのデート、初めての彼、初めての誕生日、初めての男性。高校生の恋のフルコースを、時々背景アニメや効果音楽をふんだんにとり入れながら、笑いを少なめに真面目に真面目に描くストレート映画でした。 (解説) 2007年に連載がスタートし、高い人気を誇った水波風南の漫画を実写化した青春ラブロマンス。勉強ばかりしている生真面目で地味な女子高生と校内一のイケメン男子高校生の恋の行方を、にぎやかに映し出していく。『愛と誠』の武井咲と『ツナグ』の松坂桃李が、まったく正反対な性格・容姿ながらも思いを通わせていくカップルを好演。監督は、『アナザー Another』などの古澤健。『ポテチ』の木村文乃、『渾身 KON-SHIN』の青柳翔、『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』の山崎賢人らの共演も見ものだ。 in movix倉敷 2012年12月9日 ★★★☆☆ 「ホビット 思いがけない冒険」 今回ガンダルフは雄弁である。 「ビルボよ、剣は敵を倒す時ではなく、人を救う時に勇気が試されるのだ」 「サルマンは力には力を、という。けれどもワシには(ホビットの様な)生活の中から出てくる力が必要だと思うのです」 と、まあその様な意味の事を言っていた。その意味では、前作と世界観は一緒なのである。特撮も決して負けてはいない。 しかし、である。 ガンダルフの上から目線の台詞では心に響かない。そもそも、ドワーフ族の復讐戦のための旅なのだ。前作とは、やはりスケールも、テーマも追いつかない。しかし、旅の途中では世界の平和を脅かす影がドラゴンだけではなく、ついて回る。もしかしたら原作をオーバーランして直接「LOTR」に繋げる意図なのか。だから三部作にしているのか?例えそうだとしても、長すぎる。 (解説) 『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のピーター・ジャクソン監督が、同シリーズの60年前を舞台にした小説「ホビットの冒険」の実写化に挑んだアドベンチャー大作。凶悪なドラゴンに占拠されたドワーフの王国を奪還する旅に出たホビット族の青年ビルボや魔法使いガンダルフの一行が、さまざまな戦いを経て強大な力を秘めた指輪と対峙(たいじ)する姿を壮大なスケールで映し出す。ガンダルフにふんするイアン・マッケランやイライジャ・ウッド、ケイト・ブランシェットら、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のキャストとキャラクターも再登場する。 (あらすじ) ホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)は、魔法使いのガンダルフ(イアン・マッケラン)から思わぬ旅の誘いを受ける。それは、ドラゴンに乗っ取られたドワーフの王国を奪取するというものだった。ドワーフの戦士トーリン(リチャード・アーミティッジ)が率いる13人のドワーフたちと、最初の目的地“はなれ山”を目指してワーグ、オークといった怪物や魔術師がひしめく荒野を進んでいくビルボ。そんな中、ゴブリンが巣食うトンネルに入っていった彼は、そこでゴラム(アンディ・サーキス)という醜悪な化け物と出会う。 in TOHOシネマズ岡南 2012年12月16日 ★★★☆☆
2012年12月29日
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「悪の教典」貴志祐介 文春文庫映画を見て面白かったので買って見た。最近では、珍しいことである。蓮実先生、若い頃はいろいろ悪いことをしていたとは思っていたけど、まさか幼少にしてあそこまでとは思わなかった。もしかして、彼が唯一殺すことができなかった憂実との関係が終わらなければ、蓮実にも他の選択肢があったのだろうか。蓮実は、インスタントコーヒーを淹れると、応接用の椅子に座って目を閉じた。映画のようなイメージを脳裏に描きながら計画を細部まで再検討してみる。たぶん、やれる。‥‥‥いや、やれるはずだ。同じことを成功させた人間は、未だかっていないだろう。だが、外部からの侵入者とは違い、校舎の中のことは知悉しているし、マスターキーも使える。最後までやり抜くのに必要な頭脳と体力、精神力も備えている。それでも、さすがに躊躇があった。これまで一度として犯行に億したことはないが、今度ばかりは、やりすぎではないかという気もする。‥‥‥しかし、他に代案がない以上は、やるよりない。(191p)先ず検討したかったのは、蓮実は本当に「完全犯罪」を最初から目論んでいたのか、ということだった。目論んでいた。しかし、躊躇は一瞬したみたいだ。私は映画の感想で「動機も方法も確かに完全犯罪に向かっていた。しかし、どうしてもクラス全員殺すのは、綻びが起きない方がおかしいのではないか。」と書いた。確率からすれば失敗する可能性は10%以上(←蓮実主観を想像)あっただろう。それでも実行してしまうこと自体、精神構造が理解できなかったのであるが、蓮実が自分の犯罪をスポーツに例えていた。普通では危険極まりない直滑降などのスキーをあえて行うスポーツがあるという。スピードと思い切りの良さが、彼の成功を保証しているらしい。この記述で「なるほどね」と思ったのである。自分には理解不能な精神構造を小説という形で追体験するのは、確かに小説や映画の役割であり、エンタメの使命だろう。AKBメンバーに秋元康がこの映画の試写会を強制させたのは、「アイドルとは疑似恋愛の対象である」という信条を持つ彼としては当然だったのかもしれない。メンバーの中でも一際知的で感受性が強い大島優子が「この映画嫌いです」と大泣きしたのは、この作品の本質を1番理解した証左だろうと思う。優子は、センターとしてこの映画の中の蓮実の役割を担わざるを得ない。もちろん、蓮実と正反対に「共感能力」が強い彼女はまるで自分がAKBメンバーを殺したかのような錯覚を覚えたかもしれない。また、後で秋元康の意図も察知しただろう。後でひつこい様に「この映画嫌いです」とブログに書いたのは、「人生をエンタメに徹せよ」という秋元康のメッセージに関して若者らしい「反発」だったのかもしれない。というような、ある事ないことをつらつら思わせてくれるこの小説はやはり見事なエンタメ小説でした。2012年11月29日読了
2012年12月28日
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「AKB48白熱論争」小林よしのり 中森明夫 宇野常寛 濱野智史 幻冬舎新書この前テレビが一ヶ月近く「死んで」いた時、iPhoneでYouTubeを楽しむという事を覚えた。その時に延々と観ていたのは何かと言うと、AKBの映像なのであった。YouTubeというのは、関連映像が次から次へと紹介される仕組みになっている。汲めども、汲めども尽きぬAKB映像によって、私は七年近い彼女たちの歴史はおろか、殆ど見分けがつかなかった選抜メンバー(←これも専門用語ですね)の顔と名前が一致し、SKB、NMBのオーディションからずっと映像で辿るという事までやったのである。この白熱論争は、私の様に中高年になってAKBに嵌った(←私はまだ「押し」があるほど嵌ってはいない)四人組がその魅力と現象を徹底的に語りあった本である。時は、2012年の選抜総選挙直後と指原事件の直後の二回である。こんなに付箋紙が付いた読書も最近では珍しい。共感と反発、発見と惰性、保守と革新、感情と理性が入り混じり私もぐちゃぐちゃになったかもしれない。特に彼らは、AKBを現代若者の宗教的な対象に喩えている。また、何度もその商業性の問題点がある事は認めていながら「仮にそうだとしても」という言い方でスルーしてしまう。しかも、現代日本を変える可能性さえ指摘してあたかも「文明論」まで言及しているかの様に語る。新書の裏には「日本の巨大な無意識を読み解き、日本の公共性と未来を浮き彫りにした稀有な現代文明論」と書いている。しかし、それは全く深められてはいないのである。ただし、刺激は受けた。何よりも、この巨大なムーブメントが現在進行形なのが説得力を持っているからである。12月末、今年のCDシングル売り上げで、二年連続AKBがBest5を独占したというニュースが流れた。選挙の票効果だとしても空恐ろしい。この写真はオリコンから表彰されたときのもの。私のブログ読者で、この顔と名前が全て一致できる人は何人居るだろう!?私はいまならば、25人は一致させる自信がある。以下は私の勝手な「仮説」なのだが、AKB総選挙は若者の現実選挙行動を先取りしているのではないか。今年のAKB総選挙は、大島のセンター交代やSKBなどの新興勢力の下剋上になるのでは?という一部予測があったと、この論者は述べていた。しかし、実際は大きな変化は指原1人のみだった。総選挙は意外にも、保守傾向が強く動いたのである。それは、12月16日に維新が思ったほどには議席数が伸びず、自民党が返り咲いたことの先取りだったのでは無いか。だとすれば、来年の参議院、その前にあるAKB総選挙が注目である。2012年12月8日読了
2012年12月27日
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「えーっ!バイト高校生も有給休暇とれるンだって!」航薫平 フォーラム・Aこの前読んだ本「人生で必要なことは全てマクドナルドから教えてもらった」では、カリスマ店長の熱血仕事ぶりに感心はしつつも、その労務感覚(←彼はエリアマネージャーも経験した幹部)には?を付けることが多かった。それだから、世のバイトは有給休暇も取れない、最低賃金もクリアしない、過労死寸前の名ばかり店長がいても仕方ないとあきらめている、というのは「よくある話」なのかもしれない。昨日(2012.12.25)は「すき屋」のゼンショーがアルバイトの残業代請求を拒否し、団交さえも拒否していた事態を「謝罪」する「和解」があった。何事もアクションを起こさなければ、本来ある権利も勝ち取れないのだ。しかし、ここまではしたくないというのが、多分大半だろうと思う。後書きで筆者は云う。ぼくの目の前の高校生たち、何かあるごとに「どうせ」だとか「しょせん」だとか、すぐに自分を卑下したコトバが出ちゃうんだよね。「確かに、法律は弱い立場の労働者を守ってくれている。でも、法律って使えないしょ。職場での人間関係悪くするぐらいなら、いまのままでいいし」うん。このセリフ、これまで何度きいたことか。(略)「同じ高校生、しかも同じ市内の高2生がそれまでもらえなかった有給休暇をとれるようになったんですよ、と他校で紹介すると、生徒さんたち、目の色が変わるんですよね。同じ高校生が何かしたというのはすごく勇気を与えています」本書・森町司法書士のモデルであるK司法書士が、よく言っておられることだ。(略)本巻所収の3編は、すべてそこで報告された実話がモデルなんだ。(158p)最近はいろんな労働相談の本が出回るようになった。その中でここに紹介されている事例は入門篇に当たるだろう。しかし、類例書との大きな違いは、対象が高校生だということだけではない。非常に実践的なのである。それは、実話がモデルということの強みだろうと思う。「人間関係を壊したくない」というのは、大人のパートからもよく聞く。そのまま使うことはできないが、「解決のヒント」が、この中にあると思う。2012年12月5日読了
2012年12月26日
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「人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった」鴨頭嘉人 新潮社私は最近はマクドナルドのヘビーユーザーである。理由は簡単、安く読書したりモノを書ける処は此処とあと一カ所ぐらいしかないからである。もはや、添加物が云々などとは言ってられない。この伝説的な「最優秀店長」が実践するカスタマーサービス並びに店舗運営には、あらゆるサービス業が傾聴しなければならない事がたくさんある。特に、「そのビジネスが生み出している価値を全従業員が共有出来ているか」とか、「バイトの教育は仕事を教えるのではない、初めての仕事をする彼らに人として社会に貢献出来る大人に成長させること」という「学んだこと」を書いている。これは、大切な視点だと思う。しかし、である。持ち上げて落とすのが、私の書評がよくやる事なのだが、この人の労働感覚はいただけない。鴨頭氏は何度も「自分ひとりが空回りする」ことを自ら諌めているが、本気で反省したのだろうか。自分に大きな仕事を任された時に、就業時間外で仕事をしたこと(つまりサービス残業ですね)を全く悪いことだとは思っていないのである。それどころか「(他のスタッフたちが)休みなのにわざわざ無給で掃除をしに来てくれる人もいました」とサービス残業を奨励している。マクドナルドで相当上まで登りつめた人間がこういう認識では、下の労務意識は追って知るべしである。鴨頭氏は、マクドナルドのマニュアル主義を価値が共有出来ていれば、本当のサービスになると強調する。しかし、私は時々スタッフが切り出す前に「ここで食べます」と言って注文するのだが、三回に一回は何処で食べるか聞いてくるのである。「学校では教えてくれないスキルや、お客様からの感謝の言葉。そして仲間とのかけがえのない思い出。お給料だけでなく、今しか出来ない経験を供給すること。それがクルーとして働いて頂くみなさんへの、私たちの約束です。」と、毎回マクドナルドを食べる時に見える敷き紙に書いている。本当かな~というのが、偽らざる感想である。内容説明涙と感動にあふれたお店こそ、ボクの本当の学校だった――マクドナルドのアルバイト経験者は、これまで実に260万人。ごく普通の高校生でも「輝く人材」に大変身させる「マクドナルド流人材育成術」には、人を「やる気」にさせるための工夫が満載だった。お客様満足度日本一、従業員満足度日本一、売上げ伸び率日本一の「三冠」を達成した「最優秀店長」がその秘密を大公開!2012年11月16日読了
2012年12月25日
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「悪の教典」も「高地戦」も思いも掛けない力作だった。期待していない時に当たると嬉しい。片っ端から観ていて嬉しいのは、こういう時だ。岡山映画祭「アントキノイノチ」瀬々敬久監督トーク付き全国公開時には、何度も見た予告編でラブストーリーだと勘違いして見損なった。どうやらなかなか「重い作品」である、と後で聞き期待して観に行った。重い、重いとみんながいうのでてっきり主人公が最後に自殺するのかと思っていたが、(確かに最後に人は死ぬけど)そんなに重くはなかった。むしろ明るかったと思う。それは後の監督トークでも証明された。「人生を全うしたのだ、としたかった。死を悲しくさせたくなかった」と言っていた。瀬々敬久監督の特徴は手撮りの揺れる映像なのであるが、何故そうなるのか聞いていた。「最近渦中に入って撮りたい、という意識が大きくなった。ど真ん中に入って撮りたい。昔は個人と社会が対立が明確だったが、今はグッチャリしている。今は政治家がえらいと思っている人はほとんどいない。私の故郷は限界集落、分析的な態度はもう取れなくなっている。渦中でのたうち回るという感じ。」それを「当事者性」だと言っていた。プロの映画監督の話を久しぶりに聞けて楽しかった。(解説)親友の命を奪った彼、かけがえのない命を守れなかった彼女。遺品整理という命と向き合う現場で二人は出会った。今、全国でイジメを含めて様々な事件が起こりながら、そのことを深く考えることができない私たち。こんな時代のなかで、映画は生と死という普遍的テーマを若い二人の目線で描きます。生きているかぎり人とつながっていたい!榮倉奈々の好演が光るなか、今回は、日本映画字幕付きバリアフリーでの上映を実現。あらゆる世代に必見の作品。2011年,監督:瀬々敬久,131分,出演:岡田将生、榮倉奈々,製作:松竹2012年11月17日★★★★☆「綱引いちゃった!」女性の団結パワーは食べて、笑って、泣いて。という作品。こういう地産地消(大分県)映画はときどき傑作が生まれるので、チェックはしたが、だいたいは想定内の推移だった。生涯で二回目の試写会に当たった(^-^)/。ホントはもっと褒めたいんだけど、性格なので仕方ない。in movix倉敷2012年11月19日★★★☆☆「悪の教典」大島優子が観ている途中で気分が悪くなり「この映画嫌いです」と「感想(断じて批判ではない)」を述べて退出した作品です。正視に耐えられないような場面はあるが、もちろん退出はそれが理由ではないだろう。蓮実はいわゆる人間性欠落のサイコキラーであり、それが知能指数の高い者に備わればどういうことが起きるか。という作品です。学校の中の人間関係は、秘密を持っている者や、同性愛やセクハラ、憧れや知性、勇気や思いやりが渦巻く小世界であり、それをコントロールしている蓮実は、ある意味AKBセンター大島優子の「分身」(←こんなのAKB大島押しが見たら大変なことになるからナイショね)なので、気分が悪くなったのだと思う。実に正当な評価だと思う。貴志祐介はかつて「青の炎」という作品を書いた。IQの高い高校生が家族を守るために完全犯罪を実行する話だ。この高校生には人間性があり、だからこそ完全犯罪に綻びが出来たのである。いわば日本版の「罪と罰」で私の好きな作品だ。「悪の教典」はその「人間性」をなくせばどうなるのか、追求したのだろう。蓮実は躊躇いが一切無い。だから、多くの殺人は完全犯罪だった。私は性格がもともと擦れているので、気分が悪くならなかったが、蓮実が完全犯罪を狙ったのかどうかだけが、関心の的だった。動機も方法も確かに完全犯罪に向かっていた。しかし、どうしてもクラス全員を殺すのならば、綻びが起きない方がおかしいのではないか。ハスミンは本当に完全犯罪を狙ったのか。狙ったのである。もちろん100%勝算があったわけではないことは、最後でわかった。「ヒミズ」に引き続き染谷将太と二階堂ふみが重要な役どころで出る。今回は2人ともエリート高校生だが、やはり土くさい。上手く育って欲しい。三池監督は、どうして毎年力作を発表出来るのか。「13人の刺客」を観て以降、私の中では欠かせない監督になった。いわゆる「イイコ」の映画を撮らないと決めて、自由になったのかもしれない。しかし、この10年の怒涛の監督の数は凄い。改めて調べると、この四年間だけで9作も撮っているのである。その中には「ヤッターマン」などの漫画実写モノから「一命」などの本格時代劇、「クローズZERO」などの学園暴力モノなど実にバラエティに富んでいる。さて、小説ではどこまでリアリティがあったかわからないが、私はこのサイコキラー、IQ高い高いと言いながら、やはり稚拙に見える。そもそもこの大量殺人は自分の犯した犯罪を糊塗するためだった。しかし、(たとえ失敗した後でもゲームを楽しむバージョンがあったとしても)やはり割に合わないのではないか。「to be continued」という言葉が最後に流れる。これは続編を考えているということではないだろう。監督からのジョークぽいメッセージ(つまり、まだ彼は負けていない)なのだろう。(解説)「黒い家」「青の炎」などで知られる貴志祐介のベストセラー小説を実写化したサスペンス。生徒に慕われる高校教師でありながら、自身の目的のためなら殺人もいとわない狂気の男が繰り広げる凶行の数々を息詰まるタッチで描く。『海猿』シリーズの伊藤英明が、同シリーズとは打って変わって究極の悪人を怪演。『ヒミズ』でベネチア国際映画祭新人俳優賞を受賞した二階堂ふみと染谷将太、『バッテリー』の林遣都らが共演。『クローズZERO』シリーズの三池崇史がメガホンを取り、鮮烈なバイオレンス描写を随所でさく裂させている。in movix倉敷2012年11月22日★★★★☆「高地戦」宣伝は停戦協定から12時間後までの38度戦を決定する戦いについてばかりだったけど、映画の大部分はそこに至るまでの、「戦場の地獄」を描いている。映画は明確に「軍隊批判」である。こういう映画が100億wの巨費で作られ、数ある韓国映画の中で最高の賞を獲るということに韓国社会の健全さを見る。ヨンピョが北の高地戦に送られたのは南の防諜の仕事で「仕方なく共産党に協力した者まで、どうして処分するのか」と、人前で幹部を批判したからだ。そのようなことで、実際に多くの罪ない人が命を落としていたことが、多分最近になって明らかになったようだ。逃げる為に味方を置き去りにする部隊と、その部隊を殲滅して逃げ、秘密を共有する部隊。邪魔になる隊長を射殺する部隊。敵と文通をしてしまう部隊。そこにあるのは、戦争の不条理と、敵味方も同じ人間にだという強烈な「認識」なのである。(最後の戦闘直前で両陣営で図らずも合唱してしまう歌、「あの時は戦争をする理由がはっきりとわかっていたが、長い戦闘の間に忘れてしまった」と言ってしまう北の将校)朝鮮戦争とは何だったのか。まだ終わっていない戦争を60年経ってようやく真正面から見ようとしているのかもしれない。(解説)朝鮮戦争の激戦地を舞台に、停戦協定成立から発効までの12時間に行われた最後の戦闘に参加した兵士たちの姿を描いた戦争映画。韓国国内では大ヒットし、高評価を得た。出演は「トンマッコルへようこそ」のシン・ハギュン、「白夜行 白い闇の中を歩く」のコ・ス。監督は「義兄弟 SECRET REUNION」のチャン・フン。シン・ハギュン:Kang Eun-pyoコ・ス:Kim Soo-hyeokイ・ジェフン:Shin Il-Youngリュ・スンス:Oh Gi-yeongコ・チャンソク:Yang Hyo-samイ・デビッド:Nam Seong-sikチョ・ジヌン:チョン・インギ:パク・ヨンソ:リュ・スンニョン:Hyeon Jeong-yoonキム・オクピン:Cha Tae-kyeonginシネマクレール2012年11月26日★★★★★
2012年12月24日
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11月に観た映画(上)11月は9作観ました。この月は、二作は商業映画では無く、映画祭の作品です。「黄金を抱いて翔べ」今まで観た高村薫原作の映画で、1番高村色がある作品だったと思う。背景とディテールをとことん突き詰める彼女の作風を、脚本をとことん削ることでなんとか実現していたのではないだろうか。単に役者達が頑張ったということもある。チャンミンが思った以上に良い味を出していた。ただ、エンタメ映画として成立させたいのならば(それ以外にこの映画の目的は無いと思うが)、小説ならば行間から分かる彼等の「社会にひと泡吹かせたい」気持ちとか、二重スパイのあいつの生死などをもっと工夫してほしかった。(解説)日本推理サスペンス大賞に輝く高村薫のデビュー小説を、『パッチギ!』シリーズなどの井筒和幸が実写化したクライム・ムービー。万全の警護システムが敷かれた銀行地下金庫からの金塊強奪に挑む男たちと計画の思わぬ行方を、息詰まるタッチで活写する。『悪人』の妻夫木聡、『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』の浅野忠信、『BECK』の桐谷健太、『釣りバカ日誌』シリーズの西田敏行、東方神起のチャンミンなど、豪華な顔ぶれが結集。裏切りや疑心が交錯する物語に加え、計画の推移を綿密に追ったディテールにこだわった描写も必見。in movix倉敷2012年11月4日★★★★☆「のぼうの城」2時間半近くにも及ぶ上映時間が気にならない、かなりの力作でした。知将か愚将かは、問題ではない。視点を変えれば見えるものがある。上から目線では無く、下から目線で見えるものがある。彼は、ただそれだけだったのだろう。野村萬斎が正に「はまり役」でした。この映画の製作が2010年だったということにビックリ。あまりにも大震災津波に酷似している「水攻め」の映像から、公開がおそらくまる一年延びたのだろう。でも、急がなくて良かったかもしれない。観客はみんなゆっくりした気分でみる事が出来た。ただ、一つ気になるのは、彼が「戦い」を決断した本当の理由が良くわからなかったこと。姫のためで無いとしたらなんだったのか。そして、本当にそれで良いと思ったのか。農民を抜けさせるエピソードをまるまる省略したのは、やはり良くなかった(おそらく撮っていた筈だ)。彼の心像風景は説明不足だった。史実をもとに作っているからこそ、訴えるモノがあったと思う。最後の現在の行田市の風景は気になっていたので、大変嬉しかった。(解説)戦国末期、豊臣秀吉、石田三成勢の2万人の大軍に屈せず、たった500名の兵で抗戦、勝利した実在の武将・成田長親の姿を描く時代劇。『ゼロの焦点』の犬童一心と『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』の樋口真嗣が異色のダブル監督に挑み、第29回城戸賞を受賞した和田竜のオリジナル脚本を映像化。“のぼう様”と呼ばれたヒロイックな主人公を野村萬斎が熱演するほか、佐藤浩市、山口智充、成宮寛貴らが城を守る侍大将を演じる。底知れぬ人気で人心を掌握した主人公の魅力や、豊臣・石田軍による水攻めシーンなど、見どころ満載の歴史大作だ。in movix倉敷2012年11月12日★★★★☆「あの日、あの時、愛の記憶」うーむ、外れですね。ゲットーに芽生えたユダヤ人とワルシャワ蜂起抵抗青年との恋と逃避行、というのは目新しくて良いのですが、もっとも大事な処を描かないというのは、やはり良くなかった。そういうこともあったのね、という映画になってしまった。ニューヨークパートは、退屈極まりない。(解説)アウシュヴィッツ収容所から脱走し生き別れた恋人たちが39年後に再会したという驚くべき実 話を、感動の映画に作り上げたのは、監督アンナ・ジャスティスと脚本家パメラ・カッツの女 性二人。 1944年のポーランドと1976年のニューヨーク。蘇るハンナの記憶と、現在のハンナの姿を巧み に交錯させながら、女性ならではの視点で一人の女性の喪失と再生を力強く描きだしていく。 この切ない愛の物語は、戦争によって引き裂かれた恋人たちを描いた『ひまわり』、『シェル ブールの雨傘』などの名作に続く新たなる感動作である。同時に、戦争という特殊な状況下だけの物語ではなく、誰しもが胸に秘める忘れられない恋や、「あの時、もし…」という気持ちを 思い起こす、胸しめつけられる大人のラブストーリーだ。inシネマクレール2012年11月12日★★★☆☆「北のカナリアたち」自殺しようとした男が、顔の汚れを拭われただけでそれを思いとどまる為には、やはり吉永小百合をキャスティングしなくちゃいけなかったのだろうな。同じ原作者でも、監督でこうも内容が変わるものなのか。結局監督が人間を信頼しているかどうかの違いなんだろうか。そりゃラストをあのようにしたことに異議は挟みたくはない。歌う場面だけで全てを語っていたかもしれない。けれどもせっかく集まったあの豪華俳優たちの言葉のやり取りを聞きたかった。特に宮崎あおいと満島ひかりはとうとう一言も言葉をかわさなかった。同じ年の同じ日に生まれた2人の初顔合わせなんだよ!さすが、木村大作。はっとする景色が幾つもあった。(解説)『告白』の原作者である湊かなえの小説「往復書簡」の一編「二十年後の宿題」を、日本を代表する女優・吉永小百合を主演に迎え、『大鹿村騒動記』の阪本順治監督が映画化したヒューマン・サスペンス。20年前に起きた悲劇により引き裂かれた教師と教え子たちがある事件を機に再会し、それぞれが抱える心の傷や真実が明らかになっていくさまを描く。共演には柴田恭兵、里見浩太朗、仲村トオル、森山未來、宮崎あおい、松田龍平など、ベテランから若手まで実力派が勢ぞろいする。in movix倉敷2012年11月15日★★★★☆岡山映画祭 鑑賞 第一弾『ひかりのおと』まだ稚拙である。アフレコ録音は仕方がないが、絵と音がピタリと合っていない。俳優は所々棒読みになっている。自殺を試みた男が半日後に助けてくれた男の人生相談に乗り、なおかつ助言をしている。脚本はまだまだだ。しかし、である。県北の冬の荒寥感とときおり差す温かな光や、ストーブの温もり、朝の光、夜の闇、オール真庭ロケでしかだし得ない県北の空気を見事にだしていた。編集もときおり西川美和監督を彷彿させる見事さを出していた。俳優は一様にまだまだだけど、おばあちゃん役は見事な存在感を出していた。聞くと、プロの俳優2-3人以外は主人公含め地元から採用したらしい。おばあちゃんは、最初ダメでセリフを少なくしたのと、演技指導に気を配ったとのこと。プロはお任せにしたのが私のみるところ悪かったと思う。厳しい酪農の現実もきちんと切り取っていて、好感が持てる。映画と農業の両立はタイヘンだけど、頑張って欲しい。次はなんと!歴史モノ、しかも津山山中一揆をやる予定だと打ち明けてくれた。嬉しい。(解説)2011年,脚本・監督:山崎樹一朗,89分,出演:藤久善友、森衣里その土地と人の営みを見つめる”地産地生“映画岡山 県北、山深きところ。代々酪農を営む狩谷家の長男・雄介は音楽を志し東京で暮らしてきたが、父の怪我をきっかけに家業を手伝うため故郷に戻った。しかし消 えぬ音楽への思いや酪農の現状、恋人との行き違いから、この土地を引き継ぎ、酪農家として生きていくのか迷いを抱えていた・・・。岡山県真庭市で農業を営 む映画作家・山崎樹一郎が若き酪農家の葛藤と未来へのささやかな希望を「土地からの視点」で描いた長編初監督作品。山崎樹一朗(やまさき じゅいちろう) : 1978年大阪出身。岡山県真庭市在住。学生のころ京都国際学生映画祭の企画運営に携わる。大学卒業後、映画監督・佐藤訪米の経営する「祇園みみお」にてスタッフ兼助監督として過ごし、8年間の京都生活を止め父の実家である真庭市に移住。現在トマト農家。農事組合法人ファーモニーズまにわ理事。2012年11月17日★★★☆☆
2012年12月23日
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10月後半に観た映画です。それにしても、アンゲロプロスの追悼特集で9-10月に三本観て、改めてこの作家の仕事の素晴らしさを再確認したのでした。「永遠と一日」老作家は不治の病を得て、入院前の最後の一日を過ごそうとする。ふとしたことから、アルバニアから逃げて来た少年を助ける。老人と少年、妻の過去からの「愛の言葉」、19世紀の詩人が祖国ギリシャに戻り「言葉を買いながら」詩をつくる、「人生は美しい」という老作家。「明日の時の長さは?」「永遠と一日よ」と答える亡き妻。これは私がアンゲロプロスの映画を初めて感動して観た作品だ。あれから13年、その時の記憶は、いかにあやふやでかつ鮮明なものだったかを思い知る2時間になった。アルバニア国境の霧の場面は、最後に来るのだとばかり思っていた。中盤の場面だった。そして、まるで銀河鉄道を思い起こすような深夜のバスの車中の場面は、少なくとも1時間はあるのだと思っていた。10分くらいしかなかった。老作家が一日で、一生を回顧する様に、私はこの映画的体験を「新たな映画的体験」とも言える体験をしたのだと思う。老作家は目の前の少年を見逃しはしなかった。たった1人の少年を助けただけだ。しかし、それが「人間の条件」だと思う。私は、その条件を持っているのだろうか。(解説)詩人の人生最後の一日の心の旅を重厚なタッチで描きだした映像叙情詩。監督・脚本は「ユリシーズの瞳」のギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス。脚本協力は「シテール島の船出」以来アンゲロプロスと組むイタリアの名脚本家トニーノ・グエッラ(「ノスタルジア」)と、ペトロス・マルカリス、ジョルジオ・シルヴァーニ。製作はアンゲロプロス、シルヴァーニ、エリック・ユーマン(「ユリシーズの瞳」、監督作『ジェマ港』)、アメデオ・パガーニ。撮影のヨルゴス・アルバニティス(冬のシーン撮影)とアンドレアス・シナノス(夏のシーン撮影)、音楽のエレニ・カラインドルーはアンゲロプロス作品の常連。美術はヨルゴス・パッツァス。編集はヤニス・ツィツォプロス。録音はニコス・パパディミトリウ。衣裳はヨルゴス・ジアカス、コスタス・ディミトリアディス。出演は「ベルリン 天使の詩」「星の王子さまを探して」のブルーノ・ガンツ、「恋する女」のイザベル・ルノー、実際にアルバニア難民の少年アキレアス・スケヴィス、『親和力』のファビリチィオ・ベンティヴォリオ、「狩人」のニコス・クロウスほか。98年カンヌ映画祭パルム・ドール(大賞)受賞。inシネマクレール2012年10月14日★★★★★「ツナグ」ストーリーは想定通り、しかし感じたことは想定外。ツッコミ所は多い。こんな需要の高い仕事、あんな面接で簡単に引き受けちゃったらちょっと考えただけでも10通りのトラブルを考えることが出来る。つまり、あまりにも都合よく話が回り過ぎる。おばあちゃんも言っていたけど、「ツナグって、仕事は人の人生を引き受けるって事なんだからね」それでも、たとえ出てきた「死んだ人たち」が「記憶の総合体」なんだとしても、「死んだ人たち」は重要な事を私たちに教えてくれた。だから、観て良かったと思う。「死んだ人たち」は死んだ時から決して一歩たりとも変わらない。歩美が気がつく様に「ふと誰かが自分を見ている様に感じることがある。それが自分の行動を律する」のである。柳田國男の祖先崇拝、日本の恥の文化、八百の神、加藤周一の「今=ここ」論、等々に通じる、それは極めて日本らしい「物語」なのではないか。個人的には全部のエピソードにやられてしまいました。作品的には、三つのエピソードが淡々と進むので、盛り上がりに欠けたと思う。しかし、ハリウッド映画の様にしなくて良かったとつくづく思う。「解説」第32回吉川英治文学新人賞に輝く、辻村深月の小説を実写化したファンタジー・ドラマ。死んだ者と生きる者の再会を仲介する使者“ツナグ”の見習いを努める高校生が、さまざまな依頼者の姿を目の当たりにして成長する姿を追う。『王様とボク』などの松坂桃李が主人公の歩美を好演、ツナグの師匠でもある彼の祖母を『わが母の記』の樹木希林が演じ、温かな掛け合いを見せてくれる。人と人のつながり、家族の絆、生死を深く見つめた物語もさることながら、佐藤隆太、桐谷美玲、八千草薫、仲代達矢といった豪華共演陣の顔ぶれも見ものだ。監督・脚本:平川雄一朗in movix倉敷2012年10月18日★★★★☆「エクスペンタブルズ2」たまたま券を手にいれたので観た。前作は観ていない(←またかよ)。単なる傭兵軍団の活躍を描いた作品。一人で主役を張れる役者が少なくとも6人、贅沢な作品なのだが、なのだが…。彼らはいったいなんのために闘っているのだろうか。映画である以上、金とは言わせない。今回はたまたまプルトニウムの流出という危機に立ち向かったのだが、それは偶然そうなったあだけで、彼等のモチベーションがそれで上がった気配はない。国家のためとか、正義のために闘っている「雰囲気」はないのである。「死んだ仲間のための弔い合戦」、そのためにあんなことやこんなことまでするのか?結局、性癖の様に彼らは「闘いたいから闘っている」様に思える。なんだかな~、と思う。プルトニウムをあんな乱暴に扱って、やっぱり米国という国の放射能オンチって奴は!(解説)シルヴェスター・スタローンを筆頭に、アクション・スターが一堂に会した超大作の続編。墜落機からのデータボックス回収を引き受けた傭兵(ようへい)部隊エクスペンダブルズが、それを機に旧ソ連軍の埋蔵プルトニウムをめぐる壮絶な戦いに巻き込まれる。前作に続いての出演となるジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレンらに加え、『最後のブルース・リー/ドラゴンへの道』のチャック・ノリス、『その男 ヴァン・ダム』のジャン=クロード・ヴァン・ダムも参戦。戦車が市街地を砲撃しながら激走するなど、前作を上回る迫力の見せ場が次から次へと現れる。in movix倉敷2012年10月21日★★★☆☆「映画 スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!」たまたま券が手に入ったので、観た。前作は見ていない(←こればっか)画質はテレビとそう変わっていない様に思える。しかし‼なんと子供たちには(大人は貰えない)、カードと頭に着けるお面と、そしてプリキュア達さが決定的にピンチに陥った時に応援出来る特製ペンライトが貰えるのであーる。映画の最初に「ピンチになった時に付けて応援してあげて!」と説明が入る。画面で彼女たちは何度も何度もピンチになって、子供たちが一人ふたりとペンライトを付けているのだけど、なかなかみんなのものになっていかない。いまどきの子供たちはひとりでなかなか判断出来ない。横並び意識があるのである。そして絵本の世界の住人達がなぜか突然ペンライトを持ってプリキュア達を応援し始めるのであーる。その時、約9割の子供たちがペンライトをつける。(←イマイチ盛り上がらなかったなー)その他、最後の歌が始まったら、「みんなで踊ろう」と呼びかけるなど、これは「親子イベント」なんですね。貴重な体験をさせて貰いました。しっかり、春休み映画の予告もしていました。(解説)少女たちが力を合わせて戦う人気テレビアニメのシリーズ第9弾「スマイルプリキュア!」の劇場版。プリキュアたちが絵本の世界をちぐはぐにしようとする魔王と戦い、笑顔を取り戻そうと奮闘する姿を描く。絵本の世界の住人、ニコの声を、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの綾波レイなどで人気の林原めぐみが担当。シンデレラや桃太郎などが登場する絵本の登場人物と共に競演するプリキュアたちの姿が楽しめる。監督:黒田成美脚本:米村正二in movix倉敷2012年10月27日★★★☆☆「終の信託」検察の巧みな調書取りや、草刈民代の抑えながらも堂々とした演技、役所広司の鬼気迫る病人演技、あえてミステリー仕立ては取らずにストレートに作った周防監督の演出意図、見応えがありました。公開二日目とは思えない少ない観客が可哀相です。ただ、彼女は実は正しかったのだと思えない演出は、これを娯楽作品と果たして呼べるかどうか。亀山千広がプロデュースしていたが、全国公開にしたのは、間違いだったのではないか。ミステリーでも、検察告発映画でもない。「こういう場合の尊厳死」をどう考えるか。そういう問いかけだと思う。巧妙にオミットされているのは、家族の視線である。臨床の場で、あんなことまでして家族はどう思ったか。省略する事で、ミステリー仕立ては避け得たが、完全に女医目線の映画になり、かなり座り心地の悪い映画になった。監督は多分それも計算に入れている。しかし、娯楽作品ではない。「何故殺してはいけないのか?生命は尊重されなければならないからだ!」という検察官に対して、「生命を尊重しなければならないのは、人の幸せのためでしょ?幸せにならなければ、どうするのですか!」女医の最後の叫びが重くのしかかる。私はどう答えたら、いいのだろうか。(解説)『それでもボクはやってない』の周防正行監督が、法律家でもある朔立木の小説を実写化したラブストーリー。重度のぜんそく患者と恋に落ち、彼の願いから延命治療を止めた行動を殺人だと検察に追及される女医の姿を見つめる。草刈民代と役所広司が『Shall we ダンス?』からおよそ16年ぶりとなる共演を果たし、愛と死に翻弄(ほんろう)される男女を熱演。また、浅野忠信や大沢たかおが脇を固め、実力派ならではの妙演を披露する。生死を賭した純愛を描くのみならず、終末医療の現場で起きている問題にも踏み込んだ重厚な作品。in movix倉敷2012年10月28日★★★★☆
2012年12月22日
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10月はなんと11作も映画を観ました。実は、映画館ののCMモニターに登録して、月に2-4作品無料で見ることが出来る様になったのです。観る映画は選ぶ事はできないのですが、映画ならばなんでも観たい私にはピッタリです。プリキュアだって喜んで観ました。二回に分けて報告します。「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」監督 長谷川三郎この映画を見ていた10月1日のちょうどその時、世界一危険なオスプレイが世界一危険な 普天間基地に配備された。ゲート前の抗議の、何百人もの座り込みを機動隊で強制排除した上での配備。政府がついに沖縄を切り捨てた瞬間である。しかし、その具体的な状況は遂にほとんどのメデイアは報道しなかった。90歳の報道写真家福島菊次郎は「世のメデイアは5W1Hで記事を書いていれば、それで良しとする」と嫌悪感を露わにした。まるきり、何も変わっていない。YouTubeで確かにメデイアで報道されない事実も知られる様になった。しかし、10分の映像も一枚のプロの写真には叶わない部分がまだまだあるのではないか。そんなことを、私は思った。カメラマンの学校で90歳になろうとしている福島は言う「プライバシーの尊重など守らなければならないことはある。しかし、撮る対象が法律に違反している時には、法律を犯してでも撮らなければならない」若いカメラマンたちは、果たしてどう思ったのだろうか。沖縄の例で言えば、この空間は日米安保条約に基づく米軍提供地域であったために逮捕される恐れもあった。だから座り込みをしていたのは主に白髪の年配の方たちが声を掛け合って最前線で座り込みをしていたのである。それを取材する過程でカメラマンにも累が及ばないという保証はない。しかし、それでもそれを取材するのが、そしてそれを発表するのが本来の報道写真家というものだろう。ヒロシマ被爆者の中村さんに密着した体験に始まり、祝島、三里塚、ウーマンリヴ、安田講堂、水俣、フクシマ、常に反権力の側に自らの立場を鮮明にして入ったからこそ、新聞や週刊誌には撮れない機動隊に殴られる学生、あるいは三里塚の女性、自衛隊基基地の隠し撮り、祝島のおばちゃんたちの笑顔なども撮れたのである。「中立な立場など無い」福島は言うが、報道とは正にそうなのだ。安田講堂占拠までの全共闘運動を全面肯定しているので、私としては全てを良しとするわけではないけれども、「昔は反権力の場にいることは私はできなかった。しかし今はそれが自由に出来る」若者を素直に応援していたのだと思う。年金ももらわず、生活保護も拒否し「最後は孤独死だろう。それは国に殺されたと思ってください」と言っているあたりかなり「カッコイイおじいちゃん」でした。inシネマクレール2012年10月1日★★★★☆「青いソラ白い雲」ともかく金子修介監督の新作を見逃したくなかった。「プライド」も「ばかもの」も後でDVDを観たら傑作で、かなり後悔したからだ。さて、今作が傑作かと言うと、かなり苦しい。主演の森星(もりひかり)はモデル出身の全くの新人で、存在感だけで選ばれたことが明らかだからである。それならば、脇役がきちんと固めればいいのだが、予算のせいか少し無理が出たようだ。しかし、言いたいことはストレートに伝わって来たし、いい意味で肩の力を抜いた作品になっていた。私は好きです。仁科貴は昔から父親似だったけど、年取って無精髭を生やしていたら、また生き返ったんじゃないかというくらい川谷拓三とクリソツになっていた。震災直後の二ヶ月から半年の日本の空気感がよく出ていた。見えない放射能に怯えながら「こういう時勢」というのが頭から離れない。みんな何処かでウソついて、政府が真っ先にウソついて、でもやっぱり助け合いたいと思っている。日本人離れしたリエ役の森星のこれからも注目したい。inシネマクレール2012年10月1日★★★★☆「ハンガーゲーム」米国製「バトルロワイアル」という話だったが、似て非なるものだった。深作欣二監督は、近未来の若者に強制的に擬似戦争を体験させ、それがいかに非人間的なものか、人間が人間でなくなるのかを、映像で見せるというものだった。しかし、この映画の意図はどうやらそんなことではない。ここでは、どうやって「ヒーロー」が生まれるのか、という話になってしまっている。どうしてアメリカ映画というのは、こうなっちゃうんだろ。近未来の社会では、地方の反乱を鎮圧した後、各地区から少年少女2人を選出させ合計24人が最後の1人になるまで殺し合いをさせるゲームを制定していた。「制圧の印に毎年24人を殺すのは簡単だ。何故1人を残すと思う?希望だよ。人間は僅かでも希望があれば生きる。ただし、希望が膨らみすぎてはいけない」思うにこの設定は失敗だ。支配の手段としてハンガーゲームを創出し、全国にテレビ中継するのは、殆ど百害あって一理無しだと私は思う。現にあんな単純な事で黒人地区に暴動が起きたりしている。今まで74回も続いてきたのが奇跡だろう。 その矛盾を糊塗するために、新たな矛盾を作る映画になっている。おやおや。(解説)スーザン・コリンズの小説を映画化し、全米で興行収入4億ドルを越える大ヒットを飛ばした話題作。ある独裁国家を舞台に、生き残りを賭けて戦う“ハンガー・ゲーム”に出場することになった10代の少年少女たちの姿を描く。主演は「ウィンターズ・ボーン」でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたジェニファー・ローレンス。監督はゲイリー・コスジェニファー・ローレンス:Katniss Everdeenジョシュ・ハッチャーソン:Peeta Mellarkリアム・ヘムズワース:Gale Hawthorneウディ・ハレルソン:Haymitch Abernathyエリザベス・バンクス:Effie Trinketレニー・クラヴィッツ:Cinnaスタンリー・トゥッチ:Caesar Flickermanドナルド・サザーランド:President Snowin movix倉敷2012年10月4日★★★☆☆「アウトレイジ ビヨンド」たまたま券が手に入ったので観た。前作は観ていない。みんな悪人というのは、確かにその通りなんだけど、明らかに大友(北野武)に感情移入する様に作られている。なんだ、いつものたけし映画じゃないか。それと構造は健さんのヤクザ映画と同じ、ガマンにガマンを重ねて、やがて大友が少し捻くれて「爆発」する。まあ、いいけどね。顔のアップが多く、役者の悪人顔を愉しむ、そんな映画なのだろう。(解説)世界中から熱い注目を浴びる北野武監督が、巨大暴力団組織の内部抗争をバイオレンス描写たっぷりに描いた『アウトレイジ』の続編。前作で死んだはずの元山王会大友組組長・大友がまさかの復活を果たし、関東と関西の二大暴力団の抗争に組織壊滅を図る警察の思惑が絡み合い、その渦中に大友が巻き込まれていく。前作から続投するビートたけし、三浦友和、加瀬亮、小日向文世らをはじめ、新たに登場する西田敏行、高橋克典、新井浩文、塩見三省、中尾彬らの悪人ぶりが見もの。in movix倉敷2012年10月7日★★★☆☆「るろうに剣心」人斬り抜刀斎として生きた10年前を否定し、人を切れない刀を持ち歩く緋村剣心。剣(武力)は、人を殺す以外に役立てる道はあるのか。1人の青年の魂の旅が始まる。最後まで遂に人を殺さずに終わらした作り方に憲法9条の精神を見た。多分早送りを利用したスピード感あふれる殺陣は、同じくスピードが命の刺客を描いた「あずみ」では、描けなかった男の戦いならではの見事な死闘をきちんと描いていた。剣心と相楽の戦いの場面が、倉敷美観地区が使われていた。普段は明るい柳堀が、夜の照明を使っているとはいえ、あそこまで江戸時代になるとは、映画マジックをつくづく感じた。漫画のイメージをほぼ踏襲して、ツッコミ処はたくさんあったが普通にいい感じのエンタメでした。(解説)優しい笑顔と、人を思いやる心。少年のような華奢な身体に長い髪。そんな男が、人を助けるために立ち上がるとき、眼光鋭く一変する。神より速く、修羅より強く、一対多数の戦いも瞬時に制す。けれど相手がどんな悪人でも、自ら立てた〈不殺(ころさず)の誓い〉に従って、決して命を奪いはしない――大ベストセラーコミック、和月伸宏の「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」(集英社刊)、ついに初の実写映画化が実現した。大友啓史佐藤健、武井咲、吉川晃司、蒼井優in movix倉敷2012年10月10日★★★★☆「最強のふたり」事故で全身麻痺となり車いす生活を送る富豪フィリップは、介護士面接にやってきて、開口一番「不採用のサインをくれ」と切りだした場違いな黒人青年ドリスを採用する。大富豪とスラムヤング、クラシックとソウル、高級スーツとスウェット、文学的な会話と下ネタ──。全てにわたり二人の世界は衝突し続けるが、やがて互いを受け入れ、とんでもないユーモアに富んだ最強の友情が生まれ始める。と、いう話であることは事前に聞いていたし、予告編でもある程度わかっていた。でも退屈しなかった、ということは、それなりに丁寧な作品だったということなのだろう。エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ監督出演者 フランソワ・クリュゼ、オマール・シーin TOHOシネマズ岡南2012年10月11日★★★☆☆
2012年12月21日
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「2033年地図で読む未来世界」ヴィルジニー・レッソン 早川書房2033年は遠い将来ではない。私より若い知り合いはほとんど生き残っているだろうし、私も生きている可能性がある。その時ドイツも日本も10%以上人口が減少する県が多発し、高齢化人口を支える力がなくなっていく。社会保障の問題は深刻だと心配してくれている。正直、あまり詳しくは読んでいない。原発エネルギーや原発での環境破壊が完全に頭から飛んでいることに幻滅を覚えた、ということもあるし、資源枯渇、水問題、移民等々、アメリカの問題意識が主流をなしていて、みていて面白くなかったということもある。ただ、置いといて、時々見返すにはいい本である。2012年11月24日読了
2012年12月20日
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川添誠さんが昨日この様にツイートしていた。社会運動の側の候補が負けた要因をあれこれと語る人へ。あなたが評論家でいるならば、そのままでいい。ただ、そうでなくて、社会運動の側に立つというならば、あなたがどのように支持を拡大する努力をしたのかがひとつひとつ問われる。それはその通りだと思う。私も、ささやかながら努力した事はした。途中、僕ってダメだなと思いながら。だから、以下縷々と今回の選挙結果を分析し、課題と展望を書こうと思うけど、それは私に跳ね返って来る。それを覚悟しながら書きたいと思う。岡山県学習協議会の長久さんがこの三回の国勢選挙の中国区の比例票の動きをまとめてくれた。それを見て見えるものがある。以下コピーする。投票率が違うので単純にはいえませんが, 「中国5県・比例得票数」メモです。カッコ内は得票率。【自民党】2005年1,537,080票(約36%)→2009年1,388,451票(32.4%)→2012年1,200,400票(34.5%)。【民主党】2005年1,196,971票(約28%)→2009年1,704,242票(39.7%)→2012年570,764票(16.3%)。民主党の今回の落ち込みがいかに凄まじいか。【公明党】2005年658,702票(約15%)→2009年555,552票(13.0%)→2012年493,800票(14.1%)。公明党も票数は減らしています。得票率もほぼ横ばいです。 【共産党】2005年247,073票(約5%)→2009年244,761票(5.7%)→2012年174,648票(5.0%)。共産党の票数は、今回落ち込みました。得票率は5%台です。 【社民党】2005年215,636票(約5%)→2009年156,291票(3.6%)→2012年68,653票(2.0%)社民党はも大きく減らしています。【国民新党】2005年330,546票(約7% 以下は、今回の新党の得票です。【維新の会】622,226票(17.7%)。【みんなの党】209,627票(6.0%)。【未来の党】 141,360票(4.0%)。維新の60万をこえる票(2議席)は驚きです。そして結果はこうでした。()は小選挙区で獲得した議席。自民党5(16)、民主党2、公明党2、共産党0、社民党0、国民新党0(1)、維新の会2(1)、みんなの党0、未来の党0実際の議席数では無く、比例票を見ると、今回の「民意」がどの様に動いたのか見える気がする。自公の票はほとんど増えていない。民主党は前回12%増やし、今回23%も減らしているのである。これが大きかった。その票はわずかに自公に行き、多くは新党、その多くは維新の会に行ったのである。湯浅誠が「青い鳥探し」だと言った通りの事が起きた。「現実には存在しない「青い鳥」を探し続けても、それは見つからない。「いまあるもの」への不信感をテコに「次」を探し求めるサイクルそのものを対象化、相対化しない限り、橋下さんが失脚したとしても、ネクスト橋下が出てくるだけです。橋下さん自身が、ネクスト小泉であり、ネクスト民主党なわけです。しかしそれは単純な繰り返しではない。すでに多くの人が指摘しているように、日本には「待ったなし」の課題が山積みしています。にもかかわらず「ないものねだり」の水戸黄門探し、青い鳥探しが続き、こいつがダメ、あいつじゃないか、やっぱりそいつもダメ、という非生産的なサイクルを繰り返していれば、症状はどんどん深刻化していきます。」(「ヒーローを待っていても、世界は変わらない」)次は自民党はさらに日本を壊すだろう。だから、このままでは、次は維新の会に行くと思う。そしてさらに日本を壊す。湯浅誠はそのための特別な処方箋はない、壊された労働環境や社会保障を改善し、みんなが社会の事を話し合える「時間と空間」を確保しなくてはならない。と言います。要は、電話をかけても政策を聞く一分を聞く時間が惜しい、「もっと手っ取り早く処方箋を教えてくれ」「テレビがそういうのだから、確かなんだろ」と云う人たちが変わらない限り、ネクスト「維新の会」が生まれるだけの話なのです。手っ取り早い処方箋はない。その事をしっかり一人一人と話していくしかない。加藤周一は、日本には小さな「護憲・軍拡反対・民主主義を守る」グループは無数にある。そこに希望を持っていました。いいところは、無数にあるから潰されない。しかし、弱点は横の連絡が無くて政治的影響力を及ぼすことが限られている。と言っていました。ならば、地道に広げるしかない。今回、インターネットの世界は国勢に影響力がまだない事は明らかになりました。インターネットは大事です。これがあったから、脱原発は自民党でさえ無視出来なくなった。しかし、インターネットだけではダメだ。9条の会、学習者協議会、平和委員会、映画を語る会、労働組合、私の入っている「小さなサークル」はこんなものですが、その中でも「語っていく事」、特に横の連絡を持って政治を変えなければ変わらない事を語っていく事を意識的追求して行きたい。日本が壊れる前に。蛇足。「テレビを見ない様にしよう」運動は出来ないものだろうか。せめて「朝のテレビは見ない様にしよう」とか。一ヶ月半テレビを見ないで、久しぶりに朝の番組を見て思ったのは、実に巧妙に世論誘導をしているという事。コメンテーターの「現実的なマニュフェストを出して欲しいね」という一言、自民党か民主党か第三極か、それしか選択肢がないかのようにどの局も作ってゆくマスコミの「連帯」、一時間見ただけでもうもう見たくなくなりました。あれを一日浴びる様にみたら、全国民が洗脳されても当たり前です。でも、もうテレビの無い生活は出来なくなっている。それもわかります。だから、朝の番組だけは避けて欲しい。
2012年12月18日
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「いま考えなければならないこと 原発と震災後をみすえて」加藤周一 凡人会 岩波ブックレット2000年12月16日、今から12年前に加藤周一は、まるで現代の今日の日に遺言を残すかの様に対談を行っていた。原発を推し進め、震災後の日本人を切り捨てる自民党が大勝する日を見越した様に、我々に警告を与え、目を見開かせ、励ます言葉を残してくれた。この薄いパンフレットを16日に読んだのは、なんの偶然なのだろう。ここで加藤のいう原発事故と震災とは、99年の東海村JCO事故と阪神・淡路大震災のことである。日朝・日中関係は12年前の懸念がそのまま進んでいたことを示している。「いま考えなければならないこと」「そのためにどうすればいいか、それは老人の私の仕事ではなくて、皆さんが考えることじゃないでしょうか」という。がっかりなんてしていられない。加藤さんは「科学は絶対に確かな方法ではなくて、他の方法と比較して相対的に最も信頼できる方法です。むしろ科学の特徴は、知識に関して「絶対」という言葉を使わないことにあります」と言います。そんなこんなもあり、(12年前に)原発の「安全神話」を喝破します。そして「唯一の被爆国と原発先進国ということは折り合わない」と言います。また震災に対しても、「(ボランティアなどの)行動が他方にあり、もう一方には、行政の無能力さを露呈した。中央政府も地方自治体も反応が遅かった。そして、驚くべきことは、誰も行政的責任をとらないことです」というのです。今回も原発はもちろん、震災の多くの犠牲に「行政的責任」を誰か取ったということを私は寡聞にして聞きません。(←自民党の首相就任演説が楽しみだ)2000年に朝鮮半島では南北首脳会談が行われ、加藤は大いに評価した後こう云う。「問題は日本ですよ。分断国家になった一因は日本が起こした戦争や植民地支配にあるわけですからね。しかし政府には何の見識もない」(←安倍や石原はおそらくそんな「見識」毛ほども持っていない。しかし、これは価値認識ではなく、事実認識の問題である。その事を証明するのは、我々の「戦争責任」なのだろう。多分そのために私はハングルを習い、何度も韓国内を旅行している)中国情勢への懸念はもっと鋭い。ブッシュの対中国強硬路線は、日本を巻き込めば(実際巻き込んだが)、緊張関係の悪循環に陥るだろうと警告している。「その悪化は、日本が将来において取り得る外交的選択の幅、可能性を狭くします。中国との関係は、改善できる可能性の道を、アメリカに頼らず、独自に開けておく必要がある」その可能性はますます狭くなったけども。最後に対談相手の凡人会に対してという形で、2004年の9条の会の「戦略」が既にこの時点で明確になっていたことを証明する挨拶で終わる。長いので、実際手に取って読んで欲しい(そもそも薄いので立ち読みで十分読める)。日本には小さな「護憲・軍拡反対・民主主義を守る」グループは無数にある。いいところは、無数にあるから潰されない。しかし、弱点は横の連絡が無くて政治的影響力を及ぼすことが限られている。というのである。(←これをある程度克服したのが9条の会)パソコンやインターネットの情報交換と意見交換の力を既に言及していることにも注目したい。意見を一つにまとめる必要はない。「しかし、未来をつくるためには、一つ一つが小さくても、全体として大きな流れにならなくてはならない。少数意見がいつかある時、多数意見にとって変わる。社会が変わる。それが民主主義のいいところでしょう」「現在の若い人たちの少数意見がどう社会に反映し、未来をつくっていくか、私は大いに期待しています。」2012年12月16日読了
2012年12月17日
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戦後の大きな曲がり角になるかもしれない選挙結果は、聞かなくても明日になれば嫌というほど見せつけられる。今日は昼からテレビを見ていません。寝よう、寝よう、今はぐっすり眠ろう。「あなたの人生を変える睡眠の法則」菅原洋平 自由国民社非常に参考になった。後は実践次第ですね。内容はまとめに書いている「 起床から4時間以内に光を見て、6時間後に目を閉じ、11時間後に姿勢を良くする」だけではなかった。思った以上に科学的であり、具体的だった。特に、「眠気が出る時間より前に目を閉じる」とか、「時間通りに目覚めさせる」とか、夕方の体温を上げる運動とか、「イライラの時の単純作業」とか、眠る時の前頭葉を休ませるコツとか、実践して行きたいと思う。2012年11月25日読了【後記】私は実は眠り姫ならぬ眠り殿なんです。しょっちゅう「居眠り」している。読んでから約三週間、意識的に上の事を実践(意思の弱い私なのでいつもではない)したら、半減したという実感があります。
2012年12月16日
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明日は衆議院選挙。こんな所で訴えても影響力持たないけど、憲法を変えて戦争が出来る国にして行こうと、かつてなく訴えている自民党や維新の会やみんなの党、改憲を是とする民主や公明、明日の結果次第では戦後日本の「エポック」となるだろう衆議院選挙。私は今度の選挙で、小選挙区、比例区ともに共産党に票を入れます。原発ゼロ、反消費税、反TPP、護憲で最も明確な党だからです。「議席にならない死に票をいれるべきでない」という声があります。特に小選挙区はそうです。しかし、岡山四区は自民、民主、維新の誰にも託せないのは明らかです。ましてや、比例区は最後の一議席を共産党と維新で争っているらしい。私は「批判票」の数が最も「効く」政党は共産党だと思います。決して「死に票」ではない。死に票というのは、一つもない、と私は思います。例えば、自民党が何故戦後50年も一党支配ができたのか。議席数だけではなく、票の動きを常に注意を払って、議席を失う前に、党方針をかなぐり捨て妥協案を出してきたからです。反対政党の伸びは必ず報われる。 さて、今日紹介するのは、関係ある様な無い様なこの本。「99%対1% アメリカ格差ウォーズ」町山智浩 講談社前に読んだ本「USAカニバケツ」は、タブロイド版のアメリカ世相レポートだったけど、これはタブロイド版アかメリカ政治レポートである。アメリカに暮らす著者にとって「政治」は日本の我々の生活と同じ様に、テレビのコメンテーターによって見聞きする「情報」なのだろう。だから、それを再現させることは、我々が時折不思議に思うアメリカの「現実」を理解する上では有効なレポートになるだろう。なぜアメリカはオバマの医療保険化をあそこまで憎むことができたのかは、理屈ではなく、コメンテーターに充分扇動された面があることがわかる。そしてアメリカで起こっていることがいかに日本でも同じ様に起こっているか。例えば、ティーパーティー(保守派のロビイストの運動)はオバマの増税政策を「政府が史上最大の財政赤字を抱えている時に、国民に増税して支出を増やす政権を容認出来ない」と批判するけど、この赤字を作り出したのはブッシュである。しかも、増税の対象は富裕層のみ。批判の仕方が日本の自民党とよく似ているのである。まるで自民党が共産党の大企業や富裕層増税を非現実的だと批判するが如し。ティーパーティーも、メデイアと大企業が作った。日本でも隠れてよく見えない(原発では、たまたまそれがよく見えただけ)けど、メデイアと大企業が世論を作るのである。金持ち減税延長反対のために、8時間半の長い演説を行った二大政党に属さない議員の存在は、日本でも何かできるのではないかという気にさせるのである。(これと同じテーマを扱ったのが映画「スミス都に行く」(1939)だということを初めて知った)この本は1%のティーパーティーを報告することは熱心でも99%のオキュパイ運動を報告することは熱心ではなかった。2012年前半の状況を伝えて欲しかった。2012年11月22日読了
2012年12月15日
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「USAカニバケツ 超大国の三面記事的真実」町山智浩 ちくま文庫町山智浩を知ったのは、たまたま彼が去年のイチオシテレビドラマ「カーネーション」を褒めていると聞いたからである。それで意識して彼の映画評を読んでみると、かなり私の好みと一致することが分かった。どうやら、長い間米国暮らしだったらしい。米国事情に精通していながら、米国を批判的に見る視点を早くから持っていたということを、この本で確認したのである。やっと正統ジャーナリストから堤実香、サブカルチャーからこの町山智浩がその視点を持つ人間として出てきた。遅すぎる感もするが、先ずは祝着。特にこの本は、いわゆるタブロイド紙から見える一般アメリカ人の真実を書いている。つまり、アメリカンドリームなんて、例外どころか、ドリームを掴みそうな人間を引きずり降ろすような人間がうじゃうじゃしているのがアメリカなのだ、という「現実」を現場の人間だからこそ言っているわけである。たくさんのカニをバケツにいれておくと、フタをしなくても逃げないという。一匹がバケツから逃げようとすると他のカニに引きずり降ろされるからだ。このカニバケツの話は、突出するものを許さない日本社会のたとえによく使われる。けれども実は、Crab bucket syndrome としてアメリカでも知られている言葉なのだ。(12p)
2012年12月14日
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最近「エヴァンゲリヲン新劇場版Q」を観た時、その直前に「巨神兵、東京に現る」という短編が流れた。これが衝撃的だった。本編よりもこちらが遥かに問題作だった!神は世界を救わない、むしろ破壊する。(←極めて受動的な世界認識)しかし、自分だけは助かってみせる。(←この利己主義)という作品だった。それは、まるで橋下現象を分析した湯浅誠の「水戸黄門」型民主主義を想起させた。このエヴァが大ヒットしている世界で、対話型民主主義を実践する湯浅誠の活動は、それなりに意義のある仕事なのである。「ヒーローを待っていても、世界は変わらない」湯浅誠 朝日新聞出版最新の湯浅誠の「運動論」のパンフレットである。例によって、「話ことばで」しかし「理詰めで」、橋下現象だけでは終わらない水戸黄門型民主主義よりも、対話型民主主義を選ぶ彼の「決意」が語られる。引用と要約によって、ざっと内容を概観してみたい。最後の最後では、私は楽観している。日本社会の底力を信じているのだろう。しかし短期では、強い危機感を持っている。だから短期と長期の二正面作戦が必要だ。(3p)湯浅誠は討論番組で「話し合う言葉が見つからない」経験をしたという。相手が「蛸壺化」「ガラパゴス化」しているのである。切り捨てても何も変わらない。その人たちに通じる言葉を見つけ出して行くのが私の仕事。(12p)障害者の兄の補助金(「既得権益」)を奪って、「正義」を行った気になっても、現実の収支は母や私、またそれを介した人々の諸活動の収支と深く結びついている。結果、惜しんで削った分の何十倍か何百倍かの活力と富を、社会は失う事になる。(41p)民主主義はめんどくさい。最近増えているのは「お上に上申」型民主主義。「私たちは言いたいことを言いたいように言わせてもらう。それをよく聞いて下さい。判断はあなたに任せます。私を裏切らないと信じています」という考え。「水戸黄門」型民主主義。選挙で選ばれた、王制・貴族制に近い。それに「待っていられない」という焦りが加わる。「ガラガラポン欲求」議会政治はダメだ、政党政治はもうダメと壊していった時に、それよりマシなものが出てきたことがない、というのも歴史的な事実です。(略)「壊す時には、壊す前にその建物がなぜ建てられたか考えてみよ」という格言がヨーロッパにあるそうですが、それを思い出します。(64p)問題は、橋下さんという個人ではなく、チョムスキーの言った「土壌」つまり水戸黄門型ヒーローを求める人々の心理にあると私は考えています。そうだとしたら、それが実際には不可能なものを探し求める「ないものねだり」である以上、「ないもの」を探し求める行為は、必ず裏切られます。現実には存在しない「青い鳥」を探し続けても、それは見つからない。「いまあるもの」への不信感をテコに「次」を探し求めるサイクルそのものを対象化、相対化しない限り、橋下さんが失脚したとしても、ネクスト橋下が出てくるだけです。橋下さん自身が、ネクスト小泉であり、ネクスト民主党なわけです。しかしそれは単純な繰り返しではない。すでに多くの人が指摘しているように、日本には「待ったなし」の課題が山積みしています。にもかかわらず「ないものねだり」の水戸黄門探し、青い鳥探しが続き、こいつがダメ、あいつじゃないか、やっぱりそいつもダメ、という非生産的なサイクルを繰り返していれば、症状はどんどん深刻化していきます。(83p)民主主義とは、高尚な理念の問題というよりはむしろ物質的な問題であり、その深まり具合は、時間と空間をそのためにどれくらい確保出来るか、という極めて即物的なことに比例するのではないか。(85p)「諦めなければ夢は叶う」「その気になればなんだって出来る」というのは、極めて日本特有の意識社会の側に責任を少し多めに見積もるくらいでちょうどいいのではないかと考えています。(103p)参加のハードルを下げること、声をあげられない人たちに寄り添って一緒に解決策を探すことか「私たちの仕事」民主主義(原則)は求めるが、することは目の前のこと(現場)、というのは、昔からの湯浅誠の変わらないスタンス。足場ボランティアとは何か。盥のお湯がツール(手段)、本来の目的は、「大丈夫ですか」と聞いても「大丈夫です」としか答えない信頼関係の不足を、ツールを使って乗り越えることです。(136p)これはコミュニティの問題であるのと同時に、民主主義の問題です。人と人を結びつけるスキルやノウハウが乏しいと、仲間内で固まることしかできなくなります。(138p)←左翼に対しても向けられた批判ではないか。日本は「コミュニティをつくる」というノウハウの蓄積に乏しい。戦前の濃密な地域コミュニティ(地縁関係)は、高度成長期に企業共同体(社縁)に組み込まれていった。さらには、男は社縁を中心に血縁、地縁が連動している。そして、社縁自体は現実は変化して「人をまるごとの性格、生活者として受け止める」関係から、結果主義で評価する「ドライな存在」になった。しかし、「社縁中心」の価値観は大きく変わっていない。そのギャップに落ち込んだ人たちが一挙に無縁状態に入る。日本のソーシャルワークをつくる必要性がある。ソーシャルワークとは、「関係性の調整」である。ヒーローを待っていても、世界は変わらない。誰かを悪者に仕立てあげるだけでは、世界はよくならない。ヒーローは私たち。なぜなら私たちが主権者だから。私たちにできることはたくさんあります。それをやりましょう。その積み重ねだけが、社会を豊かにします。2012年10月12日読了関係ないですが、最近詠んだ一句。つわぶきの独り翠の葉を広ぐ
2012年12月13日
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「猟犬探偵1セントメリーのリボン」谷口ジロー 画 稲見一良原作 集英社私がその年の読書ベストに推した事のある稲見一良の「セントメリーのリボン」を、想定出来うる最良の漫画家(「事件屋稼業」と「犬を飼う」の作者)が描いた。小説は小説で素晴らしいのだが、時には映画化すると素晴らしい作品になってしまって、見返すのが至福の時間になるような作品はある。例えば「ロード・オブ・ザ・リング」がそうである。この漫画もそういう作品になった気がする。谷口ジローは漫画化するに当たり、出版社の許可が下りず20年待ったらしい。盲導犬協会にも取材し、熱をこめて実に丁寧に仕上げてくれた。また、短編と中編を違和感なく組み合わせてくれた。静かに始まり、静かに終わる。綺麗な表紙なので、犬好きの人にクリスマスプレゼントするのもいいかもしれない。リボンをつけて。【内容説明】竜門卓は失踪した猟犬探しを生業とするアウトロー探偵。5年程前に、祖父の死によって膨大な山地を相続し、人里離れた山奥で相棒のジョーとともにつつましやかな生活を送っている。猟犬探しの謝礼は、自分が決めた額しか受け取らず探す犬の種類も限定するような、自分のポリシーを頑なに貫く、ひと筋縄ではいかない男。そんな竜門のもとに、その腕の良さを聞きつけ、また新たな仕事が舞い込んで来た……。2012年11月15日読了【付記】先日、映画サークルの忘年会でプレゼント交換があり、私はこの本を贈りました。リボンをつけて。
2012年12月12日
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「藤沢周平 とっておき十話」澤田勝雄編 大月書店藤沢周平の「とっておき十話」が、しんぶん赤旗に連載されたのは1990年のことである。それからなんと21年経ってこの本がまとめられた。「十話」自体は、既にエッセイなどに触れられている話が多いのだが、私が興味深かったのは、そのインタビューでのこぼれ話をこの本にまとめていることと、藤沢周平唯一の「選挙の応援演説」について書いた「雪のある風景」というエッセイが載っていることである。藤沢が後々肺結核療養時代を「私の大学」と呼んでいたが、単に療養所で文学修養が出来ただけではないことが、この本の「インタビューこぼれ話」で明らかにされる。また、幾つか業界編集部を転々した中で、後の藩内の力の駆け引きなども学んだ様子を赤裸に語っている。また、身内の借金踏み倒しで奔走したことも語っている。成る程、これはなかなか死後暫くしても公表できなかった訳だ。そして、藤沢の小説の秘密が少し明らかになるという意味でこれは「藤沢周平研究」には欠かせない本になっているだろう。「雪のある風景」(1977)は単行本にも「全集」にも収録されていない。それはおそらく、テーマが藤沢周平にしては珍しく「政治と文学」に関わっていたからではないだろう。そこに書いている初めての「衆議院選挙に立候補した郷里の友人O氏」が共産党の人間だったからだろう、と思う。私はこのエッセイを一読、改めて藤沢周平は「一貫して変わらない信頼できるものがある」と感じたのである。ホントに「誠実」その一言に尽きる人だった。以下少し抜粋する。そうは言っても、私は無政府主義者ではないので、よりよい政府が出来、いい政治をしてくれることを期待する気持ちは人後に落ちない。疑いながらも、いつかもっとよくなるだろうと期待しないわけにはいかない。そういう期待の支えになるのは、歴史の進歩ということである。複雑怪奇な軌跡を残しながらも、人間集団は少しずつ進歩して来た。もはや奴隷を首切る専制君主は現れないだろうし、封建制度の世の中に戻ることもないだろう。人間が人間らしいゆとりをもって生きられる時代がくるだろうと、それを政治に期待し、望むのは正しいのだと私は思う。昔からそういう望みが、少しずつ人間を解放し、歴史を進歩させてきたのである。こういう人間の望みを汲み上げ、現実に生かして行くのが、政治の原型だろうと思う。私が政治家としてO氏を尊敬するのは、そういうことである。(略)O氏は落選したが、新聞で読んだ彼の敗戦の言葉はいさぎよく、彼に対する私の考えが間違ってなかったことを示していた。彼の中には、彼を知ってから二十数年、一貫して変わらない信頼できるものがある。(145p)2012年10月29日読了
2012年12月11日
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12月7日の地震の直前に行なっていた、映画監督想田和弘氏と自民党の憲法審査委員の片山さつき議員のツィートのやり取りをコピーします。想田監督も「驚愕」しているように、憲法の基本をさえも無視して基本的人権をなくすのが心底「正しい」と思っていらっしゃるこの人が、自民党の中心にいるわけです。今度の選挙で自民党が政権をとるようなことが、もしあれば大変なことが起きる。ジャーナリストの布施祐仁氏もツィートしていたが、各紙の選挙予測みてビックリ。民主党が激減するのはわかる。しかし、なぜ自民党なのか。前の総選挙では自民党は惨敗して野に下った。その時と比べて、今の自民党のどこが変わったというのだろうか…。自民と民主でダメダメ政治を交互にやっていくんじゃ、この国の未来はお先真っ暗だよ(゚o゚;;全く同感である。 片山さつき..@taiyonokokoro50国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です。国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持するには自分に何ができるか、を皆が考えるような前文にしました!.返信する RTする ふぁぼる .katayama_s 2012/12/07 12:37:08 想田和弘..@ninjinninjinnin誰も奪ってませんよ!権利の享受には義務が伴い、自由は自分勝手でなはく、規律が守られた上でのこと、という原則をはっきりさせてマズい人ってどんな?.返信する RTする ふぁぼる .katayama_s 2012/12/07 15:35:11 片山さつき.@kkamiya授業受け直すのはあなたの方では?誰もケネディの真似などしてませんよ。長年、憲法改正論議の基本的人権の所で必ず出てくる議論ですよ。.返信する RTする ふぁぼる .katayama_s 2012/12/07 16:09:50 想田和弘.↓自民党憲法審査会委員の片山さつき、やっぱり「憲法とは権力を縛るもの」という立憲主義を全く理解していない!この人には、ホント、驚愕させられる。.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 16:22:22 想田和弘..自民党の改憲案を作ったメンバーの片山さつき@katayama_sは、「国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持するには自分に何ができるか、を皆が考えるような前文前文にしました!」とツイート。こんな考えで憲法が作られたら戦前に逆戻りだってことに、本人も気づいてない。.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 16:25:38 片山さつき.@KazuhiroSoda戦前?!これは1961年のケネディ演説。日本国憲法改正議論で第三章、国民の権利及び義務を議論するとき、よく出てくる話ですよ。.返信する RTする ふぁぼる .katayama_s 2012/12/07 16:30:48 想田和弘 ..国のために国民が何をするべきかを憲法が定めるなら、徴兵制も玉砕も滅私奉公も全部合憲でしょう。違いますか? @katayama_s @KazuhiroSoda戦前?!これは1961年のケネディ演説。日本国憲法改正議論で第三章、国民の権利及び義務を議論するとき、よく出てくる話ですよ。.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 16:35:09 片山さつき..@hiroujin日本の近代国家としての成り立ちを考えた上で仰ってらっしゃいますか?国家の基本的な在りようを定めるのも憲法の意義です。.返信する RTする ふぁぼる .katayama_s 2012/12/07 16:38:14 想田和弘.また、ケネディの就任演説と憲法の前文を同レベルで論じることそのものが、驚愕です。憲法と演説は違います。 @katayama_s: @KazuhiroSoda戦前?!これは1961年のケネディ演説。日本国憲法改正議論で第三章、国民の権利及び義務を議論するとき、よく出てくる話ですよ。.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 16:45:52 想田和弘..つーか、あなたみたいな不勉強で国家主義的な政治家が出てくることを見越したから、第97条が日本国憲法には盛り込まれたのでしょう。 あなたがた自民党改憲チームが97条を削除したのも頷けます。@katayama_s @KazuhiroSoda戦前?!これは1961年のケネディ演説。日本.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 16:51:56 .想田和弘..自民改憲案ではわざわざ丸ごと削除。→日本国憲法第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 16:53:27 想田和弘 ..まとめ。→自民党の西田昌二と片山さつきが、国民主権と基本的人権を否定してしまいました http://t.co/Fx2KZ9Jm.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 17:03:34 想田和弘..ホントですね。@TYSUMN: @katayama_s @KazuhiroSoda ケネディの就任演説は、最初に「人権は国家に与えられたものではなく神に与えられたものだという我らの祖先の信念」というものに言及しているのですが、天賦人権説を否定したあなたが同じ演説の一節を都合よく利.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 17:04:47 .想田和弘..ケネディの1961年就任演説「それは、人間の権 利は国家の寛大さからではなく、神の手からもたらされる、という信念である。」http://t.co/qH12sKbz.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 17:05:21 想田和弘..選挙前に重要なので再掲。「自民改憲案を認めると、僕らの基本的人権が事実上なくなってしまうよ」http://t.co/zHiudpPq.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 17:06:39 想田和弘 ..全く同感です。@hirakawah: マスコミはもっと自民党改憲案の問題を取り上げるべきではないのかな。そもそも自民党自身がそれを今回の選挙の目玉にしてるのだし。.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 17:11:45 .想田和弘..片山さん、あなたが持ち出したケネディの演説全文です。天賦人権説そのものだよw「人権とは国家の寛容さに与えられるのではなく、神から与えられるものだという信念を忘れてはならない」http://t.co/kaZYwskQ @KazuhiroSoda戦前?!これは1961年のケネディ演説.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 17:20:13 片山さつき..@s_itsme @taiyonokokoro50よく読んでください、我々は、11条も25条も維持した上で、自由及び権利には義務及び責任が伴う、公益及び公の秩序に反してはならないと明記しています。自民党改正案4月発表の時もガチガチの護憲派から似たようなコメがしばらく来てましたが。.返信する RTする ふぁぼる .katayama_s 2012/12/07 17:20:14 想田和弘..つーか、そのケネディ演説ですら天賦人権説を採っているんですよw。@ashura820: ケネディのまねしてるだけじゃん。RT @KazuhiroSoda: 自民党の改憲案を作ったメンバーの片山さつき@katayama_sは、「国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持する.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 17:22:27 片山さつき.@KazuhiroSoda 4月の自民党案発表時も人権派?或いは護憲派の方々とツイッターで二三日議論しましたが、社会民主主義だの第三の道だの民主党政権発足時の議論や人権擁護法案積極論者とのバトルと似たような所に行き着き、イデオロギーの違いは埋まらす。.返信する RTする ふぁぼる .katayama_s 2012/12/07 17:31:16 想田和弘..地震が起きたらしいね。津波と原発が心配だ…。.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 17:35:28 .片山さつき.@Jiruberutojiru @KazuhiroSoda 国家のありようを掲げ、国家権力がやっていいこと、統治機構などを、規定。私は芦部教授の直弟子ですよ。あなたの憲法論はどなたの受け売り?.返信する RTする ふぁぼる .katayama_s 2012/12/07 17:38:39 .片山さつき..東日本大地震対策で、自民党が何度も強調し現政権が認識甘いのが、大規模余震。津波は2メートルでも巻き込まれた場合ほぼ溺れる、実験も見てますから。土嚢だけの海岸、大丈夫か!?.返信する RTする ふぁぼる .katayama_s 2012/12/07 17:41:49 想田和弘..天賦人権説を否定するのは、ナチスを肯定するのと同じくらいのトンデモ議論ですから、イデオロギー以前の問題ですよ。@katayama_s: @KazuhiroSoda 4月の自民党案発表時も人権派?或いは護憲派の方々とツイッターで二三日議論しましたが、…イデオロギーの違いは埋まらす。.返信する RTする ふぁぼる .KazuhiroSoda 2012/12/07 17:43:15 想田和弘..片山さつきのツイッターです。3月11日も告知板として情報収集、一定の役割果たしてます。東北関係のかた、政府は養殖25知らせたいことで電話がだめなら連絡して!十三万人が見てますから!.返信する RTする ふぁぼる .katayama_s 2012/12/07 17:44:29
2012年12月10日
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一ヶ月半、テレビの無い生活をした。ある日突然、テレビの画面が真っ黒になったからである。音は出るので、ブラウン管、じゃない液晶が故障した事は明らかである。既に保証期間はうまいこと一年過ぎている。行きつけの量販店に電話した。修理の見積もりを出すだけでも5000円近くかかると言う。「因みにホントに液晶の故障だったら幾らぐらいが水準なんでしょうか?」そんな事を聞かれるのは想定外だとばかりに「ちょっと待って下さい」と暫く待たせた挙句に彼女の言うには「7-8万円だとのことです」「えっ?それって新しくテレビ買った方がいいということじゃないですか!」「そうかもしれません」そうなんですよ。あんた、そんなこともわからないで機械的に聞かれたことだけ答えていたらお客様に損だけさせる事になるんですよ。ここの電気屋は何時もこういう故障係りの処に専門性の無い人間がいる。と、アタマにきた事をキッカケにして、暫くテレビの無い生活をしてみたというわけである。どれだけ耐えられるか、もしかしたら物凄く時間が浮くのではないかと期待したわけである。もしTV無し生活が実現できたら、それだけでケーブルTVやひかりTVの契約料金が節約できる。結論を言うと、テレビの無い生活はおそらくもうしばらくは耐えられる事がわかった。ニュースに取り残されることは全く無い。インターネットやFacebookやTwitterがあれば、むしろ安倍や野田やみのもんたなどの不愉快な顔を拝まなくて済むので精神衛生上いいということもわかった。しかし、DVDをみる事が出来ない事や、ときどきもれ伝わる面白そうな番組が見れないのは、やはりストレスが溜まることもわかった。1番耐えられないと思ったのは、テレビがなくても、勉強したり本を読む時間が増えなかったことである。代わりにYouTubeを延々見るようになった。それでテレビ無し生活を続けても、経済的精神的にあまり利益が無い事がわかり、あとあとどうせ買うならば、やはり早めにテレビを買おうと思ったのである。この六年の間に液晶市場は高性能化とダンピングが進み、感覚としては約1/3になったと思う。それでも32型でHDDもつけて全部で6万円近くかかったが。録画容量も増やした。200時間ほど録画できる。リサイクル料金がTVの値段に対して、あまりにも高いことも分った。直接持ち込んだら安くなるだろうと思い、量販店にたのまなかったのだが、結局3800円ほどかかり数百円しか変わらなかった。リサイクルするのだから、私にお金をくれてもいいような気がするのだが、そんなに払わなくてはいけないというのが、どうしても納得行かない。まあ、そんなこんなで久し振りのTV生活に戻った。なんやかんやでリモコンが四台も必要だということも判明し、DVDやひかりTV、ケーブルTV等々切り返る度にリモコンを探す生活をすると思うとうんざりする。もうひとつ、うんざりすることがある。朝のTV番組を久し振りに見ると、どこかのコメンテーターが各党の選挙公約を見渡して「非現実的な政策を出している政党がありますが、もっと考えて欲しいですね」などと言ったていた。ぶちきれた。非現実??コメンテーターはたぶん原発なくせ、とか消費税増税を止めろ、とかTPP反対とかをそう「匂わせた」のだろう。政治が理想を語らないでどうするのか。理想を現実にするのが政治なのではないのか。そのために選挙するのではないのか。ああそうだった、TVとはこんな奴らがうじゃうじゃ居るところだった。それからいまのところ2日間、朝の番組は見ていない。
2012年12月08日
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国立博物館にがっかりしたあと、道庁に戻って食堂を探す。この辺りはファッション通りらしく、若いもんがうじゃうじゃいた。ひとつ通りを離れると、閑散とした市場通り。いつもなら、そういう処に美味しい料理屋はあるのだが、サムギョプサル(三枚豚焼肉屋)ばかりで入りにくい。このオゴリ食堂に白飯(ペッパン)がメニューに載っていた。頼むと、オカズが12皿も出て来た。そうか、ここは全州の近くなんだ。こういう和え物が付く。ところが、全体に塩からい。味が単調で美味しくなかった!そりゃ、いつも美味しいとは限らないよな。しかし残念な白飯だった。久しぶりに半分以上残す。モーテルで、ビールを少し飲んで寝る。春川→清州16400 宿40000 バス五回 6000 昼食 3500 博物館お土産5000 夕食5000 夜食3200 Wi-Fi5500計 84500w歩数 19218歩というわけで、期待した清州博物館めぐりは散々だったけど、期待しなかった次の日は非常に充実した一日を送ることになるとは、このときはまだ気がついていない私でした(^_^;)。と、言うところで悪いのですが、明日からちょっと寄り道します。たまりに溜まった書評や映画評を何とかしないといけないし、他にも書くことがあるから。たぶん、続きは来年からになると思います。
2012年12月07日
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古墳型の百済時代の博物館についた。説明板には4-6世紀の墓で、様々な階層の墓があったと書いている。火葬もあった様だ。展示館の横に墓を発掘した様子を保存していた。木槨墓の周りの石積がすでに百済武寧王の石室を連想させる。日本にこんな綺麗な竪穴式の木槨墓はあるだろうか。時代的には、吉備楯築の少しあとなのだが。発掘した土器破片を触れる様になっていた。見ると、土器質の違いが様々だった。しかし、遺物、展示方法ともにあまり見る所はなかった。少しがっかり。郊外に井北洞土城というのがあり、3世紀初めらしい。きちんとした版築方式で城を囲っていたらしい。なんとか行きたい。バスで道庁まで行って、乗り換えて博物館に行く。ついでなので、忠北道庁を見てみた。オリンピックは大げさに祝っていない。静かな佇まいで好印象。そのあとはバスに乗ったら、方向を間違えて反対方向に(つまり博物館から帰ってきたバスに乗った)。そしたら、バスの運転手は「このまま乗っていていいよ」と言ってくれた。時間はかかったけど、いったん降りてまたバスを待つことが無くて良かった。写真は古印刷博物館前でUターンするバス。最初にバスを降りたところまで戻ったというわけだ。それで国立清州博物館には4時30分に着く。幸い夏場は閉館時間が7時だったので、ゆっくり観ることが出来た。しかし、あまり観るべきものがなかった。これは青銅器時代二重口縁短斜線文土器。日本にはない形。堤川黄石里遺跡の彩色土器。博物館紹介はこれで終わり。こんなに苦労して来たのに、こんなにがっかりした国立博物館はなかった。(確かあとひとつ未踏の国立博物館があるのだけど行くかどうかは微妙)さあ、帰ろ帰ろ。
2012年12月06日
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8月19日(日)雲 春川→清州午前に支石墓に行くのは諦める。バスで清州まで行くのに4時間もかかり、ヘタをすると今日中に博物館に行けないと思ったのである。バスで春川バスセンターへ行くと、嫌な予感がしたので歩いて行くのとにした。これは正しい夏休みの姿をしている子供だな、と思いパチリとした。水遊びをしに出かけるのかな?「おじさん誰?」「ごめんなさい」まるで本社かの様な立派なKSBビル。「冬のソナタ」でどれだけ儲けたのか。清州まで16400w。まるで半島を横断するかの様な値段だ。実際江原道道庁から忠北道道庁へ移動するのだから、半島を横へ横断と言ってもいいのだが。今朝のご飯はおにぎり。韓国のおにぎりはよく白飯ではなく、何かを混ぜている。一個9000w(60円)、安い。途中クムガンバスセンターという所に止まって15分も休憩した。こんなんだから4時間もかかるんだよね。あと原州にも寄った。そこはわりと大きな所だった。清州(チョンジュ)に着く。今日は昼はゆっくり出来ない。先ずは鍾路の南国市場で気になっていたチャンジククス。温かいソーメンである。近くのモーテルをさっさと決める。B.Bモーテル4万w。さすがにモーテルって、感じだ。こんなのばっかり泊まっていたら快適かもしれないが、予算オーバーだ。観光案内所でバスの乗り方を聞きに行って地図を見たら、なんと清州百済遺物展示館というのがある。これは見なければなるまい。かなりタイトな半日になりそうだ。百済遺物展示館には直通のバスは無くて、ついてから25分も歩かないといけない。バスの運転手に「着いたら教えてください」と言っていたのに何も教えてくれなかった。スマホの地図は見ていたけど、油断した。次のバス停留所で降りる。こんな形の教会もあったけど、急いでいるので先を急ぐ。古印刷博物館という珍しいものもあったけど、先を急ぐ。公園の入口は岩の中に人が入れる様になっていたけど、先を急ぐ。煉瓦を積んでいた。もっとじっくり見たかったけど、先を急ぐ。糸を引いて、水平を保つ工程を踏んでいる様な気配は無かった。30分速足で歩いてやっと着いた。古墳型の展示館である。
2012年12月05日
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国立春川博物館を出て、市庁辺りまでバスで帰り、そこから春川駅の観光案内所まで歩いて支石墓のある遺跡へのバスの行き方を教えてもらった(←結局遠くて行かなかった)。この駅前一帯が巨大な空き地になっていて、工事中である。いつも思うのだけど、どうしてこんな一等地に大掛かりな更地を作ることが出来るのだろうか。ちょっと歩いて春川七層石塔を見に行く。韓国の石塔は総じて古い。そして木造建築とは違い変な手が入っていない。新羅・高麗にかけて作られたモノとのこと。そのまま町歩きに入る。高層アパートの建築現場である。なんか心なしか鉄筋の数が少なく細い様に感じる。江原(강원)道庁に着いた。春川市は道の首都でもあるのだ。いわば県庁みたいなモノか。顔写真付きで金メダリストを讃える垂れ幕を張っている。こういうのだけは、韓国という国は素早い。ちょっと市場方面に歩いて、地下街から出ると、明洞商店街(^_^)。ソウルと同じ様に春川でも明洞が1番メインの商店街みたい。その一つ隣通りにいわゆるタッカルビ通りがある。空いていたので、有名店じゃない所に入る。タッカルビが一人前一万w。(←私的には高いと思う。)仕方なく、焼酎と一緒に頼む。(でも1人でも頼めるので良しとするか)鶏と餅とポテトとキャベツが材料。全く簡単な料理だ。しばらくしたら、炒めてくれる。味は思いもかけず、絶妙だった(^O^)/焼酎がすすむ。完食~。(←きたなくてごめんなさい) 家族連れもけっこう居た。バイトの兄ちゃんが着ていた。こんなTシャツ、日本人ならば恥ずかしくて着れんわ。「我愛倉敷」っていうTシャツ想像できん。でも、他の国から観たら「I LOVE PEACE」とかは恥ずかしいと思うところもあるのだろうか。「冬のソナタ撮影地」日本と中国がターゲットなのね。中央市場。ペ・ヨンジュさんがよく食べたというラーメン屋。市場自体はみるところなし。夜の春川中学校。校名の文字が電飾だ。モーテル街に着いた。夜は少し雰囲気がある。ソウル→春川6300 昼食5000 バス二回2400 アイス 2000 宿 30000 夕食13000 Wi-Fi5500計 64200w歩数 20072歩
2012年12月04日
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9番バスで春川博物館まで行った。今回の旅のテーマの一つ。今まで訪れていない「国立博物館」を制覇すること。住宅地の中にあった。背後に山を抱えているが、遺跡の表示はない。この博物館は、今年で健立10年目にあたるらしい。石器時代の遺物が比較的ボリュームがあったが、無視して青銅器時代に注目する。2200-2300年前の春川 新梅里(신매리)支石墓の土器である。こういう半月型石刀は日本ではあまり見たことがないような!?もっと直線?上や下の石斧が珍しかった。横城 講林里(강림리)とひ陽(양양)釘岩里(징암리)の韓国式銅剣。この銅剣の形は広く朝鮮半島に分布している。反対にいえば、この形の銅剣が日本で見つかれば、舶来モノという判断はつくけど、何処から来たのかという判断はむつかしいということか。支石墓の展示がされていた。足が長い。北方の特徴である。三国時代になると、急に鉄の生産が活発になる。これは東海 望詳洞(망상동)の鍛治のジオラマ。外の景色を見ながらゆったりするカップル。韓国にも盆栽みたいなものがあるんですね。ここまでが展示の半分。以後は、高麗・朝鮮時代の建物になる。これは寧越(ヨンウォル)蒼嶺寺(チャンニョンサ)跡から出土した羅漢像。鉄製の仏像があったのが新鮮だった。国立博物館にしては、あまり見るものがなかった。この旅で私は確信したのであるが、国立博物館は必ずしも地域1番の博物館ではない。新しい博物館ほど、専門的でなおかつデジタル機器を使い分かりやすく展示している。ただし、国立博物館は展示物は質のいいものを使っているし、職員は(以前金海博物館の女性職員がプライド高そうだったので)エリートなのかもしれない。などと売店のアイスを食べながら思う。すると、突然国立民俗国楽院の招待公演が始まった。5時からが本番でそのリハーサル。よって全てサワリだけをしてくれたが、私には短時間で見れてラッキーだった。仮面劇に似たものもしてくれた。このお姉さんは綺麗だった(^O^)/ パンソリを歌っていたのかな。管弦楽器は日本にないものがほとんど。わりと種類がある。公演はこれからだけど、雰囲気は分ったので退散する。
2012年12月03日
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8月18日(土)雲 ソウル→春川4泊でお世話になった大元旅館を辞す。水曜日集会が12時に始まることを教えてくれ、私と共に大雨の集会に行ったTさん、ずっとドミトリーで一緒だったIさん、テコンドーを学びに来た(?)Iさん、ビースト追っかけでやって来た女性、ヤンモリ結び(チムチルバンでカップルがするタオルの結び方)を教えてくれたOさんなど女性3人組、等々、今回はいろいろ夜の交流もすることが出来た。久しぶりの楽しい大元旅館だった。地下鉄で東ソウルバスセンター(江辺駅)に向かう。地下鉄の中はやっぱりみんなスマホを覗いている。前回来た時より更に普及率は上がって、多くは薄くて広いスマホ(今回のiPhone5より少し幅広)に買い替えている。それと、みんなイヤフォンをしているのが特徴。と、思い帰国後に日本の鉄道で気をつけて見たら日本も似たりよったりだった(−_−;)。東ソウルバスセンターに着いた。春川(チュンチョン춘천)へ2時間半の旅である。ウトウトしていたら、あっという間に着いた。先ずは宿探し。バスセンターの近くにはない。モーテルは高そうだけど、試しで聞いてみた。「5万wです」えー!それは問題外だ。これは難航しそうだ。南春川駅近くまで行ってもモーテルしかない。春川駅の市場方面に歩いてゆく。途中の旅館で聞くとやはり4万w。「今日は土曜日だから、何処へ行っても同じだよ」そうなんだろうな。少し意地になる。旅人宿も一軒だけあるような地域で聞く。やはり4万wだ。そこを辞してこの ノーベルモーテルは「荘」の字がついている。良さそうだ。窓口にはおばあちゃんがいた。「オンドルでもいいか」「いいですよ」「3万wよ」「お願いします」久しぶりのオンドル部屋だ。つまり布団で寝る部屋である。(←さすがに夏なので暖房はない)お湯は確かめなかったけど、お風呂も清潔そうだ。きれいじゃないけど十分である。宿探しの間、約1万歩は歩いたと思う。先ずは近くでお昼。もう昼もだいぶ過ぎて閑散とした食堂ばかりのところ、ここは1人お客が出てきたのでここにする。「百飯백밥 ありますか?」「あるよ」ということで、こういうのが出て来た。オカズと焼き魚の定食である。メインのオカズがない分、多分ありたけのオカズが出てくるので嬉しい。特にこの昆布キムチが美味しかった。全て美味しかった。
2012年12月02日
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