森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.07.14
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森田先生曰く。
不眠でも、赤面恐怖でも、なんでも、これを治そうと思う間は、どうしても治らぬ。
治すことを断念し、治すことを忘れたら治る。

神経症で苦しんでいる人は、何とかして神経症を克服したいと思っている。
森田先生の言われている「治すことを断念すると治る」の真意は何か。

神経症で苦しんでいる人が、不眠なり、強迫観念なりを治したい。苦しいことが楽になりたい。
それは当然のことである。しかしこれは病気ではないから治すべきはずのものでないという事を知れば、これを度外視して、普通の人のように働く。そのうちに、仕事に心を奪われて、治そうとすることを忘れる。そうして治るのである。

森田先生の所の入院療法は、ただ「外形・外相」を重視する。
心の内には、 「自分は病身である。劣等で意志薄弱である」とか、どのように思っていてもよい。


ジェイムズは、 「悲しいためにに泣くのではない。泣くから悲しいのである」といったが、泣くのが外証で、悲しいのが心の内の内証であると思う。外証の変化に対応して、内証はいかようにも変化する。

これに関連して私の体験を書いてみたい。
私は30年前に生活の発見会の集談会に参加し始めた。
6ヶ月ほど経過した時、幹事の人から図書係を引き受けることを勧められた。
あまり乗り気ではなかったが、是非にと言われて引き受けた。
図書係は集談会で販売する本を一手に保管・管理して集談会当日、机の上に並べてみんなに説明・販促する仕事だった。
参加者に説明するためには、書かれている内容について、あらかじめ知っておくことが役にたつ。
そのために、私が保管・管理している本については全てタダで読ませてもらった。
次に、それぞれの本について特徴をまとめた。
そして集談会の参加者を念頭に置き、あの人にはこの本を進めたらよいのではないかと考えるようになった。そのためか、私が図書係をやっていたときは本がよく売れた。
そして次にはどんな本を取り揃えておけばよいのかを考えるようになった。

その中で森田正馬全集、形外先生言行録、森田正馬評伝などに出会ったのである。
そのうち図書を販売するよりも、参加者はそれぞれにいろいろな森田関係の本を読んでいることに気がついた。そこで集談会の中で、 「私に影響を与えた森田関係の本」の情報交換を行うことを提案した。
その次に、そういった本を集談会に持ってきて、お互いに貸したり借りたりすることを思いついた。
そうした本にはマーカーや鉛筆で印が付いていたり、書き込みがなされていた。
大切なところは、読む前から、あらかじめ分かっているのでとても役に立った。


「神経症の症状はキツイ時に、世話役を引き受けて、なんとかみんなに喜んでもらうような運営を心がけているうちに、自分の症状を治すことが後回しになってきた。でも、後で振り返ってみると、世話役を一生懸命にこなしているときは症状の辛さは忘れていたんですね。そういうことを感じてからは、今現在神経症で悩んでいる人たちに、集談会の中で、世話役を引き受けて一生懸命取り組んでいると神経症は楽になりますよと教えてあげられるようになった」

神経症の症状で苦しんでいる人は、症状そのものをいかにして治すかというように正攻法で攻めるよりも、症状そのものはいったん棚上げにして、目の前のなすべき課題に対して、今までよりも今1歩、 「現在になりきる」という実践に取り組むことで、視界が急に開けてくることがある。

森田療法は「不問療法」であると言われる人がいる。
この不問というのは、症状そのものを治したいということに対しては問題や課題としてとり上げない。
つまり、症状不問ということである。それよりも目の前の課題に取り組ませるのだ。
その態度を貫くことが、森田先生の言われる、「治すことを断念し、治すことを忘れたら治る」という意味だと思う。





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Last updated  2017.07.14 06:30:05
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

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