全31件 (31件中 1-31件目)
1
![]()
西田典之・山口 厚・佐伯仁志・橋爪 隆『判例刑法 総論』[第7版](有斐閣,2018)552頁※最新版は2023年3月発売の第8版西田典之・山口 厚・佐伯仁志・橋爪 隆『判例刑法 各論』[第7版](有斐閣,2018)562頁※最新版は2023年3月発売の第8版元東京大学名誉教授の西田典之元教授,東京大学名誉教授・最高裁判所判事の山口厚判事,東京大学法科大学院教授の佐伯仁志教授,同じく東京大学法科大学院教授の橋爪隆教授の4名の共著による判例集。総論は,平成25年の刑の一部執行猶予の新設に対応しています。各論は,平成29年の性犯罪規定の改正に対応しています。総論に約400件,各論に約600件,合計で1000件以上の判例が収録されています。本書は,基本的に,事案 → 判決理由・決定理由という順序で構成されていますが,判決理由・決定理由の中で十分に事実関係が説明されている判例については,事案の説明が省略されています。解説は付いていません。したがって,一般的な判例集よりもケースブックに近い性格の教材です。第6版の総論には判例番号が1~446まで,同じく第6版の各論には判例番号が1~609までありますが,異なる項目で同一の判例を扱っていることもあるので,その重複している判例を除くと,正確には,総論には426件,各論には588件の判例が収録されていることになります。改訂の際には,毎回,新規の新判例を追加するとともに,先例としての価値が無くなった判例や理論的な重要性が無くなったと思われる判例を削除していますが,通常は削除判例よりも新規追加判例の方が多いので,最新第7版には,上記の第6版の収録判例数よりも若干多い判例が収録されているものと思われます。第6版までは,執筆者を代表して西田元教授がはしがきを書かれていましたが,第6版を上梓して間もなく不帰の客となってしまいました。最新第7版では,西田元教授と入れ替わるように橋爪教授が新たな著者の1人として名を連ねています。本書は,刑法の学習用判例集の中では最も収録判例数の多い教材なので,受験勉強の際には,たとえ旧版でも手元にあると何かと重宝すると思います。次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.31
コメント(0)
![]()
西口竜司 編著・小田紗織・城戸直樹 著『ファーストステップ 改正民法』(中央経済社)172頁2018年(平成30年)8月14日に発売されました。
2018.08.30
コメント(0)
![]()
山口 厚・佐伯仁志 編『刑法判例百選Ⅰ 総論』[第7版](有斐閣,2014)224頁 ※最新版は2020年11月発売の第8版山口 厚・佐伯仁志 編『刑法判例百選Ⅱ 各論』[第7版](有斐閣,2014)264頁 ※最新版は2020年11月発売の第8版判例百選シリーズの刑法。東京大学名誉教授・最高裁判所判事の山口厚判事と東京大学法科大学院教授の佐伯仁志教授の編集による判例集。総論は,平成25年の刑の一部執行猶予の新設には対応していません。各論は,平成29年の性犯罪規定の改正には対応していません。Ⅰに106件,Ⅱに126件,合計で232件の判例が収録されています。刑法の判例集としては,収録判例が少なすぎると思います。少なくとも,他の判例百選のようにAppendixを設けるべきなのではないでしょうか。また,解説が玉石混淆なのは他の判例百選も同じようなものですが,本書の解説においてはそのバラつきが特に顕著に表れているように感じます。これは,おそらく,解説者に行為無価値論者と結果無価値論者が入り交じっているということだけでなく,解説者によって主張する見解が様々であることが大きく影響しているためだと思います。幸い刑法の判例集には他にも選択肢がいくつかあるので,本書が肌に合わないと感じる人は,他の好みに合う判例集を選べばよいでしょう。ちなみに,第6版のはしがきにおいて,佐伯教授は以下のように述べています。「判例百選という絶妙な形式は,百人一首に由来するのではないかと密かに想像しているのだが,百人一首で,誰もが好きな歌(札)を持っているように,刑法判例百選で,自分の好きな判例や解説を見つけてみるのも楽しいであろう。」これを読んだ時,正直,私は,「受験生は,お気に入りの解説を見つける楽しみなんて望んでいないんだよ。もっと編集方針をしっかり統一して,どの解説を読んでも遜色ないように一定のクオリティを維持してくれよ。」と思わず嘆いてしまいました。本書の愛用者の中で,もし気に障った方がいらっしゃったら申し訳ございません。でも,このように考えている受験生は,私以外にも少なからずいるのではないでしょうか。とにかく,本書が私の好みに合わないことだけは確かです。次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.29
コメント(0)
![]()
平野裕之『債権各論Ⅰ 契約法』(日本評論社)528頁2018年(平成30年)8月28日に発売されました。
2018.08.28
コメント(0)
![]()
前田雅英『最新重要判例250 刑法』[第11版](弘文堂,2017)296頁※第12版は2020年4月発売※第13版は2023年3月発売※最新版は2026年4月発売の第14版元首都大学東京法科大学院教授で,現在は日本大学法科大学院教授の著者による判例集。平成25年の刑の一部執行猶予の新設には対応していますが,平成29年の性犯罪規定の改正には対応していません。264件の判例が収録されています。本書は,基本的に2年ごとのサイクルで改訂されており,その間に出た重要な最新判例を追加して収録しています。黒と青の2色刷りで,重要部分はゴシック体で強調されており,1判例につき1頁に収められています。論点,事実,判旨,解説で構成されており,解説では,理論的に踏み込むことはせず,主に事実認定と関連判例について記述されています。項目に挙げられている判例は264件ですが,解説で相当数の判例が引用されているので,大審院・最高裁の判例だけでなく地裁・高裁の裁判例も含めると700件~800件の判例が収録されていることになります。私は,本書をメインの判例集として使用しています。刑法の判例集にはいくつか選択肢がありますが,私は,基本書として前田講義を使用しているので同じ著者の判例集で揃えたかったこと,最新判例だけでなく解説にリーディングケースの判例もしっかりと引用されていること,解説に引用されている判例も含めると十分な収録判例数であることなどを勘案した結果,本書をメインの判例集に選びました。なお,本書は2年ごとに改訂されていますが,新判例は重要判例解説などによる補充で事足りるでしょうから,その度に買い替える必要はないと思います。本書のほかに,著者による警察学論集での連載を整理し直して書籍化した判例解説集として,前田雅英『刑事法最新判例分析』(弘文堂,2014)386頁があります。こちらは,構成は最新重要判例250とほぼ同じですが,事実と判旨がより詳細で,解説では実務的観点がさらに強く意識されています。基本的に1講につき1件ないし2件の基本判例を取り上げており,全部で50講あります。また,刑事法というだけあって,刑法だけでなく刑事訴訟法の最新判例も扱っています。参考までに本書の項目一覧を挙げておきます。第1編 刑法総論 第1講 実行行為の把握と故意 第2講 構成要件の実質的解釈―公務員の政治活動 第3講 明確性の理論と合憲的限定解釈 第4講 刑法上の因果関係の判断基準 第5講 児童買春周旋罪と「未成年」であることの認識 第6講 事故調査と過失責任 第7講 欠陥車事故・電車事故と企業・組織の責任 第8講 過失犯における結果の予見可能性の認定 第9講 実行行為の特定と正当防衛 第10講 誤想過剰防衛 第11講 刑事責任能力 第12講 共謀共同正犯とその認定 第13講 経済事犯と正犯・共同正犯 第14講 承継的共同正犯 第15講 不作為の共同正犯 第16講 幇助犯の成立要件 第17講 間接正犯と共同正犯と教唆 第18講 死 刑第2編 刑法各論 第19講 傷害の意義 第20講 危険運転致死傷罪の現状 第21講 保護責任者遺棄致死罪の認定 第22講 住居侵入罪の理解の変化 第23講 ネット社会と名誉毀損 第24講 秘密の刑事法的保護 第25講 警察官の職務と業務妨害罪 第26講 「法は家庭に入らず」の変容 第27講 利益強盗罪について 第28講 詐欺罪の「欺く行為」とその個数 第29講 刑法246条の2と虚偽の情報 第30講 OA機器と文書偽造 第31講 児童ポルノとわいせつ物とネット犯罪 第32講 売春防止法の「周旋」の解釈第3編 刑事訴訟法 第33講 裁判員裁判の合憲性 第34講 捜査と違法収集証拠排除 第35講 所持品検査の限界 第36講 令状執行のための留め置き行為の適法性 第37講 公訴権の適切な行使 第38講 重大な捜査の違法性があるとされた最近の判例 第39講 届出義務と黙秘権 第40講 サイバー犯罪に関する法改正と捜査方法 第41講 訴因変更の要否 第42講 故意と共謀の認定 第43講 犯行再現写真の使用方法と証拠能力 第44講 刑事訴訟法321条1項の「供述不能」の解釈 第45講 自白の任意性と自白獲得方法の違法性 第46講 黙秘権の不告知と供述の証拠能力 第47講 犯罪事実の証明 第48講 同種前科による証明 第49講 控訴審と上告審の判断のあり方―専門性と国民の意識の調整 第50講 控訴審の審判の対象―本位的訴因と予備的訴因次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.27
コメント(0)
![]()
平野裕之『コア・テキスト 民法Ⅵ 事務管理・不当利得・不法行為』[第2版](新世社)352頁2018年(平成30年)5月31日に発売されました。
2018.08.26
コメント(0)
![]()
前田雅英 編集代表・松本時夫·池田 修·渡邉一弘·大谷直人·河村 博 編『条解 刑法』[第3版](弘文堂,2013)912頁※第4版(訂正表)は2020年12月発売※第4版補訂版は2023年3月発売※最新版は2025年6月発売の第5版条解シリーズの刑法。元首都大学東京法科大学院教授で,現在は日本大学法科大学院教授の前田雅英教授が編集代表を務めています。編集委員は,元広島高等裁判所長官・元桐蔭横浜大学法科大学院教授の松本時夫弁護士,元福岡高等裁判所長官の池田修元判事,元最高検察庁検事・元東海大学法科大学院教授の渡邉一弘弁護士,今年から第19代最高裁判所長官を務めている大谷直人判事,元最高検察庁検事・同志社大学法学部教授の河村博教授の5名です。平成25年の刑の一部執行猶予の新設には対応していますが,平成29年の性犯罪規定の改正には対応していません。また,本文は平成25年の「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」の制定に伴う改正には対応していませんが,これに対応する追補が弘文堂ホームページにアップされています。『条解 民事訴訟法』は研究者が中心となって編纂されていたのに対して,本書は,執筆者のほとんどが実務家であり,さらにその大部分が裁判官で占められています。実務における刑法の考え方を提示することを目的としているコンパクトな注釈書であり,他方,現実の事案を離れた理論的な問題について研究することは本書の目的ではないので,学説の引用は最小限度で,重要な論点に限って各種の見解があることを紹介するに止められています(はしがき参照)。本書は,主に実務家向けに書かれているようにも感じますが,法科大学院生や研究者も利用者として想定しているとのことです。学生や司法試験受験生向けの学習用コンメンタールではありませんが,参考書として非常に有用であり利用する価値があると思います。私も,本書の第2版を参考書として使っています。なお,新品はそれなりに高額ですが,旧版の中古本であれば1000円以内で購入できるでしょう。次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.25
コメント(0)
![]()
平野裕之『コア・テキスト 民法Ⅴ 契約法』[第2版](新世社)424頁2018年(平成30年)3月26日に発売されました。
2018.08.24
コメント(0)
![]()
山中敬一『刑法総論』[第3版](成文堂,2015)1224頁山中敬一『刑法各論』[第3版](成文堂,2015)944頁関西大学名誉教授の著者による体系書。結果無価値論の立場を採っています。総論は,平成25年の刑の一部執行猶予の新設に対応しています。各論は,平成29年の性犯罪規定の改正には対応していません。本書は,法学部生や法科大学院生に向けて書かれた基本書ではなく,総論だけでも1200頁以上,各論も1000頁近い分量を誇る浩瀚な刑法学の体系書です。初版は総論,各論ともに2分冊で計4冊でしたが,第2版から総論も各論も合本されてそれぞれ1冊になりました。どちらかと言えば結果無価値論に分類されますが,正確には,結果無価値と危険無価値によって違法性を判断しており,結果無価値論に近いけれども違法性一元論ではないという独自の立場を採っています。また,全面的に客観的帰属論を採用しているほか,様々な論点において独自の見解を主張しています。ちなみに,著者は,日本における法学博士の博士号を取得しているだけでなく,ドイツのゲッティンゲン大学の名誉博士号も授受しており,ドイツ語の著書および論文も多数発表しています。本書は,司法試験の受験勉強に用いるにはあまりにもオーバースペックであるため,通読用の基本書として使用する類の教材ではありません。特に,総論の方は参考書にするにも分量が多すぎるくらいです。したがって,研究者を目指さない限りは,あまり手に取る必要のない本だと思います。もっとも,大抵の論点に関する記述は載っているので,法科大学院で刑法理論の難しい課題が出された際には参照すると良いかもしれません。なお,著者は,概説書として,山中敬一『刑法概説Ⅰ[総論]』(成文堂,2008)292頁※最新版は2022年4月発売の第2版山中敬一『刑法概説Ⅱ[各論]』(成文堂,2008)286頁※最新版は2023年4月発売の第2版の2冊も刊行しています。こちらは2008年(平成20年)に出版された本なので最近の法改正には対応していませんが,この2冊であれば基本書として使える分量だと思います。ただ,10年前に出された本書を今になってあえて基本書として使用するメリットはあまりないかもしれません。次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.23
コメント(0)
![]()
河瀬 厚『予備試験 一般教養 実戦問題集』[第3版](法学書院)339頁2018年(平成30年)8月11日に発売されました。
2018.08.22
コメント(0)
![]()
木村光江『刑法』[第4版](東京大学出版会,2018)480頁首都大学東京法科大学院教授の著者による基本書。著者は,前田雅英教授の弟子で,新司法試験の考査委員を務めていた経験があります。結果無価値論の立場を採っています。平成25年の刑の一部執行猶予の新設および平成29年の性犯罪規定の改正に対応しています。本書は,研究者の著書としては珍しく1冊で刑法全体を網羅しています。最新第4版では,各項目末尾に付いていたまとめがなくなりました。著者は前田教授の弟子なので本書と前田講義との相性は良く,また,前田講義を基本書にしている人が本書をまとめ本として使用するのもよいと思います。なお,著者は,演習書として,木村光江『演習刑法』[第2版](東京大学出版会,2016)480頁も刊行しています。本書には,司法試験の論文式試験と同形式の長文事例問題が23問収録されています。本書は,設問 → 論点の整理 → 解答の筋道 → 解答例 → 解説 → 参考判例という順で構成されており,総論14問,各論9問の各問題につき,解法のポイントを重要判例とあわせて丁寧に解説するとともに解答への筋道を明快に示しており,そのうえ模範答案も掲載しています。著者の本を基本書にしている受験生は,本書を一緒に利用することで学習効果が格段に上がることでしょう。また,前田講義とも相性が良いので,前田講義を使用している受験生にも向いている演習書だと思います。最後に,参考までに収録問題の項目一覧を挙げておきます。第Ⅰ部 総論問題 第1講 実行行為と結果 第2講 実行行為・中止犯 第3講 因果関係 第4講 不作為犯 第5講 被害者の承諾 第6講 挑発行為と正当防衛 第7講 誤想過剰防衛 第8講 原因において自由な行為 第9講 不作為と共犯 第10講 過剰防衛と共同正犯 第11講 共同正犯と幇助 第12講 間接正犯と教唆犯 第13講 共犯と離脱・錯誤 第14講 共犯と罪数 第Ⅱ部 各論問題 第15講 業務妨害罪 第16講 不法領得の意思 第17講 窃盗罪 第18講 強盗罪 第19講 詐欺罪 第20講 横領罪・背任罪 第21講 放火罪 第22講 文書偽造罪 第23講 賄賂罪次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.21
コメント(0)
![]()
反町義昭『司法試験 体系的問題解析 刑法』(成文堂)338頁2018年(平成30年)5月2日に発売されました。
2018.08.20
コメント(0)
![]()
西田典之『刑法総論』[第二版](弘文堂,2010)476頁※第三版は2019年3月発売※最新版は2025年4月発売の第四版西田典之 著・橋爪 隆 補訂『刑法各論』[第七版](弘文堂,2018)588頁※最新版は2025年4月発売の第八版元東京大学名誉教授の著者による基本書。著者は,旧司法試験の考査委員を務めていました。また,日本刑法学会理事長を務めていた経験もあります。2008年に東京大学を退職してからは学習院大学法科大学院で教鞭を執っていましたが,在職中の2013年に心不全により泉下の客となりました。各論の補訂を行っている橋爪教授は,東京大学法科大学院教授で,著者の弟子です。結果無価値論の立場を採っています。総論は,平成25年の刑の一部執行猶予の新設には対応していません。各論は,平成29年の性犯罪規定の改正に対応しています。総論は,東京大学における2001年度(平成13年度)の刑法総論の講義を録音したものが元になっており,これに加筆・修正する形でできあがっています(はしがき参照)。したがって,随所に講義録的要素が色濃く表れており,この点には分かりやすいという声と記述が冗長であるという声の賛否両論があります。また,各論と比べると,総論では少数説を採用していることが少なからずあるため,著者の総論と各論をセットで利用している受験生は思いのほか多くないようです。一方,各論の基本書としての出来は素晴らしく,刑法各論の基本書の中で最も定評のある1冊であると言われています。私の在籍していた法科大学院でも,本書が刑法各論のテキストとして指定されていました。最新第七版への改訂では,橋爪教授がどのように補訂するかに耳目が集まっていましたが,結果的には,①基本的に第六版までの記述を原形のまま残すが,新法令や法改正については本文に修正を施す②第六版刊行以降の判例・裁判例については,本文とは異なるレイアウトで追記する③橋爪教授の個人的な見解については補訂に反映させることを避け,客観的な記述に徹するという方針で補訂が行われたようです(はしがき参照)。西田各論はとりわけ文章表現が分かりやすく素晴らしい点が好評であるがゆえに受験生から支持を集めていたので,原則として本文に手を加えないという今回の補訂に愛用者は胸をなでおろしたようです。なお,総論との体裁の相違点として,各論では条文が四角の囲みで引用されて載っていることが挙げられます。ちなみに,本書のはしがきは総論,各論とも必ず3月に書かれており,その末尾には「雛祭りの前夜に」の一言が添えられていますが,これは,雛祭りの3月3日の前日,つまり3月2日が著者の誕生日であることによるものだそうです。次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.19
コメント(0)
![]()
大塚 仁・河上和雄・中山善房・古田佑紀 編『大コンメンタール刑法 第13巻〈第246条~第264条〉』[第三版](青林書院)930頁2018年(平成30年)8月2日に発売されました。
2018.08.18
コメント(0)
![]()
山口 厚『刑法総論』[第3版](有斐閣,2016)462頁※最新版は2025年8月発売の第4版山口 厚『刑法各論』[第2版](有斐閣,2010)690頁※ただし2012年1月に補訂あり※最新版は2024年8月発売の第3版東京大学名誉教授で,同大学退職後に早稲田大学法科大学院教授を経て,現在は最高裁判所判事を務める著者による基本書。著者は,長年,旧司法試験および新司法試験の考査委員を務めていました。また,日本刑法学会理事長,司法試験委員会委員長などの要職を歴任しています。結果無価値論の立場を採っています。総論は,平成25年の刑の一部執行猶予の新設に対応しています。各論は,平成29年の性犯罪規定の改正には対応していません。なお,総論については平成29年の性犯罪規定の改正に対応する補遺が,各論については平成25年の「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」の制定に伴う改正および平成29年の性犯罪規定の改正に対応する補遺が,それぞれ有斐閣ホームページにアップされています。総論は,概説書としては比較的薄いですが,それは従来の基本書では論じられている基本的事項を大幅に省いているためです。したがって,従来の議論を全く知らない初学者が読み熟すのは非常に困難です。また,初版および補訂版では,実行行為という用語の使用を排しているばかりでなくそれを構成要件要素としないなど,それまでの判例・通説とは著しく異なる独自の主張が見られましたが,版を重ねるごとに判例の見解に沿うように改説された結果,受験対策用の教材としては非常に使いやすくなりました。各論は,収録判例数が非常に多く,論点および学説も網羅的に扱っており,情報量が大変豊富です。著者自身も各論の方が教科書としての完成度に自信があるとコメントしている通り,総論よりも各論の方が基本書としての出来は良いと思います。なお,条文は本文の中に組み込まれて記述されており,総論・各論ともに巻末に刑法条文索引が付されています。本書に対して,著者が刑法全体を1冊で著したのが,山口 厚『刑法』[第3版](有斐閣,2015)548頁※最新版は2025年2月発売の第4版です。通称山口青本。本書は,主に初学者や法科大学院の未修者を対象として,判例・通説の解説に主眼を置いて著されています。しかし,広く浅い記述であるため必然的に行間を読むことが要求されるので,初学者が本書を読んでも刑法を完全に理解することは難しいでしょう。よって,本書は初学者が1冊目に読む入門書には適しておらず,むしろ,宇賀『行政法』や潮見『民法(全)』などの1冊本と同じように,一通り勉強が終わった人が使う“再入門”書として,主にまとめ本の用途において効果を発揮する教材だと思います。なお,本書は平成29年の性犯罪規定の改正には対応していませんが,その点に関する補遺が有斐閣ホームページにアップされています。また,著者は刑法の論点解説集として,山口 厚『問題探究 刑法総論』(有斐閣,1998)302頁山口 厚『問題探究 刑法各論』(有斐閣,1999)358頁の2冊も刊行しています。この2冊は約20年前に出版されたものなので,当然のことながら最近の法改正には対応していません。それでも,今もなお本書は学術的に好評嘖々であり,立教大学法学部教授の小林憲太郎教授は,島田聡一郎・小林憲太郎『事例から刑法を考える(法学教室ライブラリィ)』[第3版](有斐閣,2014)518頁において,本書は日本刑法学史における最も重要な業績であるとまで述べています。もっとも,現在では改説されている論点も多数あるようです。次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.17
コメント(0)
![]()
川端 博『レクチャー 刑法各論』[第5版](法学書院)313頁2018年(平成30年)3月1日に発売されました。
2018.08.16
コメント(0)
![]()
高橋則夫『刑法総論』[第3版](成文堂,2016)624頁※第4版は2018年10月発売※最新版は2022年10月発売の第5版高橋則夫『刑法各論』[第2版](成文堂,2014)772頁※第3版は2018年10月発売※第4版は2022年10月発売※最新版は2025年7月発売の第5版早稲田大学法学部教授の著者による基本書。著者は,2017年まで,長年,司法試験の考査委員を務めていました。行為無価値論の立場を採っています。総論は,平成25年の刑の一部執行猶予の新設に対応しています。各論は,平成29年の性犯罪規定の改正には対応していません。なお,総論第3版第1刷には30箇所以上の訂正があったため,成文堂ホームページに正誤表がアップされています。本書は,いわゆる新しい行為無価値論の立場から記述されています。最新の学説における議論に対応しており,行為無価値論の最先端を行く概説書となっています。本書における判例の紹介は,事案の説明が詳細なうえに判決文・決定文の引用が非常に長く,さらに判例解説も十分な分量なので,判例集が要らないと言えるほど充実しています。それだけに止まらず,判例の収録数も大変多く,また,論点および学説の網羅率も高いので,基本書としてだけでなく参考書としても使用できるクオリティの教材に仕上がっています。もっとも,本書では“行為規範”と“制裁規範”という独自の規範論を中心に論理が展開されており,結論は判例・通説と同じであることが多いものの,その論証過程には判例との若干の乖離が見られます。とりわけ“制裁規範”という言葉を論文式試験において使用した場合,高い評価を得られるかどうか予測できないところがあるため,本書の論証をそのまま用いるのには相応の注意が必要だと考えられます。また,因果関係における客観的帰属論,過失における新々過失論を始め,伝統的な行為無価値論とは異なる見解を採用しているところもあります。しかし,上記の点に留意すれば,なお,本書は基本書として使用する価値のある有用な教材であると言えるでしょう。ちなみに,本書の客観的帰属論に関する記述は秀逸であり,一読の価値があると思います。次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.15
コメント(0)
![]()
松宮孝明『刑法各論講義』[第5版](成文堂)558頁2018年(平成30年)8月13日に発売されました。
2018.08.14
コメント(0)
![]()
松宮孝明『刑法総論講義』[第5版補訂版](成文堂)420頁2018年(平成30年)8月13日に発売されました。
2018.08.13
コメント(0)
![]()
井田 良『講義刑法学・総論』(有斐閣,2008)622頁※最新版は2018年10月発売の第2版井田 良『講義刑法学・各論』(有斐閣,2016)676頁※第2版は2020年12月発売※最新版は2023年12月発売の第3版慶應義塾大学名誉教授で,現在は中央大学法科大学院教授の著者による基本書。著者は,旧司法試験および新司法試験の考査委員を務めていました。行為無価値論の立場を採っています。総論は,第6刷以前は平成25年の刑の一部執行猶予の新設に対応していませんが,第7刷(2014年12月)以降は対応しています。平成25年の刑の一部執行猶予の新設に伴う総論の記述の修正については,有斐閣ホームページに補遺がアップされています。各論は,平成29年の性犯罪規定の改正には対応していません。平成29年の性犯罪規定の改正に伴う各論の記述の修正については,有斐閣ホームページに差替えPDFデータがアップされています(差替えPDF①・差替えPDF②・差替えPDF③)。著者は,伝統的な行為無価値論とは異なる新しい行為無価値論を主張しており,本書もその立場から記述されています。井田説は,もともと行為無価値論の中でも独自色の強い理論的に高度な主張を多分に含むものですが,翻って,本書はあくまで学生向けの概説書として著されています。したがって,判例・通説の説明はきちんとされているので,基本書としても安心して使用することができるようになっています。もちろん自説の主張もありますが,その際にはその旨を明らかにしたうえで論理的に明快に説明しているので,理解に苦しむような心配はほとんどありません。さらに,判例,論点,学説のいずれも豊富に取り扱っており,情報量が非常に多いことから,基本書,参考書,いずれの用途にも使用できる教材だと言えます。本書は,行為無価値論の立場を採っている基本書の中では,現在,最良の選択肢の1つに位置づけられるべきものだと思います。なお,井田説を前面に押し出した本としては,『現代刑事法』での連載を書籍化した,井田 良『刑法総論の理論構造』(成文堂,2005)488頁があります。これは2005年(平成17年)に出版されたものなので,当然のことながらそれ以降の法改正には対応していません。また,刑法総論の概説書として書かれたものでもないので,基本書として用いるには不向きです。例えるなら『問題探究 刑法総論』の行為無価値版といった趣の本であり,すなわち,その実は刑法総論の論点解説集です。ただ,理論刑法学としての井田説を理解したい人にとっては必読の書と言えるでしょう。そのほかにも,『法学教室』における「ゼロからスタート☆刑法“超”入門講義」のタイトルの連載を書籍化した入門書として,井田 良『入門刑法学 総論(法学教室ライブラリィ)』(有斐閣,2013)288頁※最新版は2018年11月発売の第2版井田 良『入門刑法学 各論(法学教室ライブラリィ)』[第2版](有斐閣,2018)282頁が出版されています。次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.12
コメント(0)
![]()
西田典之・山口 厚・佐伯仁志・橋爪 隆『判例刑法 各論』[第7版](有斐閣)562頁2018年(平成30年)3月23日に発売されました。
2018.08.11
コメント(0)
![]()
西田典之・山口 厚・佐伯仁志・橋爪 隆『判例刑法 総論』[第7版](有斐閣)552頁2018年(平成30年)3月23日に発売されました。
2018.08.10
コメント(0)
![]()
大谷 實『刑法講義総論』[新版第4版](成文堂,2012)632頁※新版第5版は2019年5月発売※最新版は2025年3月発売の新版第6版大谷 實『刑法講義各論』[新版第4版補訂版](成文堂,2015)720頁※最新版は2019年12月発売の新版第5版同志社大学名誉教授で,第17代同志社総長を務めた著者による基本書。著者は,1982年(昭和57年)から1995年(平成7年)まで旧司法試験の考査委員を務めていました。弟子には,『基本刑法Ⅰ・Ⅱ』の著者の1人である十河太朗教授がいます。行為無価値論の立場を採っています。総論は,平成25年の刑の一部執行猶予の新設には対応していません。各論は,本文では平成29年の性犯罪規定の改正には対応していません。なお,平成29年の性犯罪規定の改正に対応するための追補が成文堂ホームページにアップされており,ダウンロードすることができるようになっています。本書は,最新の学説における議論には対応していない部分もありますが,収録判例数は比較的多く,基本書としての情報量は豊富な部類に入ると思います。また,著者自身がはしがきにおいて実務との関連を意識していると述べている通り,とりわけ各論では判例と同じ結論を採っていることが多く,比較的穏当な内容になっています。本書は,旧司法試験の時代には刑法の定番の基本書でした。しかし,現在では利用者はあまりいなくなっているようです。もっとも,著者は80歳を超えて高齢となりましたが,最近もできる限り改訂は行われていますので,内容が古くなって利用者が減少していったというわけではないようです。むしろ,前田講義,講義案,西田各論,基本刑法など,その時々の司法試験の出題傾向によりフィットした基本書の登場によって利用者を奪われていったと表現した方が正確かもしれません。ちなみに,私が法科大学院に在籍していた時には,すでに本書の利用者は学年に1人いるかいないかといった状況でした。なお,本書を判例・通説中心にコンパクトにまとめた概説書として,大谷 實『刑法総論』[第5版](成文堂,2018)352頁大谷 實『刑法各論』[第5版](成文堂,2018)464頁の2冊が刊行されています。通称大谷の薄い方。最新の第5版は出版されて間もないので,平成25年の刑の一部執行猶予の新設にも,平成29年の性犯罪規定の改正にも対応しています。次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.09
コメント(0)
![]()
井田 良『入門刑法学 各論(法学教室ライブラリィ)』[第2版](有斐閣)282頁2018年(平成30年)3月30日に発売されました。
2018.08.08
コメント(0)
![]()
大塚裕史・十河太朗・塩谷 毅・豊田兼彦『基本刑法Ⅰ 総論』[第2版](日本評論社,2016)524頁※最新版は2019年3月発売の第3版大塚裕史・十河太朗・塩谷 毅・豊田兼彦『基本刑法Ⅱ 各論』[第2版](日本評論社,2018)610頁※第3版は2023年4月発売※最新版は2024年12月発売の第4版神戸大学名誉教授・明治大学法科大学院教授の大塚裕史教授,同志社大学法科大学院教授の十河太朗博士,岡山大学法学部教授の塩谷毅博士,大阪大学法科大学院教授の豊田兼彦博士の4名による共著の基本書。行為無価値論の立場を採っています。総論は,平成25年の刑の一部執行猶予の新設に対応しています。各論は,平成29年の性犯罪規定の改正に対応しています。本書は,総論は講義案と,各論は西田各論とそれぞれ人気を二分している,現在,司法試験受験生に最も支持されている基本書の1つです。総論は,「基礎から司法試験まで『判例実務』の視点から刑法を学ぶ画期的なテキスト。豊富な事例と設問を使い、徹底してわかりやすく解説。」の謳い文句で,各論は,「『基本構造』『重要問題』の2段階で理解!具体的な事例を通し、判例実務の考え方をしっかり理解できる画期的なテキスト。基礎知識から受験に必要な内容まで、徹底してわかりやすく解説。」の謳い文句で売り出しています。本文は,学説の説明 → 判例の見解 → 判断要素のまとめという構成で記述されています。著者の1人の大塚教授曰く,本書は,学説から出発する理論刑法学ではなく,判例・実務から出発する実務刑法学の立場に立ったものであるとのことです(法セミ729号74頁参照)。したがって,判例の立場を支持したうえで,判例理論を内在的に解説することに主眼が置かれており,学説の対立については,受験対策上,必要な範囲において記述されているにすぎません。各論に特有の特徴として,各論は定義編と論点編に分かれており,論点編では収録している事例における論点を検討する方式を採っています。また,2冊とも本文に設問を掲載していますが,その設問だけを抜粋して集めた簡易問題集が日本評論社ホームページで公開されています(総論の簡易問題集・各論の簡易問題集)。本書は,司法試験のために著された基本書と言っても過言ではなく,とりわけ共著が嫌でなければ1番最初に基本書としての使用を検討すべき教材だと思います。それにしても,法科大学院あるいは法学部で教鞭を執っている現役の研究者が集まって,法曹を志す受験生のために判例・実務の立場を前提とした司法試験の受験対策に特化した基本書を書いてくださるとは,受験生にとっては至れり尽くせりの良い時代になったものです。次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.07
コメント(0)
![]()
木村光江『刑法』[第4版](東京大学出版会)480頁2018年(平成30年)3月16日に発売されました。
2018.08.06
コメント(0)
![]()
裁判所職員総合研修所 監修『刑法総論講義案』[四訂版](司法協会,2016)483頁通称講義案または書研の刑法総論。本書は,裁判所書記官研修所(現在の裁判所職員総合研修所)における裁判所書記官向けの講義レジュメを基に書かれています。その講義レジュメを作成したのが,元大阪高等裁判所判事で,退官後には同志社大学法科大学院で教鞭を執っていた杉田宗久元教授です。杉田元教授は,2009年に小室哲哉氏による著作権譲渡詐欺事件において第一審の裁判長を務めたことでも有名な方でしたが,同志社大学法科大学院教授に就任して間もない2013年(平成25年)の年末に57歳の若さで泉下の客となりました。したがって,四訂版への改訂は,他の裁判所職員総合研修所教官を務める判事の方が行っているものと思われます。行為無価値論の立場を採っています。平成25年の刑の一部執行猶予の新設に対応しています。本書は,主に裁判所書記官の研修で使用することを想定したテキストなので,学説が対立するような理論的に高度な部分には踏み込まず,判例・通説に基づいて記述されています。本書の三訂版には,教科書の参考文献として,大塚仁,大谷實,川端博,曽根威彦,団藤重光,中野次雄,中山研一,平野龍一,福田平,藤木英雄,前田雅英(50音順)のそれぞれの著書が挙げられているので,学説と関連の深い論点については,行為無価値論を採っている団藤説や大塚説などの判例と親和性の高い伝統的通説を土台にしているものと思われます。四訂版への改訂では,三訂補訂版以降の法改正に伴う修正や新判例の補充だけでなく,因果関係における危険の現実化,正当防衛における退避義務論,中立的行為による幇助などといった近時の学説の展開を踏まえつつ,大幅な加筆修正が行われました。本書は,現在もなお,最も人気のある刑法総論の基本書の1つです。私が在籍していた法科大学院でも,刑法総論のテキストとして本書が指定されていました。分かりやすく非常に説得的な文章で記述されており,必要に応じて図表も挿入されています。ただ,判例を中心に記述されてはいるものの,収録判例はあまり多くありませんし,とりわけ新判例の収録数は他の基本書と比べると少ないように感じられます。また,判例索引が付いていないのも不便です。このように,収録判例数の少なさや判例索引が付されていないといった多少の難点は確かにあります。しかし,それらに目を瞑ってでも,なお一読の価値があるという評価には疑う余地はありません。司法試験の受験生ならば,基本書に位置づけないまでも,1度は読んだ方がよいと言える1冊だと思います。次回も,刑法の教材を紹介します。それでは。
2018.08.05
コメント(0)
![]()
園部 厚『実務解説 民事執行・保全入門』(民事法研究会)379頁2018年(平成30年)8月3日に発売されました。
2018.08.04
コメント(0)
![]()
新美育文・長坂 純・難波譲治・川地宏行・武川幸嗣・青木則幸 編著『民法[財産法]基本判例』(有斐閣)410頁2018年(平成30年)8月3日に発売されました。
2018.08.03
コメント(0)
2018年1月31日付の使用教材一覧 参考書編の記事の最後で,「次回は,使用教材一覧の演習書編といきたいところですが,私自身,受験勉強を再開してから論文対策の演習にはまだ取り組んでおらず,演習書は,教材の候補はほぼ固まってはいるものの,未だ購入・使用には至っていません。」と当時の現状を説明していました。そして,現在も勉強の進捗状況はそこまで変わっておらず,まだ論文演習には取り組めていません。また,今のところ論文演習は過去問から取り組む予定でいますので,市販の演習書については,そもそも取り組むかどうかも不透明な状況ですし,使用するとしても暫く先のことになりそうです。そんな中,先日,演習書の選び方の記事の総アクセス数が1000アクセスを超えました。これには本当に驚きました。なぜこの記事に1000以上ものアクセスが集中しているのか,私には分かりません。しかし,驚くのと同時に,演習書の選び方だけ示しておいて,その選び方に従った場合に選択される具体的な教材を挙げないというのも不親切だろうと思いましたし,また,心苦しいとも感じました。そこで,正確には使用“候補”教材一覧にはなってしまうものの,使用予定の演習書の一覧を挙げることにしました。もっとも,「受験生は以下のリストを参考に演習書を選びましょう。」などとは烏滸がましくて言えませんし,言うつもりも毛頭ありません。何せ,私自身はそもそも論文演習の段階にも進んでいない一介の受験生にすぎないので。けれど,このブログを読んでくださっている方の何かしらの参考になれば,あるいは,ある種の興味・関心を満たすものであれば幸いです。それでは,①司法試験または予備試験の論文式問題に対応したレベルであること②解答例が付されていることという2つの基準に照らして私が選んだ演習書を科目ごとに挙げていきます。なお,基本書,判例集,参考書と同様に,予備校本は対象から除くこととします。憲 法宍戸常寿 編著・大河内美紀・齊藤 愛・柴田憲司・西村裕一・松本哲治・村山健太郎・横大道 聡 著『憲法演習ノート 憲法を楽しむ21問』(弘文堂,2015)行政法土田伸也『実戦演習 行政法 予備試験問題を素材にして』(弘文堂,2018)民 法佐久間 毅・窪田充見・沖野眞已 編著・秋山靖浩・久保野恵美子・水津太郎・橋本佳幸・山下純司 著『民法演習ノートⅠ 総則・物権21問』(弘文堂)※2022年以降に刊行される予定沖野眞已・窪田充見・佐久間 毅 編著・角田美穂子・中原太郎・橋本佳幸・山下純司・米村滋人 著『民法演習ノートⅡ 債権21問』(弘文堂)※2022年以降に刊行される予定窪田充見・佐久間 毅・沖野眞已 編著・磯谷文明・浦野由紀子・小池 泰・西 希代子 著『民法演習ノートⅢ 家族法21問』(弘文堂,2013)商 法上田純子・松嶋隆弘 編『論文演習 会社法 上巻』(勁草書房,2017)上田純子・松嶋隆弘 編『論文演習 会社法 下巻』(勁草書房,2017)民事訴訟法※使用候補の教材なし刑 法只木 誠 編著・北川佳世子・十河太朗・髙橋直哉・安田拓人・安廣文夫・和田俊憲 著『刑法演習ノート 刑法を楽しむ21問』[第2版](弘文堂,2017)刑事訴訟法峰 ひろみ『刑事訴訟法演習』(法学書院,2017)民事実務基礎※使用候補の教材なし刑事実務基礎※使用候補の教材なし次回からは,また刑法の教材を紹介していきます。それでは。
2018.08.02
コメント(0)
![]()
前田雅英『刑法総論講義』[第6版](東京大学出版会,2015)498頁(実際は456頁)※第7版は2019年5月発売※最新版は2024年5月発売の第8版前田雅英『刑法各論講義』[第6版](東京大学出版会,2015)564頁※第7版は2020年2月発売※最新版は2025年10月発売の第8版元首都大学東京法科大学院教授で,現在は日本大学法科大学院教授の著者による基本書。著者は,長年,旧司法試験の考査委員を務めていました。結果無価値論の立場を採っています。総論は,平成25年の刑の一部執行猶予の新設に対応しています。各論は,平成29年の性犯罪規定の改正には対応していません。総論には,大判明治36・5・21刑録9輯14号874頁から最決平成26・11・25刑集68巻9号1053頁までの判例が収録されています。各論には,大判明治35・6・12刑録8輯6号93頁から東京高判平成27・1・29東高刑裁速報3538までの判例が収録されています。※追記総論の第7版には,大判明治36・5・21刑録9輯14号874頁から最決平成30・10・23刑集72巻5号471頁までの判例が収録されています。各論の第7版には,大判明治35・6・12刑録8輯6号93頁から最判令和元・9・27刑集73巻4号47頁までの判例が収録されています。私は,本書を基本書として使用しています。黒と青の2色刷りで,図表も多用されており,重要な箇所はゴシック体で強調されています。条文も,全てではありませんが,基本的には四角の囲みで引用されて載っています。第6版への改訂において,総論は640頁から498頁に,各論は756頁から564頁に分量が削られ,概ね4分の1ほどコンパクトになりました。今回の改訂の意図について,著者は以下のように述べています。「5版の『研究者からは,理想的にはここまで読んで欲しい』という内容から,6版では,『学生にとってどれだけ読めば十分なのか示してほしい』という,ニーズに答えたつもりである.具体的には,『現在検討する必要のある論点に絞り込むとともに,議論の筋道を骨太に示すこと』を徹底した.もとより,いかにスリム化しても『行間を読まなければならない書』は,むしろ難解なものとなってしまう.本書ではそのようなことを回避し,さらに,独習者の便宜も考え『注』を充実させたつもりである.」(総論はしがき)著者は,結果無価値論を採る平野龍一博士の弟子なので,一応,結果無価値論に立脚しているとされています。ただ,この点について,本書では以下のように述べられています。「行為無価値・結果無価値の概念は,議論を整理するための『モデル論』に過ぎない.その対立軸は複雑に分かれる.ここで何より大切なのは,行為・結果無価値論のいずれか正しいものを選んで,それを徹底することは許されないということである.結果無価値を徹底すれば,『『結果』のない未遂』は処罰し得ないことになる.行為無価値を徹底すれば,既遂と未遂を同じように処罰しなければならなくなる.それに近い結論を主張する学説は存在するが,現実の解釈論は,それぞれの座標軸に関し,徹底した両極端の中間に妥当な点を見つける作業なのである.そして,『妥当な点』は時代により動く.現時点で,具体的な事例に関する国民の意識に適った結論を,最もうまく説明できるように,下記の対立点の調和点を求めていくのが,違法論なのである.」(総論32頁)すなわち,少なくとも本書のような基本書あるいは概説書レベルにおいては,著者は極端な結果無価値論は採っておらず,むしろ判例・実務に近い見解に立脚しているものと思われます。また,本書では,最高裁判例の結論に明確に反対しているところはありません(見落としがあったらすみません)。私は第3版以降しか読んだことがないので,初版および第2版においてどのような見解が採られていたのかについては詳らかには把握していませんが,版を重ねるごとに改説して徐々に判例の結論と軌を一にしてきたことは確かです。唯一,著者が本書において判例変更の可能性を指摘していた強制わいせつ罪における性的意図必要説を採る判例(最判昭和45・1・29刑集24巻1号1頁)は,最大判平成29・11・29刑集71巻9号467頁によって判例変更されたので,これで最高裁判例と結論を異にする箇所はなくなったのではないでしょうか。さらに,著者は,「法曹実務家は,裁判員への直接的説明,説得という作業が加わったことにより,学説の理念的説明からの距離を拡げざるを得なくなった面がある.一方,『法理論と実務の架橋』を目指す法科大学院は,これまでの法学部教育よりは判例に引き寄せられる.刑法学者は『法曹教育の場』で,『確立した判例に反する理論』の空虚さを痛いほど思い知らされたのである.」(各論はしがき)とも述べています。すなわち,著者は,法科大学院の教壇に立ち続けてきたからこそ得られた法曹教育の経験を,判例中心主義を徹底した基本書を著すという形で受験生に還元しているのだと思います。そして,そのような観点から,本書における司法試験への意識は徹底されており,その一端が今回の改訂にも見られました。2014年(平成26年)司法試験短答式試験刑事系第8問では,1.甲は,電磁的記録部分を偽造したキャッシュカードを使って現金を得ようと考え,これを乙銀行に設置された現金自動預払機に挿入して作動させ,これに保管されていた現金を引き出した。2.甲は,消費者金融会社の無人契約機を使い,同無人契約機とオンラインで結ばれているオンラインセンターにいたオペレーター乙に対し,Xに成り済まして会員契約を締結した上,同無人契約機を操作して金銭の借入れを申し込み,甲をXと誤信した乙に同社の電子計算機を操作させ,同社名義の預金口座から甲の管理するX名義の預金口座に50万円を振り込ませた。という2つの選択肢が出題されました。これを受けて,各論第6版では第5版の記述を以下のように改めています。「電磁的記録部分を偽造したキャッシュカードを現金自動預払機に挿入して作動させ現金を引き出す行為は窃盗であり,消費者金融の無人契約機を使い,そのオペレーターAに対し,別人になりすまして会員契約を締結した上で無人契約機を操作して金銭の借入れを申し込み,オペレーターBに電子計算機を操作させて現金を振り込ませるのは詐欺罪(246条)を構成する.」(各論251頁 脚注35)本書に対しては内容面で何かと批判も多いようですし,時代遅れやオワコンなどと揶揄する声も聞こえてきます。また,判例中心主義を謳う基本書は本書以外にも刊行されています。しかし,私は,現役の法科大学院の教員である前田教授の司法試験への熱意は信頼に足るものだと考えています。それに,刑法の単著の基本書の中で本書ほど司法試験を意識したものは他にはないのではないでしょうか。本書は定期的に改訂されており,その度に法改正や新判例に関するアップツーデイトも図られているので,今もなお受験勉強に対応できる教材として有用だと思います。さらに,著者は,単著ではないにしろ,刑事訴訟法,刑事実務基礎の教材も刊行しており,刑法と刑事訴訟法については判例集も出しています。したがって,刑事系科目に関しては前田教授の著書で揃えることが可能です。以上の理由から,私は本書を刑法の基本書に選びました。刑法の教材の紹介は1回お休みします。次回は,演習書について。それでは。
2018.08.01
コメント(0)
全31件 (31件中 1-31件目)
1


![]()