今の世の中は東京から大阪まで2時間30分で行ける。
リニア新幹線になるともっと早くなるだろう。
居眠りをしてるとすぐに着いてしまう。
これを便利な世の中になったものだと喜んでいる人が多いと思う。
私たちはよい時代に生まれたものだ。
この調子で行けば、将来はニューヨークあたりも日帰りで往復できるようになるかもしれない。
もっとも、今は移動しなくてもテレビ会議やSkypeを使えば、即座に相手と会話ができる時代になった。
どんな田舎に住んでいても、パソコンやスマートフォンがあれば、調べ事や情報は瞬時に得ることができる。株取引だって、馬券を買うことだってできる。
田舎に住んでいても、カラオケ三昧、ネットゲーム、ネット麻雀、ネット囲碁もできる。
そのうち食材なども、注文すればすぐにドローンが自宅まで配達してくれるようになるだろう。
自動車も自動運転になり、自分は居眠りしていても目的地に着くことができるようになる。
将来は立体テレビができて、しかも4K、8Kのテレビが普及してくれば、現地いかなくても素晴らしい映像を手にすることができる。臨場感にあふれておりスポーツ観戦やコンサートもお茶の間にいて、最大限に楽しむことができる時代になる。
こんな夢のような時代がすぐそこまで来ている。
これはここ200年から300年ぐらいで急激に変化してきたことである。
これが江戸時代には日本橋から京都三條大橋まで53日かかったそうだ。
東海道五十三次というのはこのことだ。
毎日毎日宿屋に泊まりながら目的地を目指していたのだ。橋はないので大きな川は歩いて渡る。
お茶屋で休んだり、道中で知り合った人と四方山話に花を咲かせる。
その土地土地の料理を食べる。風景を楽しむ。
のどかな暮らしだ。今では考えもできないが、案外楽しかったのかもしれないと思う。
あなたならどちらの時代で暮らしたいと思うだろうか。
お金さえあれば便利で楽しいことがいっぱいの現代社会の方がいいに決まっていると思われるのではないだろうか。冷暖房完備、飽食三昧、電気、ガス、水洗トイレ、あらゆる娯楽が揃っている社会の方が暮らしやすいに違いないと思われているのではなかろうか。
しかし何不足ない生活環境が整っているにもかかわらず、生きづらさを抱えている人が多いのはなぜなのか。過労死や出社拒否、登校拒否、いじめやひきこもりが増えているのはなぜなのだろう。
うつ病などの精神疾患を抱えている人が増加し、神経科や神経内科などの病院が繁盛しているのはなぜなのか。自殺する人が3万人近くにも上っている日本の社会とは一体何なのか。
みんなが物質的な豊かさを追求してきた末路はこんなものだったのだろうか。
便利さ、快適さを求める社会に、心が対応できていないのではなかろうか。
これは不快を感じる問題点を次々に克服し、便利さや快楽を無制限に追い求めるような生き方は間違っているということではないでしょうか。
ギスギスした人間関係、子どもの教育、原子力発電の問題、戦争や紛争、環境問題などはそのような生き方から生まれてきているのではないでしょうか。
物質的豊かさは心の安定とのバランスの上に成り立っているのではないでしょうか。
森田理論は生の欲望は無制限に追い求めてはならないといいます。
常に欲望の追求には制限をかけて、不安と欲望のバランスをとる生き方を勧めています。
欲望のみが先行する社会は、欲望が欲望を生み出し、制御不能な闘争社会へと突き進んでいるとしか思えません。その先に待っているのは、人類の滅亡なのではないでしょうか。
森田理論はこのことに関して、大きな警鐘を鳴らす役割を持っているものと考えます。
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