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2022.06.10
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​ブリュノ・デュモン「ジャンヌ」元町映画館 ​​
​​​​​  ​ブリュノ・デュモン監督​ ​「ジャネット・ジャンヌ」​ という 2部作 ​第2部「ジャンヌ」​ を見ました。 ​第1部​ ​「ジャネット」​ の後半、少しおねーさんになったところで女優さんが変わったのですが、 ​第2部​ 「ジャンヌ」 は最初の少女だった ジャネット役 リーズ・ルプラ・プリュドム のままでした。 写真 はフランス王との出会いのシーンですが、これがなかなか見ごたえのある 「ジャンヌ」 を演じていました。​​​​​​​​
​​  ​第1部​ は無垢な羊飼いの少女が神のお告げを聞き ​「ジャンヌ・ダルク」​ に成長する物語でしたが、 ​第2部​ オルレアンでの奇跡の勝利 の後の、いわば 不如意のジャンヌ でした。​​
 厭戦気分のフランス王、虐げられたまま、敵に奪われたままのフランスの国土と民衆、 ​第1部​ 同様に、極度に抽象化・象徴化された映像でストーリーがすすみますから、当時の歴史についてあやふやな知識しかない シマクマ君 には映画はますます意味不明の沼地へと突き進んでいく様相でした。 ​オルレアンの少女​ について、ずっと昔に読んだことがあるとはいえ、まあ、何が起こっているのかわけがわからないという印象なのです。
 その中で、妙にリアルだったのが、位や身分はよく分かりませんが、聖職者、要するにキリスト教の教会のエライさんなのでしょうね、その男たちの 「表情」 「発言」 でした。
​​​  ジャンヌ が神の使いと会い、神の言葉を聴いたということが、いかにウソであるかということを、教会で聖書を読むことができる自らこそが神の僕であるという大前提を根拠に、オルレアン以降の戦いの敗北を理由に、 ジャンヌ 「神の声」 を聴いたということが偽​​​ りであると追及していくのが、 ​第2部​ の山場といっていいのですが、なんだか、昔の職場で、まあ、たとえば 「タバコを吸った」 とか、 「カンニングをした」 とか疑いをかけた生徒に対して、 「指導」 と称して、いかに、自らが 「教育者」 であるかという振舞に自己満足している輩(同僚の教員)を思い出してしまいました。辟易しながらも、ある異様なリアリティに感心しました。
​​ もっとも、 ​ジャンヌ​
​「それについてはお話しません。」​
 ​ と最後まで突っ張りきるわけですが、結局、丘の上で焼かれているシーンが遠くに映し出されて映画は終わります。​​
​ そこには、タバコを吸ったと疑われた少年たちの、鼻白んだ猜疑の眼差しではなく、キッパリと拒否を貫く、なんというか絶対的に ​「明るい」眼差し​ がありました。信仰の絶対性とでもいうべきでしょうか。聖書や教会を後ろ盾にした権力化した信仰の欺瞞に対する、
「わたしは神に会った」
​  とでもいう一回限りの経験の絶対性が眼差しに宿っていたというべきでしょうか。​
​​ このシーンを演じた主演の少女 リーズ・ルプラ・プリュドム(ジャンヌ) と監督の ブリュノ・デュモン ​拍手!​ でした。​​
 それにしても、教会の人びとの演技も、鬱陶しさが実にリアルで、見ていて腹立たしい限りなのですが、実は、感心しました。 ​拍手!​ ですね。
監督 ブリュノ・デュモン

脚本 ブリュノ・デュモン
撮影 デビッド・シャンビル
音楽 クリストフ
キャスト
リーズ・ルプラ・プリュドム(ジャンヌ)
ファブリス・ルキーニ(シャルル7世)
2019年・138分・カラー・ビスタ・フランス語
原題「Jeanne」 英題「 Joan of Arc」
2022・05・23-no70・元町映画館no129

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最終更新日  2024.11.11 22:33:25
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