森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2013.01.14
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お寺の住職さんの話です。

ある日サラリーマンの方が、会社の仕事で出向先にバスで向かっていたそうです。そのバスはぎゅうぎゅう詰めだったそうです。中の空気はすごい熱気で最悪の状態で、しかもバスの奥の方で赤ちゃんがギャアギャア泣いていたそうです。彼はなんでこんなバスに乗り合わせたのだろうと、自分の運の悪さを嘆いたそうです。
すると赤ちゃんの泣き声がだんだんと大きくなりました。不快感も限界だと思っていたら、赤ちゃんを抱いたお母さんが人の中を近づいていることに気がつきました。お母さんはバスを降りようとしていたのです。彼は内心やれやれよかったと思いました。

ここまでは、誰でも不快な気持ちの一つがなくなるのでうれしく思うでしょう。
でも事態は予想外の方向に展開してきました。

バス停でお母さんがバス停でバスを降りようとした時、運転手さんがお母さんに聞かれたそうです。「どこまで行きたいんですか。」
するとお母さんは、「大学病院まで行きたいんですが、この子が泣いてみんなに迷惑をかけるので、ここで降りて歩こうと思います。」と答えました。
さらに運転手さんは「赤ちゃん病気なんですか。」と聞くと「熱があってしんどいようなんです。風邪をひいたのだと思います。」とお母さんは答えます。
すると運転手さんはマイクを持ってみんなに言いました。

一瞬乗客はシーンとなったそうです。その後何人かの人が拍手をしました。そしてその拍手はバス全体に響く大拍手になりました。
お母さんは赤ちゃんを抱いたまま泣き始めました。
彼も目頭が熱くなったそうです。そして「自分は素晴らしいバスに乗れてよかった」と思ったそうです。その赤ちゃんが泣いても、人の熱気でムッとしても、むしろそれらが有り難く感じられたそうです。

私はこの話を聞いて、赤ちゃんの泣いている状況を運転手さんがみんなに話し、みんなが状況が分かり、その事実を共有化できたのでこんな素晴らしい体験につながったのだと思います。
この事実を掴めなかったら、不快感がなくなって一件落着ということになっていたでしょう。
私たちは事実をよくみない、分かろうとしない、先入観で事実を歪曲してしまいがちです。
森田でいう十分に事実をつかもうとする態度は、このような素晴らしい体験ができるのだということを分かっていただきたいと思います。





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Last updated  2013.01.14 08:52:59
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森田生涯 @ Re:阿久悠さんが「ジョニーへの伝言」に託した思いとは(03/06) 通りすがりさんへ コメントありがとうご…
通りすがり@ Re:阿久悠さんが「ジョニーへの伝言」に託した思いとは(03/06) この曲の歌詞の意味がわからなくて検索し…
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