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辻村みよ子・山元 一 編『概説 憲法コンメンタール』(信山社)500頁2018年(平成30年)6月26日に発売されました。
2018.06.30
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中島弘雅・岡 伸浩 編著『民事訴訟法判例インデックス』(商事法務,2015)540頁判例インデックスシリーズの民事訴訟法。専修大学法学部教授で弁護士の中島弘雅教授と慶應大学法科大学院教授で弁護士の岡伸浩教授の編集による判例集。2名とも著者も兼ねています。執筆者は,民事訴訟法学の研究者39名,裁判官13名,弁護士31名,総勢83名にものぼります。債権法改正には対応していません。249項目271件の判例が収録されています。本書は,他の判例インデックスシリーズに倣って,概要,事実関係,判旨,関係図,本判決の位置づけ・射程範囲,参考文献・関連判例を原則見開き2頁にまとめるという形で構成されています。まず,概要において各判例の趣旨が数行でまとめられています。次に,事実関係が概ね分かりやすく説明されており,判旨における判決文・決定文の引用も必要十分で適切だと思います。関係図には事実関係図や判例の理解に役立つイラストなどが載っており,視覚的に判例を捉えることができます。本判決の位置づけ・射程範囲の箇所は一般的な判例集の解説に当たる部分ですが,そこでは当該判例の意義を中心にコンパクトな解説が記述されており,場合によっては学説に関する言及もあります。ただ,この学説についての解説は通説と有力説の紹介に止まっているので,あまり詳しくはありません。もっとも,末尾の「さらに理解を深める」の項目において,関連判例とともに参考文献が複数挙げられているので,学説の状況が詳しく記述されている書籍やより詳細な判例解説などに当たることができるように配慮されています。なお,大判大正4・9・29民録21輯1520頁から最決平成25・11・21民集67巻8号1686頁までの判例が収録されています。私は,本書を民事訴訟法のメインの判例集として使用しています。本書を選んだ決め手は何と言っても収録判例数の多さでしたが,実際に使ってみると非常に分かりやすいと感じたので,本書を選んで本当に良かったと思っています。詳しい判例解説を読みたい場合には調査官解説や判例百選がありますし,学説の議論については参考書を参照すればよいので,私の中では,民事訴訟法の受験勉強において本書をメインの判例集に据えるのがベストな選択だと考えています。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.29
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岡山大学法科大学院公法系講座 編著『憲法 事例問題起案の基礎』(岡山大学出版会)114頁2018年(平成30年)5月1日に発売されました。
2018.06.28
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高橋宏志・高田裕成・畑 瑞穂 編『民事訴訟法判例百選』[第5版](有斐閣,2015)276頁※最新版は2023年9月発売の第6版判例百選シリーズの民事訴訟法。東京大学名誉教授の高橋宏志名誉教授,東京大学法科大学院教授の高田裕成教授,同じく東京大学法科大学院教授の畑瑞穂教授の3名の編集による判例集。債権法改正には対応していません。本編に118項目120件,Appendixに42項目43件,合計で163件の判例が収録されています。まず,最新第5版から,目次の各項目に判例年月日が併記されるようになって検索性が増しました。どうやら,判例百選シリーズは,本書が出版された2015年11月以降,目次の判例年月日併記方式を導入し始めたようです。ただし,労働判例百選,経済法判例・審決百選,著作権判例百選の3冊は,判例年月日もしくは審決年月日の代わりに事件名を併記しています。次に,収録判例数の推移を見ると,第3版の本編には124項目125件,Appendixに54項目55件,合計で180件が収録されていたのに対して,第4版では,本編に117項目119件,Appendixに43項目44件,合計で163件の収録判例数となって17件減少し,第5版では,上記のように合計163件ということで横這いになっています。第4版および第5版のはしがきには,収録判例数の「精選の関係で,国際民事訴訟に関する判例は割愛し,国際私法判例百選に譲ることとした。」とありますが,第3版に収載されている国際民事訴訟に関する判例は,本編に2件,Appendixに2件,合計で4件だけなので,実質的に第3版から第4版への改訂において収録判例数がかなり削られてしまったと言えるでしょう。なお,第5版には,大判大正4・9・29民録21輯1520頁から最判平成26・2・27民集68巻2号192頁までの判例が収録されています。民事訴訟法に関しては,刊行されている判例集自体が他の科目と比べて非常に少ないので,ほとんどの受験生が本書を利用しているのが現状のようです。しかし,個人的には,民事訴訟法の判例学習においても短答式試験まで視野に入れると少なくとも200件以上の判例を収録している判例集を使うのが望ましいと考えているので,やはり本書の収録判例数では少ないと思います。そのような理由から,私は,民事訴訟法のメインの判例集としては本書は使用していません。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.27
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右崎正博・加藤一彦・石川多加子・小林直樹『事例で学ぶ憲法』[第2版](法学書院)319頁2018年(平成30年)4月27日に発売されました。
2018.06.26
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憲 法芦部信喜 著・高橋和之 補訂『憲法』[第四版](岩波書店,2007)※正確には“参考書”ではない野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法Ⅰ』[第4版](有斐閣,2006)野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法Ⅱ』[第4版](有斐閣,2006)行政法※使用していない民 法我妻 榮・有泉 亨・清水 誠・田山輝明『我妻・有泉コンメンタール民法 総則・物権・債権』[第2版](日本評論社,2008)商 法江頭憲治郎『株式会社法』[第6版](有斐閣,2015)民事訴訟法※使用していない刑 法前田雅英 編集代表・松本時夫ほか 編『条解 刑法』[第2版](弘文堂,2007)刑事訴訟法松尾浩也 監修・松本時夫・土本武司 編集代表『条解 刑事訴訟法』[第3版増補版](弘文堂,2006)民事実務基礎※使用していない刑事実務基礎※使用していない
2018.06.25
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松本和彦『事例問題から考える憲法(法学教室ライブラリィ)』(有斐閣)258頁2018年(平成30年)5月15日に発売されました。
2018.06.24
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兼子 一 原著・松浦 馨・新堂幸司・竹下守夫・高橋宏志・加藤新太郎・上原敏夫・高田裕成 著『条解 民事訴訟法』[第2版](弘文堂,2011)2004頁条解シリーズの民事訴訟法。本書は,1951年(昭和26年)から1952年(昭和27年)にかけて元東京大学教授の兼子一博士によって著された『条解 民事訴訟法 第1~第3』(弘文堂)の3冊が元になっており,1955年(昭和30年)の改訂を経た後,1986年(昭和61年)に条解シリーズの民事訴訟法として改めて出版された初版を,1996年(平成8年)の民事訴訟法全部改正に合わせて25年ぶりに改訂したものです。原著者の兼子博士以外に挙げられている著者は,名古屋大学名誉教授の松浦馨博士,東京大学名誉教授・愛知大学名誉教授の新堂幸司名誉教授,一橋大学名誉教授の竹下守夫博士,東京大学名誉教授の高橋宏志名誉教授,中央大学法科大学院教授の加藤新太郎博士,一橋大学名誉教授・明治大学法科大学院教授の上原敏夫博士,東京大学法科大学院教授の高田裕成教授の7名です。ちなみに,兼子博士の弟子が新堂名誉教授と竹下博士で,新堂名誉教授の弟子が高橋名誉教授と高田教授です。2011年(平成23年)の国際裁判管轄に関する法改正に対応しています。債権法改正には対応していません。実務家が執筆者に多数参加している刑法と刑事訴訟法の条解シリーズに対して,本書は研究者が中心となって編纂されており,手続面以上に理論的な解説が充実したアカデミックな内容になっています。誤植が多いという難点はあるものの,理論面が優れているという点は司法試験の出題傾向とも合致しているので,受験勉強においても参考書として活用する価値は十分にあると思います。ただ,非常に高額で中古でも値崩れしないので,経済的に相当余裕がない限り受験生にはなかなか手が出せないのが残念です。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.23
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筒井健夫・村松秀樹 編著『一問一答 民法(債権関係)改正』(商事法務)416頁2018年(平成30年)3月12日に発売されました。
2018.06.22
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高橋宏志『重点講義 民事訴訟法 上』[第2版補訂版](有斐閣,2013)860頁高橋宏志『重点講義 民事訴訟法 下』[第2版補訂版](有斐閣,2014)876頁東京大学名誉教授で,2018年3月に中央大学法科大学院を退職なさった著者による民事訴訟法の論点解説集。著者は,以前は第二東京弁護士会に所属して森・濱田松本法律事務所に勤めていましたが,現在は弁護士登録をせずに渥美坂井法律事務所・外国法共同事業の顧問を務めています。新訴訟物理論の立場を採っています。債権法改正には対応していません。本書は,民事訴訟法の概説書や体系書ではなく,純粋な民事訴訟手続に関しては触れられていないので,一般的な基本書とは性格を異にします。しかし,論点解説集というだけあって論点の網羅性は非常に高く,基本書では扱われていないような瑣末な論点に関しても記述されています。したがって,基本書と併用する参考書または論文演習の際に使用する参考書としてこそ,その効力を発揮する本だと言えます。本書に関して,「こんな本を読んでいるから,いつまで経っても合格できないんだよ。」という評価を目にしたことがあります。もちろん,本書を読むよりも先にやるべき受験勉強はたくさんあるので,そのようなコンテクストに限って言えば,このような評価も全くの的外れではないでしょう。しかし,本書を読むことが受験勉強に有害かというと決してそうではなく,本書の内容から本試験に出題されることが頻繁にある以上,むしろ有益な面の方が大きいと思います。一方で,本書は近年の司法試験の種本と言われているようですが,それは本書の論点の網羅性が極めて高いがゆえに,その中にたまたま本試験で出題された論点が含まれているにすぎないのだと考えられます。むしろ,本書に載っていない重箱の隅をつつくような論点の出題は,司法試験の問題としては不適切とまで言えるのではないでしょうか。したがって,本番で出題される可能性が高いからといって本書を頭から精読するという勉強法は不経済であり効果的ではないでしょうが,基本書を読みながら論点に関する理解を深めるために参照する,あるいは,過去問などの演習に取り組む際に参考にするという使用法に限れば,なお受験勉強に有益な教材だと思います。実際,本書を読んでいたおかげで論文試験の民事訴訟法で良い成績を収めることができて結果的に合格に結び付いたという受験生も少なくないのではないでしょうか。なお,上記2冊ほど大部ではないですが,著者が著した民事訴訟法の全分野にわたる論点集として,高橋宏志『民事訴訟法概論』(有斐閣,2016)432頁が出版されています。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.21
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法学検定試験委員会 編『債権法改正対応 民法択一問題集』(商事法務)280頁2018年(平成30年)5月12日に発売されました。
2018.06.20
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新堂幸司『新民事訴訟法』[第五版](弘文堂,2011)1064頁※最新版は2019年11月発売の第6版東京大学名誉教授・愛知大学名誉教授および新堂・村松法律事務所所属の弁護士の著者による民事訴訟法の体系書。新訴訟物理論の立場を採っています。非訟事件手続法,家事事件手続法,債権法改正には対応していません。大判明治29・4・2民録2輯4号5頁から最決平成23・2・9民集65巻2号665頁までの判例が収録されています。本書は,現在の民事訴訟法学界の到達点を示す1000頁を超える浩瀚な最高水準の体系書です。著者は兼子一博士の弟子ですが,同じく兼子博士の弟子である三ケ月章博士の提唱した新訴訟物理論を継承しています。さらに,既判力に関して,その客観的範囲にかかる争点効理論およびその主観的範囲にかかる反射効理論などの独自の概念を唱えているところに特徴があります。研究者による論文に引用されることが非常に多い本書は,司法試験の受験勉強に用いるにはややオーバースペックのきらいがあるので,参考書として使用する方が一般的だろうと思います。なお,著者自身が本書のはしがきにおいて,「わたくし自身にとっては、傘寿を迎えた記念の仕事になった。」(本書3頁)と述べている通り,著者は2011年の時点で80歳になっており,2019年には米寿を迎えるほど高齢になっているので,今後の改訂の可能性は低いかもしれません。もっとも,これまでも著者の長女である法政大学法科大学院教授の新堂明子教授と次女が改訂作業のサポートをしているようですし,著者本人は教職からは退いているものの現在も現役の弁護士として業務に携わっているので,改訂が全く不可能というわけでもないようです。少なくとも,現時点(2018年6月19日現在)において本書の改訂の予定はありません。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。※追記(2019年11月13日)2019年(令和元年)11月に第6版が刊行されました。なお,今回の改訂において,従来の縦組みから横組みに刷新されました。
2018.06.19
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平野裕之『新・考える民法Ⅰ 民法総則』(慶應義塾大学出版会)368頁2018年(平成30年)1月23日に発売されました。
2018.06.18
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上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『民事訴訟法(有斐閣Sシリーズ)』[第7版](有斐閣,2017)354頁※最新版は2025年3月発売の第8版有斐閣Sシリーズの民事訴訟法。一橋大学名誉教授・明治大学法科大学院教授で弁護士の上原敏夫博士,大阪大学名誉教授で弁護士の池田辰夫博士,一橋大学法科大学院教授の山本和彦教授の3名の共著による基本書。池田博士は,元裁判官です。山本教授は,旧司法試験考査委員(民事訴訟法)および新司法試験考査委員(倒産法)を務めていました。新訴訟物理論の立場を採っています。本書には学説の詳しい議論についての記述はなく,判例の紹介は分量の割には比較的多いものの非常に簡潔です。もっとも,判例に関しては,姉妹書『基本判例 民事訴訟法』があるので,これを併用すれば判例学習については新判例を除けば十分だと思います。私が在籍していた法科大学院では本書がテキストに指定されていたので,私もかつては本書を使用していました。しかし,内容的には入門書レベルであるものの,初学者が読んでも分かりやすく理解できるようには記述されておらず,講義で知識を補完しないと使えないと感じていました。だからと言って,一通り勉強が終わった後に使用するまとめ本に向いているかというと,決してそういうわけでもないので,用途に悩む1冊だと思います。私は,本書では司法試験を乗り切れないだろうと思っていたので,途中から講義案を基本書にしていました。入門書にも基本書にもまとめ本にも向いていない本書の使い道は,強いて言うなら学部での講義用テキストぐらいでしょうか。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.17
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千葉恵美子・潮見佳男・片山直也 編『Law Practice 民法Ⅱ 債権編』[第4版](商事法務)416頁2018年(平成30年)6月8日に発売されました。
2018.06.16
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長谷部由起子『民事訴訟法』[新版](岩波書店,2017)504頁※第3版は2020年2月発売※最新版は2024年3月発売の第4版学習院大学法科大学院教授の著者による基本書。著者は,新堂幸司東京大学名誉教授の弟子で,東京大学名誉教授・早稲田大学法科大学院教授の憲法学者の長谷部恭男教授の妻です。債権法改正に対応しています。本書の内容は簡潔にまとまっており,そのコンパクトさから民事訴訟法版サクハシと呼ばれているそうです。ただ,判例の収録数はあまり多くなく,論点についての記述にも濃淡があるようなので,判例集だけでなく参考書の併用も必要になるかと思われます。とりわけ薄い基本書が好みの人には向いていると言えるでしょう。岩波書店ホームページで本書の目次を見ることができるので,気になる人は確認してみてください。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.15
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千葉恵美子・潮見佳男・片山直也 編『Law Practice 民法Ⅰ 総則・物権編』[第4版](商事法務)432頁2018年(平成30年)6月8日に発売されました。
2018.06.14
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2018年(平成30年)6月13日,第196回通常国会において,民法の一部を改正する法律が,平成30年法律第59号として可決・成立しました。公布年月日は,平成30年6月20日です。施行年月日は,令和4年4月1日です。※参考民法の一部を改正する法律案新旧対照条文
2018.06.13
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中野貞一郎・松浦 馨・鈴木正裕 編『新民事訴訟法講義』[第3版](有斐閣,2018)804頁元大阪大学名誉教授の中野貞一郎博士,名古屋大学名誉教授の松浦馨博士,神戸大学名誉教授の鈴木正裕名誉教授の3名の編集による基本書。3名とも著者も兼ねています。中野博士は,惜しまれながら,2017年2月に泉下の客となりました。新訴訟物理論の立場を採っています。債権法改正に対応しています。本書は,改訂の情報が出ては立ち消えてを長らく繰り返していましたが,今年になってやっと改訂版が出版されました。新訴訟物理論の立場を採用しているものの,旧訴訟物理論についての解説も十分あるので,この点は気にしなくてよいと思います。民事訴訟法学界を代表する執筆者陣による記述には安定感があり,判例,学説,論点などの情報量は非常に豊富で,実務でも通用する信頼が置ける1冊です。共著の民事訴訟法の基本書を選ぶのであれば,本書を選んでおけば間違いないと思います。もっとも,共著であるがゆえに執筆者によって文体および脚注の使い方が著しく異なるので,そういった点に拘る人は使用を避けた方が無難でしょう。参考までに目次と執筆者の担当箇所を挙げておきます。第1編 民事訴訟 第1章 民事紛争と民事訴訟(中野貞一郎) 第2章 民事訴訟の法的規律(中野貞一郎)第2編 訴訟の開始・進行 第1章 訴えの提起(徳田和幸) 第2章 受訴裁判所(長谷部由起子) 第3章 訴訟当事者(本間靖規) 第4章 訴訟上の代理人・代表者(坂原正夫) 第5章 訴えの利益(福永有利) 第6章 訴えの提起の効果(堤 龍弥) 第7章 訴訟手続の進行(堤 龍弥)第3編 訴訟の審理 第1章 審理における裁判所と当事者の役割(鈴木正裕) 第2章 口頭弁論(池田辰夫) 第3章 弁論の準備と争点整理(上原敏夫) 第4章 証拠調べ(春日偉知郎) 第5章 証拠の評価と証明責任(青山善充)第4編 訴訟の終了 第1章 当事者の行為による訴訟の終了(河野正憲) 第2章 終局判決による訴訟の終了(松本博之) 第3章 判決の効力(高橋宏志,伊藤 眞)第5編 複雑訴訟形態 第1章 複数請求訴訟(栗田 隆) 第2章 多数当事者訴訟(井上治典・安西明子 補訂,松浦 馨)第6編 上訴・再審 第1章 総説(上野泰男) 第2章 控訴(上野泰男) 第3章 上告(上野泰男) 第4章 抗告(上野泰男) 第5章 再審(加波眞一)第7編 略式訴訟手続 第1章 手形・小切手訴訟(松浦 馨) 第2章 少額訴訟手続(松浦 馨) 第3章 督促手続 (松浦 馨)次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.13
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中舎寛樹『民法総則』[第2版](日本評論社)512頁2018年(平成30年)6月12日に発売されました。
2018.06.12
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裁判所職員総合研修所 監修『民事訴訟法講義案』[三訂版](司法協会,2016)396頁通称講義案または書研の民事訴訟法。原著者は,『講義 民事訴訟』・『解析 民事訴訟』の著者でもある藤田広美教授です。もっとも,藤田教授は,2007年7月に裁判官を辞職して弁護士登録をされており,同時に琉球大学法科大学院教授に就任されているので,それ以降の改訂は他の裁判所職員総合研修所教官を務める判事の方が行っているものと思われます。本書は,横書きで図表も多少あり,本文は400頁弱しかありませんが,百選などと同じB5判なので頁数以上に分量は多いです。実務ベースの内容で,論点も豊富に掲載されていますが,踏み込んだ議論についての記述はありません。一方で,主に裁判所書記官の研修で使用することを想定したテキストなので,簡易裁判所の訴訟手続の特則,手形・小切手訴訟手続,少額訴訟に関する特則,督促手続のほか,裁判所書記官の所掌事務に関する記述が他の基本書よりも詳しいです。本書は,新司法試験が開始された頃は最も人気のある基本書の1つでした。噂に聞いたところによると,当時,東京大学法科大学院で教鞭を執っていた高橋宏志教授が学生に向けて,「その本は裁判所書記官が使う本だから,法科大学院生が使うものではないよ。」と注意したことがあるそうです。それでも,東大ローの学生は,使うのを止めなかったり,表向きは伊藤眞『民事訴訟法』を使っているふりをしつつ裏では講義案を基本書として使っていたりしたそうです。それぐらい人気を博していた本書でしたが,その原著者である藤田教授が『講義 民事訴訟』を刊行した頃から徐々に人気に翳りが見え始め,段々と使用者が減っていったようです。私が在籍していた法科大学院ではSシリーズ民事訴訟法がテキストに指定されていたのですが,これでは受験対策には不十分だと思い,私も流行っていた本書を基本書として使用していました。しかし,司法試験における民事訴訟法の出題傾向に照らすと,アカデミックな学説の議論に弱い本書は,現在ではベストな基本書とは言い難いと思います。ちなみに,本書には判例索引が付いていません。これは使用するうえで非常に不便な点です。そこで,私は,法科大学院在籍時に周りの同級生に促されて本書の判例索引を自作しました。全7頁ほどの分量でしたが,本書の判例の引用に誤植が多かったので作るのに非常に苦労したのを今でもよく覚えています。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.11
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潮見佳男・山野目章夫・山本敬三・窪田充見 編著『新・判例ハンドブック 【債権法Ⅱ】』(日本評論社)288頁2018年(平成30年)4月20日に発売されました。
2018.06.10
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藤田広美『講義 民事訴訟』[第3版](東京大学出版会,2013)656頁藤田広美『解析 民事訴訟』[第2版](東京大学出版会,2013)616頁琉球大学法科大学院教授の著者による基本書および演習書。著者は,男性で,2007年7月まで判事を務め,現在は沖縄弁護士会所属の弁護士としても活動しています。また,2009年から2011年まで新司法試験の考査委員を務めていた経験があります。2冊とも債権法改正には対応していません。『講義 民事訴訟』は,「民事訴訟の理論と実務の架橋を目指し,民事訴訟審理の基本構造と手続ルールを分かりやすく解説した定番テキスト」という謳い文句で出版されており,口語体で著された本書は,『基礎からわかる民事訴訟法』が定番の基本書となる前に最も人気を博していた基本書の1つです。しかし,実務ベースの内容で,要件事実の解説に多くの分量を割いている一方で,論点に関する学説の対立には深く立ち入らないスタイルで記述されているので,民事訴訟法の基本書というよりは,むしろ民事実務基礎の基本書に近い性格の教材だと思います。したがって,司法試験の受験対策には,この1冊だけでは心許ないと言えるでしょう。『解析 民事訴訟』は,『講義 民事訴訟』の補完教材として昭和24年度から平成20年度までの旧司法試験の論文問題を題材に体系順に重要論点を口語体で解説しています。もっとも,1行問題に関しては解説が全くないものも散見され,論点の掘り下げも必ずしも十分ではなく,そもそも解説自体が答案作成を前提としてはいないので,演習書というよりはケースメソッドを用いた教科書と表現した方が適切かもしれません。本書を使って勉強すればある程度の学習効果は得られるでしょうが,翻って,現時点ではあえて本書を基本書に据える積極的な理由もあまりないように思えます。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.09
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潮見佳男・山野目章夫・山本敬三・窪田充見 編著『新・判例ハンドブック 【債権法Ⅰ】』(日本評論社)216頁2018年(平成30年)3月23日に発売されました。
2018.06.08
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三木浩一・笠井正俊・垣内秀介・菱田雄郷『民事訴訟法(LEGAL QUEST)』[第2版](有斐閣,2015)730頁※第3版は2018年7月発売※第4版は2023年3月発売※最新版は2026年3月発売の第5版通称リークエシリーズの民事訴訟法。慶應義塾大学法科大学院教授で弁護士の三木浩一教授,京都大学法科大学院教授で元裁判官の笠井正俊教授,東京大学法科大学院教授の垣内秀介教授,同じく東京大学法科大学院教授の菱田雄郷教授の4名による共著の基本書。旧訴訟物理論の立場を採っています。債権法改正には対応していません。本書は,最近,『基礎からわかる民事訴訟法』に次いで受験生の利用者数を伸ばしている基本書のようです。基本的には判例・通説の立場から丁寧に記述されていますが,例えば,「客観的併合」を「客体的併合」,「主観的併合」を「主体的併合」,「訴訟資料」を「主張資料」とするなど独特の用語法で表現している箇所があります。また,主に三木教授の執筆担当部分において,判例・通説とは異なる見解が少なからず主張されているようです。リークエシリーズのコンセプトである法学部以上法科大学院未満のレベルは優に超えていると思いますが,むしろ,それゆえに司法試験の受験勉強には適した基本書になっていると言えます。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.07
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高橋和之 編『新・判例ハンドブック 【憲法】』[第2版](日本評論社)282頁2018年(平成30年)1月24日に発売されました。
2018.06.06
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和田吉弘『基礎からわかる民事訴訟法』(商事法務,2012)634頁※最新版は2022年4月発売の第2版元青山学院大学法科大学院教授で,現在は立命館大学法科大学院教授の著者による基本書。著者は,判事を務めた経験もある大学教授で,現在は弁護士としても活動しています。債権法改正には対応していません。本書は,現在,司法試験受験生に最も人気のある基本書のようです。横書きで,図表が多用されており,分かりやすく噛み砕いた表現で記述されている点に特徴があります。もっとも,出版されてから5年以上が経過しており,これだけ多くの受験生に愛用されている基本書なので,そろそろ改訂が望まれるところです。なお,初学者向けの本書の概説書として,和田吉弘『コンパクト版 基礎からわかる民事訴訟法』(商事法務,2015)214頁※最新版は2023年3月発売の第2版も出版されています。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.05
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奥田昌道・安永正昭 編『法学講義 民法 総則』[第3版](勁草書房)350頁2018年(平成30年)5月25日に発売されました。
2018.06.04
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伊藤 眞『民事訴訟法』[第5版](有斐閣,2016)842頁※第6版は2018年12月発売※第7版は2020年12月発売※第8版は2023年12月発売※最新版は2026年4月発売の第9版東京大学名誉教授で,現在は日本大学法科大学院客員教授・創価大学法科大学院客員教授および長島・大野・常松法律事務所顧問を務める弁護士の著者による基本書。著者は,2004年から2006年まで旧司法試験の考査委員を務めていました。旧訴訟物理論の立場を採っています。第5版では,「『民法の一部を改正する法律案』および『民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案』の関連規定については,網羅的ではないが,気づいた範囲で言及している」(第5版はしがき)という限度で債権法改正に対応しています。判例は,大判明治29・4・4民録2輯4巻13頁から最判平成28・10・18判タ1431号92頁まで収録されています。さらに,有斐閣ホームページの補訂情報において,2016年(平成28年)末以降の判例がフォローされています。著者は新訴訟物理論を提唱した三ケ月章博士の弟子ですが,本書は旧訴訟物理論を採っています。ただし,全ての見解について判例・実務と共通しているというわけではありません。例えば,一部請求の論点については,判例(最判昭和34・2・20民集13巻2号209頁,最判昭和37・8・10民集16巻8号1720頁)が,給付が求められている部分が債権額の一部であることが明示されているときには,当該一部のみが訴訟物になるという見解を採っているのに対して,本書では,「特定の基準があるかどうか,または一部であることが明示されているかどうかを問わず,常に債権全体が訴訟物となり,既判力の客観的範囲もそれを基準として決定されると考える」(本書221頁以下)という見解が主張されています。私が在籍していた法科大学院では本書が参考書に指定されていましたが,現在は基本書として本書を使用しています。本書には図表は全くありませんが,情報量は非常に豊富で,内容にも信頼が置けます。内容の信頼性に関する裏づけとして,真偽のほどは分かりませんが,各裁判所には本書が1冊ずつ配られているという噂話を耳にしたことがあるほどです。ただ,判例の引用の仕方に若干の特徴があり,本文で判決文・決定文をそのまま引用している箇所がほとんどないので,使用する際には判例集を傍らに置くことをお勧めします。また,1998年(平成10年)の本書初版のはしがきには,「本書は,民事訴訟の通常手続に関する概説書である。特別手続としては,督促手続,手形・小切手訴訟手続,少額訴訟手続などがあり,また,理論上および実務上重要性を増している領域として国際民事訴訟手続があるが,概説書としての制約上,これらはすべて割愛せざるをえなかった。特に,新民事訴訟法によって創設された少額訴訟手続について十分な分析ができなかったことは,読者に対して申し訳なく感じるが,近い将来において何らかの形で補充したい。」とあります。しかし,第5版に至っても,付随手続・特別手続として6頁弱の記述はあるものの,十分な概説という形では補充されていないので,この点は玉に瑕だと感じるところです。本文にゴシック体すら使用していないクラシックな基本書なので,そのようなタイプの本が好みの人には向いているかもしれません。次回も,民事訴訟法の教材を紹介します。それでは。
2018.06.03
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土田伸也『実戦演習 行政法 予備試験問題を素材にして』(弘文堂)240頁2018年(平成30年)6月1日に発売されました。
2018.06.02
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※上記の書影は本文の内容とはあまり関係ありません。民事訴訟法の基本書は,旧訴訟物理論と新訴訟物理論のいずれかを基調に著されているものが大半です。そこで,いずれの訴訟物理論を採っているかが基本書選択の1つの判断基準になっているようです。そして,これまで,「裁判実務は旧訴訟物理論で動いているのだから,実務家登用試験である司法試験の受験勉強には旧訴訟物理論の立場で書かれている基本書を用いるべきだ。」とか,「学説の趨勢は新訴訟物理論だし,新訴訟物理論は旧訴訟物理論への批判から生まれたのだから,新訴訟物理論の立場で書かれた基本書で勉強すれば自ずと旧訴訟物理論についても学ぶことができる。」など専断偏頗な意見が主張されてきたのを目にしてきました。しかし,訴訟物理論についていずれの立場を採用しているかという点は,果たして基本書選択の決定的な判断要素になるのでしょうか。この点,訴訟物論争は民事訴訟法の数ある論点の中の1つにすぎません。そして,旧訴訟物理論と新訴訟物理論のいずれを採るかは,民事訴訟法の各論点すべてに影響するという性質の問題というわけでもありません。また,「訴訟物論争について述べよ。」というように,昔の旧司法試験で出されていたような1行問題が本試験で出題される可能性は,現在では限りなく0に近くなったと言ってよいでしょう。そうすると,訴訟物理論に関しては,訴訟物の捉え方と要件事実の理解が本質的な問題となります。しかし,この問題は,民事訴訟法よりもむしろ民事実務基礎において詳しく勉強する内容です。そして,裁判実務は旧訴訟物理論を基礎としている以上,民事実務基礎では必然的に旧訴訟物理論をベースに学習することになります。ですから,民事訴訟法の基本書としては,少なくとも旧訴訟物理論の必要十分な内容と新訴訟物理論からの有力な批判くらいの記述があれば及第点だと思います。したがって,いずれの訴訟物理論を採っているかという観点は,必ずしも基本書選択の決定的な判断基準にはならないと考えられます。もっとも,新訴訟物理論についての記載しかなかったり,そもそも訴訟物論争について全く触れられていなかったりする基本書は,司法試験の受験勉強に使うには不適切なのは言うまでもないでしょう。よって,民事訴訟法の基本書を選ぶ際には,旧訴訟物理論と新訴訟物理論の基礎的内容および新訴訟物理論から旧訴訟物理論への有力な批判程度の記述の有無は確認する必要はあるでしょうが,それさえあれば,いずれの訴訟物理論を採用しているかについては必要以上に拘泥しなくてよいと思います。旧訴訟物理論を採っている基本書の中にも,新訴訟物理論について分かりやすく解説している本もありますし,逆に,新訴訟物理論を採っている基本書の中にも,司法試験の受験勉強に有益な本は少なからずあります。私は,訴訟物理論という1つの論点に拘るばかりに,自ら基本書の選択肢を狭める必要は全くないと思っています。次回からは,民事訴訟法の教材を紹介していこうと思います。それでは。
2018.06.01
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