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「明日の朝、穴の中に横たわった自分に声をかけ、 返事があれば助けおこし、返事がなければ土をかけてほしい。そうすれば大金を君に渡そう」 まあ、そんなことを隣に乗せた青年に、まじめな顔をして話しかけるのですが、映画をここまで見ているぼくにも、運転しているこの男が何を言っているのかよく分かりませんでした。
一つ、わしの思い出を話そう。結婚したばかりの頃だ。生活は苦しく、す まあ、こんな詳しく覚えているはずはなにので、これはどっかからの引用ですが、この記事を投稿している今となってはどこでコピーしたのかもわかりません。で、それは、それとして、こんなことを男に話しかけるのです。 桑の実 が、どこで 題名 の サクランボ になったかというと、この トルコ人の老人 が、この後、詩かなんかを読むんですよね。で、その詩に出てくるのが サクランボ で、題名は サクランボ になるのですが、見ていたぼくには 桑の実の話 でした。
べてが悪くなるばかりだ。わしは疲れ果て、死んだら楽になると思った。も
う限界だとね。ある朝暗いうちに、車にロープを積んで家を出た。わしは固
く決意してた、自殺しようと。1960年のことで当時はミネアに住んでい
た。わしは家の側の果樹園に入っていった。1本の桑の木があった。まだあ
たりは真っ暗でね。ロープを投げたが枝に掛からない。1度投げてだめ、2
度投げてもだめ。とうとう木に登ってロープを枝に結んだ。すると手に何か
柔らかいものが触れた。熟れた桑の実だった。一つ食べた。甘かった……。
二つ食べ、三つ食べ……、いつの間にか夜が明け、山の向こうに日が昇って
きた。美しい太陽!美しい風景!美しい緑!学校へ行く子供たちの声が聞こ
えてきた。子供たちが木を揺すれと。わしは木を揺すった。皆、落ちた実を
食べた。わしは嬉しくなった。それで、桑の実を摘んで家に持って帰った。
妻はまだ眠っていた。妻も起きてから桑の実を食べた。美味しいと言って
ね。わしは死を置き忘れて桑の実を持って帰った。
桑の実に命を救われた。
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