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近江幸治『民法講義Ⅱ 物権法』[第3版](成文堂,2006)318頁※最新版は2020年4月発売の第4版近江民法講義シリーズの物権法。債権法改正には対応していません。大判明治29・3・27民録2輯111頁から最判平成14・6・10判時1791号59頁までの判例が収録されています。※追記第4版には,大判明治29・3・27民録2輯111頁から最判平成25・2・26民集67巻2号297頁(下級審は,高松高判平成26・4・23判時2251号60頁)までの判例が収録されています。本書は,物権法の基本書ですが,担保物権についてはⅢの内容なので含まれておらず,物権法総論,占有権,所有権,用益物権を扱っています。2006年に出版された本なので,それ以降に出た判例については必要に応じて各自で補充する必要があります。また,2006年(平成18年)の「法例」から「法の適用に関する通則法」への移行および同年の「遺失物法」の全部改正には対応していませんが,この点は司法試験の受験勉強にはあまり影響はないでしょう。本書の最たる特徴は,不動産物権変動における“○○と登記”の論点がまとめてあるところだと思います。具体的には,取消しと登記,解除と登記,取得時効と登記,相続と登記,公売と登記,公用徴収と登記という順番で記述されています。ここで,ふと疑問に思うのですが,他の受験生の方々は相続と登記の論点についてどのような覚え方をしているのでしょうか。私は,遺産分割と登記,遺贈と登記という“遺”の付く2つはどちらも登記が必要で,そのほかは登記が不要だと覚えています。もっとも,遺言執行人が選任されている場合には相続人がした処分行為は無効なので(民法1013条),受遺者は登記なくして第三者に遺贈を対抗できるという判例(最判昭和62・4・23民集41巻3号474頁)だけは例外として注意するようにしています。いずれにしても,上記の“○○と登記”の論点は司法試験での頻出項目なので,勉強するうえでは1冊の本にまとまっていると非常に便利だと感じます。次回も,民法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.28
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近江幸治『民法講義Ⅰ 民法総則』[第6版補訂](成文堂,2012)428頁※最新版は2018年4月発売の第7版早稲田大学法学部教授の著者による民法講義シリーズ。近江民法講義シリーズは,ⅠからⅦまでの全7巻で民法の全分野を網羅しており,単著で民法全体をカバーする数少ない基本書のうちの1つです。まず,本シリーズに共通する特徴として,体裁は黒と青の二色刷りで,脚注はなく,図表が多用されている点が挙げられます。重要な判例については,事実の概要・判旨(+解説)という流れで判例集のようにまとめてあることも特筆すべきでしょう。判例索引だけでなく条文索引も付いているので,学習上の便宜も図られています。ただ,稀に索引の誤植があるので,そこは自分で訂正するしかありません。基本書として1冊1冊は若干薄いですが,7冊で2600頁以上あることを考えると妥当な分量だと思います。民法には条文も判例も論点も他の科目と比較して膨大な数があるので,頁数が嵩んでしまうのはやむを得ないでしょう。また,ある巻に書かれていないことが別の巻に書いてあったりするので,総じて情報量が多くなっているのも使っていて便利だと感じる点です。著者は,今年,古稀を迎えられるので,今般の債権法改正に対応した改訂ができるのか心配していましたが,今春には債権法改正に対応したⅠの改訂第7版が出版されるようなので,無駄な杞憂に終わりそうで何よりです。同様にⅣやⅤも順次改訂されることを期待しています。ということで,今回,7冊全部を一気に紹介してもよかったのですが,せっかく基本書として使っている教材なので,1冊ずつ小出しに紹介することにしました。まずは,Ⅰの民法総則です。民法総則の基本書としては,全体で428頁ということで比較的ちょうどよい分量だと思います。条文索引には,民法だけでなく一般法人法も載っています。大判明治32・3・25民録5輯3巻37頁から東京高判平成21・5・14判タ1305号161頁までの判例が収録されており,収録判例数は豊富な部類に入ると思います。もちろん本書に載っていない判例も多いですが,民法判例の夥しい数に照らせばそれは無理からぬことなので,適宜,判例六法などで補完すればよいと思います。※追記第7版には,大判明治32・3・25民録5輯3巻37頁から最判平成28・12・19判時2327号21頁までの判例が収録されています。ちなみに,使っていて注意すべきと思う箇所があったので付言しておきます。本書197頁では,民法94条2項における転得者について,第三者が善意で転得者が悪意の場合に当該転得者が保護されるかという論点について取り上げられています。そして,相対的構成説と絶対的構成説の対立が紹介されているのですが,そこでは恰も相対的構成説が判例の見解であるかのように記述されており,その根拠として最判昭和45・7・24民集24巻7号1116頁が引用されています。しかし,この昭和45年判決は,第三者が悪意で転得者が善意の場合の事案に関する判例であり,上記の第三者が善意で転得者が悪意の場合については何ら言及していません。一般的に,判例は大判昭和6・10・24新聞3334号4頁を根拠に絶対的構成説を採っていると理解されており,この点は通説も同じ立場です。近江教授が相対的構成説を採っておられるから本書のような記述になっているのかもしれませんが,司法試験受験生としては注意を払うべき点であると思いました。なお,全くの初学者で近江民法講義シリーズを基本書にしたい方は,近江幸治『民法講義0 ゼロからの民法入門』(成文堂,2012)304頁※最新版は2025年11月発売の第2版から読むことをお勧めします。なぜなら,この本は本シリーズのダイジェスト版なので,本シリーズを基本書にして勉強するつもりの人にとっては最適な民法の入門書だからです。もちろん,一般の民法入門書としても良書だと思います。次回も,民法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.27
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橋本博之『行政判例ノート』[第3版](弘文堂,2013)416頁※第4版は2020年11月発売※最新版は2023年3月発売の第5版慶應大学法科大学院教授の著書による判例集。平成26年行政不服審査法全部改正には対応していません。最高裁判例を中心に216件の判例が収録されています。本書は,黒と緑の2色刷りで,判例ごとに事実・判旨・POINTという構成で記述されており,POINTにおいて簡単な解説が付されています。著者が橋本博之教授なので,サクハシを基本書にしている人にとっては,最も相性の良い判例集だと思います。今回で,行政法の教材の紹介は一旦おしまいです。次回からは,民法の教材を紹介していこうと思います。それでは。
2018.02.25
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大橋洋一・斎藤 誠・山本隆司 編著『行政法判例集Ⅰ 総論・組織法』(有斐閣,2013)514頁※最新版は2019年5月発売の第2版大橋洋一・斎藤 誠・山本隆司 編著『行政法判例集Ⅱ 救済法』(有斐閣,2012)486頁※最新版は2018年10月発売の第2版九州大学名誉教授・学習院大学法科大学院教授の大橋洋一博士,東京大学法科大学院教授の斎藤誠教授,同じく東京大学法科大学院教授の山本隆司教授の3名の編著による判例集。著者は,上記3名のほか,東北大学法科大学院教授の飯島淳子博士,東京大学法科大学院教授の太田匡彦教授,九州大学法科大学院准教授の大脇成昭准教授,神戸大学法科大学院教授の興津征雄教授,同じく神戸大学法科大学院教授の島村健教授,中央大学法学部教授の徳本広孝教授,東北大学法科大学院教授の中原茂樹教授,京都大学法科大学院教授の原田大樹博士の8名です。平成26年行政不服審査法全部改正には対応していません。Ⅰに215件,Ⅱに194件,合計で409件の判例が収録されています。本書は,おそらく最も多くの判例を収録してる行政法の判例集でしょう。解説はありませんが,事実関係を分かりやすくするために図表を用いる工夫が施されています。収録判例数が非常に多いうえ,私が基本書にしている宇賀概説シリーズでも引用判例と一緒に本書の事件番号が明記されているので,購入するかどうかとても悩みました。でも,行政法の判例学習は『行政判例百選Ⅰ・Ⅱ』で十分対応できると思ったので,結局,買わないことにしました。なお,本書には非常に多くの判例が収載されているものの,『行政判例百選Ⅰ・Ⅱ』を完全に包摂しているわけではなく,本書に載っていない百選判例も少なからずありますので,その点には注意を要するかと思います。次回も,行政法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.24
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宇賀克也・交告尚史・山本隆司 編『行政判例百選Ⅰ』[第7版](有斐閣,2017)272頁※最新版は2022年11月発売の第8版宇賀克也・交告尚史・山本隆司 編『行政判例百選Ⅱ』[第7版](有斐閣,2017)276頁※最新版は2022年11月発売の第8版判例百選シリーズの行政法。東京大学法科大学院教授の宇賀克也教授,東京大学名誉教授・法政大学法科大学院教授の交告尚史博士,東京大学法科大学院教授の山本隆司教授の3名の編集による判例集。平成26年行政不服審査法全部改正に対応しています。本書の書名は,“行政法”判例百選ではなくて“行政”判例百選です。判例百選シリーズには,他にも同じようなネーミングのものとして,地方自治判例百選,租税判例百選,倒産判例百選,労働判例百選,特許判例百選,著作権判例百選などがあります。でも,地方自治,特許,著作権については,地方自治法,特許法,著作権法という法律そのものがそれぞれ存在していますし,行政,租税,倒産,労働に関しても,学問的に各法分野が確立しているわけですから,どの百選も〇〇法判例百選という書名でよい気がします。それでも,あえて“行政法”判例百選としないのには,何か譲れない拘りがあるのでしょう。Ⅰに130件,Ⅱに125件,合計で255件の判例が収録されています。行政判例百選には,解説を除いて,最高裁の判例しか収録されていないところに特徴があります。第7版の改訂に関してもう少し詳しく触れると,新規追加判例が16件,差替え判例が5件で,新たに21件の判例が収載されており,他方,旧版に収載されていた29件の判例が割愛されています。第7版で新たに収載されたのは,3,5,9,43,46,50,51①②,78,106,110事件(以上,Ⅰ),および,133,142,150,171,175,182,196,206,221,224,226事件(以上,Ⅱ)です。そして,第6版の4,9,13,15,17,22,35,36,50,62,69,91,96,108,112,117,118事件(以上,Ⅰ),および,139,150,158,188,189,194,200,213,219,231,233,240事件(以上,Ⅱ)が,第7版には収載されませんでした。なお,最大判昭和24・7・13刑集3巻8号1286頁から最判平成28・12・8民集70巻8号1833頁までの判例が収録されています。私は,本書をメインの判例集として選びました。なぜなら,第6版には263件,第7版でも255件の判例が収録されており,行政法の受験勉強をするうえで十分な数の判例が載っていると考えたからです。また,編者に宇賀克也教授が含まれており,宇賀概説シリーズにおいても引用判例とともに本書の事件番号が明記されているので,学習上の便宜が図られていることも理由の1つです。ただ,解説に関しては,第5版と第6版のものは全て読みましたが,有益かつ適切な解説もあれば参考にならない解説もあるので,当たり外れの差が大きいです。少なくとも,司法試験の受験勉強では,解説を全部通読する必要はないでしょう。この点,私は,編集・執筆方針を定めるときに,判例の意義・射程,関連判例との関係,当該判例の論点に関する学説の議論など,解説で記述する項目や内容をある程度統一して絞れば,より良い判例教材になるのではないかと常日頃思っています。けれども,残念ながら,諸事情により判例百選シリーズでそれを実現するのは難しいのでしょう。次回も,行政法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.23
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中原茂樹『基本行政法』[第3版](日本評論社,2018)498頁※最新版は2024年2月発売の第4版東北大学法科大学院教授の著者による基本書。著者は,司法試験の考査委員を務めていた経験があります。平成26年行政不服審査法全部改正に対応しています。本書は,判例を基にした事例問題をベースに記述されており,サクハシに替わり1番人気になりつつある基本書です。受験生の間では,行政法の基本書は1冊本が主流になっていますが,個人的には,それで情報量が足りるのかと不安になってしまいます。それと,やはりケースメソッドで記述された基本書はあまり好きになれません。今後,ほとんどの受験生が本書を基本書として選ぶようになったとしても,私は選ばないだろうと思います。次回も,行政法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.21
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櫻井敬子・橋本博之『行政法』[第5版](弘文堂,2016)436頁※第6版は2019年8月発売※最新版は2025年2月発売の第7版通称サクハシ。学習院大学法学部教授の櫻井敬子博士と慶應大学法科大学院教授の橋本博之教授の共著による基本書。平成26年行政不服審査法全部改正に対応しています。本書は,司法試験の受験勉強における行政法の基本書として,長らく最も人気のある定番書でした。しかし,最近は,『基本行政法』に押されてシェアを落としているようです。ちなみに,著者の両名は御夫婦です。次回も,行政法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.20
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宇賀克也『行政法』[第2版](有斐閣,2018)504頁※最新版は2023年7月発売の第3版通称宇賀レインボー。東京大学法科大学院教授の著者による基本書。平成26年行政不服審査法全部改正に対応しています。※追記著者は,2019年(平成31年)3月20日付で最高裁判所判事に任命されました。本書は,法科大学院の未修者向けに宇賀概説シリーズをまとめたもので,公務員法,公物法,地方自治法の内容は含まれていません。宇賀教授の本を基本書にしたいけれど宇賀概説シリーズでは分量が多すぎる,と思っている人には向いているかもしれません。次回も,行政法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.19
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大橋洋一『行政法Ⅰ 現代行政過程論』[第3版](有斐閣,2016)516頁※第4版は2019年5月発売※最新版は2023年12月発売の第5版大橋洋一『行政法Ⅱ 現代行政救済論』[第3版](有斐閣,2018)550頁※第4版は2021年11月発売※最新版は2025年3月発売の第5版九州大学名誉教授で,現在は学習院大学法科大学院教授の著者による基本書。著者は,塩野宏東京大学名誉教授の弟子で,2007年以降,長年,新司法試験の考査委員を務めていました。平成26年行政不服審査法全部改正に対応しています。本書の特徴は,事例における問いに答えるスタイルで記述されていることです。したがって,ケース方式で書かれている基本書が好みの人には向いているでしょう。私は,基本書にケースメソッドは求めていないので選びませんでした。次回も,行政法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.18
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塩野 宏『行政法Ⅰ 行政法総論』[第六版](有斐閣,2015)442頁※最新版は2024年9月発売の第六版補訂版塩野 宏『行政法Ⅱ 行政救済法』[第五版補訂版](有斐閣,2013)426頁※最新版は2019年4月発売の第六版塩野 宏『行政法Ⅲ 行政組織法』[第四版](有斐閣,2012)436頁※最新版は2021年4月発売の第五版東京大学名誉教授で,現在,日本学士院長を務めている(※2019年(令和元年)10月に退任)著者による基本書。著者は,多数の論文や判例評釈を執筆しているだけでなく,数多くの立法過程,とりわけ2004年(平成16年)の行政事件訴訟法の改正に深く関与しており,現在の行政法学界の第一人者と言える人物です。Ⅰは平成26年行政不服審査法全部改正に対応しているかどうか分かりませんが,Ⅱ,Ⅲは対応していません。本書は,基本的に通説の立場から記述されている一方で,著者の鋭く深い理論的な考察も示されており,また,所々に非常に高度な内容を含んでいます。私は,法科大学院に在籍していた時には,本書を基本書にしていました。なぜなら,他に司法試験の受験勉強に相応しい基本書の選択肢がほとんどなかったからです。一応,本書以外にも,原田尚彦『行政法要論』[全訂第七版(補訂二版)](学陽書房,2012)480頁藤田宙靖『行政法総論』(青林書院,2013)704頁芝池義一『行政法総論講義』[第4版補訂版](有斐閣,2006)372頁芝池義一『行政救済法講義』[第3版](有斐閣,2006)348頁などが選択肢としてありましたが,これらを使用している同級生は,私の周りにはほとんどいませんでした。ですから,私の好みには合わなかったのですが,塩野『行政法』シリーズを使わざるを得なかったのです。ちなみに,Ⅲには,行政組織法,公務員法,公物法のほかに,地方自治法も含まれています。これは,宇賀克也『行政法概説Ⅲ』のはしがきにおいて,「東京大学においては,かつては,行政法第3部において,行政組織法,公務員法,公物法に加えて,地方自治法も対象としていたが,地方自治法が独立の講義となった」と言及されている通り,塩野名誉教授が東京大学で教鞭を執っておられた頃は,行政法第3部の講義で地方自治法も教えられていたという事情によるものらしいです。なお,著者は,現在86歳と高齢のため,今後の改訂はあまり期待できません。次回も,行政法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.17
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宇賀克也『地方自治法概説』[第7版](有斐閣,2017)480頁※第8版は2019年3月発売※第9版は2021年3月発売※第10版は2023年3月発売※最新版は2025年3月発売の第11版宇賀概説シリーズの地方自治法。概ね2年ごとに改訂があり,初版(276頁)から最新の第7版までに約200頁も頁数が増加しています。ただ,そのほとんどが,地方自治法の改正によるというよりも,制度運用の実態についての解説やコラムの増設によるものなので,多少古い版でも司法試験には対応できるでしょう。地方自治法の分野の内容は,司法試験において行政法だけに限らず憲法でも出題されているので,少なくとも過去問で問われている部分の知識ぐらいは確認しておいた方がよいと思います。翻って,本書を全部読む必要があるかというと,そうではありません。なぜなら,本書の記述の大部分は,司法試験とは全く関係のないことばかりだからです。私は,通読して失敗したと感じました。ですから,一応基本書と位置づけてはいるものの,実質的には,気になった箇所を参照する程度の参考書と言った方が適切かもしれません。※追記著者は,2019年(平成31年)3月20日付で最高裁判所判事に任命されました。次回も,行政法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.16
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宇賀克也『行政法概説Ⅰ 行政法総論』[第6版](有斐閣,2017)518頁※第7版は2020年3月発売※最新版は2023年8月発売の第8版宇賀克也『行政法概説Ⅱ 行政救済法』[第6版](有斐閣,2018)594頁※第7版は2021年3月発売※最新版は2025年11月発売の第8版宇賀克也『行政法概説Ⅲ 行政組織法/公務員法/公物法』[第4版](有斐閣,2015)612頁※第5版は2019年3月発売※最新版は2024年7月発売の第6版東京大学法科大学院教授の著者による基本書。美濃部達吉博士 → 田中二郎博士 → 雄川一郎博士 → 宇賀克也教授という師弟関係があり,著者は,各時代の通説の立場を担ってきた先達と同じ系譜に立って学燈を継ぐ東京大学の生え抜きの研究者です。また,著者は,塩野宏名誉教授からも指導を受けており,雄川・塩野両名の弟子とも言えます。3巻とも平成26年行政不服審査法全部改正に対応しています。※追記著者は,2019年(平成31年)3月20日付で最高裁判所判事に任命されました(2025年(令和7年)7月20日定年退官)。本書は,著者が東京大学法学部において行ってきた行政法の講義ノートに加筆してまとめたもので,基本的には,法科大学院生,法学部生のほか,行政法を初めて学ぶ一般市民の方も対象にしています(はしがき参照)。情報量は極めて豊富で,判例や学説の網羅性も非常に高く,さらに,各章の冒頭でポイントを摘示したり重要度に応じて文字の大きさを変えたりと,随所に教科書らしい工夫も施されています。また,行政手続,情報公開,個人情報保護,国家補償は著者の専門分野であり,それらの逐条解説本や専門書も数多く書かれているので,とりわけその部分の記述には信頼が置けます。私は,著者の概説シリーズ(上記3冊+『地方自治法概説』)を基本書にしています。昨今,司法試験受験生の間では,行政法の基本書は1冊本が主流のようですが,この概説シリーズは参考書が不要なほど情報量が多くて横書きで単著と,私の好みにぴったり合致したので基本書に選びました。また,法科大学院在籍時に参考書として使用していたので,使い慣れていることも理由の1つとしてあります。ただ,Ⅰの独特の体系は慣れれば何ら問題ないでしょうが,Ⅲについては,司法試験の出題範囲でない分野も少なからず含まれているので,必ずしも通読の必要はなく,取捨選択して参照すればよいと思います。ちなみに,私の通っていた法科大学院の講義で行政法のテキストに指定されていたのは,長野秀幸・川崎政司『行政法がわかった』[改訂第7版](法学書院,2009)359頁でした。当時,行政法を全く勉強したことのなかった私でも,さすがに,「この本で勉強して本当に司法試験に合格できるのだろうか。」と疑問に思いましたし,同時に,非常に不安になったのを今でも鮮明に覚えています。次回も,行政法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.15
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長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿 編『憲法判例百選Ⅰ』[第6版](有斐閣,2013)244頁※第7版は2019年11月発売※最新版は2025年9月発売の第8版長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿 編『憲法判例百選Ⅱ』[第6版](有斐閣,2013)228頁※第7版は2019年11月発売※最新版は2025年9月発売の第8版絶対的定番の判例集,判例百選シリーズの憲法。東京大学名誉教授・早稲田大学法科大学院教授の長谷部恭男教授,東京大学法科大学院教授の石川健治教授,同じく東京大学法科大学院教授の宍戸常寿教授の3名の編集による判例集。この第6版から,Appendices(Appendix)が追加されました。Ⅰに111件+4件の115件,Ⅱに104件+7件の111件,合計で226件の判例が収録されています。また,最大判昭和23・3・12刑集2巻3号191頁から最大決平成25・9・4民集67巻6号1320頁までの判例が収録されています。改訂のサイクルに照らすと,おそらく今年か来年には第7版が出版されることでしょう。私の在籍していた法科大学院の講義においても,当然のように,本書が判例集として指定されていました。しかし,科目によっては,判例集の教材として判例百選を使用することに若干の問題があると思います。第1に,判例“百選”と銘打っている以上,1冊につき100件を大幅に超える判例を収録できないことが挙げられます。実際に,第6版では,ⅠとⅡを合計しても226件の判例しか収録されていません。とりわけ短答式試験を視野に入れると,憲法の判例集としては,少なくとも300件以上の判例を収録していることが望ましいように思えます。そうすると,Appendices(Appendix)を活用したとしても,自ずと限界があるでしょう。第2に,判例百選シリーズの場合,原則として,1つの判例につき2頁の紙面に事実の概要・判旨・解説がまとめられるという構成になっていて,この点は,本書も例外ではないことが挙げられます。憲法判例は,判決文・決定文が比較的長く,その全文のほとんどが重要であることが少なくありません。それなのに,紙幅の都合で判決文・決定文が短く削られた形で判旨に引用されてしまっては,受験勉強をするうえで不都合以外の何物でもありません。第6版では,1つの判例につき3頁ないし4頁を割くものも散見されるようになり,改善の傾向が見られますが,それでも,判決文・決定文の長い重要判例が多数ある点を考慮すると,抜本的な解決には至っていないと思います。個人的には,Ⅲを増刊し,さらに,1つの判例につき原則2頁の制約を無くしてしまえば,司法試験受験生にとっては,より使いやすい教材になるのではないかと考えています。けれども,他方で,本書は法学部生,研究者,実務家などの様々な読者を対象に刊行されているものでしょうから,司法試験受験生のニーズだけに応えるような変更は,現実的には難しいとも思えます。最近は,判例集は全て判例百選で,という事実上の制約も薄れてきているようなので,各々の好みに合わせて判プラなどのより収録判例数の多い判例集を選択すれば済む話なのかもしれません。今回で,憲法の教材の紹介は一旦おしまいです。次回からは,行政法の教材を紹介していこうと思います。それでは。
2018.02.13
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戸松秀典・初宿正典 編著『憲法判例』[第8版](有斐閣,2018)658頁※2025年11月に第9版が刊行される予定学習院大学名誉教授の戸松秀典博士と京都大学名誉教授の初宿正典博士の編著による判例集。解説はありません。収録している判例数は約300件と非常に多く,判旨の引用も長いうえ,個別の反対意見などもたくさん載っています。解説が付されていないので,判例集というよりも,どちらかというとケースブックという位置づけに近い教材なのかと思います。収録判例の多さと判旨の引用の長さに魅かれるところはありましたが,解説が全くないのは受験勉強をするうえで少し心許ないと思ったので,メインの判例集には選びませんでした。次回も,憲法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.12
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憲法判例研究会 編『判例プラクティス 憲法』[増補版](信山社,2014)482頁※最新版は2022年11月発売の第3版通称判プラの憲法。著者は,神戸大学法科大学院教授の淺野博宣教授,同志社大学法科大学院教授の尾形健博士,東京大学法科大学院教授の小島慎司博士,同じく東京大学法科大学院教授の宍戸常寿教授,京都大学法科大学院教授の曽我部真裕教授,東北大学法科大学院教授の中林暁生教授,慶應義塾大学法科大学院教授の山本龍彦博士の7名です。淺野教授と小島博士は,2016年に司法試験の考査委員を務めていました。尾形博士は,2016年から現在まで司法試験の考査委員を務めています。曽我部教授は,2015年から現在まで司法試験の考査委員を務めています。365件の判例を収録しています。判例百選よりも収録判例数が多く,判旨の引用も長いので,私は本書をメインの判例集に選びました。個人的には,淺野教授,宍戸教授,曽我部教授,中林教授ら,国立大学に所属している執筆者の担当部分は,判旨の引用が適切で,解説も比較的良いように感じられました。しかし,それに比べて,小島博士の担当部分は,正直,あまり良くありません。執筆担当判例全部というわけではありませんが,判旨の引用箇所が不適切であったり,判旨を原文と言い換えて引用していたりするのです。その結果,司法試験の過去問で問われている部分が削られてしまって判旨に載っていなかったりします。そのうえ,小島博士が執筆を担当している判例数も多いので,勉強をしているときに不便に感じることが多々ありました。ちなみに,佐藤幸治博士つながりで,私がメインの判例集にするかどうか迷ったのが,佐藤幸治・土井真一 編『判例講義 憲法Ⅰ 基本的人権』(悠々社,2010)200頁佐藤幸治・土井真一 編『判例講義 憲法Ⅱ 基本的人権・統治機構』(悠々社,2010)220頁です。Ⅰに108件,Ⅱに128件,合計で236件の判例を収録しています。これも決して悪い判例集ではないと思いますが,結局,収録判例の多さと新しさを重視して,判プラの方を選びました。次回も,憲法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.11
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渋谷秀樹『憲法』[第3版](有斐閣,2017)836頁故芦部信喜博士の最後の弟子で,立教大学法科大学院教授の著者による本格的な体系書。独特な体系ですが,情報量は非常に豊富で,判例も多数収録されています。一部で独自の見解を採っているものの,全体的に通説に依拠した詳細な記述が展開されています。私は,受験勉強を再開するにあたって,本書と『日本国憲法論』のどちらを基本書にするか迷っていましたが,佐藤幸治博士の学界および司法試験受験界に与えた影響の大きさに照らして,最終的に,より信頼のおける後者を選びました。次回も,憲法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.10
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野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法Ⅰ』[第5版](有斐閣,2012)606頁野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法Ⅱ』[第5版](有斐閣,2012)468頁通称4人組。金沢大学名誉教授・法政大学名誉教授の野中俊彦名誉教授,北海道大学名誉教授の中村睦男博士,東京大学名誉教授の高橋和之弁護士,北海道大学名誉教授・上智大学名誉教授の高見勝利博士の4名の共著による基本書。Ⅰが憲法総論・基本的人権,Ⅱが統治機構の内容となっています。質・量ともに最高水準の基本書だと思います。共著で縦書きと,私の好みではなかったのですが,各著者の自説の主張はほとんどなく,記述も概ね通説に従った穏当なものであり,また,私が法科大学院に在籍していた時には他に手頃な基本書の選択肢があまりなかったので,当時は本書を基本書にしていました。現在は,参考書として使用しています。ただ,分量の割には,収録判例数が若干少ないと感じられるところが玉に瑕です。なお,著者が4人とも70代と高齢になったためか,残念ながら,今後,改訂の予定はないようです。次回も,憲法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.09
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佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂,2011)694頁※最新版は2020年9月発売の第2版京都大学名誉教授の著者による基本書。最大判昭和23・3・10刑集2巻3号175頁から最判平成22・4・13民集64巻3号758頁までの判例が収録されています。※追記第2版には,最大判昭和23・3・10刑集2巻3号175頁から最決平成30・12・20LEX/DB25562542(下級審は,東京地判令和元・5・28判時2420号35頁)までの判例が収録されています。本書は,佐藤幸治『憲法』[第三版](青林書院,1995)676頁の実質的な改訂版で,『憲法』の方は,芦部『憲法』の前に司法試験受験生の間で定番の基本書でした。本書は,私が基本書として使用している教材です。情報量は十分で,特に統治の分野は他の基本書の追随を許さないほど詳しいです。また,判決文・決定文の引用の仕方もとても的確で,素晴らしいと思います。黒と青の2色刷りで,体裁も『憲法』の縦書きから横書きに変更されました。芦部『憲法』と比べると,文章が非常に難解だという評価をよく目にしますが,私にはあまりそう感じられませんでした。なお,ネットの情報によると,現在,改訂作業中とのことです(※2020年9月に第2版が出版されました)。本書出版後に,違憲判決・決定を含めた重要な憲法判例が多数出ているので,改訂版が出たら買い換えようと考えています(※第2版を購入しました)。ただし,注意が必要な箇所もあります。例えば,国民主権の意味について,芦部『憲法』では,「国民主権の原理には、二つの要素が含まれていることである。一つは、国の政治のあり方を最終的に決定する権力を国民自身が行使するという権力的契機であり、他の一つは、国家の権力行使を正当づける究極的な権威は国民に存するという正当性の契機である。」(注1)と,権力性と正当性の両契機を当然の前提として説明しているのに対して,本書では,この見解を憲法制定権力説の中の1つの学説として「正当性的契機」と「権力的契機」二要素説と位置づけて,「国民主権をもって憲法制定権力が国民によって担われるという見解の系譜に立ちつつ,それは,主権の保持者が全国民である限りにおいて主権は権力の正当性の究極の根拠を示す原理であるが(『正当性の契機』),同時に,その原理には,国民自身(実際には『有権者の総体』)が主権の最終的行使者(具体的には憲法改正の決定者)であるという『権力的契機』が不可分に結合していると説く見解がある(芦部信喜)。」(注2)と紹介しているにすぎず,通説としては扱っていません。また,議院内閣制の本質に関しても,芦部『憲法』は責任本質説を採っている(注3)のに対して,本書は均衡本質説を採っていて(注4),立場が異なります。やはり,いずれの基本書を使用する場合にも,芦部『憲法』を傍らに置く必要があるということでしょう。(注1)芦部信喜『憲法』[第四版]41頁(注2)佐藤幸治『日本国憲法論』391頁(注3)芦部信喜『憲法』[第四版]314頁以下(注4)佐藤幸治『日本国憲法論』476頁次回も,憲法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.08
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芦部信喜 著・高橋和之 補訂『憲法』[第六版](岩波書店,2015)462頁※第七版は2019年3月発売※最新版は2023年9月発売の第八版元東京大学名誉教授の著者による基本書。補訂を行っている高橋和之弁護士は,東京大学名誉教授で,著者の弟子です。本書は,言わずと知れた憲法の超定番基本書です。また,初版からの累計発行部数が100万部以上と,法律学の学術書としては異例の売上げを誇る大ベストセラーでもあります。私は,基本書の中で,唯一,司法試験受験生の誰もが持っておくべき本だと思っています。そのくらい司法試験の受験界では重要度の高い教材だと言えるでしょう。例に漏れず,私が通っていた法科大学院の講義においても,テキストとして指定されていました。しかし,内容は申し分ないのですが,憲法の基本書としては薄く,判例の引用も決して豊富とは言えず,体裁は縦書きと,私の好みには合いませんでした。また,著者の芦部博士は1999年6月に鬼籍に入られており,弟子の高橋弁護士による補訂はあるものの,著者本人による改訂が望めないということからも,本書を支持することはできませんでした。したがって,法科大学院在籍時には,野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法Ⅰ・Ⅱ』[第4版](有斐閣,2006)を基本書として使用していました。ただ,司法試験では芦部『憲法』の記述がそのまま出題されることもあるので,受験勉強に取り組む中で,芦部『憲法』は参照せざるを得ない教材となっています。でも,私の基準では芦部『憲法』は参考書ではなく,また,私は基本書としても使用していないので,位置づけが曖昧です。敢えて言うなら,憲法の必携書といったところでしょうか。いずれにしても,司法試験の受験勉強をするうえで欠かせない教材であることは確かです。次回も,憲法の教材を紹介します。それでは。
2018.02.07
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以前,法科大学院の先生から,「司法試験の受験勉強は,ノート作りから。」と言われたのを思い出して,ノート作りに取り組んだことがあります。ここでいうノート作りというのは,各科目のまとめノートを全科目分作成することです。これが完成すればきっと勉強が捗るだろうと,かなり意気込んで作り始めたのですが,結論としては,1週間も経たずに断念しました。なぜなら,逆算したところ,全科目のノート完成までに2,3年以上は掛かることが分かったからです。基本書の通読,短答・論文の演習を始め,司法試験・予備試験の受験生には,やらなければならないことが山のようにあります。ノート作りだけしていればよいというわけではありません。幸い,そのことに早めに気づくことができたので,傷は浅くて済みました。ただ,決してノートを作ることに全く意味がないと言っているわけではありません。私の場合,C-Bookを下敷きにして手書きでノートを作ろうとしたうえ,性格上,定規を使ったり色分けしたりと細部に拘らなければ気が済まなかったので,膨大な時間が必要となったのです。受験生(合格者?)の中には,Microsoft Wordで条文や判例をコピー&ペーストしてオリジナルのまとめノートを作成している人もいるようで,その画像をネットで公開しているのを見掛けたことがあります。それに倣って,私もMicrosoft Wordで同じようなノートを作ろうとしたこともありましたが,やはり時間が掛かりすぎるので,きっぱり諦めました。事務処理能力の高い人なら苦もなく作れてしまうのでしょうが,私にはできそうにないので,そういう人のことは羨ましいですし,素直に尊敬します。また,当たり前のことですが,まとめノートは,必ずしも全科目全分野について作らなくてもよいものです。特定の分野や判例に関してノートにまとめるだけでも,非常に勉強に役立つことでしょう。例えば,民法で言うと,共同抵当や弁済による代位などの若干複雑な分野だけでもノートに整理すると,理解しやすくなると思います。複雑な事案の事実関係をノートに図示するだけでも,判例を読むうえで効果的でしょう。個人的には,今後,特定の学習事項などをノートにまとめることはあるかもしれませんが,全科目のまとめノートに関しては,効率性を考慮して,択一六法などの既製品で代用しようと考えています。最近では,便利な教材がたくさん市販されていることですし,これを使わない手はありません。以上,ノート作りのちょっとした失敗談でした。次回からは,個別に教材を紹介していこうと思います。それでは。
2018.02.05
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司法試験の受験勉強を再開するにあたって,私が始めに取り組んだのは,基本書を読むことでした。法科大学院で学んだ記憶を喚起することが目的で,7法の基本書を全て通読しました。しかし,今になって振り返ると,この勉強は,私にとっては8割方失敗でした。もちろん,基本書を読みながら,「これはロースクールで習ったな。」という感じで,記憶を喚起するという目的は概ね果たせました。では,何が問題だったのでしょうか。ここで,司法試験の受験勉強における一般論を少々。まず,法律の知識が全くない初学者が司法試験の勉強を始めようとする場合,最初に読むべきなのは,基本書ではなく入門書だと思います。そこで各科目の大枠を掴み,基本原理や原則を理解したうえで,基本書へと移っていくのが自然な流れでしょう。そうして,次に,基本書を読む段階へと進んでいきます。基本書を読み進める中で,人によっては,本文に下線を引いたり書き込みをしたり,あるいは,本文をマーカーで色分けしたりと,様々な工夫を凝らすことでしょう。その後は,同じ基本書を何度も繰り返し読み込む人もいれば,色々な基本書を多読する人もいますし,そもそも基本書を参考程度にしか開かなくなる人もいるので,人それぞれです。話を戻しましょう。私の場合,各科目の法体系や基本原理・原則はすでに頭に入っていたので,入門書ではなく基本書から読み始めるという選択は正しかったのだと思います。ただ,その前にやるべきことがありました。それが,短答式試験の過去問の検討とチェックです。法律学における重要事項と司法試験におけるそれは,必ずしも一致しないものです。仮に,学者の間で激しい対立や争いのある論点があったとしても,司法試験に出題される可能性が皆無なのであれば,それは受験勉強のうえでは重要事項とは言えません。しかし,一旦本試験に出題された内容は,一部の例外を除いて,司法試験の受験勉強においては,狙われやすい箇所としてもれなく重要事項に位置づけられることになります。この司法試験における重要事項を意識できるかどうかが,基本書を読むうえで非常に大切なことなのです。例えるなら,国語の問題では,本文を読む前に予め設問を読んで問われる内容を把握しておく,みたいなイメージでしょうか。そして,網羅性のある短答式試験の過去問こそが,重要事項かどうかを判別するメルクマールとなるのです。私は,受験勉強を再開するまでの間に重要な法改正があった科目については,基本書を買い換えました。また,法科大学院で指定されていた基本書から好みの基本書へ変更した科目もあります。そうして再び買い揃えて読もうと手にした基本書は,下線や書き込みの全くない買った時の状態のものばかりでした。そのことも手伝って,振り返ってみると,手始めにと取り組んだ基本書の通読の中では,“法律学の重要事項”こそある程度意識できましたが,“司法試験の重要事項”に関しては十分に意識できていませんでした。これは,受験対策の観点からは,非常に効率の悪いことです。端的に言えば,それは受験“勉強”ですらなく,もはやただの読書です。実際のところ,その後に取り組んだ短答式試験の過去問演習では,基本書の通読による学習効果は,ほとんど表れませんでした。このようにして,基本書を読む前には,少なくとも事前に短答式試験の過去問を一通り検討し,それを基本書にチェックしておくべきことを教訓として痛感した次第です。以上が,私の受験勉強における失敗談の1つです。次回は,ノート作りについて。それでは。
2018.02.04
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辰已法律研究所『条文・判例本』改め『条文・判例スタンダード』『条文・判例本』シリーズは,平成27年版を最後に毎年改訂する毎年版方式を改め,書名も『条文・判例スタンダード』に変更されました。この『条文・判例本』は,いわゆる択一六法の1つですが,私が法科大学院の3年次の時に,周りの同級生の間で受験直前期のまとめ本としてとても流行っていて,そんなに便利なものなのかと思い,後に購入したというものです。もっとも,私の場合,十分に活用する前に,受験勉強を継続することができない状況に陥ってしまいましたが…。『条文・判例本』に限らず,択一六法は,人によっては必ずしも常に使用するものではないのかもしれませんが,とりわけ試験直前期に繰り返し読むことによって効果が発揮される教材だと思います。私は,今度,択一六法を揃えるなら,早稲田経営出版『逐条テキスト』シリーズを購入しようと考えています。次回は,基本書の読み方について。それでは。
2018.02.03
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東京リーガルマインド『C-Book(PROVIDENCEシリーズ)』私が法科大学院に入学した当時,周りの同級生のほとんどが何かしらの予備校本テキストを持っていたので,これは私も何か購入しなければと思い,このシリーズを揃えました。ただ,その際の選び方が,人と違って少しユニークでした。それは,いわば連想ゲームのようなものですが,C-Book = シーブック → シーブック・アノー(Seabook Arno) ※ 機動戦士ガンダムF91の主人公PROVIDENCEシリーズ = プロヴィデンス → プロヴィデンスガンダム ※ 機動戦士ガンダムSEEDに登場する機体とういうことで,ガンダム好きの私は,何てガンダムに縁の深い教材なんだろうと感激し,C-Bookを選んだのです。予備校本はどれも大差ないと聞かされていたので,ガンダムに準えて選ぶのもありかなと思いまして。もっとも,法科大学院ではいつも課題に忙殺されていて,本書を読み込む時間は全くなかったので,結局,在学中は論証を参考にするくらいでしたが…。でも,何かと便利なので,今でも受験勉強に取り組む際には,手元に置いて時々参照しています。ただし,最新版はどうか分かりませんが,基本的には様々な基本書・参考書の良いとこ取りで作られている教材なので,論理的一貫性に関しては保証できません。次回は,『条文・判例本』シリーズについて。それでは。
2018.02.02
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予備校本については,多くを語れるほど読み比べたことがないので,それほど詳しくはありません。この点,予備校本もしっかりと詳細に比較すれば厳密には一長一短があるのでしょうが,そこを究めようとすると純粋な司法試験の受験勉強からは遠ざかるような気がします。私は,予備校本を使うのであれば,自分の肌に合うものを選べばよいと思っています。ところで,冒頭から安易に“予備校本”という言葉を使ってしまっていますが,一口に“予備校本”といっても様々な用途・種類のものが世に出ています。第1に,テキストとして使うもの。これには,伊藤 真『伊藤真試験対策講座』シリーズ(弘文堂),通称シケタイ東京リーガルマインド『C-Book』シリーズの2つが始めに挙げられるでしょう。そのほかには『デバイス』シリーズ(早稲田経営出版)がありますが,これは『コンパクトデバイス』 → 『デバイス・ネオ』と書名を変えた後,最近は改訂されていないようです。もっとも,私が法科大学院に在籍していた当時はなお根強い人気があったようで,少数ながら好んで使っている人がいました。第2に,短答式試験対策用のもの。これには,東京リーガルマインド『完全整理 択一六法』シリーズ,通称完択辰已法律研究所『条文・判例スタンダード』シリーズ(旧『条文・判例本』シリーズ)早稲田経営出版『逐条テキスト』シリーズ,通称逐テキなどがあります。第3に,論文式試験対策用のもの。これには,辰已法律研究所『趣旨・規範ハンドブック』シリーズ工藤北斗『工藤北斗の合格論証集』シリーズ(法学書院)などがあります。そのほか,過去問集,問題集,副読本も含めたら,枚挙に暇がありません。この流れで,次回は『C-Book』シリーズについて。それでは。
2018.02.01
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